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特許拒絶査定不服審判

2022-001416

スロットマシン

審判番号
2022-001416
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-179749外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月31日
審決日
2022年10月04日
公報発行日
2022年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .161-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
行政事件訴訟法46条特許法29条の2
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-179749「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月22日出願公開、特開2018- 42738〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成28年9月14日の出願であって、令和2年2月3日に手続補正書が提出され、同年6月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月9日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年1月22日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月24日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月12日に意見書が提出されたところ、同年11月2日付け(送達日:同年同月9日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和4年1月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年1月31日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年1月22日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、

「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
通常区間と有利区間とを含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御可能な区間制御手段と、
続きを表示(全12行)
第1状態と第2状態とを含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御可能な状態制御手段と、
前記有利区間において前記導出操作手段の操作態様を報知する報知状態に制御可能な報知状態制御手段と、を備え、
前記区間制御手段は、
前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第1状態かつ前記有利区間に制御し、
前記第2状態かつ前記通常区間において前記有利区間移行条件が成立したときに当該第2状態かつ前記有利区間に制御し、
前記第1状態かつ前記有利区間において第1有利区間終了条件が成立したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し、
前記第2状態かつ前記有利区間において前記第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件が成立したときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し、
前記有利区間移行条件は、前記第1状態および前記第2状態のいずれにおいても、前記通常区間において同じ確率で成立する、スロットマシン。」とあったものを、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
通常区間と有利区間とを含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御可能な区間制御手段と、
続きを表示(全12行)
第1状態と第2状態とを含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御可能な状態制御手段と、
前記有利区間において前記導出操作手段の操作態様を報知する報知状態に制御可能な報知状態制御手段と、を備え、
前記区間制御手段は、
前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第1状態かつ前記有利区間に制御し、
前記第2状態かつ前記通常区間において前記有利区間移行条件が成立したときに当該第2状態かつ前記有利区間に制御し、
前記第1状態かつ前記有利区間においてゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し、
前記第2状態かつ前記有利区間において前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し、
前記有利区間移行条件は、前記第1状態および前記第2状態のいずれにおいても、前記通常区間において同じ確率で成立し、かつ前記設定手段によっていずれの前記有利度が設定されていても同じ確率で成立する、スロットマシン。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の目的について

(1) 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1有利区間終了条件が成立したとき」との記載を「ゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生したとき」とすることにより、「第1有利区間終了条件」の具体的な内容が「ゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生した」ことであることに限定するものを含むものである。

(2) 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件が成立したとき」との記載を「前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたとき」とすることにより、「第2有利区間終了条件」の具体的な内容が「前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化された」ことであることに限定するものを含むものである。

(3) 上記(1)、(2)からみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 新規事項の追加の有無について

本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面における【0133】~【0135】、【0262】、【0274】、【0289】、図12、図34等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

なお、請求人は、審判請求書の「(2) 補正の根拠の明示」において、上記2(2)の本件補正は、【0262】、【0279】、【0289】の記載と、図34とに基づくと述べているが、本件補正後の請求項1の「前記第2状態かつ前記有利区間において前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し」の記載からみて、本件補正は、【0133】~【0135】、図12等の記載に基づくものと認められる。

4 独立特許要件について

本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。

(1) 本願補正発明

本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、A等は、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。

「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な
N スロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
続きを表示(全14行)
D 通常区間と有利区間とを含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御可能な区間制御手段と、
E 第1状態と第2状態とを含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御可能な状態制御手段と、
F 前記有利区間において前記導出操作手段の操作態様を報知する報知状態に制御可能な報知状態制御手段と、を備え、
I 前記区間制御手段は、
I1 前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第1状態かつ前記有利区間に制御し、
I2 前記第2状態かつ前記通常区間において前記有利区間移行条件が成立したときに当該第2状態かつ前記有利区間に制御し、
I3 前記第1状態かつ前記有利区間においてゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し、
I4 前記第2状態かつ前記有利区間において前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し、
J 前記有利区間移行条件は、前記第1状態および前記第2状態のいずれにおいても、前記通常区間において同じ確率で成立する、
N スロットマシン。」

(2) 先願明細書等

原査定の拒絶の理由に先願1として引用され、本願の出願日前の特許出願であって、本願の出願後に特許掲載公報の発行がされた特願2016-146822(特許第6112527号)(出願日:平成28年7月26日、発行日:平成29年4月12日、出願人:サミー株式会社、発明者:松田健二)(以下「先願1」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は合議体が付した。)。

ア 記載事項

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(ア) 「【0008】
本明細書において、用語の意味は、以下の通りである。
「RT」とは、抽選対象となる条件装置(1BB、リプレイ、小役)の種類(数)及びその当選確率が特有の抽選状態であることを意味し、「RT移行」とは、一のRTから他の一のRTに移行することによって、抽選対象となる少なくとも1つの条件装置(たとえば、リプレイ)の当選確率が変動することを意味する。したがって、一のRTにおけるリプレイの種類ごとの当選確率は、そのRT特有の値であり、一のRTと、他の一のRTとで、リプレイの種類ごとの当選確率がすべて同一になることはない。ただし、一のRTと、他の一のRTとで、リプレイの当選確率の合算値が同一になることは、差し支えない。
【0009】
RTは、本実施形態では、非RT、RT1、RT2、RT3、及びRT4を備える(後述する図22)。
なお、「非RT」とは、RTの概念に含まれないという意味ではなく、「RT0」と等価である。したがって、本明細書において「RT」というときは、非RTを含む。
本実施形態では、非内部中を非RT、RT1、RT2、又はRT3とし、内部中をRT4としている。非内部中と内部中とで抽選対象となるリプレイの種類(数)及びその当選確率が異なる。」
(イ) 「【0017】
さらに、押し順ベル当選時に、正解押し順でストップスイッチを操作されたときに入賞するベル(小役)を高目ベル(重複当選しているベル群(小役群)のうち、払出し枚数が最も多い小役等、その図柄の組合せが表示されることが遊技者にとって最も有利となるベル(小役))と称する場合がある。
一方、押し順ベル当選時に、不正解押し順でストップスイッチを操作したときは、ストップスイッチの操作タイミングに応じて、安目ベルが入賞する場合と、役のとりこぼしとなる場合とを有する。役のとりこぼし時に表示される停止出目(有効ライン上の図柄の組合せ。「こぼし目」ともいう。)を、本実施形態では「パターン図柄」と称し、パターン図柄01~03を有する。」
(ウ) 「【0020】
以下の実施形態では、「指示機能」は、「有利な操作態様」を遊技者に表示する機能を指すものとし、「指示機能の作動」は、押し順ベル当選時に正解押し順を表示すること、及びリプレイ重複当選時に有利なリプレイを入賞させる正解押し順を表示することの双方を含む意味で使用する。
なお、「指示」内容を遊技者に見せることが「表示」であり、指示内容を遊技者に知らせることが「報知」である。よって、「指示機能」は、「表示機能」でもあり、「報知機能」でもある。
また、「指示」とは、「命令」の意味合いを有する概念であるが、「指示」に従わなかったからといって、遊技者に何らかのペナルティが課されることはない。ただし、指示機能の作動により表示された正解押し順に従わなければ、押し順ベル当選時に高目ベルが入賞しないことや、リプレイ重複当選時に不利なリプレイが入賞する場合がある。
【0021】
また、「指示機能作動遊技」とは、ストップスイッチの有利な操作態様を有する遊技(ストップスイッチの有利な操作態様を有する条件装置(小役B群、小役C群、リプレイB群、リプレイC群)に当選した遊技)において、指示機能を作動させる遊技を意味する。このため、指示機能作動遊技は、一遊技である。指示機能作動遊技は、報知遊技とも称することがある。
また、ストップスイッチの有利な操作態様を有する遊技であっても、指示機能を作動させないときは、当該遊技は、指示機能作動遊技ではない。」
(エ) 「【0050】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。
スロットマシン10に設けられた代表的な制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備える。
メイン制御基板50は、入力ポート51及び出力ポート52を有し、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備える(図1で図示したもののみを備える意味ではない)。」
(オ) 「【0061】
また、スタートスイッチ41は、(左、中、右のすべての)リール31を始動させるときに遊技者が操作するスイッチである。
さらにまた、ストップスイッチ42は、3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者が操作するスイッチである。
さらに、精算スイッチ46は、スロットマシン10内部にベット及び/又は貯留(クレジット)されたメダルを払い戻す(ペイアウトする)ときに遊技者が操作するスイッチである。」
(カ) 「【0087】
図1において、メイン制御基板50には、図柄表示装置のモータ32等が電気的に接続されている。
図柄表示装置は、図柄を表示する(本実施形態では3つの)リール31と、各リール31をそれぞれ駆動するモータ32と、リール31の位置を検出するためのリールセンサ33とを含む。
【0088】
モータ32は、リール31を回転させるためのものであり、各リール31の回転中心部に連結され、後述するリール制御手段65によって制御される。ここで、リール31は、左リール31、中リール31、右リール31からなり、左リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が左ストップスイッチ42であり、中リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が中ストップスイッチ42であり、右リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が右ストップスイッチ42である。
【0089】
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。なお、リール31上の図柄の具体的配列は、後述する。
また、各リール31には、1個(2個以上であってもよい)のインデックスが設けられている。インデックスは、リール31のたとえば周側面に凸状に設けられており、リール31が所定位置を通過したか否かや、1回転したか否か等を検出するときに用いられる。そして、各インデックスは、リールセンサ33により検知される。リールセンサ33の信号は、メイン制御基板50に電気的に接続されている。そして、インデックスがリールセンサ33を検知する(切る)と、その入力信号がメイン制御基板50に入力され、そのリール31が所定位置を通過したことが検知される。」
(キ) 「【0103】
また、図6(A)は、スロットマシン10のフロントドア(前面扉。図示せず。)に設けられた表示窓(透明窓)17と、各リール31の位置関係と、有効ライン(図柄の組合せを表示する表示ライン)とを示す図である。
各リール31は、本実施形態では横方向に並列に3つ(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられている。さらに、各リール31は、表示窓17から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン10の表示窓17から、合計9個の図柄(コマ)が見えるように配置されている。なお、各図柄の右下の数字は図柄番号を示している。
【0104】
また、図6(B)は、本明細書における図柄位置の称呼を図示している。本明細書では、リール31ごとに、表示窓17から見える停止時の図柄位置を、上から順に「上段」、「中段」、「下段」と称し、左リール31であれば、それぞれ「左上段」、「左中段」、「左下段」と称するものとする。
さらにまた、図6(A)に示すように、表示窓17から見える9個の図柄に対し、有効ラインが設定されている。
【0105】
ここで、「有効ライン」とは、リール31の停止時における図柄の並びラインであって図柄の組合せを形成させる図柄組合せライン(表示ライン)であり、かつ、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止したときに、その役の入賞となるラインである。本実施形態では、1本有効ライン(「左下段」-「中中段」-「右上段」を通る一直線状のライン)が定められており、他の図柄組合せラインは、全て無効ラインとなっている。」
(ク) 「【0143】
図17及び図18は、役抽選手段61により条件装置の抽選が行われるときの抽選テーブルにより定められる当選確率であって、RTごとの役物条件装置並びに入賞及びリプレイ条件装置の置数を示す図である。図17及び図18で示す数値を「65536」で割ると、当選確率となる。たとえば、1BBAの単独当選となる置数は、非RT、RT1~RT3のいずれにおいても、「20」及び「10」(合計で「30」)に設定されている。したがって、1BBAの単独当選確率は、「30/65536」である。
【0144】
図17は、設定共通、かつ有利区間に移行することに決定可能な、又は有利区間の上乗せを実行する(又は上乗せ抽選を行うことが可能な)条件装置の置数表である。
続きを表示(全20行)
ここで、「設定共通」とは、設定差を有さない、すなわち設定1~設定6で同一値の置数を有することを指す。
そして、設定共通の条件装置に当選したときは、常に、有利区間に移行することに決定(有利区間中は上乗せすることに決定)してもよく、又は、有利区間に移行するか否か(有利区間中は上乗せするか否か)を抽選で決定してもよい。あるいは、有利区間に移行することに決定(有利区間中は上乗せすることに決定)する条件装置と、有利区間に移行しないことに決定(有利区間中は上乗せしないことに決定)する条件装置とを設けてもよい。
【0145】
本実施形態では、図17に示す設定共通の条件装置には、有利区間に移行することに決定する条件装置と、有利区間に移行しないことに決定する条件装置とを設けている。さらに、有利区間中は、常に、有利区間を上乗せすることに決定する条件装置に設定している。
図17中、通常区間において、「○」は、有利区間に移行することに決定することを意味し、「×」は、有利区間に移行しないことに決定することを意味する。また、有利区間において、「△」は、有利区間を上乗せすることに決定することを意味し、「×」は、有利区間を上乗せしないことに決定することを意味する。
なお、図17では、「○」は、有利区間に移行することに決定し、「△」は、有利区間を上乗せすることに決定するものであるが、これに限らず、「○」は、有利区間に移行するか否かを抽選することを意味し、「△」は有利区間を上乗せするか否かを抽選することを意味してもよい。
【0146】
また、図18は、有利区間に移行することに決定せず、かつ有利区間を上乗せすることに決定しない条件装置とその置数を示している。
本実施形態においては、有利区間に移行することに決定したり、有利区間を上乗せすることに決定する条件装置は、図17に示す条件装置の当選時に限るようにし、図18に示す条件装置の当選では、いずれも、有利区間に移行することに決定せず、かつ有利区間を上乗せすることに決定しない。
なお、図18では、設定1及び設定6の置数を代表的に図示しているが、実際には、上述したように、設定値は、設定1~設定6の6段階を有し、設定値ごとの置数が定められている。
【0147】
図17及び図18において、1BBA又は1BBBを含む条件装置は、非内部中でのみ抽選されるので、非RT、RT1~RT3で抽選される。また、1BBA及び1BBBは、単独当選する場合と、小役D、E1又はE2と重複当選する場合とを有する。一方、小役D、E1又はE2は、単独当選する場合を有する。RT4で抽選されている1BBA又は1BBBを含む条件装置は、小役D、E1又はE2の単独当選として扱う。そのため、RT4における小役Dの単独当選となる置数は、合算で「580」~「585」であり、RT4における小役E1の単独当選となる置数は、合算で「1030」であり、RT4における小役E2の単独当選となる置数は、合算で「310」~「370」である。
また、1BBBは、設定差を有する条件装置が当選したときの当選役に設定されており、1BBBの当選に基づいて有利区間に移行することに決定したり、有利区間を上乗せすることに決定されることはない。
・・・
【0149】
また、図17において、1BBAの単独当選の置数の合計は「30」であるが、本実施形態では、通常区間において有利区間に移行することに決定する置数「20」と、有利区間に移行しないことに決定する置数「10」とに分けられている。すなわち、1BBAの単独当選となった場合において、置数「20」の方に当選すると、当該遊技が通常区間であるときは、同時に有利区間の当選となる。これに対し、1BBAの単独当選となった場合において、置数「10」の方に当選すると、有利区間の非当選となる。」
(ケ) 「【0293】
RT制御手段68は、毎遊技、全リール31の停止時に、RTの移行条件を満たすか否かを判断し、RTの移行条件を満たすと判断したときは、RTの移行を行うように制御するものである。
図22は、本実施形態におけるRT移行図を示す図である。本実施形態のRTは、上述したように、非RT、RT1~RT4、1BBA作動(1BBA遊技)、1BBB作動(1BBB遊技)を備える。そして、図17及び図18で示したように、RTごとに、抽選される条件装置の種類(数)やその当選確率が異なっている。
【0294】
本実施形態において、RTの移行タイミングは、図柄の組合せの停止表示時又はRT移行役の入賞時、すなわち全停時(すべてのリール31の停止時)に設定されている。したがって、たとえばRT1中に、全リール31の停止時にパターン図柄が停止したときは、当該全停時にRTがRT1からRT2に移行する。なお、非RT、RT1~RT3からRT4への移行は、1BBの当選に基づいて行うようにしてもよく、あるいは、1BBに当選した遊技において1BBが入賞しなかったことに基づいて行うようにしてもよい。本実施形態では、1BBに当選した遊技において1BBが入賞しなかったことに基づいてRT4に移行する。
【0295】
非内部中遊技は、非RT、RT1、RT2、RT3に相当する。また、内部中遊技は、RT4に相当する。
また、有利区間中は、スロットマシン10側の制御として基本的にRT3に滞在させるように制御するが、遊技者のストップスイッチ42の押し順ミス等が発生したときは、RT2に滞在する場合もある。1回の指示機能作動遊技(小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技を除く)のみで終了する有利区間の場合は、RT3に滞在させなくてもよい。すなわち、RT2において、1回の指示機能作動遊技(小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技を除く)を行い、有利区間を終了してもよい。もちろん、基本的にRT3に滞在させるようにしてもよい。」
(コ) 「【0304】
RT2は、通常区間では最も滞在率が高くなるRTである。RT2では、リプレイB群に当選し、リプレイ02が入賞したときは、RTの移行条件を満たすと判断し、次回遊技からRT3に移行する。
一方、RT3では、パターン図柄が表示されるか、又はリプレイC群に当選し、リプレイ03が入賞するまで継続される。RT3において、パターン図柄が表示されたとき又はリプレイ03が入賞したときは、RTの移行条件を満たすと判断し、次回遊技からRT2に移行する。」
(サ) 「【0308】
有利区間制御手段69は、通常区間から有利区間への移行(待機区間を含む)、有利区間を終了するか否かの判断、有利区間中の上乗せ、指示機能の作動制御等を実行する手段である。
まず、有利区間制御手段69は、通常区間かつ非内部中遊技では、有利区間に移行するか否かを決定する。
また、有利区間制御手段69は、有利区間かつ非内部中遊技では、有利区間の遊技回数を上乗せするか否かを決定する。」
(シ) 「【0313】
通常区間において有利区間に移行することに決定したときは、予め定めた遊技回数の有利区間を設定してもよく、あるいは、有利区間の遊技回数を抽選等で決定してもよい。あるいは、遊技回数で有利区間の終了条件を定めるのではなく、遊技回数以外の終了条件(たとえば、払出し枚数、差枚数、小役B群の当選回数、指示機能の作動回数等)を定めてもよい。本実施形態では、通常区間において図17に示す条件装置に当選したときは、それぞれ下記ように終了条件が設定された有利区間に移行する。
具体的には、たとえば以下のように定めることが挙げられる。
1BBA単独当選時(置数「20」):初期値が1BB遊技の終了後からカウントして100遊技の有利区間に移行
1BBA+小役D重複当選時(置数「5」):初期値が1BB遊技の終了後からカウントして250遊技の有利区間に移行
1BBA+小役E1重複当選時(置数「20」):初期値が1BB遊技の終了後からカウントして200遊技の有利区間に移行
小役D単独当選時(置数「50」):初期値が150遊技の有利区間
小役E1単独当選時(置数「250」):初期値が100遊技の有利区間、又は1回の小役B群当選時の指示機能の作動で終了する有利区間のいずれか(いずれにするかを抽選で決定してもよい。あるいは、置数「250」のうち、置数「120」の範囲に含まれる乱数値を抽出したときは、初期値が100遊技の有利区間とし、置数「130」の範囲に含まれる乱数値を抽出したときは、1回の小役B群当選時の指示機能の作動で終了する有利区間としてもよい)」
(ス) 「【0342】
また、有利区間制御手段69は、有利区間中において、指示機能を作動させるべき遊技では、後述するサブ制御基板80による正解押し順の報知とは別個に、指示機能を作動させることにより、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する。たとえば、小役B1に当選したときは、押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報「=1」を、獲得数表示LED78に表示する。この制御が、本実施形態における「指示機能の作動」に相当するものとなる。」
(セ) 「【0349】
本実施形態では、有利区間に関する遊技回数をカウントするカウンタとして、有利区間カウンタ69a及び上限カウンタ69bを備える(図1参照)。
有利区間カウンタ69aは、有利区間に移行することに決定したときに、その時点で決定された遊技回数(たとえば「100」)の初期値をセットする。そして、1遊技消化するごとにカウント値をデクリメントし、「0」になったときは、有利区間を終了する。なお、デクリメントは、有利区間に移行した遊技から行うものもあれば、1BB遊技の終了後から行うものもある。また、有利区間カウンタ69aは、有利区間に移行することに決定したときに、その時点で決定された遊技回数(たとえば「100」)の初期値をセットしなくてもよく、1BB遊技の終了後に初期値をセットするものでもよい。
さらに、有利区間中に有利区間が上乗せされたときは、有利区間カウンタ69aの現在のカウント値に、上乗せ値に対応する値を加算する。」
(ソ) 「【0360】
また、上限カウンタ69bは、有利区間を開始したときは、常にカウントを開始し(有利区間に移行することが決定されたとき、又は有利区間の開始時に「1500」をセットし)、その後、有利区間を終了するまでは、いかなる場合であってもカウントを中断せず、1遊技ごとに、カウント値を「1」ずつデクリメントする。また、たとえば、1BB作動中であってもカウントを継続する。この点が、有利区間カウンタ69aとは異なる。なお、有利区間カウンタ69aや上限カウンタ69bは、1遊技ごとに「0」からカウント値を「1」ずつインクリメントするものであってもよい。
・・・
【0362】
また、有利区間中は、払出し枚数が9枚(規定数3枚での最大払出し数)となる指示機能作動遊技を少なくとも1回実行する必要がある。したがって、有利区間では、少なくとも1回、小役B群の当選時に指示機能作動遊技を実行する必要があるが、上限カウンタ69bの値が「0」となったときは、1度も小役B群の当選時に指示機能作動遊技を実行していなかったとしても、又は1度も小役B群に当選していなかったとしても、今回遊技で有利区間を(強制)終了し、有利区間表示LED77を消灯する。
また、有利区間カウンタ69aや上限カウンタ69bの値を参照して、画像表示装置23において、残り遊技回数又は消化遊技回数等を画像表示してもよい。」
(タ) 「【図17】
[図:0001391799000001.jpg]
」
(チ) 「【図22】
[図:0001391799000002.jpg]
」

イ 認定事項

(ア) 【0143】には、「図17及び図18は、役抽選手段61により条件装置の抽選が行われるときの抽選テーブルにより定められる当選確率であって、RTごとの役物条件装置並びに入賞及びリプレイ条件装置の置数を示す図である。図17及び図18で示す数値を「65536」で割ると、当選確率となる。」と、【0144】には、「図17は、設定共通、かつ有利区間に移行することに決定可能な、又は有利区間の上乗せを実行する・・・条件装置の置数表である。」と、【0145】には、「図17に示す設定共通の条件装置には、有利区間に移行することに決定する条件装置と、有利区間に移行しないことに決定する条件装置とを設けている。」と、【0146】には、「図18は、有利区間に移行することに決定・・・しない条件装置とその置数を示している。」及び「有利区間に移行することに決定・・・する条件装置は、図17に示す条件装置の当選時に限る」と、それぞれ記載されている。

また、上記の記載に加え、【0145】の「図17中、通常区間において、「○」は、有利区間に移行することに決定することを意味し、」の記載、【0147】の「1BBA及び1BBBは、単独当選する場合と、小役D、E1又はE2と重複当選する場合とを有する。一方、小役D、E1又はE2は、単独当選する場合を有する。」の記載、【0149】の「1BBAの単独当選となった場合において、置数「20」の方に当選すると、当該遊技が通常区間であるときは、同時に有利区間の当選となる。」の記載を踏まえると、図17には、「RT2」及び「RT3」の場合のいずれにおいても、「1BBA」の単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、「1BBA」と「小役D」の重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、「1BBA」と「小役E1」の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、「小役D」の単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、「小役E1」の単独当選且つ置数「250」の方に当選したときにおいて、通常区間から有利区間に移行することが示されていると認められる。

以上のことから、先願明細書等には、「置数の数値を「65536」で割ると、当選確率となること」(以下「認定事項1」という。)、「RT2及びRT3の場合のいずれにおいても、1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したときにおいて、通常区間から有利区間に移行すること」(以下「認定事項2」という。)が記載されていると認められる。

(イ) 先願明細書等には、RT2、RT3において、通常区間と有利区間の間を移行する場合に、移行後のRTが何になるのかについて、明記されていないものの、【0017】の「役のとりこぼし時に表示される停止出目(有効ライン上の図柄の組合せ。「こぼし目」ともいう。)を、本実施形態では「パターン図柄」と称し、」の記載、【0293】の「RT制御手段68は、毎遊技、全リール31の停止時に、RTの移行条件を満たすか否かを判断し、RTの移行条件を満たすと判断したときは、RTの移行を行うように制御するものである。」の記載、【0294】の「RTの移行タイミングは、図柄の組合せの停止表示時又はRT移行役の入賞時、すなわち全停時(すべてのリール31の停止時)に設定されている。」の記載、【0304】の「RT2では、リプレイB群に当選し、リプレイ02が入賞したときは、RTの移行条件を満たすと判断し、次回遊技からRT3に移行する。一方、RT3では、パターン図柄が表示されるか、又はリプレイC群に当選し、リプレイ03が入賞するまで継続される。」の記載、及び図22に示されるとおり、RTの移行条件は、通常区間と有利区間の間の移行条件とは別に設定されているものであり、必ずしも同時に発生するものではないことに加え、RT2からRT3への移行条件である、リプレイB群は、図17に示される「有利区間に移行することに決定可能な」「条件装置」に含まれていないことから、先願明細書等には、通常区間から有利区間に移行する場合において、「RT2で通常区間から有利区間に移行すること」及び「RT3で通常区間から有利区間に移行すること」が記載されていると認められる(以下「認定事項3」という。)。

同様に、先願明細書等には、有利区間から通常区間に移行する場合において、「RT2で有利区間から通常区間に移行すること」及び「RT3で有利区間から通常区間に移行する場合があること」が記載されていると認められる(以下「認定事項4」という。)。

ウ 先願発明1

上記の「ア 記載事項(ア)~(チ)」及び「イ 認定事項(ア)~(イ)」から、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明1」という。)が記載されている。なお、a等については本願補正発明のA等に概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。)。

「a リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄を印刷したリールテープを貼付したものであり、左リール31、中リール31、右リール31からなり図柄を表示する3つのリール31と、各リール31をそれぞれ駆動し、回転させるモータ32とを含む図柄表示装置を備え(【0087】~【0089】)、
b 各リール31は、横方向に並列に3つ(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられ、さらに、各リール31は、表示窓17から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されて、合計9個の図柄(コマ)が見えるように配置され、表示窓17から見える9個の図柄に対し、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止したときに、その役の入賞となるラインである有効ライン(「左下段」-「中中段」-「右上段」を通る一直線状のライン)が設定され(【0103】~【0105】)、
c 3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者が操作するスイッチであるストップスイッチ42(【0061】)を備える
n スロットマシン10(【0050】)において、
続きを表示(全16行)
d、f 通常区間から有利区間への移行、有利区間を終了するか否かの判断、指示機能の作動制御等を実行し、
有利区間中において、ストップスイッチの有利な操作態様を遊技者に表示する指示機能を作動させるべき遊技(小役B群、小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技)では、指示機能を作動させることにより、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する有利区間制御手段69と(【0020】、【0021】、【0308】、【0342】)、
e 抽選対象となる条件装置(1BB、リプレイ、小役)の種類(数)及びその当選確率が特有の抽選状態であることを意味する「RT」として、非RT、RT1、RT2、RT3、及びRT4を備え(【0008】、【0009】)、毎遊技、全リール31の停止時に、RTの移行条件を満たすか否かを判断し、RTの移行条件を満たすと判断したときは、RTの移行を行うように制御するRT制御手段68と(【0293】)、を備え、
i1、j RT2において、1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したときにおいて、RT2で、通常区間から有利区間に移行し(認定事項2、認定事項3)、
i2、j RT3において、1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したときにおいて、RT3で、通常区間から有利区間に移行し(認定事項2、認定事項3)、
i3 RT2において、1回の指示機能作動遊技(小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技を除く)を行い、有利区間を終了し、通常区間に移行し(【0295】、認定事項5)、
i4 有利区間に関する遊技回数をカウントするカウンタとして上限カウンタ69bを備え(【0349】)、
上限カウンタ69bは、有利区間を開始したときは、常にカウントを開始し、有利区間に移行することが決定されたときに「1500」をセットし、その後、有利区間を終了するまでは、いかなる場合であってもカウントを中断せず、1遊技ごとに、カウント値を「1」ずつデクリメントし(【0360】)、
有利区間では、少なくとも1回、小役B群の当選時に指示機能作動遊技を実行する必要があるが、上限カウンタ69bの値が「0」となったときは、1度も小役B群の当選時に指示機能作動遊技を実行していなかったとしても、又は1度も小役B群に当選していなかったとしても、今回遊技で有利区間を終了し(【0362】)、
RT3において、RT3で有利区間から通常区間に移行する場合があり(認定事項4)、
j 置数の数値を「65536」で割ると、当選確率となる(認定事項1)、
n スロットマシン10(【0050】)。」

(3) 対比

本願補正発明と先願発明1とを対比する。なお、見出しは(a)等とし、本願補正発明の分説に対応させている。

(a) 先願発明1の「複数種類の図柄」の各々が識別可能であることは技術常識からみて明らかであるから、先願発明1の「複数種類の図柄」は、本願補正発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報」に相当する。

また、先願発明1の「図柄を表示する3つのリール31と、各リール31をそれぞれ駆動し、回転させる」こと、「図柄表示装置」は、それぞれ本願補正発明の「変動表示可能」であること、「可変表示部」に相当する。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Aを備える。

(b) 先願発明1は、「表示窓17から、合計9個の図柄(コマ)が見えるように配置され、表示窓17から見える9個の図柄に対し、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止したときに、その役の入賞となるラインである有効ライン(「左下段」-「中中段」-「右上段」を通る一直線状のライン)が設定され」、入賞となるラインが設定されていることから、「入賞が発生可能」であることは明らかである。

また、先願発明1の「表示窓17から見える9個の図柄に対し、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止」することは、本願補正発明の「前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出」することに相当する。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Bを備える。

(c) 先願発明1の「3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者が操作するスイッチであるストップスイッチ42」は、本願補正発明の「表示結果を導出させるために操作される導出操作手段」に相当する。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Cを備える。

(d) 先願発明1の「通常区間」、「有利区間」、「有利区間制御手段69」は、それぞれ本願補正発明の「通常区間」、「有利区間」、「区間制御手段」に相当する。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Dを備える。

(e) 先願発明1の「RT2」、「RT3」、「RT制御手段68」は、それぞれ本願補正発明の「第1状態」、「第2状態」、「状態制御手段」に相当する。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Eを備える。

(f) 先願発明1の「有利区間中において、ストップスイッチの有利な操作態様(正解操作態様)を遊技者に表示する指示機能を作動させるべき遊技(小役B群、小役C群、リプレイB群、リプレイC群)に当選した遊技)では、指示機能を作動させることにより、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する」こと、「獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する有利区間制御手段69」は、それぞれ本願補正発明の「前記有利区間において前記導出操作手段の操作態様を報知する」こと、「報知状態制御手段」に相当する。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Fを備える。

(i1) 上記(e)のとおり、先願発明1の「RT2」は、本願補正発明の「第1状態」に相当するから、先願発明1の「通常区間から有利区間に移行する」「1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したとき」は、本願補正発明の「有利区間移行条件が成立したとき」に相当する。

そして、先願発明1は、「RT2において」、所定役の当選且つ所定置数の当選、すなわち、有利区間移行条件が成立したときに「RT2で、通常区間から有利区間に移行」するから、先願発明1は、本願補正発明の「前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第1状態かつ前記有利区間に制御」する「区間制御手段」を備えているといえる。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項I、I1を備える。

(i2) 上記(e)のとおり、先願発明1の「RT3」は、本願補正発明の「第2状態」に相当するから、先願発明1の「通常区間から有利区間に移行する」「1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したとき」は、本願補正発明の「有利区間移行条件が成立したとき」に相当する。

そして、先願発明1は、「RT3において」、所定役の当選且つ所定置数の当選、すなわち、有利区間移行条件が成立したときに「RT3で、通常区間から有利区間に移行」するから、先願発明1は、本願補正発明の「前記第2状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第2状態かつ前記有利区間に制御」する「区間制御手段」を備えているといえる。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項I、I2を備える。

(i3) 先願発明1の「1回の指示機能作動遊技(小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技を除く)を行」うことは、本願補正発明の「ゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生」することに相当する。

そうすると、先願発明1は、「RT2において、1回の指示機能作動遊技(小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技を除く)を行い、有利区間を終了し、通常区間に移行」するから、先願発明1は、本願補正発明の「前記第1状態かつ前記有利区間においてゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御」する「区間制御手段」を備えているといえる。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項I、I3を備える。

(i4) 先願発明1の「上限カウンタ69b」に「有利区間に移行することが決定されたときに「1500」をセットし、その後、有利区間を終了するまでは、いかなる場合であってもカウントを中断せず、1遊技ごとに、カウント値を「1」ずつデクリメントし」、「上限カウンタ69bの値が「0」となったとき」は、本願補正発明の「予め定められた特定ゲーム数が消化されたとき」に相当する。

そして、先願発明1のd、fより、先願発明1において「指示機能を作動させるべき遊技」は、「小役B群、小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技」であるから、先願発明1のi3の「1回の指示機能作動遊技(小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技を除く)を行」うこと(本願補正発明の「ゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生」することに相当する。)は、「指示機能を作動させるべき遊技」である「小役B群、小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技」から、「小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技を除」いたものである「小役B群」に当選すると、指示機能を作動させ、1回の指示機能作動遊技を行うことといえる。

そうすると、先願発明1の「有利区間では、少なくとも1回、小役B群の当選時に指示機能作動遊技を実行する必要があるが、上限カウンタ69bの値が「0」となったときは、1度も小役B群の当選時に指示機能作動遊技を実行していなかったとしても、又は1度も小役B群に当選していなかったとしても、今回遊技で有利区間を終了」することは、本願補正発明の「前記有利区間において前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたときに」「前記通常区間に制御」することに相当する。

そして、先願発明1は、「RT3において、RT3で有利区間から通常区間に移行する場合があ」るから、先願発明1は、本願補正発明の「前記第2状態かつ前記有利区間において前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御」する「区間制御手段」を備えているといえる。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項I、I4を備える。

(j) 先願発明1は「置数の数値を「65536」で割ると、当選確率とな」ることから、置数の数値が等しければ当選確率も同じ確率となることは明らかである。

そして、先願発明1のi1、jの「RT2において、1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したとき」(本願補正発明の「前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したとき」に相当する。)と、先願発明1のi2、jの「RT3において、1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したとき」(本願補正発明の「前記第2状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したとき」に相当する。)とで、条件装置毎の置数はそれぞれ同じ数値であることから、先願発明1は、本願補正発明の「前記有利区間移行条件は、前記第1状態および前記第2状態のいずれにおいても、前記通常区間において同じ確率で成立」する構成を備えているといえる。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Jを備える。

(n) 先願発明1の「スロットマシン10」は、本願補正発明の「スロットマシン」に相当する。

よって、先願発明1は、本願補正発明の特定事項Nを備える。

以上のことから、本願補正発明と先願発明1は、

「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な
N スロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
続きを表示(全14行)
D 通常区間と有利区間とを含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御可能な区間制御手段と、
E 第1状態と第2状態とを含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御可能な状態制御手段と、
F 前記有利区間において前記導出操作手段の操作態様を報知する報知状態に制御可能な報知状態制御手段と、を備え、
I 前記区間制御手段は、
I1 前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第1状態かつ前記有利区間に制御し、
I2 前記第2状態かつ前記通常区間において前記有利区間移行条件が成立したときに当該第2状態かつ前記有利区間に制御し、
I3 前記第1状態かつ前記有利区間においてゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し、
I4 前記第2状態かつ前記有利区間において前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し、
J 前記有利区間移行条件は、前記第1状態および前記第2状態のいずれにおいても、前記通常区間において同じ確率で成立する、
N スロットマシン。」

で一致し、相違点はない。

(4) 小括

以上のとおり、本願補正発明は、先願発明1と同一の発明であり、しかも、本願補正発明の発明者が先願発明1の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願の時において、その出願人が先願発明1の出願人と同一であるともいえないので、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5) 審判請求人の主張について

ア 審判請求人は令和4年1月31日付け審判請求書の「(2) 補正の根拠の明示」において、

「a.「前記第1状態かつ前記有利区間において第1有利区間終了条件が成立したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し」を、「前記第1状態かつ前記有利区間においてゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し」に限定しました。
この補正は、[0262]の「メイン制御部41は、RT0でCZ当選したときには、ナビ演出1回分のCZゲームを付与する。」という記載と、[0275]の「通常区間中のRT0においてCZ当選したときにはRT0を維持したままで有利区間(CZ0)に移行する。CZ0は、押し順役が当選してナビ演出が1回実行されるまで維持される。ナビ演出が1回実行されると、再びRT0を維持したままで通常区間に移行する。」という記載と、[0289]の「有利区間中における遊技状態がRT0やRT1である場合、CZは昇格リプレイに対するナビ演出が実行されたときやナビ演出が1回実行されることで終了する」という記載と、図34とに基づいています。
b.「前記第2状態かつ前記有利区間において前記第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件が成立したときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し」を、「前記第2状態かつ前記有利区間において前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化されたときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し」に限定しました。
この補正は、[0262]の「メイン制御部41は、RT4でCZ当選したときには、10ゲーム分のCZゲームを付与する。」という記載と、[0279]の「通常区間中のRT4においてCZ当選したときにはRT4を維持したままで有利区間(CZ4)に移行する。CZ4は、10ゲームに亘り実行される。CZ4が終了すると、再びRT4を維持したままで通常区間に移行する。」という記載と、[0289]の「有利区間中における遊技状態がRT2やRT4である場合、CZは少なくとも10ゲーム継続する。」という記載と、図34とに基づいています。」

と主張している。

まず、上記主張によれば、「ナビ演出が1回実行されること」が「特定事象が発生した」ことに対応するものと認められる。

そして、「ナビ演出が1回実行されること」に対応して、発明の詳細な説明には、【0128】に「一方、メイン制御部41は、有利区間移行抽選で当選した場合(S15でYES)、すなわち、AT当選やCZ当選した場合、ナビカウンタに1を設定する(S16)。ナビカウンタとは、ナビ演出が少なくとも1回は実行されるためのカウンタであり、メイン制御部41のRAMの所定領域に格納されている。ナビカウンタは、1が設定された後、ナビ演出が1回実行されるか、あるいはBB当選すると、0にクリアされる。」と記載されている(下線は合議体が付した。以下同じ。)。

また、有利区間から通常区間への移行に関して、発明の詳細な説明には、【0133】~【0135】に「次に、メイン制御部41は、クリアカウンタに1を加算する(S35)。そして、メイン制御部41は、クリアカウンタの値が1500に達していないか否か、すなわちカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを判定する(S36)。メイン制御部41は、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合(S36でNO)、クリアカウンタに0を設定する(S39)。一方、メイン制御部41は、カウントゲーム数が未だ1500ゲームに達していない場合(S36でYES)、ナビカウンタの値が0であるか否かを判定する(S37)。メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0でない場合(S37でNO)、本ルーチンを終了する。一方、メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0である場合(S37でYES)、任意の終了条件が成立したか否かを判定する(S38)。任意の終了条件は、任意に設定可能である。・・・メイン制御部41は、任意の終了条件が成立していない場合(S38でNO)、本ルーチンを終了する。一方、メイン制御部41は、任意の終了条件が成立した場合(S38でYES)、クリアカウンタに0を設定する(S39)。このように、メイン制御部41は、S38で任意の終了条件が成立したか否かを判定する前に、S36でカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを必ず判定する。」と記載されている。

これらの記載から、発明の詳細な説明には、有利区間から通常区間に移行する条件として、「ナビ演出が1回実行される」(特定事象が発生した)、すなわち「ナビカウンタの値が0である」か否か(S37で判定)に関わらず成立し得る条件は、「カウントゲーム数が1500に達していないか否か」(S36で判定)であるから、上記「b.」の「予め定められた特定ゲーム数」は、審判請求人の主張する「10ゲーム分のCZゲーム」ではなく、「1500ゲーム」と認められる。

したがって、審判請求人の上記の主張は採用できない。

イ 審判請求人は令和4年1月31日付け審判請求書の「(3) 拒絶理由について」の「(3-1)拡大先願(特許法第29条の2)」において、「しかしながら、先願1には、RT2やRT3において150遊技や100遊技といった単なるゲーム数の消化によってAT期間が終了すること、およびゲーム数同士の比較による優劣が記載されているに過ぎず、本願発明のように、第1状態かつ有利区間において「ゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生した」ときに第1状態かつ通常区間に制御することや、第2状態かつ有利区間において「特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化された」ときに第2状態かつ通常区間に制御することまでは、何ら開示も示唆もされていません。」と主張している。

しかしながら、上記「(3) 対比」において示したとおり、先願発明1は、本願補正発明のI1~I4に相当する構成を備えている。

したがって、審判請求人の上記の主張は採用できない。

5 むすび

以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年1月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1」に本件補正前の請求項1として記載した次のとおりのものである。

「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な
N スロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
続きを表示(全14行)
D 通常区間と有利区間とを含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御可能な区間制御手段と、
E 第1状態と第2状態とを含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御可能な状態制御手段と、
F 前記有利区間において前記導出操作手段の操作態様を報知する報知状態に制御可能な報知状態制御手段と、を備え、
I 前記区間制御手段は、
I1 前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第1状態かつ前記有利区間に制御し、
I2 前記第2状態かつ前記通常区間において前記有利区間移行条件が成立したときに当該第2状態かつ前記有利区間に制御し、
I3’前記第1状態かつ前記有利区間において第1有利区間終了条件が成立したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し、
I4’前記第2状態かつ前記有利区間において前記第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件が成立したときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し、
J 前記有利区間移行条件は、前記第1状態および前記第2状態のいずれにおいても、前記通常区間において同じ確率で成立する、
N スロットマシン。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由1は、次のとおりのものである。

(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

記

特願2016-146822号(特許第6112527号公報)

3 先願明細書等及び先願発明1

先願明細書等の記載事項及び先願発明1は、上記「第2[理由]4(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]2」で検討したように、本願補正発明を特定するために必要な事項である「第1有利区間終了条件」の具体的な内容が「ゲーム数の消化とは異なる特定事象が発生した」ことであるとの限定を省いたものである。

同じく、「第2有利区間終了条件」の具体的な内容が「前記特定事象が発生したか否かに関わらず予め定められた特定ゲーム数が消化された」ことであるとの限定を省き、「前記第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件」としたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]4(3)対比」において検討したとおり、先願発明1と同一であるから、本願発明も、先願発明1と同一である。

5 先願発明2に基づく検討

審判請求人は、令和3年7月12日付け意見書において、「つまり、令和2年8月21日付提出の手続補正書および令和3年1月22日付提出の手続補正書によれば、本願発明の「第1状態」および「第2状態」として第2実施形態における「RT0,1」および「RT2~5」をそれぞれ対応させるとともに、本願発明の「第1有利区間終了条件」および「第2有利区間終了条件」として第2実施形態における「5ゲーム分のCZが終了すること」および「10ゲーム分のCZが終了すること」をそれぞれ対応させていました。」と述べており、拒絶査定においては、第2実施形態に基づいて本願発明を認定しているので、拒絶査定時の認定に基づき、以下さらに検討を行う。

(1) 先願明細書等及び先願発明2

先願明細書等の記載事項及び認定事項は、上記「第2[理由]4(2)」に記載したとおりであり、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明2」という。)が記載されている。

「a リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄を印刷したリールテープを貼付したものであり、左リール31、中リール31、右リール31からなり図柄を表示する3つのリール31と、各リール31をそれぞれ駆動し、回転させるモータ32とを含む図柄表示装置を備え(【0087】~【0089】)、
b 各リール31は、横方向に並列に3つ(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられ、さらに、各リール31は、表示窓17から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されて、合計9個の図柄(コマ)が見えるように配置され、表示窓17から見える9個の図柄に対し、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止したときに、その役の入賞となるラインである有効ライン(「左下段」-「中中段」-「右上段」を通る一直線状のライン)が設定され(【0103】~【0105】)、
c 3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者が操作するスイッチであるストップスイッチ42(【0061】)を備える
n スロットマシン10(【0050】)において、
続きを表示(全16行)
d、f 通常区間から有利区間への移行、有利区間を終了するか否かの判断、指示機能の作動制御等を実行し、
有利区間中において、ストップスイッチの有利な操作態様を遊技者に表示する指示機能を作動させるべき遊技(小役B群、小役C群、リプレイB群、リプレイC群に当選した遊技)では、指示機能を作動させることにより、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する有利区間制御手段69と(【0020】、【0021】、【0308】、【0342】)、
e 抽選対象となる条件装置(1BB、リプレイ、小役)の種類(数)及びその当選確率が特有の抽選状態であることを意味する「RT」として、非RT、RT1、RT2、RT3、及びRT4を備え(【0008】、【0009】)、毎遊技、全リール31の停止時に、RTの移行条件を満たすか否かを判断し、RTの移行条件を満たすと判断したときは、RTの移行を行うように制御するRT制御手段68と(【0293】)、を備え、
i1、j RT2において、1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したときにおいて、RT2で、通常区間から有利区間に移行し(認定事項2、認定事項3)、
i2、j RT3において、1BBAの単独当選且つ置数「20」の方に当選したとき、1BBAと小役Dの重複当選且つ置数「5」の方に当選したとき、1BBAと小役E1の重複当選且つ置数「20」の方に当選したとき、小役Dの単独当選且つ置数「50」の方に当選したとき、小役E1の単独当選且つ置数「250」の方に当選したときにおいて、RT3で、通常区間から有利区間に移行し(認定事項2、認定事項3)、
i3’、i4’ 通常区間において有利区間に移行することに決定したときは、予め定めた遊技回数の有利区間を設定し、遊技回数で有利区間の終了条件を定め、
小役D単独当選時には、初期値が150遊技の有利区間とし、
小役E1単独当選時には、初期値が100遊技の有利区間とし(【0313】)、
RT2において、RT2で有利区間から通常区間に移行し(認定事項4)、
RT3において、RT3で有利区間から通常区間に移行する場合があり(認定事項4)、
j 置数の数値を「65536」で割ると、当選確率となる(認定事項1)、
n スロットマシン10(【0050】)。」

(2) 対比

ア 本願発明の特定事項A~F、I1、I2、J及びNは、本願補正発明の特定事項A~F、I1、I2、J及びNと同一であり、同じく先願発明2のa~f、i1、i2、j及びnは、先願発明1のa~f、i1、i2、j及びnと同一であるから、上記「第2[理由]4(3)」で説示したとおり、先願発明2は、本願発明の特定事項A~F、I1、I2、J及びNを備える。

イ 先願発明2の「150遊技の有利区間」を「有利区間の終了条件」とすることは、本願発明の「第1有利区間終了条件」に相当するといえる。

そうすると、先願発明2は、「RT2において」「通常区間において有利区間に移行することに決定したときは、予め定めた遊技回数の有利区間」として「150遊技の有利区間」を「有利区間の終了条件」とし、「RT2において、RT2で有利区間から通常区間に移行」するから、先願発明2は、本願発明の「前記第1状態かつ前記有利区間において第1有利区間終了条件が成立したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御」する「区間制御手段」を備えているといえる。

よって、先願発明2は、本願発明の特定事項I、I3’を備える。

ウ 先願発明2の「100遊技の有利区間」を「有利区間の終了条件」とすることは、「150遊技の有利区間」「有利区間の終了条件」とは異なる「終了条件」といえるから、本願発明の「第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件」に相当する。

そうすると、先願発明2は、「RT3において」「通常区間において有利区間に移行することに決定したときは、予め定めた遊技回数の有利区間」として「100遊技の有利区間」を「有利区間の終了条件」とし、「RT3において、RT3で有利区間から通常区間に移行する場合があ」るから、先願発明2は、本願発明の「前記第2状態かつ前記有利区間において前記第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件が成立したときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御」する「区間制御手段」を備えているといえる。

よって、先願発明2は、本願発明の特定事項I、I4’を備える。

エ 以上のことから、本願発明と先願発明2は、

「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能な
N スロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
続きを表示(全14行)
D 通常区間と有利区間とを含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御可能な区間制御手段と、
E 第1状態と第2状態とを含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御可能な状態制御手段と、
F 前記有利区間において前記導出操作手段の操作態様を報知する報知状態に制御可能な報知状態制御手段と、を備え、
I 前記区間制御手段は、
I1 前記第1状態かつ前記通常区間において有利区間移行条件が成立したときに当該第1状態かつ前記有利区間に制御し、
I2 前記第2状態かつ前記通常区間において前記有利区間移行条件が成立したときに当該第2状態かつ前記有利区間に制御し、
I3’前記第1状態かつ前記有利区間において第1有利区間終了条件が成立したときに当該第1状態かつ前記通常区間に制御し、
I4’前記第2状態かつ前記有利区間において前記第1有利区間終了条件とは異なる第2有利区間終了条件が成立したときに当該第2状態かつ前記通常区間に制御し、
J 前記有利区間移行条件は、前記第1状態および前記第2状態のいずれにおいても、前記通常区間において同じ確率で成立する、
N スロットマシン。」

で一致し、相違点はない。

6 むすび

以上のとおり、本願発明は、先願発明1と同一の発明であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明1の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願の時において、その出願人が先願発明1の出願人と同一であるともいえないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。

また、本願発明は、先願発明2と同一の発明であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明2の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願の時において、その出願人が先願発明2の出願人と同一であるともいえないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、本願は拒絶されるべきものである。

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2022-001416

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