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特許拒絶査定不服審判

2022-004382

インバータ駆動法

審判番号
2022-004382
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-207413外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月24日
審決日
2022年12月21日
公報発行日
2023年03月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-207413「インバータ駆動法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月13日出願公開、特開2021- 73833〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年11月2日(優先権主張 平成30年(2018年)6月18日(以下、「優先日」という。))の出願であって、令和3年11月24日付けで拒絶理由が通知され、これに対して令和3年12月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、さらに、令和3年12月23日に意見書が提出されたが、令和4年2月17日付けで拒絶査定がなされた(以下、「原査定」という。)。これに対して、令和4年3月24日に審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、令和4年6月14日に前置報告がなされ、令和4年7月12日に上申書が提出されたものである。 第2 令和4年3月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年3月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 直流電源から3相可変速モータのステータコイルへ電源電流を供給するための電流供給期間及び前記ステータコイルにフリーホィーリング電流を供給するためのフリーホィーリング期間からなる各PWMサイクル期間毎に3相インバータをパルス幅変調(PWM)法により制御するとともに前記スーテタコイルの巻数切替を実施しないインバータ駆動方法において、 前記3相インバータは、前記ステータコイルをなすとともに互いに独立する3つの相コイルに相電流を別々に供給する3つのHブリッジからなり、 前記各Hブリッジは、前記PWMサイクル期間にてスイッチングされるPWMレグ及び前記PWMサイクル期間にて定電圧を出力する固定電位レグからなり、 前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代され、 前記3つのHブリッジはそれぞれ、前記相電流がゼロとなる時点よりも所定位相角だけ進んだタイミングにて前記PWMレグ及び前記固定電位レグの前記交代を実行することにより、前記相コイルに印加する相電圧が前記相コイルを流れる前記相電流と逆向きである位相期間(P1、P3)を確保することを特徴とするインバータ駆動方法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和3年12月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 直流電源から3相可変速モータのステータコイルへ電源電流を供給するための電流供給期間及び前記ステータコイルにフリーホィーリング電流を供給するためのフリーホィーリング期間からなる各PWMサイクル期間毎に3相インバータをパルス幅変調(PWM)法により制御するインバータ駆動方法において、 前記3相インバータは、前記ステータコイルをなすとともに互いに独立する3つの相コイルに相電流を別々に供給する3つのHブリッジからなり、 前記各Hブリッジは、前記PWMサイクル期間にてスイッチングされるPWMレグ及び前記PWMサイクル期間にて定電圧を出力する固定電位レグからなり、 前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代され、 前記3つのHブリッジはそれぞれ、前記相電流がゼロとなる時点よりも所定位相角だけ進んだタイミングにて前記PWMレグ及び前記固定電位レグの前記交代を実行することにより、前記相コイルに印加する相電圧が前記相コイルを流れる前記相電流と逆向きである位相期間(P1、P3)を確保することを特徴とするインバータ駆動方法。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明の「インバータ駆動方法」について、「前記スーテタコイルの巻数切替を実施しない」と限定を付加したものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。したがって、請求項1についての本件補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か(特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否か)を検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献、引用発明 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載事項 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原査定の理由において引用された、特開2017-175747号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下、同じ。) A 「【発明を実施するための形態】 【0010】 以下、本発明による電力変換装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。 (第1実施形態) 本発明の第1実施形態による電力変換装置を図1~図7に示す。 図1に示すように、回転電機駆動システム1は、回転電機としてのモータジェネレータ10、および、電力変換装置15を備える。 【0011】 モータジェネレータ10は、例えば電気自動車やハイブリッド車両等の電動自動車に適用され、図示しない駆動輪を駆動するためのトルクを発生する、所謂「主機モータ」である。モータジェネレータ10は、駆動輪を駆動するための電動機としての機能、および、図示しないエンジンや駆動輪から伝わる運動エネルギによって駆動されて発電する発電機としての機能を有する。本実施形態では、モータジェネレータ10が電動機として機能する場合を中心に説明する。 【0012】 モータジェネレータ10は、3相交流の回転機であって、U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13を有する。以下適宜、U相コイル11、V相コイル12およびW相コイル13を「コイル11~13」という。また、U相コイル11に流れる電流をU相電流Iu、V相コイル12に流れる電流をV相電流Iv、W相コイル13に流れる電流をW相電流Iwとする。コイル11~13に流れる電流について、第1インバータ20側から第2インバータ30側に流れる電流を正、第2インバータ30側から第1インバータ20側に流れる電流を負とする。 【0013】 電力変換装置15は、モータジェネレータ10の電力を変換するものであって、第1インバータ20、第2インバータ30、高電位側接続線51、低電位側接続線55、および、制御部65等を備える。 第1インバータ20は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子21~26を有する。第2インバータ30は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子31~36を有する。 スイッチング素子21は、トランジスタ211およびダイオード221を有する。スイッチング素子22~26、31~36も同様に、それぞれ、トランジスタ212~216、311~316、および、ダイオード222~226、321~326を有する。 【0014】 トランジスタ211~216、311~316は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であって、制御部65によってオンオフ作動が制御される。トランジスタ211~216、311~316は、オンされたときに高電位側から低電位側への通電が許容され、オフされたときに通電が遮断される。トランジスタ211~216、311~316は、IGBTに限らず、MOSFET等であってもよい。 【0015】 ダイオード221~226、321~326は、トランジスタ211~216、311~316のそれぞれと並列に接続され、低電位側から高電位側への通電を許容する還流ダイオードである。例えば、ダイオード221~226、321~326は、例えば、MOSFETの寄生ダイオード等のように、トランジスタ211~216、311~316に内蔵されていてもよいし、外付けされたものであってもよい。 【0016】 第1インバータ20において、高電位側にスイッチング素子21~23が接続され、低電位側にスイッチング素子24~26が接続される。また、スイッチング素子21~23の高電位側はバッテリ40の正極と接続され、スイッチング素子24~26の低電位側はバッテリ40の負極と接続される。 【0017】 U相のスイッチング素子21、24の接続点にはU相コイル11の一端111が接続され、V相のスイッチング素子22、25の接続点にはV相コイル12の一端121が接続され、W相のスイッチング素子23、26の接続点にはW相コイル13の一端131が接続される。すなわち、第1インバータ20は、コイル11、12、13の一端111、121、131とバッテリ40との間に接続される。 【0018】 第2インバータ30において、高電位側にスイッチング素子31~33が接続され、低電位側にスイッチング素子34~36が接続される。 U相のスイッチング素子31、34の接続点にはU相コイル11の他端112が接続され、V相のスイッチング素子32、35の接続点にはV相コイル12の他端122が接続され、W相のスイッチング素子33、36の接続点にはW相コイル13の他端132が接続される。 【0019】 以下適宜、第1インバータ20において、高電位側に接続されるスイッチング素子21~23を「第1上アーム素子」、低電位側に接続されるスイッチング素子24~26を「第1下アーム素子」とする。また、第2インバータ30において、高電位側に接続されるスイッチング素子31~33を「第2上アーム素子」、低電位側に接続されるスイッチング素子34~36を「第2下アーム素子」とする。 【0020】 バッテリ40は、第1インバータ20と接続される。本実施形態では、第2インバータ30側にはバッテリ等の電圧源が設けられていない。 コンデンサ43は、第1インバータ20とバッテリ40との間に接続される平滑コンデンサである。 電流検出部45は、相電流Iu、Iv、Iwを検出する。本実施形態では、電流検出部45として、ホール素子等の電流検出素子が各相に設けられる。 【0021】 高電位側接続線51は、バッテリ40の正極側と、第1上アーム素子21~23の高電位側と、第2上アーム素子31~33の高電位側とを接続する。換言すると、高電位側接続線51は、モータジェネレータ10を経由せずに、インバータ20、30の高電位側を接続する接続配線である。 低電位側接続線55は、バッテリ40の負極側と、第1下アーム素子24~26の低電位側と、第2下アーム素子34~36の低電位側とを接続する。換言すると、低電位側接続線55は、モータジェネレータ10を経由せずに、インバータ20、30の低電位側を接続する接続配線である。 【0022】 高電位側接続線51には、第1インバータ20側と第2インバータ30側との導通および遮断を切替可能な開閉器52が設けられる。開閉器52は、第1インバータ20側と第2インバータ30側との導通および遮断を切替可能であれば、機械式のものであってもよいし、半導体スイッチ等であってもよい。 【0023】 制御信号生成部60は、第1ドライバ回路61、第2ドライバ回路62、および、制御部65を有する。 制御部65は、マイコンを主体として構成され、各種演算処理を行う。制御部65における各処理は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。 制御部65は、第1インバータ20および第2インバータ30を制御する。具体的には、トルク指令値trq*や電流指令値Iu*、Iv*、Iw*等のモータジェネレータ10の駆動に係る指令値に基づき、スイッチング素子21~26、31~36のトランジスタ211~216、311~316のオンオフ作動を制御する制御信号を生成し、ドライバ回路61、62に出力する。 【0024】 第1ドライバ回路61は、制御部65からの制御信号に応じ、トランジスタ211~216のオンオフ作動を制御するゲート信号を生成して出力する。第2ドライバ回路62は、制御部65からの制御信号に応じ、トランジスタ311~316のオンオフ作動を制御するゲート信号を生成して出力する。トランジスタ211~216、311~316が制御信号に応じてオンオフされることで、バッテリ40の直流電力が交流電力に変換され、モータジェネレータ10へ供給される。これにより、モータジェネレータ10の駆動は、第1インバータ20および第2インバータ30を介して、制御部65に制御される。 【0025】 以下適宜、スイッチング素子21~26、31~36のトランジスタ211~216、311~316のオンオフ作動を制御することを、単にスイッチング素子21~26、31~36のオンオフ作動を制御する、という。本実施形態では、スイッチング素子21~26、31~36は、ドライバ回路61、62により、それぞれ独立してオンオフを制御可能である。 B 「【0026】 モータジェネレータ10の駆動制御を説明する。本実施形態では、モータジェネレータ10の回転数およびトルクを「駆動要求」とする。図2に示すように、モータジェネレータ10の回転数およびトルクに応じ、駆動領域を第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3の3領域に分ける。第1領域R1は、トルクが切替閾値trq_th以下であって、低回転数側の領域である。第2領域R2は、トルクが切替閾値trq_th以下であって、高回転数側の領域である。領域R1、R2の境界値Bthは、後述するY結線制御にて出力可能な上限値とする。境界値Bthは、いずれも後述するY結線制御の効率と3相平衡ブリッジ駆動の効率とに基づき、Y結線制御にて出力可能な上限値より低出力側の値としてもよい。 第3領域R3は、トルクが切替閾値trq_thより大きい領域とする。切替閾値trq_thは、コイル11~13の電流を3相平衡電流としたときに出力可能な上限値である。ここで、3相平衡電流は、相電流Iu、Iv、Iwの3相和の絶対値が0とみなせる程度の所定値以下であるものとする。 【0027】 モータジェネレータ10のトルクおよび回転数が第1領域R1のとき、制御部65は、コイル11~13がY結線状態となるようにスイッチング素子21~26、31~36および開閉器52を制御する。コイル11~13がY結線状態となるような制御を、「Y結線制御」とする。具体的には、図3(a)に示すように、開閉器52を開とし、第2上アーム素子31~33の全相をオン、第2下アーム素子34~36の全相をオフし、第2インバータ30を中性点化する。第1インバータ20において、スイッチング素子21~26は、例えばPWM制御等により、モータジェネレータ10の駆動要求に応じて制御される。例えば、第2インバータ30が中性点化され、第1インバータ20のスイッチング素子21、25、26がオンされているとき、矢印A1で示す経路を電流が流れる。 【0028】 モータジェネレータ10のトルクおよび回転数が第2領域R2または第3領域R3のとき、開閉器52を閉とする。図4に示すように、開閉器52を閉とすることで、それぞれの相を独立したHブリッジ回路とみなすことができる。それぞれの相を独立したHブリッジ回路とみなし、相毎に印加電圧を制御することを「ブリッジ制御」とする。例えば、ブリッジ制御により、スイッチング素子21、25、26、32、33、34がオンされているとき、図3(b)に矢印A2で示す経路の電流が流れる。 【0029】 ブリッジ制御の詳細を図5に基づいて説明する。以下、U相を中心に説明するが、V相およびW相については、位相がずれている点を除き、略同様である。図5(a)に矢印A11に示すように、コイル11に正方向の電流を流す場合、第1上アーム素子21および第2下アーム素子34をオン、第1下アーム素子24および第2上アーム素子31をオフにする。 【0030】 図5(b)に矢印A12に示すように、コイル12に負方向の電流を流す場合、第1下アーム素子24および第2上アーム素子31をオン、第1上アーム素子21および第2下アーム素子34をオフにする。 なお、スイッチング素子21、24、31、34のオンオフ状態が、図5(a)、(b)に示すパターン以外の場合、通電方向に応じた還流電流が流れる。 【0031】 本実施形態では、スイッチング素子21~26、31~36を独立してオンオフ切り替え可能であるので、3相を独立したHブリッジ回路として制御することで、電流制御の自由度が高まる。 以下、コイル11~13に3相平衡の電流が流れるようにブリッジ制御することを「平衡ブリッジ制御」、3相不平衡の電流が流れるようにブリッジ制御することを「不平衡ブリッジ制御」とする。 【0032】 モータジェネレータ10のトルクおよび回転数が第2領域R2のとき、開閉器52を閉とし、コイル11~13に3相平衡の電流が流れるように、平衡ブリッジ制御とする。ここで、Y結線制御および平衡ブリッジ制御では、コイル11~13に平衡電流が通電されるように制御するので、「平衡制御」である、といえる。平衡制御を行う領域R1、R2を「平衡領域」とする。 【0033】 図6は、平衡ブリッジ制御を行う場合の例である。図6では、(a)が相電流Iu、Iv、Iw、(b)がトルク、(c)がU相電圧Vuである。U相電圧Vuは、コイル11の第2インバータ30側を基準としたときの、第1インバータ20側の電位とする。また、図6(d)は第1上アーム素子21、(e)は第1下アーム素子24、(f)は第2上アーム素子31、(g)は第2下アーム素子34のスイッチングパターンである。図6中では、スイッチング素子21を「U1上」、スイッチング素子24を「U1下」、スイッチング素子31を「U2上」、スイッチング素子34を「U2下」と記載する。図7も同様とする。 【0034】 正のU相電圧Vuを印加するとき、駆動要求に応じたPWM制御により、第1インバータ20のスイッチング素子21、24を相補的にオンオフする。また、第2上アーム素子31をオフ、第2下アーム素子34をオンにする。これにより、U相コイル11には、正の電流が流れる。 負のU相電圧Vuを印加するとき、第1上アーム素子21をオフ、第1下アーム素子24をオンにする。また、駆動要求に応じたPWM制御により、第2インバータ30のスイッチング素子31、34を相補的にオンオフする。これにより、U相コイル11には、負の電流が流れる。 V相およびW相は、120°ずつ位相がずれた同様のスイッチングパターンとする。 これにより、図6(a)に示すように、コイル11~13には、3相平衡の電流が流れる。 【0035】 本実施形態では、開閉器52の開閉の切り替えと、スイッチング素子21~26、31~36のオンオフ制御を変更することで、Y結線制御と平衡ブリッジ制御とを切り替え可能である。Y結線制御に変えて、平衡ブリッジ制御とすることで、より高回転数側の領域を出力可能である。図6(b)および図7(b)に示すように、3相平衡電流をコイル11~13に流すことで、3相不平衡電流を流す場合と比較し、トルク変動を抑制可能である。 【0036】 モータジェネレータ10のトルクおよび回転数が第3領域R3のとき、開閉器52を閉とし、不平衡ブリッジ制御とする。本実施形態では、不平衡ブリッジ制御が「不平衡制御」に対応し、不平衡ブリッジ制御を行う第3領域R3を「不平衡領域」とする。 コイル11~13に流れる電流を3相平衡の正弦波電流に替えて不平衡電流とすることで、出力可能なトルクを高めることができるので、平衡電流では出力できない第3領域R3のトルクを出力可能である。」 C 「【0051】 (第4実施形態) 本発明の第4実施形態を図10に示す。 図10に示すように、本実施形態の回転電機駆動システム4は、モータジェネレータ10、および、電力変換装置18を備える。 電力変換装置18では、第1実施形態の開閉器52が省略されている。すなわち、電力変換装置18では、高電位側接続線51および低電位側接続線55のいずれにも開閉器が設けられておらず、第1インバータ20側と第2インバータ30側とを切り離すことができない。そのため、本実施形態では、Y結線制御での駆動ができないので、図2の領域R1は、Y結線制御に替えて、平衡ブリッジ制御とする。 その他の構造や制御の詳細は、第1実施形態と同様である。 本実施形態では、高電位側接続線51および低電位側接続線55の開閉器を省略しているので、部品点数を低減することができる。また、Y結線制御ができない点を除き、上記実施形態と同様の効果を奏する。」 D 「【図1】 [図:0001394902000001.jpg] 」 E 「【図2】 [図:0001394902000002.jpg] 」 F 「【図6】 [図:0001394902000003.jpg] 」 G 「【図10】 [図:0001394902000004.jpg] 」 (イ)引用発明 H 上記(ア)Aの段落【0013】には、“モータジェネレータ10の電力を変換するものであって、第1インバータ20、第2インバータ30、高電位側接続線51、低電位側接続線55、および、制御部65を備える電力変換装置15”が記載され、また、上記(ア)Bには、第1インバータ20、第2インバータ30によるモータジェネレータ10の駆動制御の説明が記載されており、“第1インバータ20、第2インバータ30によるモータジェネレータ10の駆動制御方法”が記載されているといえる。 してみると、引用文献1には、“モータジェネレータ10の電力を変換するものであって、第1インバータ20、第2インバータ30、高電位側接続線51、低電位側接続線55、および、制御部65を備える電力変換装置15における、第1インバータ20、第2インバータ30によるモータジェネレータ10の駆動制御方法”が記載されているといえる。 I 上記(ア)Aの段落【0011】には、「モータジェネレータ10は、例えば電気自動車やハイブリッド車両等の電動自動車に適用され、図示しない駆動輪を駆動するためのトルクを発生する、所謂「主機モータ」である」ことが、さらに、段落【0012】には、「モータジェネレータ10は、3相交流の回転機であって、U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13を有する」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には、“モータジェネレータ10は、ハイブリッド車両等の電動自動車に適用され、駆動輪を駆動するためのトルクを発生する、所謂「主機モータ」であり、3相交流の回転機であって、U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13を有”することが記載されている。 J 上記(ア)Aの段落【0013】には、「第1インバータ20は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子21~26を有する」ことが、また、段落【0016】には、「第1インバータ20において、高電位側にスイッチング素子21~23が接続され、低電位側にスイッチング素子24~26が接続される」ことが、さらに、段落【0017】には、「U相のスイッチング素子21、24の接続点にはU相コイル11の一端111が接続され、V相のスイッチング素子22、25の接続点にはV相コイル12の一端121が接続され、W相のスイッチング素子23、26の接続点にはW相コイル13の一端131が接続される」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には、“第1インバータ20は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子21~26を有し、そして、高電位側にスイッチング素子21~23が接続され、低電位側にスイッチング素子24~26が接続され、さらに、U相のスイッチング素子21、24の接続点にはU相コイル11の一端111が接続され、V相のスイッチング素子22、25の接続点にはV相コイル12の一端121が接続され、W相のスイッチング素子23、26の接続点にはW相コイル13の一端131が接続されるものであ”ることが記載されている。 K 上記(ア)Aの段落【0013】には、「第2インバータ30は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子31~36を有する」ことが、さらに、段落【0018】には、「第2インバータ30において、高電位側にスイッチング素子31~33が接続され、低電位側にスイッチング素子34~36が接続される。U相のスイッチング素子31、34の接続点にはU相コイル11の他端112が接続され、V相のスイッチング素子32、35の接続点にはV相コイル12の他端122が接続され、W相のスイッチング素子33、36の接続点にはW相コイル13の他端132が接続される」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には、“第2インバータ30は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子31~36を有し、そして、高電位側にスイッチング素子31~33が接続され、低電位側にスイッチング素子34~36が接続され、また、U相のスイッチング素子31、34の接続点にはU相コイル11の他端112が接続され、V相のスイッチング素子32、35の接続点にはV相コイル12の他端122が接続され、W相のスイッチング素子33、36の接続点にはW相コイル13の他端132が接続されるものであ”ることが記載されている。 L 上記(ア)Aの段落【0021】には、「高電位側接続線51は、バッテリ40の正極側と、第1上アーム素子21~23の高電位側と、第2上アーム素子31~33の高電位側とを接続する」こと、また、「低電位側接続線55は、バッテリ40の負極側と、第1下アーム素子24~26の低電位側と、第2下アーム素子34~36の低電位側とを接続する」ことが記載され、また、段落【0019】には、「第1インバータ20において、高電位側に接続されるスイッチング素子21~23を「第1上アーム素子」、低電位側に接続されるスイッチング素子24~26を「第1下アーム素子」とする。また、第2インバータ30において、高電位側に接続されるスイッチング素子31~33を「第2上アーム素子」、低電位側に接続されるスイッチング素子34~36を「第2下アーム素子」とする」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には、“第1上アーム素子であるスイッチング素子21~23の高電位側と、第2上アーム素子であるスイッチング素子31~33の高電位側とを接続するものであって、低電位側接続線55は、バッテリ40の負極側と、第1下アーム素子であるスイッチング素子24~26の低電位側と、第2下アーム素子であるスイッチング素子34~36の低電位側とを接続するものであ”ることが記載されている。 M 上記(ア)Aの段落【0022】には、「高電位側接続線51には、第1インバータ20側と第2インバータ30側との導通および遮断を切替可能な開閉器52が設けられる」ことが記載されている。 N 上記(ア)Aの段落【0023】には、「制御部65は、第1インバータ20および第2インバータ30を制御する。具体的には、トルク指令値trq*や電流指令値Iu*、Iv*、Iw*等のモータジェネレータ10の駆動に係る指令値に基づき、スイッチング素子21~26、31~36のトランジスタ211~216、311~316のオンオフ作動を制御する制御信号を生成し、ドライバ回路61、62に出力する」ことが記載されている。 O 上記(ア)Bの段落【0026】には、「第1領域R1は、トルクが切替閾値trq_th以下であって、低回転数側の領域である」こと、さらに、段落【0027】には、“モータジェネレータ10のトルクおよび回転数が第1領域R1のとき、制御部65は、コイル11~13がY結線状態となるように、開閉器52を開とし、第2上アーム素子のスイッチング素子31~33の全相をオン、第2下アーム素子のスイッチング素子34~36の全相をオフし、第2インバータ30を中性点化し、さらに、第1インバータ20において、スイッチング素子21~26を、PWM制御等により、モータジェネレータ10の駆動要求に応じて制御”することが記載されている。 してみると、引用文献1には、“モータジェネレータ10のトルクが切替閾値trq_th以下であって、低回転数側の領域である第1領域R1のとき、制御部65は、コイル11~13がY結線状態となるように、開閉器52を開とし、第2上アーム素子のスイッチング素子31~33の全相をオン、第2下アーム素子のスイッチング素子34~36の全相をオフし、第2インバータ30を中性点化し、さらに、第1インバータ20において、スイッチング素子21~26を、PWM制御等により、モータジェネレータ10の駆動要求に応じて制御”することが記載されている。 P 上記(ア)Bの段落【0026】には、「第2領域R2は、トルクが切替閾値trq_th以下であって、高回転数側の領域である」こと、また、段落【0028】には、“モータジェネレータ10のトルクおよび回転数が第2領域R2のとき、開閉器52を閉として、それぞれの相を独立したHブリッジ回路とみなし、相毎に印加電圧を制御する「ブリッジ制御」とする”こと、さらに、段落【0032】には、「モータジェネレータ10のトルクおよび回転数が第2領域R2のとき、開閉器52を閉とし、コイル11~13に3相平衡の電流が流れるように、平衡ブリッジ制御とする」こと、そして、段落【0031】には、「コイル11~13に3相平衡の電流が流れるようにブリッジ制御することを「平衡ブリッジ制御」」とすることが記載されている。 してみると、引用文献1には、“モータジェネレータ10のトルクが切替閾値trq_th以下であって、高回転数側の領域である第2領域R2のとき、開閉器52を閉として、それぞれの相を独立したHブリッジ回路とみなし、相毎に印加電圧を制御する「ブリッジ制御」であって、さらに、コイル11~13に3相平衡の電流が流れるようにブリッジ制御する「平衡ブリッジ制御」と”することが記載されている。 Q 上記(ア)Bの段落【0033】、【0034】、図6(上記(ア)F)には、“平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuを印加するときは、駆動要求に応じたPWM制御により、第1インバータ20のスイッチング素子21、24を相補的にオンオフし、また、第2上アーム素子であるスイッチング素子31をオフ、第2下アーム素子であるスイッチング素子34をオンにし、これにより、U相コイル11には、正の電流を流”すことが記載されている。 R 上記(ア)Bの段落【0033】、【0034】、図6(上記(ア)F)には、“平衡ブリッジ制御の負のU相電圧Vuを印加するときは、第1上アーム素子であるスイッチング素子21をオフ、第1下アーム素子であるスイッチング素子24をオンにし、また、駆動要求に応じたPWM制御により、第2インバータ30のスイッチング素子31、34を相補的にオンオフし、これにより、U相コイル11には、負の電流を流”すことが記載されている。 S 図6(上記(ア)F)から、“平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuと負のU相電圧Vuの切り替えを電気角180毎に行”うことが看取できる。 T 上記(ア)Bの段落【0034】には、「V相およびW相は、120°ずつ位相がずれた同様のスイッチングパターンとする」ことが記載されている。 U 以上、上記HないしTにおいて検討した事項から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「モータジェネレータ10の電力を変換するものであって、第1インバータ20、第2インバータ30、高電位側接続線51、低電位側接続線55、および、制御部65を備える電力変換装置15における、第1インバータ20、第2インバータ30によるモータジェネレータ10の駆動制御方法において、 モータジェネレータ10は、ハイブリッド車両等の電動自動車に適用され、駆動輪を駆動するためのトルクを発生する、所謂「主機モータ」であり、3相交流の回転機であって、U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13を有し、 第1インバータ20は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子21~26を有し、そして、高電位側にスイッチング素子21~23が接続され、低電位側にスイッチング素子24~26が接続され、さらに、U相のスイッチング素子21、24の接続点にはU相コイル11の一端111が接続され、V相のスイッチング素子22、25の接続点にはV相コイル12の一端121が接続され、W相のスイッチング素子23、26の接続点にはW相コイル13の一端131が接続されるものであって、 第2インバータ30は、コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであり、スイッチング素子31~36を有し、そして、高電位側にスイッチング素子31~33が接続され、低電位側にスイッチング素子34~36が接続され、また、U相のスイッチング素子31、34の接続点にはU相コイル11の他端112が接続され、V相のスイッチング素子32、35の接続点にはV相コイル12の他端122が接続され、W相のスイッチング素子33、36の接続点にはW相コイル13の他端132が接続されるものであって、 高電位側接続線51は、バッテリ40の正極側と、第1上アーム素子であるスイッチング素子21~23の高電位側と、第2上アーム素子であるスイッチング素子31~33の高電位側とを接続するものであって、 低電位側接続線55は、バッテリ40の負極側と、第1下アーム素子であるスイッチング素子24~26の低電位側と、第2下アーム素子であるスイッチング素子34~36の低電位側とを接続するものであって、 高電位側接続線51には、第1インバータ20側と第2インバータ30側との導通および遮断を切替可能な開閉器52が設けられ、 制御部65は、第1インバータ20および第2インバータ30を制御するものであって、トルク指令値trq*や電流指令値Iu*、Iv*、Iw*等のモータジェネレータ10の駆動に係る指令値に基づき、スイッチング素子21~26、31~36のオンオフ作動を制御する制御信号を生成し、ドライバ回路61、62に出力するものであって、 モータジェネレータ10のトルクが切替閾値trq_th以下であって、低回転数側の領域である第1領域R1のとき、制御部65は、コイル11~13がY結線状態となるように、開閉器52を開とし、第2上アーム素子のスイッチング素子31~33の全相をオン、第2下アーム素子のスイッチング素子34~36の全相をオフし、第2インバータ30を中性点化し、さらに、第1インバータ20において、スイッチング素子21~26を、PWM制御等により、モータジェネレータ10の駆動要求に応じて制御し、 モータジェネレータ10のトルクが切替閾値trq_th以下であって、高回転数側の領域である第2領域R2のとき、開閉器52を閉として、それぞれの相を独立したHブリッジ回路とみなし、相毎に印加電圧を制御する「ブリッジ制御」であって、さらに、コイル11~13に3相平衡の電流が流れるようにブリッジ制御する「平衡ブリッジ制御」とし、 平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuを印加するときは、駆動要求に応じたPWM制御により、第1インバータ20のスイッチング素子21、24を相補的にオンオフし、また、第2上アーム素子であるスイッチング素子31をオフ、第2下アーム素子であるスイッチング素子34をオンにし、これにより、U相コイル11には、正の電流を流し、 平衡ブリッジ制御の負のU相電圧Vuを印加するときは、第1上アーム素子であるスイッチング素子21をオフ、第1下アーム素子であるスイッチング素子24をオンにし、また、駆動要求に応じたPWM制御により、第2インバータ30のスイッチング素子31、34を相補的にオンオフし、これにより、U相コイル11には、負の電流を流し、 平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuと負のU相電圧Vuの切り替えを電気角180毎に行い、 V相およびW相は、120°ずつ位相がずれた同様のスイッチングパターンとする、 駆動制御方法。」 イ 引用文献2 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、前置報告において周知技術を示す文献として引用された、特開2004-135437号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 A 「【0010】 図2にインバータ主回路の詳細を示す。スイッチング素子40と41、42と43、44と45、46と47、48と49、50と51は直流電源8に直列接続され、それぞれのスイッチング素子に逆並列にダイオード52~63が接続されている。直列接続されたスイッチング素子と逆並列に接続されたダイオードで、上下のアームを形成し、上下のアーム2組でHブリッジ111~113を構成している。Hブリッジ111~113の出力端子を、三相独立に巻かれたモータ巻線に接続する。ゲート駆動器5より出力されたゲート駆動信号によりスイッチング素子40~51をオンオフする。」 B 「【図2】 [図:0001394902000005.jpg] 」 ウ 引用文献3 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、前置報告において周知技術を示す文献として引用された、特開2017-77061号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 A 「【0025】 図1に示す交流電動機駆動装置10は、インバータ11-1,11-2(第1のインバータ、第2のインバータ)と、電流検出器12と、制御器13とを備える。 【0026】 インバータ11-1,11-2は、直流電源2に並列に接続されており、例えば、三相電圧型PWMインバータである。直流電源2としては、バッテリのような2次電源や、交流電源をブリッジダイオードなどで整流したものを用いることができる。 【0027】 インバータ11-1は、出力端子がオープン巻線交流電動機1の巻線の一端に接続され、直流電源2からの直流電圧を交流電圧(U相電圧U1、V相電圧V1、W相電圧W1)に変換して、オープン巻線交流電動機1に印加する。 ・・・中略・・・ 【0029】 インバータ11-2は、出力端子がオープン巻線交流電動機1の巻線の他端に接続され、直流電源2からの直流電圧を交流電圧(U相電圧U2、V相電圧V2、W相電圧W2)に変換して、オープン巻線交流電動機1に印加する。」 B 「【図1】 [図:0001394902000006.jpg] 」 エ 引用文献4 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、前置報告において周知技術を示す文献として引用された、国際公開第2017/126261号(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 A 「[0007] 先行技術を示す図1に示した電動機駆動装置の配線図に基づき、オープン巻線型モータの駆動装置について説明する。図1は、電動機駆動装置における電流センサの診断原理の説明に供するものである。 [0008] 電動機駆動装置は、3相インバータ300からモータ200に流れたAC電流がもう一つの3相インバータ301に入ると共に、P母線とN母線を接続する渡り線340,360,350,370を介して母線電流のやり取りを行う。従って、3つのAC電流の検出値Iu、Iv、Iwのみでは、電流センサの良否を判断できない。回路に出入りする電流の総和をとらえるために、3つのAC電流の他に、P母線とN母線に出入りする電流の検出も必要となる。」 B 「図1 [図:0001394902000007.jpg] 」 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア a 引用発明の「モータジェネレータ10」は、「ハイブリッド車両等の電動自動車に適用され、駆動輪を駆動するためのトルクを発生する、所謂「主機モータ」であり、3相交流の回転機であって、U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13を有」するものであるから、本件補正発明の「3相可変速モータ」に相当する。 また、引用発明の「第1インバータ20」及び「第2インバータ30」は、いずれも「コイル11~13の通電を切り替える3相インバータであ」るから、本件補正発明の「3相インバータ」に相当する。 b さらに、引用発明の「バッテリ40」は、本件補正発明の「直流電源」に相当する。 そして、引用発明は、「高電位側接続線51は、バッテリ40の正極側と、第1上アーム素子であるスイッチング素子21~23の高電位側と、第2上アーム素子であるスイッチング素子31~33の高電位側とを接続するものであって、低電位側接続線55は、バッテリ40の負極側と、第1下アーム素子であるスイッチング素子24~26の低電位側と、第2下アーム素子であるスイッチング34~36の低電位側とを接続するものであって、高電位側接続線51には、第1インバータ20側と第2インバータ30側との導通および遮断を切替可能な開閉器52が設けられ」、「第1インバータ20」の、「U相のスイッチング素子21、24の接続点にはU相コイル11の一端111が接続され、V相のスイッチング素子22、25の接続点にはV相コイル12の一端121が接続され、W相のスイッチング素子23、26の接続点にはW相コイル13の一端131が接続され」、「第2インバータ30」の、「U相のスイッチング素子31、34の接続点にはU相コイル11の他端112が接続され、V相のスイッチング素子32、35の接続点にはV相コイル12の他端122が接続され、W相のスイッチング素子33、36の接続点にはW相コイル13の他端132が接続されるものであって」、さらに、「開閉器52を閉」とした際には、「それぞれの相を独立したHブリッジ回路とみな」すものである。 ここで、一般に、「Hブリッジ回路」とは、2組の直列接続された2つの素子と、一方の直列接続された2つの素子の接続点と他方の直列接続された2つの素子の接続点の間を接続する素子からなる回路であって、また、この「Hブリッジ回路」における直列接続された2つの素子の部分はレグと呼ばれるものである。 してみると、引用発明は「開閉器52を閉」とした際の「U相」に関しては、スイッチング素子21、24からなるレグと、スイッチング素子31、34からなるレグと、スイッチング素子21、24との接続点と、スイッチング素子31、34との接続点と間に接続された「U相コイル11」とで、「Hブリッジ回路」をなしているといえ、また、「V相」に関しては、スイッチング素子22、25からなるレグと、スイッチング素子32、35からなるレグと、スイッチング素子22、25との接続点と、スイッチング素子32、35との接続点と間に接続された「V相コイル12」とで、「Hブリッジ回路」をなしているといえ、さらに、「W相」に関しては、スイッチング素子23、26からなるレグと、スイッチング素子33、36からなるレグと、スイッチング素子23、26との接続点と、スイッチング素子33、36との接続点と間に接続された「W相コイル13」とで、「Hブリッジ回路」をなしているといえる。 c さらに、引用発明の「駆動制御方法」は「U相」に関して、「平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuを印加するときは、駆動要求に応じたPWM制御により、第1インバータ20のスイッチング素子21、24を相補的にオンオフし、また、第2上アーム素子31をオフ、第2下アーム素子34をオンにし、これにより、U相コイル11には、正の電流を流し、平衡ブリッジ制御の負のU相電圧Vuを印加するときは、第1上アーム素子21をオフ、第1下アーム素子24をオンにし、また、駆動要求に応じたPWM制御により、第2インバータ30のスイッチング素子31、34を相補的にオンオフし、これにより、U相コイル11には、負の電流を流」すものである。 また、一般に、PWM制御における各PWM期間が、スイッチング素子がオンである期間とオフである期間により構成されることは技術常識である。 そうすると、引用発明は「平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuを印加するとき」の、PWM制御される「スイッチング素子21」がオンである期間では、相補的にPWM制御される「スイッチング素子24」はオフとなり、また、「スイッチング素子31」はオフ、「スイッチング素子34」はオンであるから、「U相コイル11」には、「スイッチング素子21」及び「スイッチング素子34」を介して、「バッテリ40」から電流が供給されるものであって、電流供給期間といえ、また、「スイッチング素子21」がオフの期間では、相補的にPWM制御される「スイッチング素子24」はオンとなり、また、「スイッチング素子31」はオフ、「スイッチング素子34」はオンであるから、「U相コイル11」には、「スイッチング素子24」及び「スイッチング素子34」を介して、フリーホイール電流が供給されるものであって、フリーホィーリング期間といえる。 さらに、引用発明は「平衡ブリッジ制御の負のU相電圧Vuを印加するとき」の、PWM制御される「スイッチング素子31」がオンである期間では、相補的にPWM制御される「スイッチング素子34」はオフとなり、また、「スイッチング素子21」はオフ、「スイッチング素子24」はオンであるから、「U相コイル11」には、「スイッチング素子31」及び「スイッチング素子24」を介して、「バッテリ40」から電流が供給されるものであって、電流供給期間といえ、また、「スイッチング素子31」がオフの期間では、相補的にPWM制御される「スイッチング素子34」はオンとなり、また、「スイッチング素子21」はオフ、「スイッチング素子24」はオンであるから、「U相コイル11」には、「スイッチング素子34」及び「スイッチング素子24」を介して、フリーホイール電流が供給されるものであって、フリーホィーリング期間といえる。 また、引用発明は、「V相およびW相は、120°ずつ位相がずれた同様のスイッチングパターンとする」ものである。 したがって、引用発明の「駆動制御方法」は、バッテリ40からモータジェネレータ10のU相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13へ電源電流を供給するための電流供給期間及び前記U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13にフリーホィーリング電流を供給するためのフリーホィーリング期間からなる各PWMサイクル期間毎に第1インバータ20及び第2インバータ30をパルス幅変調(PWM)法により制御するものといえる。 d 引用発明は、開閉器52を開とした際には「Y結線状態」となり、開閉器52を閉とした際には「それぞれの相」が「独立したHブリッジ回路」の状態となるものである。そして、「Hブリッジ回路」の状態では各相が独立であり、例えば、上記bで検討したようにU相に関してはU相コイル11のみからなる回路であるが、「Y結線状態」では、第2インバータ30は中性点化され、U相に関しては「U相コイル11」と「V相コイル12」または「W相コイル13」に接続されるものであるから、引用発明は、開閉器52を開閉によって“巻数切替”が行われているものと認められる。 e ここで、本件補正発明の「巻数切替」に関して、発明の詳細な説明の段落【0005】には、「特許文献2は、短絡回路を含むデュアルインバータを用いるモータの巻数切替技術を記載する。デュアルインバータは、それぞれPWM制御される2つの3相インバータからなる。1つの3相インバータの3つの交流出力端子は短絡回路により短絡される。これにより、ステータコイルの巻数が切替えられる。」と記載され(下線は、当審で付与、以下同じ。)、さらに、本願の実施例のデュアルインバータの説明である、段落【0036】には、「短絡回路9は、3相ダイオードブリッジ及び短絡スイッチからなる。3相ダイオードブリッジからなる整流器は、3相インバータ2の3相電圧(VU2、VV2、VW2)を整流する。3相ダイオードブリッジの一対の直流端子は短絡スイッチにより短絡可能となっている。コントローラ10は、3相インバータ1及び2をPWM制御する。さらに、コントローラ10は、短絡スイッチを開閉する。短絡スイッチがオフされる時、3つの相コイル3U、3V、3Wは、3つのHブリッジにより個別に制御される。この制御は、オープンデルタモードと呼ばれる。短絡スイッチがオンされる時、3つの相コイル3U、3V、3Wは、星形接続3相コイルとなる。3相インバータ1が、この星形接続3相コイルを制御する。3相インバータ2は休止される。この制御は、スターモードと呼ばれる。」と記載されている。 そして、実施例の「オープンデルタモード」においても、各相の「Hブリッジ」は、各相の「相コイル3U、3V、3W」のみから構成されるのに対して、「スターモード」では、各相が各相の相コイルと他の相コイルが接続された形(例えば、U相に関しては、U相の相コイル3Uに「短絡スイッチ」により相コイル同士が短絡されることにより相コイル3Vまたは相コイル3Wが接続さる。)になり、巻数が切り替えられていることは明らかであるから、本件の実施例における、「短絡スイッチ」による、「オープンデルタモード」と「スターモード」の切替えが、すなわち、本件補正発明の「巻数切替」に対応するものと認められる。 f したがって、上記a~eの検討を踏まえると、引用発明の「駆動制御方法」と、本件補正発明の「直流電源から3相可変速モータのステータコイルへ電源電流を供給するための電流供給期間及び前記ステータコイルにフリーホィーリング電流を供給するためのフリーホィーリング期間からなる各PWMサイクル期間毎に3相インバータをパルス幅変調(PWM)法により制御するとともに前記スーテタコイルの巻数切替を実施しないインバータ駆動方法」とは、後記の点で相違するものの、“直流電源から3相可変速モータのコイルへ電源電流を供給するための電流供給期間及び前記コイルにフリーホィーリング電流を供給するためのフリーホィーリング期間からなる各PWMサイクル期間毎に3相インバータをパルス幅変調(PWM)法により制御するインバータ駆動方法”の点で共通する。 イ 上記ア bで検討したように、引用発明は、「開閉器52を閉」とした際の「U相」に関しては、スイッチング素子21、24からなるレグと、スイッチング素子31、34からなるレグと、スイッチング素子21、24との接続点と、スイッチング素子31、34との接続点と間に接続された「U相コイル11」とで、「Hブリッジ回路」をなしているといえ、また、「V相」に関しては、スイッチング素子22、25からなるレグと、スイッチング素子32、35からなるレグと、スイッチング素子22、25との接続点と、スイッチング素子32、35との接続点と間に接続された「V相コイル12」とで、「Hブリッジ回路」をなしているといえ、さらに、「W相」に関しては、スイッチング素子23、26からなるレグと、スイッチング素子33、36からなるレグと、スイッチング素子23、26との接続点と、スイッチング素子33、36との接続点と間に接続された「W相コイル13」とで、「Hブリッジ回路」をなしているといえる。 したがって、引用発明の「モータジェネレータ10のトルクが切替閾値trq_th以下であって、高回転数側の領域である第2領域R2のとき、開閉器52を閉として、それぞれの相を独立したHブリッジ回路とみな」すことと、本件補正発明の「前記3相インバータは、前記ステータコイルをなすとともに互いに独立する3つの相コイルに相電流を別々に供給する3つのHブリッジからな」ることとは、後記の点で相違するものの、“前記3相インバータは、前記コイルである互いに独立する3つの相コイルに相電流を別々に供給する3つのHブリッジからな”ることの点では共通する。 ウ 引用発明は「平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuを印加するときは、駆動要求に応じたPWM制御により、第1インバータ20のスイッチング素子21、24を相補的にオンオフし、また、第2上アーム素子31をオフ、第2下アーム素子34をオンにし、これにより、U相コイル11には、正の電流を流し、平衡ブリッジ制御の負のU相電圧Vuを印加するときは、第1上アーム素子21をオフ、第1下アーム素子24をオンにし、また、駆動要求に応じたPWM制御により、第2インバータ30のスイッチング素子31、34を相補的にオンオフし、これにより、U相コイル11には、負の電流を流」すものであり、上記ア bの点も踏まえると、「正のU相電圧Vuを印加するとき」は、Hブリッジ回路の「スイッチング素子21」、及び「スイッチング素子24」からなるレグはPWM制御によりスイッチングされ、Hブリッジ回路の「スイッチング素子31」、及び「スイッチング素子34」からなるレグは固定され定電圧を出力しているものと認められ、さらに、「負のU相電圧Vuを印加するとき」は、Hブリッジ回路の「スイッチング素子21」、及び「スイッチング素子24」からなるレグは固定され定電圧を出力し、Hブリッジ回路の「スイッチング素子31」、及び「スイッチング素子34」からなるレグは、PWM制御によりスイッチングされているものと認められる。 してみると、引用発明のU相のHブリッジ回路は、PWMサイクル期間にてスイッチングされるPWMレグ及びPWMサイクル期間にて定電圧を出力する固定電位レグからなっているといえる。 また、引用発明は「V相およびW相は、120°ずつ位相がずれた同様のスイッチングパターンとする」ものである したがって、引用発明の「正のU相電圧Vuを印加するとき、駆動要求に応じたPWM制御により、第1インバータ20のスイッチング素子21、24を相補的にオンオフし、また、第2上アーム素子31をオフ、第2下アーム素子34をオンにし、これにより、U相コイル11には、正の電流を流し、負のU相電圧Vuを印加するとき、第1上アーム素子21をオフ、第1下アーム素子24をオンにし、また、駆動要求に応じたPWM制御により、第2インバータ30のスイッチング素子31、34を相補的にオンオフし、これにより、U相コイル11には、負の電流を流し」、「V相およびW相は、120°ずつ位相がずれた同様のスイッチングパターンとする」ことは、本件補正発明の「前記各Hブリッジは、前記PWMサイクル期間にてスイッチングされるPWMレグ及び前記PWMサイクル期間にて定電圧を出力する固定電位レグからな」ることに相当する。 エ そして、引用発明は「平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuと負のU相電圧Vuの切り替えを電気角180毎に行」うものであるから、上記ウの点も踏まえると、引用発明の「正のU相電圧と負のU相電圧の切り替えを電気角180毎に行」うことは、本件補正発明の「前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代され」ることに相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。 <一致点> 「直流電源から3相可変速モータのコイルへ電源電流を供給するための電流供給期間及び前記コイルにフリーホィーリング電流を供給するためのフリーホィーリング期間からなる各PWMサイクル期間毎に3相インバータをパルス幅変調(PWM)法により制御するインバータ駆動方法において、 前記3相インバータは、前記コイルである互いに独立する3つの相コイルに相電流を別々に供給する3つのHブリッジからなり、 前記各Hブリッジは、前記PWMサイクル期間にてスイッチングされるPWMレグ及び前記PWMサイクル期間にて定電圧を出力する固定電位レグからなり、 前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代される、 インバータ駆動方法。」 <相違点1> 「コイル」が、本件補正発明では、「ステータコイル」であるのに対して、引用発明では、 「U相コイル11、V相コイル12、および、W相コイル13」がステータコイルとは特定されていない点。 <相違点2> 「インバータ駆動方法」が、本件補正発明では、「スーテタコイルの巻数切替を実施しない」ものであるのに対して、引用発明では、「開閉器52」によって巻数の切替を行うものである点。 <相違点3> 本件補正発明では、「前記3つのHブリッジはそれぞれ、前記相電流がゼロとなる時点よりも所定位相角だけ進んだタイミングにて前記PWMレグ及び前記固定電位レグの前記交代を実行することにより、前記相コイルに印加する相電圧が前記相コイルを流れる前記相電流と逆向きである位相期間(P1、P3)を確保する」ものであるのに対して、引用発明では、その旨の特定がされているか不明な点。 (4)判断 上記各相違点について検討する。 <相違点1>について インバータを3相モータのステータコイルに接続することは普通に行われていることである。 したがって、引用発明の「U相コイル11」、「V相コイル12」、「W相コイル13」を、ステータコイルとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点2>について 上記第2の2(2)イないしエの引用文献2ないし4に記載されるように、2つのインバータの間に3相モータが配置され、各相がHブリッジを構成する電力変換装置において、巻数の切替を行わない電力変換装置は周知のものである。 また、上記第2の2(2)ア(ア)Cに記載されるように、引用文献1には、第4実施形態として、部品点数を低減するために、開閉器52を省略してY結線制御を行わないこと、すなわち、巻線の切替を行わないようにすることができることが記載されている。 したがって、引用発明の「電力変換装置」においても、部品点数を低減するために、巻数の切替を行わないものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点3>について コイルのような誘導性の負荷に対して交流電圧を印加した場合、誘導性の負荷に流れる電流の位相が印加した交流電圧の位相よりも遅れることは、技術常識であって、また、この位相の遅れによって、コイルに印加する電圧とコイルを流れる電流とが逆向きになる期間が生じることは明らかである。 ここで、本件補正発明は「前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代され」るものであるから、一旦、制御が開始されれば「電気角180度毎に」「前記PWMレグ及び前記固定電位レグ」の交代、すなわち、ステータコイルの電圧の正負の切り替えが「電気角180度毎に」行われるものであって、その際に、ステータコイルに流れる電流の位相は上記技術常識を考慮すれば電圧の位相より遅れ(電流を基準とすれば、「前記PWMレグ及び前記固定電位レグ」の交代が所定位相角だけ進んだタイミングで実行されるということ)、また、この位相の遅れによって、コイルに印加する電圧とコイルを流れる電流とが逆向きになる期間が生じるものと認められる。してみると、本件補正発明の「前記3つのHブリッジはそれぞれ、前記相電流がゼロとなる時点よりも所定位相角だけ進んだタイミングにて前記PWMレグ及び前記固定電位レグの前記交代を実行することにより、前記相コイルに印加する相電圧が前記相コイルを流れる前記相電流と逆向きである位相期間(P1、P3)を確保する」ことには、「前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代」することが含まれていると認められる。 一方、引用発明における「U相コイル11」は誘導性の負荷であるから、「U相コイル11」に流れる電流の位相が、実際には、「U相電圧Vu」の基本波成分の位相よりも遅れることは、明らかである。 そして、上記(3)ウで検討したように、引用発明は、本件補正発明の「前記PWMレグ及び前記固定電位レグは、電気角180度毎に交代」することに相当する、「平衡ブリッジ制御の正のU相電圧Vuを印加する」、「駆動要求に応じたPWM制御により、第1インバータ20のスイッチング素子21、24を相補的にオンオフし、また、第2上アーム素子31をオフ、第2下アーム素子34をオンに」することと、「平衡ブリッジ制御の負のU相電圧Vuを印加する」、「第1上アーム素子21をオフ、第1下アーム素子24をオンにし、また、駆動要求に応じたPWM制御により、第2インバータ30のスイッチング素子31、34を相補的にオンオフ」にすることの交代を電気角180毎に行うものであって、その際には、電圧の切替に遅れて、「U相コイル11」に流れる電流がゼロとなり、また、この位相の遅れによって、コイルに印加する電圧とコイルを流れる電流とが逆向きになる期間が生じるものと認められる。 してみると、引用発明においても、本件補正発明における「前記3つのHブリッジはそれぞれ、前記相電流がゼロとなる時点よりも所定位相角だけ進んだタイミングにて前記PWMレグ及び前記固定電位レグの前記交代を実行することにより、前記相コイルに印加する相電圧が前記相コイルを流れる前記相電流と逆向きである位相期間(P1、P3)を確保する」いう構成を有するものといえ、相違点3は実質的な相違点ではない。 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)結語 以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年3月24日付けの手続補正(本件補正)は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和3年12月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記第2の1(2)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 (理由1)この出願の請求項1に係るに発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開2017-175747号公報 3 引用文献、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2の2(2)アで引用文献1として記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の2で検討した本件補正発明の発明特定事項である「前記スーテタコイルの巻数切替を実施しない」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明と引用発明は、上記相違点1、3で相違し、相違点1、3は、上記第2の2(4)で判断したのと同様の理由で、相違点1に関しては当業者が容易になし得たことであって、また、相違点3に関しては実質的な相違点ではない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-004382

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