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特許拒絶査定不服審判

2022-007403

エネルギー貯蔵システムにおいて使用するための電力変換器トポロジ

審判番号
2022-007403
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-555755外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年05月17日
審決日
2023年01月19日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H02M) / P18 .575-Z (H02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-555755「エネルギー貯蔵システムにおいて使用するための電力変換器トポロジ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 2日国際公開、WO2017/189658、令和 1年 6月 6日国内公表、特表2019-515618〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)4月26日を国際出願日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2016年(平成28年)4月26日(以下、「優先日」という。) 米国)とする出願であって、令和3年2月18日付けで拒絶理由が通知され、これに対して令和3年5月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和3年6月30日付けで拒絶理由(最後)が通知され、令和3年10月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和4年1月12日付けで補正の却下が決定されるとともに拒絶査定がなされた(以下、「原査定」という。)。これに対して、令和4年5月17日に審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和4年5月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年5月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 エネルギー貯蔵システムであって、 DC電力を供給するように構成された入力電源(102、202)であって、前記入力電源(102、202)は1つまたは複数の電池装置を含む入力電源(102、202)と、 前記入力電源(102、202)に結合可能であり、実質的にグリッド周波数にあるAC電力を生成するように構成された電力変換器(105、205)とを備え、前記電力変換器(105、205)は、 前記DC電力を昇圧するように構成された第1の段であって、前記第1の段は、 1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)であり、各入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)は、並列に結合された複数の入力スイッチングモジュールを備え、各入力スイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対の炭化ケイ素トランジスタを含む、1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)を備える、第1の段と、 昇圧されたDC電力を前記AC電力に変換するように構成された第2の段であって、前記第2の段は、1つまたは複数のインバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)であり、各インバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)は、前記電力変換器(105、205)の出力相に関連付けられ、各インバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)は、1つまたは複数のインバータスイッチングモジュールを備え、各インバータスイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のスイッチング素子と、前記スイッチング素子の対の間に結合された出力とを備え、各インバータスイッチングモジュールの少なくとも1つのスイッチング素子は、逆阻止トランジスタを含む、1つまたは複数のインバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)を備える、第2の段、 とを備え、 前記入力電源(102、202)は1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)の入力側に接続され、1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)の出力側は1つまたは複数のインバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)に接続されている、エネルギー貯蔵システム。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和3年5月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 エネルギー貯蔵システムであって、 DC電力を供給するように構成された入力電源(102、202)と、 前記入力電源(102、202)に結合可能であり、実質的にグリッド周波数にあるAC電力を生成するように構成された電力変換器(105、205)とを備え、前記電力変換器(105、205)は、 前記DC電力を昇圧するように構成された第1の段であって、前記第1の段は、 1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)であり、各入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)は、並列に結合された複数の入力スイッチングモジュールを備え、各入力スイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対の炭化ケイ素トランジスタを含む、1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)を備える、第1の段と、 昇圧されたDC電力を前記AC電力に変換するように構成された第2の段であって、前記第2の段は、1つまたは複数のインバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)であり、各インバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)は、前記電力変換器(105、205)の出力相に関連付けられ、各インバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)は、1つまたは複数のインバータスイッチングモジュールを備え、各インバータスイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のスイッチング素子と、前記スイッチング素子の対の間に結合された出力とを備え、各インバータスイッチングモジュールの少なくとも1つのスイッチング素子は、逆阻止トランジスタを含む、1つまたは複数のインバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)を備える、第2の段、 とを備え、 前記入力電源(102、202)は1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)の入力側に接続され、1つまたは複数の入力ブリッジ回路(112、114、116、118、212、214、216、218)の出力側は1つまたは複数のインバータブリッジ回路(132、134、136、232、234、236)に接続されている、エネルギー貯蔵システム。」 なお、括弧内は参照情報にすぎないので、以降では省略する。 また、請求項1の「前記第1の段は、 1つまたは複数の入力ブリッジ回路」における、スペース部(下線部)は、特段の意味を持たないものとして判断した。 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明の「入力電源」について、「前記入力電源は1つまたは複数の電池装置を含む入力電源」として具体的に電源の構成を限定したものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。したがって、請求項1についての本件補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か(特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否か)を検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献、引用発明 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載事項 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原査定の理由において引用された、特開2015-133814号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下、同じ。) A 「【背景技術】 【0002】 直流電源から入力される直流電圧をDC/DCコンバータにより昇圧し、さらに、インバータで交流電圧に変換して出力する電力変換装置は、自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に多く用いられている。このような電力変換装置内で、DC/DCコンバータは常にスイッチング動作を行い、また、インバータも常にスイッチング動作を行っている。 一方、三相インバータを用いることにより、直流電源の電圧を三相交流電圧に変換することもできる(例えば、特許文献1(図7)参照。)。 【0003】 図16は、直流電源から三相交流負荷に電力供給する場合に用いられる電力変換装置の回路図の一例である。図において、電力変換装置200は、直流電源201から受けた直流電力に基づいて交流電力を生成し、三相交流負荷220へ電力を供給する。 電力変換装置200は、コンデンサ202と、例えば3組の昇圧回路203と、DCバス204の電圧を平滑化する平滑回路205と、三相インバータ回路207と、3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213とを備えている。平滑回路205は、耐電圧性能確保のため2直列、容量確保のため6並列に、コンデンサ206を接続して成るものである。この平滑回路全体としての容量は、例えば数mFである。 【0004】 昇圧回路203は、スイッチングにより高周波化した電圧を、絶縁トランス203tにより昇圧し、その後整流する。また、3組の昇圧回路203は、共通のDCバス204に対して並列に接続されている。3組の昇圧回路203の出力は、大容量の平滑回路205によって平滑され、DCバス204の電圧となる。この電圧を三相インバータ回路207でスイッチングすることにより、高周波成分を含んだ三相交流電圧が生成される。高周波成分はACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213により取り除かれ、三相交流負荷220に提供可能な三相交流電圧(電力)が得られる。なお、三相交流負荷220の線間電圧は400Vとする。 【0005】 ここで、DCバス204の電圧としては、交流400Vの波高値以上が必要であり、400×√2で約566Vであるが、若干の余裕を見て、600Vとする。DCバス204の電圧が600Vである場合、三相インバータ回路207におけるスイッチング素子のターンオフ時に、浮遊インダクタンスとスイッチング素子の容量とによる共振によって600Vを大きく超える電圧がスイッチング素子に印加される。そのため、スイッチング素子の絶縁破壊を確実に防止するには例えば、DCバスの電圧の2倍の1200Vの耐電圧性能が必要となる。また、平滑回路205にも1200Vの耐電圧性能が必要であり、図16の構成では各コンデンサに600Vの耐電圧性能が必要となる。」 B 「【図16】 [図:0001398955000001.jpg] 」 (イ)引用発明 A 上記(ア)Aの段落【0003】には、「電力変換装置200は、直流電源201から受けた直流電力に基づいて交流電力を生成し、三相交流負荷220へ電力を供給する」ことが記載されていることから、「直流電源201」と「電力変換装置200」とは、「三相交流負荷220」へ「電力」を供給する“電力システム”を構成しているといえる。 また、上記(ア)Aの段落【0002】には、「直流電源から入力される直流電圧をDC/DCコンバータにより昇圧し、さらに、インバータで交流電圧に変換して出力する電力変換装置は、自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に多く用いられている」ことが記載されている。 してみると、引用文献1には“直流電源201と、直流電源201から受けた直流電力に基づいて交流電力を生成し、三相交流負荷220へ電力を供給する、自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に用いられている電力変換装置200とからなる電力システム”が記載されているといえる。 B 上記(ア)Aの段落【0003】の記載にあるように、引用文献1には、“電力変換装置200は、コンデンサ202と、3組の昇圧回路203と、DCバス204の電圧を平滑化する平滑回路205と、三相インバータ回路207と、3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213とを備えて”いることが記載されている。 C 上記(ア)Aの段落【0004】には、「昇圧回路203は、スイッチングにより高周波化した電圧を、絶縁トランス203tにより昇圧し、その後整流する」ことが記載されている。 ここで、一般に、電力変換を行うインバータやコンバータにおいて、4つのスイッチング素子をH形状に配列した回路をHブリッジ回路あるいはフルブリッジ回路といい、そのH形状の半分の部分である2つのスイッチング素子が直列に接続した部分をハーフブリッジということは本願優先日前の技術常識である。 そうすると、上記記載において、「昇圧回路203」における「スイッチングにより高周波化した電圧」を生成する部分は、図16(上記(ア)B)においては、 “両端が直流電源201に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの一方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジ”の部分であることが看取でき、 また、上記記載において、「昇圧回路203」における「絶縁トランス203tにより昇圧し」た電圧を「その後整流する」部分は、図16(上記(ア)B)においては、 “両端が共通のDCバス204に対して並列に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの他方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジ”の部分であることが看取できる。 してみると、引用文献1には、 “昇圧回路203は、 両端が直流電源201に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの一方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジであって、スイッチングにより高周波化した電圧を生成する回路と、 高周波化した電圧を昇圧する絶縁トランス203tと、 両端が共通のDCバス204に対して並列に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの他方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジであって、昇圧した高周波化した電圧を整流する回路からな”ることが記載されているといえる。 D 上記(ア)Aの段落【0003】には、「平滑回路205は、耐電圧性能確保のため2直列、容量確保のため6並列に、コンデンサ206を接続して成るものである」ことが、また、段落【0004】には、「3組の昇圧回路203の出力は、大容量の平滑回路205によって平滑され、DCバス204の電圧となる」ことが記載されている。さらに、図16(上記(ア)B)を参照すると、この「平滑回路205」の「コンデンサ206」は「DCバス204」に対して並列に接続されていることが看取できる。 してみると、引用文献1には、“平滑回路205は、耐電圧性能確保のため2直列、容量確保のため6並列に、コンデンサ206を、DCバス204に対して接続したものであり、3組の昇圧回路203の出力を平滑し、DCバス204の電圧とするものであ”ることが記載されているといえる。 E 上記(ア)Aの段落【0004】には、“三相インバータ回路207は、DCバス204の平滑した電圧をスイッチングすることにより、高周波成分を含んだ三相交流電圧を生成”することが記載されている。 また、上記記載において、「三相インバータ回路207」における「スイッチングすることにより、高周波成分を含んだ三相交流電圧を生成」する部分は、図16(上記(ア)B)においては、 “直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、この2つのトランジスタの接続点と各相毎のACリアクトル208~210との接続部分とからなる、並列接続された各相毎の3つのハーフブリッジ”であることが看取できる。 してみると、引用文献1には、“三相インバータ回路207は、直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、この2つのトランジスタの接続点と各相毎のACリアクトル208~210との接続部分とからなる、並列接続された各相毎の3つのハーフブリッジであって、DCバス204の電圧を、スイッチングすることにより、高周波成分を含んだ三相交流電圧に生成”することが記載されているといえる。 F 上記(ア)Aの段落【0004】の記載にあるように、引用文献1には、“各相毎のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213は、この高周波成分を取り除くことで、三相交流負荷220に提供可能な三相交流電圧(電力)が得るものである”ことが記載されている。 G 以上、上記AないしFにおいて検討した事項から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「直流電源201と、直流電源201から受けた直流電力に基づいて交流電力を生成し、三相交流負荷220へ電力を供給する、自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に用いられている電力変換装置200とからなる電力システムにおいて、 電力変換装置200は、コンデンサ202と、3組の昇圧回路203と、DCバス204の電圧を平滑化する平滑回路205と、三相インバータ回路207と、3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213とを備えており、 昇圧回路203は、 両端が直流電源201に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの一方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジであって、スイッチングにより高周波化した電圧を生成する回路と、 高周波化した電圧を昇圧する絶縁トランス203tと、 両端が共通のDCバス204に対して並列に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの他方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジであって、昇圧した高周波化した電圧を整流する回路からなり、 平滑回路205は、耐電圧性能確保のため2直列、容量確保のため6並列に、コンデンサ206を、DCバス204に対して接続したものであり、3組の昇圧回路203の出力を平滑し、DCバス204の電圧とするものであって、 三相インバータ回路207は、直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、この2つのトランジスタの接続点と各相毎のACリアクトル208~210との接続部分とからなる、並列接続された各相毎の3つのハーフブリッジであって、DCバス204の電圧を、スイッチングすることにより、高周波成分を含んだ三相交流電圧に生成し、 各相毎のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213は、この高周波成分を取り除くことで、三相交流負荷220に提供可能な三相交流電圧(電力)を得るものである、 電力システム。」 イ 引用文献2、引用文献3、周知技術 (ア)引用文献2 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原査定の理由において引用された、特開2007-312480号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 A 「【背景技術】 【0002】 エンジンと電気モータを併用するハイブリッド駆動タイプの自動車では、車載バッテリからの直流電圧を、三相インバータ回路を用いて、三相交流電圧に変換し、電気モータを構成する三相モータを駆動している。この三相インバータ回路では、一対の直流端子の間に3つの変換回路が互いに並列に接続され、これらの各変換回路には、正極側と負極側の2つのスイッチ回路が直列に接続され、各変換回路における2つのスイッチ回路の接続点を三相交流端子に接続している。各スイッチ回路には、第1の半導体スイッチ素子と第2の半導体スイッチ素子が互いに逆極性で並列に接続される。第1の半導体スイッチ素子は、それを所定の位相でオン、オフすることにより、直流電圧を三相交流電圧に変換する。第2の半導体スイッチ素子は、第1の半導体スイッチ素子に対して、そのスイッチングサージをバイパスするフリーホイール作用を与えるものであり、一般にはダイオードが使用される。 ・・・中略・・・ 【0006】 先行技術である特開2005-143242号公報の図6には、3つの変換回路の各スイッチ回路において、第1の半導体スイッチ素子に自己消弧形素子を使用し、また第2の半導体スイッチ素子に、ダイオードに代わってサイリスタを使用する三相インバータ回路が開示されている。この三相インバータ回路では、第2の半導体スイッチ素子を構成するサイリスタをオンとすることにより、第1の半導体スイッチ素子に対するフリーホイール作用を行なうことができ、また第1の半導体スイッチ素子に短絡事故が発生した場合には、サイリスタをオフに制御することにより、三相モータの回生電力を、三相インバータ回路内で遮断することができる。」 B 「【0013】 実施の形態1. 図1は、この発明による三相インバータ回路の実施の形態1を示す電気回路図である。図1には、実施の形態1による三相インバータ回路1とともに、それを制御する第1、第2の制御回路11、12と、直流回路13と、三相交流回路17が示される。 ・・・中略・・・ 【0018】 三相インバータ回路1は、3つの変換回路1U、1V、1Wを有する。これらの各変換回路1U、1V、1Wは、直流側導体4P、4Nの間に、互いに並列に接続される。変換回路1Uは、互いに直列に接続される正極側のスイッチ回路1UPと、負極側のスイッチ回路1UNを有する。変換回路1Vは、互いに直列に接続される正極側のスイッチ回路1VPと、負極側のスイッチ回路1VNを有する。変換回路1Wは、互いに直列に接続される正極側のスイッチ回路1WPと、負極側のスイッチ回路1WNを有する。 【0019】 正極側のスイッチ回路1UPは、第1の半導体スイッチ素子2UPと、第2の半導体スイッチ素子3UPを有し、これらの半導体スイッチ素子2UP、3UPは、互いに逆極性で並列に接続される。負極側のスイッチ回路1UNは、第1の半導体スイッチ素子2UNと、第2の半導体スイッチ素子3UNを有し、これらの半導体スイッチ素子2UN、3UNは、互いに逆極性で並列に接続される。 【0020】 正極側のスイッチ回路1VPは、第1の半導体スイッチ素子2VPと、第2の半導体スイッチ素子3VPを有し、これらの半導体スイッチ素子2VP、3VPは、互いに逆極性で並列に接続される。負極側のスイッチ回路1VNは、第1の半導体スイッチ素子2VNと、第2の半導体スイッチ素子3VNを有し、これらの半導体スイッチ素子2VN、3VNは、互いに逆極性で並列に接続される。 【0021】 正極側のスイッチ回路1WPは、第1の半導体スイッチ素子2WPと、第2の半導体スイッチ素子3WPを有し、これらの半導体スイッチ素子2WP、3WPは、互いに逆極性で並列に接続される。負極側のスイッチ回路1WNは、第1の半導体スイッチ素子2WNと、第2の半導体スイッチ素子3WNを有し、これらの半導体スイッチ素子2WN、3WNは、互いに逆極性で並列に接続される。 【0022】 各第1の半導体スイッチ素子2UP、2UN、2VP、2VN、2WP、2WNは、具体的にはそれぞれパワーIGBT素子で構成され、それぞれエミッタEと、コレクタCとゲートGを有する。各第2の半導体スイッチ素子3UP、3UN、3VP、3VN、3WP、3WNも、具体的にはそれぞれパワーIGBT素子で構成され、それぞれエミッタEと、コレクタCとゲートGを有する。 ・・・中略・・・ 【0030】 図2では、半導体スイッチ素子2UPの短絡事故に基づき、三相モータ18に発生した回生電力により、三相モータ18から、三相インバータ回路1の交流端子7V、交流側導体5V、第2の半導体スイッチ素子3VPのコレクタCとエミッタW、直流側導体4P、第1の半導体スイッチ素子2UPのコレクタCとエミッタE、交流側導体5U、交流端子7Uを経て三相モータ18に至る短絡回路SCVUが想定されるが、この短絡回路SCVUは、第2の半導体スイッチ素子3VPがオフされることにより遮断される。 【0031】 図3では、半導体スイッチ素子2UPの短絡事故に基づき、三相モータ18に発生した回生電力により、三相モータ18から、三相インバータ回路1の交流端子7W、交流側導体5W、第2の半導体スイッチ素子3WPのコレクタCとエミッタW、直流側導体4P、第1の半導体スイッチ素子2UPのコレクタCとエミッタE、交流側導体5U、交流端子7Uを経て三相モータ18に至る短絡回路SCWUが想定されるが、この短絡回路SCWUは、第2の半導体スイッチ素子3WPがオフされることにより遮断される。 【0032】 このような短絡回路の遮断により、三相モータ18と交流端子7U、7V、7Wとの間に第2の保護リレーを配置する必要が解消し、この保護リレーが配置されなくても、自動車のブレーキがかかり、または三相モータ18が過熱による損傷するのを防止することができる。」 C 「【0033】 実施の形態2. 実施の形態2は、実施の形態1における各第2の半導体スイッチ素子3UP、3UN、3VP、3UN、3WP、3WNとして、図4に示す逆阻止IGBT30を使用するものである。 ・・・中略・・・ 【0037】 実施の形態3. 実施の形態3は、実施の形態1における各第2の半導体スイッチ素子3UP、3UN、3VP、3UN、3WP、3WNとして、図5に示す逆阻止IGBT素子40を使用するものである。」 D 「【図1】 [図:0001398955000002.jpg] 」 (イ)引用文献3 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原査定の理由において引用された、特開2010-259241号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 A 「【0060】 《第4実施形態》 図8は、発明の他の実施形態に係るスイッチング制御回路を示す。本例では上述した第1実施形態に対して、逆導通可能なスイッチング素子として、MOSFET1の代わりに、逆阻止IGBT32aと逆阻止IGBT32bとを逆並列に接続する双方向スイッチ33を用いる。その他の構成については、第1実施形態の記載を適宜、援用する。 【0061】 双方向スイッチ33において、逆阻止IGBT32aに流れる電流が、順方向に導通する時に流れる電流となり、逆阻止IGBT32bに流れる電流が、逆方向に導通する時に流れる電流となる。ダイオード2は、逆阻止IGBT32bに流れる電流の向きと、同じ向きで双方向スイッチ33に並列接続される。そのため、ダイオード2の順方向電流の向きは、逆阻止IGBT32bに流れる、双方向スイッチ33の逆方向に導通する電流の向きと同じになる。 【0062】 制御回路3は、逆阻止IGBT32aと逆阻止IGBT32bに、ゲート信号を送信し、逆阻止IGBT32a及び逆阻止IGBT32bに流れる電流を制御する。制御回路3は、還流ダイオード2の検出温度が高くなった場合、図示しない温度センサ201の検出温度に応じて、ゲート信号を逆阻止IGBT32bに入力し、逆阻止IGBT32bに流れる電流の割合を多くすることで、還流ダイオード2に流れる順方向電流を小さくする。 【0063】 通常のIGBTはエミッタを基準にしてコレクタにマイナスの電圧を印加した場合、高い耐圧を保持できないが、逆阻止IGBT32a、32bは、そのような場合でも耐圧を保持できる。逆阻止IGBT32a、32bの構造は、IGBTチップのダイシングラインの破砕層領域をP型領域で覆う構造である。これにより、通常のIGBTとダイオードを組み合わせた双方向スイッチに比べて、ダイオードの電圧降下が無い分、低抵抗で低損失なスイッチング回路を提供することができる。また、信頼性の高いスイッチング回路を得ることができる。」 B 「【図4】 [図:0001398955000003.jpg] 」 D 「【図8】 [図:0001398955000004.jpg] 」 (ウ)周知技術 引用文献2及び3に記載されているように、 「DC/ACインバータにおいて、負荷との遮断を行うためや損失の低減を図るために、両方に電流が流れるスイッチング素子を逆並列に接続された2つのIGBT素子で構成し、また、そのIGBT素子の少なくとも1つを逆阻止IGBTとして構成すること。」 は、本願優先日前に周知技術と認められる。 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「電力システム」は、「自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に用いられている電力変換装置200からなる」ものであって、「自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)には、電力エネルギーが貯蔵されていることは明らかであるから、本件補正発明の「エネルギー貯蔵システム」に相当する。 イ 引用発明の「直流電力」、「直流電源201」は、各々、本件補正発明の「DC電力」、「DC電力を供給するように構成された入力電源」に相当する。 してみると、引用発明の「直流電源201」と、本件補正発明の「DC電力を供給するように構成された入力電源であって、前記入力電源は1つまたは複数の電池装置を含む入力電源」とは、“DC電力を供給するように構成された入力電源”の点で共通する。 ウ 引用発明の「交流電力」は、本件補正発明の「AC電力」に相当する。 引用発明の「電力変換装置200」は、「直流電源201」に接続されるものであって、また、「電力変換装置200」は、「直流電源201から受けた直流電力に基づいて交流電力を生成し、三相交流負荷220へ電力を供給する」ものである。 さらに、引用発明の「電力変換装置200」は、「自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に用いられ」るものであり、通常であれば、一般のグリッドから交流電力(周波数)の供給を受ける装置に対して利用できるように、出力の交流電力は一般のグリッドからの交流電力(周波数)と同じもの生成し出力するものと認められる。 したがって、引用発明の「電力変換装置200」は、本件補正発明の「前記入力電源に結合可能であり、実質的にグリッド周波数にあるAC電力を生成するように構成された電力変換器」に相当する。 エ 引用発明の「電力変換装置200」の「昇圧回路203」は、「直流電力」を「スイッチングにより高周波化した電圧」に「生成し」、「生成した高周波化した電圧を昇圧」し、「整流する」ものである。また、「昇圧回路203」は、「電力変換装置200」において、「直流電源201に接続される」部分であり、この部分を「第1の段」と称することは任意である。 してみると、引用発明の「昇圧回路203」は、直流電力を昇圧するように構成された第1の段といえる。 さらに、引用発明の「昇圧回路203」は、「高周波化した電圧を生成する回路」の「両端が直流電源201に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの一方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジ」、及び「整流する回路」の「両端が共通のDCバス204に対して並列に接続される直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、直列接続された2つのトランジスタの接続点と絶縁トランス203tの他方の巻き線との接続部分とからなる2つのハーフブリッジ」を備えるものである。 また、引用発明において、「トランジスタ」及び「ダイオード」は、いわゆるスイッチング素子であるから、引用発明の「直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタ」を、「スイッチングモジュール」と称することは任意である。 してみると、引用発明の「昇圧回路203」は、「高周波化した電圧を生成する回路」の「2つのハーフブリッジ」及び「整流する回路」の「2つのハーフブリッジ」からなる4つのハーフブリッジで構成されたものであって、並列に結合された4つのスイッチングモジュールを備え、スイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のダイオードが逆並列に接続されるトランジスタを含む、4つのハーフブリッジを備える、第1の段といえる。 また、引用発明の「トランジスタ」と、本件補正発明の「炭化ケイ素トランジスタ」とは、「トランジスタ」である点で共通する。 したがって、引用発明の「昇圧回路203」の「高周波化した電圧を生成する回路」の「2つのハーフブリッジ」及び「整流する回路」の「2つのハーフブリッジ」は、本件補正発明の「入力ブリッジ回路」に相当し、そして、引用発明の「昇圧回路203」と、本件補正発明の「前記DC電力を昇圧するように構成された第1の段であって、前記第1の段は、1つまたは複数の入力ブリッジ回路であり、各入力ブリッジ回路は、並列に結合された複数の入力スイッチングモジュールを備え、各入力スイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対の炭化ケイ素トランジスタを含む、1つまたは複数の入力ブリッジ回路を備える、第1の段」とは、“前記DC電力を昇圧するように構成された第1の段であって、前記第1の段は、複数の入力ブリッジ回路であり、各入力ブリッジ回路は、並列に結合された複数の入力スイッチングモジュールを備え、各入力スイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のトランジスタを含む、複数の入力ブリッジ回路を備える、第1の段”の点で共通する。 オ 引用発明の「電力変換装置200」の「三相インバータ回路207」及び「3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213」は、「DCバス204の電圧を高周波成分を含んだ三相交流電圧に生成」し、この生成した三相交流電圧から「高周波成分を取り除くことで、三相交流負荷220に提供可能な三相交流電圧(電力)」を得るものである。ここで、「DCバス204」には、「昇圧回路203」の「昇圧した高周波化した電圧を整流する回路」が接続されるものであり、「DCバス204」には、「昇圧回路203」の昇圧した直流電力が供給されていることは明らかである。また、引用発明のこの「三相インバータ回路207」及び「3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213」を、上記エで検討した引用発明の第1の段に対応して、第2の段と称することは任意である。 してみると、引用発明の「三相インバータ回路207」及び「3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213」は、昇圧された直流電力を交流電力に変換するように構成された第2の段といえる。 さらに、引用発明の「三相インバータ回路207」は、「直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、この2つのトランジスタの接続点と各相毎のACリアクトル208~210との接続部分とからなる、DCバス204に並列接続された各相毎の3つのハーフブリッジであって」、「接続部分」に接続される「各相毎のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213」から、「三相交流負荷220に提供可能な三相交流電圧(電力)が得られるものである」から、引用発明の「3つのハーフブリッジ」は「電力変換装置200」の出力である三相の交流電力の出力相に関連付けられ、また、「2つのトランジスタの接続点」は、「三相インバータ回路207」の出力といえる。 また、引用発明の「三相インバータ回路207」の「トランジスタ」及び「ダイオード」はいわゆるスイッチング素子であるから、引用発明の「ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタ」は、本件補正発明の「スイッチング素子」に相当する。さらに、引用発明の「直列接続された2つの、ダイオードが逆並列に接続されるトランジスタ」を、インバータスイッチングモジュールと称することは任意である。 してみると、引用発明の「三相インバータ回路207」及び「3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213」は、3つのハーフブリッジであり、各ハーフブリッジは、電力変換装置の出力相に関連付けられ、各ハーフブリッジは、は複数のインバータスイッチングモジュールを備え、各インバータスイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のダイオードが逆並列に接続されるトランジスタと、前記トランジスタの対の間に結合された出力とを備えた、3つのハーフブリッジを備える、第2の段といえる。 したがって、引用発明の「三相インバータ回路207」の「3つのハーフブリッジ」は、本件補正発明の「複数のインバータブリッジ回路」に相当し、そして、引用発明の「三相インバータ回路207」及び「3組のACリアクトル208~210及びコンデンサ211~213」と、本件補正発明の「昇圧されたDC電力を前記AC電力に変換するように構成された第2の段であって、前記第2の段は、1つまたは複数のインバータブリッジ回路であり、各インバータブリッジ回路は、前記電力変換器の出力相に関連付けられ、各インバータブリッジ回路は、1つまたは複数のインバータスイッチングモジュールを備え、各インバータスイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のスイッチング素子と、前記スイッチング素子の対の間に結合された出力とを備え、各インバータスイッチングモジュールの少なくとも1つのスイッチング素子は、逆阻止トランジスタを含む、1つまたは複数のインバータブリッジ回路を備える、第2の段」とは、“昇圧されたDC電力を前記AC電力に変換するように構成された第2の段であって、前記第2の段は、複数のインバータブリッジ回路であり、各インバータブリッジ回路は、前記電力変換器の出力相に関連付けられ、各インバータブリッジ回路は、複数のインバータスイッチングモジュールを備え、各インバータスイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のスイッチング素子と、前記スイッチング素子の対の間に結合された出力とを備えた、複数のインバータブリッジ回路を備える、第2の段”の点で共通する。 カ 引用発明は、「昇圧回路203」が、「直流電源201」の「直流電力」から「スイッチングにより高周波化した電圧」を「生成し」、「生成した高周波化した電圧を昇圧」、「整流」し、さらに、「DCバス204」を介して接続された「三相インバータ回路207」がこの整流した電圧から「高周波成分を含んだ三相交流電圧を生成」するものであるから、「昇圧回路203」の「直流電源201」側は入力側、「昇圧回路203」の「三相インバータ回路207」側は出力側といえる。 そして、引用発明の「昇圧回路203」の「高周波化した電圧を生成する回路」の「2つのハーフブリッジ」は、「両端が直流電源201に接続される」ものであり、また、「整流する回路」の「2つのハーフブリッジ」は、「DCバス204」を介して「三相インバータ回路207」の「3つのハーフブリッジ」に接続されるものである。 してみると、引用発明は、「直流電源201」は「高周波化した電圧を生成する回路」の「2つのハーフブリッジ」の入力側に接続され、「整流する回路」の「2つのハーフブリッジ」の出力側は「三相インバータ回路207」の「3つのハーフブリッジ」に接続されているといえる。 したがって、引用発明の「直流電源201」は「高周波化した電圧を生成する回路」の「2つのハーフブリッジ」の入力側に接続され、「整流する回路」の「2つのハーフブリッジ」の出力側は「三相インバータ回路207」の「3つのハーフブリッジ」に接続されていることは、本件補正発明の「前記入力電源は複数の入力ブリッジ回路の入力側に接続され、複数の入力ブリッジ回路の出力側は複数のインバータブリッジ回路に接続されている」ことに相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明とを対比すると、両者は、以下の点で一致し、また、相違している。 <一致点> 「エネルギー貯蔵システムであって、 DC電力を供給するように構成された入力電源と、 前記入力電源に結合可能であり、実質的にグリッド周波数にあるAC電力を生成するように構成された電力変換器とを備え、前記電力変換器は、 前記DC電力を昇圧するように構成された第1の段であって、前記第1の段は、複数の入力ブリッジ回路であり、各入力ブリッジ回路は、並列に結合された複数の入力スイッチングモジュールを備え、各入力スイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のトランジスタを含む、複数の入力ブリッジ回路を備える、第1の段と、 昇圧されたDC電力を前記AC電力に変換するように構成された第2の段であって、前記第2の段は、複数のインバータブリッジ回路であり、各インバータブリッジ回路は、前記電力変換器の出力相に関連付けられ、各インバータブリッジ回路は、は複数のインバータスイッチングモジュールを備え、各インバータスイッチングモジュールは、互いに直列に結合された一対のスイッチング素子と、前記スイッチング素子の対の間に結合された出力とを備えた、複数のインバータブリッジ回路を備える、第2の段、 とを備え、 前記入力電源は複数の入力ブリッジ回路の入力側に接続され、複数の入力ブリッジ回路の出力側は複数のインバータブリッジ回路に接続されている、エネルギー貯蔵システム。」 <相違点1> 「入力電源」が、本件補正発明では、「前記入力電源は1つまたは複数の電池装置を含む入力電源」であるのに対して、引用発明では、「直流電源201」にその旨の特定がされていない点。 <相違点2> 「第1の段」の「トランジスタ」が、本件補正発明では、「炭化ケイ素トランジスタ」であるのに対して、引用発明では、「昇圧回路203」の「トランジスタ」にその旨の特定がされていない点。 <相違点3> 本件補正発明では、「各インバータスイッチングモジュールの少なくとも1つのスイッチング素子は、逆阻止トランジスタを含む」ものであるのに対して、引用発明では、「三相インバータ回路207」のスイッチング素子にその旨の特定がされていない点。 (4)判断 上記各相違点について検討する。 <相違点1>について 自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に用いられている電力変換装置における、直流電源として、1つまたは複数の電池装置を用いることは本願優先日前における慣用手段に過ぎない。特にUPSに用いられる直流電源においては、グリッドからの交流電力が停電等により途絶えた場合であっても、負荷への交流電力の供給を無停電で継続するために、当該直流電源が1つまたは複数の電池装置を含むことは、本願優先日前において慣用手段である。 したがって、上記慣用手段に鑑みれば、引用発明において、自立電源やUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)等に用いられている電力変換装置200の直流電源201として、1つまたは複数の電池装置を含むことは自明であるか、又は、そのように構成することは当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点2>について 国際公開第2011/099280号(特に、段落【0020】、【0021】、【0027】等参照。)、及び国際公開第2011/013297号(特に、段落【0029】、【0054】等参照。)に記載されているように、パワーデバイスの半導体として、低損失のいわゆるワイドバンドギャップ半導体である炭化ケイ素や、窒化ガリウム材料からなるトランジスタを用いることは、本願優先日前の周知技術と認められる。 そして、パワーデバイスである電力変換装置において、スイッチング損失の低減をすることは周知の技術課題と認められる。 したがって、引用発明の「電力変換装置200」における「昇圧回路203」の「トランジスタ」のスイッチング損失の低減を図るために、上記周知技術を適用して、低損失の半導体である炭化ケイ素や、窒化ガリウム材料からなるトランジスタの中から「炭化ケイ素トランジスタ」を選択することは、公知材料の中からの最適ないし好適材料の選択に過ぎず、当業者が適宜なし得ることである。 <相違点3>について 上記第2の2(2)イ(ウ)で述べたように、DC/ACインバータにおいて、負荷との遮断を行うためや損失の低減を図るために、両方に電流が流れるスイッチング素子を逆並列に接続された2つのIGBT素子で構成し、また、そのIGBT素子の少なくとも1つを逆阻止IGBTとして構成することは本願優先日前の周知技術である。 そして、DC/ACインバータにおいては、負荷と遮断を行う必要があることや損失を低減することは周知の技術課題と認められる。 してみれば、引用発明の「電力変換装置200」の「三相インバータ回路207」において、負荷との遮断や損失の低減のために、両方に電流が流れる「ダイオード」及び「トランジスタ」からなるスイッチング素子を、上記周知技術を適用して、逆阻止トランジスタを含む逆並列に接続された2つのIGBT素子とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、当業者が引用発明、周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。 よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (5)結語 以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年5月17日付けの手続補正(本件補正)は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし19に係る発明は、令和3年5月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記第2の1(2)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 (理由1)この出願の請求項1-16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の文献1-3に基づいて、また、この出願の請求項17-19に係る発明は、下記の文献2-4に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2015-133814号公報(引用文献1) 2.特開2007-312480号公報(引用文献2) 3.特開2010-259241号公報(引用文献3) 4.特開2003-189636号公報 3 引用文献、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし引用文献3の記載事項及び引用発明は、上記第2の2(2)ア及びイで引用文献1ないし引用文献3として記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の2で検討した本件補正発明の発明特定事項である「前記入力電源は1つまたは複数の電池装置を含む入力電源」であるとの限定を省いたものである。 そうすると、本願発明と引用発明は、上記相違点2、3で相違するが、相違点2、3に係る本願発明の構成は、上記第2の2(4)で相違点2、3について説示した理由と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-007403

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