特許拒絶査定不服審判
2022-001410
興行品質制御装置、興行品質制御方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2022-001410
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-020390
- 請求日
- 2022年01月31日
- 審決日
- 2023年03月15日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】playground株式会社
- 【請求人代理人】IPTech弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 高瀬 勤
- 審判官 梶尾 誠哉
- 審判官 小田 浩
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q) / P18 .16 -WY (G06Q) / P18 .537-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017- 20390「興行品質制御装置、興行品質制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開、特開2018-128779、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月7日の出願であって、令和2年12月2日付けの拒絶理由通知に対し、令和3年4月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年7月7日付けの拒絶理由通知に対し、同年11月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年11月15日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和4年1月31日に審判請求がされると同時に手続補正がされ、同年8月24日付けの当審からの拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知1」という。)に対し、同年10月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、さらに同年12月8日付けの当審からの拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知2」といい、上記「当審拒絶理由通知1」と合わせて「当審拒絶理由通知」という。)に対し、令和5年2月6日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1~12に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献A~Eに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A 特開2009-301513号公報
引用文献B disney’s imagination blog:ディズニーリゾートがついに転売による不正購入を禁止に!?いつから?どんなふうに,[online],2016.12.02,[検索日 2018.02.01],インターネット,<URL:http://disneysimagination.blog.jp/archives/9901022.html>
引用文献C 特開2005-100235号公報
引用文献D 特開2014- 89577号公報
引用文献E 特開2016- 48420号公報
第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。
1 当審拒絶理由通知1
(進歩性)この出願の請求項1~12に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(拡大先願)この出願の請求項1~5及び8~12に係る発明は、その出願の日前の日本語特許出願であって、その出願後に国際公開がされた、以下の日本語特許出願(先願4)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「先願4明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記日本語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。
引用文献1 特開2009-301513号公報(上記引用文献A)
引用文献2 特開2000- 90168号公報
引用文献3 特開2015-194964号公報
先願4 PCT/JP2017/004039号(国際公開第2018/142587号)
2 当審拒絶理由通知2
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項2~10の記載が明確であるとはいえないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願の請求項1~11に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明11」といい、合わせて「本願発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
利用者を評価する利用者評価手段と、
利用者からの興行に関するチケットの購入リクエストに対し、前記利用者評価手段による利用者に対する評価に基づいて、受け取った前記購入リクエストに応じてチケットを販売するか否かを決定する販売可否決定手段と、
電子チケットを管理し、販売可否決定手段が販売を可と決定した場合に電子チケットを発行するチケット管理手段と、
を備え、
前記チケット管理手段は、各電子チケットについて当該電子チケットの過去の所有者を記憶しており、所定条件を満たす利用者に所有された経緯のある電子チケットにペナルティを課し、
前記利用者評価手段は、アカウントの適切性、及び譲渡先の適切性のうち少なくとも1つに基づき、前記利用者を評価し、
前記アカウントの適切性は、前記利用者のアカウントに紐づけられた電話番号の回線の種別、利用期間、電話加入契約期間、もしくは電話サービス提供会社、前記利用者のアカウントに紐づけられたSNS(Social Networking Service)アカウントの運用状況、または前記利用者の位置情報、のうち少なくとも1つに基づいて評価され、
前記譲渡先の適切性は、前記利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先に対する前記利用者評価手段による評価に基づいて評価される、
興行品質制御装置。
【請求項2】
前記利用者評価手段は、前記利用者のアカウントに紐づけられたSNSアカウントにおける友達の数または前記利用者と当該利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先とがSNSで友達となっているか否かの少なくとも一方に基づいて、前記利用者を評価することを特徴とする請求項1に記載の興行品質制御装置。
【請求項3】
前記利用者評価手段は、前記利用者に対する評価を表すスコアを算出し、
前記販売可否決定手段は、前記利用者からの購入リクエストに応じて、前記利用者評価手段が算出したスコアに基づいて、受け取った前記購入リクエストに応じてチケットを販売するか否かを決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の興行品質制御装置。
【請求項4】
前記販売可否決定手段は、前記利用者評価手段が算出したスコアと所定の閾値との比較結果に基づき、チケットを販売するか否かを決定することを特徴とする請求項3に記載の興行品質制御装置。
【請求項5】
前記販売可否決定手段は、受け取った前記購入リクエストに応じて抽選を行い、前記利用者評価手段が算出したスコアに応じた当選率で抽選に当選したか否かを決定し、抽選に当選した場合にチケットを販売すると決定することを特徴とする請求項3に記載の興行品質制御装置。
【請求項6】
前記利用者評価手段は、複数のパラメータに基づき、前記複数のパラメータのそれぞれについてのスコアを算出し、前記複数のパラメータのそれぞれについてのスコアに基づき総合的なスコアを算出することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の興行品質制御装置。
【請求項7】
前記電子チケットは、前記電子チケットを所有する利用者から他の利用者への譲渡が許容され、
前記利用者評価手段は、前記他の利用者を評価し、
前記チケット管理手段は、前記利用者評価手段による前記他の利用者の評価が所定条件を満たす場合に、譲渡を拒否する、又は譲渡対象の前記電子チケットを無効化する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の興行品質制御装置。
【請求項8】
前記ペナルティは、前記電子チケットを無効化することであることを特徴とする、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の興行品質制御装置。
【請求項9】
前記ペナルティは、前記電子チケットを使用する際の警告の発報であることを特徴とする、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の興行品質制御装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の興行品質制御装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
コンピュータが、
利用者を評価する利用者評価ステップと、
利用者からの興行に関するチケットの購入リクエストに対し、前記利用者評価ステップにおける利用者に対する評価に基づいて、受け取った前記購入リクエストに応じてチケットを販売するか否かを決定する販売可否決定ステップと、
電子チケットを管理し、販売可否決定ステップにおいて販売を可と決定した場合に電子チケットを発行するチケット管理ステップと、
を備え、
前記チケット管理ステップでは、前記コンピュータは、記憶部に記憶された各電子チケットの過去の所有者の情報を参照し、所定条件を満たす利用者に所有された経緯のある電子チケットにペナルティを課し、
前記利用者評価ステップでは、前記コンピュータは、アカウントの適切性、及び譲渡先の適切性のうち少なくとも1つに基づき、前記利用者を評価し、
前記アカウントの適切性は、前記利用者のアカウントに紐づけられた電話番号の回線の種別、利用期間、電話加入契約期間、もしくは電話サービス提供会社、前記利用者のアカウントに紐づけられたSNS(Social Networking Service)アカウントの運用状況、または前記利用者の位置情報、のうち少なくとも1つに基づいて評価され、
前記譲渡先の適切性は、前記利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先に対する前記利用者評価ステップによる評価に基づいて評価される、
興行品質制御方法。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1(引用文献A)の記載、引用発明
(1) 引用文献1(引用文献A)の記載
引用文献1(特開2009-301513号公報;原査定で引用された引用文献A)には、以下の記載がある(下線加筆。以下同じ。)。
「【0015】
図1は、抽選サーバ3を用いて構成したチケット取引システム1の構成を示す。
【0016】
チケット取引システム1は、本システム1の会員を対象として、イベント(例えば、コンサート)への参加権を、インターネット等のネットワークを通じて取引するためのシステムである。また、本実施例においては、インベントへの参加権のことを「チケット」と呼ぶものとする。「チケット」は、紙等で具現化されたチケットのみならず、そのようなチケットを購入する権利(いわゆるチケット購入権)を含むものとする。
・・・
【0018】
抽選サーバ3は、チケット取引システム1において主要な役割を果たす装置であり、ユーザ登録されている会員のなかから、イベントごとにチケットを購入するための抽選への応募者を募り、応募者を対象として抽選を行って当選者を決定する機能、当選者に関する情報をチケット販売システムであるチケット販売会社サーバ7へ送信する機能、及びチケット代金が支払われた(チケットが購入された)と判断した場合に、当該チケット購入者と他のユーザとの間におけるチケットの取引(転売)を支援する機能などを提供する。
・・・
【0024】
図3は、抽選サーバ3の構成を示すブロック図である。
【0025】
抽選サーバ3は、イベントのチケットの当選者を抽選により決定するといった機能を実現するため、
ユーザ登録されている会員の情報を記憶する会員データDBと、
ユーザ登録されている会員の顔の画像ファイルを記憶する顔画像DBと、
抽選の応募者の会員識別情報(抽選サーバ3が付与するユーザID)を、イベントの識別情報(例えば、アーティストの識別情報を含む後述の公演コード)、及び当選したかどうかを表す情報に対応付けて記憶する応募情報DBと、
チケットの購入者の会員識別情報を、イベントの識別情報及び当該購入者がチケットを転売したかどうかを表す情報に対応付けて記憶する購入履歴DBと、
チケットの購入者の会員識別情報を、当該購入者が実際に会場に来場したかどうかを表す情報に対応付けて記憶する来場履歴DB、
という各種のデータベースを備える。これらのDBは、例えば、HDD202に格納される。これらDBのデータ構造については、図4を参照して後述する。なお、顔画像DBは、ユーザ登録を希望するユーザから受け付けた画像ファイルを記憶するためのDBであるため、そのデータ構造については図示を省略する。」
「【0034】
チェックフラグの欄には、会員登録されたユーザごとに、ユーザの種類に応じて以下の値が記録される。
【0035】
(1)規約違反者…9
チケット取引システム1の利用規約(例えば、オークションシステム等の他のシステムを介してチケットを転売してはいけないという規約など)に違反しているユーザである。
【0036】
(2)注意会員…1
システム管理者が、将来的に規約違反者になるおそれがあると判断したユーザである。例えば、チケット取引システム1におけるチケットの転売回数が非常に多い(例えば、1年で転売を5回以上行っている)ユーザや、会員登録の情報(例えば、住所など)を頻繁に変更しているユーザが注意会員として登録される。
・・・
【0039】
図4(B)は、抽選サーバ3に備えられている購入履歴DBのデータ構造を示す。
【0040】
図示のように、購入履歴DBは、チケットの購入者のユーザIDに対応付けて、公演コード、公演日、申込日、申込枚数、申込種別、ステータス、席種、座席番号、及びチケット価格を記憶する。
・・・
【0044】
申込種別の欄には、チケット購入者の種類に応じて、以下の値が設定される。
【0045】
(1)購入者…1
抽選の当選者であり、現在もチケットを保有しているユーザである。
【0046】
(2)同伴者…2
抽選の当選者の同伴者であり、現在もチケットを保有しているユーザである。
【0047】
(3)転売者…3
チケットを転売したユーザである。
【0048】
(4)転売購入者…4
チケットを転売により購入したユーザである。
【0049】
(5)無効設定者…5
チケットを購入した後に、規約違反者となったユーザである。
【0050】
具体的には、チケットの最初の保有者となるのは、抽選の当選者及びその同伴者であるため、申込種別の欄に最初に設定される値は、1(購入者)と2(同伴者)のいずれかである。この値は、購入者情報記録手段306によって設定される。また、チケットの転売が成立した場合には、転売手段307によって、3(転売者)と4(転売購入者)のいずれかが設定される。さらに、ユーザ登録手段301は、会員データDBのチェックフラグに9(規約違反者)を設定する場合、該当するユーザのレコード(公演日前のイベントに関するレコードに限る)が購入履歴DBに存在する場合には、そのレコードに含まれる申込種別の値を5(無効設定者)に設定する。
【0051】
ステータスの欄には、ユーザがチケットを転売したかどうかなどに応じて、以下の値が記録される。
【0052】
(1)有効…1
ユーザがチケットを保有しており(転売しておらず)、且つ当該ユーザが無効設定者ではない場合である。
【0053】
(2)転売中…2
ユーザがチケットを転売中(抽選サーバ3に対して転売を依頼している場合)である。
【0054】
(3)転売済…3
ユーザがチケットを転売した場合である。
【0055】
(4)無効…4
ユーザが無効設定者の場合である。
【0056】
ステータスの欄に最初に設定される値は1(有効)である。この値は、購入者情報記録手段306によって設定される。また、チケットの転売依頼があった場合及び転売が成立した場合には、転売手段307によって2(転売中)と3(転売済)のいずれかが設定される。さらに、ユーザ登録手段301は、申込種別の値を5(無効設定者)に設定する場合に、ステータスの欄に4(無効)を設定する。」
「【0139】
図12は、抽選サーバ3による抽選応募者の分類処理、及び抽選サーバ3からの問い合わせに対するFCサーバ5の応答処理のフローチャートを示す。
【0140】
応募期限が経過すると(ST1531の判断がYesの場合)、抽選手段305は、抽選応募者のデータを応募情報DBから抽出し(ST1532)、応募者ごとに1以上の所定の条件を満たすかどうかを応募順(応募情報DBへの登録順)に判断し、応募者を優先度の異なる複数のグループに分類する(ST1533~ST1557)。
・・・
【0150】
まず、抽選手段305は、会員データDBを参照し、分類対象となるユーザが年会費を支払っているかどうかを判断し(ST1533)、支払っている場合(ST1533の判断がYesの場合)、すなわち会員データDBの会員ステータスの欄に1(支払有)が設定されている場合には、さらに会員データDBを参照し、規約違反者かどうかを判断する(ST1534)。
・・・
【0152】
抽選手段305は、ST1533において分類対象のユーザが年会費を支払っていない場合(判断がNoの場合)、ST1534において分類対象のユーザが規約違反者の場合(判断がYesの場合)、又はST1535において分類対象のユーザに関して来場しなかったという記録がある場合(判断がYesの場合)には、分類対象のユーザを落選者として取り扱い、抽選結果を応募情報DBに記録する(ST1536)。
【0153】
具体的には、応募情報DBの当落ステータスの欄に0(落選)が設定される。」
「【0182】
ST1565の際には、抽選手段305は、応募情報DBの記憶内容のうち、当選者についてはステータスの値を1に設定し、落選が確定した応募者についていはステータスの値を0に設定する。
・・・
【0185】
このように、抽選を行ったグループから生じた落選者を、次の優先度のグループへ追加したうえで、当該次の優先度のグループの抽選を行うことにより、予め優先度の高いグループに分類されたユーザは、一度落選しても、抽選機会が再度与えられるため、他のユーザに比べて当選確率が高くなる。
【0186】
一方、最終グループの抽選が終了した場合(ST1567の判断がYesの場合)には、抽選手段305は、応募者の操作する各ユーザ端末に対して抽選結果を通知する(ST1568)。
・・・
【0188】
抽選サーバ3では、抽選手段305は、応募情報DBの当落ステータスを参照し、当選者情報を抽出し(ST1570)、チケット販売会社サーバ7に対して送信する(ST1571)。当選者情報には、ユーザID、公演コード、公演日、申込日、申込枚数、及び同伴者idが含まれる。」
「【0207】
一方、転売依頼者が規約違反者である場合、購入履歴DBの記憶内容のうち、転売の対象となるチケットに関する申込種別の欄の値が5(無効設定者)に変更され、ステータスの欄の値が0(無効)に変更され、転売対象となるチケットが無効とされる。なお、この場合には、抽選の当選者本人と同伴者のすべてのチケットが無効になるように購入履歴DBの記憶内容を更新するのがよい。」
ア 上記【0015】~【0025】の記載によれば、引用文献1には、チケット取引システム1の抽選サーバ3が記載されており、抽選サーバ3は、ユーザ登録されている会員のなかから、イベントごとにチケットを購入するための抽選への応募者を募り、応募者を対象として抽選を行って当選者を決定する機能を提供するものである。
イ 上記【0034】~【0188】の記載によれば、抽選サーバ3は、抽選応募者のデータを応募情報DBから抽出して、応募者ごとに1以上の所定の条件を満たすかどうかを応募順に判断して、応募者を優先度の異なる複数のグループに分類し、例えば、オークションシステム等の他のシステムを介してチケットを転売してはいけないという規約など、チケット取引システム1の利用規約に違反している規約違反者かどうかを判断して、分類対象のユーザが規約違反者の場合、分類対象のユーザを落選者として取り扱い、抽選結果を応募情報DBに記録して、応募情報DBの当落ステータスの欄に0(落選)を設定し、そうでなければ、抽選を行ったグループから生じた落選者を次の優先度のグループへ追加したうえで、当該次の優先度のグループの抽選を行い、最終グループの抽選が終了した場合には、応募者の操作する各ユーザ端末に対して抽選結果を通知し、応募情報DBの当落ステータスを参照して当選者情報を抽出して、チケット販売会社サーバ7に対して送信するものである。
(2) 引用発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
ユーザ登録されている会員のなかから、イベントごとにチケットを購入するための抽選への応募者を募り、応募者を対象として抽選を行って当選者を決定する機能を提供するチケット取引システム1の抽選サーバ3において、
抽選応募者のデータを応募情報DBから抽出して、応募者ごとに1以上の所定の条件を満たすかどうかを応募順に判断して応募者を優先度の異なる複数のグループに分類し、
例えば、オークションシステム等の他のシステムを介してチケットを転売してはいけないという規約など、チケット取引システム1の利用規約に違反している規約違反者かどうかを判断して、分類対象のユーザが規約違反者の場合、分類対象のユーザを落選者として取り扱い、抽選結果を応募情報DBに記録して、応募情報DBの当落ステータスの欄に0(落選)を設定し、
そうでなければ、抽選を行ったグループから生じた落選者を次の優先度のグループへ追加したうえで、当該次の優先度のグループの抽選を行い、最終グループの抽選が終了した場合には、応募者の操作する各ユーザ端末に対して抽選結果を通知し、応募情報DBの当落ステータスを参照して当選者情報を抽出して、チケット販売会社サーバ7に対して送信する、
チケット取引システム1の抽選サーバ3。
2 引用文献2
引用文献2(特開2000-90168号公報)には、以下の記載がある。
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】・・・
【0005】本発明はこれらの課題を解決するためなされたものであり、通信ネットワークに接続されたチケットセンターに通信端末からアクセスし、ユーザーごとに1つづつ交付される購入者を識別するIDとチケット種別の2項をもとに算出するチケットIDを、通信端末に接続されているICカードライターによってICカードに書き込むという方法によりチケットを販売し、同時にチケットに関する情報(購入者、使用者、使用状況等)をデータベースに記録して、チケットの全流通状態の管理を可能とするシステムを提供するものである。」
「【0014】発券後に使用者を変更する場合には、現使用者が新使用者及び転売額を指定して、データベース12内の自分の使用予定チケットデータを、新使用者の予約状態に変更し、その後チケット代金が支払われると、新たに新使用者の購入者IDを使って発券できる方法を用いる。新使用者が未定の場合は、転売希望チケットとして検索操作画面上で公開し、希望者を募ることも考えられる。なお、チケットの転売履歴として、購入者、使用者、転売額等は全てデータベース12に記録しておく。」
「【0017】
【発明の効果】第一の効果は、チケットのが発行された後でも、チケットの流通状態を詳細に把握できることである。その理由は、チケット発券、転売・譲渡、使用に際して購入者IDの書き込みと作業の履歴をデータベース12に補損することを必要とするので、常にチケットの予約者、保有者、使用者を把握することを可能にしているためである。
【0018】第二の効果は、ユーザーカードの再発行をなかなか行えないようにすれば、ダフ屋行為の発券・防止が可能になることである。その理由は、チケットの使用権を他者に譲る場合、チケットセンター1を介してのチケットIDの変更を必要とするため、転売履歴が詳細に記録できるので、チケット使用日当日に、大量の転売を行う人物が特定できるからである。また、転売希望をデータベース12上に登録し公開することで、チケットの保有者が転売先を発見しやすくなると共に、取引相手と物理的に離れた場所(会場の中と外等)であっても売買が可能なので、第3者の介入の必要がなくなるためである。」
3 引用文献3
引用文献3(特開2015-194964号公報)には、以下の記載がある。
「【0012】
本発明の第1実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示したシステム構成図(ハードウェア構成図)である。
このシステムは、興行チケットに関する情報を管理・処理するサーバー1(商品販売装置)と、購入希望者が利用する顧客端末2とからなり、各々はインターネット10を介して情報の送受信ができるよう接続されている。」
「【0042】
サーバー1は、図4の条件データ「同一アーティストの連日購入の要否」の項目が「1回のみ購入」となっている場合、図5のアーティスト名及び公演日を参照して、同一アーティストの連日公演の検索・決済を行わないようにする。
また、サーバー1は、図4の条件データ「定期開催の場合の継続購入の要否」の項目が「1回のみ購入」となっている場合、図5の定期開催区分及び図3の購入履歴を参照して、定期開催の場合は継続して検索・決済を行わないようにする。
更に、サーバー1は、図5の公演日を参照して、同一公演日に行われる複数の公演を検索・決済しないようにしてもよい。例えば、アーティストFとアーティストGが同日に公演を開催する場合、どちらか一方のみを検索・決済し、他方の公演については検索・決済を行わないのである。同一の日に複数の公演を鑑賞するのは基本的に不可能であり、同一日に複数の公演を購入する人は不正転売目的の人であるおそれがある。よって、それを防止するためにこのような処理を行うのである。」
4 先願4明細書等の記載、先願発明
(1) 先願4明細書等の記載
先願4(PCT/JP2017/004039号(国際公開第2018/142587号))の明細書等には、以下の記載がある。
「実施例1
[0015] 以下において、チケット予約サーバを転売抑止に向けて機能させるための手法を説明する。本実施例の対象は、例えばコンサートなどのイベントの電子チケットである。」
「[0022] <2.ユーザ新規登録処理>
・・・
[0027] 購入者情報テーブル1141には、ユーザ毎に他の項目として、チケット所有者変更履歴ポイント(P)3008がある。チケット所有者変更履歴ポイント(P)3008は、ユーザの新規登録時に初期値0に設定される。チケット所有者変更履歴ポイント(P)3008は、各ユーザに対して、各ユーザが所有した過去のチケットの履歴を反映したポイントが付加される。当該ポイントは、当該ユーザに対する、チケットの購入の可否を判定するために用いられる。また、転売あるいは譲渡等(以下「移転」という)の可否を判定するために用いられる。チケット所有者変更履歴ポイント(P)3008については、後に詳しく説明する。以上でユーザの新規登録処理は終了である。」
「[0028] <3.チケット新規購入処理>
・・・
[0031] 処理S403では、チケット購入処理部1122は、購入者情報テーブル1141を参照し、ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を読み出す。なお、ログインが特定のチケット購入に関するものであることがあらかじめわかっているような場合には、希望チケット情報受信処理S402をスキップして、チケット所有者変更履歴ポイント参照処理S403以降を実行しても良い。
[0032] 処理S404では、ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008が、所定の閾値S1以上かどうかを判定する。所定の閾値S1以上の場合には、購入を拒否する処理S405に進む。所定の閾値S1未満であれば、チケットを発券する処理S406以降に進む。
[0033] 処理S405では、チケットを購入できない旨をユーザAの端末1200に送信して処理を終了する。
[0034] 処理S406では、チケット購入処理部1122は、チケット情報テーブル1142の「チケットID」に、希望チケット情報受信処理S402で受信した「枚数」分のチケットに対応する一意の「チケットID」を登録する。」
「[0037] 処理S408では、チケット購入処理部1122はチケット所有者変更履歴テーブル1143の更新を行う。
[0038] 図6は、記憶装置1140に格納されるチケット所有者変更履歴テーブル1143の一例である。チケット所有者変更履歴テーブル1143は、チケット毎に、そのチケットの所有者変更の履歴を保存している。
・・・
[0041]
処理S409では、ユーザAの端末1200に仮状態の電子チケットを送付する。・・・
[0042] 後に説明するようにチケットはチケット予約サーバ1100側で有効化することで使用可能になる。有効化しないか、あるいは無効化すると使用できなくなる。このため、チケット所有者変更履歴テーブル1143には、チケット毎に「チケット有効化/無効化フラグ」604の項目がある。これについては、後に詳説する。」
「[0043] <4.チケット所有者変更処理>
・・・
[0053] 図6では、2人目の所有者のデータまでしか示していないが、3人目以降の所有者についても、上記と同様の処理を行う。所有者のデータは、チケットID601毎に追加されていくことになる。以上のような処理により、チケット所有者変更履歴テーブル1143には、各チケットについての所有者の変遷が履歴として格納される。」
「[0054] <5.チケット有効化判断処理>
図8は、チケット予約システム1000において、チケットの有効無効判定を行う処理のフローである。ここでは、チケット予約サーバ1100のチケット有効化判断部1124が行う処理として説明する。
・・・
[0058] 処理S901では、チケット有効化判断部1124は、チケット所有者変更履歴テーブル1143を参照して、対象チケットが経由した各ユーザを特定する。
[0059] 処理S902では、チケット有効化判断部1124は、購入者情報テーブル1141を参照して、特定された各所有者について、チケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を呼び出す。
[0060] 処理S903では、対象チケットが経由した各所有者ごとに、加算ポイント(AP)を算出する。」
「[0062] ルール1:最終ユーザ(チケット利用者)以外は、「そのユーザを起点としたときに、その後N人の人を経由した場合は、Nポイントを付与する」というルールに基づき、加算ポイント(AP)が決定する。すなわち、対象ユーザには、そのユーザ以降、1人経由するごとに1ポイントが加算される。
[0063] ルール2:最終利用者は、最初の購入者と同じポイント数とする。
・・・
[0065] ルール1によれば、移転回数の多いチケットに多く関与したユーザの加算ポイント(AP)が大きくなる。通常自分で購入したチケットを自分で使用すれば、加算ポイント(AP)は0である。しかし、転売目的で大量にチケットを購入した者(1次転売者)が、他の者(2次転売者)に小分けして転売し、2次転売者が最終ユーザに売るような場合を考えると、大量のチケットに関与し、各チケットが転売されている1次転売者の加算ポイント(AP)は非常に大きくなる。また、ルール2によると、転売されたチケットを使用する者も加算ポイントが大きくなる。なお、ここでは、単純に一人経由すると1ポイント加算するルールとしたが、経由する回数に重み付けをしてもよい。たとえば、2回目の移転に2ポイント、3回目の移転に3ポイントのごとくである。」
「[0066] 図9に戻って、処理S904では、処理S902で呼び出した各ユーザのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008と、各ユーザについて算出した加算ポイント(AP)を加算し、各ユーザの新しいチケット所有者変更履歴ポイント(nP)を計算する。計算したチケット所有者変更履歴ポイント(nP)により、チケット有効化判断部1124は、購入者情報テーブル1141のチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を、過去データ(P)から新データ(nP)に更新する。
・・・
[0068] 図8に戻り、処理S802では、対象チケットが経由した各ユーザの所有者変更履歴ポイント(nP)に基づいて、チケットを有効にするか無効にするかを判定する。この処理も対象チケット分繰り返し行う。
[0069] 判定の一つの例では、所有者変更履歴ポイント(nP)が閾値S3未満のユーザのみを経由しているか、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由したかで判断する。S3はS1,S2と同じでも良いし、別のものにしても良い。
[0070] 処理S803では、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由した場合に、対象チケットを無効化する。
[0071] 処理S804では、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人も経由しなかった場合に、対象チケットを有効化する。
[0072] 処理S805では、処理S803と処理S804の結果に基づいて、チケット有効化/無効化フラグ604を、チケット所有者変更履歴テーブル1143に記録する。チケット予約サーバ1100は、チケットが無効になった場合には、適切なタイミングでユーザの端末1200に、チケットが無効化されたことを通知することが望ましい。」
「[0073] [事例1:ユーザAからユーザE,F,G,H,Iへの移転]
以上説明した実施例1を用いて、図3の購入者情報テーブル1141に登録されたユーザAが、新規購入した5枚のチケットを移転する場合の例を説明する。・・・
[0074] 事例1は、最初の所有者ユーザAが所持しているチケット全5枚を所有者変更したために、ポイント加算が行われ、その結果ユーザAの合計ポイントが一定数を超えて全てのチケットが無効化されるパターンである。
・・・
[0088] この例では、ユーザAのポイントが32であり30以上であるため、ユーザAを経由している「MNO1」、「MNO2」、「MNO3」、「MNO4」、「MNP1」をすべて無効化し、図6のチケット所有者変更履歴テーブル1143の「チケット有効化/無効化フラグ」604に無効化と書き込む。
[0089] 以上の説明からわかるように、本実施例では、転売されるチケットに多く関与し、不正な転売者である可能性の高いユーザAを判別すると、ユーザAが関与したチケットは全て無効となる。このため、転売者から購入した者のチケットも使えなくなるため、不正な転売を抑止する効果が期待できる。
・・・
[0091] [事例1-4:その後のチケット新規購入、移転時]
その後、各ユーザが新規にチケットを購入する場合には、「事例1-3」の結果により、ユーザAのチケット所有者の変更履歴ポイント(P)は32になり、S1=S2=30以上となっているため、図4、図7のフローに従い、新規購入、移転も禁止されることになる。一方、転売を受けたユーザE、ユーザF、ユーザG、ユーザH、ユーザIについては、図11のとおり、新しいチケット所有者変更履歴ポイント(nP)は30未満のため、ユーザAから移転を受けたチケットは使えないものの、新規購入や正当な移転は可能となっている。」
「実施例2
[0105] 実施例1では、チケットの移転が行われた場合には、チケットが経由したユーザには原則加算ポイント(AP)が付与される。しかし、移転には当然正当な理由がある場合もある。これらにも加算ポイント(AP)が付与されると、加算ポイントは蓄積されるため、配慮が望ましい場合がある。
・・・
[0113] 上記の処理によると、例えば同行者のために複数枚チケットを購入し、自分のチケットだけ手元に残し、残りを同行者に移転し、自分と同行者でチケットを使用するようなケースでは、加算ポイント(AP)が加算されない。一方、不正転売者が転売用に多数チケットを購入し、自分の転売用に一部を残し、残りを他の転売者に移転するようなケースでは、加算ポイントを加算できるようにしている。」
「[0128] 以上の実施例では、チケット所有者変更履歴ポイント(P)が閾値S1、S2、S3を超えた場合には、購入や移転を禁止することにしたが、その代わりに警報を発する等の他の処理を行っても良い。」
ア 上記[0015]によれば、先願4明細書等には、チケット予約サーバを転売抑止に向けて機能させるための手法が記載されており、対象とするチケットは、コンサートなどのイベントの電子チケットである。
イ 上記[0027]によれば、購入者情報テーブル1141には、ユーザ毎にチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008(以下、単に「ポイント」ともいう。)が格納されており、当該ポイントは、各ユーザが所有した過去のチケットの履歴を反映して付加され、当該ユーザに対するチケットの購入の可否を判定するために用いられるものである。
ウ 上記[0028]~[0034]によれば、チケット新規購入処理において、チケット購入処理部1122は、購入者情報テーブル1141を参照し、ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を読み出し、ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008が、所定の閾値S1以上かどうかを判定して、
所定の閾値S1以上の場合には、購入を拒否する処理に進んでチケットを購入できない旨をユーザAの端末1200に送信して処理を終了し、
所定の閾値S1未満であれば、チケットを発券する処理以降に進んで、チケット購入処理部1122は、チケット情報テーブル1142の「チケットID」に、希望チケット情報受信処理S402で受信した「枚数」分のチケットに対応する一意の「チケットID」を登録して、ユーザAの端末1200に仮状態の電子チケットを送付し、チケット毎にそのチケットの所有者変更の履歴を保存し、「チケット有効化/無効化フラグ」604の項目を有するチケット所有者変更履歴テーブル1143の更新を行うものである。
エ 上記[0037]~[0042]によれば、チケット所有者変更処理において、チケット所有者変更履歴テーブル1143には、各チケットについての所有者の変遷が履歴として格納される。
オ 上記[0054]~[0072]によれば、チケット有効化判断処理において、チケット有効化判断部1124は、チケット所有者変更履歴テーブル1143を参照して対象チケットが経由した各ユーザを特定して各所有者ごとに加算ポイント(AP)を算出し、各ユーザのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008と、各ユーザについて算出した加算ポイント(AP)を加算して、各ユーザの新しいチケット所有者変更履歴ポイント(nP)を計算し、購入者情報テーブル1141のチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を過去データ(P)から新データ(nP)に更新して、対象チケットが経由した各ユーザの所有者変更履歴ポイント(nP)に基づいて、チケットを有効にするか無効にするかを、所有者変更履歴ポイント(nP)が閾値S3未満のユーザのみを経由しているか、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由したかで判定し、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由した場合には対象チケットを無効化し、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人も経由しなかった場合には対象チケットを有効化する。
カ 上記[0073]~[0091]によれば、例えば、転売されるチケットに多く関与し、不正な転売者である可能性の高いユーザAを判別すると、ユーザAが関与したチケットは全て無効となる例として、購入者情報テーブル1141に登録されたユーザAが、新規購入した5枚のチケットを移転する場合であって、ユーザAのポイントが32であり30以上であるときには、ユーザAを経由している「MNO1」、「MNO2」、「MNO3」、「MNO4」、「MNP1」をすべて無効化される。
キ 上記[0105]~[0113]によれば、チケットの移転が行われた場合には、チケットが経由したユーザには原則加算ポイント(AP)が付与されるが、同行者のために複数枚チケットを購入し、自分のチケットだけ手元に残し、残りを同行者に移転し、自分と同行者でチケットを使用するようなケースでは、加算ポイント(AP)が加算されないようにすることもできる。
(2) 先願発明
上記(1)によれば、先願4明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。
[先願発明]
コンサートなどのイベントの電子チケットの転売抑止に向けたチケット予約サーバであって、
購入者情報テーブル1141には、ユーザ毎にチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008が格納されており、当該ポイントは、各ユーザが所有した過去のチケットの履歴を反映して付加され、当該ユーザに対するチケットの購入の可否を判定するために用いられるものであり、
チケット新規購入処理において、チケット購入処理部1122は、購入者情報テーブル1141を参照し、ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を読み出し、ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008が、所定の閾値S1以上かどうかを判定して、
(i)所定の閾値S1以上の場合には、購入を拒否する処理に進んでチケットを購入できない旨をユーザAの端末1200に送信して処理を終了し、
(ii)所定の閾値S1未満であれば、チケットを発券する処理以降に進んで、チケット購入処理部1122は、チケット情報テーブル1142の「チケットID」に、希望チケット情報受信処理S402で受信した「枚数」分のチケットに対応する一意の「チケットID」を登録して、ユーザAの端末1200に仮状態の電子チケットを送付し、チケット毎にそのチケットの所有者変更の履歴を保存し、「チケット有効化/無効化フラグ」604の項目を有するチケット所有者変更履歴テーブル1143の更新を行い、
チケット有効化判断処理において、チケット有効化判断部1124は、チケット所有者変更履歴テーブル1143を参照して対象チケットが経由した各ユーザを特定して各所有者ごとに加算ポイント(AP)を算出し、各ユーザのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008と、各ユーザについて算出した加算ポイント(AP)を加算して、各ユーザの新しいチケット所有者変更履歴ポイント(nP)を計算し、購入者情報テーブル1141のチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を過去データ(P)から新データ(nP)に更新して、対象チケットが経由した各ユーザの所有者変更履歴ポイント(nP)に基づいて、チケットを有効にするか無効にするかを、所有者変更履歴ポイント(nP)が閾値S3未満のユーザのみを経由しているか、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由したかで判定し、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由した場合には対象チケットを無効化し、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人も経由しなかった場合には対象チケットを有効化し、
例えば、転売されるチケットに多く関与し、不正な転売者である可能性の高いユーザAを判別すると、ユーザAが関与したチケットは全て無効となる例として、購入者情報テーブル1141に登録されたユーザAが、新規購入した5枚のチケットを移転する場合であって、ユーザAのポイントが32であり30以上であるときには、ユーザAを経由している「MNO1」、「MNO2」、「MNO3」、「MNO4」、「MNP1」はすべて無効化され、
チケットの移転が行われた場合には、チケットが経由したユーザには原則加算ポイント(AP)が付与されるが、同行者のために複数枚チケットを購入し、自分のチケットだけ手元に残し、残りを同行者に移転し、自分と同行者でチケットを使用するようなケースでは、加算ポイント(AP)が加算されないようにすることもできる、
チケット予約サーバ。
5 原査定で引用された引用文献
(1) 引用文献B
原査定で引用された引用文献B(disney’s imagination blog:ディズニーリゾートがついに転売による不正購入を禁止に!?いつから?どんなふうに,[online],2016.12.02,[検索日 2018.02.01],インターネット,<URL:http://disneysimagination.blog.jp/archives/9901022.html>)には、以下の記載がある。
「パークチケットの営利目的での転売が確認された場合は、パークチケット利用規約の違反行為として、該当チケットおよび不正な転売行為を行った方が購入した全てのチケット(転売対象となっている否かに関わらず)を無効にいたします。」
(2) 引用文献C
原査定で引用された引用文献C(特開2005-100235号公報)には、以下の記載がある。
「【0065】
次いで、電子チケット流通サーバ11は、流通履歴DB12を検索し、上記電子チケットデータの管理IDと同一の管理IDを含んだ流通履歴データが登録されているか否かを調べる。そして、登録されていない場合は、上記管理IDと、上記電子チケットデータ中のチケットIDと、被譲渡者(利用者30)の会員IDと、保存期限とを含んだ流通履歴データを流通履歴DB13に追加登録する。これに対して、登録されている場合は、その流通履歴データ中に被譲渡者の項目に、被譲渡者の会員IDを追加する(ステップB16)。
・・・
【0075】
電子チケット販売・配布サーバ41は、電子チケット流通サーバ11から流通履歴データが送られてくると、それに従って、販売・配布履歴DB42中の該当する販売・配布履歴データを更新する(ステップC12)。即ち、流通履歴データ中のチケットIDと同一のチケットIDを有する販売・配布履歴データを更新対象にして、その販売・配布履歴データ中の被譲渡者を、流通履歴データ中の被譲渡者で置き換える処理を行う。以上が、電子チケットを電子チケット管理・流通サービスの会員に譲渡する時に行われる処理である。」
(3) 引用文献D
原査定で引用された引用文献D(特開2014- 89577号公報)には、以下の記載がある。
「【0034】
ここで、友達数は、サービス提供装置1が提供するサービスとは異なるコミュニケーションに関するサービスにおける一般利用者の友達の数であっても良い。この例では、コミュニケーションに関するサービスは、外部管理サーバ3が提供するSNSサービスであり、友達数はSNSサービスにおける友達数である。取得部16は、SNSサービスを管理する外部管理サーバ3と通信可能であり、外部管理サーバ3に対して一般利用者の友達数を問い合わせることによって、友達数を取得している。
友達数が多い一般利用者に製品やサービスの感想を依頼すれば、SNSサービスを介して一般利用者の視点から製品やサービスの内容を当該一般利用者の友達に拡散できる可能性がある。その一方、単に友達数の多い一般利用者に依頼しても当該一般利用者は企業が提供する製品やサービスに興味がなく、的確な感想を得られないこともあり得る。」
(4) 引用文献E
原査定で引用された引用文献E(特開2016- 48420号公報)には、以下の記載がある。
「【0101】
[2-3-1.効果1]
なお、悪意のある利用者により他人のSNSアカウントになりすまして振込依頼が行われた場合には、なりすまされた人物と振込受取人とは、通常、知人でないなど、SNS上であまり交流をしていないことが想定される。このため、関係性評価サーバ10は、親密度を低く評価し、その結果、振込依頼データが示す振込依頼人、つまり「なりすまされた人物」に、依頼された振込取引に関する確認を行う。これにより、例えば金融機関は、他人になりすまして振込依頼が行われたことを取引の実行前に検知することができるので、不正な取引が実行されることを抑制することができる。
【0102】
また、悪意のある利用者により犯罪用に登録されたSNSアカウントから振込依頼が行われた場合には、当該SNSアカウントと振込受取人(のSNSアカウント)との間では、通常、SNS上でほとんどやり取りが行われていないことが想定される。このため、関係性評価サーバ10は、親密度を低く評価し、その結果、振込依頼データが示す振込依頼人宛てに、確認メッセージを送信することにより本人確認を行う。これにより、金融機関は、実際に振込依頼を行った人物を特定することができるので、不正な取引が実行されることを抑制することができる。」
第6 当審拒絶理由についての判断
1 当審拒絶理由1
(1) 特許法29条2項(進歩性)
ア 本願発明1について
(ア) 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「抽選サーバ3」は「抽選応募者のデータを応募情報DBから抽出して、応募者ごとに1以上の所定の条件を満たすかどうかを応募順に判断して応募者を優先度の異なる複数のグループに分類」するから、抽選サーバ3を利用する抽選応募者を評価してグループに分類するものである。
そうすると、引用発明の「応募者を優先度の異なる複数のグループに分類」する手段は、本願発明1の「利用者を評価する利用者評価手段」に相当する。
b 引用発明の「抽選サーバ3」は「ユーザ登録されている会員のなかから、イベントごとにチケットを購入するための抽選への応募者を募り、応募者を対象として抽選を行って当選者を決定する」ものである。
そうすると、引用発明の「規約違反者かどうかを判断し、分類対象のユーザが規約違反者の場合、分類対象のユーザを落選者として取り扱い、抽選結果を応募情報DBに記録して、応募情報DBの当落ステータスの欄に0(落選)が設定され」、「そうでなければ、抽選を行ったグループから生じた落選者を次の優先度のグループへ追加したうえで、当該次の優先度のグループの抽選を」行う手段は、会員からのチケットを購入するための応募に対し、会員が、規約違反者の場合には、チケットを販売しないと決定し、規約違反者でない場合には、チケットを販売してもよいと決定しているから、本願発明1の「利用者からの興行に関するチケットの購入リクエストに対し、前記利用者評価手段による利用者に対する評価に基づいて、受け取った前記購入リクエストに応じてチケットを販売するか否かを決定する販売可否決定手段」に相当する。
c 引用発明の「応募情報DB」は「抽選の応募者の会員識別情報(抽選サーバ3が付与するユーザID)を、イベントの識別情報(例えば、アーティストの識別情報を含む後述の公演コード)、及び当選したかどうかを表す情報に対応付けて記憶する」ものであるところ、引用発明は「応募情報DBの当落ステータスを参照して当選者情報を抽出し、チケット販売会社サーバ7に対して送信」されるものであるから、引用発明では、応募情報DBでチケットを管理しているといえ、チケット販売会社サーバ7に対してチケットを発行しているといえる。
そうすると、引用発明の「応募情報DBの当落ステータスを参照して当選者情報を抽出し、チケット販売会社サーバ7に対して送信」する手段は、本願発明1の「電子チケットを管理し、販売可否決定手段が販売を可と決定した場合に電子チケットを発行するチケット管理手段」に相当する。
d 引用発明は「オークションシステム等の他のシステムを介してチケットを転売してはいけないという規約など、チケット取引システム1の利用規約に違反している規約違反者かどうかを判断」しているから、チケット取引システム1が適切でないと規約で定めている譲渡先に転売した利用者(抽選応募者)であるかどうかを評価しているといえる。
そうすると、引用発明の「オークションシステム等の他のシステムを介してチケットを転売してはいけないという規約など、チケット取引システム1の利用規約に違反している規約違反者かどうかを判断」し、チケット取引システム1が適切でないと規約で定めている譲渡先に転売した利用者(抽選応募者)であるかどうかを評価することは、本願発明1の選択的に記載された「前記利用者評価手段は、アカウントの適切性、及び譲渡先の適切性のうち少なくとも1つに基づき、前記利用者を評価」することのうち、「前記利用者評価手段は、譲渡先の適切性に基づき、前記利用者を評価する」ことに相当する。
e 引用発明の「チケット取引システム1の抽選サーバ3」は、「チケット取引システム1の利用規約に違反している規約違反者かどうかを判断して、分類対象のユーザが規約違反者の場合、分類対象のユーザを落選者として取り扱」うから、興行品質を制御するものといえ、本願発明1と同様の「興行品質制御装置」といえる。
以上によれば、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
利用者を評価する利用者評価手段と、
利用者からの興行に関するチケットの購入リクエストに対し、前記利用者評価手段による利用者に対する評価に基づいて、受け取った前記購入リクエストに応じてチケットを販売するか否かを決定する販売可否決定手段と、
電子チケットを管理し、販売可否決定手段が販売を可と決定した場合に電子チケットを発行するチケット管理手段と、
を備え、
前記利用者評価手段は、譲渡先の適切性に基づき、前記利用者を評価する、
興行品質制御装置。
[相違点]
[相違点1]
本願発明1は「前記チケット管理手段は、各電子チケットについて当該電子チケットの過去の所有者を記憶しており、所定条件を満たす利用者に所有された経緯のある電子チケットにペナルティを課し」との構成を有するのに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。
[相違点2]
「譲渡先の適切性」について、本願発明1は「前記利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先に対する前記利用者評価手段による評価に基づいて評価される」のに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。
(イ) 判断
上記相違点について検討する。
a 相違点1について
(a) 引用文献1には「転売依頼者が規約違反者である場合、購入履歴DBの記憶内容のうち、転売の対象となるチケットに関する申込種別の欄の値が5(無効設定者)に変更され、ステータスの欄の値が0(無効)に変更され、転売対象となるチケットが無効とされる。」(上記第5の1(1)の【0207】参照。)と記載されているように、興行品質制御装置(チケット取引システム1の抽選サーバ3)において、利用者(転売依頼者)とチケットを対応づけて購入履歴DBに記憶しており、規約違反者である転売依頼者のチケットは無効とされることが理解できる。
そして、このような転売行為を防止するために、チケットのすべての転売記録をデータベースに記録しておくことは、例えば、引用文献2(上記第5の2参照。)に記載されているように周知技術である。
そうすると、引用発明において、規約違反者である転売依頼者のチケットを無効とするだけではなく、上記周知技術であるデータベースを採用し、チケットのすべての転売記録に基づいて、転売依頼者よりも過去のチケット所有者が規約違反者である場合にもペナルティとしてチケットを無効とするように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
(b) なお、上記(ア)dのとおり、引用発明は、「譲渡先の適切性」に基づき、利用者を評価しているということができるものであるが、例えば、引用文献3の【0042】に「同一の日に複数の公演を鑑賞するのは基本的に不可能であり、同一日に複数の公演を購入する人は不正転売目的の人であるおそれがある。」(上記第5の3参照。)と記載されているように、一方の興行に参加した場合に他方の興行への参加が不能になるチケットを購入することは、不正転売目的であると想定されるのは普通のことであるから、引用発明において、そのような「購入履歴の適切性」に基づき利用者を評価するように構成することも当業者であれば容易に想到し得るものである。
b 相違点2について
引用発明は「オークションシステム等の他のシステムを介してチケットを転売してはいけないという規約など、チケット取引システム1の利用規約に違反している規約違反者かどうかを判断」し、チケット取引システム1が適切でないと規約で定めている譲渡先に転売した利用者(抽選応募者)であるかどうかを評価するものであるところ、引用発明における「譲渡先の適切性」について、「前記利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先に対する前記利用者評価手段による評価に基づいて評価される」構成を採用することは、引用文献1~3には記載がないし、そのような構成が周知技術であるということもできないから、当該構成に変更する動機付けはない。
したがって、引用発明において、相違点2に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。
c 小括
以上によれば、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本願発明2~9について
上記第4のとおり、本願発明2~9は、本願発明1に構成を付加し限定したものであるから、引用発明と対比すると、上記ア(ア)で説示した[相違点]を有するものである。
そうすると、本願発明2~9も、上記ア(イ)と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 本願発明10について
上記第4のとおり、本願発明10は、コンピュータを、本願発明1~9に係る発明の「興行品質制御装置」として機能させるプログラムの発明であるから、引用文献1から認定できるプログラムの発明と対比すると、上記ア(ア)で説示した[相違点]と同様の相違点を有するものである。
そうすると、本願発明10も、上記ア(イ)と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
エ 本願発明11について
上記第4のとおり、本願発明11(興行品質制御方法)は、本願発明1(興行品質制御装置)と発明のカテゴリーが異なるのみであって、実質的に相違するものではない。
そうすると、上記ア(イ)のとおり、本願発明1が、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明11も、引用文献1から方法の発明として認定される発明、引用文献2及び3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2) 特許法29条の2(拡大先願)
ア 本願発明1について
(ア) 対比
本願発明1と先願発明とを対比する。
a 先願発明の「購入者情報テーブル1141には、ユーザ毎にチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008が格納されており、当該ポイントは、各ユーザが所有した過去のチケットの履歴を反映して付加され、当該ユーザに対するチケットの購入の可否を判定するために用いられるもの」であるところ、先願発明の「チケット予約サーバ」は、「チケット新規購入処理において、チケット購入処理部1122は、購入者情報テーブル1141を参照」しているから、先願発明は、本願発明1と同様のチケット予約サーバのユーザ(利用者)を評価する「利用者評価手段」を備えるものであるということができる。
b 先願発明は、「ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008を読み出し、ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008が、所定の閾値S1以上かどうかを判定して」、「(i)所定の閾値S1以上の場合には、購入を拒否する処理に進んでチケットを購入できない旨をユーザAの端末1200に送信」し、「(ii)所定の閾値S1未満であれば」、「ユーザAの端末1200に仮状態の電子チケットを送付」するものであるから、本願発明1の「販売可否決定手段」を備えるものであるということができる。
c 先願発明は、上記bのとおり、「ユーザAのチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008」が「(ii)所定の閾値S1未満であれば」、「ユーザAの端末1200に仮状態の電子チケットを送付」しており、また、「チケット毎にそのチケットの所有者変更の履歴を保存」しているから、本願発明1の「チケット管理手段」を備えるものであるということができる。
d 先願発明の「チケット管理手段」は、上記cのとおり、「チケット毎にそのチケットの所有者変更の履歴を保存」しており、「所有者変更履歴ポイント(nP)が閾値S3未満のユーザのみを経由しているか、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由したかで判定し、(nP)が閾値S3以上のユーザを1人でも経由した場合には対象チケットを無効化」しているところ、「例えば、転売されるチケットに多く関与し、不正な転売者である可能性の高いユーザAを判別すると、ユーザAが関与したチケットは全て無効となる例として、購入者情報テーブル1141に登録されたユーザAが、新規購入した5枚のチケットを移転する場合であって、ユーザAのポイントが32であり30以上であるときには、ユーザAを経由している「MNO1」、「MNO2」、「MNO3」、「MNO4」、「MNP1」はすべて無効化され」るから、本願発明1の「各電子チケットについて当該電子チケットの過去の所有者を記憶しており、所定条件を満たす利用者に所有された経緯のある電子チケットにペナルティを課し」という構成を備えているということができる。
e 上記aのとおり、先願発明の「利用者評価手段」の「購入者情報テーブル1141には、ユーザ毎にチケット所有者変更履歴ポイント(P)3008が格納されており、当該ポイントは、各ユーザが所有した過去のチケットの履歴を反映して付加され、当該ユーザに対するチケットの購入の可否を判定するために用いられるもの」であるところ、先願発明は、「同行者のために複数枚チケットを購入し、自分のチケットだけ手元に残し、残りを同行者に移転し、自分と同行者でチケットを使用するようなケースでは、加算ポイント(AP)が加算されないようにすることもでき」、自分と同行者という、利用者と譲渡先との関係性に基づいて利用者を評価しているといえるから、先願発明の「利用者評価手段」は、本願発明1と同様、「譲渡先の適切性」に基づき、利用者を評価しているということができる。
f 先願発明は、「コンサートなどのイベントの電子チケットの転売抑止に向けたチケット予約サーバ」であるから、本願発明1と同様の「興行品質制御装置」ということができる。
以上によれば、本願発明1と先願発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
利用者を評価する利用者評価手段と、
利用者からの興行に関するチケットの購入リクエストに対し、前記利用者評価手段による利用者に対する評価に基づいて、受け取った前記購入リクエストに応じてチケットを販売するか否かを決定する販売可否決定手段と、
電子チケットを管理し、販売可否決定手段が販売を可と決定した場合に電子チケットを発行するチケット管理手段と、
を備え、
前記チケット管理手段は、各電子チケットについて当該電子チケットの過去の所有者を記憶しており、所定条件を満たす利用者に所有された経緯のある電子チケットにペナルティを課し、
前記利用者評価手段は、譲渡先の適切性に基づき、前記利用者を評価する、
興行品質制御装置。
[相違点3]
「譲渡先の適切性」について、本願発明1は「前記利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先に対する前記利用者評価手段による評価に基づいて評価される」のに対し、先願発明は、そのような構成を有しない点。
(イ) 判断
上記相違点3について検討する。
先願発明は「同行者のために複数枚チケットを購入し、自分のチケットだけ手元に残し、残りを同行者に移転し、自分と同行者でチケットを使用するようなケースでは、加算ポイント(AP)が加算されないようにすることもでき」、自分と同行者という、利用者と譲渡先との関係性に基づいて利用者を評価しているといえるから、先願発明の「利用者評価手段」は「譲渡先の適切性」に基づき、利用者を評価しているといえるところ、先願発明における「譲渡先の適切性」について、「前記利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先に対する前記利用者評価手段による評価に基づいて評価される」構成を採用することは、先願明細書等には記載がないし、そのような構成が周知技術であるということもできないから、相違点3に係る構成が、周知技術の付加等の微差であるともいえない。
したがって、本願発明1は、先願発明と同一であるとはいえない。
イ 本願発明2~9について
上記第4のとおり、本願発明2~9は、本願発明1に構成を付加し限定したものであるから、先願発明と対比すると、上記ア(ア)で説示した[相違点3]を有するものである。
そうすると、本願発明2~9も、上記ア(イ)と同様の理由により、先願発明と同一であるとはいえない。
ウ 本願発明10について
上記第4のとおり、本願発明10は、コンピュータを、本願発明1~9に係る発明の「興行品質制御装置」として機能させるプログラムの発明であるから、先願4明細書等から認定できるプログラムの発明と対比すると、上記ア(ア)で説示した[相違点3]と同様の相違点を有するものである。
そうすると、本願発明10も、上記ア(イ)と同様の理由により、先願発明と同一であるとはいえない。
エ 本願発明11について
上記第4のとおり、本願発明11(興行品質制御方法)は、本願発明1(興行品質制御装置)と発明のカテゴリーが異なるのみであって、実質的に相違するものではない。
そうすると、上記ア(イ)のとおり、本願発明1が、先願発明と同一であるとはいえない以上、本願発明11も、先願4明細書等から方法の発明として認定される発明と同一であるとはいえない。
(3) 当審拒絶理由通知1についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、当審拒絶理由1によって、本願を拒絶することはできない。
2 当審拒絶理由通知2
当審では、請求項2~10の記載が明確であるとはいえないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正によって、この拒絶の理由は解消した。
第7 原査定についての判断
原査定は、上記第2のとおり、本件補正前の請求項1~12に係る発明は、引用文献A~Eに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
しかしながら、本件補正により補正された請求項1~9に係る発明は、上記第6の1(1)及び(2)のとおり、「前記譲渡先の適切性は、前記利用者が過去に譲渡したチケットの譲渡先に対する前記利用者評価手段による評価に基づいて評価される」との構成を備え、本件補正により補正された請求項10及び11に係る発明も、対応する構成を備えているところ、これらの構成は、引用文献A~Eには記載されておらず、当業者にとって自明なものでもない。
そうすると、本件補正により補正された請求項1~11に係る発明は、引用文献A~Eに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、当審拒絶理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-001410