特許拒絶査定不服審判
2022-004367
拡張マシンタイプ通信(eMTC)のためのHARQおよび制御チャネルタイミング
- 審判番号
- 2022-004367
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-520513外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月24日
- 審決日
- 2022年11月15日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】クゥアルコム・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】井関 守三
- 【請求人代理人】岡田 貴志
- 分類
- P18 .121-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-520513「拡張マシンタイプ通信(eMTC)のためのHARQおよび制御チャネルタイミング」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月27日国際公開、WO2017/069849、平成30年12月20日国内公表、特表2018-537890、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)8月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年10月22日 米国、2016年8月24日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 7月26日 :上申書、手続補正書の提出
令和2年 6月22日付け:拒絶理由通知書
令和2年10月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 2月 3日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和3年 5月 6日 :意見書の提出
令和3年11月16日付け:拒絶査定
令和4年 3月24日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和4年 8月 2日 :上申書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和3年11月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用例については引用文献等一覧を参照)
・請求項1、2、5ないし10、13ないし17に対して、引用例1
・請求項3、4、11、12に対して、引用例1ないし3
引用文献等一覧
1.Samsung,DL/UL HARQ timing for low cost MTC UEs in enhanced coverage[online],3GPP TSG-RAN WG1#82b R1-155425,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_82b/Docs/R1-155425.zip>,2015年10月05日(以下、「引用例1」という。)
2.Ericsson,M-PDCCH-based PUCCH resource allocation for MTC[online],3GPP TSG-RAN WG1#82 R1-153736,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_82/Docs/R1-153736.zip>,2015年08月24日(以下、「引用例2」という。)
3.国際公開第2012/043524号(以下、「引用例3」という。)
第3 本願発明
本願請求項1ないし15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明15」という。)は、令和4年3月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための方法であって、
物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のために利用可能なフレーム中のアップリンクサブフレームのセット、前記フレーム中のダウンリンクサブフレームのセット、および物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームのセットを備える、前記フレームのための構成を示すシグナリングを受信することと、
前記PUCCH送信を搬送するために、前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること、ここにおいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームは、1つまたは複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後に生じる前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの第1のアップリンクサブフレームとして決定され、前記PUCCH送信は、受信された前記1つまたは複数のバンドルされたPDSCH送信に肯定応答する、と、
前記決定された少なくとも1つのアップリンクサブフレーム中で前記PUCCH送信を送信することと、および
前記PUSCH送信を搬送するために、前記PUSCH送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記PUCCH送信が、複数のPDSCH送信のためのフィードバックを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PUCCH送信が、前記複数のPDSCH送信のためのフィードバックとしてシングルビット(single bit)を備える、または
前記PUCCH送信が、前記複数のPDSCH送信の各々のためのフィードバックとして1ビットを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のPDSCH送信が、前記PDSCH送信の1つまたは複数のグループを備え、および
前記PUCCH送信が、前記PDSCH送信の各グループのためのフィードバックとして1ビットを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記決定することは、
前記UEが全二重動作のために構成されたのか半二重動作のために構成されたのかにさらに基づいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記決定することは、
前記UEが全二重動作のために構成されたとき、前記第1の利用可能なアップリンクサブフレームとして、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること、前記固定持続時間が、構成されたハイブリッド自動再送要求(HARQ)タイミングに基づく、または
前記UEが半二重動作のために構成されたとき、前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームのサブセットに基づいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること
を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記決定することは、
前記PUCCH送信が基地局との初期メッセージ交換の第1のPUCCH送信であるとき、前記1つまたは複数のバンドルされたPDSCH送信を受信した後の第1の利用可能なサブフレームとして、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ワイヤレス通信のための装置であって、
物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のために利用可能なフレーム中のアップリンクサブフレームのセット、前記フレーム中のダウンリンクサブフレームのセット、および物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームのセットを備える、前記フレームのための構成を示すシグナリングを受信するための手段と、
前記PUCCH送信を搬送するために、前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定するための手段、ここにおいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームは、1つまたは複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後に生じる前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの第1のアップリンクサブフレームとして決定され、前記PUCCH送信は、受信された前記1つまたは複数のバンドルされたPDSCH送信に肯定応答する、と、
前記決定された少なくとも1つのアップリンクサブフレーム中で前記PUCCH送信を送信するための手段と、および
前記PUSCH送信を搬送するために、前記PUSCH送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定するための手段と
を備える装置。
【請求項9】
前記PUCCH送信が、複数のPDSCH送信のためのフィードバックを提供する、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記PUCCH送信が、前記複数のPDSCH送信のためのフィードバックとしてシングルビット(single bit)を備える、または
前記PUCCH送信が、前記複数のPDSCH送信の各々のためのフィードバックとして1ビットを備える、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数のPDSCH送信が前記PDSCH送信の1つまたは複数のグループを備え、
前記PUCCH送信が、前記PDSCH送信の各グループのためのフィードバックとして1ビットを備える、
請求項9に記載の装置。
【請求項12】
決定するための前記手段は、
前記装置が全二重動作のために構成されたのか半二重動作のために構成されたのかにさらに基づいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定するための手段
を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
決定するための前記手段は、
前記装置が全二重動作に構成されたとき、前記第1の利用可能なアップリンクサブフレームとして、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定するための手段、前記固定持続時間が、構成されたハイブリッド自動再送要求(HARQ)タイミングに基づく、または
前記装置が半二重動作のために構成されたとき、前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームのサブセットに基づいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定するための手段と
を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
決定するための前記手段は、
前記PUCCH送信が基地局との初期メッセージ交換の第1のPUCCH送信であるとき、前記1つまたは複数のバンドルされたPDSCHを受信した後の第1の利用可能なアップリンクサブフレームとして、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定するための手段
を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載された方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ可読な記録媒体。」
第4 引用例の記載及び引用発明
1 原査定の拒絶の理由に引用された引用例1(Samsung,DL/UL HARQ timing for low cost MTC UEs in enhanced coverage[online](当審訳:拡張カバレッジでの低コスト MTC UE の DL/UL HARQ タイミング),3GPP TSG-RAN WG1#82b R1-155425,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_82b/Docs/R1-155425.zip>,2015年10月05日)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
(1) 「2 DL HARQ timing
(略)
After a UE receives the repetitions of a PDSCH transmission, the UE transmits HARQ-ACK information in a PUCCH.」(第1ページ第26行ないし第33行)
(当審訳:
2 DL HARQタイミング
(略)
UEはPDSCH送信の繰返しを受信した後、PUCCHでHARQ-ACK情報を送信する。)
(2)「As another alternative for TDD, taking into account the number of DL processes for Rel-13 low cost UEs in enhanced coverage can be assumed to be 1 and the same HARQ-ACK information is transmitted on every UL subframe for PUCCH repetitions, PUCCH transmission can start on the earliest UL subframe after n+4 subframes if PDSCH repetitions are completed on subframe n.」(第2ページ第7行ないし第10行)
(当審訳:
TDDの別の選択肢として、拡張カバレッジの状態にあるRel-13低コストUEのDLプロセス数は1と仮定することができ、PUCCH繰返しのULサブフレームごとに同じHARQ-ACK情報が送信されることを考慮すると、PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合は、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームでPUCCH送信を開始することが可能である。)
上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記「(1)」に「UEはPDSCH送信の繰返しを受信した後、PUCCHでHARQ-ACK情報を送信する」と記載されていることから、引用例1には、UEによるPUCCHでHARQ-ACK情報を送信するための方法が記載されているといえる。
イ 上記「(2)」に「PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合は、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームでPUCCH送信を開始することが可能である。」と記載され、また、PUCCH送信を行うためには、PUCCH送信の開始に先だって、PUCCH送信に用いるサブフレームを特定する必要があること及びPUCCH送信はUEが行うことは技術常識であるから、UEは、PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームをPUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定し、その後、特定されたULサブフレームでPUCCH送信を行うといえる。
ここで、上記「(1)」に「UEはPDSCH送信の繰返しを受信した後、PUCCHでHARQ-ACK情報を送信する」と記載されていることから、当該特定されたULサブフレームで行われるPUCCH送信は、PDSCH送信の繰返しについてのHARQ-ACK情報を送信するものであるといえる。
よって、UEは、PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定し、その後、特定されたULサブフレームでPUCCH送信を行い、ここにおいて、PUCCH送信はPDSCH送信の繰返しについてのHARQ-ACK情報を送信するものであるといえる。
したがって、以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 UEによるPUCCHでHARQ-ACK情報を送信するための方法であって、
PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定すること、
特定されたULサブフレームでPUCCH送信を行うこと、ここにおいて、PUCCH送信はPDSCH送信の繰返しについてのHARQ-ACK情報を送信するものであること、
を備える、方法。」
2 原査定の拒絶の理由に引用された引用例2(Ericsson,M-PDCCH-based PUCCH resource allocation for MTC[online](当審訳:MTCのためのM-PDCCHベースのPUCCHリソース割当て),3GPP TSG-RAN WG1#82 R1-153736,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_82/Docs/R1-153736.zip>,2015年08月24日)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
「In FDD, legacy HARQ ACK/NACK is always transmitted with a delay of k=4 subframes with respect to the corresponding PDSCH transmission. However in case UEs in coverage enhancement, the PDSCH might be repeated over multiple subframes (the so-called “bundled” PDSCH transmission). There are two possibilities for acknowledging a bundled PDSCH transmission: a HARQ ACK is sent as soon as the PDSCH bundle is decoded successfully, or the UE waits till the end of the PDSCH bundle before transmitting the HARQ ACK/NACK.」(第2ページ第12行ないし第17行)
(当審訳:
FDDでは、レガシーHARQ ACK/NACKは、対応するPDSCHの送信に対して常にK=4サブフレームの遅延で送信される。しかし、カバレッジ拡張のUEでは、PDSCHは複数のサブフレームに渡って繰り返される場合がある(いわゆる「バンドルされた」PDSCH送信)。バンドルされたPDSCHのデコードが成功した時点でHARQ ACKを送信するか、UEがバンドルされたPDSCHの終わりまで待ってからHARQ ACK/NACKを送信するかの2通りである。)
したがって、引用例2には、以下の技術事項が記載されていると認められる。
「UEはバンドルされたPDSCHの終わりまで待ってからHARQ ACK/NACKを送信する。」
3 原査定の拒絶の理由に引用された引用例3(国際公開第2012/043524号)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
「[0383] MTCD毎にMTC dataが異なるような場合は、MTCD毎のMTC dataを個別チャネルに割当てるようにすればよい。例えば、ある1つのMTCD向MTC dataをDTCHにマッピングし、MTCD毎にマルチプレクス処理してDL-SCHにマッピングする。マルチプレクス処理が必要でない場合は、マルチプレクス処理を省略してもよい。DL-SCHは、従来どおり、PDSCHにマッピングする。MTCD毎に上り制御チャネルの送信が可能な場合は、MAC層においてMTC dataについてHARQが行われるようにしてもよい。」
したがって、引用例3には、以下の技術事項が記載されていると認められる。
「MTCD毎にMTC dataが異なる場合は、MTCD毎にマルチプレクス処理してDL-SCHにマッピングする。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「UE」は、本願発明1の「ユーザ機器(UE)」に相当する。
また、引用発明の「PUCCHでHARQ-ACK情報を送信」することは、ワイヤレス通信において実行される動作であることは技術常識である。
よって、引用発明の「UEによるPUCCHでHARQ-ACK情報を送信するための方法」は、本願発明1の「ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための方法」に含まれる。
イ 引用発明の「ULサブフレーム」は、本願発明1の「アップリンクサブフレーム」に相当する。また、引用発明の「PUCCH」及び「PDSCH」は、本願発明1の「PUCCH」及び「物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)」にそれぞれ相当する。
更に、引用発明は、「n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定する」ものであって、また、サブフレームでPUCCH送信を行うことは、具体的にはサブフレームでPUCCH送信を搬送することであることは技術常識であることを考慮すれば、引用発明では、PUCCH送信を搬送するために、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを決定しているといえる。
したがって、本願発明1の「前記PUCCH送信を搬送するために、前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること」と、引用発明の「n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定すること」は、「PUCCH送信を搬送するために、アップリンクサブフレームを決定する」点で共通するといえる。
ここで、PUCCH送信を搬送するために、決定されるアップリンクサブフレームは、引用発明では「n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定する」ことから、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームである。
そして、引用発明の「PDSCHの繰返し」は、PDSCH送信が複数回繰返し行われているため、バンドルされているといえることから、本願発明の「複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信」に相当する。また、引用発明の「PDSCHの繰返しが・・・完了」することは、繰返し送信されたPDSCH送信の受信が完了することといえるから、引用発明の「PDSCHの繰返しが・・・完了」は、本願発明1の「複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信」に相当するといえる。
更に、引用発明の「n+4サブフレームの後」は、サブフレームnから起算して、4サブフレーム分経過したタイミングであるから、本願発明1と同様に、「固定持続時間の後」といえる。そして、引用発明の「n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレーム」は、n+4サブフレームの後のULサブフレームであるから、本願発明1の「固定持続時間の後」の「第1のアップリンクサブフレーム」に含まれる。
したがって、PUCCH送信を搬送するために、決定されるアップリンクサブフレームである引用発明のn+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームは、複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後の第1のアップリンクサブフレームといえる。
そうすると、本願発明1の「前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームは、1つまたは複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後に生じる前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの第1のアップリンクサブフレームとして決定され」と引用発明の「PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定すること」とは、「前記アップリンクサブフレームは、複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後の第1のアップリンクサブフレームとして決定」する点で共通する。
よって、本願発明1の「前記PUCCH送信を搬送するために、前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること、ここにおいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームは、1つまたは複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後に生じる前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの第1のアップリンクサブフレームとして決定」することと、引用発明の「PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定すること」とは、「PUCCH送信を搬送するために、アップリンクサブフレームを決定すること、ここにおいて、前記アップリンクサブフレームは、複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後の第1のアップリンクサブフレームとして決定され」る点で共通するといえる。
更に、引用発明の「HARQ-ACK情報」は、PDSCH送信の繰返しについての応答情報であって、応答情報には、肯定応答と否定応答が含まれ得ることは技術常識であるから、本願発明1の「前記PUCCH送信は、受信された前記1つまたは複数のバンドルされたPDSCH送信に肯定応答する」ことと、引用発明の「PUCCH送信はPDSCH送信の繰返しについてのHARQ-ACK情報」を送信することとは、「PUCCH送信は、受信された複数のバンドルされたPDSCH送信に肯定応答する」点で共通する。
以上を総合すると、本願発明1の「前記PUCCH送信を搬送するために、前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定すること、ここにおいて、前記少なくとも1つのアップリンクサブフレームは、1つまたは複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後に生じる前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの第1のアップリンクサブフレームとして決定され、前記PUCCH送信は、受信された前記1つまたは複数のバンドルされたPDSCH送信に肯定応答する」ことと、引用発明の「PDSCHの繰返しがサブフレームnにおいて完了した場合、n+4サブフレームの後の最も早いULサブフレームを、PUCCH送信を行うためのサブフレームとして特定すること」、「ここにおいて、PUCCH送信はPDSCH送信の繰返しについてのHARQ-ACK情報を送信するものであること」は、「PUCCH送信を搬送するために、アップリンクサブフレームを決定すること、ここにおいて、前記アップリンクサブフレームは、複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後の第1のアップリンクサブフレームとして決定され、前記PUCCH送信は、受信された前記複数のバンドルされたPDSCH送信に肯定応答する」点で共通する。
ウ 上記「イ」において説示したように、引用発明の「ULサブフレーム」は、本願発明1の「アップリンクサブフレーム」に相当し、引用発明の「PUCCH」は、本願発明1の「PUCCH」に相当する。
また、引用発明の「特定されたULサブフレーム」は、PUCCH送信を行うためのサブルレームとして特定したULサブフレームであるから、本願発明1と同様に、「決定されたULサブフレーム」といえる。
更に、引用発明のULサブフレームで行われるPUCCH送信は、ULサブフレーム中で行うものであるから、本願発明1の「アップリンクサブフレーム中で前記PUCCH送信を送信する」ことと、引用発明の「ULサブフレームでPUCCH送信を行う」ことは、「アップリンクサブフレーム中でPUCCH送信を送信する」点で共通する。
よって、本願発明1の「前記決定された少なくとも1つのアップリンクサブフレーム中で前記PUCCH送信を送信すること」と、引用発明の「特定されたULサブフレームでPUCCH送信を行うこと」とは、「決定されたアップリンクサブフレーム中でPUCCH送信を送信する」点で共通する。
以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「 ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための方法であって、
PUCCH送信を搬送するために、アップリンクサブフレームを決定すること、ここにおいて、前記アップリンクサブフレームは、複数のバンドルされた物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信を受信した後の固定持続時間の後の第1のアップリンクサブフレームとして決定され、前記PUCCH送信は、受信されたPDSCH送信に肯定応答する、と、
前記決定されたアップリンクサブフレーム中で前記PUCCH送信を送信すること、
を備える、方法。」
(相違点1)
本願発明1では、「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のために利用可能なフレーム中のアップリンクサブフレームのセット、前記フレーム中のダウンリンクサブフレームのセット、および物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームのセットを備える、前記フレームのための構成を示すシグナリングを受信する」のに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点2)
PUCCH送信を搬送するためのアップリンクサブフレームに関して、本願発明1では「前記PUCCH送信のために利用可能なアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレーム」であるのに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点3)
本願発明1では、「前記PUSCH送信を搬送するために、前記PUSCH送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームの前記セットのうちの少なくとも1つのアップリンクサブフレームを決定する」のに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。
(2)判断
上記相違点1ないし3について検討する上で、まず上記相違点1について検討する。
上記相違点1に係る発明特定事項については、引用例2、3に記載されておらず、また、当該技術分野における周知技術でもない。
したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項である「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のために利用可能なフレーム中のアップリンクサブフレームのセット、前記フレーム中のダウンリンクサブフレームのセット、および物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームのセットを備える、前記フレームのための構成を示すシグナリングを受信する」という発明特定事項を採用することは、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。
よって、相違点2、3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし7、15について
本願発明2ないし7、15は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1の上記相違点1に対応する「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のために利用可能なフレーム中のアップリンクサブフレームのセット、前記フレーム中のダウンリンクサブフレームのセット、および物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームのセットを備える、前記フレームのための構成を示すシグナリングを受信するための手段」を含むことから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本願発明9ないし14について
本願発明9ないし14は、本願発明8の発明特定事項を全て含むから、本願発明8と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定についての判断
令和4年3月24日にされた手続補正により、本願発明1ないし7、15のいずれも、少なくとも「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のために利用可能なフレーム中のアップリンクサブフレームのセット、前記フレーム中のダウンリンクサブフレームのセット、および物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームのセットを備える、前記フレームのための構成を示すシグナリングを受信する」という発明特定事項を備えるものとなっている。そして、本願発明8ないし14は少なくとも「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信のために利用可能なフレーム中のアップリンクサブフレームのセット、前記フレーム中のダウンリンクサブフレームのセット、および物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信のために利用可能な前記フレーム中のアップリンクサブフレームのセットを備える、前記フレームのための構成を示すシグナリングを受信するための手段」という発明特定事項を備えるものとなっている。
してみれば、上記「第5」のとおり、本願発明1ないし15は、当業者であっても、原査定において引用された引用発明及び引用例2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-004367