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特許拒絶査定不服審判

2022-001181

冷蔵庫

審判番号
2022-001181
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-125324
請求日
2022年01月26日
審決日
2022年08月24日
公報発行日
2022年11月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人サトー
審判長/審判官
  • 審判長 平城 俊雅
  • 審判官 松下 聡
  • 審判官 河内 誠
分類
P18 .121-Z (F25D) / P18 .575-Z (F25D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-125324号「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月15日出願公開、特開2020-169814号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年8月19日(優先権主張 平成28年4月27日)に出願された特願2016-161225号の一部を令和2年7月22日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年4月23日 拒絶理由通知 令和3年7月5日 意見書、手続補正書の提出 令和3年11月9日 拒絶査定 令和4年1月26日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和4年1月26日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和4年1月26日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について 令和4年1月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、令和3年7月5日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す請求項1を下記(2)に示す請求項1に補正するものである(下線は、補正箇所を表す。)。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 偏平状に形成され、その内部に冷媒が流れる流路が複数形成されている複数の偏平管と、 複数の前記偏平管に接続され、冷媒の入口および冷媒の出口の双方が設けられている一方のヘッダと、当該一方のヘッダとは逆側で複数の前記偏平管に接続され、流入した冷媒を自身の内部で折り返して前記一方のヘッダに向けて流す他方のヘッダと、 前記一方のヘッダの内部を封止して2つの範囲に区切る封止部と、を備え、 前記封止部は、内部が区切られた前記一方のヘッダの一方の範囲を冷媒の入口側とし、他方の範囲を冷媒の出口側とした場合において、入口側の範囲に接続されている前記偏平管の数を出口側の範囲に接続されている前記偏平管の数よりも多くする位置に設けられている冷蔵庫。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 偏平状に形成され、その内部に冷媒が流れる流路が複数形成されている複数の偏平管と、 複数の前記偏平管に接続され、冷媒の入口および冷媒の出口の双方が設けられている一方のヘッダと、当該一方のヘッダとは逆側で複数の前記偏平管に接続され、流入した冷媒を自身の内部で折り返して前記一方のヘッダに向けて流す他方のヘッダの2つヘッダと、 一方の前記ヘッダの内部を封止して2つの範囲に区切る封止部と、を有するコンデンサを備え、 前記封止部は、内部が区切られた前記一方のヘッダの一方の範囲を入口側接続管が接続される前記コンデンサへの冷媒の入口側とし、他方の範囲を出口側接続管が接続される前記コンデンサからの冷媒の出口側とした場合において、入口側の範囲に接続されている前記偏平管の数を出口側の範囲に接続されている前記偏平管の数よりも多くする位置に設けられている冷蔵庫。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1を特定するために必要な事項である「一方のヘッダ」及び「他方のヘッダ」について「2つヘッダ」であることを限定し、「前記一方のヘッダ」を「一方の前記ヘッダ」とすることにより、「封止部」について「一方のヘッダ」と「他方のヘッダ」のうちの一方に設けられることを限定し、「を備え、」を「を有するコンデンサを備え、」とすることにより、「複数の偏平管」、「一方のヘッダ」と「他方のヘッダ」の「2つヘッダ」、及び「封止部」について、それらが「コンデンサ」が有するものであることを限定し、「冷媒の入口側」について「入口側接続管が接続される前記コンデンサへの」ものであることを限定し、「冷媒の出口側」について「出口側接続管が接続される前記コンデンサからの」ものであることを限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後の請求項1に係る発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 そこで、本件補正によって補正された請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について、以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用例の記載事項 ア 引用例1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用例である特開平3-59364号公報には、図面とともに以下の記載がある(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。 (ア)引用例1の記載事項 1a)「[課題を解決するための手段および作用] 上記の目的を遠戚するために、本発明の冷媒凝縮器は、次の技術的手段を採用する。 冷媒凝縮器は、複数のチューブと、このチューブの端部に接続されたタンクとを具備する。そして、前記タンク内に設けられたセパレータによって前記複数のチューブを複数のチューブ群に分割し、冷媒が前記複数のチューブ群を流れることにより冷媒が1回以上ターンする。 そして、前記複数のチューブ群のチューブの本数の割合は、前記複数のチューブ群を流れる冷媒の乾き度に応じて最適な熱交換効率が得られる質量速度を算出し、その質量速度が得られる通路面積となるように設けられる。 具体的に示せば、まず、冷媒の乾き度に応じて最適な熱交換効率が得られる質量速度を算出する。この算出された質量速度を、乾き度に応じた速度比に変更する。乾き度を冷媒の通路長に変換するとともに、乾き度に応じた速度比となる通路面積が得られるように、各チューブ群のチューブの本数の割合を決定する。」(第2ページ左上欄第16行ないし右上欄第16行)(当審注:行数は空行を含む。以下同様。) 1b)「(実施例の構成) 第1図は冷媒凝縮器の断面図を示す。 冷媒凝縮器1は、図示しない冷凍サイクルの構成要素で、図示しない冷媒圧縮機より送られてきた高温、高圧のガス冷媒を、室外空気と熱交換させ、液化、凝縮するものである。冷媒凝縮器1は、耐腐食性に優れ、熱伝達率の高い金属材料(例えばアルミニウム)をろう付けしてなり、大別して、複数のチューブ2、このチューブ2の間に配されたコルゲートフィン3、複数のチューブ2の両端に接続されたタンク4から構成される。 次に、チューブ2、コルゲートフィン3、タンク4を説明する。 チューブ2の説明。 チューブ2は、偏平な管で、内部に多数の冷媒通路が形成されている。チューブ2の本数は、下述する手段によって設定される。 コルゲートフィン3の説明。 コルゲートフィン3は、各チューブ2の各間に挟まれ、チューブ2の間を流れる空気と、チューブ2の内部を流れる冷媒との熱交換効率を向上させるもので、極薄の板材を、波状に曲折して設けたものである。なお、コルゲートフィン3には、伝熱促進のために、多数のルーバが形成されている。 タンク4の説明。 タンク4は、複数のチューブ2の両端に接続されるヘッダで、筒体5、キャップ6、セパレータ7よりなる。そして、一方のタンク4の上方には、流入用の接続管8を備え、他方のタンク4の下方には、流出用の接続管9を備える。 筒体5は、筒状の容器で、側壁にチューブ2の端部を挿入する複数のチューブ挿入穴が形成されている。 キャップ6は、筒体5の上下両端に取り付けられる蓋である。 流入用の接続管8は、一方のタンク4の上部に接続されたもので、冷媒圧縮機の吐出した高温、高圧のガス冷媒をタンク4内に供給するための接続手段である。 また、流出用の接続管9は、他方のタンク4の下部に接続されたもので、全チューブ2を通過して凝縮された液化冷媒を流出する接続手段である。 セパレータ7は、タンク4内を区画する隔壁で、タンク4内がセパレータ7によって区画されることによって、タンク4に接続された複数のチューブ2が複数のチューブ群10に分割される。そして、冷媒が各チューブ群10を流れることにより蛇行する。 なお、セパレータ7の数によって、冷媒のターン回数が設定され、セパレータ7の位置によって各チューブ群10のチューブ2の本数の割合が変化する。セパレータ7の枚数、およびセパレータ7の取り付けられる位置は、下述する手段によって設定される。 次に、チューブ2の本数、チューブ群10の数、および各チューブ群10のチューブ2の本数の割合の設定について説明する。 チューブ2の本数の設定。 冷媒凝縮器1の能力、冷媒凝縮器1の設置される場所の制約、チューブ2の通路面積等から、チューブ2の1本の長さ(コア幅)、および複数のチューブ2の合計長(管路長)からチューブ2の本数が設定される。 チューブ群10の数(段数)の設定。 コア幅が長い場合、チューブ2の面積当たりの放熱量を多くしようとすると、チューブ群10の数は少ないほうが良い。逆に、コア幅が短くなるとチューブ群10を多くして、ターン数を増したほうが良い。同様に、チューブ2の通路面積が小さい場合、チューブ2の面積当たりの放熱量を多くしようとすると、チューブ群10の数は少ないほうが良い。逆に、チューブ2の通路面積が大きくなると、チューブ群10を多くして、ターン数を増したほうが良い。」(第2ページ左下欄第8行ないし第3ページ左下欄第2行) 1c)「この第5図のグラフから、チューブ群10の数に応じたチューブ2の本数割合が決定される。具体的な例を、次の表1に示す。 [図:0001390412000001.jpg] この表に示すように、例えばチューブ群10の数が3の場合は、各チューブ群10のチューブ2の本数割合が上流から下流に向けて4.5:1.95:1.2とされる。 上記の各設定手段により、チューブ2の合計本数が32本であるとすると、各チューブ群10のチューブ2の本数割合は、第1図に示すように、上流から下流に向けて19本、8本、5本とされる。 つまり、流入用の接続管8を備えた一方のタンク4のセパレータ7の位置は、上方の19本のチューブ2に連通する室と、下方の13本のチューブ2に連通する室とを区画するように設けられる。また、流出用の接続管9を備えた他方のタンク4のセパレータ7の位置は、上方の27本のチューブ2に連通する室と、下方の5本のチューブ2に連通する室とを区画するように設けられる。 (実施例の作動) 冷媒圧縮機より吐出された高温、高圧のガス冷媒は、流入用の接続管8を介して上流のチューブ群10に流入する。上流のチューブ群10を流れる冷媒は、上流のチューブ群10を流れる際の乾き度に応じて最適な放熱量が得られる質量速度で流れる。上流のチューブ群10を通過して放熱によって凝縮した冷媒は、タンク4でターンして中流のチューブ群10に流入する。中流のチューブ群10を流れる冷媒は、中流のチューブ群10を流れる際の乾き度に応じて最適な放熱量が得られる質量速度で流れる。中流のチューブ群10を通過した冷媒は、タンク4で再びターンして下流のチューブ群10に流入する。下流のチューブ群10を流れる冷媒は、下流のチューブ群10を流れる際の乾き度に応じて最適な放熱量が得られる質量速度で流れる。 (実施例の効果) 本実施例に示すように、上流のチューブ群10と、中流のチューブ群10と、下流のチューブ群10とのチューブ2の本数の割合は、本発明によって最適となる。このため、従来のように、不要なチューブ2が使用されて冷媒凝縮器1が大型化したり、チューブ2が不足して熱交換効率が低下するなどの不具合が無くなる。」(第4ページ左上欄第7行ないし左下欄第16行) 1d)「本発明の冷媒凝縮器1は、家庭用、工業用の冷房装置、自動車用の冷房装置、船舶等の冷房装置など、あらゆる用途の冷媒凝縮器に使用することができる。」(第4ページ右下欄下から第9行ないし6行) 1e) [図:0001390412000002.jpg] 1f) [図:0001390412000003.jpg] (イ)上記(ア)から分かること 1g)上記1b)、1c)表1及び第2図から、チューブ群10の数が2ないし5段のものが示されており、チューブ群10の数が2段のものを選択した場合にターン数は1となり、一方のタンク4から流入用の接続管8を通じて流入した冷媒は、チューブ群10を通じて他方のタンク4に至って他方のタンク4においてターンして再び一方のタンク4に向けて流れることになるから、流出用の接続管9は、流入用の接続管8と同じ一方のタンク4に設けられることになるのは、技術的に明らかである。 1h)上記1c)において、タンク4にはタンク4を区画するセパレータ7が設けられており、チューブ群10の数が2段のものを選択した場合にターン数は1であることから、一方のタンク4は、1つのセパレータ7で2つの範囲に区画されることが技術的に明らかである。そして、各チューブ群10におけるチューブ2の本数割合は、流入用の接続管8が設けられたタンク4に設けられた、タンク4を区画するセパレータ7の位置により決定されるものである。 そして、1c)には、冷媒の流れからみた上流から下流に向けて各チューブ群10のチューブ2の本数割合を、チューブ群10の数が2の場合に3.9:1.3となるように減らすことについても記載されていることから、一方のタンク4のセパレータ7を、セパレータ7により区画された一方のタンク4における流入用の接続管8が接続される側を冷媒凝縮器1への冷媒の入口側とし、流出用の接続管9が接続される側を冷媒凝縮器1からの冷媒の出口側とした場合において、入口側の範囲に接続されているチューブ2の数が、出口側の範囲に接続されているチューブ2の数より多くなる位置に設けることが分かる。 また、一方のタンク4は、セパレータ7により冷媒凝縮器1への冷媒の入口側と出口側の範囲の2つの範囲に区画されるのであるから、流入用の接続管8が接続される側である「一方の範囲」と、流出用の接続管9が接続される側である「他方の範囲」に区画されるといえる。 (ウ)引用発明 上記(ア)、(イ)から、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「偏平であり、内部に多数の冷媒通路が形成されている複数のチューブ2と、 複数のチューブ2に接続され、流入用の接続管8および流出用の接続管9の双方が設けられている一方のタンク4と、一方のタンク4とは逆側で複数のチューブ2に接続され、冷媒をターンさせて一方のタンク4に向けて流す他方のタンク4と、 一方のタンク4の内部を2つの範囲に区画するセパレータ7を有する冷媒凝縮器1を備え、 セパレータ7は、区画された一方のタンク4の一方の範囲を流入用の接続管8が接続される冷媒凝縮器1への冷媒の入口側とし、他方の範囲を流出用の接続管9が接続される冷媒凝縮器1からの冷媒の出口側とした場合において、入口側の範囲に接続されているチューブ2の数を、出口側の範囲に接続されているチューブ2の数より多くする位置に設けられている冷房装置。」 イ 引用例2 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された引用例である特開2008-249284号公報には、図面とともに以下の記載がある。 (ア)引用例2の記載事項 2a)「【0021】 図1は、本発明の実施形態に係る凝縮器1を示すものである。この凝縮器1は、各種空調装置や冷蔵庫等の冷凍サイクルの一要素を構成するものである。凝縮器1は、図2や図3にも示すように、外部空気の流れ方向(各図に白抜きの矢印で示す)上流側に配置された上流側コア部10と、上流側コア部10の下流側に配置された下流側コア部20と、2つの上流側ヘッダタンク11、12と、2つの下流側ヘッダタンク21、22と、冷媒(熱交換媒体)の導入部材40及び導出部材41とを備えている。また、上記凝縮器1は、空気ダクト(仮想線で示す)Dの内部に配設されており、この空気ダクトD内において、冷凍サイクルを構成する他の要素機器(圧縮機や膨張弁、気液分離器等)よりも空気流れ方向上流側(最前面)に配置されている。また、凝縮器1へ送風する送風ファンは、空気ダクトD内において、凝縮器1の空気流れ方向下流側に配置されている。さらに、この冷凍サイクルの蒸発器(図示せず)は、上記空気ダクトD内において、凝縮器1から空気流れ方向下流側へ所定距離離れて配設されている。 【0022】 下流側コア部20は、アルミニウム合金製の複数のチューブ2及びフィン3を上下方向に交互に並べて構成されている。下流側コア部20の上端部及び下端部には、アルミニウム合金製のエンドプレート4がそれぞれ設けられている。チューブ2は、空気流れ方向に長い流路断面を有する偏平チューブであり、凝縮器1の左右方向に略直線状に延びている。また、フィン3は、チューブ2の長手方向に延びるコルゲートフィンである。このフィン3は、チューブ2の外面にろう付けされている。また、エンドプレート4は、下流側コア部20の端部を保護するためのものであり、フィン3にろう付けされている。 【0023】 上記下流側ヘッダタンク21、22は、下流側コア部20のチューブ2両端部にそれぞれ配置されている。左に位置する下流側ヘッダタンク21は、上下方向に延びる円筒部材21aと、円筒部材21aの上下両端部を閉塞する2つのキャップ部材21bとを備えている。これら円筒部材21a及びキャップ部材21bは、アルミニウム合金製である。円筒部材21aには、上記チューブ2の端部が挿入されるチューブ挿入孔(図示せず)がチューブ2の間隔に対応して複数形成されている。チューブ2の端部は、チューブ挿入孔に挿入された状態で該チューブ挿入孔の周縁部にろう付けされ、下流側ヘッダタンク21に接続されるようになっている。キャップ部材21bは、円筒部材21aにろう付けされるようになっている。 【0024】 また、左の下流側ヘッダタンク21には、該下流側ヘッダタンク21の内部空間を上部空間21cと下部空間21dとに仕切るアルミニウム合金製の仕切板23が配設されている。すなわち、円筒部材21aには、上下方向の中央部よりも下側寄りの部位に、コア部20と反対側に開口するスリット(図示せず)が形成されている。仕切板23は、スリットから円筒部材21aの内部に挿入され、該仕切板23の周縁部が円筒部材21aの内周面にろう付けされている。仕切板23を上記の如く円筒部材21aの下側寄りに配置しているので、上部空間21cの方が下部空間21dよりも上下方向に長く、大きくなっている。」 2b)「【0049】 以上説明したように、本発明に係る凝縮器は、例えば、冷蔵庫の冷凍サイクルを構成するのに適している。」 2c) 【図1】 [図:0001390412000004.jpg] 2d) 【図6】 [図:0001390412000005.jpg] (イ)引用例2記載事項 上記(ア)から、引用例2には次の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。 「偏平チューブ、ヘッダタンクを有し、ヘッダタンク内に仕切板を設けることにより複数の偏平チューブからなる群を形成した凝縮器を空調装置や冷蔵庫の冷凍サイクルの構成として用いたこと。」 (3)対比・判断 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明における「偏平であり」、「内部に多数の冷媒通路が形成されている」、「複数の」、「チューブ2」は、本願補正発明における「偏平状に形成され」、「その内部に冷媒が流れる流路が複数形成されている」、「複数の」、「偏平管」に相当する。 イ 引用発明における「流入用の接続管8」は、本願補正発明における「入口側接続管」あるいは「冷媒の入口」に相当し、引用発明における「流出用の接続管9」は、本願補正発明における「出口側接続管」あるいは「冷媒の出口」に相当する。 ウ 引用発明における「冷媒をターンさせ」ることは、本願補正発明における「流入した冷媒を自身の内部で折り返」すことに相当する。 エ 引用発明における「一方のタンク4」、「他方のタンク4」は、それぞれ本願補正発明における「一方のヘッダ」、「他方のヘッダ」に相当し、引用発明における「一方のタンク4」と「他方のタンク4」とを併せたものは、本願補正発明における「2つヘッダ」に相当する。 オ 引用発明における「一方のタンク4の内部を2つの範囲に区画する」、「セパレータ7」は、本願補正発明における「一方の前記ヘッダの内部を封止して2つの範囲に区切る」、「封止部」に相当する。 カ 引用発明における「冷媒凝縮器1」は、本願補正発明における「コンデンサ」に相当する。 キ 引用発明における「区画された一方のタンク4」は、本願補正発明における「内部が区切られた前記一方のヘッダ」に相当する。 ク 引用発明における「流入用の接続管8が接続される冷媒凝縮器1への冷媒の入口側」は、本願補正発明における「入口側接続管が接続される前記コンデンサへの冷媒の入口側」に相当する。 ケ 引用発明における「流出用の接続管9が接続される冷媒凝縮器1からの冷媒の出口側」は、本願補正発明における「出口側接続管が接続される前記コンデンサからの冷媒の出口側」に相当する。 コ 引用発明における「入口側の範囲に接続されているチューブ2の数」は、本願補正発明における「入口側の範囲に接続されている前記偏平管の数」に相当し、引用発明における「出口側の範囲に接続されているチューブ2の数」は、本願補正発明における「出口側の範囲に接続されている前記偏平管の数」に相当するから、引用発明における「入口側の範囲に接続されているチューブ2の数を、出口側の範囲に接続されているチューブ2の数より多くする位置に設けられている」ことは、本願補正発明における「入口側の範囲に接続されている前記偏平管の数を出口側の範囲に接続されている前記偏平管の数よりも多くする位置に設けられている」ことに相当する。 サ 引用発明における「冷房装置」と、本願補正発明における「冷蔵庫」とは、「冷凍サイクルを用いる機器」という限りにおいて共通する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「偏平状に形成され、その内部に冷媒が流れる流路が複数形成されている複数の偏平管と、 複数の前記偏平管に接続され、冷媒の入口および冷媒の出口の双方が設けられている一方のヘッダと、当該一方のヘッダとは逆側で複数の前記偏平管に接続され、流入した冷媒を自身の内部で折り返して前記一方のヘッダに向けて流す他方のヘッダの2つヘッダと、 一方の前記ヘッダの内部を封止して2つの範囲に区切る封止部と、を有するコンデンサを備え、 前記封止部は、内部が区切られた前記一方のヘッダの一方の範囲を入口側接続管が接続される前記コンデンサへの冷媒の入口側とし、他方の範囲を出口側接続管が接続される前記コンデンサからの冷媒の出口側とした場合において、入口側の範囲に接続されている前記偏平管の数を出口側の範囲に接続されている前記偏平管の数よりも多くする位置に設けられている冷凍サイクルを用いる機器。」 [相違点] 「冷凍サイクルを用いる機器」に関して、本願補正発明においては、「冷蔵庫」であるのに対して、引用発明においては、「冷房装置」である点。 以下、相違点について検討する。 [相違点について] 引用例2記載事項は、「偏平チューブ、ヘッダタンクを有し、ヘッダタンク内に仕切板を設けることにより複数の偏平チューブからなる群を形成した凝縮器を空調装置や冷蔵庫の冷凍サイクルの構成として用いたこと」であって、偏平チューブ、ヘッダタンクを有し、ヘッダタンク内に仕切板を設けることにより複数のチューブからなる群を形成した凝縮器を空調装置あるいは冷蔵庫の冷凍サイクルの構成要素のいずれにも採用し得ることが示唆されているから、引用発明における冷媒凝縮器1を、引用例2記載事項を参酌して空調装置である冷房装置の用途に代えて冷蔵庫の用途に用いることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願補正発明の効果は、全体としてみても引用発明、引用例2記載事項から予測される範囲内であって格別顕著なものではない。 したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 なお、審判請求人は、審判請求書において「引用文献1には、1つのタンクに流入用の接続管(8)と流出用の接続管(9)とを接続する構成は開示されておらず、また、そのような構成を示唆する記載もありません。」(第4ページ第1~3行)と主張しているが、引用文献1においてチューブ群10の数が2段であるものが記載されており、その場合にターン数は1となるからチューブ群10を通じて他方のタンク4に至って他方のタンク4においてターンして再び一方のタンク4に向けて流れることになるから、流出用の接続管9は、流入用の接続管8と同じ一方のタンク4に設けられることになるのは上記(2)ア(イ)1g)で示したとおり技術的に明らかである。 さらに、審判請求人は、審判請求書において「引用文献2(当審注:「引用文献1」の誤記と認める。)の第2図の記載に鑑みれば、2段にすることが最適になるのは、コア幅(w)/水力直径(d)が800を超える領域、つまりは、引用文献1のように水力直径(d)が1mmであるとすると、コア幅つまりは1本のチューブの長さが800mmになります。・・・そのため、仮に引用文献1を参照した場合、当業者であれば、例えば本願明細書の記載しているように機械室に設置する大きさのコンデンサに利用する際には、2段構成を採用すると熱交換性能が低くなることから、4段構成あるいは5段構成を採用すべきである、という結論に想到すると考えるのが妥当です。 このように、冷蔵庫の大きさに関する一般常識、並びに、当業者の技術常識に鑑みた場合には、仮に引用文献1を参照したとしても、また、引用文献1に家庭用のものに適用できることが記載されていたとしても、冷蔵庫用のコンデンサに2段構成のものを採用する動機づけにはなりません。」(第4ページ第11~27行)と主張しているが、仮にチューブ群10の数を2段として、チューブ2の水力直径(d)が1mmであって、コア幅(w)が800mmとなったとしても、例えば倉庫などに用いる業務用の大型冷蔵庫などの場合、冷蔵庫の冷媒凝縮器のコア幅として想定し得ない寸法とはいえず、特許請求の範囲の請求項1記載の冷蔵庫が家庭用のものであるとの特定もされていないことから、単に冷媒凝縮器のコア幅(w)が800mmとなることをもって引用文献1の冷媒凝縮器を冷蔵庫に採用した場合にチューブ群10の数を2段とし得ないことの根拠とした審判請求人の主張は採用できない。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明 1 本願発明について 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2 1(1)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和3年11月9日付け拒絶査定に記載された理由による次のとおりのものである。 理由(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用例一覧> 引用例1:特開平3-59364号公報 引用例2:特開2008-249284号公報 3 引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例1及び2の記載事項は、前記第2 2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2 2で検討した本願補正発明における「一方のヘッダ」及び「他方のヘッダ」から「2つヘッダ」であることの限定を省き、本願補正発明における「封止部」から「一方のヘッダ」と「他方のヘッダ」のうちの一方に設けられることの限定を省き、本願補正発明における「複数の偏平管」、「一方のヘッダ」と「他方のヘッダ」の「2つヘッダ」、及び「封止部」から、それらが「コンデンサ」が有するものであることの限定を省き、本願補正発明における「冷媒の入口側」から「入口側接続管が接続される前記コンデンサへの」ものであることの限定を省き、本願補正発明における「冷媒の出口側」から「出口側接続管が接続される前記コンデンサからの」ものであることの限定を省いたものである。 そうすると、実質的に本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2 2(3)に記載したとおり、引用発明、引用例2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用例2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-001181

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