2022-004177
セラミック部品の製造方法及びその製造装置
- 審判番号
- 2022-004177
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-090887外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月18日
- 審決日
- 2023年06月26日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和2年5月25日(パリ条約による優先権主張2020年1月22日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願発明
令和5年5月10日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】非接触式加熱手段を介してセラミックプレートを局部的に加熱する段階と、前記セラミックプレートの加熱部位をブレードで切断する段階と、を含み、前記セラミックプレートを加熱する段階の少なくとも一部及び前記加熱部位をブレードで切断する段階の少なくとも一部は、前記セラミックプレートの同一領域に行われ、前記加熱する段階は、前記領域を線状に加熱し、前記線状の領域を同時に加熱する段階であり、前記切断する段階は、加熱された前記領域を前記ブレードで前記セラミックプレートに垂直な方向に線状に同時に切断する段階であり、前記非接触式加熱手段は、前記ブレードの一側面側に配置される、セラミック部品の製造方法。」
第3 拒絶の理由
令和5年2月8日付けで当審が通知した拒絶理由のうち理由2の概要は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1ないし12に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献の記載事項及び引用発明等
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1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
令和5年2月8日付けで当審が通知した拒絶理由に引用した引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同じ。)
「【0001】本発明は、未焼成のグリーンシート積層体を切断してグリーンチップを製造するためのグリーンシート積層体の切断装置及び切断方法に関する。」
「【0014】本発明における複数の実施形態に係るグリーンシート積層体の切断装置について、以下に図面を参照して説明する。なお、以下の各々の実施形態に付いて同一の機能を有する構成要素については同一の参照符号を用いることとする。なお、本明細書において述べるグリーンシート積層体は、各種積層型の電子部品の製造過程においてその中間体として形成されたものを言う。より具体的には、フィライト、ガラス系セラミック等の粉末、バインダ、可塑剤、溶剤等から構成され、電子部品における絶縁領域を形成するシート、及び該電子部品における導電性領域を形成するために構成された当該シート内部に導電性の領域を有するシート等を積層し、且つ積層方向にこれらを加圧して圧着させる事で得られたシート状の部材、或いは単一のシートからなる部材を言う。また、当該シート或いはシート状部材は、これらを支持するシート状の支持体を有するものであっても良い。【0015】図1は、本発明の第一の実施形態に係る切断装置について、これを側面から見た状態において特定構成の部分断面を同時に示す概略構成図である。グリーンシート積層体切断装置1は、カッター3、ステージ10、冷却手段20、及び加熱手段30を備えている。ステージ10は、水平方向に延在する載置面10aを有し、該載置面10a上に被切断物であるグリーンシート積層体2を支持している。更にステージ10は、図中B方向(水平面内における所定方向)への移動が可能となっている。また、該ステージ10は加熱手段30としての役割を有しており、グリーンシート積層体2が所定の温度となるように、載置面10a上に該積層体2を支持すると同時にこれを加熱している。【0016】カッター3は図中の矢印A方向(載置面10aの延在面である水平面に対する鉛直方向即ちグリーンシート積層体の厚さ方向)に駆動可能とされており、当該方向において所定量の往復運動を行うことによって、グリーンシート積層体2に所定量食い込んで切断済み領域を形成する。なお、カッター3の切断刃3a(切断刃の刃先)は、図1における紙面に垂直な方向に延在しており、当該紙面に対して垂直となる切断面を形成する。ステージ10のB方向への駆動は、カッター3の一回の切断操作終了後に所定量のみ行われ、その後二回目の切断操作が行われる。」
「【0022】次に、図1と同様の様式にてグリーンシート積層体切断装置1を示す図2を参照し、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態においては、加熱手段30がステージ10と分離して配置されている。即ち、本実施形態においては、ステージ10はグリーンシート積層体2を支持し、且つ支持状態でB方向に駆動するための機構のみから構成されている。加熱手段30は、第一の実施形態と同様に、不図示の、公知の加熱源を内蔵し、且つグリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有している。加熱当接部30a(当審注:「加熱当接部30a」は「当接加熱部30a」の誤記と認める。)は、ステージ10が駆動されるB方向上流側であって、切断刃3aがグリーンシート積層体2に食い込む領域に対して平行且つ隣接すると所定幅の当接領域を有している。また、加熱手段30は、冷却手段20と同様の構成を有することにより、冷却手段20と同様に略A方向における往復動作を行うことが可能となっている。【0023】以下に、本実施形態に係るグリーンシート積層体切断装置1を用いて実際にグリーンシート積層体2を切断する一連の工程について説明する。まず、ステージ10における載置面10a上に支持されたグリーンシート積層体2に対して、加熱手段30を動作させて、当接加熱部30aを該積層体表面に当接させ、これを所定温度まで加熱する。グリーンシート積層体2が所定温度となった後、切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動する。その際、加熱手段30は当接加熱部30aを略A方向上方に移動させ、ステージ10の駆動時でのグリーンシート積層体表面との当接状態を回避する。ステージ10停止後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われ、グリーンシート積層体2の所定位置に切断面が形成される。切断面形成後、ステージ10はB方向に所定量駆動する。これにより、次の切断予定部位が切断刃3aの直下に位置することとなる。同時に、当接加熱部30aは略A方向下方に移動し、次の切断予定部位の表面と当接して当該部位の加熱を行う。なお、ステージ10の所定量の駆動が行われる間、冷却手段20は当接部材21を略A方向上方に保持している。・・・中略・・・【0025】本実施形態においては、グリーンシート積層体2における切断予定部位について、切断直前に当該部位を切断が容易となる温度まで加熱し、切断後には冷却手段を用いて該切断済み部位の変形を抑えることとしている。本実施例においては、切断が行われる部位について切断操作の直前において切断を好適に行ない得る温度まで加熱することとし、且つ他の領域に関しては常に切断による応力が発生した場合であってもこの応力による変形量が問題とならなくなる状態まで該グリーンシート積層体の保持温度を低下させることとしている。また、切断時に加熱された領域は、切断後冷却手段によって速やかに冷却することで該シートを急速に該保持温度まで冷却ことを可能としている。これにより、切断効率を低下させることなく、グリーンシート積層体の分離効率を向上することが可能となる。」
「【0044】次に、第二の実施形態を具現化した第三の実施例について述べる。図5A及び図5Bは、各々図3A及び図3Bと同様の様式にて本実施例に係るグリーンシート積層体切断装置を示したものであるが、図5Aは当該装置を背面側(加熱ユニットが配置される方向)から見た状態を示している。従って、図3A等と同様に、先に述べた構成要素と同一の構成要素については同一の参照符号を用いて説明することとし、且つ重複する構成要素についての説明は省略することとする。【0045】本実施例においては、加熱手段30がステージ10と分離されて別ユニットとして構築され、グリーンシート積層体に対して加熱作用を有さない点において、第一及び第二の実施例と異なっている。具体的には、先にも述べたように、次の切断操作において切断される切断予定部位に対して、当該部位と当接可能な加熱ユニットを当接させ、当該部位を容易に切断できる温度まで加温し、その後応力による変形を抑え得るまで、切断済み部位等を冷却することとしている。以下、具体的構成について説明する。続きを表示(全11行)・・・中略・・・【0048】加熱ユニット31はまた更に、前述した規定面内において両端部に突出する突出領域31dを有している。当該突出領域31dは、前述したメインフレーム部材5に設けられた孔部5a内部に収容されている。当該孔部5a下面に埋設されたストッパ5bの上端部と当該突出領域31dとが当接することで加熱ユニット31の降下量が規定される。加熱ユニット31における略L字の下部直線領域を構成する部分内部には、加熱源31fが形成されている。該加熱源31fはグリーンシート積層体2の幅、と略同等以上の幅(長さ)となるように冷却ユニット23の延在方向と平行に形成されている。当該構成を有することにより、切断直前の切断予定部位に対して、加熱ユニット31を当接させ、切断操作を容易に実施し得る状態まで、当該部位を加温しておくことが可能となる。【0049】なお、本実施例においては、メインフレーム部材5、アクチュエータ7、サブフレーム部材5、切断刃保持部材15、加熱ユニット31等によって実施形態における加熱手段が30構成される。また、本実施例においては、冷却ユニッ23と加熱ユニットとが同一のストッパ5bによって降下位置が規定されるため、これら各々の略L字の下部直線領域の下面の位置によって個々のユニットの当接タイミングを規定している。しかし、各々のユニットに対して対応するストッパを各々配することとして、当接タイミングを規定することとしても良い。【0050】以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施形態或いは実施例の具体的構成に限定されない。例えば、冷却ユニット及び加熱ユニットは、カッター3の駆動を司るアクチュエータ13により駆動されることとしているが、例えば該アクチュエータとは独立した駆動系を有することとしても良い。また、各々の構成の配置及び駆動方向は、グリーンシート積層体が水平に支持されることを前提として、全て規定されているが、これらを異なる方向において規定することとしても良い。また、冷却ユニット及び加熱ユニットは、各々フィードフォワードタイプのものを用いてもよく、各ユニット自身が温度調整をすることが可能なフィードバックタイプのものを用いても良い。また、加熱源として、近赤外線ヒータ、温風等、高知(当審注:「高知」は「公知」の誤記と認める。)の種々の方式を用いることも可能である。」
【図1】
[図:0001404066000001.jpg]
【図2】
[図:0001404066000002.jpg]
【図5A】
[図:0001404066000003.jpg]
【図5B】
[図:0001404066000004.jpg]
(2)引用文献1に記載された技術事項
上記(1)の摘記事項から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
ア 段落【0001】の記載によれば、引用文献1には、「グリーンシート積層体を切断してグリーンチップを製造するためのグリーンシート積層体の」「切断方法」が記載されている。
ここで、段落【0014】の「本明細書において述べるグリーンシート積層体は、・・・ガラス系セラミック等の粉末・・・等から構成」との記載を考慮すれば、引用文献1のグリーンシート積層体は、ガラス系セラミック等の粉末等から構成される。
イ 段落【0023】の「本実施形態に係るグリーンシート積層体切断装置1を用いて実際にグリーンシート積層体2を切断する一連の工程について説明する。」との記載によれば、上記アの切断方法はグリーンシート積層体切断装置1を用いてグリーンシート積層体2を切断することにより行われるといえる。
ウ 段落【0015】の「図1は、本発明の第一の実施形態に係る・・・概略構成図である。グリーンシート積層体切断装置1は、カッター3、ステージ10、・・・及び加熱手段30を備えている。ステージ10は、水平方向に延在する載置面10aを有し、該載置面10a上に被切断物であるグリーンシート積層体2を支持している。更にステージ10は、図中B方向(水平面内における所定方向)への移動が可能となっている。」との記載によれば、グリーンシート積層体切断装置1は、カッター3、ステージ10、及び加熱手段30を備え、ステージ10は、水平方向に延在する載置面10aを有し、該載置面10a上に被切断物であるグリーンシート積層体2を支持し、更にステージ10は、水平面内における所定方向への移動が可能となっている。
エ 段落【0016】の「カッター3は図中の矢印A方向(載置面10aの延在面である水平面に対する鉛直方向即ちグリーンシート積層体の厚さ方向)に駆動可能とされており、当該方向において所定量の往復運動を行うことによって、グリーンシート積層体2に所定量食い込んで切断済み領域を形成する。」、「カッター3の切断刃3a(切断刃の刃先)は、図1における紙面に垂直な方向に延在しており、当該紙面に対して垂直となる切断面を形成する。ステージ10のB方向への駆動は、カッター3の一回の切断操作終了後に所定量のみ行われ、その後二回目の切断操作が行われる。」との記載によれば、カッター3はグリーンシート積層体の厚さ方向に駆動可能とされており、当該方向において所定量の往復運動を行うことによって、グリーンシート積層体2に所定量食い込んで切断済み領域を形成するものであり、切断刃3a(切断刃の刃先)を有し、切断刃3aは前記水平面内における所定方向に垂直な方向に延在しているといえる。
オ 段落【0022】の「図1と同様の様式にてグリーンシート積層体切断装置1を示す図2を参照し、本発明の第二の実施形態について説明する。・・・加熱手段30は、・・・グリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有している。当接加熱部30aは、ステージ10が駆動されるB方向上流側であって、切断刃3aがグリーンシート積層体2に食い込む領域に対して平行且つ隣接すると所定幅の当接領域を有している。」との記載、段落【0023】の「当接加熱部30aは・・・、次の切断予定部位の表面と当接して当該部位の加熱を行う。」との記載によれば、引用文献1の第二の実施形態では、加熱手段30は、グリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有し、当接加熱部30aは、ステージ10が駆動される前記水平面内における所定方向上流側であって、切断刃3aがグリーンシート積層体2に食い込む領域に対して平行且つ隣接する所定幅の当接領域を有し、切断予定部位の表面と当接して当該部位の加熱を行う。
カ 段落【0044】の「第二の実施形態を具現化した第三の実施例について述べる。図5A及び図5Bは・・・本実施例に係るグリーンシート積層体切断装置を示したものである」との記載、段落【0048】の「加熱ユニット31における略L字の下部直線領域を構成する部分内部には、加熱源31fが形成されている。該加熱源31fはグリーンシート積層体2の幅、と略同等以上の幅(長さ)となるように・・・形成されている。」との記載、段落【0049】の「本実施例においては、・・・加熱ユニット31等によって実施形態における加熱手段が30構成される。」との記載によれば、引用文献1の第二の実施形態を具現化した第三の実施例では、加熱手段30は加熱ユニット31等により構成され、加熱ユニット31内部には、加熱源31fが形成され、該加熱源31fはグリーンシート積層体2の幅と略同等以上の幅(長さ)となるように形成されている。
キ 段落【0023】の「本実施形態に係るグリーンシート積層体切断装置1を用いて実際にグリーンシート積層体2を切断する一連の工程について説明する。まず、ステージ10における載置面10a上に支持されたグリーンシート積層体2に対して、加熱手段30を動作させて、当接加熱部30aを該積層体表面に当接させ、これを所定温度まで加熱する。グリーンシート積層体2が所定温度となった後、切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動する。・・・ステージ10停止後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われ、グリーンシート積層体2の所定位置に切断面が形成される。」なる記載によれば、グリーンシート積層体2を切断する一連の工程は、加熱手段30を動作させて当接加熱部30aを積層体表面に当接させこれを所定温度まで加熱し、切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動した後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われグリーンシート積層体2の所定位置に切断面を形成するものである。
(3)引用発明
上記(2)アないし(2)キの技術事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、第二の実施形態を具現化した第三の実施例について次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ガラス系セラミック等の粉末等から構成されるグリーンシート積層体を切断してグリーンチップを製造するためのグリーンシート積層体の切断方法であって、当該切断方法はグリーンシート積層体切断装置1を用いてグリーンシート積層体2を切断することにより行われ、グリーンシート積層体切断装置1は、カッター3、ステージ10、及び加熱手段30を備え、ステージ10は、水平方向に延在する載置面10aを有し、該載置面10a上に被切断物であるグリーンシート積層体2を支持し、更にステージ10は、水平面内における所定方向への移動が可能となっており、カッター3はグリーンシート積層体の厚さ方向に駆動可能とされており、当該方向において所定量の往復運動を行うことによって、グリーンシート積層体2に所定量食い込んで切断済み領域を形成するものであり、切断刃3a(切断刃の刃先)を有し、切断刃3aは前記水平面内における所定方向に垂直な方向に延在しており、加熱手段30は、グリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有し、当接加熱部30aは、ステージ10が駆動される前記水平面内における所定方向上流側であって、切断刃3aがグリーンシート積層体2に食い込む領域に対して平行且つ隣接する所定幅の当接領域を有し、切断予定部位の表面と当接して当該部位の加熱を行い、加熱手段30は加熱ユニット31等により構成され、加熱ユニット31内部には、加熱源31fが形成され、該加熱源31fはグリーンシート積層体2の幅と略同等以上の幅(長さ)となるように形成されているものであり、グリーンシート積層体2を切断する一連の工程は、加熱手段30を動作させて当接加熱部30aを積層体表面に当接させこれを所定温度まで加熱し、切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動した後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われグリーンシート積層体2の所定位置に切断面を形成する、グリーンシート積層体の切断方法。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
令和5年2月8日付けで当審が通知した拒絶理由に引用した引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0001】本発明は、積層セラミックコンデンサ等の積層型セラミック電子部品の製造に広く用いられているキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートの製造装置及び製造方法に関する。」
「【0020】加熱器22は、キャリアフィルム11付きセラミックグリーンシート12の移動に同期してセラミックグリーンシート12の幅方向一部(図3(B)の熱軟化部位12aを参照)を連続的に加熱する役目を果たす。図示を省略したが、加熱器22としては、電熱ヒータで加熱された空気を送風機によって吹き出し口からセラミックグリーンシート12に吹き付けて該セラミックグリーンシート12の幅方向一部を連続的に加熱するようにした温風吹き出しタイプや、赤外線ヒータ(遠赤外線ヒータ及び近赤外線ヒータを含む)からの赤外線(遠赤外線及び近赤外線を含む)を直接セラミックグリーンシート12に照射して該セラミックグリーンシート12の幅方向一部を連続的に加熱するようにした輻射熱タイプが選択的に使用できる。【0021】切断刃23は、キャリアフィルム11付きセラミックグリーンシート12が切断ガイドローラ14の外周面上を通過する過程でキャリアフィルム11付きセラミックグリーンシート12を二分するように連続的に切断する役目を果たす。この切断刃23は好ましくは従動回転型の円形刃であり、その外周部分の一部が切断ガイドローラ14の円形溝14a内に非接触で入り込むように配置されている。前記加熱器22によってセラミックグリーンシート12に形成される熱軟化部位12a(図3(B)を参照)の幅は切断ガイドローラ14の円形溝14aの幅(図2(A)及び図2(B)を参照)と略同じか若干大きく、該熱軟化部位12aは円形溝14a上を通過するように設定されているため、切断刃23は熱軟化部位12aを幅方向に二分するようにしてセラミックグリーンシート12を長さ方向の連続的に切断すると共にキャリアフィルム11も長さ方向の連続的に切断するようになっている。」
(2)引用文献2に記載された技術事項
上記(1)の摘記事項から、引用文献2には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「積層型セラミック電子部品の製造に用いられているキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートの製造方法において、セラミックグリーンシートを加熱する加熱器として温風吹き出しタイプや輻射熱タイプを使用し、加熱器によってセラミックグリーンシートに形成される熱軟化部位を切断する」技術。
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「グリーンシート積層体」は「ガラス系セラミック等の粉末等から構成される」から、本願発明の「セラミックプレート」に相当する。そして、引用発明の「加熱手段30」は、「グリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有し、当接加熱部30aは」「切断刃3aがグリーンシート積層体2に食い込む領域に対して平行且つ隣接する所定幅の当接領域を有し、切断予定部位の表面と当接して当該部位の加熱を行」うものであるから、引用発明は、加熱手段30の当接加熱部30aを介してグリーンシート積層体を切断予定部位で局部的に加熱するものといえる。
してみると、引用発明の「加熱手段30を動作させて当接加熱部30aを積層体表面に当接させこれを所定温度まで加熱」する構成は、本願発明と「加熱手段を介してセラミックプレートを局部的に加熱する段階」である点で一致する。
ただし、加熱手段が、本願発明は「非接触式加熱手段」であるのに対して、引用発明はグリーンシート積層体の表面に当接するものである点で相違する。
2 上記「1」で検討したように、引用発明は、加熱手段30の当接加熱部30aを介してグリーンシート積層体を切断予定部位で局部的に加熱するものといえる。
また、引用発明は「切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動した後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われグリーンシート積層体2の所定位置に切断面を形成する」から、引用発明の切断刃3aはグリーンシート積層体を切断予定部位で切断するものである。
以上のことから、引用発明の「グリーンシート積層体」の「切断予定部位」は本願発明の「セラミックプレート」の「加熱部位」に相当し、引用発明の「切断刃3a」は本願発明の「セラミックプレート」を切断する「ブレード」に相当する。
そして、引用発明の「加熱手段30を動作させて当接加熱部30aを積層体表面に当接させこれを所定温度まで加熱し、切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動した後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われグリーンシート積層体2の所定位置に切断面を形成する」構成は、本願発明の「前記セラミックプレートの加熱部位をブレードで切断する段階」に相当する。
また、引用発明においてグリーンシート積層体の加熱とグリーンシート積層体の切断は共にグリーンシート積層体の切断予定部位で行われているから、引用発明は本願発明の「前記セラミックプレートを加熱する段階の少なくとも一部及び前記加熱部位をブレードで切断する段階の少なくとも一部は、前記セラミックプレートの同一領域に行われ」ることに相当する構成を有するといえる。
3 引用発明は「加熱手段30は、グリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有し、当接加熱部30aは、ステージ10が駆動される方向上流側であって、切断刃3aがグリーンシート積層体2に食い込む領域に対して平行且つ隣接する所定幅の当接領域を有し、切断予定部位の表面と当接して当該部位の加熱を行い、加熱手段30は加熱ユニット31等により構成され、加熱ユニット31内部には、加熱源31fが形成され、該加熱源31fはグリーンシート積層体2の幅と略同等以上の幅(長さ)となるように形成されている」から、加熱手段30がグリーンシート積層体2の切断予定部位を加熱し、当該加熱は切断予定部位をグリーンシート積層体2の幅と略同等以上の幅(長さ)を同時に加熱することは明らかであり、本願発明とは「前記加熱する段階は、前記領域を」「加熱し、前記」「領域を同時に加熱する段階」である点で一致する。
ただし、加熱について、本願発明は「領域を線状に加熱し、前記線状の領域を」「加熱」するのに対して、引用発明は「切断予定部位」を線状に加熱するとは特定されていない点で相違する。
4 引用発明は「加熱手段30は、グリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有し、当接加熱部30aは、」「切断予定部位の表面と当接して当該部位の加熱を行い、」「加熱手段30を動作させて当接加熱部30aを積層体表面に当接させこれを所定温度まで加熱し、切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動した後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われグリーンシート積層体2の所定位置に切断面を形成する」ものであるから、引用発明は加熱された切断予定部位を切断刃3aで切断するものである。
そして、引用発明は「載置面10a上に被切断物であるグリーンシート積層体2を支持し、更にステージ10は、水平面内における所定方向への移動が可能となっており、」「切断刃3aは前記水平面内における所定方向に垂直な方向延在しており、」「切断予定部位がカッター3の切断刃3a直下となるようにステージ10を駆動した後、切断刃3の降下・上昇の操作が行われグリーンシート積層体2の所定位置に切断面を形成する」から、切断刃3aはグリーンシート積層体の水平面内における所定方向に垂直な方向に一定の長さを有するものであり、当該切断刃3aの長さの範囲を線状に同時に切断するのは明らかである。
また、引用発明は「カッター3はグリーンシート積層体の厚さ方向に駆動可能とされており、当該方向において所定量の往復運動を行うことによって、グリーンシート積層体2に所定量食い込んで切断済み領域を形成する」から、グリーンシート積層体の厚さ方向(垂直な方向)に切断することも明らかである。
以上のことより、引用発明は、加熱された切断予定部位を切断刃3aでグリーンシート積層体の厚さ方向(グリーンシート積層体に垂直な方向)に切断するものであり、切断刃3aはグリーンシート積層体の水平面内における所定方向に垂直な方向一定の長さを有し、当該切断刃3aの長さの範囲を線状に同時に切断するものといえ、本願発明の「前記切断する段階は、加熱された前記領域を前記ブレードで前記セラミックプレートに垂直な方向に線状に同時に切断する段階」に相当する構成を有する。
5 引用発明は「加熱手段30は、グリーンシート積層体2の表面に当接する当接加熱部30aを有し、当接加熱部30aは、ステージ10が駆動される前記水平面内における所定方向上流側であって、切断刃3aがグリーンシート積層体2に食い込む領域に対して平行且つ隣接する所定幅の当接領域を有」するから、加熱手段30は切断刃3aの所定方向上流側である一側面側に配置されるといえ、本願発明と「前記」「加熱手段は、前記ブレードの一側面側に配置される」点で一致する。
ただし、加熱手段が、本願発明は「非接触式加熱手段」であるのに対して、引用発明はグリーンシート積層体の表面に当接するものである点で相違する。
6 引用発明の「グリーンシート積層体の切断方法」は「グリーンシート積層体を切断してグリーンチップを製造するための」方法であるから、本願発明の「セラミック部品の製造方法」に相当する。
7 したがって、本願発明と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
「加熱手段を介してセラミックプレートを局部的に加熱する段階と、前記セラミックプレートの加熱部位をブレードで切断する段階と、を含み、前記セラミックプレートを加熱する段階の少なくとも一部及び前記加熱部位をブレードで切断する段階の少なくとも一部は、前記セラミックプレートの同一領域に行われ、前記加熱する段階は、前記領域を加熱し、前記領域を同時に加熱する段階であり、前記切断する段階は、加熱された前記領域を前記ブレードで前記セラミックプレートに垂直な方向に線状に同時に切断する段階であり、前記加熱手段は、前記ブレードの一側面側に配置される、セラミック部品の製造方法。」
〈相違点1〉
加熱手段が、本願発明は「非接触式加熱手段」であるのに対して、引用発明はグリーンシート積層体の表面に当接するものである点。
〈相違点2〉
加熱について、本願発明は「領域を線状に加熱し、前記線状の領域を」「加熱」するのに対して、引用発明は「切断予定部位」を線状に加熱するとは特定されていない点。
第6 判断
1 相違点1について
上記「第4」の「2(2)」に記載したように引用文献2には、「積層型セラミック電子部品の製造に用いられているキャリアフィルム付きセラミックグリーンシートの製造方法において、セラミックグリーンシートを加熱する加熱器として温風吹き出しタイプや輻射熱タイプを使用し、加熱器によってセラミックグリーンシートに形成される熱軟化部位を切断する」技術(以下「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。
引用文献1に記載された発明と引用文献2記載の技術は共に、グリーンシートの加熱部を切断する方法に関するものであり、また、引用文献1の段落【0050】には「加熱源として、近赤外線ヒータ、温風等、公知の種々の方式を用いることも可能である」と記載されており、近赤外線の照射や温風の放出による「非接触式加熱手段」が例示されていることを考慮すれば、引用発明に引用文献2記載の技術を適用し加熱手段を輻射熱タイプ等の非接触式のものとして相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。
2 相違点2について
上記「第5」の「3」で検討したように、引用発明は切断予定部位をグリーンシート積層体2の幅と略同等以上の幅(長さ)を同時に加熱するものであるから、切断予定部位の領域についてグリーンシート積層体の幅以上の幅(長さ)の範囲を線状に加熱するといい得るものであり、相違点2は実質的な相違とは認められない。
また、引用発明における加熱する領域である所定幅の当接領域が線状にはあたらないとしても、引用文献1の段落【0025】の「本実施例においては、切断が行われる部位について切断操作の直前において切断を好適に行ない得る温度まで加熱することとし、且つ他の領域に関しては常に切断による応力が発生した場合であってもこの応力による変形量が問題とならなくなる状態まで該グリーンシート積層体の保持温度を低下させることとしている。」との記載を考慮すれば、引用発明は、できるだけグリーンシート積層体2の切断される部位のみを加熱すべきものであることは明らかである。
してみると、引用発明において、「当接加熱部30a」の「水平面内における所定方向」(水平面内におけるグリーンシート積層体の幅と直行する方向)の所定幅を極力狭くし、加熱される領域を線状として相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。
3 請求人の主張について
請求人は、令和5年5月10日の意見書の第8頁第7ないし28行において、
「引用文献2に記載の加熱器22は、キャリアフィルム11付きセラミックグリーンシート12の移動における切断刃23より上流側において、上流から流れてくるキャリアフィルム11付きセラミックグリーンシート12を連続的に加熱するものである(段落0020)。引用文献1に記載の加熱手段30に代えて、引用文献2に記載の加熱器22を採用するならば、グリーンシート積層体2を切断刃3aの長さ分加熱するためにはグリーンシート積層体2を引用文献2と同様に図1~2における紙面手前側または奥側に連続的に移動させるようにし、切断刃3aに対してグリーンシート積層体2の移動方向の上流側(紙面手前側または奥側)に加熱器22を配置することとなる。しかし、グリーンシート積層体2を連続的に移動させながら加熱器22により加熱した後に切断刃3aにより切断刃3aの長さ分切断するようにした場合には、切断予定部位における位置毎に加熱から切断までの時間が異なり、切断にムラが生じてしまう。したがって、引用文献1に記載の発明に引用文献2の技術を適用して、グリーンシート積層体2を連続移動させながら加熱器22で加熱するようにすることは、当業者であれば忌避する構成であり、到底容易に想到し得るものではない。また、引用文献1に記載の発明に引用文献2の技術を適用した上記構成においては、引用文献2における加熱器22は、切断刃3aがなす面(引用文献1の図1~2における紙面垂直方向の面)と同一面上に配置されるので、切断刃3aの一側面側に配置されない。したがって、引用文献1に記載された発明に引用文献2に記載された技術を適用し、加熱手段を非接触式とすることができたとしても、本願発明のように「非接触式加熱手段は、前記切断用ブレードの一側面側に配置される」という構成を得ることができない。したがって、引用文献1に記載の発明に引用文献2に記載の技術を適用して、本願発明を得ることは、たとえ当業者といえども容易に想到し得るものではない。」
と主張している。
しかしながら、引用発明に引用文献2記載の技術を適用し引用発明の加熱手段を非接触式加熱手段とするにあたり、引用発明の加熱手段が加熱する範囲やグリーンシート積層体切断装置における加熱手段の配置位置を変更する必要は認められない。
そして、引用発明において加熱手段を非接触式としたものでは、非接触式加熱手段の加熱源はグリーンシート積層体2の幅と略同等以上の幅(長さ)となるように形成されるから、切断予定部位における位置毎に加熱から切断までの時間が異なり切断にムラが生じてしまうことはなく、また、非接触式加熱手段は切断刃の上流側の一側面側に配置されるから、「非接触式加熱手段は、前記切断用ブレードの一側面側に配置される」という構成に相当する構成を有する。
したがって、請求人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明ついて検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-004177