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特許拒絶査定不服審判

2022-002575

遊技機

審判番号
2022-002575
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-045785外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月21日
審決日
2022年10月18日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .161-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条の2
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 45785「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月18日出願公開、特開2020- 93129〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成28年7月4日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2016-132852号の一部を令和2年3月16日に新たな特許出願(特願2020-45785号)としたものであって、令和3年4月6日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月19日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年10月21日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月9日付け(送達日:同年同月14日)で、同年10月21日になされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和4年2月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正の概要

(1)本件補正は、

令和3年6月4日に提出された手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、

「遊技に関する制御を行う制御手段を備えた遊技機において、
遊技で使用された遊技媒体数を検出可能な使用遊技媒体数検出手段を備え、
前記制御手段は、遊技媒体の付与に関する所定の表示を表示可能な表示部を備えるとともに、当該表示部の表示態様を制御可能であり、
前記表示部は、第1の表示領域と、前記第1の表示領域に隣接した表示領域であり前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域と、を備え、
前記第1の表示領域は、前記遊技媒体の付与に関する所定の割合を示す第1の表示を表示可能であり、
前記第2の表示領域は、分類又は表示種別を示す第2の表示を表示可能であり、
前記第1の表示及び前記第2の表示からなる前記表示部の表示態様には、第1の態様と、前記第1の態様とは異なる第2の態様と、前記第1の態様及び前記第2の態様とは異なる第3の態様と、が含まれ、
前記制御手段は、
前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が所定数以上であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第3の態様で表示するように制御可能であり、
前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が前記所定数未満であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第1の態様で表示するように制御可能であることを特徴とする遊技機。」

とあったものを、

「遊技に関する制御を行う制御手段を備えた遊技機において、
遊技で使用された遊技媒体数を検出可能な使用遊技媒体数検出手段を備え、
前記制御手段は、遊技媒体の付与に関する所定の表示を表示可能な7セグメントLEDで構成される表示部を備えるとともに、当該表示部の表示態様を制御可能であり、
前記表示部は、第1の表示領域と、前記第1の表示領域に隣接した表示領域であり前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域と、を備え、
続きを表示(全11行)
前記第1の表示領域は、前記遊技媒体の付与に関する所定の割合を示す第1の表示を表示可能であり、
前記第2の表示領域は、分類又は表示種別を示す第2の表示を表示可能であり、
前記第1の表示及び前記第2の表示からなる前記表示部の表示態様には、第1の態様と、前記第1の態様とは異なる第2の態様と、前記第1の態様及び前記第2の態様とは異なる第3の態様と、が含まれ、
前記制御手段は、
前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が所定数以上であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第3の態様で表示するように制御可能であり、
前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が前記所定数未満であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第1の態様で表示するように制御可能であり、
前記第2の表示領域は、前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させることを特徴とする遊技機。」

と補正するものである(下線は、補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。

ア 本件補正前の請求項1の「表示部」について、「7セグメントLEDで構成される」ことを限定する補正。

イ 本件補正前の請求項1の「第2の表示領域」について、「前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる」ことを限定する補正。

2 本件補正の目的と新規事項追加の有無について

(1)上記1(2)アの補正は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0112】等に記載の事項に基づいて、本件補正前の請求項1の「表示部」について、「7セグメントLEDで構成される」ことを限定するものである。

(2)上記1(2)イの補正は、当初明細書等の【0787】、図77等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1の「第2の表示領域」について、「前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる」ことを限定するものである。

(3)本件補正は、上記(1)及び(2)のとおり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、について以下に検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号A等は、分説するため合議体が付した。

「A 遊技に関する制御を行う制御手段を備えた遊技機において、
B 遊技で使用された遊技媒体数を検出可能な使用遊技媒体数検出手段を備え、
C 前記制御手段は、遊技媒体の付与に関する所定の表示を表示可能な7セグメントLEDで構成される表示部を備えるとともに、当該表示部の表示態様を制御可能であり、
D 前記表示部は、第1の表示領域と、前記第1の表示領域に隣接した表示領域であり前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域と、を備え、
続きを表示(全12行)
E 前記第1の表示領域は、前記遊技媒体の付与に関する所定の割合を示す第1の表示を表示可能であり、
F 前記第2の表示領域は、分類又は表示種別を示す第2の表示を表示可能であり、
G 前記第1の表示及び前記第2の表示からなる前記表示部の表示態様には、第1の態様と、前記第1の態様とは異なる第2の態様と、前記第1の態様及び前記第2の態様とは異なる第3の態様と、が含まれ、
H 前記制御手段は、
H1 前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が所定数以上であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第3の態様で表示するように制御可能であり、
H2 前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が前記所定数未満であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第1の態様で表示するように制御可能であり、
I 前記第2の表示領域は、前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる
J ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献等の記載事項

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ア 先願1

(ア)第1実施形態についての記載事項

原査定の拒絶の理由において先願1として引用された、本願の遡及日前の他の特許出願であって、本願の遡及日後に出願公開がなされた特願2016-96552号(特開2017-202204号)(出願日:平成28年5月12日、出願公開日:平成29年11月16日、出願人:サミー株式会社、発明者:梅津 裕和、佐潟 晋佑)(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0046】
「ベット」とは、遊技を行うためにメダル(遊技媒体)を賭けることをいう。本実施形態において、役物非作動時(通常遊技中)において、遊技可能なベット枚数(規定数)は、3枚に設定されている。一方、役物(1BB)作動中は、遊技可能なベット枚数(規定数)は、2枚に設定されている。メダルをベットするには、メダル投入口から実際のメダルを手入れ投入するか、又は貯留されているメダルをベットするためにベットスイッチを操作する。
なお、「遊技媒体」は、本実施形態ではメダルであるが、たとえば封入式遊技機のような場合には、遊技媒体として電子情報が用いられる。なお、「電子情報」とは、たとえば貸出し機に金銭(紙幣)を投入すると、その金銭に対応する分の電子情報に変換されるとともに、その電子情報の一部又は全部を、遊技機で遊技を行うための遊技媒体として遊技機に貯留可能となるものである。
また、後述する役物比率等の表示については、スロットマシンに限らず、弾球遊技機にも適用することが可能であるので、「遊技媒体」には、メダルに限らず、遊技球も含まれる。」
「【0050】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。
続きを表示(全70行)
スロットマシン10に設けられた代表的な制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備える。
メイン制御基板50は、入力ポート51及び出力ポート52を有し、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備える(図1で図示したもののみを備える意味ではない)。
…
【0052】
RWM53は、遊技の進行等に基づいた各種データ(変数)を記憶(更新)可能な記憶媒体である。後述する管理情報を表示するために必要なデータ(総遊技回数等)は、RWM53に記憶される。
ROM54は、遊技の進行に必要なプログラムや各種データ(たとえば、データテーブル)等を記憶しておく記憶媒体である。
【0053】
メインCPU55は、メイン制御基板50上に設けられたCPUを指し、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い、具体的には、役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等を実行する。
メインCPU55は、レジスタを内蔵する。特に本実施形態では、複数(たとえばAレジスタ~Lレジスタ、及び送信用レジスタ等)設けられている。
…
【0065】
貯留数表示LED76は、スロットマシン10内部に貯留されたメダル枚数を表示するLEDであり、上位桁を表示するデジット1と、下位桁を表示するデジット2とから構成されている。すなわち、貯留数表示LED76は、2桁を表示する。
ここで、「デジット」とは、表示部(ディスプレイ)を意味し、特に本実施形態では、セブンセグメントLED(いわゆる7セグ)及びセグメントDP(デシマルポイント。小数点を表示するドット状のLED)から構成されている。
なお、図2に示すように、表示基板75上に実装されたデジットはデジット1~4の4個であるが、本実施形態では9個のデジットを有し、他のデジットは、メイン制御基板60上に搭載されている(詳細は後述する)。
…
【0079】
また、デジット6~9は、管理情報表示LED74である。管理情報表示LED74は、その視認性確保のため、たとえば1個のデジット筐体につき、図3(a)中、
横幅m1×縦幅n≧36平方ミリメートル
の大きさに設計することが好ましい。あるいは、管理情報表示LED74を1個の横長(横幅m2)のデジット筐体としたときは、
横幅m2×縦幅n÷4(桁数)≧36平方ミリメートル
の大きさに設計することが好ましい。
【0080】
図3において、(a)の例1では、メイン制御基板50は1個であるが、これに限らず、(b)の例2のように、メイン制御基板50を複数個の別基板から構成し、各基板をハーネス等で接続したものであってもよい。ただし、メイン制御基板50を複数個の別基板から構成しても、全体を基板ケース16に収容し、封印することが必要である。
図3(b)の例では、メイン制御基板50を、2個のメイン制御基板50A及び50Bとし、各メイン制御基板50A及び50Bにそれぞれコネクタを設け、このコネクタ間をハーネスで接続している。しかし、これに限らず、メイン制御基板50Aと50Bとを直結できるコネクタを使用し、ハーネスを用いなくてもよい(後述する図42(b)も同様である。)。
また、設定値表示LED73は、メイン制御基板50A側に設けているが、管理情報表示LED74は、メイン制御基板50B上に搭載している。すなわち、メイン制御基板50Bは、管理情報表示LED74を搭載するための表示基板としての役割を兼ねる。
【0081】
さらに、管理情報表示LED74は、(a)の例1で示したような横1列にする場合の他、(b)の例2のように、たとえばデジット6及び7を上段1列に配置し、デジット8及び9を下段1列に配置してもよい。
【0082】
図4は、デジット1~9と、セグメントA~G、及びセグメントDPとの関係を示す図である。
上述したが、各デジットは、7個の棒状のセグメントA~Gと、1個のドット状のセグメントDPとから構成され、セグメントA~G(7個)により、いわゆる7セグを構成している。
…
【0085】
セグメント6~9は、管理情報表示LED74を構成し、セグメント6及び7は、管理情報のうち、情報種別を表示する。また、セグメント8及び9は、管理情報のうち、セグメント6及び7で表示した情報種別に対応する数値を表示する。デジット6~9のセグメントDPは未使用である。ただし、管理情報表示LED74を点灯させるときには、デジット7のセグメントDPを点灯させることも可能である。また、デジット7のセグメントDPを点灯させることにより、情報種別を示すデジット6及び7と数値を示すデジット8及び9の境界を明確にし、確認を容易にすることができる。
…
【0393】
図1において、管理情報制御手段72は、管理情報表示LED74に表示する管理情報を制御(記憶、演算、表示等)する手段である。
本実施形態において、管理情報表示LED74に表示すべき情報は、
(1)有利区間割合(累計)
(2)連続役物比率(6000遊技(15セット合計))
(3)役物比率(6000遊技(15セット合計))
(4)連続役物比率(累計)
(5)役物比率(累計)
の5つである(後述する図38参照)。
…
【0398】
図27~図31(図31は、図29の変形例を示す)は、管理情報制御手段72によって制御されるRWM53の一部の記憶領域を示す図である。図中、「F」から始まる4桁の数値は、RWM53のアドレスを示している。各アドレスごとに、1バイト(8ビット)データのバッファ(記憶領域)が設けられている。
…
【0407】
図28は、全払出し枚数に関するデータを記憶するバッファを示す図である。小役の入賞によりメダルが払い出されたときは、それぞれ、RWM53の所定の記憶領域に記憶された値が更新される。
図28に示すように、2バイトデータ(たとえば「F012(上位桁)」及び「F011(下位桁)」)からなる記憶領域が15個(01セット~15セット)設けられたリングバッファを備える。
そして、各2バイトデータには、400遊技間の払出し枚数が記憶される。たとえば、9枚役が入賞し、9枚の払出しがあったときは、全払出し枚数に「9(D)」が加算される。
ここで、規則上のスロットマシンでは、1遊技での最大払出し枚数は「15」枚以下と定められており、毎遊技、15枚の払出しがあったと仮定すると、400遊技では、「6000」枚となる。「6000(D)」は、2進数では13桁となるので、2バイト(16桁)で記憶可能である。
…
【0413】
図29は、RWM53のうち、連続役物に関する払出し枚数に関するデータを記憶するバッファを示す図である。
図29に示すように、3バイトデータ(たとえば、01セット目は、「F043(最上位桁)」~「F041(最下位桁)」)からなる記憶領域が15個設けられたリングバッファを備える。
…
【0423】
図30は、RWM53のうち、役物の払出し枚数に関するデータを記憶するバッファを示す図である。図30と図29とを対比すれば明らかであるが、連続役物の払出し枚数対応値を記憶するバッファと同様に、役物の払出し枚数対応値を記憶するバッファについても設けられている。役物の払出し枚数対応値等を記憶するバッファは、連続役物の払出し枚数対応値等を記憶するバッファと同一の構成からなる。
…
【0485】
上記と同様に、連続役物比率(6000遊技)、及び役物比率(6000遊技)を表示する場合において、総遊技回数が「6000」遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点滅表示する。これに対し、総遊技回数が「6000」遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点灯表示する。
したがって、連続役物比率(6000遊技)、及び役物比率(6000遊技)を表示する場合には、上記と同様に、図27中、総遊技回数(「F007」~「F005」)の値を読み込み、「6000」遊技に達しているか否かを判断し、その結果に応じて、表示パターンを異ならせる。
【0486】
さらに同様に、連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合において、総遊技回数が「175000」遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点滅表示する。これに対し、総遊技回数が「175000」遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点灯表示する。
したがって、連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合には、図27中、総遊技回数(「F007」~「F005」)の値を読み込み、「175000」遊技に達しているか否かを判断し、その結果に応じて、表示パターンを異ならせる。」
「【0500】
<第2実施形態>
続いて、本願発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、メイン制御基板50(メイン制御基板50A及び50Bに分割されている場合にあってはメイン制御基板50B)上に搭載された管理情報表示LED74(デジット6~9)を、常時、点灯状態としたものである。
続きを表示(全11行)
常時点灯させた場合、図38で示した5つの情報をどのように表示するかについては種々挙げられるが、たとえば、5秒ごとに、表示する管理情報を更新していくことが挙げられる。具体的には、「U750」(5秒間表示)→「y645」(5秒間表示)→・・・「A752」(5秒間表示)→「U750」(5秒間表示)→・・・と表示することが挙げられる。なお、各情報表示の間に、0.5~1秒程度のデジット消灯時間を設けてもよい。
…
【0521】
(9)本実施形態のスロットマシン10は、有利区間割合が「70」(%)以下となるように設計される。このため、市場において有利区間割合が「70」(%)を超えることは想定していない。しかし、たとえばゴト行為等が行われたとき等に、有利区間割合が「70」(%)を超える可能性は否定できない。そこで、たとえば有利区間割合を記憶している「F008」のデータ値を監視し、その値が「70(D)」を超えているときは、何らかの警告を出力したり、有利区間割合の表示を通常時と異ならせる(異常である旨を表示する)ことが挙げられる。たとえば、有利区間割合の情報種別「U7」の表示のうち、上位桁「U」と下位桁「7」とを交互に高速点滅させる方法等が挙げられる。
【0522】
また、同様に、連続役物比率や役物比率についても設計値上限をたとえば「60(%)」とした場合において、連続役物比率や役物比率が設計値上限を超えたときは、何らかの警告を出力したり、情報種別の表示を上記と同様に表示する方法等が挙げられる。
あるいは、外部信号送信手段70を用いて有利区間割合の情報等をホールコンピュータ200に送信し、たとえば有利区間割合が「70」(%)を超えたときは、警告に係る情報を送信することが挙げられる。」
「【0550】
(24)図27~図30で示したRWM53のデータの更新、及び図32、図36、図37の処理は、毎遊技の遊技終了時、より具体的には、入賞判定処理後に実行される。
一方、第2実施形態では、有利区間割合等の管理情報は、常時表示され続けるので、たとえば、一遊技中で、同一の管理情報(たとえば有利区間割合)が複数回表示される可能性もある。
そして、有利区間割合等は、表示の際に、その都度算出することも考えられる。
以上より、一遊技中で、複数回、同一の管理情報(たとえば有利区間割合)を算出する場合もあり得る。
(25)上記実施形態及び各種の変形例は、単独で実施されることに限らず、適宜組み合わせて実施することが可能である。」
「【図1】
[図:0001392898000001.jpg]
」

(イ)認定事項

(イ-1)図1によれば、メインCPU55は、管理情報制御手段72を備えることがみてとれる(以下「認定事項1」という。)。

(イ-2)【0393】の

「本実施形態において、管理情報表示LED74に表示すべき情報は、
…
(2)連続役物比率(6000遊技(15セット合計))
(3)役物比率(6000遊技(15セット合計))」

との記載、【0485】の

「連続役物比率(6000遊技)、及び役物比率(6000遊技)を表示する場合において、総遊技回数が「6000」遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点滅表示する。これに対し、総遊技回数が「6000」遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点灯表示する。」

との記載、及び【0486】の

「連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合において、総遊技回数が「175000」遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点滅表示する。これに対し、総遊技回数が「175000」遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点灯表示する。」

との記載から、

「管理情報表示LED74に表示すべき情報は、連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)を含」むこと、

「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、及び役物比率(第1の所定数の遊技)を表示する場合において、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点滅表示し、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点灯表示」すること、

「連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合において、総遊技回数が第2の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点滅表示し、総遊技回数が第2の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点灯表示する」こと

が記載されていると認められる(以下「認定事項2」という。)。

(イ-3)【0082】に「各デジットは、7個の棒状のセグメントA~Gと、1個のドット状のセグメントDPとから構成され、セグメントA~G(7個)により、いわゆる7セグを構成している」と記載され、また、【0085】に「情報種別を示すデジット6及び7と数値を示すデジット8及び9」と記載されていることから、【0085】の「セグメント6~9は、管理情報表示LED74を構成し、セグメント6及び7は、管理情報のうち、情報種別を表示する。また、セグメント8及び9は、管理情報のうち、セグメント6及び7で表示した情報種別に対応する数値を表示する」との記載における「セグメント6~9」、「セグメント6及び7」及び「セグメント8及び9」は、それぞれ「デジット6~9」、「デジット6及び7」及び「デジット8及び9」を意味するものであると認められる(以下「認定事項3」という。)。

(ウ)先願第1実施形態発明

以上の記載事項及び認定事項1~3によれば、先願明細書等には、第1実施形態として以下の発明(以下「先願第1実施形態発明」という。)が記載されている(分説a等は、本願補正発明の分説A等に対応させて付与した。)。

(先願第1実施形態発明)

「a メイン制御基板50を備えるスロットマシン10において、メイン制御基板50は、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備え(【0050】)、メインCPU55は、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い(【0053】)、
b RWM53は、遊技の進行等に基づいた各種データ(変数)を記憶(更新)可能な記憶媒体であり、管理情報を表示するために必要なデータ(総遊技回数等)は、RWM53に記憶され(【0052】)、RWM53の一部の記憶領域には、全払出し枚数に関するデータを記憶するバッファ、連続役物に関する払出し枚数に関するデータを記憶するバッファ、役物の払出し枚数に関するデータを記憶するバッファが設けられており(【0398】、【0407】、【0413】、【0423】)、
ci メインCPU55は、管理情報制御手段72を備え(認定事項1)、管理情報制御手段72は、管理情報表示LED74に表示する管理情報を制御(記憶、演算、表示等)する手段であり、管理情報表示LED74に表示すべき情報は、連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)を含み(【0393】、認定事項2)、管理情報表示LED74は、メイン制御基板50B上に搭載され(【0080】)、デジット6~9は、管理情報表示LED74であり(【0079】)、「デジット」とは、セブンセグメントLED(いわゆる7セグ)及びセグメントDP(デシマルポイント。小数点を表示するドット状のLED)から構成され(【0065】)、管理情報表示LED74を点灯させるときには、デジット7のセグメントDPを点灯させることが可能であり、デジット7のセグメントDPを点灯させることにより、情報種別を示すデジット6及び7と数値を示すデジット8及び9の境界を明確にし、確認を容易にすることができ(【0085】)、
def 管理情報表示LED74は、横1列に配置され(【0081】)、デジット6~9は、管理情報表示LED74を構成し、デジット6及び7は、管理情報のうち、情報種別を表示し、デジット8及び9は、管理情報のうち、デジット6及び7で表示した情報種別に対応する数値を表示し(【0085】、認定事項3)、
gh 連続役物比率(第1の所定数の遊技)、及び役物比率(第1の所定数の遊技)を表示する場合において、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点滅表示し、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点灯表示し(【0485】、認定事項2)、連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合において、総遊技回数が第2の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点滅表示し、総遊技回数が第2の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点灯表示する(【0486】、認定事項2)
j スロットマシン10(【0050】)。」

(エ)先願発明

先願明細書等の【0046】には、「また、後述する役物比率等の表示については、スロットマシンに限らず、弾球遊技機にも適用することが可能であるので、「遊技媒体」には、メダルに限らず、遊技球も含まれる。」と記載されていることから、先願明細書等には、「スロットマシン」の発明である上記先願第1実施形態発明を、「弾球遊技機」に適用することが記載されており、その場合には、「遊技媒体」は、「スロットマシン」における「メダル」から、「弾球遊技機」における「遊技球」に置き換えられることから、上記第1実施形態発明における「払出し枚数」は、「払出し球数」に置き換えられるべきことは自明である。

したがって、先願明細書等には、上記先願第1実施形態発明において、「スロットマシン」及び「払出し枚数」を、それぞれ「弾球遊技機」及び「払出し球数」に置き換えたものが記載されていると認められる(以下「認定事項4」という。)。

さらに、先願明細書等の【0521】、【0522】には、第2実施形態として、連続役物比率や役物比率が設計値上限を超えたときは、情報種別の表示のうち、上位桁と下位桁とを交互に高速点滅させることが記載されているところ、先願明細書等の【0550】には、「(25)上記実施形態及び各種の変形例は、単独で実施されることに限らず、適宜組み合わせて実施することが可能である。」と記載されていることを踏まえると、先願明細書等には、上記先願第1実施形態発明において、「連続役物比率や役物比率が設計値上限を超えたときは、情報種別の表示のうち、上位桁と下位桁とを交互に高速点滅させること」が記載されていると認められる(以下「認定事項5」という。)。

そうすると、先願明細書等には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている(分説a等は、本願補正発明の分説A等に対応させて付与した。)。

(先願発明)

「a メイン制御基板50を備える弾球遊技機において、メイン制御基板50は、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備え(【0046】、【0050】、認定事項4)、メインCPU55は、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い(【0053】)、
b RWM53は、遊技の進行等に基づいた各種データ(変数)を記憶(更新)可能な記憶媒体であり、管理情報を表示するために必要なデータ(総遊技回数等)は、RWM53に記憶され(【0052】)、RWM53の一部の記憶領域には、全払出し球数に関するデータを記憶するバッファ、連続役物に関する払出し球数に関するデータを記憶するバッファ、役物の払出し球数に関するデータを記憶するバッファが設けられており(【0046】、【0398】、【0407】、【0413】、【0423】、認定事項4)、
ci メインCPU55は、管理情報制御手段72を備え(認定事項1)、管理情報制御手段72は、管理情報表示LED74に表示する管理情報を制御(記憶、演算、表示等)する手段であり、管理情報表示LED74に表示すべき情報は、連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)を含み(【0393】、認定事項2)、管理情報表示LED74は、メイン制御基板50B上に搭載され(【0080】)、デジット6~9は、管理情報表示LED74であり(【0079】)、「デジット」とは、セブンセグメントLED(いわゆる7セグ)及びセグメントDP(デシマルポイント。小数点を表示するドット状のLED)から構成され(【0065】)、管理情報表示LED74を点灯させるときには、デジット7のセグメントDPを点灯させることが可能であり、デジット7のセグメントDPを点灯させることにより、情報種別を示すデジット6及び7と数値を示すデジット8及び9の境界を明確にし、確認を容易にすることができ(【0085】)、
def 管理情報表示LED74は、横1列に配置され(【0081】)、デジット6~9は、管理情報表示LED74を構成し、デジット6及び7は、管理情報のうち、情報種別を表示し、デジット8及び9は、管理情報のうち、デジット6及び7で表示した情報種別に対応する数値を表示し(【0085】、認定事項3)、
gh 連続役物比率(第1の所定数の遊技)、及び役物比率(第1の所定数の遊技)を表示する場合において、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点滅表示し、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点灯表示し(【0485】、認定事項2)、連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合において、総遊技回数が第2の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点滅表示し、総遊技回数が第2の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点灯表示し(【0486】、認定事項2)、連続役物比率や役物比率が設計値上限を超えたときは、情報種別の表示のうち、上位桁と下位桁とを交互に高速点滅させる(【0521】、【0522】、【0550】、認定事項5)
j 弾球遊技機(【0046】、認定事項4)。」

イ 引用文献2及び引用文献3

(ア)引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-87235号公報(平成28年5月23日出願公開、以下同じく「引用文献2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている

「【0178】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態について図29を参照して説明する。なお、第4実施形態は本発明の遊技機をパチンコ遊技機に適用した例であり、基本的な電気的な構成および動作は、上記した第1実施形態とほぼ同じであるものとし、以下では、上記した第1実施形態と異なる点について説明することとし、第1実施形態と同様の構成・動作については、同一符号を引用することにより説明を省略するものとする。
【0179】
続きを表示(全13行)
パチンコ遊技機の場合、上記したスロットマシン1とは異なり、所定集計基準や設定集計基準は球の発射数もしくは遊技(プレイ)時間で表現されるため、図29に示すように、第4実施形態では、発射球が短期6000発を所定集計基準としてこれを第1期(Q1)とし、設定集計基準である中期60000発までの第10期(Q10)にわたる遊技情報をRWM65の未使用領域に記憶するようにし、1期あたり6000発(短期)として10期分の合計60000発分(中期)のデータを記憶するリングバッファ構成の記憶領域をRWM65に形成している点が第1実施形態と大きく異なる。
【0180】
図29に示すように、例えば第1期(Q1)分のデータを記憶するために、RWM65の未使用領域に6000発分の図5の遊技数カウンタ652と同様の発射球カウンタによる発射球数、払い出された遊技球の総和を表す総賞球数、チャッカーへの入賞による入賞払出球数、第1種/第2種非電動役物への入賞による第1種/第2種非電動役物払出球数、普通電動役物への入賞による普通電動役物払出球数、特別電動役物Aへの入賞による特別電動役物A払出球数、特別電動役物Bへの入賞による特別電動役物B払出球数を記憶する各2Bの記憶領域、および第1~10期(Q1~Q10)の合計分(QS)について2Bの記憶領域がRWM65のアドレスF200Hを先頭とする512Bの未使用領域に形成される。そして、これら発射球数、総賞球数、入賞払出球数、第1種/第2種非電動役物払出球数、普通電動役物払出球数、特別電動役物A払出球数、特別電動役物B払出球数の累積値が、RWM65の投入・払出枚数格納手段653のアドレスF200Hを先頭とする512Bの未使用領域に設けられた作業領域(SA)を用いて記憶される。
【0181】
また、図29に示すように、第1期(Q1)~第10期(Q10)それぞれにおける短期出玉率NGフラグを記憶するために1Bずつの記録領域がRWM65に形成される。さらに、中期出玉率(賞球÷60000)、特別電動役物A,Bの合計払出球数の賞球に対する比率である特別電動役物比率、および、第1種役物/第2種非電動役物・普通電動役物・特別電動役物A,Bの合計払出球数の賞球に対する比率である役物比率を記憶するために各1Bずつの記憶領域がRWM65に形成される。なお、パチンコ遊技機の場合、風営法の規則により、中期出玉率は0.5~2.0、特別電動役物比率は0.6未満、役物比率は0.7未満となるように設計しなければならない。
【0182】
なお、図29の第1期(Q1)ないし第10期(Q10)におけるRWM65の各記憶領域への記憶動作は、上記した第2実施形態とほぼ同様であり、詳細な説明は省略する。
【0183】
したがって、第4実施形態によれば、パチンコ遊技機における遊技情報を、スロットマシン同様、簡単にチェックすることができる。」

(イ)引用文献3

原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2003-126499号公報(平成15年5月7日出願公開、以下同じく「引用文献3」という。)には、遊技機、遊技機用のプログラム及び記憶媒体(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている

「【0078】なお、パチンコ遊技機Iにおいて「遊技の回数」が1回とは、例えば、通常、パチンコ球の発射から、発射した球が遊技盤1の遊技領域3内に入ることを経て、入賞口4,9に入って相応する払出しが終了するか、アウト口26に入るかまでか、次の遊技発射までかの間の1サイクルをいう。また、図柄表示装置30の変動開始から終了までを1サイクルとしてもいい。」

「【0121】[比率制御手段]次に、主制御装置60が比率制御プログラムを実行して行う、比率制御手段を説明する。この比率制御プログラムは主制御装置60のROM60cに登録されている。
【0122】尚、この実施の形態において、所定回数にて行われる遊技が、前記単位遊技の1以上からなる遊技の1以上である事とする。又、前記所定回数は60000回~300000回の中で定められた時間であり、この実施の形態では180000回である。又、前記所定回数を3000回~12000回の中で定められた回数として、実施の形態を6000回とするなど、遊技機の機能や性能等に対応して適宜任意の回数に変更する事も可能である。
【0123】比率制御プログラムは、パチンコ球をパチンコ遊技機Iに供給する事によって遊技を行う事ができ、遊技の結果としてパチンコ遊技機Iからパチンコ球が払出されるように構成されたパチンコ遊技機Iであって、遊技の結果パチンコ遊技機Iから払出される総払出パチンコ球数に対する役物入賞による総払出パチンコ球数の比率に関して、所定範囲内に収めるための手段を記した制御プログラムである。そして、比率制御プログラムは、所定回数における前記比率を予め設定された所定範囲内となるように制御する制御手段を実行処理する制御手段(主制御装置60)により実行される。
【0124】なお、この実施の形態では、ハンドル28の操作により遊技球発射装置71が所定回数に渉り打出したパチンコ球(使用遊技媒体数)によって賞球扱いとなり払出機構から払出された払出遊技媒体数に対する、役物入賞にて賞球扱いとなり払出機構から払出され得る払出遊技媒体数(パチンコ球数)の比率が一定の範囲内に収まるように比率制御されたパチンコ遊技機Iからなる。
続きを表示(全18行)
【0125】また、この実施の形態において、役物入賞とは、通常、1回の入賞(入賞装置の入賞口スイッチ5により検知されたこと)によって多くパチンコ球が払出される入賞のことをいう。
【0126】一般的な弾球遊技機で例えると、入賞口4近傍に電気的に動かす事が可能な可動翼片(可動部材)4a,4bを設けた入賞装置を役物(例えば、電動チューリップ)といい、該役物の入賞口に入賞したものを役物入賞(例えば、始動口入賞)としている。また、該役物を継続的に連続して作動させることにより、大量の遊技媒体を獲得できるような該役物の入賞口(アタッカー内部に設けられたVゾーン)に入賞したものを連続役物入賞(例えば、アタッカー入賞あるいは大入賞)とし、該役物入賞の中の1つとして扱っている。更に、例外的ではあるが、払出パチンコ球が無しを含む少量、若しくは比較的多くない場合の入賞でも、該入賞により特別な権利が得られるものも役物入賞として含めても良い。本発明においては、前記多くパチンコ球が払出される入賞、又は、前記一般的な例で記載した内容のいずれの役物入賞でも良い。
【0127】また、この実施の形態の比率制御では、前記所定範囲として上限値を規定したものを特徴とするが、下限値においても規定しているため、確実に遊技者に対して大きな利益又は不利益の出にくい一定の範囲内に前記比率の値が収まるようにしている。
【0128】更に、この実施の形態の比率制御プログラムにより制御処理する主制御装置60は、所定回数にて行われる遊技における総払出パチンコ球数に対する役物入賞にて得られる総払出パチンコ球数の比率に上限を設けて、該上限を越えないよう制御する比率抑制制御プログラム(手段)、又は、比率促進制御プログラム(手段)により実行処理させる役物比率制御プログラム(手段)としての機能を備えている。
【0129】そして、前記比率制御プログラム(手段)における前記役物比率制御手段において、所定回数に対して規定した所定範囲は、この実施の形態では図8または図10に示すように前記比率の上限値を0.7倍と規定し、その下限値を0.5倍と規定している。
【0130】なお、前記上限値と下限値の数値は、必要に応じて適宜決定するものであり、前記所定範囲内として規定された前記比率の前記数値は少なくとも比較的少ない回数で著しい利益を得られる事もなく、また、少なくとも比較的少ない回数で著しい利益を得られるかも知れないという幻想的な期待感を遊技者に与えてしまう事もなく、遊技に没頭する結果大きな不利益を生ぜしめる事のないような数値を目標として規定してある。
【0131】主制御装置60内に備えられたROM60cには、図10に示すように前記所定範囲(0.7~0.5)を規定した前記比率と回数との関係を表すようになるように制御処理を行わせる役物比率制御プログラムが登録されている。なお、図10において縦軸は比率を示し、横軸は回数を示しており、曲線(イ)は前記遊技の結果パチンコ遊技機Iから払出される総払出パチンコ球数に対する役物入賞にて得られる総払出パチンコ球数の比率を時間毎に表した1つの例である。
【0132】よって、前記役物比例制御手段では、主制御装置60が180000回を、例えば15等分した12000回(d)毎に、遊技の結果にて得られる全ての賞球扱いとして払出機構から払出されるパチンコ球(払出遊技媒体数)に対する役物入賞にて払出される全てのパチンコ球(払出遊技媒体数)の比率を算出し、算出した前記比率が図10のグラフに示す前記所定範囲(0.7~0.5)の中に有るか否かを繰返し監視し(図8参照)、そして、前記所定範囲外となるようであれば、前記役物比率制御手段として後述する抑制制御手段または促進制御手段に指示命令を行い、前記所定範囲内に収まるように役物比率制御処理を行わせるようになっている。また、監視を行う期間を実施例(図10)で示したような回数毎ではなく、一定の所定時間毎又は所定量となった払出しパチンコ球数毎に監視するようにしても良い。
【0133】また、この実施の形態の比率制御手段により制御処理する主制御装置60は、所定回数にて行われる遊技における総払出パチンコ球数に対する役物入賞を連続的に行うことのできる連続役物入賞にて得られる総払出パチンコ球数の比率に上限を設けて、該上限を超えないよう制御する比率抑制制御手段、または、比率促進制御手段により実行処理させる連続役物比率制御手段としての機能も備えている。
【0134】そして、前記比率制御手段における前記連続役物比率制御手段において、所定回数に対して規定した所定範囲は、この実施の形態では図9及び図11に示すように前記比率の上限値を0.6倍と規定し、その下限値を0.4倍と規定している。
【0135】なお、前記上限値と下限値の数値は、必要に応じて適宜決定するものであり、前記所定範囲内として規定された前記比率の前記数値は役物入賞よりも一度に多くの利益が得られ易い連続役物入賞にて比較的少ない回数で著しい利益を得られる事もなく、また、比較的少ない回数で著しい利益を得られるかも知れないという幻想的な期待感を遊技者に与えてしまう事もなく、遊技に没頭する結果大きな不利益を生ぜしめる事のないような数値を目標として規定してある。
【0136】主制御装置60内に備えられたROM60cには、図11に示すように前記所定範囲(0.6~0.4)を規定した前記比率と回数との関係を表すようになるように制御処理を行わせる連続役物比率制御手段が登録されている。なお、図11において縦軸は比率を示し、横軸は回数を示しており、曲線(ロ)は前記遊技の結果パチンコ遊技機Iから払出される総払出パチンコ球数に対する連続役物入賞にて得られる総払出パチンコ球数の比率を回数毎に表した1つの例である。
【0137】よって、前記連続役物比率制御プログラムでは、主制御装置60が180000回を、例えば15等分した12000回(d)毎に、遊技の結果にて得られる全ての賞球扱いとして払出機構から払出されるパチンコ球(払出遊技媒体数)に対する連続役物入賞にて払出される全てのパチンコ球(払出遊技媒体数)の比率を算出し、算出した前記比率が図11のグラフに示す前記所定範囲(0.6~0.4)の中に有るか否かを繰返し監視し(図9参照)、そして、前記所定範囲外となるようであれば、前記連続役物比率制御手段として後述する抑制制御手段または促進制御手段に指示命令を行い、前記所定範囲内に収まるように連続役物比率制御処理を行わせるようになっている。また、監視を行う期間を実施例(図11)で示したような回数毎ではなく、一定の所定時間毎又は所定量となった払出パチンコ球数毎に監視するようにしても良い。
【0138】なお、前述した実施の形態の比率制御の処理では、前記役物比率制御手段と前記連続役物比率制御手段とから構成されているが、前記各々の比率制御手段を同時に重畳させて実行する制御処理をし、より確実に遊技者に対して大きな利益又は不利益の出にくいバランスのとれた―定の範囲内に前記比率の値が収まるようにしても良いし、どちらか一方の前記比率制御の処理だけを用いても良い。」

(ウ)周知技術

上記(ア)及び(イ)によれば、パチンコ遊技機において、所定の発射球数毎に役物比率等を算出することは、周知技術である。

(3)対比

本願補正発明と先願発明とを対比する。

(a、j)先願発明の「遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行」う「メインCPU55」を備える「メイン制御基板50」、及び「弾球遊技機」は、それぞれ本願補正発明の「遊技に関する制御を行う制御手段」、及び「遊技機」に相当する。

(c)先願発明の「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)」の「表示」は、本願補正発明の「遊技媒体の付与に関する所定の表示」に相当する。

先願発明の「セブンセグメントLED(いわゆる7セグ)及びセグメントDP(デシマルポイント。小数点を表示するドット状のLED)から構成され」る「デジット6~9」で構成される「情報表示LED74」は、本願補正発明の「7セグメントLEDで構成される表示部」に相当する。

先願発明の「メイン制御基板50B」が、「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技))、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)」を「表示」し、「セブンセグメントLED(いわゆる7セグ)及びセグメントDP(デシマルポイント。小数点を表示するドット状のLED)から構成され」る「デジット6~9」で構成される「情報表示LED74」を搭載することは、本願補正発明の「前記制御手段は、遊技媒体の付与に関する所定の表示を表示可能な7セグメントLEDで構成される表示部を備える」ことに相当する。

先願発明の「管理情報制御手段72」は、「管理情報表示LED74に表示する管理情報を制御(記憶、演算、表示等)する手段」であるから、構成ghの「連続役物比率及び役物比率の数値」及び「連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値」の「点滅表示」又は「点灯表示」、及び「情報種別の表示」の「上位桁と下位桁」の「交互」の「高速点滅」についての表示の制御を行うことは明らかである。

先願発明の「メイン制御基板50」(制御手段)は、上記の「点滅表示」、「点灯表示」及び「高速点滅」についての表示の制御を行う「管理情報制御手段72を備え」る「メインCPU55」が設けられたものであり、このことは、本願補正発明の「前記制御手段は」、「当該表示部の表示態様を制御可能であ」ることに相当する。

したがって、先願発明は、本願補正発明の構成Cに相当する構成を備える。

(d)先願発明の「デジット6~9」は、「横1列に配置され」る「管理情報表示LED74を構成」することから、「デジット6及び7」は、「デジット8及び9」に隣接する表示領域であるといえる。

また、先願発明において、「デジット6及び7は、管理情報のうち、情報種別を表示し、デジット8及び9は、管理情報のうち、デジット6及び7で表示した情報種別に対応する数値を表示」することから、「デジット6及び7」は、「デジット8及び9」とは異なる表示領域であるといえる。

そうすると、先願発明の「管理情報表示LED74」が、「デジット8及び9」及び「デジット6及び7」を備えることは、本願補正発明の「前記表示部は、第1の表示領域と、前記第1の表示領域に隣接した表示領域であり前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域と、を備え」ることに相当する。

したがって、先願発明は、本願補正発明の構成Dに相当する構成を備える。

(e)先願発明において、「管理情報表示LED74に表示すべき情報は、連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)を含」(構成ci)むことから、「デジット8及び9」に表示される「管理情報のうち、デジット6及び7で表示した情報種別に対応する数値」は、「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)」を含むと認められ、先願発明の「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)」は、本願補正発明の「前記遊技媒体の付与に関する所定の割合」に相当する。

そうすると、先願発明の「デジット8及び9」による「管理情報のうち、デジット6及び7で表示した情報種別に対応する数値」である「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、役物比率(第1の所定数の遊技)、連続役物比率(累計)、役物比率(累計)」の表示は、本願補正発明の「前記遊技媒体の付与に関する所定の割合を示す第1の表示」に相当する。

してみると、先願発明の「デジット8及び9は、管理情報のうち、デジット6及び7で表示した情報種別に対応する数値を表示」することは、本願補正発明の「前記第1の表示領域は、前記遊技媒体の付与に関する所定の割合を示す第1の表示を表示可能であ」ることに相当する。

したがって、先願発明は、本願補正発明の構成Eに相当する構成を備える。

(f)先願発明において、「デジット6及び7」による「管理情報のうち、情報種別」の表示は、本願補正発明の「分類又は表示種別を示す第2の表示」に相当する。

そうすると、先願発明の「デジット6及び7は、管理情報のうち、情報種別を表示」することは、本願補正発明の「前記第2の表示領域は、分類又は表示種別を示す第2の表示を表示可能であ」ることに相当する。

したがって、先願発明は、本願補正発明の構成Fに相当する構成を備える。

(g)先願発明の「連続役物比率及び役物比率の数値」及び「連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値」の表示(第1の表示)は「デジット8及び9」によって行われることから、それらの「点滅表示」も「デジット8及び9」によって行われること、このとき、「デジット6及び7」によって「情報種別」の表示(第2の表示)が行われることは明らかであって、このときの表示態様は、本願補正発明の「前記第1の表示及び前記第2の表示からなる前記表示部の表示態様」の「第1の態様」に相当する。

同様に、先願発明の構成ghにおいて「デジット8及び9」による「連続役物比率及び役物比率の数値」及び「連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値」の表示(第1の表示)を「点灯表示」とするとともに、「デジット6及び7」による「情報種別」の表示(第2の表示)を行うことは、本願補正発明の「前記第1の表示及び前記第2の表示からなる前記表示部の表示態様」の「第3の態様」に相当する。

先願発明の「連続役物比率や役物比率が設計値上限を超えたときは、情報種別の表示のうち、上位桁と下位桁とを交互に高速点滅させる」場合、「デジット8及び9」により「連続役物比率や役物比率」の数値の表示を行うとともに、「デジット6及び7」により「情報種別の表示を上位桁と下位桁とを交互に高速点滅させる」ことは明らかであり、この表示態様は、本願補正発明の「前記第1の表示及び前記第2の表示からなる前記表示部の表示態様」の「第2の態様」に相当する。

そして、先願発明の「連続役物比率及び役物比率の数値」及び「連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値」の「点滅表示」と「点灯表示」、及び「情報種別の表示」の「上位桁と下位桁」の「交互」の「高速点滅」が、いずれも「異なる」ことは明らかであるから、先願発明は、本願補正発明の構成Gに相当する構成を備える。

(i)先願発明の「セグメントDP」は、「セブンセグメントLED(いわゆる7セグ)」とともに「デジット」を構成する「デシマルポイント」であるから、本願補正発明の「前記7セグメントLEDにおける」「デシマルポイント」に相当する。

先願発明の「デジット7のセグメントDP」は、「点灯させることにより、情報種別を示すデジット6及び7と数値を示すデジット8及び9の境界を明確にし、確認を容易にすることができ」るものであるから、「情報種別を示すデジット6及び7」の「数値を示すデジット8及び9」側の「デシマルポイント」であるといえ、本願補正発明の「前記第2の表示領域」が「表示させる」「前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイント」に相当する。

先願発明において、「管理情報表示LED74を点灯させるときには、デジット7のセグメントDPを点灯させることが可能であり、デジット7のセグメントDPを点灯させることにより、情報種別を示すデジット6及び7と数値を示すデジット8及び9の境界を明確にし、確認を容易にすることができ」ることから、「管理情報表示LED74を点灯させるとき」は、「情報種別を示すデジット6及び7」の表示が行われることは明らかであり、先願発明において「管理情報表示LED74を点灯させるとき」は、本願補正発明において、「前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合」に相当する。

そうすると、先願発明において、「情報種別を示すデジット6及び7」が、「管理情報表示LED74を点灯させるときには」、「数値を示すデジット8及び9」側の「デジット7のセグメントDP」の「デシマルポイント」を点灯させることは、本願補正発明の「前記第2の表示領域が、前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる」ことに相当する。

したがって、先願発明は、本願補正発明の構成Iに相当する構成を備える。

以上によれば、本願補正発明と先願発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1及び相違点2で一応相違する。

(一致点)

「A 遊技に関する制御を行う制御手段を備えた遊技機において、
C 前記制御手段は、遊技媒体の付与に関する所定の表示を表示可能な7セグメントLEDで構成される表示部を備えるとともに、当該表示部の表示態様を制御可能であり、
D 前記表示部は、第1の表示領域と、前記第1の表示領域に隣接した表示領域であり前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域と、を備え、
E 前記第1の表示領域は、前記遊技媒体の付与に関する所定の割合を示す第1の表示を表示可能であり、
F 前記第2の表示領域は、分類又は表示種別を示す第2の表示を表示可能であり、
G 前記第1の表示及び前記第2の表示からなる前記表示部の表示態様には、第1の態様と、前記第1の態様とは異なる第2の態様と、前記第1の態様及び前記第2の態様とは異なる第3の態様と、が含まれ、
I 前記第2の表示領域は、前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる
J 遊技機。」

(相違点1)[構成B]

本願補正発明は、「遊技で使用された遊技媒体数を検出可能な使用遊技媒体数検出手段を備え」るのに対して、先願発明は、当該構成を備えるか否かが明らかでない点。

(相違点2)[構成H、H1、H2]

本願補正発明は、

「前記制御手段は、
前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が所定数以上であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第3の態様で表示するように制御可能であり、
前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が前記所定数未満であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第1の態様で表示するように制御可能であ」る

のに対して、先願発明は、当該構成を備えるか否かが明らかでない点。

(4)判断

ア 相違点1について[構成B]

本願補正発明の「遊技で使用された遊技媒体数を検出可能な使用遊技媒体数検出手段を備え」ることは、令和3年6月4日に提出された手続補正書による補正で限定された事項であるところ、同日に提出された意見書の[3](1)には、当該補正の根拠について以下のように説明されている。

「1.「遊技で使用された遊技媒体数を検出可能な使用遊技媒体数検出手段を備え、」との記載は、段落[0124]等に記載された事項に基づくものである。
具体的には、補正前の明細書の段落[0124]等には「使用遊技媒体数検出手段」の一例として、メインRAM73の集計処理用記憶領域が開示されている。」

一方、先願発明の「RWM53」は、「メイン制御基板50」に設けられたものである(構成a)。

また、先願発明は、「管理情報を表示するために必要なデータ(総遊技回数等)」を記憶する「RWM53」(構成b)を備える弾球遊技機であるところ、弾球遊技機における総遊技回数は、発射球数又は始動入賞口への入賞球を契機とした特別図柄の変動回数(特別図柄の変動の契機となる入賞球数)によって求められるものであるから、先願発明の「RWM53」は、発射球数又は特別図柄の変動の契機となる入賞球数を記憶する領域を有するものと認められる。

先願発明の「総遊技回数」は、「管理情報を表示するために必要なデータ」であり(構成b)、「総遊技回数が第1の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点滅表示し、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点灯表示」する(構成gh)ことから、先願発明の「総遊技回数」は、連続役物比率及び役物比率の数値の算出及び表示のために用いられるものであって、特に上記のように、総遊技回数を発射球数によって求める場合には、上記(2)イ(ウ)で述べたように、パチンコ遊技機において、所定の発射球数毎に役物比率等を算出することは、周知技術であって一般的に行われており、また、上記のように、総遊技回数を特別図柄の変動の契機となる入賞球数によって求める場合にも、同様に、所定の特別図柄の変動の契機となる入賞球数毎に役物比率等を算出すべきことは自明であることから、先願発明において、連続役物比率及び役物比率の数値の算出及び表示のために発射球数又特別図柄の変動の契機となる入賞球数を用いることも明らかである。

そうすると、先願発明の「RWM53」は、本願明細書に記載の「メインRAM73の集計処理用記憶領域」と同様に、「メイン制御基板50」に設けられ、連続役物比率及び役物比率の数値の算出及び表示のために用いられる発射球数又は特別図柄の変動の契機となる入賞球数を記憶する領域を有するものであるから、本願補正発明の「使用遊技媒体数検出手段」に実質的に相当する。

したがって、相違点1は、実質的な相違点ではなく、先願発明は、本願補正発明の構成Bに実質的に相当する構成を備える。

イ 相違点2について[構成H、H1、H2]

上記アで検討したように、先願発明において、「総遊技回数」を「発射球数」又は「特別図柄の変動の契機となる入賞球数」によって求めると解することができるから、先願発明の「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、及び役物比率(第1の所定数の遊技)を表示する場合において」「総遊技回数が第1の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点灯表示」すること、及び「連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合において」「総遊技回数が第2の所定数の遊技に達しているときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点灯表示」することは、上記(3)の構成(g)についての検討も踏まえると、本願補正発明の構成H1の「前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が所定数以上であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第3の態様で表示する」ことに実質的に相当する。

同様に、先願発明の「連続役物比率(第1の所定数の遊技)、及び役物比率(第1の所定数の遊技)を表示する場合において、総遊技回数が第1の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率及び役物比率の数値を、点滅表示」すること、及び「連続役物比率(累計)、及び役物比率(累計)を表示する場合において、総遊技回数が第2の所定数の遊技に達していないときは、それぞれ、連続役物比率(累計)及び役物比率(累計)の数値を、点滅表示」することは、上記(3)の構成(g)についての検討も踏まえると、本願補正発明の構成H2の「前記使用遊技媒体数検出手段により検出された遊技媒体数が前記所定数未満であると判定された場合には前記表示部の表示態様を前記第1の態様で表示する」ことに相当する。

先願発明の「メイン制御基板50」は、上記の「点灯表示」及び「点滅表示」の制御を行う「管理情報制御手段72を備え」る「メインCPU55」が設けられたものであり、このことは、本願補正発明の「前記制御手段は」(構成H)、「前記第3の態様で表示するように制御可能であり」(構成H1)、「前記第1の態様で表示するように制御可能であ」る(構成H2)ことに実質的に相当する。

したがって、相違点2は実質的な相違点ではなく、先願発明は、本願補正発明の構成H、H1及びH2に実質的に相当する構成を備える。

ウ 小括

上記ア及びイによれば、相違点1及び相違点2は、実質的な相違点ではなく、本願補正発明は、先願発明と実質的に同一である。

(5)請求人の主張について

審判請求人は、令和4年2月21日提出の審判請求書の「(2)本願発明と引用発明との対比」において、以下の旨を主張する。

「本願発明1における「前記制御手段は、遊技媒体の付与に関する所定の表示を表示可能な7セグメントLEDで構成される表示部を備え」、「前記第2の表示領域は、前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる」構成は、引用文献に記載や示唆がないため、本願発明1は特許性を有すると思料する。
具体的には、今回の補正により本願発明1は、第1の表示及び第2の表示からなる表示部の表示態様を使用遊技媒体数に応じて変更させることが可能な第1の特徴を有すると共に、分類又は表示種別を示す第2の表示が表示される第2の表示領域における第1の表示領域側のデシマルポイントを点灯させるという第2の特徴を有するものとなる。また、上記のような第1及び第2の特徴の何れもを有する点については、各引用文献に記載されていない。
なお、最初(発送日:令和3年4月13日)の拒絶理由通知書で引用された先願である特開2017-225692号公報においては上記第1の特徴に関する記載や示唆がなく、また最後(発送日:令和3年8月19日)の拒絶理由通知書及び拒絶査定で引用された先願である特開2017-202204号公報においては上記第2の特徴に関する記載や示唆がない。
また、付言するに本願発明1における上記第2の特徴に基づくと、第1の表示領域及び第2の表示領域における表示領域の境界をデシマルポイントを点灯させることにより明確にすることができるようになるため、表示部における視認性をより明瞭にすることができる。こうして、本願発明1においては、第2の表示領域における第1の表示領域側の7セグメントLEDが数字を示す態様を表示した場合であっても第1の表示領域にて表示される遊技媒体の付与に関する割合に関する数値の誤認を防止することができる、という格別顕著な効果を奏するものであり、このような効果を有する点については周知技術に該当しないものと思料する。」

上記主張について検討する。上記(3)(c)及び(i)において検討したように、先願発明は、本願発明1における「前記制御手段は、遊技媒体の付与に関する所定の表示を表示可能な7セグメントLEDで構成される表示部を備え」、「前記第2の表示領域は、前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる」構成に相当する構成を備える。

また、上記主張における「第1の表示領域及び第2の表示領域における表示領域の境界をデシマルポイントを点灯させることにより明確にすることができるようになるため、表示部における視認性をより明瞭にすることができる」及び「本願発明1においては、第2の表示領域における第1の表示領域側の7セグメントLEDが数字を示す態様を表示した場合であっても第1の表示領域にて表示される遊技媒体の付与に関する割合に関する数値の誤認を防止することができる」という効果は、構成ciにおいて「デジット7のセグメントDPを点灯させることにより、情報種別を示すデジット6及び7と数値を示すデジット8及び9の境界を明確にし、確認を容易にすることができ」る先願発明においても得られることは明らかである。

(6)独立特許要件についてのまとめ

したがって、本願補正発明は、先願発明と同一の発明であり、先願明細書等に記載された発明である。また、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本件の出願の時に、本件の出願人と先願の出願人とが同一でもない。

よって、本願補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 補正の却下の決定についてのむすび

上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年6月4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明は、上記先願明細書等に記載された発明と同一の発明であり、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないというものである。

<引用文献等一覧>

1.特願2016-96552号(特開2017-202204号公報)

2.特開2016-87235号公報(周知技術を示す文献)

3.特開2003-126499号公報(周知技術を示す文献)

3 先願発明

先願明細書等の記載事項及び先願発明の認定については、上記第2[理由]3(2)アに示したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記第2[理由]3で独立特許要件を検討した本件補正発明から、「表示部」についての「7セグメントLEDで構成される」との限定、及び「第2の表示領域」についての「前記分類又は表示種別を示す前記第2の表示が表示される場合に、前記7セグメントLEDにおける前記第1の表示領域側のデシマルポイントを表示させる」との限定を削除するものである。

そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものである本件補正発明が先願発明と同一であるから、本願発明も先願発明と同一である。

5 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

したがって、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-002575

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