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特許拒絶査定不服審判

2022-002133

エネルギー送達および処置のための方法および装置

審判番号
2022-002133
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-549212外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月14日
審決日
2024年08月07日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-549212「エネルギー送達および処置のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月28日国際公開、WO2017/165562、平成31年 4月25日国内公表、特表2019-511292〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年) 3月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年 3月22日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 平成30年11月20日提出:手続補正書 令和 3年 3月17日付け:拒絶理由通知 令和 3年 6月16日提出:意見書、手続補正書 令和 3年10月 4日付け:拒絶査定 令和 4年 2月14日提出:審判請求書、手続補正書 令和 4年11月16日付け:拒絶理由通知 令和 5年 2月 3日提出:意見書、手続補正書 令和 5年 7月26日付け:拒絶理由通知 令和 5年11月30日提出:意見書、手続補正書 第2 本願発明 本願の請求項1ないし14に係る発明は、令和 5年11月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「エネルギー送達装置にマイクロ波エネルギーを印加するためのシステムであって、 エネルギー源と、 1つまたは複数の入力変数に基づいて計算される、特定の値を含む目標エネルギー量を記憶するように構成されたメモリユニットと、 ユーザインターフェースと、 所定の印加エネルギー量を前記エネルギー源から前記エネルギー送達装置に印加するように構成された制御部とを備え、 同制御部は、エネルギー送達中の前記エネルギー送達装置からのエネルギー損失を計算するように構成され、前記制御部はさらに、前記エネルギー損失を使用して送達されるエネルギー量を判定し、前記送達されるエネルギー量を目標エネルギー量と比較して、前記送達されるエネルギー量が前記目標エネルギー量に到達した際に視覚、聴覚、または視聴覚の信号をユーザへ提供するように構成され、前記目標エネルギー量は、前記制御部を介して調整可能であり、 前記エネルギー損失は、前記子宮組織により反射され前記エネルギー送達装置により受け取られる前記印加エネルギー量の一部を検知および/または測定することによって前記制御部を介して判定されることを特徴とするシステム。」 第3 原査定の概要 令和 5年 7月26日付け拒絶理由通知書において判断を留保した原査定の拒絶理由のうち、本願発明に対する理由の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献:特表2010-505572号公報 第4 引用文献の記載、引用発明、周知技術を示す文献の記載 1 引用文献の記載 (1)引用文献には、次の事項が記載されている(下線は当審による。) 「【0001】 技術分野 本発明は、マイクロ波放射から導き出される熱エネルギを使用して組織を治療するための装置および方法に関する。例えば、組織を5GHzから60GHzの範囲の周波数の放射にさらすことにより組織壊死(熱損傷)および/または組織切除を生じる技術に関する。 【0002】 本発明は詳細には、例えば、胃食道逆流およびバレット食道として知られる疾患を治療するための、食道(oesophagus)(esophagusまたはgulletとしても既知)の治療を目的とする。本願はこの使用について構成されるが、自然開口(例えば、口、鼻、肛門、尿道)を介する治療器具の挿入によりアクセス可能な他の病状を治療する手段も提供し得る。これは、開腹外科処置での治療にも適用可能であり得る。」 「【0077】 ・・・この態様によると、食道壁組織を切除するための装置が提供され、装置は安定出力周波数を有するマイクロ波放射の制御可能な源と、マイクロ波放射の源に接続されたプローブであって、食道への挿入に適した(例えば、上述のような)アンテナ構成を有し、マイクロ波放射界を発するように構成されたプローブと、治療される組織に対してマイクロ波放射により伝達されるエネルギの量を制御するように構成されたコントローラとを含む。したがって、装置は好適には、安定した(均一な)放射界が発せられて食道壁を治療するために、マイクロ波エネルギのプローブへの制御可能な供給を伝達するように構成される。」 「【0079】 好適には、コントローラは、目標エネルギ線量(時間とともに伝達される電力総量)を生成して、食道壁に伝達するように構成された制御ユニットを含む。目標エネルギ線量は、食道壁の表面層への熱損傷を生じるように選択可能であり得る。好適には、目標エネルギ線量は、食道壁に対する切除または制御された熱損傷を生じるように選択される。言い換えると、目標エネルギ線量を選択することにより異なるタイプの治療が実現可能である。また、例えば線量を伝達するためのエネルギパルスの特定構成を選択することにより線量が設定されると、治療のタイプをさらに絞ることができる。例えば、「食道逆流」治療を行うために、その線量を伝達するための目標エネルギ線量と予めプログラムされたパルス列が制御ユニットにより選択または計算され得る。目標エネルギ線量を生成する際に、異なる要因、例えば、食道の直径、食道壁構造(年齢、ライフスタイルなどに依存し得る)が制御ユニットにより考慮され得る。 【0080】 好適には、コントローラは、目標エネルギ線量が確実に食道壁に伝達されるように構成される。好適には、コントローラは、プローブに与えられるマイクロ波放射の電力レベルを検出するための検出器を含み、検出された電力レベルは食道壁に伝達されるエネルギ量を計算するのに使用される。検出器は、マイクロ波放射源からプローブに伝達された電力を検出するための順方向指向性カプラを含み得る。さらに、検出器はプローブを介して食道壁から反射して戻される電力を検出するための逆方向指向性カプラを含み得る。それゆえに、食道壁に伝達された電力は、プローブに供給された順方向放射と逆方向指向性カプラで検出された反射放射の間の差に対応し得る。コントローラはそれゆえに、好適には目標エネルギ線量が確実に伝達されるように食道壁に伝達される電力を計算するように構成される。順方向および反射電力との間の差が、典型的には目標組織内に伝達される「正味」電力と称される。」 「【0082】 装置は、好適にはマイクロ波放射の源とプローブとの間に接続される電力増幅器を含み、電力増幅器は源の出力電力レベルを、組織を治療するのに適した電力レベルに増加させるように構成される。・・・ 【0083】 治療される組織に伝達されるエネルギレベルを正確に決定するには、増幅は好適にはコントローラにより慎重に制御される。好適には、コントローラは、電力増幅器の入力に与えられる源の出力電力レベルを制御するための電力レベル設定器を含む。・・・典型的には、かかる安定発振器からの出力電力は食道壁組織に影響を生じるほど高くない。それゆえに、源と治療プローブとの間の電力を増幅することが必要である。 【0084】 電力レベル設定器は、プローブに与えられる放射の検出電力レベルに基づいて、電力増幅器の入力に与えられる源の出力電力レベルを決定するように構成され得る。 【0085】 代替的には、電力レベル設定器は、検出電力レベルを目標エネルギ線量から導出される目標電力レベルと比較することにより、電力増幅器の入力に与えられる源の出力電力レベルを決定するように構成され得る。 【0086】 好適には、電力レベル設定器は電力増幅器への電力レベル入力を変化させるための信号減衰器を含む。信号減衰器の減衰レベルは好適には、目標エネルギ線量から計算された目標電力レベルと、食道壁に伝達されている放射の検出電力レベルとの間の任意の差に基づいて、コントローラにより制御可能である。」 「【0105】 したがって、上記考察は食道を治療する際の本発明の使用に関するが、本発明は追加的に、プローブ上の1または複数の放射アンテナ素子を使用して、電磁スペクトルの超高周波(SHF)領域内にある周波数で制御されたマイクロ波放射を生成して、人または動物の体内の中空管構造を形成する種々の他の組織構造の制御された切除または制御された組織破壊、または制御された熱損傷を可能とする治療システムに関する。・・・」 「【0110】 図1は、食道壁を治療するための装置の基本構造を図示する。安定マイクロ波信号はマイクロ波源100により生成される。・・・」 「【0113】 減衰器106の後で、信号は増幅器108により、例えば食道壁の制御された切除をもたらす治療に適したレベルに増幅される。増幅器108の後では、信号は同軸給電ケーブル128と給電構造124を経て治療プローブ126に与えられる。プローブは食道壁に浸透して制御可能に切除するマイクロ波界を放射する。 【0114】 順方向パワーカプラ110および逆方向パワーカプラ112が増幅器108とプローブ126の間に位置付けられ、プローブに伝達された電力の一部とプローブを通って組織から反射して戻される電力をそれぞれ検出する。検出された信号はマイクロプロセッサ114に与えられ、マイクロプロセッサはそれらを使用して、食道壁に実際に伝達された電力量を計算する。 【0115】 ユーザ制御インタフェース118およびディスプレイ120により、ユーザは例えば食道壁に伝達される目標エネルギ線量を指定することにより装置をプログラミングすることが可能である。マイクロプロセッサ114はプローブ126に伝達される信号を調節して、順方向および逆方向パワーカプラ110、112およびユーザ制御インタフェース118からの入力に基づいて、指定された目標エネルギ線量に一致させることができる。・・・」 「【0132】 第5の信号アイソレータ254からの出力は、第1の指向性カプラ210の入力に供給されるが、第1の指向性カプラ210の機能は、マイクロ波放射生成ラインアップにより生成された順方向電力の一部を測定することであり、マイクロ波放射生成ラインアップは、ソース200、スプリッタ202、第1のアイソレータ242、第1のブレイクスルーフィルタ244、PINダイオードスイッチ204、第2のブレイクスルーフィルタ246、第2のアイソレータ248、PIN減衰器206、第3のアイソレータ250、前置増幅器207および電力増幅器208をすべて含み得る(直列接続された第4および第5のアイソレータ252、254の挿入損失を差し引く)。」 「【0138】 順方向電力からの反射電力の数学的減算を使用して、生物組織内に伝達された正味電力レベルを決定することが可能であり、伝達されたエネルギは上記正味電力レベルと持続時間またはONタイム(パルスまたは連続波)の積から決定可能である。すなわちエネルギ(ジュール)=電力(ワット)×時間(秒)である。マイクロプロセッサ214を使用して、これらの計算を行う。」 「【0165】 マイクロプロセッサは、生物組織負荷230内に伝達されるエネルギの計算など種々の数学的機能を行い、ユーザ制御および表示ユニット218、220から送信される制御情報を解釈する。マイクロプロセッサは、16、32または64ビットユニットであり得、デジタル信号プロセッサ(DSP)ボードを含み得る。ユーザ制御および表示ユニット218、220により、ユーザはRMSおよび/またはピーク電力レベル、デューティサイクル、パルス幅、パルス形状およびユーザ定義パルスシーケンス、すなわちパルス振幅および/またはパルス幅の所定期間の変動(swept variation)などの工学モード機能を指定することが可能である。ユーザ制御および表示ユニット218、220はまた、外科モードでしか動作しないように構成され得、これによりユーザ指定機能および表示情報は制限され、例えば病変サイズまたは組織内に伝達されるエネルギ線量を入力するだけが必要であり得、出力表示は単にエネルギレベルと残りの治療時間を示す棒グラフであり得る。ユーザ/オペレータは治療様式のみを指定して(例えば、GORD)、これによりシステムは本症状を治療するのに必要とされるエネルギプロファイル(例えば線量およびパルスパターン)を送出するように構成されることが望ましいことであり得る。」 「【0170】 電力制御スキームの実装に関しては、ユーザ制御および表示ユニット218、220を介してユーザにより入力されたエネルギ線量、病変サイズ、病変タイプまたは治療様式指示に従って、マイクロプロセッサユニット214を使用して、電力要求が設定され得る。マイクロプロセッサユニット214はデジタル制御信号209をPINダイオード減衰器206に送出し、順方向電力検出器211により受信された情報は電力要求信号と比較されて、その差は、出力電力レベルを要求電力レベルに従わせるために、PINダイオード減衰器206に印加されたデジタル信号209を調節(増加または減少)させるのに使用される誤差電圧を提供する。電力制御アルゴリズムを展開する際に、反射電力検出器213からの信号を考慮することも可能である。この場合、順方向電力測定と反射電力測定との間の差を要求信号と比較して、生物組織230内に伝達された正味電力が要求された電力レベルと同じであることを可能とするように調整がなされることになろう。」 (2)上記(1)から、以下の事項が理解できる。 ア 【0001】、【0077】より、「マイクロ波放射界を発するように構成されたプローブ」に「マイクロ波エネルギー」を「制御」して「供給」し、「マイクロ波放射から導き出される熱エネルギを使用して」「食道壁」を「治療する」「装置」が把握できる。 イ 【0132】の「マイクロ波放射生成ラインアップにより生成された順方向電力」、「マイクロ波放射生成ラインアップは、ソース200、スプリッタ202、第1のアイソレータ242、第1のブレイクスルーフィルタ244、PINダイオードスイッチ204、第2のブレイクスルーフィルタ246、第2のアイソレータ248、PIN減衰器206、第3のアイソレータ250、前置増幅器207および電力増幅器208をすべて含み得る」を参照すると、 【0077】、【0080】、【0082】より、「プローブに供給」する「順方向電力」を生成する、「マイクロ波放射の源」と「電力増幅器」を含む、「マイクロ波放射生成ラインアップ」が、把握できる。 ウ 【0079】の「コントローラは、目標エネルギ線量(時間とともに伝達される電力総量)を生成して、食道壁に伝達するように構成された制御ユニットを含む。」、「言い換えると、目標エネルギ線量を選択することにより異なるタイプの治療が実現可能である。」、「例えば、「食道逆流」治療を行うために、その線量を伝達するための目標エネルギ線量と予めプログラムされたパルス列が制御ユニットにより選択または計算され得る。」、「目標エネルギ線量を生成する際に、異なる要因、例えば、食道の直径、食道壁構造(年齢、ライフスタイルなどに依存し得る)が制御ユニットにより考慮され得る。」より、治療のタイプや異なる要因を考慮して目標エネルギ線量(時間とともに伝達される電力総量)を生成する制御ユニットを含むコントローラが把握できる。 エ 【0165】の「マイクロプロセッサは、生物組織負荷230内に伝達されるエネルギの計算など種々の数学的機能を行い、ユーザ制御および表示ユニット218、220から送信される制御情報を解釈する。」、「出力表示は単にエネルギレベルと残りの治療時間を示す棒グラフであり得る。」を参照すると、「ユーザ制御および表示ユニット」を備えること、及び「出力表示はエネルギレベルと残りの治療時間を示す棒グラフである」ことが、把握できる。 オ 【0138】の「順方向電力からの反射電力の数学的減算を使用して、生物組織内に伝達された正味電力レベルを決定することが可能であり、伝達されたエネルギは上記正味電力レベルと持続時間またはONタイム(パルスまたは連続波)の積から決定可能である。すなわちエネルギ(ジュール)=電力(ワット)×時間(秒)である。マイクロプロセッサ214を使用して、これらの計算を行う。」を参照すると、 【0080】の「コントローラは、目標エネルギ線量が確実に食道壁に伝達されるように構成される。」「コントローラは、プローブに与えられるマイクロ波放射の電力レベルを検出するための検出器を含み、検出された電力レベルは食道壁に伝達されるエネルギ量を計算するのに使用される。検出器は、マイクロ波放射源からプローブに伝達された電力を検出するための順方向指向性カプラを含み得る。」「検出器はプローブを介して食道壁から反射して戻される電力を検出するための逆方向指向性カプラを含み得る。」「食道壁に伝達された電力は、プローブに供給された順方向放射と逆方向指向性カプラで検出された反射放射の間の差に対応し得る。」「コントローラは」「目標エネルギ線量が確実に伝達されるように食道壁に伝達される電力を計算するように構成される」。「順方向および反射電力との間の差が、典型的には目標組織内に伝達される「正味」電力と称される。」より、 プローブに伝達された順方向電力を順方向指向性カプラで検出し、 食道壁から反射して戻される反射電力を逆方向指向性カプラで検出し、 順方向電力からの反射電力の数学的減算を使用して、食道壁内に伝達された正味電力レベルを決定し、上記正味電力レベルと持続時間またはONタイム(パルスまたは連続波)の積から、食道壁に伝達されたエネルギ量を計算し、 目標エネルギ線量が食道壁に伝達されるように制御するコントローラが、把握できる。 2 引用発明 上記記載を総合すると、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 [引用発明] 「マイクロ波放射界を発するように構成されたプローブにマイクロ波エネルギを制御して供給し、マイクロ波放射から導き出される熱エネルギを使用して食道壁を治療する装置であって、 プローブに供給する順方向電力を生成する、マイクロ波放射の源と電力増幅器を含む、マイクロ波放射生成ラインアップと、 ユーザ制御および表示ユニットと、 治療のタイプや異なる要因を考慮して目標エネルギ線量(時間とともに伝達される電力総量)を生成する制御ユニットを含み、 プローブに伝達された順方向電力を順方向指向性カプラで検出し、 食道壁から反射して戻される反射電力を逆方向指向性カプラで検出し、 順方向電力からの反射電力の数学的減算を使用して、食道壁内に伝達された正味電力レベルを決定し、上記正味電力レベルと持続時間またはONタイム(パルスまたは連続波)の積から、食道壁に伝達されたエネルギ量を計算し、 目標エネルギ線量が食道壁に伝達されるように制御するコントローラとを備え、 出力表示はエネルギレベルと残りの治療時間を示す棒グラフである、 装置。」 3 周知技術を示す文献の記載 (1)特表2012-508062号公報(以下、「周知文献1」という。)の記載 周知文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審による。) 「【0009】 本発明は、マイクロ波エネルギーによって組織を治療する装置および方法を開示する。いくつかの実施形態において、マイクロ波エネルギーは、組織を切除するために使用される。そのようなアブレーションに対する1つの用途は、子宮内膜アブレーションによって月経過多を治療することである。」 「【0071】 図4は、子宮内膜アブレーションの方法の実施例の主要なステップを図示する。・・・。ステップ102Aにおいて、子宮の寸法が測定される。測定される子宮の寸法は、子宮腔の長さおよび/または幅、子宮腔の位置、子宮腔の配向、頸管の長さおよび/または幅、および頸管の位置から成る群より選択されてもよい。これは、A.子宮内膜腔の中に造影剤または生理食塩水を有する、または有しない超音波検査(腹部または経膣的)、B.子宮内膜腔の中に造影剤または生理食塩水を有するか、または有しない手技前MRI、C.子宮腔および頸部腔の長さだけでなく、副角領域中の子宮腔の幅も測定する、標準子宮ゾンデまたはウィングゾンデ状装置によって子宮を測深すること、D.近似寸法および配向を知るように、双合診を実施するか、または子宮を触診すること、のうちの1つ以上によって行われてもよい。・・・(中略)・・・ステップ116Aにおいて、子宮内膜が切除される。アブレーションパラメータは、ユーザが解剖学的データ等の何らかの患者特有のデータを入力した後に、マイクロ波発生器によって自動的に選択されてもよい。代替として、ユーザが、患者の解剖学的データ等の特定の入力に基づいて、電力送達の大きさ、波形、アブレーション時間等のアブレーションパラメータを計算してもよい。次いで、アブレーションパラメータは、発生器に供給されてもよい。アブレーションの終点は、マイクロ波発生器によって自動的に判定されてもよく、または、ユーザが、プロトコルに基づいてアブレーション終点を決定してもよい。1つ以上のパラメータが、アブレーションの終点を計算する、および/またはアブレーションを終了するために使用されてもよい。そのようなパラメータの実施例は、1つ以上の場所における組織温度、アブレーション時間、アブレーション電力、1つ以上の場所における組織のインピーダンス、患者の解剖学的パラメータ等を含むが、それらに限定されない。」 (2)特表2012-506300号公報(以下、「周知文献2」という。)の記載 周知文献2には、次の事項が記載されている(下線は当審による。) 「【0110】 ・・・。平面アンテナ104は、肝臓、胃、食道等の器官の表面等の表面を切除するために使用されてもよい。例えば、図14Aは、子宮内膜アブレーションのために設計されたマイクロ波アブレーションデバイスの平面アンテナの図を示す。・・・」 「【0175】 本明細書の方法の実施形態のうちのいずれかでは、生体構造を撮像することによって、手技前の解剖学的データが取得されてもよい。この解剖学的データは、特定の患者に方法を合わせるために使用されてもよい。一実施形態では、解剖学的データは、アブレーションデバイス100のサイズまたは形状パラメータを調整するために使用される。別の実施形態では、解剖学的データは、治療パラメータ、例えば、アブレーション電力、アブレーション時間等を決定するために使用される。解剖学的データは、造影剤を伴う、または伴わない超音波撮像、造影剤を伴う、または伴わない蛍光透視またはX線撮像、造影剤を伴う、または伴わないMRI、PETスキャン、内視鏡検査法、および機械的サイズ決定デバイス(例えば、子宮ゾンデ、距離マーキングを伴う細長いデバイス等)を使用することのうちの1つ以上によって取得されてもよい。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明の対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「マイクロ波放射界を発するように構成されたプローブ」は、本願発明の「エネルギー送達装置」に相当し、 引用発明の「マイクロ波放射界を発するように構成されたプローブにマイクロ波エネルギを制御して供給し、マイクロ波放射から導き出される熱エネルギを使用して食道壁を治療する装置」は、本願発明の「エネルギー送達装置にマイクロ波エネルギーを印加するためのシステム」に相当する。 引用発明の「プローブに供給する順方向電力を生成する、マイクロ波放射の源と電力増幅器を含む、マイクロ波放射生成ラインアップ」は、本願発明の「エネルギー源」に相当する。 引用発明の「ユーザ制御および表示ユニット」は、本願発明の「ユーザインターフェース」に相当する。 引用発明の「目標エネルギ線量(時間とともに伝達される電力総量)」は、本願発明の「特定の値を含む目標エネルギー量」に相当し、 引用発明の「目標エネルギ線量(時間とともに伝達される電力総量)を生成する」と本願発明の「計算される、特定の値を含む目標エネルギー量」とは、特定の値を含む目標エネルギー量が生成されるという限りで一致する。 引用発明の「目標エネルギ線量が食道壁に伝達されるように制御するコントローラ」は、目標エネルギ線量が食道壁に伝達されるように、マイクロ波放射の源と電力増幅器を含むマイクロ波放射生成ラインアップからプローブに供給する電力を制御するものであるから、本願発明の「所定の印加エネルギー量を前記エネルギー源から前記エネルギー送達装置に印加するように構成された制御部」に相当する。 引用発明の「食道壁に伝達されたエネルギ量」は、本願発明の「送達されるエネルギー量」に相当する。 引用発明の「コントローラ」が「順方向電力からの反射電力の数学的減算を使用して、食道壁内に伝達された正味電力レベルを決定し、上記正味電力レベルと持続時間またはONタイム(パルスまたは連続波)の積から、食道壁に伝達されたエネルギ量を計算」することは、本願発明の「同制御部は、エネルギー送達中の前記エネルギー送達装置からのエネルギー損失を計算するように構成され、前記制御部はさらに、前記エネルギー損失を使用して送達されるエネルギー量を判定」することに相当する。 引用発明の「目標エネルギ線量」を、「制御ユニット」が「治療のタイプや異なる要因を考慮して」「生成する」ことは、目標エネルギ線量をコントローラの制御ユニットが調整することであるといえるから、本願発明の「前記目標エネルギー量は、前記制御部を介して調整可能であ」ることに相当する。 引用発明の「食道壁から反射して戻される反射電力を逆方向指向性カプラで検出」することは、本願発明の「組織により反射され前記エネルギー送達装置により受け取られる前記印加エネルギー量の一部を検知および/または測定すること」に相当し、 引用発明の「食道壁から反射して戻される反射電力を逆方向指向性カプラで検出」すること及び「コントローラ」が「順方向電力からの反射電力の数学的減算を使用して、食道壁内に伝達された正味電力レベルを決定し、上記正味電力レベルと持続時間またはONタイム(パルスまたは連続波)の積から、食道壁に伝達されたエネルギ量を計算」することと、本願発明の「前記エネルギー損失は、前記子宮組織により反射され前記エネルギー送達装置により受け取られる前記印加エネルギー量の一部を検知および/または測定することによって前記制御部を介して判定される」こととは、前記エネルギー損失は、組織により反射され前記エネルギー送達装置により受け取られる前記印加エネルギー量の一部を検知および/または測定することによって前記制御部を介して判定されるという限りで一致する。 2 一致点及び相違点 本願発明と引用発明は、下記の一致点で一致し、下記の相違点1-3で相違する。 (1)一致点 「エネルギー送達装置にマイクロ波エネルギーを印加するためのシステムであって、 エネルギー源と、 ユーザインターフェースと、 所定の印加エネルギー量を前記エネルギー源から前記エネルギー送達装置に印加するように構成された制御部とを備え、 特定の値を含む目標エネルギー量が生成され、 同制御部は、エネルギー送達中の前記エネルギー送達装置からのエネルギー損失を計算するように構成され、前記制御部はさらに、前記エネルギー損失を使用して送達されるエネルギー量を判定し、前記目標エネルギー量は、前記制御部を介して調整可能であり、 前記エネルギー損失は、組織により反射され前記エネルギー送達装置により受け取られる前記印加エネルギー量の一部を検知および/または測定することによって前記制御部を介して判定されるシステム。」 (2)相違点 <相違点1> 本願発明は、「組織により反射され前記エネルギー送達装置により受け取られる前記印加エネルギー量の一部を検知および/または測定する」構成における「組織」が、「子宮組織」であるのに対して、 引用発明は、食道壁である点。 <相違点2> 本願発明は「1つまたは複数の入力変数に基づいて計算される、特定の値を含む目標エネルギー量を記憶するように構成されたメモリユニット」を備えるのに対して、 引用発明は、治療のタイプや異なる要因を考慮して目標エネルギ線量(時間とともに伝達される電力総量)を生成する制御ユニットを備える点。 <相違点3> 本願発明は、制御部が、「前記送達されるエネルギー量を目標エネルギー量と比較して、前記送達されるエネルギー量が前記目標エネルギー量に到達した際に視覚、聴覚、または視聴覚の信号をユーザへ提供するように構成され」るのに対して、 引用発明は、コントローラが、伝達されたエネルギ量を計算し、目標エネルギ線量が伝達されるように制御し、出力表示は、エネルギレベルと残りの治療時間を示す棒グラフである点。 第6 判断 1 相違点について <相違点1、相違点2について> 引用発明の装置は、食道壁を治療する装置であるが、引用文献の【0105】には、中空管構造を形成する種々の他の組織構造の治療に適用できることが示唆されているところ、子宮内膜を、マイクロ波エネルギーを放射して治療することは、周知であり(周知文献1の【0009】、周知文献2の【0110】参照。)、引用発明の装置を子宮内膜に用いることは、当業者が容易になし得たことである。 引用発明は、治療のタイプや異なる要因を考慮して目標エネルギ線量を生成するものであるし、また、子宮内膜をマイクロ波エネルギーを放射して治療する場合において、患者の解剖学的データを用いて、アブレーションのパラメータを計算することは、周知技術である(周知文献1の【0071】、周知文献2の【0175】参照。)ので、治療のタイプや患者の解剖学的データのいずれかを入力変数として、目標エネルギ線量を計算することは、当業者が容易になし得た事項である。 そして、引用発明は、目標エネルギ線量が伝達されるように制御するものであるから、当該目標エネルギ線量を記憶する何らかの記憶手段を有することは、当業者に明らかである。記憶手段としてメモリユニットを採用することは、当業者が必要に応じて適宜に選択し得たことである。 したがって、引用発明において、上記周知技術に基づいて、相違点1、2の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 <相違点3について> 引用発明の出力表示は、残りの治療時間を示すものであるので、伝達されたエネルギを計算して、目標エネルギ線量に達した場合、残りの治療時間がゼロであることを表示して、ユーザーへ視覚信号を提供するものであるから、相違点3は実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、引用発明は、目標エネルギ線量が伝達されるようにする発明であるから、計算により求めた伝達されたエネルギ量が、ちょうど目標エネルギ線量に達することは治療の終了を意味するから、それをユーザに報知して、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が必要に応じて適宜になし得たことである。 2 効果について 本願発明を全体として検討しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものに過ぎず、格別顕著ということはできない。 3 小括 したがって、本願発明は、引用発明と周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-002133

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