2022-001223
柔軟な生検針システム
- 審判番号
- 2022-001223
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-561675外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月27日
- 審決日
- 2022年09月27日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】宮崎 修
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)5月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年5月31日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和3年3月25日付けで拒絶理由が通知され、同年7月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月22日付けで拒絶査定(原査定)がされた(謄本の送達日:同月28日)ところ、令和4年1月27日に拒絶査定不服審判の請求がされ、それと同時に手続補正がされたものである。
第2 令和4年1月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年1月27日にされた手続補正(以下「本件補正」ということがある。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示す。)
「【請求項1】複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画と、該細長い管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端と、前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む前記細長い管状区画の一部を覆う可撓ジャケットと、前記細長い管状区画の近位端に連結される細長い可撓部材とを含み、前記細長い可撓部材は、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット内に延び、該1つ以上の第2のスリットは、前記可撓ジャケットによって覆われない、医療ツール。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和3年7月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画と、該細長い管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端と、前記細長い管状区画の少なくとも一部を覆う可撓ジャケットと、前記細長い管状区画の近位端に連結される細長い可撓部材とを含み、前記細長い可撓部材は、前記複数のスリットの少なくとも一部内に延びる、医療ツール。」
2 補正の適否
本件補正のうち、請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記細長い管状区画の少なくとも一部を覆う可撓ジャケット」について、「前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む前記細長い管状区画の一部を覆う」ものに限定するとともに、「前記複数のスリットの少なくとも一部内に延びる」「細長い可撓部材」について、「前記可撓ジャケットによって覆われない」「1つ以上の第2のスリット内に延び」るものに限定する補正を含むものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
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ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2009-518117号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。以下同様。)。
(引1-ア)「【0001】
従来の硬化療法用カテーテルは、その遠位端を越えて延長可能かつ引き込み可能の針を含む。このようなカテーテルは、一般的に、体内の所望の箇所に位置する内視鏡を経由して挿入される。カテーテルは、カテーテルの遠位端が内視鏡の遠位端を越えて延在するまで、この内視鏡を経由して遠位に押される。次いで、針がカテーテルから延びて標的組織に挿入され、そこに硬化剤が投与されることで、標的組織を厚くし、または硬化させる。
【0002】
このような硬化療法用カテーテルと組み合わせて一般的に用いられる針は、硬くて、内視鏡内でのカテーテルの操作性を妨げる。また、これらの針は、首尾よく組織を穿刺して硬化剤を投与することができるように、しばしば、少なくとも1cmの長さを有する。針の剛さおよび長さは、内視鏡を経由して、および/または生体内腔を経由して硬化療法用カテーテルを導こうとするときに、問題を生じさせる。すなわち、内視鏡を経由してカテーテルを前進させるために、きつい半径のまわりに硬化療法用カテーテルを曲げる必要がある場合には、針が露出してカテーテルおよび/または内視鏡を穿刺する可能性がある。一部の場合には、針は、硬化療法用カテーテルがきつい半径を通過する動きを妨げることがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、生体内腔を経由して標的部位へ挿入するためにサイズ設定された第1の可撓性の挿入部材と、挿入部材に連結された組織を貫通するための針とを備える、内視鏡機器に関し、針は、少なくとも針の長さの第1の部分に沿って形成された、可撓性を高める複数の溝を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明は、以下の説明および添付図面を参照してさらに理解され得る。同じ構成要素には同じ参照符号が付される。本発明は、本明細書において硬化療法に関して記述されているが、当業者は、本発明によって構成された可撓性の針が、可撓性を高めた針を必要とする任意の手技に(例えば、きつい半径に沿って曲げるために)用いられ得ることを、理解する。さらに、本発明は、本明細書において特に針に関して記述されているが、当業者は、本発明の教示が、内視鏡を経由して挿入される硬質材料で形成される様々なアイテムに対して、同じ方法で適用され得ることを、理解する。例えば、ヘマクリップ(hemaclip)、Enteryx(登録商標)針、細針、吸引針、および組織獲得のためのコアリング針は、針35に対して本明細書に記述されたものと同じプロセスを使用することで、より可撓性のあるものとすることが可能である。さらに、所望のコラム強度を達成するために硬質材料でしばしば形成されるが、標的組織に到達するために蛇行した経路を通る必要がある、全ての胃腸管系用機器およびその他の医療機器は、本発明の教示を使用することで、より可撓性のあるものとすることが可能である。
【0005】
図1に示されるように、カテーテル5は、外側シース10と、内側シース15とを含む。内側シース15および外側シース10の両方は、例えば、プラスチックポリマー管で形成することが可能であるが、類似した特性(例えば、可撓性、生体適合性など)を有する他の材料を使用することが可能である。針35は、例えば、針35の近位端を内側シース15の遠位端に機械的に捲縮することによって、内側シース15に取り付けられる。代替的に、または加えて、接着剤18を針35の近位端に塗布して、内側シース15に接合することが可能である。針35の第1の所定の長さ32が、内側シース15に近位に向けて挿入され、第2の所定の長さ34が、内側シース15の遠位端から遠位方向に延在して残される。一実施形態では、第1の所定の長さ32はほぼ3~4mmであり、第2の所定の長さ34はほぼ5~6mmである。
【0006】
内側シース15は外側シース10の内腔内に摺動可能に受容され、内側シース15に対する外側シース10の位置が、ユーザによって操作され得る。内視鏡を経由したカテーテル5の挿入および引き込み中には、外側シース10の遠位端が針35の遠位端を越えて延在するまで、外側シース10が内側シース15に対して遠位に前進されて、針35が内視鏡の壁をこすったり、穿刺したり、または他の損傷を与えることを防止することによって、針35および内視鏡を保護する。」
(引1-イ)「【0009】
本発明によれば、可撓性を高めるために、複数のスロット20が針35の所定の部位に形成される。このスロット20は好適にも、以下に詳述するように、針35を構成する材料の一部を除去することによって形成される。スロット20は、針35に沿って一定間隔で形成されるか、または異なる距離だけ離間されることが可能であり、それによって、選択された領域の可撓性を高め、一方で、他の部分を相対的に剛なままとする。加えて、スロット20を針35の外周全体を囲むように形成して、全方向において実質的に等しい可撓性を達成するか、または片側のみに形成して、一方向において別の方向よりも大きな可撓性を持たせることが可能である。しかしながら、スロット20が針35の円周方向に形成された実施形態は、全方向において実質的に均一である十分な可撓性を達成するために好ましい。このように針35の可撓性を高めることで、内視鏡内の急な屈曲部周辺のナビゲーションを容易にし、針35が内視鏡の壁をこすったり貫通したりするような危険性を最小限に抑える。
【0010】
スロット20のサイズおよび間隔は、針35を、体内の標的経路をナビゲートするために必要な曲線を通過して押すことができ、この針が標的組織を貫通するに十分な所定の軸方向強度を保持するように、選択される。内側シース15および外側シース10が一緒に前進するときに、外側シース10が針35にある程度の支持を加えることを、当業者は理解する。したがって、針35の可撓性は、外側シース10無しで実現可能な程度を越えて、高めることが可能である。
【0011】
針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20はまた、接着剤18を受けることも可能である。スロット20は、接着剤18の握持および保持のための機械的ロックとして作用し、それによって、内側シース15へのより強固な取り付けを提供する。従って、内側シース15は、一般的な医療用針に対するよりも、スロット20によって針35の近位端に確実に接合され得る。スロット20は、接着剤または捲縮がない部分では可撓性を保持する。しかしながら、結果的に、針35の可撓性は、露出された第2の所定の長さ34と比較して、第1の所定の長さ32において低下し得る。この部分に必要な長さはわずか2~5mmであるので、可撓性の低下は問題にはならない。代替案として、接着剤、捲縮、または他の取り付け手段を可撓性とすることが可能であり、かつ、針35のこの部分にもスロットを付けることが可能であるために、この部分もまた可撓性を高めることができる。しかしながら、取り付け手段が比較的硬い場合の実施形態においても、それが内側シース15と連結された部分は十分に短かいので、狭い内腔内の最も急な屈曲部であっても比較的容易に通過することを、当業者は理解する。」
(引1-ウ)「【0013】
スロットは、硬質材料に制御された様態の可撓性の特性を与えることができる。すなわち、硬質材料の一部は選択的に研削除去され得、それによって、スロットを作成し、これらのスロットは、所望の程度の可撓性を達成するように、その一方では、他の領域を比較的硬いままに残すか、または多少の可撓性を持たせるように、サイズおよび間隔を設定することが可能である。加えて、片側だけを研削することによって、材料は、一方向に可撓性を持たせ、他の方向には比較的硬くすることが可能である。スロットを針35の軸に沿った選択領域内にのみ配置することによって、針35の予め選択された領域においては所望の可撓性が得られ、一方で、針35の他の領域においては剛性を保持することが可能である。研削プロセスは、比較的小径の管と共に、非常に大径の管に対しても行うことが可能である。さらに、形成される針35または他の機器に所望される特性に基づいて、スロットは、螺旋形の経路に沿って形成されるか、あるいは針35または他の機器の長手方向軸に実質的に平行に形成され得ることを、当業者は理解する。加えて、スロットの形状は、スロットごとに変化することが可能である。」
(引1-エ)「【0017】
図1および図2に関連して上述したスロット20は、任意で、針35の孔22に達するまで貫通することが可能である。代替的に、スロット20の深さは、中空針35の壁の厚さ未満とすることが可能である。スロット20の深さが針35の壁の厚さ未満のときには、針35の壁は、針35の他のセクションに対して、スロット20において実質的に薄くなり、それによって、針35のこれらの部分の可撓性が高まり、一方で、針35の内腔の完全性を保持する。これによって、当該の針35の内腔に供給される流体が送達される部位の、より正確な制御が可能となる。さらに、薄いセクションが針35の遠位端を近位端に接続するので、当該のスロット20は、必要に応じて、円周方向全体に形成することが可能である。したがって、この実施形態は、針35に空隙を作成することなく可撓性を高める。針35の長さに沿った任意の所望の可撓性および/または流体供給特性を達成するために、スロットの深さが針35の長さに沿って変化し得ることを、当業者は理解する。」
(引1-オ)「【0021】
再度図1を参照して、針35は、標的組織への貫通を容易にする遠位端30を有する。針35は、流体がそこを通って近位または遠位に移動することが可能な中空孔22をも含む。例えば硬化療法では、流体は、先端30の近くの出口で針35から流出する。従って、針35が標的組織に挿入されると、薬剤は、針35の遠位端からそこへ注入される。その放出の性質によって、注入された流体の流れは、針35が向いている方向の標的領域一部と直ちに接触する。流体は、そこから残りの標的組織へ拡散する。本発明の可撓性の針の利点は、流体が針35に沿って形成されたスロット20からも流出し、流体を標的組織全体に広範囲に拡散し得ることである。
【0022】
可撓性であるが多孔質ではない針35が望まれる場合には、孔22へ貫通するあらゆるスロット20が封止され得る。本発明の一実施形態では、スロット20は、針35を軟質ポリマーに浸漬することによって封止され得る。このポリマーは、好適にも孔22を塞ぐことなくスロット20を覆う。その結果として、薄いポリマーコーティングで封止された、遠位端に出口を有する針35は、上述の多孔質針35と実質的に同じ可撓特性を有する。別の例示的な実施形態では、針35の周囲に薄いシースが摺動可能に受容され、それによって、スロット20を封止し得る。当業者に理解されるように、このシースは、針35が所望の可撓性を保持するように、選択された剛性を針35に与えるように形成され得る。」
(引1-カ)【図1】
「[図:0001394771000001.jpg]」
イ 引用文献1に記載された発明
(ア)上記(引1-ア)の「内側シース15および外側シース10の両方は、例えば、プラスチックポリマー管で形成することが可能であるが、類似した特性(例えば、可撓性、生体適合性など)を有する他の材料を使用することが可能である。」との記載から、「内側シース15」及び「外側シース10」は、可撓性を有するプラスチックポリマー管で形成されることが読み取れる。
(イ)上記(引1-カ)の【図1】から、針35の遠位端部に刃縁が形成され、刃縁よりも近位端側である、第2の所定の長さ34の中間部分から近位端にかけて複数のスロット20が形成されていることが見て取れる。また、内側シース15に挿入される針35の第1の所定の長さ32と内側シース15の間には、接着剤18が介在していることが見て取れる。
(ウ)そして、上記(引1-ア)の【0003】の「針の長さの第1の部分に沿って形成された、可撓性を高める複数の溝を含む」との記載、及び上記(引1-イ)の【0009】の「可撓性を高めるために、複数のスロット20が針35の所定の部位に形成される。・・・選択された領域の可撓性を高め、一方で、他の部分を相対的に剛なままとする」との記載から、針35の刃縁よりも近位端側のスロット20が形成された領域は、可撓性が高められ、一方で、スロット20が形成されていない刃縁を含む部分は、相対的に剛なままであることが読み取れる。
(エ)上記(引1-エ)の【0017】及び上記(引1-オ)の【0022】(2箇所)に記載された「孔22」並びに上記(引1-オ)の【0021】に記載された「中空孔22」は、同じ構成を表すものと認められることから、以下では「中空孔22」に記載を統一する。
(オ)上記(ア)ないし(エ)を踏まえると、上記(引1-ア)ないし(引1-カ)の記載から、引用文献1には、
「外側シース10と、内側シース15とを含み、内側シース15は外側シース10の内腔内に摺動可能に受容され、内側シース15及び外側シース10の両方は、可撓性を有するプラスチックポリマー管で形成され、針35は、接着剤18を針35の近位端に塗布して、針35の第1の所定の長さ32が、内側シース15に近位に向けて挿入され、第2の所定の長さ34が、内側シース15の遠位端から遠位方向に延在して残され、針35の第1の所定の長さ32と内側シース15との間に接着剤18が介在して内側シース15に接合され、針35の遠位端部に刃縁が形成され、刃縁よりも近位端側である、第2の所定の長さ34の中間部分から近位端にかけて、可撓性を高めるために複数のスロット20が形成されており、スロット20が形成された領域の可撓性が高められ、一方で、スロット20が形成されていない刃縁を含む遠位端部は相対的に剛なままであり、針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20はまた、接着剤18を受けることにより、接着剤18の握持及び保持のための機械的ロックとして作用し、それによって、内側シース15へのより強固な取り付けを提供し、針35は、流体がそこを通って近位又は遠位に移動することが可能な中空孔22を含み、スロット20は、針35の中空孔22に達するまで貫通し、針35を軟質ポリマーに浸漬することによって薄いポリマーコーティングを形成することにより、又は、針35の周囲に薄いシースが摺動可能に受容されることにより、中空孔22へ貫通するあらゆるスロット20が封止され、薄いポリマーコーティングで封止された針35は、多孔質針35と実質的に同じ可撓特性を有し、シースは、針35が所望の可撓性を保持するように形成される、カテーテル5。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
ウ 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2015-208425号公報(以下「引用文献7」という。)には、以下の記載がある。
(引7-ア)「【0025】
このような本実施形態のカテーテル1は、金属製の先端チップ50にスリット52が設けられているので、先端チップ50の硬さを維持しつつ、曲がり易くすることができる。また、先端チップ50の外周面が外側被覆60aで覆われているので、先端チップ50の表面を平滑化することができる。その結果、硬い病変部を通過させ易く、末梢血管のような曲がりくねった血管にも良好な追従性を示し、しかも先端チップ50が病変部などに引っ掛かり難いカテーテル1を実現することが可能となる。
【0026】
特に、本実施形態のカテーテル1では、先端チップ50を覆う外側被覆60aがスリット52の内部に入り込むことによって、先端チップ50にしっかりと固定される。従って、外部との摩擦によって外側被覆60aが先端チップ50から剥離することを防止することができる。その結果、例えば、石灰化した病変部に先端チップ50を通過させる場合でも、先端チップ50の平滑面を確実に維持することが可能となる。」
エ 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2004-275337号公報(以下「引用文献8」という。)には、以下の記載がある。
(引8-ア)「【0037】
上述した第1~第4実施形態のように、内チューブ30の遠位端部に内チューブ30の外表面から第2ルーメン31に貫通している貫通加工部(スリット33~35又は細孔36)を設けて、内チューブ30の他の部分より相対的に剛性が低い低剛性部分32を形成することにより、内チューブ30の遠位端部が柔軟になるので、バルーンカテーテル1が血管の湾曲した部位に挿入しやすくなる。
【0038】
図2~図5に示すように、バルーンカテーテル1の先端チップ部40の外表面には、その遠位端側に、動脈血管壁の穿孔を防止するための略砲弾状、半球状となった球面が形成されており、その近位端側に向かってバルーン部10の膜圧と実質的に同一の段差を介してバルーン取付部41が形成されており、さらに近位端側に向かって、バルーン部10の内部に入り込むように近位端側に向かって突出している第1凸部42が形成されている。
【0039】
また、当該先端チップ部40の内部には、軸方向に沿って貫通した動脈連通孔43が形成されている。そして、この動脈連通孔43の近位端側の内周面は、内チューブ30の外径と実質的に同一程度に広げられており、動脈連通孔43の内周面と、挿入されている内チューブ30の遠位端部の内周面との間に段差が生じないようになっている。また、この動脈連通孔43の近位端側の内周面には、内チューブ30の貫通加工部(スリット33~35又は細孔36)に入り込んでいる複数の第2凸部44が形成されている。
【0040】
この先端チップ部40のバルーン取付部41に、バルーン部10の遠位端部12の内周が接合されている。また、当該先端チップ部40の動脈連通孔43には、内チューブ30の低剛性部分32が近位端側から挿入され接合されている。そして、当該内チューブ30の低剛性部分32に形成された貫通加工部(スリット33~35又は細孔36)の全てに、先端チップ部40の第2凸部44が入り込んで埋めている。従って、スリット33~35又は細孔36を介して内チューブ30の第2ルーメン31が外部と連通することはない。
【0041】
このように、先端チップ部40の第2凸部44が、内チューブ30の遠位端部に形成された貫通加工部(スリット33~35又は細孔36)に入り込んで埋めており、内チューブ30の内周面に窪みが存在せず、実質的に平滑となっているため、血液の滞留が生じるおそれがなく、血栓による内チューブ30の閉塞が生じにくいので、正確な動脈圧の測定が可能となる。また、先端チップ部40の第2凸部44が、内チューブ30の貫通加工部(スリット33~35又は細孔36)に入り込んで嵌合するような構造となっているため、先端チップ部40と内チューブ30との接合強度も向上する。なお、後述するように先端チップ部40は内チューブ30より柔軟な材質により構成されているので、先端チップ部40の第2凸部44が内チューブ30の貫通加工部(スリット33~35又は細孔36)に入り込んでいても、内チューブ30の遠位端部(低剛性部分32)の剛性には、殆ど影響を与えず、バルーンカテーテル1の血管の湾曲した部位への挿入性が低下することはない。」
オ 引用文献7及び8に記載された技術事項
上記ウ及びエの引用文献7及び8の記載から、医療器具において、側面にスリットを施すことにより可撓性を付与した管状体に対して、当該管状体の周囲を覆う部材を設ける場合に、当該部材が管状体のスリット内に入り込む構成とすることにより、両者の接合強度を増加させることは、従来周知であるといえる(以下、当該周知な事項を「周知技術1」という。)。
(3)本件補正発明と引用発明との対比
ア(ア)引用発明の「複数のスロット20」は、本件補正発明の「複数のスリット」に相当する。
(イ)引用発明の「針35」は、「流体がそこを通って近位又は遠位に移動することが可能な中空孔22を含」むから、その形態は細長い管状である。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「流体がそこを通って近位又は遠位に移動することが可能な中空孔22を含」む「針35」の「複数のスロット20が形成されて」いる「第2の所定の長さ34の中間部分から近位端にかけて」の部分は、本件補正発明の「複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画」に相当する。
イ(ア)引用発明の「針35の遠位端部」は、本件補正発明の「針先端」に相当する。
(イ)引用発明の「針35の遠位端部」は、「スロット20が形成されて」おらず、「相対的に剛なままであ」るから、本件補正発明の「剛的な」を満たすといえる。
(ウ)本願の発明の詳細な説明には、発明を実施するための形態について「【0073】図5Aは、針302の遠位区画308を例示している。遠位区画308は、金属又は剛性ポリマを含む比較的剛的な材料から形成されてよい。この実施形態において、遠位区画308は、ステンレス鋼ハイポチューブ(hypotube)から形成される。遠位区画308は、剛性部分309(rigid portion)と、可撓部分310(flexible portion)とを含む。剛性部分309は、遠位区画308を通じて延びるチャネル313への開口312を取り囲む切断面311を含む。【0074】可撓部分310は、遠位区画308の壁を貫通してチャネル313まで延びるスリット314を含んで、可撓部分が曲がることを可能にする。スリット314は、可撓部分310の長手方向の長さに沿って延びる(以下に記載するような)様々な円周構成を有してよい。例えば、単一の螺旋状スリットが可撓部分の長さの周りに延在してよい。代替的には、(チャネル313を通じる中心長手軸に対する)複数の勾配付き若しくは垂直スリットを有する断続的なスリットパターン又は断続的な螺旋スリットパターンが、可撓部分310に形成されてよい。スリット314は、遠位区画308の管状体のレーザ切断によって形成されてよい。」と記載されている。
そして、図5Aは以下のとおりである。
「[図:0001394771000002.jpg]」
発明の詳細な説明の上記記載及び上記図5Aから、針302の遠位区画308は、比較的剛的な材料で形成された管状体の切断面311により針先端が形成され、当該管状体にスリット314を形成することにより可撓部分310とし、切断面311を含むスリット314が形成されていない部分を剛性部分309としたもの、すなわち、「可撓部分310」及び「剛性部分309」を一体形成したものと解される。
また、発明の詳細な説明には、「可撓部分310」及び「剛性部分309」を別々の部材として形成してから結合させることは明記されておらず、示唆する記載もない。
そうすると、「可撓部分310」及び「剛性部分309」は、それぞれ本件補正発明の「細長い管状区画」及び「剛的な針先端」に対応すると解されるところ、本件補正発明の「細長い管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端」は、「細長い管状区画」と「剛的な針先端」が一体形成された態様を包含するといえる。
これは、本件補正後の請求項3において、「前記剛的な針先端は、内腔が前記細長い管状区画及び前記剛的な針先端を通じて延びるよう、前記細長い管状区画と一体的に形成される、請求項1に記載の医療ツール。」と特定されていることと整合する。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)を踏まえると、引用発明の「スロット20が形成されていない」、「相対的に剛なままであ」る「針35の」「刃縁を含む遠位端部」は、本件補正発明の「該細長い管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端」に相当する。
ウ(ア)引用発明の「薄いポリマーコーティングで封止された針35は、多孔質針35と実質的に同じ可撓特性を有」することから、引用発明の「薄いポリマーコーティング」は、「可撓性」を有するものである。
また、引用発明の「シースは、針35が所望の可撓性を保持するように形成される」ことから、引用発明の「薄いシース」は、「可撓性」を有するものである。
そうすると、引用発明の「薄いポリマーコーティング」及び「薄いシース」は、それぞれ本件補正発明の「可撓ジャケット」に相当する。
(イ)引用発明において、「複数のスロット20」のうち「第2の所定の長さ34」に形成された「スロット20」は、「中空孔22へ貫通するあらゆるスロット20」に含まれる。
そして、引用発明の「複数のスロット20」のうち「第2の所定の長さ34」に形成された「スロット20」は、本件補正発明の「前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリット」に相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「中空孔22へ貫通するあらゆるスロット20」を「封止」する、「針35を軟質ポリマーに浸漬することによって」「形成」される「薄いポリマーコーティング」及び「針35の周囲に摺動可能に受容される」「薄いシース」は、それぞれ本件補正発明の「前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む前記細長い管状区画の一部を覆う可撓ジャケット」と、「前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む前記細長い管状区画を覆う可撓ジャケット」で共通する。
エ(ア)引用発明の「可撓性を有するプラスチックポリマー管で形成され」た「内側シース15」は、本件補正発明の「細長い可撓部材」に相当する。
(イ)引用発明の「針35の第1の所定の長さ32」は、本件補正発明の「細長い管状区画の近位端」に相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「可撓性を有するプラスチックポリマー管で形成され」、「針35の第1の所定の長さ32が」「近位に向けて挿入され」た「内側シース15」は、本件補正発明の「前記細長い管状区画の近位端に連結される細長い可撓部材」に相当する。
オ(ア)引用発明の「針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20」は、本件補正発明の「前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット」に相当する。
(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20はまた、接着剤18を受けることにより、接着剤18の握持及び保持のための機械的ロックとして作用し、それによって、内側シース15へのより強固な取り付けを提供し」と、本件補正発明の「前記細長い可撓部材は、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット内に延び、該1つ以上の第2のスリットは、前記可撓ジャケットによって覆われない」とは、「前記細長い可撓部材は、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリットを利用して前記細長い管状区画に連結」する点で共通する。
カ 引用発明の「カテーテル5」は、本件補正発明の「医療ツール」に含まれる。
(4)そうすると、本件補正発明と引用発明とは、
「複数のスリットを含む体壁を有する細長い管状区画と、該細長い管状区画の遠位端に連結される剛的な針先端と、前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む前記細長い管状区画を覆う可撓ジャケットと、前記細長い管状区画の近位端に連結される細長い可撓部材とを含み、前記細長い可撓部材は、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリットを利用して前記細長い管状区画に連結している、医療ツール。」
の発明である点で一致し、次の2点において相違する。
(相違点1)
前記細長い管状区画を覆う可撓ジャケットについて、本件補正発明においては、前記細長い管状区画の「一部」を覆い、「前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット」は覆わないのに対し、引用発明においては、薄いポリマーコーティング又は薄いシースにより、「中空孔22へ貫通するあらゆるスロット20が封止され」と特定されており、「薄いポリマーコーティング又は薄いシース」(可撓ジャケット)が「針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20」(第2のスリット)を覆うのか明らかではない点。
(相違点2)
前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリットを利用した前記細長い可撓部材の前記細長い管状区画への連結について、本件補正発明においては、前記細長い可撓部材は、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の「第2のスリット内に延び」ているのに対し、引用発明においては、「針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20はまた、接着剤18を受けることにより、接着剤18の握持及び保持のための機械的ロックとして作用し、それによって、内側シース15へのより強固な取り付けを提供」するものの、「内側シース15」(細長い可撓部材)自体が「針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20」(第2のスリット)内に延びるものではない点。
(5)判断
ア 相違点1について
(ア)上記(引1-オ)の「【0021】・・・本発明の可撓性の針の利点は、流体が針35に沿って形成されたスロット20からも流出し、流体を標的組織全体に広範囲に拡散し得ることである。【0022】可撓性であるが多孔質ではない針35が望まれる場合には、孔22へ貫通するあらゆるスロット20が封止され得る。」との記載に照らせば、引用発明において「薄いポリマーコーティング」又は「薄いシース」を設ける目的は、スロット20から流体が流出しないようにすることであると解される。
(イ)ここで、引用発明の「針35の第1の所定の長さ32」は「内側シース15に近位に向けて挿入され」、「針35の第1の所定の長さ32と内側シース15との間に接着剤18が介在して内側シース15に接合され」、「針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20はまた、接着剤18を受けることにより、接着剤18の握持及び保持のための機械的ロックとして作用し、それによって、内側シース15へのより強固な取り付けを提供」することから、「針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20」は、「内側シース15」及び「接着剤18」により封止されており、そこから流体が流出することはないものと解される。
そのため、「薄いポリマーコーティング」又は「薄いシース」は、「内側シース15の遠位端から遠位方向に延在して残され」た「針35」の「第2の所定の長さ34」に対して設ければ目的を達成するのに十分であり、「内側シース15に近位に向けて挿入され」る「針35の第1の所定の長さ32」に対して設ける必要はないものである。
(ウ)そうすると、引用発明において、「薄いポリマーコーティング」又は「薄いシース」を「内側シース15の遠位端から遠位方向に延在して残され」た「針35」の「第2の所定の長さ34」に対してのみ設け、「内側シース15に近位に向けて挿入され」る「針35の第1の所定の長さ32」に対しては設けないようにして、上記相違点1に係る本件補正発明の特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
イ 相違点2について
(ア)上記(引1-イ)の「【0011】針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20はまた、接着剤18を受けることも可能である。スロット20は、接着剤18の握持および保持のための機械的ロックとして作用し、それによって、内側シース15へのより強固な取り付けを提供する。」との記載から、引用発明は、内側シース15の針35への取付けを強固にするという課題を有しているといえる。
(イ)引用発明と周知技術1は、医療器具において、側面にスリットを施すことにより可撓性を付与した管状体に対して、その周囲を覆う部材を強固に固着する点で共通の課題を有するものである。
(ウ)そうすると、引用発明において、内側シース15の針35への取付けを強固なものとするために周知技術1を採用し、内側シース15が針35の第1の所定の長さ32の中のスロット20内に入り込む構成として、上記相違点2に係る本件補正発明の特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
ウ 本件補正発明の奏する作用効果
本件補正発明によってもたらされる効果は、引用文献1、7及び8の記載事項から当業者が予測し得る程度を超えるものとはいえない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、「専ら議論のために、引用文献1の「内側シース15」が「スロット20」内に延びると仮定しても、「内側シース15」は、「スロット20」が「薄いポリマーコーティング」又は「薄いシース」によって覆われる場所で「スロット20」内に延びているに過ぎません。例えば、引用文献1の段落0021には、「スロット20は、針35を軟質ポリマーに浸漬することによって封止され得る。」と記載されており、更に、「ポリマーは、・・・スロット20を覆う。」と記載されています。引用文献1の段落0021には、更に、「針35の周囲に薄いシースが摺動可能に受容され、それによって、スロット20を封止し得る。」と記載されています。すなわち、引用文献1において、全てのスロット20は、薄いポリマーコーティング又は薄いシースによって覆われています。従って、引用文献1は、「前記細長い可撓部材は、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット内に延び、該1つ以上の第2のスリットは、前記可撓ジャケットによって覆われない」(下線は強調)という請求項1に係る発明の特徴的な構成を何ら開示も示唆もしていません。少なくともこれらの理由の故に、引用文献1は、少なくとも、「前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む前記細長い管状区画の一部を覆う可撓ジャケット」という請求項1に係る発明の特徴的な構成、及び「記細長い管状区画の近位端に連結される細長い可撓部材とを含み、前記細長い可撓部材は、前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット内に延び、該1つ以上の第2のスリットは、前記可撓ジャケットによって覆われない」という請求項1に係る発明の特徴的な構成を何ら開示も示唆もしていません。」と主張する。
イ しかしながら、当業者であれば、引用発明において、「薄いポリマーコーティング」又は「薄いシース」を「内側シース15の遠位端から遠位方向に延在して残され」た「針35」の「第2の所定の長さ34」に対してのみ設け、「内側シース15に近位に向けて挿入され」る「針35の第1の所定の長さ32」に対しては設けないようにすることを、容易に想到し得ることは、上記(5)アで説示したとおりであるから、請求人の上記主張は採用できない。
3 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年1月27日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年7月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし15に係る発明は、その優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものであるところ、本願発明は、引用文献1に記載された発明並びに引用文献7及び8に記載された周知技術に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
3 引用文献について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、7及び8の記載事項並びに引用発明及び周知技術1は、上記第2[理由]2(2)アないしオに記載したとおりである。
4 対比・判断
(1)本願発明は、上記第2[理由]2(3)ないし(5)で検討した本件補正発明から、「前記細長い管状区画の一部を覆う可撓ジャケット」について、「前記複数のスリットのうちの1つ以上の第1のスリットを含む」部分を覆うこと、及び「前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット」は覆わないという限定事項を削除するとともに、「前記細長い可撓部材」が「内に延びる」「スリット」について、「前記細長い管状区画の前記複数のスリットの1つ以上の第2のスリット」という限定事項を削除したものである。
(2)そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)ないし(5)に記載したとおり、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-001223