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特許拒絶査定不服審判

2022-003230

投影装置、設置状態検知方法および設置状態検知プログラム

審判番号
2022-003230
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-197517外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月03日
審決日
2022年11月14日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-197517「投影装置、設置状態検知方法および設置状態検知プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月 6日出願公開、特開2021- 71567〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和元年10月30日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和3年 9月29日付け:拒絶理由通知書
同年11月26日 :意見書及び手続補正書の提出

同年12月 8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月14日 :原査定の謄本の送達)

令和4年 3月 3日 :審判請求書及び手続補正書の提出

同年 4月14日 :上申書の提出

第2 令和4年3月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年3月3日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]

1 本件補正の内容

令和4年3月3日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、以下の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。

(1) 本件補正前

「 【請求項1】
画像を投影する投影部と、
据え付け時の初期設定として投影画像に対する変形パラメータが設定された場合に、当該設定された変形パラメータを初期値として登録する登録制御手段と、
前記初期設定以後においてユーザ操作により前記変形パラメータが調整された場合に、前記変形パラメータの前記初期値からの調整度合いが第1閾値に達したか否か、及び前記第1閾値より大きい第2閾値に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記調整度合いが、前記第1閾値に達した場合に所定のタイミングで注意喚起メッセージを含む画像を投影し、前記第2閾値に達した場合に所定のタイミングで異常を報知する報知制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする投影装置。」

(2) 本件補正後

「 【請求項1】
画像を投影する投影部と、
据え付け時の初期設定として投影画像に対する変形パラメータが設定された場合に、当該設定された変形パラメータを初期値として登録する登録制御手段と、
前記初期設定以後においてユーザ操作により前記変形パラメータが調整された場合に、前記変形パラメータの前記初期値からの調整度合いが第1閾値に達したか否か、及び前記第1閾値より大きい第2閾値に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記調整度合いが、前記第1閾値に達した場合に所定のタイミングで注意喚起メッセージを含む画像を投影し、前記第2閾値に達した場合に所定のタイミングで異常を報知する報知制御手段と、
を備え、
前記報知制御手段は、前記注意喚起メッセージを含む画像の投影後に所定時間が経過した場合、前記注意喚起メッセージの通知を中止して前記投影部により入力された画像のみを投影し、前記異常の報知後に所定時間が経過した場合、前記投影部の動作を停止させる、
ことを特徴とする投影装置。」

2 本件補正の目的

本件補正は、請求項1において、本件補正前の「報知制御手段」による報知の形態について、「前記注意喚起メッセージを含む画像の投影後に所定時間が経過した場合、前記注意喚起メッセージの通知を中止して前記投影部により入力された画像のみを投影し、前記異常の報知後に所定時間が経過した場合、前記投影部の動作を停止させる」ものであることを限定することを含むものである。

そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

したがって、本件補正による請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件について

前記2において検討したとおり、本件補正による請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、以下、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(1) 本件補正発明

本件補正発明は、前記1(2)に示した本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2) 引用文献2の記載事項及び引用発明の認定

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ア 引用文献2の記載事項

原査定の拒絶の理由において引用された特開2014-106410号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当合議体が付した。

「【0011】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る画像投影装置の一例としての天吊りタイプのプロジェクタ装置を天井に取付けた状態を示す図である。
【0012】
図1に示すように、この天吊りタイプのプロジェクタ装置1(以下、「プロジェクタ装置1」という)は、筐体としての装置本体2と、装置本体2の前面側に投影光学系3を備えており、光源(不図示)から出射された光を3原色成分に分離して、各色を入力された画像信号に応じて光変調し、この光変調された光束を再度合成して投射光学系3を介して前方の垂直な壁面4に設置したスクリーン5に拡大投射(投影)する。
【0013】
また、装置本体2の天井側の面には本体側取付け部6がねじ(不図示)等で固定されており、この本体側取付け部6には支持具7を介して天吊り取付け部8が固定されている。そして、この天吊り取付け部8を天井9にねじ(不図示)等で固定することで、プロジェクタ装置1(装置本体2)が天井9から所定の角度で吊り下げられた状態で設置される。
【0014】
プロジェクタ装置1の装置本体2内には、図2に示すように、前記投射光学系3の他にに、装置全体を制御する制御部10、画像信号入力部11、画像信号処理部12、投影画像記憶部13、設置状態記憶部14、光源制御部15、光変調部16、電源部17、操作部18、温度制御部19、測距部20、焦点調整部21、傾き角度検出部22、及び台形歪み補正部23を備えている。なお、天吊りタイプのプロジェクタ装置1では、測距部20、焦点調整部21、傾き角度検出部22、台形歪み補正部23等は一般的な機能構成部として備えている。」
「【図1】
[図:0001393819000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001393819000002.jpg]
」
「【0049】
〈実施形態3〉
本実施形態のプロジェクタ装置も、図1、図2に示した実施形態1と同様の構成である。以下、本実施形態における、上記したプロジェクタ装置1の設置位置が変化しているか否かを検知する処理の手順を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0050】
続きを表示(全31行)
なお、この処理は、例えば、スクリーン5に投影画像を投射している最中に所定時間が経過する毎に、あるいは主電源をONして最初にスクリーン5に投影画像を投射する初期時などに、制御部10の制御によって自動的に行われる。
【0051】
図7に示したフローチャートにおいて、最初に傾き角度検出部22の加速度センサ等からのセンサ情報に基づいてプロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度を検出し、制御部10は現在の傾き角度情報を取得する(ステップS11)。そして、制御部10は、設置状態記憶部14に記憶されている直前(前回)の傾き角度情報も併せて取得する(ステップS12)。
【0052】
そして、制御部10は、取得した現在の傾き角度情報と直前(前回)の傾き角度情報を比較して、傾き角度情報(即ち、プロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度)が変化しているか否かを判定する(ステップS13)。この判定で傾き角度情報が変化していると判定した場合(ステップS13:YES)は、プロジェクタ装置1の設置位置が変化していると判定する。
【0053】
ステップS13で傾き角度情報が変化していると判定した場合は、例えば、図4に示したように、天吊り取付け部8を天井9に固定しているねじ(不図示)の未締結や、経年劣化、地震等によるねじの緩み、脱落などによって、天吊り取付け部8の一部が天井9から外れて所定幅の隙間Aが生じていることが考えられる。
【0054】
そして、傾き角度情報(即ち、プロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度)が変化しているので、以後の画像投影のために台形歪み補正部23によって台形歪み補正処理を行う(ステップS14)。
【0055】
なお、この判定で傾き角度情報が変化していないと判定した場合(ステップS13:NO)は、プロジェクタ装置1の設置位置が変化していないと判定し、この処理を終了する。
【0056】
そして、ステップS11で取得した現在の傾き角度情報を設置状態記憶部14に記憶する(ステップS15)。この記憶した現在の傾き角度情報は、次の処理時においては直前(前回)の傾き角度情報に置き換えられる。
【0057】
そして、制御部10は、設置状態記憶部14から前記設置情報を取得し(ステップS16)、設置情報が天吊りタイプか否かを判定する(ステップS17)。この判定において、上記したように設置状態記憶部14には設置情報として「天吊り」が記憶されているので、設置情報は天吊りタイプと判定する。
【0058】
そして、ステップS17で、設置情報は天吊りタイプと判定する(ステップS17:YES)と、制御部10は、装置本体2やリモコン装置24の表示部(不図示)、あるいはスクリーン5上に、例えば図5に示すような警告メッセージを表示する(ステップS18)。
【0059】
これは、本実施形態のように天吊りタイプのプロジェクタ装置1では、図4のように天吊り取付け部8の一部が天井9から外れて所定幅の隙間Aが生じて不安定な設置状態が長時間続くと、プロジェクタ装置1(装置本体2)の自重によって落下するおそれがあるため、ユーザに対して不安定な設置状態であることを認識させて、早めの修復を促すためである。図5に示すような警告メッセージは、リモコン装置24等にある確認ボタンを押下げ操作されるまで表示される。なお、警告メッセージを表示する代わりに音声で警告を報知するようにしてもよい。
【0060】
なお、設置状態記憶部14における設置情報として、誤って例えば標準(据置きタイプ)が記憶されている場合、ステップS7では設置情報が天吊りタイプでないと判定し(ステップS17:NO)、処理を終了する。
【0061】
これは、例えば標準(据置きタイプ)のプロジェクタ装置1は机上などに載置して使用されるため、傾き角度情報が変化していると判定した場合でも天吊りタイプのように不安定な設置状態になっていることがないためである。
【0062】
このように、本実施形態によれば、コストアップの要因となるねじセンサ等を装置本体に追加して設けることなく、天吊りタイプのプロジェクタ装置1の機能構成部である傾き角度検出部22で得られた傾き角度情報の変化によって、例えば、図4に示したような天吊り取付け部8の一部が天井9から外れて所定幅の隙間Aが生じて不安定な設置状態となっていることを検知し、報知することができる。
【0063】
よって、不安定な設置状態であることをユーザに初期段階で素早く報知することができるので、不安定な設置状態が悪化してプロジェクタ装置1(装置本体2)の自重によって落下するようなことを未然に防止することができる。」
「【図7】
[図:0001393819000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001393819000004.jpg]
」
「【図5】
[図:0001393819000005.jpg]
」
「【0064】
〈実施形態4〉
本実施形態のプロジェクタ装置も、図1、図2に示した実施形態1と同様の構成である。以下、本実施形態における、上記したプロジェクタ装置1の設置位置が変化しているか否かを検知する処理の手順を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0065】
続きを表示(全31行)
図8の最初のステップS11~S15までの処理は、図7に示した実施形態3と同様であり、重複する説明は省略する。なお、本実施形態では、ステップS13においては単に傾き角度情報が変化しているか否かを判定するだけである。
【0066】
そして、本実施形態では、ステップS11で取得した現在の傾き角度情報を設置状態記憶部14に記憶した(ステップS15)後に、制御部10は、設置状態記憶部14から予め記憶されている傾き角度情報変化許容範囲を取得する(ステップS15a)。
【0067】
そして、制御部10は、ステップS11で取得した現在の傾き角度情報とステップS12で取得した直前(前回)の傾き角度情報を比較して、傾き角度情報(即ち、プロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度)の変化が、ステップS15aで取得した傾き角度情報変化許容範囲を超えているかか否かを判定する(ステップS15b)。
【0068】
そして、この判定で傾き角度情報の変化が傾き角度情報変化許容範囲を超えていると判定した場合(ステップS15b:YES)は、プロジェクタ装置1 の設置位置が変化していると判定する。
【0069】
ステップS15bで傾き角度情報の変化が傾き角度情報変化許容範囲を超えていると判定した場合は、例えば、図4に示したように、天吊り取付け部8を天井9に固定しているねじ(不図示)の未締結や、経年劣化、地震等によるねじの緩み、脱落などによって、天吊り取付け部8の一部が天井9から外れて所定幅の隙間Aが生じていることが考えられる。
【0070】
なお、この判定で傾き角度情報の変化が傾き角度情報変化許容範囲を超えていないと判定した場合(ステップS15b:NO)は、プロジェクタ装置1の設置位置の変化が許容範囲内で警告するほどではないと判定し、この処理を終了する。
【0071】
そして、制御部10は、設置状態記憶部14から前記設置情報を取得し(ステップS16)、設置情報が天吊りタイプか否かを判定する(ステップS17)。この判定において、上記したように設置状態記憶部14には設置情報として「天吊り」が記憶されているので、設置情報は天吊りタイプと判定する。
【0072】
そして、ステップS17で、設置情報は天吊りタイプと判定する(ステップS17:YES)と、制御部10は、装置本体2やリモコン装置24の表示部(不図示)、あるいはスクリーン5上に、例えば図5に示すような警告メッセージを表示する(ステップS18)。
【0073】
このように、本実施形態によれば、コストアップの要因となるねじセンサ等を装置本体に追加して設けることなく、天吊りタイプのプロジェクタ装置1の機能構成部である傾き角度検出部22で得られた傾き角度情報の変化が傾き角度情報変化許容範囲を超えているか否かによって、例えば、図4に示したような天吊り取付け部8の一部が天井9から外れて所定幅の隙間Aが生じて不安定な設置状態となっていることを検知し、報知することができる。
【0074】
また、傾き角度検出部22で得られた傾き角度情報に誤差がある場合でも、予め傾き角度情報変化許容範囲を設定しているので、傾き角度誤差によって不安定な設置状態となっていると誤検知することを防止することができる。
【0075】
なお、前記した各実施形態では、天吊りタイプのプロジェクタ装置1の例であったが、これ以外にも天地を逆して吊るす背面天吊りタイプのプロジェクタ装置においても同様に本発明を適用することができる。
【0076】
更に、図9に示すような壁掛けタイプのプロジェクタ装置においても同様に本発明を適用することができる。
【0077】
図9に示すように、この壁掛けタイプのプロジェクタ装置1aは、ミラー30で反射させた投影画像を壁面4のスクリーン5に投射する構成であり、プロジェクタ装置1aの装置本体2を載せた載置台32に接続された壁面取付け部31を、壁面4にねじ(不図示)などで固定することで設置されている。
【0078】
このような壁掛けタイプのプロジェクタ装置1aにおいても、前記各実施形態で述べたような設置位置が変化しているか否かを検知する処理によって、例えば、壁面取付け部31の一部が壁面4から外れて所定幅の隙間が生じて不安定な設置状態となった場合でも、不安定な設置状態であることを検知し、報知することができる。」
「【図8】
[図:0001393819000006.jpg]
」

イ 引用発明の認定

前記アの記載内容を総合すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]

「画像投影装置としての天吊りタイプのプロジェクタ装置であって、(【0011】)
装置本体2が天井9から所定の角度で吊り下げられた状態で設置され、(【0013】)
装置本体2内には、投射光学系3の他に、装置全体を制御する制御部10、設置状態記憶部14、傾き角度検出部22、及び台形歪み補正部23を備え、(【0014】)
傾き角度検出部22の加速度センサ等からのセンサ情報に基づいてプロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度を検出し、制御部10は現在の傾き角度情報を取得し(【0051】)、
取得した現在の傾き角度情報を設置状態記憶部14に記憶した後に、制御部10は、設置状態記憶部14から予め記憶されている傾き角度情報変化許容範囲を取得し(【0066】)、
制御部10は、取得した現在の傾き角度情報と取得した直前(前回)の傾き角度情報を比較して、傾き角度情報(即ち、プロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度)の変化が、傾き角度情報変化許容範囲を超えているか否かを判定し(【0067】)、
この判定で傾き角度情報の変化が傾き角度情報変化許容範囲を超えていると判定した場合は、プロジェクタ装置1の設置位置が変化していると判定し(【0068】)、
制御部10は、スクリーン5上に、警告メッセージを表示し(【0072】)、
警告メッセージは、リモコン装置24等にある確認ボタンを押下げ操作されるまで表示される(【0059】)、
プロジェクタ装置。」

(3) 周知技術及び技術常識の認定

ア 引用文献3の記載事項及び周知技術1の認定

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(ア) 引用文献3の記載事項

原査定の拒絶の理由において引用された特開2015-1582号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0001】
本発明は、プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法に関する。」
「【0005】
プロジェクターは、無人で、デモンストレーション用として使用されることがある。このように使用される場合、デモンストレーション中に設置場所が不安定でプロジェクターが動いたり、誰かにプロジェクターを動かされて設置角度が変化したりすることで、投写画像に台形歪が生じることがあった。このような場合には、特許文献2のプロジェクターの構成を適用することで、自動台形歪補正機能により投写画像を補正することができる。しかし、管理者(ユーザー)は、自動台形歪補正機能により投写画像が補正されることにより、後で投写画像を見ても、プロジェクターの設置角度が変化したことに気付かないことがあった。このため、プロジェクターの設置場所を見直すことや、他の人に動かされないようにすることなどの対処が遅れる虞があった。
従って、プロジェクターの動作中に設置角度が変化したことを、ユーザーに知らせることが可能なプロジェクターが要望されていた。」
「【0021】
(実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクター1の回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像入力端子6、画像投写手段10、台形歪補正手段15、OSD処理手段16、画像信号処理手段17、画像信号入力手段18、角度検出手段19、制御手段20、記憶手段21、光源制御手段22、入力操作手段23、電源端子30、電源部31、計時部35等で構成されており、これらは図示しない筐体の内部または外面に配置されている。」
「【0074】
〔電源オフするときの動作〕
図10に示すように、プロジェクター1が動作中に、入力操作手段23の電源キーなどにより電源オフ操作を受け付けると(ステップS301)、ステップS302に遷移する。
【0075】
続きを表示(全30行)
ステップS302において、制御手段20は、記憶手段21に1つ以上の設置角度変化情報211が記録されているか否かを調べる。1つ以上の設置角度変化情報211が記録されている場合(ステップS302:Y)には、ステップS303に遷移する。設置角度変化情報211が1つも記録されていない場合(ステップS302:N)にはステップS306に遷移する。
【0076】
ステップS303において、制御手段20は、図6(b)に示す設置角度変化通知画像M2を画像投写手段10により投写する。設置角度変化通知画像M2には設置角度変化情報211の保存内容(設置角度変化検出時刻、設置角度変化量など)が表示される。次にステップS304に遷移する。
【0077】
ステップS304において、制御手段20は、ステップS303において投写した設置角度変化通知画像M2に対し、所定時間内に所定の確認操作を受け付けたか否かを調べる。所定の確認操作を受け付けた場合(ステップS304:Y)には、ステップS305に遷移する。所定の確認操作を受け付けなかった場合(ステップS304:N)にはステップS306に遷移する。
【0078】
ステップS305において、制御手段20は、記憶手段21の全ての設置角度変化情報211をクリアし、ステップS306に遷移する。
【0079】
ステップS306において、制御手段20は、光源制御手段22に指示して光源11を消灯し、ステップS307に遷移する。
【0080】
ステップS307において、制御手段20は、プロジェクター1の電源をオフしてスタンバイ状態に移行させ、本動作フローを終了する。
【0081】
上述した実施形態によれば、以下の効果を得られる。
本実施形態のプロジェクター1によれば、動作中にプロジェクター1が動いて設置角度の変化が検出された場合、プロジェクター1の電源オフ時に設置角度の変化が発生したことを報知する。これにより、プロジェクター1の設置角度が動作中に変化したことをユーザーに知らせることが可能となる。例えば、無人でのデモンストレーション中にプロジェクター1に設置角度の変化が発生したことをユーザーに後で(電源オフ時に)知らせることができる。このため、ユーザーに対して、例えば、プロジェクター1の設置場所を見直すことや、プロジェクター1が動かされないようにすることなどの対処を促すことが可能となる。
【0082】
また、プロジェクター1の電源をオン後、所定の時間T1を経過してから設置角度変化情報211を記録するので、プロジェクター1の電源をオンした後、外部の画像出力装置を接続してプロジェクター1の設置位置を調整するなどの初期設定中に、設置角度変化情報211が記録されるのを防止することが可能となる。
【0083】
また、動作中にプロジェクター1の設置角度の変化が検出された場合にその時刻を記録する。これにより、設置角度の変化が発生した時刻をユーザーに後で知らせることができるので、プロジェクター1の設置角度が変化した要因を特定するのに役立てることが可能となる。
【0084】
また、動作中にプロジェクター1が動いて設置角度の変化が何度も発生するような状態となった場合に、プロジェクター1の電源をオフすることにより、プロジェクター1の安全性を確保することが可能となる。
【0085】
また、プロジェクター1が電源オンするとき、最後にプロジェクター1が動作したとき設置角度の変化が発生していたことを報知するので、プロジェクター1の設置角度が動作中に変化したことをユーザーに、更に確実に知らせることが可能となる。これにより、ユーザーは、前回のプロジェクター1の電源オフ時に報知内容を確認できなかったような場合でも、電源オン時に再度報知内容を確認することが可能となる。
【0086】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
(変形例1)
上述した実施形態において、設置角度の変化が所定値以上になったことを検出した場合に電源をオフするようにしてもよい。これにより、プロジェクター1に大きな設置角度の変化が発生した場合に、電源をオフすることで、プロジェクター1の安全性を確保することが可能となる。」
「【図1】
[図:0001393819000007.jpg]
」
「【図10】
[図:0001393819000008.jpg]
」

(イ) 周知技術1の認定

前記(ア)に記載内容を摘記した引用文献3に例示されるように、次の技術事項は周知である。(以下「周知技術1」という。)

[周知技術1]

「プロジェクタにおいて重大な異常が発生した際に、このことを報知するとともに、電源をオフすることによりプロジェクタの安全性を確保すること。」

イ 引用文献5の記載事項及び技術常識1の認定

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(ア) 引用文献5の記載事項

当審で新たに引用する、本願出願前に公開された特開2015-222344号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
続きを表示(全25行)
従来、光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調して投写するプロジェクターが知られている。近年、プロジェクターに照度センサーを備え、プロジェクターが設置される環境での照度を測定することで、その環境(明るさ)に応じた輝度で画像を投写するプロジェクターが知られている。
【0003】
特許文献1では、照度センサーの他に角度センサーを備え、プロジェクターの設置角度を検出することで、照度センサーの出力を補正して投影輝度を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012?198439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、照度センサーは、受光特性として指向性を有しているため、プロジェクターが傾斜して設置された場合、照度センサーへの入射光が減衰し、プロジェクターの設置場所の明るさを、実際よりも暗いものとして検出しやすくなるという課題があった。そして、実際よりも暗いものとして検出された場合、プロジェクターは投写画像の輝度を下げて投写するため、ユーザーは投写画像が見づらくなるという課題があった。
【0006】
特許文献1によれば、プロジェクターの設置角度を検出する角度センサーを追加する必要があり、製造コストが上がるという課題があった。
従って、設置角度を検出する角度センサーを用いずに、設置角度に対応して照度センサーの照度を補正し、投写画像の輝度を調整するプロジェクターが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
〔適用例1〕本適用例に係るプロジェクターは、光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調し、投写面に投写画像として投写するプロジェクターであって、プロジェクターの使用環境を検出する検出部を備え、傾斜して設置された際の投写画像の台形歪に基づいて検出部による出力値を補正することを特徴とする。
【0009】
このようなプロジェクターによれば、検出部によってプロジェクターの使用環境を検出し、投写画像の台形歪に基づいて検出部からの出力値を補正することができるため、台形歪によって得られる情報と同等の情報を得るためのセンサーをなくすることができる。」
「【0084】
なお、傾斜角度θは、本実施形態では、台形歪補正記憶部511により、台形歪を補正した補正量(台形歪補正量)に対応して設定されている。具体的には、本実施形態では、操作パネル601の台形歪補正キー601a,601bによる入力操作数に対応して傾斜角度θが設定されている。従って、本実施形態では、角度センサー等を用いた設置角度θの検出はしていない。」

(イ) 技術常識1の認定

前記(ア)に例示した内容からも明らかなように、次の技術事項は技術常識である。

[技術常識1]

「プロジェクタ装置の設置角度(傾き角度)と、それにより生じる台形歪を補正するために操作者が調整する台形補正角度の間には、相関関係があること。」

ウ 引用文献6~8の記載事項及び技術常識2の認定

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(ア) 引用文献6の記載事項

当審で新たに引用する、本願出願前に公開された特開2013-5513号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0001】
この発明は、鉄塔や電柱などの支持物の傾倒異常を判断する支持物傾倒異常判断装置に関する。」
「【0022】
傾倒異常判断手段としての傾倒異常判断プログラム15は、(A)発信部11から発信された信号が受信部13で受信されるか否か、(B)発信部11からの信号が受信部13で測定されるまでの時間など、(ここで、(A)および(B)を受信状況という。)が、所定時間以上、所定の変化をした場合に鉄塔Tの傾倒異常と判断するようにプログラミングされている。つまり、例えば、受信部13で所定時間継続して信号を受信できない場合や、発信部11から発信された信号が受信部13で測定されるまでの時間が所定時間継続して所定値以上の変化を有する場合は、鉄塔Tの傾倒異常と判断するようプログラミングされている。この実施の形態では、鉄塔Tの傾倒異常となる場合に、受信状況が(A)に該当するように発信部11、反射部12、受信部13が構成されている。また、受信状況が(B)に該当するようにするには、例えば反射面(図示略)を反射部12の上面12b全体を覆うように構成し、レーザ光Aが反射面上の所定範囲から外れた場合を鉄塔Tの傾倒異常と判断するようにすればよい。レーザ光Aが反射面上の所定範囲から外れたか否かは、例えば、発信部11からの信号が受信部13で測定されるまでの時間の変化の有無や変化量、レーザ光Aの発信強度と反射光Bの受信強度との変化の有無や変化量によって判断することができる。具体的には、レーザ光Aの発信時刻と反射光Bの受信時刻とにもとづいて、発信部11からの信号が受信部13で測定されるまでの時間(受信に要する時間)を算出する。算出した時間が、初期値(支持物傾倒異常判断装置10の取付時の受信に要する時間)と所定以上相違する場合は、鉄塔Tが傾倒していると判断する。受信に要する時間の変化量が所定以内の場合は、鉄塔Tの傾倒は許容範囲であり、傾倒異常ではないと判断する。さらにまた、(A)、(B)いずれの場合も、所定時間以上継続した場合に、鉄塔Tの傾倒異常と判断するのは、強風や地震などで一時的に振動して傾倒した場合と区別するためである。所定時間とは、例えば数分間であり、数分間継続して傾倒異常と判断された場合に、鉄塔Tの傾倒異常と判断するようになっている。」

(イ) 引用文献7の記載事項

当審で新たに引用する、本願出願前に公開された特開平10-132564号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油、石油化学製品、液化石油ガス、液化天然ガス等の各種の液体やガスを収容する浮屋根式地上タンク、固定屋根式地上タンク、球形タンク、円筒形タンク等のタンク形状管理用自動計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基地に多数設置された石油備蓄タンク等は、地震や地殻変動により地盤が揺れるとタンクの変形や歪み、浮屋根の傾斜が生じ、これを放置すればタンクの破損や漏洩、倒壊、爆発の惧れがある。また、寒冷地では冬期降雪時に雪の吹き溜まりが生じ、これの重量による浮屋根タンクの傾斜管理が重要になっている。従来、この種のタンクの形状の管理には、各タンクを巡回して目視により形状の変化を観察する方法や、個々のタンクに対応して設けたセンサにより変形や歪みを計測する方法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、巡回者による目視観察では、タンクの小さな変形や経時変化を観察することが困難であり、変形の迅速な発見ができない。また、個々のタンクに設けたセンサによる変形の計測では、特に石油備蓄基地のようにタンクが多数設置されていると、センサの数が膨大で、配線が長くかつ複雑になるので、建設コストが高いうえ、保守管理容易でない。
【0004】本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、僅かな変形や経時変化を計測できるうえ、建設や保守管理コストが安価なタンク形状管理用自動計測方法及びその装置を提供することを課題とするものである。」
「【0025】次に、中央制御ユニット17による動作を図8のフローチャートに従って説明する。
【0026】中央制御ユニット17は、各計測点の計測に先立ち、タンク変位のない状態で既知点と計測点の全てについてそれらの座標の初期値を計測する。まず、図8に示すように、ステップ101において、各鉄塔6A,6B,6Cの既知点の座標値をGPS受信機により計測する。そして、得られた既知点の座標値に基づいて、ステップ102で既知点間の距離を演算し、ステッ103で座標系を設定する。この座標系は、図7に示すように、3つの既知点A,B,Cのうち例えば鉄塔6Aの既知点Aを原点とし、他の鉄塔6Bの既知点BをX軸上におくことにより設定する。次に、ステップ104で各計測点の座標値の初期値をマニュアル方式で計測し、ステップ105でこれらの初期値をメモリ(不図示)に登録する。
【0027】このように初期値の計測を終了すると、中央制御ユニット17は、図9に示すように、2回目以降の計測を行う。まず、ステップ201で各鉄塔6A,6B,6Cの既知点の座標値をGPS受信機8により計測
する。既知点が移動しているかもしれないので、計測開始時には必ずこのGPS計測を行う。次に、ステップ202において、GPS計測で得られた各既知点の座標値に基づいて座標変換を行い、ステップ203で、計測制御ユニット12に計測指令を出し、3つの鉄塔6A,6B,6Cのうちいずれか2つの鉄塔に設けられた計測機7を使用して、全ての計測点の計測を行う。この計測点の計測動作は後で詳細に説明する。計測を終了すると、ステップ204で各計測点の座標値の初期値からの変化量を演算する。この変化量により、タンクの各計測点における変形や歪み、それらの経時変化を知ることができる。そして、ステップ205でこの変化量に異常があると判断されればアラームを報知する。これにより、2次災害を招くことなく、必要な対策を迅速にとることができる。変化量に異常がなければ、ステップ201に戻って次回の計測を同様のステップで繰り返す。」
「【図1】
[図:0001393819000009.jpg]
」
「【図8】
[図:0001393819000010.jpg]
」

(ウ) 引用文献8の記載事項

当審で新たに引用する、本願出願前に公開された特開2004-34737号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【請求項1】
航空機進入路の近傍に設置されて航空機の進入角度を指示するために発光する進入角指示灯の発光部の仰角を監視する監視装置であって、
前記発光部は、上部が白色光、下部が赤色光を発するものであって、
上下方向に位置をずらして配置された複数の受光手段と、各受光手段からの出力信号に基づいて前記上部白色光、及び下部赤色光の発光光の明るさの変化点を検出する演算手段、該変化点の初期位置を記憶する記憶手段、及び該記憶手段に記憶された変化点の初期位置と前記演算手段にて演算された変化点の現在位置とを比較する比較手段を有する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記比較手段が前記変化点の初期位置と現在位置とを比較した結果に基づいて前記進入角指示灯の仰角が正常か否かを判定することを特徴とする監視装置。」
「【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、航空機進入路の近傍に設置されて航空機の進入角度を指示するために発光する進入角指示灯の発光部の仰角を監視する監視装置であって、前記発光部は、上部が白色光、下部が赤色光を発するものであって、上下方向に位置をずらして配置された複数の受光手段と、各受光手段からの出力信号に基づいて前記上部白色光、及び下部赤色光の発光光の明るさの変化点を検出する演算手段、該変化点の初期位置を記憶する記憶手段、及び該記憶手段に記憶された変化点の初期位置と前記演算手段にて演算された変化点の現在位置とを比較する比較手段を有する制御手段と、を備え、前記制御手段は前記比較手段が前記変化点の初期位置と現在位置とを比較した結果に基づいて前記進入角度指示灯の仰角が正常か否かを判定することを特徴とする。
指示灯の発光部から発せられた光信号は上発光部が白色、下発光部が赤色の光である。そして、上発光部と下発光部の境界は転移層(ピンクゾーン)といわれ、指示灯の発光部の仰角のずれを検出するために使用される最も重要な層である。従来の監視装置は、この転移層を基準点としてそこからのずれ量をいろいろな方法を駆使して検出していた。しかし、最初にこの基準点を監視装置の所定の位置に設定するのが非常に難しく、仮に設定されてもそれを基準として移動量を検出するには、非常に精度の高い位置決めと、技術が要求されていた。それは、ピンポイントによる位置の変動を検出する必要があったからである。そこで、本発明では、上下方向に複数の受光センサを配置し、正確に仰角が設定された指示灯からの光をラフな調整でその複数の受光センサに照射する。この位置を初期位置とする。個々の受光センサには指示灯からの光信号の位置に応じて光の強弱が発生する。その光の強弱は演算され正規化されたデータとして初期値として記憶される。従って、初期値をピンポイントで絶対的な位置に設定する必要がなく、記憶された初期値との相対的な位置を検出することにより、現在位置が許容範囲内にあるか否かで仰角を監視するものである。
かかる発明によれば、正確に仰角が設定された指示灯からの光の変化点を演算して初期値として記憶し、この初期値からの相対的なずれ量から仰角異常を検出するので、精密に転移層を受光センサ位置に設定する必要がなく調整が容易となり、調整工数を削減することができる。」
「【0019】
次に、図5の転移層bが何らかの原因によりaに移動したとすると、前記説明と同様に転移層aは受光センサR3の中心位置であり、この部分がピンクゾーンになり、R2、R1が白色光、R4?R9が赤色光になる。つまり、図6のクロス点をプロットすると点線6のような特性となる。例えば、センサ位置R3でのセンサ出力電圧をV3とすると、白色光側ではR2でV4、R1でV5となり、赤色光側ではR4でV2、R5からR9までV1となり、図6の点線6のようなデータとなる。このデータから演算処理して変化点P1を求め、それに対応するセンサ位置を求めてそこを転移層とする。そして、その結果を現在位置として記憶する。例えば、図6では変化点P1に対応するセンサ位置がR3とすると、R3が転移層となる。そして、前記初期値のセンサ位置と現在位置のセンサ位置を比較して、両者の距離(l1)が許容範囲以内であれば、正常とみなし、許容範囲を越えていると判断すれば警報を発する(詳細は後述する)。また逆に、図5の転移層bが何らかの原因によりcに移動したとすると、前記説明と同様に転移層cは受光センサR7の中心位置であり、この部分が転移層になり、R6?R1が白色光、R8、R9が赤色光になる。つまり、図6の白点をプロットすると一点鎖線8のような特性となる。例えば、センサ位置R7でのセンサ出力電圧をV3とすると、白色光側ではR6でV4、R5からR1までV5となり、赤色光側ではR8でV2、R9でV1となり、図6の一点鎖線8のようなデータとなる。このデータから演算処理して変化点P2を求め、それに対応するセンサ位置を求めてそこを転移層とする。そして、その結果を現在位置として記憶する。例えば、図6では変化点P2に対応するセンサ位置をR7とすると、R7が転移層となる。そして、前記初期値のセンサ位置と現在位置のセンサ位置を比較して、両者の距離(l2)が許容範囲内であれば、正常とみなし、許容範囲を越えていると判断すれば警報を発する。
ここで、図6のX領域はセンサ出力電圧が異常に高い領域であり、全てのセンサがこの値を示せば、受光センサに異常光が入射したとみなすことができ、Z領域は逆にセンサ出力電圧が異常に低い領域であり、全てのセンサがこの値を示せば、指示灯の故障とみなすことができる。また、中間のY領域はセンサ出力電圧が位置により正常に変化するので正常領域となる。また、例えば、センサ位置R2のセンサ出力電圧がX1或いはZ1の点にあった場合、異常とみなしてセンサR2が単独で故障していると判断することができる。これらの異常検出は、論理回路により、或いはソフトウェアにより容易に判断することができる。」
「【図10】
[図:0001393819000011.jpg]
」

(エ) 技術常識2の認定

前記(ア)~(ウ)に例示した内容から明らかなように、次の技術事項は技術常識である。(以下「技術常識2」という。)

[技術常識2]

「対象物の傾きなどの変位を検出する際に、基準となる初期値を登録し、その値からの変化により変位検出を行うこと。」

エ 引用文献9~10の記載事項、周知技術2及び技術常識3の認定

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(ア) 引用文献9の記載事項

当審で新たに引用する、本願出願前に公開された特開平9-230285号公報(以下「引用文献9」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、映像光をスクリーン上にその背面側から拡大投写して映像を表示する背面投写型表示装置に関する。」
「【0027】図6は本発明の第5の実施の形態を示す透視図である。この実施の形態においては、上記した第3の実施の形態で示した光測定素子32によって光源8が寿命であると判定した場合、警告ランプを点灯させる代わりに警告表示37を空間光変調素子13A,13Bに書き込むことにより、スクリーン3上の画面に直接表示させるようにしている。その他の構造は、上記した第3の実施の形態と同一である。
【0028】このような構造においては、スクリーン3上に光源8の警告表示37を行うため、適度に交換を行うことができる。警告表示37としては、点滅等によって表示されるものであってもよい。また、警告表示37は使用者が必要に応じて消すように設定してもよいし、表示された後一定時間経過すると自動的に消えるようにしてもよい。」
「【図6】
[図:0001393819000012.jpg]
」

(イ) 引用文献10の記載事項

当審で新たに引用する、本願出願前に公開された特開2006-330419号公報(以下「引用文献10」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0001】
本発明は、画像信号を入力し、当該画像信号に応じた画像を投写するプロジェクタ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源から射出された光を変調し、スクリーン等に画像を投写するプロジェクタにおいて、温度異常等、装置に生じた異常を検知する異常検知手段を備えるとともに、前記異常を使用者に知らせる異常表示手段を備えたプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1)。このようなプロジェクタは、LED(発光ダイオード)等からなるインジケータを異常表示手段として備えたり、投写画像の周縁部に警告を表す文字や記号等を合成したりして、使用者に対して警告を行うようになっている。なお、警告後も異常状態が継続する場合には、光源を強制的に消灯する等の安全処置が施される」
「【0016】
図1は、本実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクタ1には、画像の投写を行う投写光学系10が備えられている。投写光学系10は、光源としてのLED光源11と、光変調装置としての液晶ライトバルブ12と、投写レンズ13とを備えている。」
「【0032】
次に、本実施形態のプロジェクタ1の動作について、図面を参照して説明する。
図4は、画像を投写中のプロジェクタ1の動作を説明するフローチャートである。プロジェクタ1は、画像信号に応じた画像を投写している間、温度センサ24からの検知信号に応じて空冷ファン27の制御を行う一方で、図4に示すフローに従った動作を行う。
【0033】
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図4に示すように、ステップS101では、主制御部20は、温度センサ24による検出温度が第1の所定温度T1以上か否かを判断する。第1の所定温度T1未満であれば、プロジェクタ1は正常動作中であると判断して当該ステップを繰り返し、第1の所定温度T1以上であれば、装置が異常状態であると判断してステップS102に移行する。
【0034】
ステップS102に移行した場合には、主制御部20は、投写画像を用いて使用者に対する警告表示を行う。具体的には、主制御部20は、画像制御部26に対して、画像信号に応じた画像の投写を停止するとともに、画像形成領域12eからの投写画像を単一色(例えば、黄色一色)とするよう指示をする。画像制御部26は、前記指示を受け、自ら画像データを生成してライトバルブ駆動部29に出力することにより、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画像形成領域12e内の各画素12pの透過率を、投写画像が黄色一色となるように設定する。これにより、スクリーンSCの表示状態は、黄色一色の警告表示状態となり、主制御部20は、当該警告表示状態を一定時間(例えば、数秒)継続させた後、ステップS103に移行する。なお、主制御部20の指示により警告表示を行う画像制御部26、ライトバルブ駆動部29、投写光学系10が本発明の警告表示手段に相当する。
【0035】
ステップS103では、主制御部20は、画像制御部26に指示をして、警告表示状態を終了し、画像信号に応じた画像の投写を再開するように指示をする。
【0036】
ステップS104では、主制御部20は、温度センサ24からの検出温度が、第1の所定温度T1より高い第2の所定温度T2以上となったか否かを判断する。第2の所定温度T2未満である限り当該ステップを繰り返し、第2の所定温度T2以上になった場合には、ステップS105に移行する。
【0037】
内部温度が第2の所定温度T2以上となり、ステップS105に移行した場合は、主制御部20は、LED光源11の点灯がこれ以上継続することは装置にとって危険であると判断し、光源駆動部23に指示をしてLED光源11を消灯させた後、処理を終了する。」
「【図1】
[図:0001393819000013.jpg]
」
「【図4】
[図:0001393819000014.jpg]
」

(ウ) 周知技術2の認定

前記(ア)~(イ)に例示した内容から明らかなように、次の技術事項は周知である。(以下「周知技術2」という。)

[周知技術2]

「プロジェクタにおいて、警告をスクリーンに一定時間表示すること。」

(エ) 技術常識3の認定

前記(イ)に例示したように、次の技術事項は技術常識である。(以下「技術常識3」という。)

[技術常識3]

「装置において、危険度の段階に応じて、警告段階と、使用禁止段階を設定すること。」

(4) 対比

ア 対比分析

本件補正発明と引用発明を対比する。

(ア) 「投影装置」の発明である本件補正発明と、「プロジェクタ装置」の発明である引用発明は、「投影装置」の発明である点で一致する。

(イ) 引用発明における、「装置本体2内に」備えられる「投射光学系3」は、本件補正発明の「画像を投影する投影部」に相当する。したがって、本件補正発明と引用発明は、「画像を投影する投影部」を備える点で一致する。

(ウ) 本件補正発明の「変形パラメータ」(台形補正角度)が投影装置の投影角度(投影装置の傾き角度)と相関するものであることを考慮すると、引用発明における「直前(前回)の傾き角度情報」を記憶する「設置状態記憶部14」と「設置状態記憶部14」から「直前(前回)の傾き角度情報」を取得する「制御部10」の組合せと、本件補正発明における「据え付け時の初期設定として投影画像に対する変形パラメータが設定された場合に、当該設定された変形パラメータを初期値として登録する登録制御手段」は、「投影装置の投影角度に相関するパラメータを登録する登録制御手段」である点で共通する。

(エ)a 引用発明において、「制御部10は、取得した現在の傾き角度情報と取得した直前(前回)の傾き角度情報を比較して、傾き角度情報(即ち、プロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度)の変化が、傾き角度情報変化許容範囲を超えているか否かを判定し」、「この判定で傾き角度情報の変化が傾き角度情報変化許容範囲を超えていると判定した場合は、プロジェクタ装置1の設置位置が変化していると判定[する]」ものである。傾き角度情報変化許容範囲を超えていると判定する場合に閾値を用いることは技術常識である。

b ここで、本件補正発明の「変形パラメータ」(台形補正角度)は投影装置の投影角度(投影装置の傾き角度)と相関するものである。

c a及びbを踏まえると、引用発明の「制御部10」と、本件補正発明の「前記初期設定以後においてユーザ操作により前記変形パラメータが調整された場合に、前記変形パラメータの前記初期値からの調整度合いが第1閾値に達したか否か、及び前記第1閾値より大きい第2閾値に達したか否かを判定する判定手段」は、「投影装置の投影角度に相関するパラメータを判定のためのパラメータとして用いて、パラメータの変化のベースとなる値からの変化が第1閾値に達したか否かを判定する判定手段」である点で共通する。

(オ) 引用発明の「傾き角度情報の変化が傾き角度情報変化許容範囲を超えていると判定した場合」に「スクリーン5上に、警告メッセージを表示[する]」「制御部10」と、本件補正発明の「前記判定手段により前記調整度合いが、前記第1閾値に達した場合に所定のタイミングで注意喚起メッセージを含む画像を投影し、前記第2閾値に達した場合に所定のタイミングで異常を報知する報知制御手段」は、「前記判定手段の判定により、パラメータの変化のベースとなる値からの変化が前記第1閾値に達した場合に所定のタイミングで注意喚起メッセージを含む画像を投影する報知制御手段」である点で共通する。

イ 一致点及び相違点の認定

前記アの対比分析の結果を踏まえると、本願補正発明と引用発明は、次の一致点において一致し、相違点において相違する。

(ア) 一致点

「 画像を投影する投影部と、
投影装置の投影角度に相関するパラメータを登録する登録制御手段と、
投影装置の投影角度に相関するパラメータを判定のためのパラメータとして用いて、パラメータの変化のベースとなる値からの変化が第1閾値に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定により、パラメータの変化のベースとなる値からの変化が前記第1閾値に達した場合に所定のタイミングで注意喚起メッセージを含む画像を投影する報知制御手段と、
を備える投影装置」である点。

(イ) 相違点

a 相違点1

判定に用いる、投影装置の投影角度に相関するパラメータが、

本件補正発明においては、「ユーザ操作により」「調整される」「投影画像に対する変形パラメータ」であるのに対して、

引用発明においては、「傾き角度検出部22の加速度センサ等からのセンサ情報に基づく、プロジェクタ装置1(装置本体2)の水平位置に対する傾き角度」である点。

b 相違点2

判定方法における、パラメータの変化のベースとなる値が、

本願発明においては、「据え付け時の初期設定として」「設定された場合」の「当該設定された」「初期値」であるのに対して、

引用発明は「直前(前回)」の値である点。

c 相違点3

本件補正発明においては、判定手段はパラメータの変化のベースとなる値からの変化が「前記第1閾値より大きい第2閾値に達したか否か」も判定し、報知制御手段は「前記第2閾値に達した場合に所定のタイミングで異常を報知[し]」(以下、ここまでを「部分相違点3」という。)、「前記異常の報知後に所定時間が経過した場合、前記投影部の動作を停止させる」のに対して、

引用発明においては、「前記第1閾値より大きい第2閾値」に基づく制御は行われていない点。

d 相違点4

パラメータの変化のベースとなる値からの変化が第1閾値に達した場合における注意喚起メッセージを含む画像の投影の形態が、

本件補正発明においては「所定時間が経過した場合、前記注意喚起メッセージの通知を中止して前記投影部により入力された画像のみを投影[する]」のに対し、

引用発明においては、警告メッセージは、リモコン装置24等にある確認ボタンを押下げ操作されるまで表示される点。

(5) 判断

前記相違点1~4について検討する。

ア 相違点1について

前記(3)イ(イ)で説示したように「プロジェクタ装置の設置角度(傾き角度)と、それにより生じる台形歪を補正するために操作者が調整する台形補正角度の間には、相関関係があること」は技術常識(前記「技術常識1」)であるから、角度センサを用いることなく、操作者が調整する台形補正角度から角度変化の検出が可能であることも当業者には明らかである。

したがって、判定に用いる、投影装置の投影角度に相関するパラメータについて、引用発明のセンサ情報に基づく傾き角度に代えて、ユーザ操作による変形パラメータの調整度合いとし、相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得た設計変更にすぎない。

イ 相違点2について

前記(3)ウ(エ)で認定したように、「対象物の傾きなどの変位を検出する際に、基準となる初期値を登録し、その値からの変化により変位検出を行うこと」は、広範な分野における技術常識(前記「技術常識2」)である。そして、経時変化が徐々に起こることを考えると、パラメータの変化のベースとして、初期値を用いることは、極々自然な発想にすぎない。したがって、引用発明において、パラメータの変化のベースとなる値として、引用発明の前回の値に代えて、登録した初期値、すなわち、据え付け時の初期設定として設定された場合の当該設定された初期値を採用し、相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、自明の設計変更にすぎない。

ウ 相違点3について

a 例えば、一般に、交通信号機における黄色信号と赤信号が、概略「注意」と「禁止」と認識されているように、一般に報知の形態を注意と禁止の2段階にすることは当業者ならずとも一般人にも広く認識されていることであり、さらに、前記(3)エ(エ)において技術常識3として認定したように、「装置において、危険度の段階に応じて、警告段階と、使用禁止段階を設定すること」は、当業者にとっては、自明の設計指針にすぎない。

b そして、前記(3)ア(イ)において認定したように「プロジェクタにおいて重大な異常が発生した際に、このことを報知するとともに、電源をオフすることによりプロジェクタの安全性を確保すること」は、周知技術(周知技術1)である。

c したがって、引用発明において、第1の閾値より大きい所定の値である第2の閾値に達したときに、第1の閾値に達したときと同様に、警告メッセージを表示する(本件補正発明の「注意喚起メッセージを通知すること」に相当する)とともに、電源オフして動作を停止し、安全を確保することは、当業者にとっては、自明の設計変更にすぎない。

d なお、電源をオフにするのであるから、警告メッセージの表示継続時間は必然的に有限の時間となるところ、その値をどの程度とするかは、電源オフとする緊急性・深刻度などを考慮しつつ、当該メッセージの伝達に必要な時間を確保する観点から適宜選択されるべき設計事項にすぎない。

e したがって、相違点3は、当業者が容易に想到し得ることである。

エ 相違点4について

プロジェクタにおいて、警告をスクリーンに一定時間表示することは、前記(3)エ(ウ)において認定したように周知技術(周知技術2)である。したがって、引用発明において、警告メッセージが、リモコン装置24等にある確認ボタンを押下げ操作されるまで表示されることに代えて、スクリーンに一定時間表示するようにし、すなわち、所定時間が経過した場合、前記注意喚起メッセージの通知を中止して前記投影部により入力された画像のみを投影するようにし、相違点4に係る構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、自明の設計変更にすぎない。

オ 総合評価

前記相違点1から相違点4を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果としては、当業者が引用発明、周知技術1、2及び技術常識1~3からは予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1、2及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6) 請求人の主張について

ア 審判請求書の主張について

(ア)請求人は、審判請求書において、次のa及びbの主張をしている。

a 引用文献1-4のいずれにおいても、調整度合いが第1閾値に達した場合に投影する注意喚起メッセージを含む画像の投影後、所定時間が経過した場合に、注意喚起メッセージの通知を中止して投影部により入力された画像のみを投影し、調整度合いが第2閾値に達した場合に報知する異常の報知後、所定時間が経過した場合に、投影部の動作を停止させる点については開示されていない。

b 本件補正発明は、調整度合いが第1閾値に達した場合、注意喚起メッセージにより、利用者に注意を喚起して異常がないかを点検するよう促すが、調整度合いは第1閾値と第2閾値との間にあるため、仮に不具合があったとしても、修理または交換するまで使用を継続することができる。しかし、調整度合いが第2閾値に達した場合には、筐体の劣化が大きく危険と判断されるため、異常の報知後に所定時間が経過した場合には投影部の動作を停止させ、利用できないようにするものである。このような構成や効果は、引用文献1-4には開示されていない。

(イ) 請求人の主張を検討すると、請求人が引用文献に開示されていないと主張する構成は、前記相違点3及び相違点4に相当するものであるところ、当該相違点3及び相違点4については、前記(5)ウ及びエにおいて検討したとおり、当業者が容易に想到し得たものであるから、請求人の主張を採用することはできない。

イ 上申書の主張について

請求人は上申書において、本件補正発明の「前記異常の報知後に所定時間が経過した場合、前記投影部の動作を停止させる」との記載を「前記異常の報知後に、前記投影部の動作を停止させる」に補正する補正案を示している。

しかし、当該補正案は本件補正発明において、投影部の動作を停止させるための条件である「前記異常の報知後に所定時間が経過した場合」のうち「所定時間が経過した場合」を削除するものであるから、前記(5)ウで示した結論に影響を与えるものではない。

(7) 小括

以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の1(1)に示した本件補正前の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

拒絶の理由(進歩性欠如)

本願発明は、前記引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

3 引用文献2に記載された発明

前記引用文献2には、前記第2の3(2)ア(イ)の[引用発明]において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。

4 対比・判断

本願発明は、本件補正発明の「報知制御手段」について、「前記注意喚起メッセージを含む画像の投影後に所定時間が経過した場合、前記注意喚起メッセージの通知を中止して前記投影部により入力された画像のみを投影し、前記異常の報知後に所定時間が経過した場合、前記投影部の動作を停止させる」ものであるという限定を省いたものである。

この点を踏まえると、本願発明と引用発明の相違点は、前記相違点1、前記相違点2及び前記部分相違点3である。

そうすると、前記第2の3(5)ア~ウにおいて説示したとおり、前記相違点1、前記相違点2及び前記部分相違点3については、引用発明、周知技術1及び技術常識1~3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も引用発明、周知技術1及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

第4 むすび

以上検討のとおりであるから、本願発明は特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-003230

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