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特許拒絶査定不服審判

2022-005272

手書き装置の文書の入力領域に用いる方法およびシステム

審判番号
2022-005272
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-166572
請求日
2022年04月08日
審決日
2023年03月28日
公報発行日
2023年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社ワコム
  • 【請求人代理人】黒瀬 泰之
審判長/審判官
  • 審判長 高瀬 勤
  • 審判官 鹿野 博嗣
  • 審判官 相崎 裕恒
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-166572「手書き装置の文書の入力領域に用いる方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 8日出願公開、特開2018- 37087、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年8月31日(パリ条約に基づく優先権主張2016年(平成28年)9月1日、アメリカ合衆国、2016年(平成28年)11月4日、アメリカ合衆国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 8月18日 :手続補正書の提出 令和3年 7月 6日付け:拒絶理由通知書 令和3年 8月27日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 1月25日付け:拒絶査定 令和4年 4月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和4年 6月 9日付け:前置報告書 令和4年11月22日付け:拒絶理由通知書(以下、この拒絶理由通知書による拒絶理由を「当審拒絶理由」という。) 令和5年 1月20日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和4年1月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1~15、17に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2006-31548号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 理由1 本願請求項1~17に係る発明は、以下の引用文献1~5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2006-31548号公報(拒絶査定時の引用文献1) 引用文献2:特開2014-119908号公報 引用文献3:PDF構造情報 初版 (John Whitington著 村上雅章 訳)2013年5月 <単行本2013-00713-001> 第130頁~131頁 7.2 XMLメタデータ 引用文献4:特開平7-160828号公報 引用文献5:特開平10-269317号公報 理由2 本願請求項12に係る発明は、その特許請求の範囲の記載が明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 本願発明 本願の請求項1~13に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」~「本願発明13」という。)は、令和5年1月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 コンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、 第1の文書のページを特定するページIDに関連付けて、前記ページに含まれる入力領域のロケーションを前記第1の文書のメタデータ・ストリームに格納すること、 前記ページIDを変換することにより、視覚的に表示された識別子を生成すること、 前記識別子を有する第2の文書を前記第1の文書から再製すること、 手書き装置からポイント・データを順次取得すること、 前記手書き装置上に載置された前記第2の文書から前記視覚的に表示された識別子を読み取ることにより前記ページIDを取得すること、 取得した前記ページIDに関連付けて前記メタデータ・ストリーム内に格納されている前記ロケーションに基づいて、前記第2の文書上に定義された前記入力領域を識別すること、 取得した前記ポイント・データが、識別した前記入力領域内にあるか否かを判定すること、 前記判定した結果に基づいて、前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けるか否かを判定すること、を含み、 前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けるか否かを判定することは、 前記取得した前記ポイント・データが前記識別した前記入力領域内にあると判定した場合に前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けると判定し、 前記取得した前記ポイント・データが前記識別した前記入力領域内にないと判定した場合に、前記取得した前記ポイント・データが前記入力領域のブリード・マージン内にあるか否かをさらに判定し、 前記取得した前記ポイント・データが前記入力領域のブリード・マージン内にないと判定した場合に、前記取得した前記ポイント・データを含むストロークの最初のポイント・データが前記入力領域内にあるか否かをさらに判定し、 前記最初のポイント・データが前記入力領域内にあると判定した場合に、前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けると判定する一方、前記最初のポイント・データが前記入力領域内にないと判定した場合に、前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けないと判定する、ことを含む、 方法。 【請求項2】 前記第1の文書は複数の入力領域を含んでおり、前記複数の入力領域は複数種類の入力領域を含んでいる、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記複数種類の入力領域は署名領域を含んでいる、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記ページIDおよび前記ロケーションを、構造化された文書フォーマットで前記第1の文書の前記メタデータ・ストリームに格納する、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記構造化された文書フォーマットはルート要素と前記ルート要素の中にネストされた複数のサブ要素とを含んでおり、 前記ページIDおよび前記ロケーションを前記サブ要素に格納する、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 前記ページIDを前記サブ要素の1つの属性に格納する、請求項5に記載の方法。 【請求項7】 前記構造化された文書フォーマットはXMLフォーマットを含んでいる、請求項4に記載の方法。 【請求項8】 前記文書の前記メタデータ・ストリームは前記文書のファイル・フォーマットとは独立したメタデータ・フォーマットである、請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記メタデータ・フォーマットはXMPフォーマットである、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 前記視覚的に表示された識別子は、バーコード、ドット・コード、およびQRコード(登録商標)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 前記第1の文書の前記入力領域のディメンションを前記第1の文書のメタデータ・ストリームにさらに格納し、 前記識別することは、取得した前記ページIDに関連付けて前記メタデータ・ストリーム内に格納されている前記ロケーション及び前記ディメンションに基づいて、前記第2の文書上に定義された前記入力領域を識別することである、請求項1に記載の方法。 【請求項12】 前記ポイント・データはペン座標データである、請求項1に記載の方法。 【請求項13】 システムであって、 第1の文書のページを特定するページIDに関連付けて、前記ページに含まれる入力領域のロケーションを前記第1の文書のメタデータ・ストリームに格納し、 前記ページIDを変換することにより、視覚的に表示された識別子を生成し、 前記識別子を有する第2の文書を前記第1の文書から再製する、 ステップを実行するようにプログラムされるコンピューティング装置と、 手書き装置と、 前記手書き装置からポイント・データを取得し、 前記手書き装置上に載置された前記第2の文書から前記視覚的に表示された識別子を読み取ることにより前記ページIDを取得し、 取得した前記ページIDに関連付けて前記メタデータ・ストリーム内に格納されている前記ロケーションに基づいて、前記第2の文書上に定義された前記入力領域を識別し、 取得した前記ポイント・データが、識別した前記入力領域内にあるか否かを判定し、 前記判定した結果に基づいて、前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けるか否かを判定する、 ステップを実行するようにプログラムされるクライアント・コンピューティング装置とを備え、 前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けるか否かを判定するステップは、 前記取得した前記ポイント・データが前記識別した前記入力領域内にあると判定した場合に前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けると判定し、 前記取得した前記ポイント・データが前記識別した前記入力領域内にないと判定した場合に、前記取得した前記ポイント・データが前記入力領域のブリード・マージン内にあるか否かをさらに判定し、 前記取得した前記ポイント・データが前記入力領域のブリード・マージン内にないと判定した場合に、前記取得した前記ポイント・データを含むストロークの最初のポイント・データが前記入力領域内にあるか否かをさらに判定し、 前記最初のポイント・データが前記入力領域内にあると判定した場合に、前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けると判定する一方、前記最初のポイント・データが前記入力領域内にないと判定した場合に、前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けないと判定するステップを含む、 システム。」 第5 引用文献、引用発明 1 引用文献1について (1) 引用文献1に記載された事項 当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下のとおりの記載がある。(下線は、当審が付した。) 【0035】 本発明によれば、定型または非定型の紙文書に手書きされた紙文書に対して所定の処理を実行させると共に、ユーザが、加筆後に処理プログラムを選択可能な、文書処理システム、文書処理方法、文書処理プログラム及び記録媒体を提供することができる。 【0040】 このような処理を行う文書処理システムの全体構成図を、図1を用いて説明する。図1には、帳票作成用PC101と、印刷装置102と、帳票処理用PC103と、スキャナ105と、デジタルPAD(以下、D-PADと記す)104と、画像取得装置500と、データサーバ106と、ネットワーク107とが示されている。 【0041】 帳票作成用PC101は、筆記される紙文書のフォームを作成するものである。印刷装置102は、紙文書である帳票を印刷するものである。帳票処理用PC103は、筆記された紙文書から、帳票のフォームに従って、筆記されたデータに関する処理を行うものである。スキャナ105は、筆記された帳票を読み込むものである。D-PAD104は、連続的に手書き座標を取得するものであり、結果的に帳票に筆記された筆記情報を取得する。データサーバ106は、帳票処理用のデータベースである。画像取得装置500は、エリアCCDを撮像デバイスとして用いて画像を取得する。 【0042】 以下の説明において、スキャナ105で読み込んだ帳票すなわちスキャンイメージと、D-Pad104で取得した手書き座標すなわちストロークデータを総称したものを筆記情報と表現する。 【0043】 また、以下の説明において帳票作成用PC101と印刷装置102をまとめて帳票作成装置108、帳票処理用PC103とスキャナ105とD-PAD104と画像取得装置500をまとめて帳票処理装置109、データサーバ106を記憶装置100と表現することがある。 【0051】 次に、各要素について説明する。要素A121は、紙に紙IDを付与・印刷し、紙IDと文書IDおよび処理IDを関連付けるものである。これら各IDについては後に説明する。要素B122は、紙IDを管理し、フォームが定まっている電子文書に対して割り当てられる文書IDと紙IDとを関連付けるものである。 【0052】 要素C123は、紙IDの付与された紙文書であり、この紙文書にユーザ110は筆記する。要素D124は、紙文書からデータ並びに紙IDを取得するものである。要素E125は、紙IDをデコードするものである。要素F126は、紙IDをエンコードするものである。要素G127は、紙IDである。要素H128は、処理IDと外部処理プログラム111を関連付け、処理IDを管理するものである。要素I129は、フォームのレイアウト情報および処理方法を編集・管理するものである。要素J130は、筆記情報をフォームのレイアウト情報および処理方法から、筆記情報に分解・保存するものである。要素K131は、紙IDから文書ID及び処理方法に変換するものである。 【0053】 これらの要素は、図1の場合、要素A、B、Eが帳票作成装置108に搭載され、要素Iが記憶装置100に搭載され、要素D、F、J、Kが帳票処理用PC109に搭載されている。 【0055】 以上説明した要素は、ソフトウェアやハードウェアとして実現することが可能である。そのため、以下の説明では、それらを構成するものを説明する際にモジュールという表現を用いることがある。また、各IDであるが、紙IDとは、それぞれの紙に一意的に割り当てられるものであり、全ての紙のIDは、異なったIDとなっている。或いは、同一の文書ID、同一ページのものを複数枚印刷する際は、これらは同一の紙IDとしてもよい。 【0056】 処理IDとは、文書処理システムで行われる筆記情報に対する処理に割り当てられるIDである。文書IDとは、電子文書に対して割り当てられるIDであり、原文書IDと表現することもある。 【0070】 次に、定型処理について説明する。定型処理を行うためにはまずフォームを設計しなければならない。そのためのモジュールの詳細は要素Iに記述されている。これはフォームの各要素のレイアウト情報と処理情報を編集し、登録するものである。なお、この実施例では定型処理は処理IDが0として予め登録されている。また、ここでのレイアウト情報は、例えば紙での入力欄の位置などを表し、処理情報は、どの要素をどのデータベースに登録するか、および文字認識を行うか、行うとすれば文字種は何であるかなどを表す。 【0071】 文書処理システムを利用するユーザは、まず紙文書を印刷する。そのためには、まず印刷したい電子文書を、要素Aを使って印刷する。この電子文書はファイルとして保存されており、そのファイル名には、ファイルがどんな性質のファイルなのかを判断するために通常用いられる拡張子が含まれる。 【0072】 定型処理用の電子文書は、ある特定の拡張子を持っているので、印刷しようとする電子文書の拡張子によって、定型処理か非定型処理かが定まる。 【0073】 非定型処理の場合、上記モジュールに対して印刷を指示すると、このモジュールは要素Hに登録済みの外部処理プログラムに関する情報をユーザに提示し、筆記後に行われる処理の選択を求める。ユーザがどの処理を行うか選択することにより、処理IDが定まる。 【0074】 処理IDが定まると、モジュールは、電子文書のIDと処理IDを要素Bに登録し、紙IDを取得する。その後、紙文書にこのIDを付与し印刷を行い、紙IDが付与された紙文書、すなわち要素Cが得られる。 【0075】 また、定型処理の場合、モジュールに対して印刷を指示すると、非定型処理の場合とは異なり、処理IDは0と定められているので、ユーザに処理の選択を求めることはなく、要素Bに電子文書のIDと処理IDを登録し、紙IDを取得する。その後は先ほどと同様、印刷が行われ、要素Cが得られる。 【0076】 以上の処理によって、紙文書とその電子文書および筆記に行うべき処理の関連付けが行われたことになる。つまり紙文書には紙IDが付けられ、これに文書IDと処理IDが関連付けられ、この紙に筆記したときに、どの紙に筆記したか、および筆記した後、どのような処理を行うかが、文書処理システムに登録されたことになる。なお、印刷時に、紙を処理することが可能な処理IDを、ユーザが選択、或いはシステムで規定、しておいてもよい。なお、上記原文書とは、筆記情報がまだ記述されていない文書を表す。 【0077】 次に、紙に筆記後の動作について説明する。ユーザは、作成された要素Cである紙文書に筆記し、この紙文書を要素Dに対応するスキャナや、例えばMFP(Multi Function Printer)のスキャナ部を用いて画像として入力させる。これにより、要素D内の要素Eで紙IDが取得される。これらの紙IDと画像は要素Kに送られる。 【0078】 或いは、ユーザは、作成された要素Cである紙文書を要素Dに対応する座標入力装置上に設置し、筆記を行う。すると要素Dで筆記情報が、要素D内の要素Eで紙IDが取得される。なお、要素Dによって、ユーザに処理IDの情報を提示したり、ユーザから処理IDを入力されたりする場合もある。紙IDと筆記情報は要素Kに送られる。 【0079】 要素Kでは取得された紙IDから要素Bに問い合わせることにより文書IDと処理IDが特定される。このように特定することが可能なことは、要素Bで文書IDと処理IDを登録し、紙IDを取得しているためである。 【0081】 次に、処理IDが0の場合について説明する。処理IDが0の場合は定型処理が行われる。まず、文書IDと画像が要素Jに渡される。要素Jでは要素Iに問い合わせて、文書IDからフォームのレイアウト情報と処理情報を得る。ここでの処理情報は、データの保存先や筆記情報の文字認識・マーク認識等である。 【0082】 そこで、まずレイアウト情報を元に、画像をフィールドである記入欄毎に分解し、要素Dとしてスキャナを用いた場合は、電子文書の画像と筆記された紙文書の画像とを比較して筆記情報のみの画像を得る。或いは、要素Dとして座標入力装置を用いた場合は、筆記された座標列がそのまま得られている。その後、処理情報に従って文字認識やマーク認識等が行われ、その結果がデータベースに保存される。 【0088】 次のステップS104で、紙IDが取得される。ステップS105で、紙IDが2次元コードにエンコードされ、ステップS106で、2次元コードが電子文書中の所定の位置に貼り付けられる。ステップS107で電子文書が印刷される。 【0197】 一体型に成形した筆記情報入力装置60の外観例を図16に示す。図示した例では、紙ID情報読取装置75(図15参照)を2次元コードリーダ62として実現しており、また設置された紙文書には印刷された文書本文65と、紙ID63が、予め印刷されている。座標入力装置74は超音波式のデジタイザによって実現しており、専用入力ペン66によって実際に筆記情報64を加えると共に、座標データを取得することが可能になっている。 【0198】 次に、可搬型のデジタイザ型の筆記情報入力装置を用いた場合の処理について図17を用いて説明する。まず、筆記情報入力装置内の座標入力装置は、ステップS601で、専用入力ペンによって筆記が開始されると同時にペン先の紙文書への接触(ペンダウン)を検出し、ステップS602で筆記座標を検出する。 【0199】 次のステップS603で、筆記情報入力装置は、2次元コードリーダにより、専用入力ペンが筆記座標を読み取っている間、あるいは専用入力ペンが筆記面に接したときなど適宜、2次元コードを読み取る。 【0200】 次のステップS604で、筆記情報入力装置は、読み取った2次元コードをデコードし、紙IDなどを読み取る。 【0201】 こうして読み取られた筆記座標、紙IDからなるデータは、一旦、ステップS605で、記憶装置に保存され、次のステップS606で、適宜、通信装置によってPCへ送信される。 【0293】 次に、フォームのレイアウト情報及び処理方法を編集・管理する要素Iについて説明する。要素Iは、紙文書を読み取り、紙文書で定義されたレイアウトや処理情報を元に、後述する情報テーブルに、認識された筆記情報を情報変換して保存するシステムである。 【0294】 具体的に、図44、図45を用いて説明する。図44は、図13で説明した脱会・入会申込書に筆記されたものを示している。図44に示されるように、脱会・入会申込書には、記入部として、記入部A170、記入部B171、記入部C172、記入部D173、記入部E174がある。また、脱会・入会申込書には、ラベルとして氏名ラベル175や、その他会員No、依頼項目、コメントが記されている。 【0295】 また、図45には情報テーブルが示されている。情報テーブルは、登録情報と処理情報からなるテーブルである。登録情報は、IDと氏名と会員番号があり、処理情報は、氏名と会員番号と処理とコメントがある。 【0296】 このように情報テーブルは、脱会・入会申込書に筆記された情報が記録されるものである。 【0297】 脱会・入会申込書の記入部A170、記入部B171、記入部E174に筆記された筆記情報は、それぞれ、図45に示される情報テーブル内の氏名、会員番号、コメントに記録され、記入部C172、記入部D173に書き込まれた筆記情報は、チェックされた記入部に従い、「削除」或いは「登録」が処理に記録される。 【0304】 このようにツールボックス156から配置する内容に応じた要素をレイアウトエリア155に配置し、その属性(プロパティ)を画面上で設定する。ここでいう要素とは、ラベルツール151、テキストボックス152、チェックボックス153、バーコード154など配置する目的用途に応じたものである。 【0306】 各要素は図49に示すようなプロパティ群を持っており、これらプロパティは実際に帳票が表示している内容やその処理方法などを定義している。このプロパティ群について説明する。図49に示されるプロパティ群は、図44の氏名ラベル175と記入部A170に対応したプロパティ群の例である。プロパティ群は、レイアウト情報(コンテナ開始~ボーダー)176・認識情報(入力~認識結果)177・保存先情報(登録サーバ~登録レコード)178に大別される。 【0307】 レイアウト情報176は、要素の位置や大きさ、そこに表示する文字や枠線の状態を管理する。認識情報177は、帳票処理時の要素に手書きされた内容の情報変換作法を管理する。ここでは文字認識に用いる諸情報が管理されている。保存先情報178は、帳票処理時に用いる認識情報177で変換された結果の保存先を管理している。 【0310】 以上説明したように、帳票構造体にこのようなプロパティ群を持たせ、管理することによりフォームのレイアウトや処理方法を定義している。 【0311】 次に、フォームのレイアウト情報及び処理方法から、筆記情報をデータに分解し保存する要素Jの説明をする。要素Dとしてスキャナを用いた場合、図50に示される脱会・入会申込書を用いて説明すると、要素Jは、読み取った記入帳票イメージ180と筆記されていない未記入帳票イメージ181との差分をとり、筆記イメージ182を得て、氏名や会員番号など、それぞれの要素に分解し、保存する。 【0312】 要素Dとして座標入力装置を用いた場合は、筆記された座標列すなわち筆記情報がそのまま得られるので、氏名や会員番号など、それぞれの要素に分解し、保存する。なお、非定型処理の場合は帳票の概念がないので各要素には分解しないで、全体を1つとして保存する。 【0317】 ステップS1203は、未記入帳票イメージと記入帳票イメージの位置合わせである。この処理は、タイミングマークを用いて未記入帳票のイメージに記入帳票のイメージをあわせる処理である。なお、タイミングマークの位置・形状情報は帳票定義体から取得される。また、タイミングマークが存在しない場合はこのステップは行われない。 【0318】 ステップS1204は、筆記イメージの生成である。この処理は、未記入帳票イメージと記入帳票イメージの差分をとる処理である。 【0319】 次のステップS1205からステップS1208までの処理は、帳票定義体に示される要素単位に行われる。まず、ステップS1205は、各要素に対応する部分画像の生成である。この処理は、要素のプロパティ(レイアウト情報)に従って行なわれ、例えば、図50の「山田太郎」、「56-381」などの部分画像を生成する処理である。 【0320】 ステップS1206は、部分画像の文字認識である。この処理は、要素のプロパティ(認識情報)に従って行なわれる。ステップS1207は、文字認識することにより部分画像から文字へ情報が変換された結果を保存する処理である。 【0322】 次に、紙IDから文書ID及び処理方法に変換する要素Kについて説明する。紙IDから文書IDおよび処理IDに変換する要素Kの処理手順の概要図を図52に示す。図52では、要素Kを中心として、矩形図形は各要素を、吹き出し部はデータやリクエストの内容を、矢印はそのデータやリクエストの方向を、矢印上のステップはその順番を示している。 【図16】 [図:0001396014000001.jpg] (2)引用文献1の記載から把握できる事項 ア 段落【0040】、図1には、「帳票作成用PC101と、印刷装置102と、帳票処理用PC103と、スキャナ105と、デジタルPAD(以下、D-PADと記す)104と、画像取得装置500と、データサーバ106とがネットワーク107で接続された」「文書処理システム」が記載されている。さらに、段落【0043】には、「帳票作成用PC101と印刷装置102をまとめて帳票作成装置108、帳票処理用PC103とスキャナ105とD-PAD104と画像取得装置500をまとめて帳票処理装置109、データサーバ106を記憶装置100と表現」することが記載されているから、引用文献1には、「帳票作成装置108と帳票処理装置109と記憶装置100とがネットワークで接続された文書処理システム」が記載されているといえる。 そして、段落【0035】の記載によると、引用文献1には、「文書処理システム」によって、「文書処理方法」を行うことが記載されているといえるから、引用文献1には、「帳票作成装置108と帳票処理装置109と記憶装置100とがネットワークで接続された文書処理システムにより、手書きされた紙文書に所定の処理を実行する文書処理方法」が記載されているといえる。 イ 段落【0051】~【0053】、【0056】、【0081】、【0304】、【0307】、【0310】によると、引用文献1の「文書処理システム」においては、「紙」に「付与・印刷」される「紙ID」と「フォームが定まっている電子文書」に「割り当て」られる「文書ID」とを「関連付け」、さらに、「フォームのレイアウト」の「テキストボックス」等の「要素」の「プロパティ群」の「レイアウト情報」において「要素の位置や大きさ」を管理するものであるから、引用文献1の「文書処理システム」は、「紙に付与・印刷される紙IDとフォームが定まっている電子文書に対して割り当てられるIDである文書IDとを関連付け」、「テキストボックス等のフォームのレイアウトの要素の位置や大きさを管理するレイアウト情報を記憶装置100に記憶する」ものであるといえる。 ウ 段落【0053】、【0055】、【0088】によると、引用文献1の「文書処理システム」の「帳票作成装置108」は、「それぞれの紙に一意的に割り当てられる紙IDを、2次元コードにエンコードして、2次元コードを電子文書中の所定の位置に貼り付け、電子文書を印刷する」ものである。 エ 段落【0197】~【0201】、【図16】によると、引用文献1の「文書処理システム」の「帳票処理装置109」は、「筆記情報入力装置において、専用入力ペンにより筆記座標を読み取り、2次元コードリーダにより、筆記情報入力装置に設置された紙文書に印刷された2次元コードを読み取り、読み取った2次元コードをデコードすることで紙IDを読み取る」ものである。 オ 段落【0053】、【0081】、【0082】、【0293】、【0311】、【0312】、【0317】~【0320】、【0322】によると、引用文献1の「文書処理システム」の「帳票処理装置109」は、「紙IDから文書IDに変換し、記憶装置100に問い合わせて文書IDからフォームのレイアウト情報を得、そのレイアウト情報を元に、画像をフィールドである記入欄毎に分解し、座標入力装置を用いて得られた座標列について文字認識等が行われた結果を情報テーブルに保存する」ものである。 (3)上記(2)によると、引用文献1には、 「帳票作成装置108と帳票処理装置109と記憶装置100とがネットワークで接続された文書処理システムにより、手書きされた紙文書に所定の処理を実行する文書処理方法であって、 紙に付与・印刷される紙IDとフォームが定まっている電子文書に対して割り当てられるIDである文書IDとを関連付け、テキストボックス等のフォームのレイアウトの要素の位置や大きさを管理するレイアウト情報を記憶装置100に記憶し、 帳票作成装置108は、それぞれの紙に一意的に割り当てられる紙IDを、2次元コードにエンコードして、2次元コードを電子文書中の所定の位置に貼り付け、電子文書を印刷し、 帳票処理装置109は、筆記情報入力装置において、専用入力ペンにより筆記座標を読み取り、2次元コードリーダにより筆記情報入力装置に設置された紙文書に印刷された2次元コードを読み取り、読み取った2次元コードをデコードすることで紙IDを読み取り、 帳票処理装置109は、紙IDから文書IDに変換し、記憶装置100に問い合わせて文書IDからフォームのレイアウト情報を得、そのレイアウト情報を元に、画像をフィールドである記入欄毎に分解し、座標入力装置を用いて得られた座標列について文字認識等が行われた結果を情報テーブルに保存する、 文書処理方法。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 2 引用文献2について (1)引用文献2に記載された事項 当審拒絶理由に引用した引用文献2には、以下のとおりの記載がある。(下線は、当審が付した。) 【0031】 〔実施の形態1〕 本発明の一実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る文字認識データ処理システム100の概略構成を示す図である。文字認識データ処理システム100は、文字認識データ処理装置20と、ペン型装置30と、画像形成装置40とを含んでいる。 【0035】 図2は、文字認識データ処理装置20の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、文字認識データ処理装置20は、操作受付部3、入力領域検出取得部4、記入領域生成部5、出力部6、データ反映部7、文字認識部8、記入領域取得部9、手書きデータ情報(追記情報)受信部10、及び記憶部11を含んでいる。記憶部11は、入力領域記憶部1及び記入領域記憶部2を含んでいる。以下、各部の概略を説明する。 【0037】 入力領域検出取得部4は、ユーザが選択した文書フォーマット(電子データ)からデータ入力領域を検出する。データ入力領域は、ユーザが操作端末を操作してPC上でデータを入力する予定(候補)の領域である。1個の文書フォーマットには、1個または複数個のデータ入力領域が存在する。例えば、文書フォーマットがエクセルデータである場合は、セル、テキストボックス、チェックボックス等がデータ入力領域となる。また、入力領域検出取得部4は、検出したデータ入力領域に対応するデータ入力領域情報を入力領域記憶部1へ送信する。入力領域記憶部1には、各データ入力領域に対応する複数個のデータ入力領域情報が記憶されている。また、入力領域検出取得部4は、ユーザが選択した文書フォーマットに対応するデータ入力領域情報が入力領域記憶部1に記憶されている場合は、入力領域記憶部1から該データ入力領域情報を取得する。入力領域検出取得部4の具体的な構成は後述する。 【0038】 記入領域生成部5は、入力領域検出取得部4が検出または取得したデータ入力領域に基づき、記入領域を生成する。記入領域は、データ入力領域の位置情報を含んでいる。具体的には、記入領域は、出力(印刷)された媒体(例えば紙)上の位置に関する情報、すなわち、セルアドレス、テキストボックスID、行列情報、文書フォーマットの電子データ上の座標等を含んでいる。各データ入力領域と各記入領域とは、1対1で対応付けられている。また、記入領域生成部5は、生成した記入領域に対応する記入領域情報を記入領域記憶部2へ送信する。記入領域記憶部2には、各記入領域に対応する複数個の記入領域情報それぞれが、各データ入力領域に対応付けられて記憶されている。また、記入領域生成部5は、ユーザが選択した文書フォーマットに対応する記入領域情報が記入領域記憶部2に記憶されている場合は、記入領域記憶部2から該記入領域情報を取得する。記入領域生成部5の具体的な構成は後述する。 【0039】 出力部6は、文書フォーマットの画像形成を画像形成装置40に指示する。また、出力部6は、紙に形成するコード画像を生成する。コード画像は、例えば特開2008-9833号公報に開示されているコードパターンを画像化したものであり、紙の全面に複数行複数列で形成される画像である。1個のコード画像は、二次元に配列された複数のドットで構成されており、紙文書のページIDと、コード画像が配置されている紙面上の座標を示す位置情報等のデジタルコードとが埋め込まれている。ページIDと、記入領域生成部5により生成された各記入領域情報とは対応付けられている。なお、ページIDによって作業中のページを特定することができ、またページIDによって作業中のページを含む文書フォーマットを特定することができる。また、コード画像は、複数のドットが二次元で配置されているものであれば、特開2008-9833号公報に開示されているものに限定されず、例えばData Matrix、Code One、Maxi Code、QR codeなど他のコード画像であってもよい。また、コード画像の配置は、紙の全面に規則的に配置されていれば複数行複数列のマトリクス状ではなく他の配置であってもよい。 【0051】 ここで、画像取得部303と画像処理部304とにより、記録媒体からコード画像を取得するため、画像取得部303と画像処理部304は、記録媒体に形成されているコード画像を取得する画像取得手段ということができる。 【0052】 データ処理部305は、コード画像をデコードするデコード手段の一例である。データ処理部305は、画像処理部304から出力されたデジタルデータが表すコード画像についてデコード処理を行い、該コード画像に含まれているページID及び位置情報を取得する。また、データ処理部305は、制御部301に接続されており、取得したページID及び位置情報を制御部301へ出力する。 【0064】 記入領域生成部5の具体的な構成について説明する。記入領域生成部5は、入力領域検出取得部4が検出または取得したデータ入力領域情報に基づき、記入領域を生成する。以下、例を挙げて説明する。図9の(a)は、図8の(a)に示すデータ入力領域を示し、図9の(b)は生成された記入領域を示している。具体的には、記入領域生成部5は、図9の(a)に示すデータ入力領域を、元の電子文書の座標系から、出力(印刷)される媒体(例えば紙)の座標系に座標変換して、図9の(c)に示すテーブルを生成する。図9の(c)に示すテーブルにおいて、各記入領域ID(a,b,c,…,k)は、図8の(b)に示すデータ入力領域情報を示すテーブルの各入力領域ID(1,2,3,…,11)に対応している。例えば、記入領域ID「a」に対応する入力領域ID「1」の「セルA2」は、「100,0」に座標変換され、記入領域ID「b」に対応する入力領域ID「2」の「セルA4」は、「200,0」に座標変換される。これにより、1個の文書フォーマット内において、各データ入力領域と各記入領域とが対応付けられる。記入領域生成部5は、生成した記入領域に対応する記入領域情報を記入領域記憶部2へ送信する。記入領域記憶部2には、図9の(c)に示すテーブルが記憶される。なお、記入領域記憶部2には、複数の記入領域の集合である記入領域群と、該文書フォーマットのページIDとが対応付けられている。例えば、記入領域(a)~(k)を含む記入領域群を「X」、文書フォーマットのページIDを「A」とした場合、記入領域群「X」とページID「A」とが対応付けられている。 【0080】 次に、記入領域取得部9は、手書きデータ情報受信部10から、手書きデータ情報に含まれる帳票データDAに対応するページIDを受け取り、記入領域記憶部2から、該ページIDに対応する帳票データDAに対応する記入領域情報(例えば図9の(c)に示すテーブル)を取得する(ステップS12)。 (2)引用文献2の記載から把握できる事項 ア 段落【0031】、【0035】によると、引用文献2には、「文字認識データ処理装置を含む文字認識データ処理システム」が記載されている。 イ 段落【0064】によると、引用文献2の「文字認識データ処理システム」は、「文書フォーマットのページIDと複数の記入領域の集合である記入領域群とを対応づけて記入領域記憶部に記憶する」ものである。 ウ 段落【0039】によると、引用文献2の「文字認識データ処理システム」は、「紙に形成するための、紙文書のページIDを埋め込んだコード画像を生成する」ものである。 エ 段落【0051】~【0052】によると、引用文献2の「文字認識データ処理システム」は、「記録媒体に形成されているコード画像を取得し、コード画像についてデコード処理を行い、コード画像に含まれているページIDを取得する」ものである。 オ 段落【0080】によると、引用文献2の「文字認識データ処理システム」は、「ページIDに対応する記入領域情報を記入領域記憶部から取得する」ものである。 (3)上記(2)によると、引用文献2には、 「文字認識データ処理装置を含む文字認識データ処理システムであって、 文書フォーマットのページIDと複数の記入領域の集合である記入領域群とを対応づけて記入領域記憶部に記憶し、 紙に形成するための、紙文書のページIDを埋め込んだコード画像を生成し、 記録媒体に形成されているコード画像を取得し、コード画像についてデコード処理を行い、コード画像に含まれているページIDを取得し、 ページIDに対応する記入領域情報を記入領域記憶部から取得する、 文字認識データ処理システム」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。 3 引用文献3について (1)引用文献3に記載された事項 当審拒絶理由に引用した引用文献3には、以下のとおりの記載がある。(下線は、当審が付した。) 7.2 XMLメタデータ PDF 1.4以降では、メタデータストリームを使用することで、ドキュメント全体やドキュメントの個々の要素にXMLメタデータを添付できるようになっています。そして、ドキュメント単位のメタデータストリームによって、ドキュメント情報辞書を拡張したり置き換えることが可能になるわけです。(これにより、ほとんど常にと言って良いほど旧バージョンのPDFプログラムとの互換性が保たれます)。 メタデータは圧縮されず、また(たいていの場合に)暗号化されずに格納されるため、PDFの詳しいフォーマットのことを考慮していない外部ツールであっても、PDFファイル内のそういった情報に簡単にアクセスできます。 XMLは、AdobeのXMP: Extensible Metadata Platform によって規定されているExtensible Metadata Platform (XMP)という形式のマークアップを使用します。この形式には、プラットフォームに依存しないやり方で、他の形式(例えばPDF)にメタデータを埋め込む方法も規定されています。このため、XMPを埋め込んでいる外側の形式をサポートしていないプログラムであっても、XMPデータを抽出することができるのです。 XMP形式の詳細についてはAdobeのウェブサイト(http://www.adobe.com/products/xmp/)を参照してください。 例7-2は、XMPメタデータの例です。 ドキュメント情報辞書で見覚えのあるエントリも含まれているはずです。また、/Type /Metadata /Subtype /XMLというXMPメタデータのストリームを識別する名前の並びにもご注意ください。メタデータストリームは、ドキュメントカタログ中に/Metadataエントリを記述することでドキュメントに追加できます。 (2)引用文献3には、 「メタデータストリームを使用して、ドキュメントにXMLメタデータを添付する」発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。 4 引用文献4について (1)引用文献4に記載された事項 当審拒絶理由に引用した引用文献4には、以下のとおりの記載がある。(下線は、当審が付した。) 【0015】 【従来の技術】図15は従来の文字認識装置の一例を示すブロック回路図である。図において、1は入力媒体、2は文字抽出部、3は特徴抽出部、4は比較部、5は文字辞書記憶部、6は識別部である。 【0025】 次に、動作について説明する。図15と共通部分の動作は、図15に示した従来例の動作と同じであるから、ここではその動作説明は省略する。文字抽出部2は、入力媒体1から順次供給される座標値系列から、複数の文字を記入可能な大きさの記入枠の領域として設定した範囲内に含まれる座標値を順番に取り込み、1項目分の座標値系列として特徴抽出部3に供給する。1項目分の座標値系列は、記入枠内に記入される1つ、あるいは複数の文字の組み合わせである。ここで、1項目分の座標値系列を記入枠の領域範囲に含まれる座標値系列としたが、ペンアップ状態からペンダウン状態に変化した時の座標値が記入枠の領域に含まれていれば、以降の入力座標値が記入枠の範囲外であっても一連の1項目分の座標値系列と判断するようにしてもよい。特徴抽出部3は、座標値群の特徴量を抽出して比較部4に供給する。 (2)引用文献4の記載から把握できる事項 ア 段落【0015】によると、引用文献4には、「入力媒体、文字抽出部、特徴抽出部を備えた文字認識装置」が記載されている。 イ 段落【0025】によると、引用文献4の「文字認識装置」は、「入力媒体から順次供給される座標値系列から、複数の文字を記入可能な大きさの記入枠の領域として設定した範囲内に含まれる座標値を順番に取り込み、1項目分の座標値系列として特徴抽出部に供給するもの」であり、当該「1項目分の座標値系列」は、「記入枠内に記入される複数の文字の組み合わせ」である。 (3)上記(2)によると、引用文献4には、 「入力媒体、文字抽出部、特徴抽出部を備えた文字認識装置であって、 入力媒体から順次供給される座標値系列から、複数の文字を記入可能な大きさの記入枠の領域として設定した範囲内に含まれる座標値を順番に取り込み、1項目分の座標値系列として特徴抽出部に供給するものであり、1項目分の座標値系列は、記入枠内に記入される複数の文字の組み合わせである、 文字認識装置」の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。 5 引用文献5について (1)引用文献5に記載された事項 当審拒絶理由に引用した引用文献5には、以下のとおりの記載がある。(下線は、当審が付した。) 【0071】 ここに、S18においては、文字入力エリアDの範囲((X、Y)=(1、1)~(56、56)の範囲)内で通常の文字認識が行われる。この後S19に移行する。また、S17においては、文字入力エリアDの範囲を右方向及び下方向に拡大する処理を行って拡大された範囲((X、Y)=(1、1)~(64、64)の範囲)内で文字認識が行われる。この後、S19に移行する。 【0072】 このとき、各ストロークの終点が文字入力エリアDを右方向又は下方向に連続して越えていると判断され(S15:YES)、且つ、各ストロークの始点が文字入力エリアD内に存在する判断された場合(S16:NO)には、S17において文字入力エリアDの範囲を右方向及び下方向に拡大する処理を行って拡大された範囲内に形成されている筆跡自体に基づいて行われるので、文字認識は、1文字の文字入力エリア内に収まるように正常に手書き入力が行われる場合と同一の条件で行われる。これより、手書き入力の筆跡が文字入力エリアDを越えて形成された場合においても、良好な認識率をもって文字認識することができる。例えば、図17に示すように、手書き文字「ふ」の最終ストロークの始点は文字入力エリアD内に存在し、且つ、終点は文字入力エリアDから右方向にはみ出しているが、かかる場合には文字入力エリアDが右方向及び下方向に拡大されてDEとなり、拡大文字入力エリアDE内で手書き文字「ふ」の認識が行われる。 【0073】 ここで、拡大文字入力エリアDEにおいては、その拡大方向が右方向及び下方向に制限されることに加えて、その拡大範囲(量)が所定の範囲((X、Y)=(1、1)~(64、64)の範囲)に制限されている。このように文字入力エリアDの拡大量が無制限に拡大されるのではなく、手書き入力時にその筆跡が一般に文字入力エリアDからはみ出す程度を考慮して、文字入力エリアDの拡大量が制限され、これにより文字入力エリアDの拡大処理を簡単に行うことが可能となる。 第6 当審の判断 1 本願発明1について (1)引用発明1との対比 本願発明1と引用発明1を対比する。 ア 引用発明1の「文書処理システム」が備える「帳票作成装置108」、「帳票処理装置109」、「記憶装置100」は、いずれも、「コンピュータ」であり、これらのコンピュータが協働して、「文書処理方法」の処理を実行するから、引用発明1の「帳票作成装置108と帳票処理装置109と記憶装置100とがネットワークで接続された文書処理システム」により「所定の処理を実行する文書処理方法」は、本願発明1の「コンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法」に相当する。 イ 引用発明1の「テキストボックス等のフォームのレイアウトの要素」及び「要素の位置」は、それぞれ、本願発明1の「入力領域」及び「入力領域のロケーション」に相当し、引用発明1の「文書ID」と、本願発明1の「ページID」は、入力領域を含む「オブジェクトの識別子」である点で共通する。 よって、引用発明1の「紙に付与・印刷される紙IDとフォームが定まっている電子文書に対して割り当てられるIDである文書IDとが関連付けられ、テキストボックス等のフォームのレイアウトの要素の位置や大きさを管理するレイアウト情報が管理されて、記憶装置に記憶される」ことと、本願発明1の「第1の文書のページを特定するページIDに関連付けて、前記ページに含まれる入力領域のロケーションを前記第1の文書のメタデータ・ストリームに格納すること」は、「オブジェクトの識別子に関連付けて、当該オブジェクトに含まれる入力領域のロケーションを格納する」点で共通する。 ウ 引用発明1の「それぞれの紙に一意的に割り当てられる紙ID」と、本願発明1の「ページID」は、入力領域を含む「オブジェクトの識別子」である点で共通する。 また、引用発明1の「2次元コード」は、オブジェクトの識別子がエンコードされて電子文書中に貼り付けられたものが印刷されることによって視覚的に表示されたものであるから、本願発明1の「視覚的に表示された識別子」に相当し、引用発明1の「視覚的に表示された識別子」を含む「印刷」された「電子文書」である「紙文書」は、本願発明1の「第2の文書」に相当する。 よって、引用発明1の「それぞれの紙に一意的に割り当てられる紙IDを、2次元コードにエンコードして、2次元コードを電子文書中の所定の位置に貼り付け、電子文書を印刷する」ことと、本願発明1の「前記ページIDを変換することにより、視覚的に表示された識別子を生成すること、前記識別子を有する第2の文書を前記第1の文書から再製すること」は、「オブジェクトの識別子を変換することにより、視覚的に表示された識別子を生成すること、識別子を有する第2の文書を再製すること」で共通する。 エ 引用発明1の「筆記座標」は、専用入力ペンのペン先の紙文書への接触位置であるから、本願発明1の「ポイント・データ」に相当する。 そして、引用発明1の「帳票処理装置109が、筆記情報入力装置において、専用入力ペンにより筆記座標を読み取」ることは、帳票処理装置109において、筆記情報入力装置から筆記座標を取得することであるから、本願発明1の「手書き装置からポイント・データを順次取得すること」と、「手書き装置からポイント・データを取得すること」で共通する。 また、引用発明1の「帳票処理装置109は、筆記情報入力装置において」、「2次元コードリーダにより筆記情報入力装置に設置された紙文書に印刷された2次元コードを読み取り、読み取った2次元コードをデコードすることで紙IDを読み取」ることは、帳票処理装置109において、筆記情報入力装置から、2次元コードがデコードされることで読み取られた紙IDを取得することであるから、本願発明1の「前記手書き装置上に載置された前記第2の文書から前記視覚的に表示された識別子を読み取ることにより前記ページIDを取得すること」と、「手書き装置上に載置された第2の文書から視覚的に表示された識別子を読み取ることによりオブジェクトの識別子を取得すること」で共通する。 よって、引用発明1の「帳票処理装置109は、筆記情報入力装置において、専用入力ペンにより筆記座標を読み取り、2次元コードリーダにより筆記情報入力装置に設置された紙文書に印刷された2次元コードを読み取り、読み取った2次元コードをデコードすることで紙IDを読み取」ることと、本願発明1の「手書き装置からポイント・データを順次取得すること、前記手書き装置上に載置された前記第2の文書から前記視覚的に表示された識別子を読み取ることにより前記ページIDを取得すること」は、「手書き装置からポイント・データを取得すること、手書き装置上に載置された第2の文書から視覚的に表示された識別子を読み取ることによりオブジェクトの識別子を取得すること」で共通する。 オ 引用発明1の「紙IDから文書IDに変換し、記憶装置に問い合わせて文書IDからフォームのレイアウト情報を得、そのレイアウト情報を元に、画像をフィールドである記入欄毎に分解する」ことは、オブジェクトの識別子に関連付けて格納されている情報であるフォームのレイアウト情報に基づいて、「フィールドである記入欄」、すなわち、第2の文書上の定義された入力領域を識別することであるから、本願発明1の「取得した前記ページIDに関連付けて前記メタデータ・ストリーム内に格納されている前記ロケーションに基づいて、前記第2の文書上に定義された前記入力領域を識別すること」と、「取得したオブジェクトの識別子に関連付けて格納されている情報に基づいて、第2の文書上に定義された前記入力領域を識別すること」で共通するといえる。 カ 引用発明1の「座標入力装置を用いて得られた座標列」は、「レイアウト情報を元に、画像をフィールドである記入欄毎に分解」して、文字認識を行うから、この文字認識等が行われた結果は、「座標入力装置を用いて得られた座標列」が、「フィールドである記入欄」の中にあるか否かの判定をし、記入欄の中にある座標列を文字認識した結果である。 よって、引用発明1の「座標入力装置を用いて得られた座標列について文字認識等が行われた結果を情報テーブルに保存する」ことと、本願発明1の「取得した前記ポイント・データが、識別した前記入力領域内にあるか否かを判定」して、「前記判定した結果に基づいて、前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けるか否かを判定すること」は、「取得した前記ポイント・データを前記入力領域に関連付けるか否かを判定する」点で、共通するといえる。 (2)以上のことから、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点、相違点を有する。 [一致点] コンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、 オブジェクトの識別子に関連付けて、当該オブジェクトに含まれる入力領域のロケーションを格納すること、 オブジェクトの識別子を変換することにより、視覚的に表示された識別子を生成すること、 識別子を有する第2の文書を再製すること、 手書き装置からポイント・データを取得すること、 手書き装置上に載置された第2の文書から視覚的に表示された識別子を読み取ることによりオブジェクトの識別子を取得すること、 取得したオブジェクトの識別子に関連付けて格納されている情報に基づいて、第2の文書上に定義された入力領域を識別すること、 取得したポイントデータを識別された入力領域に関連付けるか否かを判定することを含む 方法。 [相違点1] オブジェクトの識別子が、本願発明1は、「第1の文書のページを特定するページID」であるのに対して、引用発明1は、「電子文書に対して割り当てられるIDである文書ID」、または、「それぞれの紙に一意的に割り当てられる紙ID」である点。 [相違点2] オブジェクトの識別子に関連付けて、当該オブジェクトに含まれる入力領域のロケーションの格納が、本願発明1では、「第1の文書のメタデータ・ストリーム」であるのに対して、引用発明1では、「第1の文書」とは別に「記憶装置100」に格納される点。 [相違点3] 手書き装置からのポイント・データが、本願発明1では、「順次」取得されるのに対して、引用発明1では、そうではない点。 [相違点4] 第2の文書上に定義された入力領域の識別のための情報が、本願発明1では、「取得した前記ページIDに関連付けて前記メタデータ・ストリーム内に格納されている前記ロケーション」であるのに対し、引用発明1では、メタデータ・ストリーム内に格納されているロケーションではない点。 [相違点5] 取得したポイントデータを入力領域に関連付けるか否かを判定することが、本願発明1では、「取得したポイント・データが、識別した入力領域内にあるか否かを判定した結果」に基づいており、「取得したポイント・データが識別した入力領域内にないと判定した場合に、取得したポイント・データが入力領域のブリード・マージン内にあるか否かをさらに判定し、取得したポイント・データが入力領域のブリード・マージン内にないと判定した場合に、取得したポイント・データを含むストロークの最初のポイント・データが入力領域内にあるか否かをさらに判定し、最初のポイント・データが入力領域内にあると判定した場合に、ポイント・データを入力領域に関連付けると判定する一方、最初のポイント・データが入力領域内にないと判定した場合に、ポイント・データを入力領域に関連付けないと判定することを含む」のに対して、引用発明1では、これらの特定がなく、フィールドである記入欄毎に分解された画像の文字認識等の結果を格納する点。 (3)相違点に対する判断 ア 相違点5について 事案に鑑み、上記相違点5について検討する。 引用文献2~5には、本願発明1の「取得したポイント・データが識別した入力領域内にないと判定した場合に、取得したポイント・データが入力領域のブリード・マージン内にあるか否かをさらに判定し、取得したポイント・データが入力領域のブリード・マージン内にないと判定した場合に、取得したポイント・データを含むストロークの最初のポイント・データが入力領域内にあるか否かをさらに判定し、最初のポイント・データが入力領域内にあると判定した場合に、ポイント・データを入力領域に関連付けると判定する一方、最初のポイント・データが入力領域内にないと判定した場合に、ポイント・データを入力領域に関連付けないと判定する」ことは記載されておらず、また、本願の優先日前に周知の技術であったともいえない。 この点、当審拒絶理由において引用した引用文献4(上記第5の4)は、「ブリード・マージン」に対応する構成を開示するものでなく、また、引用文献5(上記第5の5)は、「文字入力エリアD」の「拡大された範囲」内で文字認識が行われる旨を示すにとどまることから、いずれも、(最初のポイント・データが入力領域内に位置するとともに)ブリード・マージンの外に位置しているポイントデータを含むストロークを入力領域に関連付けることを記載した文献とはいえない。 よって、本願発明1の相違点5に係る構成は、引用文献2~5及び周知の技術を考慮しても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 イ 作用効果について 本願発明1は、相違点5に係る構成を備えることにより、「ブリード・マージンの外に位置しているポイント・データについても、そのブリード・マージンの外に位置しているポイント・データを含むストロークの最初のポイント・データが入力領域内に位置していれば入力領域に関連付けることができ、その結果として、ユーザによって手書きされたストロークの中で入力領域に関連づけるべきではないストロークを入力領域に関連付けず、ユーザによって手書きされたストロークの中で入力領域に関連づけるべきストロークを入力領域に関連付けることができる」という作用効果を奏するものである。 ウ むすび そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2~引用文献5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2~12について 本願発明2~12は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の相違点5に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2~引用文献5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 本願発明13について 本願発明13は、本願発明1に対応するシステムの発明であり、本願発明1の相違点5に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2~引用文献5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 令和5年1月20日にされた手続補正により、補正後の請求項1~13は、「取得したポイント・データが識別した入力領域内にないと判定した場合に、取得したポイント・データが入力領域のブリード・マージン内にあるか否かをさらに判定し、取得したポイント・データが入力領域のブリード・マージン内にないと判定した場合に、取得したポイント・データを含むストロークの最初のポイント・データが入力領域内にあるか否かをさらに判定し、最初のポイント・データが入力領域内にあると判定した場合に、ポイント・データを入力領域に関連付けると判定する一方、最初のポイント・データが入力領域内にないと判定した場合に、ポイント・データを入力領域に関連付けないと判定することを含む」という技術的事項を備えるものとなった。 当該技術的事項は、引用文献1には記載されていないから、本願発明1~13は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。 加えて、当該技術的事項は、本願の優先日前における周知技術でもないので、本願発明1~13は、当業者であっても、原査定における引用文献1に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由についての判断 理由1 特許法第29条第2項について 上記第6のとおり、本願発明1~13は、当業者であっても、当審拒絶理由における引用発明1及び引用文献2~引用文献5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 理由2 特許法第36条第6項第2号について 令和5年1月20日に提出された手続補正書による補正により、拒絶理由の対象となった当該補正前の請求項12は削除された。 第9 むすび 以上のとおり、原査定及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-005272

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    同じ当事者: 株式会社ワコム
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    同じ当事者: 株式会社ワコム
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