特許拒絶査定不服審判
2022-002416
継電器の接合物に対する抜き差しにアークを発生させない方法
- 審判番号
- 2022-002416
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-540809外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年02月17日
- 審決日
- 2022年10月19日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-Z (H01H) / P18 .121-Z (H01H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-540809「継電器の接合物に対する抜き差しにアークを発生させない方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月19日国際公開、WO2018/129632、令和 2年 2月 6日国内公表、特表2020-504417〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)1月16日を国際出願日とする出願であって、令和3年1月13日付けで拒絶理由が通知され、同年6月18日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、令和4年2月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和4年2月17日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和4年2月17日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年6月18日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1へと補正するものである。(下線は当審で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の請求項1
「【請求項1】
継電器が接合物に対して垂直方向に沿って挿入する時、継電器の接触端子が接合物と電気接続した後、継電器のコイル端子が接合物と電気接続し、接合物に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時、それは、継電器のコイル端子と接合物を先に接続解除した後、継電器の接触端子と接合物の接続を解除する、継電器の接合物に対する抜き差しにアークを発生させない方法。」
(2)本件補正後の請求項1
「【請求項1】
継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する時、継電器の接触端子が接合物と電気接続した後、継電器のコイル端子が接合物と電気接続し、接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時、それは、継電器のコイル端子と接合物を先に接続解除した後、継電器の接触端子と接合物の接続を解除する、継電器の接合物に対する抜き差しにアークを発生させない方法。」
2 補正の適否について
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「継電器が接合物に対して垂直方向に沿って挿入する時」を、「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する時」とさらに限定して特定し、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「接合物に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時」を、「接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時」とさらに限定して特定するものである。
そして、当該補正により、「産業上の利用分野」及び「解決しようとする課題」が、変更されるものではない。
したがって、本件補正の目的は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。
また、本件補正は、本願の願書の最初に添付した明細書の
「【0019】
継電器5のコイル端子51、接触端子52は同じ長さであり、継電器5の端子が接合物4の挿入孔に挿入される時、継電器5の接触端子52は、先ず接触クランプスプリング44と電気接続し(図7参照)、その後、コイル端子51及びコイルクランプスプリング45と電気接続する(図8参照)。接合物から継電器5を抜き出す時、先ずコイル端子51からコイルクランプスプリング45との電気的導通を切断し(図9参照)、その後、接触端子52から接触クランプスプリング44との電気的導通を切断する(図10参照)。」
の記載に基づいており、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件についての検討
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当するから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するもの、すなわち、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでなければならない。
よって、次に、本願補正発明が、いわゆる独立特許要件を満たすものであるかについて検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記「1 (2)本件補正後の請求項1」に記載したとおりのものと認める。
(2)引用例
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願前に発行された特開昭63-252371号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
ア「2、特許請求の範囲
(1) ソケットに複数の接続端子が備えられ、機器に前記接続端子に対応する複数の接続端子が備えられ、ソケットに機器が装着されて前記それぞれの接続端子どうしが接続されて構成されるソケットにおける接続機構において、
前記ソケット及び機器の接続端子を、前記対応する接続端子どうし間の装着方向距離が異なるように設けてなることを特徴とするソケットにおける接続機構。」(第1頁左下欄第4~13行)
イ「(従来技術とその問題点)
従来のこの種のソケットにおける接続機構としては、例えば、第4図に示すようなものがある。
図において、101は端子台であり、上面にソケット102・・・を備え、一側部上には負荷側接続用のネジ端子103・・・が二段に、一端部上には制御部側接続用の端子104・・・の集合形成されたコネクタ105が設けられている。106・・・は電磁継電器であり、そのコイル端子107,107、接点端子108,108それぞれがソケット102内に嵌入接続されるようになっている。
上記のものは、端子台101に電磁継電器106・・・が装着された状態において、制御部からの制御信号により電磁継電器106・・・が駆動され、その電磁継電器106・・・の駆動信号により負荷の作動制御を行うように用いられている。」(第1頁右下欄第5~20行)
ウ「すなわち、第5図は、端子台101への電磁継電器106の装着時の状態を示し、端子台101において、109,109は上記ネジ端子103,103に接続される側の接続端子 110,110は上記コネクタ105に接続される接続端子であり、電磁継電器106の装着時には、接続端子109,109に接点端子108,108が接続され、接続端子110,110にコイル端子107,107が接続されるようになっている。
そして、端子台101における接続端子109,109、接続端子110,110の配置位置が同高さで、これらに対応する電磁継電器106の接点端子108,108、コイル端子107,107の突出距離が同距離であるので、電磁継電器106が取り外される時、それぞれの接点は同時に離脱するが、制御機構全体がON状態で電磁継電器106の作動時(接点閉時)には、接続端子109,109と接点端子108,108間は導通状態において遮断される場合が多く、したがって、そこにアークが発生して、接続端子109,109、接点端子108,108に熱溶融損傷が生じるものであった。
それ故に、電磁継電器106を取り替える場合、制御機構全体を停止して、接続端子109,109と接点端子108,108間を非導通状態として行う必要があった。
(発明の目的)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ソケットとそこに装着する機器の複数接続端子どうしの離脱タイミングをずらすことにより、上記問題点を解決しようとするものである。」(第2頁左上欄第8行~右上欄第19行)
エ「(実施例の説明)
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。第1図は、本発明の実施例を示す構成図である。
1はソケット1a・・・を備える端子台、2は電磁継電器であり、その外観構成は、第4図に示した従来例と全く同様である。
ソケット1aにおいて、3,3は負荷側への出力部となるネジ端子4,4に接続される側の接続端子、5,5(一方は図に表れない)は制御部側からの入力部となるコネクタに接続される接続端子である。そして、接続端子5,5が、接続端子3,3に比して下方に位置するように設けられている。
これに対して、電磁継電器2の上記接続端子3,3に接続される接点端子6,6、上記接続端子5,5に接続されるコイル端子7,7(一方は図に表れない)は同長さとなっている。
したがって、接続端子3,3と接点端子6,6間の装着方向距離X、すなわち、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた際の端子間距離より、接続端子5,5とコイル端子7,7間の装着方向距離Yが長くなっている。
次に、この実施例の作用について説明する。
第2図に示すように、接続端子3,3と接点端子6,6、接続端子5,5とコイル端子7,7とが接続された状態から電磁継電器2が取り外される際、装着方向距離Yが装着方向距離Xより長いので、先にコイル端子7,7が接続端子5,5から離脱し、次に接点端子6,6が接続端子3,3から離脱して、その離脱タイミングがずれる。
したがって、取り外し時には、制御機構全体がON状態であっても、まず電磁継電器2の駆動が停止(コイル消磁)され、常に電磁継電器2の接点どうしが離間して接続端子3,3と接点端子6,6間が非導通状態において、接続端子3,3から接点端子6,6が離脱されるので、そこに全くアークは発生しない。
これにより、制御機構全体を停止することなく、自由に電磁継電器2の取り替えが行えるようになる。」(第2頁右下欄第1行~第3頁左上欄第20行)
オ「第1図
[図:0001395921000001.jpg]
」
カ「第2図
[図:0001395921000002.jpg]
」
キ「第4図
[図:0001395921000003.jpg]
」
ク「第5図
[図:0001395921000004.jpg]
」
ケ 摘記事項イ、キから、ソケット102には電磁継電器106に対向するソケット102の表面に孔が設けられており、電磁継電器106が端子台101に装着されることで、電磁継電器106に対向するソケット102の表面に設けられた孔に電磁継電器106のコイル端子107及び接点端子108のそれぞれが嵌入接続されると認められる。
コ 摘記事項ウ、キから、電磁継電器106が端子台101から取り外されることで、電磁継電器106に対向するソケット102の表面に設けられた孔から電磁継電器106のコイル端子107及び接点端子108のそれぞれが抜き出されると認められる。
サ 摘記事項キから、電磁継電器106に対向するソケット102の表面に対する垂直方向に沿って延びる、電磁継電器106の両端に当接して電磁継電器106の移動を規制する部材が端子台101に設けられていることが看取できるところ、摘記事項イ、クに照らせば、電磁継電器106に対向するソケット102の表面に対する垂直方向に沿って延びる電磁継電器106の移動を規制する部材に沿って電磁継電器106が移動して端子台101に装着されることで、電磁継電器106に対向するソケット102の表面に設けられた孔に電磁継電器106のコイル端子107及び接点端子108のそれぞれが電磁継電器106に対向するソケット102の表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続されると認められ、摘記事項ウ、クに照らせば、電磁継電器106に対向するソケット102の表面に対する垂直方向に沿って延びる電磁継電器106の移動を規制する部材に沿って電磁継電器106が移動して端子台101から取り外されることで、電磁継電器106に対向するソケット102の表面に設けられた孔から電磁継電器106のコイル端子107及び接点端子108のそれぞれが電磁継電器106に対向するソケット102の表面に対する垂直方向に沿って抜き出されると認められる。
シ 摘記事項ウの「(発明の目的)本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ソケットとそこに装着する機器の複数接続端子どうしの離脱タイミングをずらすことにより、上記問題点を解決しようとするものである。」との記載から、第4、5図のように垂直方向にソケットに電磁継電器を取り外す際の課題を解決するために、摘記事項エ~カの電磁継電器2及びソケット1aの構造があると認められ、また、摘記事項エに「1はソケット1a・・・を備える端子台、2は電磁継電器であり、その外観構成は、第4図に示した従来例と全く同様である。」との記載もあることから、電磁継電器106及びソケット102と同様に、電磁継電器2及びソケット1aについても、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って延びる電磁継電器2の移動を規制する部材に沿って電磁継電器2が移動して端子台1に装着されることで、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続されると認められる。同様に、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って延びる電磁継電器2の移動を規制する部材に沿って電磁継電器2が移動して端子台1から取り外されることで、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔から電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って抜き出されると認められる。
ス 摘記事項エの「したがって、接続端子3,3と接点端子6,6間の装着方向距離X、すなわち、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた際の端子間距離より、接続端子5,5とコイル端子7,7間の装着方向距離Yが長くなっている。」との記載及び「第2図に示すように、接続端子3,3と接点端子6,6、接続端子5,5とコイル端子7,7とが接続された状態から電磁継電器2が取り外される際、・・・」との記載から、実質的に、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた状態から電磁継電器2が「装着方向」に移動して装着されることが記載されていると認められる。
セ 摘記事項エの「したがって、接続端子3,3と接点端子6,6間の装着方向距離X、すなわち、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた際の端子間距離より、接続端子5,5とコイル端子7,7間の装着方向距離Yが長くなっている。」との記載から、「電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた際の端子間」の方向が電磁継電器2の「装着方向」であると認められるところ、摘記事項オに照らすと、電磁継電器2の「装着方向」は、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向であると認められ、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた状態から電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に移動して電磁継電器2が装着されることが記載されていると認められる。また、「装着方向距離Yが装着方向距離Xより長いので、先にコイル端子7,7が接続端子5,5から離脱し、次に接点端子6,6が接続端子3,3から離脱」するのであるから(摘記事項エ)、「装着方向」に沿って「装着方向」と逆向きに移動して電磁継電器2が取り外されるといえるため、電磁継電器2が装着された状態から電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に移動して電磁継電器2が取り外されることが記載されていると認められる。
そうすると、ア、エ~カの摘記事項及びシ~セの認定事項から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ソケット1aにおける接続端子3,3と電磁継電器2の接点端子6,6間の装着方向距離X、すなわち、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた際の端子間距離より、ソケット1aにおける接続端子5,5と電磁継電器2のコイル端子7,7間の装着方向距離Yが長くなっており、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた状態から電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に移動してソケット1aを備える端子台1に電磁継電器2が装着されることで、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続され、接続端子3,3と接点端子6,6、接続端子5,5とコイル端子7,7とが接続された状態から電磁継電器2が取り外されることで、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔から電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って抜き出される際、装着方向距離Yが装着方向距離Xより長いので、先にコイル端子7,7が接続端子5,5から離脱し、次に接点端子6,6が接続端子3,3から離脱して、その離脱タイミングがずれる、全くアークが発生しない方法。」
(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
引用発明の「電磁継電器2」は、本願補正発明の「継電器」に相当する。
引用発明の「ソケット1a」は、本願補正発明の「接合物」に相当する。
引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔」は、本願補正発明の「接合物の挿入孔」に相当する。
「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔」は「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられ」ているため、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面」に対する垂直方向は、「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔」に対する垂直方向であるともいえる。そうすると、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔」は、本願補正発明の「接合物の挿入孔」に相当するのであるから、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って」は、本願補正発明の「接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って」に相当する。
引用発明の「嵌入接続され」ることは、本願補正発明の「挿入する」ことに相当する。
引用発明の「コイル端子7,7」は、本願補正発明の「コイル端子」に相当する。
引用発明の「接点端子6,6」は、本願補正発明の「接触端子」に相当する。
そして、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続され」ることは、「電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6」は「電磁継電器2」の一部分であるため、本願補正発明の「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する」ことに相当する。
引用発明の「抜き出される」ことは、本願補正発明の「抜き出す」ことに相当する。
そして、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔から電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って抜き出される際」は、「電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6」は「電磁継電器2」の一部分であるため、本願補正発明の「接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時」に相当する。
引用発明の「離脱」することは、本願補正発明の「接続解除」することに相当し、引用発明の「先にコイル端子7,7が接続端子5,5から離脱」することは、「接続端子5,5」は「ソケット1aにおける」ものであるから、本願補正発明の「それは、継電器のコイル端子と接合物を先に接続解除」することに相当する。
引用発明の「離脱」することは、本願補正発明の「接続を解除」することに相当し、引用発明の「接点端子6,6が接続端子3,3から離脱」することは、「接続端子3,3」は「ソケット1aにおける」ものであり、引用発明の「ソケット1a」は本願補正発明の「接合物」に相当するのであるから、本願補正発明の「継電器の接触端子と接合物の接続を解除する」ことに相当する。
そして、引用発明の「先にコイル端子7,7が接続端子5,5から離脱し、次に接点端子6,6が接続端子3,3から離脱」することは、本願補正発明の「継電器のコイル端子と接合物を先に接続解除した後、継電器の接触端子と接合物の接続を解除する」ことに相当する。
引用発明の「全くアークが発生しない方法」は、「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続され」、「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔から電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って抜き出される」ものであり、「電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6」は「電磁継電器2」の一部分であるため、電磁継電器2がソケット1aに対して抜き差しされるものであるといえるから、取り外し時に全くアークが発生しない作用機序に照らして、本願補正発明の「継電器の接合物に対する抜き差しにアークを発生させない方法」に相当する。
以上のとおりであるから、本願補正発明と引用発明とは、
「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入し、接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時、それは、継電器のコイル端子と接合物を先に接続解除した後、継電器の接触端子と接合物の接続を解除する、継電器の接合物に対する抜き差しにアークを発生させない方法。」
の点で一致し、次の点で一応相違する。
<相違点1>
「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入」する時、本願補正発明では、「継電器の接触端子が接合物と電気接続した後、継電器のコイル端子が接合物と電気接続」するのに対し、引用発明では、そのように構成されているとは、特定されていない点。
(4)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明は「ソケット1aにおける接続端子3,3と電磁継電器2の接点端子6,6間の装着方向距離X、すなわち、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた際の端子間距離より、ソケット1aにおける接続端子5,5と電磁継電器2のコイル端子7,7間の装着方向距離Yが長くなって」いるものである。
そうすると、引用発明において「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続され」る時には、より短い装着方向距離Xである「ソケット1aにおける接続端子3,3と電磁継電器2の接点端子6,6間」が電気的に接続した後で、より長い装着方向距離Yである「ソケット1aにおける接続端子5,5と電磁継電器2のコイル端子7,7間」が電気的に接続するといえる。
そして、上記(3)に記載したように、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続され」る時は、本願補正発明の「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する」時に相当し、引用発明の「接点端子6,6」は、本願補正発明の「接触端子」に相当し、引用発明の「コイル端子7,7」は、本願補正発明の「コイル端子」に相当するため、引用発明においても、「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入」する時、「継電器の接触端子が接合物と電気接続した後、継電器のコイル端子が接合物と電気接続」するといえるから、上記相違点1は実質的な相違点であるとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明である。
ここで、請求人は、審判請求書において、「引用文献1の図1及び図3に示すように、ソケット1の構造が点線で示しており、ソケットを例として説明に使用された構造概念図ですが、ソケット1の挿入孔及びその特徴が開示されていません。また、図面では、継電器2は、ソケット1に対して別体の構造であり、引用文献1のソケット1と継電器2との構造関係について、図2に示す、継電器2の端子6及び7がソケット1の端子3及び5にクランプされていることしかありません。したがって、引用文献1には、挿入孔を有する接合物の構造を開示しておらず、また、引用文献1の明細書及び図面では、継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に、挿入または抜き出すことを開示しているとは言えません。よって、引用文献1は、補正後の本願新請求項1の「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する時・・・接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時・・・」という特定事項を開示していないと思料いたします。」と主張する。
しかし、上記(2)の認定事項シに記載したように、引用文献1には、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に孔を設けることが記載されていると認められ、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って延びる電磁継電器2の移動を規制する部材に沿って電磁継電器2が移動して端子台1に装着されることで、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続され、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って延びる電磁継電器2の移動を規制する部材に沿って電磁継電器2が移動して端子台1から取り外されることで、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔から電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って抜き出されることが記載されているのであるから、「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する時・・・接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時・・・」との構成が開示されているといえる。
また、上記(2)の認定事項セに記載したように、引用文献1には、電磁継電器2を装着するべくそれぞれの端子どうしを正対させた状態から電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に移動して電磁継電器2が装着されること、及び電磁継電器2が装着された状態から電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に移動して電磁継電器2が取り外されることが記載されていると認められるところ、電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが嵌入接続又は抜き出されるのであるから、「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する時・・・接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時・・・」との構成が開示されているといえる。
よって、上記請求人の主張は採用できない。
よって、本願補正発明は、引用例に記載された発明(引用発明)であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ない。
(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、令和3年6月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、「第2 1 (1)本件補正前の請求項1」に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略次の理由を含んでいる。
(新規性)この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された特開昭63-252371号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
3 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項及び引用発明は上記「第2 3 (2)引用例」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、実質的に、本願補正発明の発明特定事項である「継電器が接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って挿入する時」との限定を省いて「継電器が接合物に対して垂直方向に沿って挿入する時」としたものであり、本願補正発明の発明特定事項である「接合物の挿入孔に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時」との限定を省いて「接合物に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時」としたものである。
そして、本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 3 (3)対比」での検討を勘案すれば、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔に電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って嵌入接続され」ることは、本願発明の「継電器が接合物に対して垂直方向に沿って挿入する」ことに相当し、引用発明の「電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に設けられた孔から電磁継電器2のコイル端子7,7及び接点端子6,6のそれぞれが電磁継電器2に対向するソケット1aの表面に対する垂直方向に沿って抜き出される」ことは、本願発明の「接合物に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す」ことに相当し、両者は、
「継電器が接合物に対して垂直方向に沿って挿入し、接合物に対して垂直方向に沿って継電器を抜き出す時、それは、継電器のコイル端子と接合物を先に接続解除した後、継電器の接触端子と接合物の接続を解除する、継電器の接合物に対する抜き差しにアークを発生させない方法。」
の点で一致し、次の点で一応相違する。
<相違点2>
「継電器が接合物に対して垂直方向に沿って挿入」する時、本願発明では、「継電器の接触端子が接合物と電気接続した後、継電器のコイル端子が接合物と電気接続」するのに対し、引用発明では、そのように構成されているとは、特定されていない点。
しかし、上記「第2 3 (4)判断」に記載した理由と同様の理由により、上記相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明である。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明(引用発明)であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項については検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-002416