商標拒絶査定不服審判
2022-005536
クラフトブリューティー、クラフトブリュー
- 審判番号
- 2022-005536
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-101226
- 請求日
- 2022年04月13日
- 審決日
- 2022年11月24日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】丸七製茶株式会社
- 【請求人代理人】入江 一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-101226拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年8月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年8月12日付け:拒絶理由通知
令和3年9月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年2月 9日付け:拒絶査定
令和4年4月13日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「クラフトブリューティー」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、第30類「茶(日本茶・ウーロン茶・プーアール茶・ジャスミン茶・泡沫花茶・泡沫紅茶その他の中国茶およびそのための加工済み茶葉を含む。),ティーバッグ入りお茶,インスタント茶,緑茶飲料,紅茶飲料,ほうじ茶飲料,番茶飲料,甜茶飲料,ウーロン茶飲料,麦茶飲料,果実風味の茶飲料,その他の茶飲料」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「クラフトブリューティー」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、水で抽出したコーヒーを「コールドブリューコーヒー」と、水で抽出した紅茶を「コールドブリューティー」と称するなど、商品名を表す文字と組み合わせることで、「抽出した○○」の意味を表すものとして、一般に使用されていることから、本願商標の構成中「ブリューティー」の文字は「抽出したお茶」程の意味合いを容易に認識することができる。
そして、本願商標の構成中、「手仕事による製作。手工業。」を意味する語として親しまれている「クラフト」の文字についても、食品を取り扱う業界においては、「クラフトビール」や「クラフトチョコレート」等、「クラフト」の文字と商品名とを組み合わせた「クラフト○○」の表示が、「作り手がこだわって少量生産で作った○○」の意味を表す語として、一般に使用されている。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標を「クラフト」の語と「ブリューティー」の語とを組み合わせた構成からなるものと理解し、全体として、「作り手がこだわりをもって抽出した少量生産のお茶」程の意味合いを容易に認識するものであるから、本願商標をその指定商品に使用したとしても、商品の品質を表示したもの認識するにとどまるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は、前記2のとおり、「クラフトブリューティー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「クラフト」の文字は「手仕事による製作。手工業。」の意味を、「ティー」の文字は「茶。紅茶。」の意味を有し(いずれも「広辞苑 第七版」(岩波書店)から引用。)、「ブリュー」の文字は、一般的な国語辞典には掲載されていないものの、「<茶・コーヒーなど>を(熱湯を注いで)入れる」等の意味を有する英語「brew」(「ジーニアス英和辞典 第5版」(大修館書店)から引用。)の表音を片仮名で表記したものと認められる。
イ 原審において示した事実(別掲1(1)、(2))に加え、別掲2の事実からすると、我が国の飲食料品を取り扱う業界において、遅くとも2016年には、少量生産でこだわりの素材や製法を用いて作られた商品を「クラフト〇〇」と称している実情が見受けられ、当該実情は「飲食業界のトレンドメニュー」、「食の世界では「クラフト」がブーム」、「クラフトの波」、「“クラフト系”ドリンクの人気が衰えない」などと報じられるとともに、食品や調味料の用例(クラフトチョコレート、クラフトビネガー)のみならず、アルコール飲料の用例(クラフトビール、クラフト焼酎、クラフトジン)やソフトドリンクの用例(クラフトコーラ、クラフトソーダ、クラフトコーヒー、クラフト紅茶、クラフトティー)が多数紹介されている事実が認められる。
また、本願の指定商品を含む茶を取り扱う業界においては、「クラフトティー」の文字は、例えば、日本茶(ほうじ茶、玉露、煎茶)、紅茶、生薬及びオーガニックハーブのブレンドティーに用いられているほか、「クラフトリーフティー」の文字が煎茶、緑茶、ほうじちゃ、紅茶(加工済みの茶葉)に、「クラフトスパークリングティー」の文字がウーロン茶や緑茶等のブレンドティー(発泡性の茶飲料)に用いられている例が認められる。
ウ 「brew」の英語は、上記アのとおり、「<茶・コーヒーなど>を(熱湯を注いで)入れる」等の意味を有するものであるが、原審において示した事実(別掲1(3)~(14))に加え、別掲3の事実からすると、コーヒーを取り扱う業界において、遅くとも2015年には、当該英語を片仮名で表記した「ブリュー」の文字が、例えば「コールドブリュー」は「低温で抽出する」程の意味合いで、「ミルクブリュー」は「牛乳で抽出する」程の意味合いで、「クラフトブリュー」は「熟練したバリスタの抽出」程の意味合いで、それぞれ他の文字と結合して、コーヒー飲料やコーヒーバッグ等の商品に使用されている実情が見受けられる。
そして、当該実情は、茶を取り扱う業界においても変わることはなく、「ブリュー」又は「Brew」の文字は、「抽出」の意味合いをもって他の文字と結合し、低温又は牛乳で抽出した茶飲料や、抽出用の加工済みの茶葉に用いられている例が認められる。
エ 以上によれば、本願商標を構成する「クラフト」、「ブリュー」及び「ティー」の各語の意味(上記ア)に加え、本願の指定商品を取り扱う業界における各語の用例(上記イ及びウ)に照らすと、「クラフトブリューティー」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体をもって「少量生産でこだわりの素材や製法を用いて抽出された茶」の意味合いを表したもの、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
そして、本願商標は「クラフトブリューティー」の文字を標準文字で表してなるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえる。
してみれば、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標から、「作り手がこだわりを持って抽出した少量生産のお茶」を連想することを否定するものではないが、その他に「工芸醸造茶」、「作り手がこだわりを持った少量生産の水出し紅茶」、「作り手がこだわりを持って抽出した少量生産の紅茶」、「作り手がこだわりを持って淹れた(火から降ろしたお湯で茶葉を浸してお茶を作ること)少量生産の熱いお茶(お茶といえば、緑茶)」、「作り手がこだわりを持って抽出した少量生産のお茶(お茶といえば、緑茶)」などと捉えられることから、特定の意味を有しない一種の造語であり、特定の品質や特徴を表しているとはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標に接した取引者、需要者が、例えば請求人の主張するように、「ブリュー」の文字から「水出し」とまで認識したり、「ティー」の文字から「お茶といえば、緑茶」とのみ認識するかは後述するとして、上記(1)のとおり、本願商標は、これを構成する「クラフト」、「ブリュー」及び「ティー」の各語の意味や本願の指定商品を取り扱う業界における各語の用例を踏まえると、本願の指定商品との関係においては、その構成全体をもって「少量生産でこだわりの素材や製法を用いて抽出された茶」として一般に認識され、商品の品質を表示したものとして自然に理解されるというべきであるし、請求人が主張する各意味合いも、結局は、「少量生産でこだわりの素材や製法を用いて抽出された茶」に含まれるといえるものである。
また、本願の指定商品の取引者、需要者が、本願商標を請求人主張のような限定的な意味合いで認識するものと認めるに足りる証拠はない。
イ 請求人は、(a)「広辞苑第七版」における「クラフト」の定義中に「作り手がこだわって少量生産で作った・・・」との記載がないこと、(b)クラフトビールの定義について、アメリカのブルワーズ・アソシエーシンは、「小規模であること、独立していること、伝統的であること」の条件を満たす必要がある、としていること、(c)「CRAFT」や「クラフト」の文字を含む商標登録例が存在すること、を挙げ、「クラフト」の「作り手がこだわって少量生産で作った」の意は、未だ一般需要者、取引者が認識するに至っていない旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様とその指定商品に係る取引の実情等を総合勘案し、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるところ、「クラフト」の文字は、遅くとも2016年には、我が国の飲食料品を取り扱う業界において一般的に使用されていた実情が認められるし、これらの「クラフト〇〇」の用例を考慮すれば、取引者、需要者をして、「クラフト」の文字が「少量生産でこだわりの素材や製法を用いて作られた商品」を表したものとして認識されるというべきであること、上記(1)イのとおりである。また、当該判断が、商標の構成態様又は指定商品等が相違し、本件とは事案を異にするというべき請求人が挙げた登録例や、アメリカの団体が掲げるクラフトビールに係る条件により左右されることはない。
ウ 請求人は、(a)「広辞苑第七版」には「ブリュー」についての記載がないこと、(b)「brew」は取引者、需要者にとって、馴染みの薄い語であり、「<ビールなどを>醸造する、<茶・コーヒーを>いれる」から「抽出」の意味は直接的には出てこないこと、(c)原審で示した用例において、「ブリュー」の文字は「抽出する」、「水出し」、「淹れる(火から降ろしたお湯で茶葉を浸してお茶を作ること)」の意と種々あること、(d)「brew」や「ブリュー」の文字を含む商標登録例が存在すること、を挙げ、「ブリュー」から直ちに「抽出」とは認識できない旨主張する。
しかしながら、コーヒーや茶を取り扱う業界における「ブリュー(brew)」の用例を見ると、「抽出」の語を用いて説明しているものも多い(別掲1(3)、(5)~(10)、(13)、(14)、別掲3(1)~(3)、(5))ことから、たとえ「ブリュー」の文字が一般的な国語辞典には掲載されておらず、また、英和辞典で当該文字の意味が「<茶・コーヒーなど>を入れる」と記載されている等としても、取引者、需要者をして、「ブリュー」の文字が「抽出」を表したものとして認識されるというべきであること、上記(1)ウのとおりである。また、当該判断が、商標の構成態様又は指定商品等が相違し、本件とは事案を異にするというべき請求人が挙げた登録例により左右されることはない。
エ 請求人は「ティー」といえばTea(紅茶)で、紅茶を認識するにもかかわらず、原審において「お茶」、すなわち「緑茶を意味するお茶」とされたのが理解できない旨述べるとともに、「ティー」から紅茶でなく直ちに「緑茶を意味するお茶」と認識できない旨主張する。
しかしながら、茶を取り扱う業界においては、「チャ=カメリア・シネンシス」の樹や葉を加工、乾燥させたもの、すなわち、緑茶、ウーロン茶、紅茶などのことを「お茶(Tea)」と総称している(別掲4)。加えて、実際の使用例(別掲2)をみても、「ティー」の文字は、紅茶のみならず、日本茶(ほうじ茶、玉露、煎茶、緑茶)、生薬及びオーガニックハーブのブレンドティー、烏龍茶やハイビスカスティー等のブレンドティーに使用されている。さらに、本願の指定商品の取引者、需要者が、「ティー」の文字が紅茶のみを、あるいは、「お茶」の文字が緑茶のみを意味する、と請求人主張のような限定的な意味合いで認識するものと認めるに足りる証拠はない。
オ 請求人は、「クラフトブリューティー」を「craftbrewtea」又は「craft brew tea」と置き換え、機械翻訳を行った結果(「航空機は、お茶をいれます」、「技能は茶を入れる」等)を提示し、本願商標から、「作り手がこだわりを持って抽出した少量生産のお茶」を直接的かつ具体的(直感)に把握するとは、到底考えられない旨主張する。
しかしながら、上記イのとおり、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様とその指定商品に係る取引の実情等を総合勘案し、個別具体的に判断されるべきものであることに加えて、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであるから、請求人が提出する機械翻訳の結果(取引の実情や需要者の認識等は加味されていない。)によっては、上記(1)でした判断は左右されない。
カ 請求人は、「クラフト」、「ブリュー」及び「ティー」のそれぞれの語が多数使用されている現状下にあって、原審において示された用例(別掲1)のいずれにも、「クラフトブリューティー」の使用例がないことから、本願商標は、商品の品質等を表示するものとして「取引上普通に用いられている」とはいえない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、当該表示態様が、商品の品質等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解される(最高裁昭和60年(行ツ)第68号昭和61年1月23日第一小法廷判決言渡)。本願商標についても、たとえ「クラフトブリューティー」の文字そのものが、本願の指定商品に使用されている事実がなかったとしても、そのことが本願商標に係る商標法第3条第1項第3号該当性の判断に影響を与えるものとはいえない。
キ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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