特許拒絶査定不服審判
2022-001128
ボトル処理機
- 審判番号
- 2022-001128
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-115049外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月25日
- 審決日
- 2023年07月13日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (C08J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-115049「ボトル処理機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月15日出願公開、特開2020-169339〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成28年8月12日に出願された特願2016-158882号(以下「原出願」という)の一部を、令和2年7月2日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 4月16日付け:拒絶理由通知書
令和3年 6月 1日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年11月 5日付け:拒絶査定(謄本発送は11月9日。以下「原査定」ともいう。)
令和4年 1月25日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年1月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年1月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「液体が収容されるボトルが供給され、前記ボトルから液体を排出する排出機構と、
上側の側面を開放される筒状にされると共に、排出孔が設けられ、前記排出機構からの前記ボトル及び液体が内側に供給されると共に、内側から前記排出孔を介して液体が排出される排出部材と、
前記排出部材の内側に同軸上に設けられ、上側において前記排出機構が前記ボトルから液体を排出すると共に、回転されることで前記ボトル及び液体が攪拌される攪拌部材と、
を備えたボトル処理機。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年6月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「液体が収容されるボトルが供給され、前記ボトルから液体を排出する排出機構と、
排出孔が設けられ、前記排出機構からの前記ボトル及び液体が内側に供給されると共に、内側から前記排出孔を介して液体が排出される排出部材と、
前記排出部材の内側に設けられ、上側において前記排出機構が前記ボトルから液体を排出すると共に、回転されることで前記ボトル及び液体が攪拌される攪拌部材と、
を備えたボトル処理機。」
2 補正の適否
(1)補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「排出部材」について、「上側の側面を開放される筒状にされる」ものに限定するものであり、また、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「攪拌部材」について、排出部材の内側に「同軸上に」設けられるものに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(2)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。
(3)引用文献の記載事項及び引用発明
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、原出願の出願日前に公知となった特開2005-1325号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
a 「【請求項1】
PETボトルのボトル本体からキャップを取り外すPETボトルキャップ除去装置であって、
軸の回りに回転しうるパドルと、
前記パドルが収容され、前記軸の軸線方向における一端側にPETボトルの投入口を他端側にPETボトルの排出口を有するケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、前記パドルの回転に伴ってPETボトルを前記投入口から前記排出口に向かって移動させるガイドブレードと、を備えることを特徴とするPETボトルキャップ除去装置。」
b 「【請求項2】
回転する前記パドルの周囲又は周囲の一部に、キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有するスクリーンを備えることを特徴とする請求項1に記載のPETボトルキャップ除去装置。」
c 「【請求項5】
前記ケーシングの投入口の前段に、PETボトルを偏平に潰す圧縮装置を備えることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のPETボトルキャップ除去装置。」
d 「【0016】
ケーシング4内のパドル7,7の下方には、回転するパドル7,7外周の円形状の軌跡に形状を合わせた断面半円弧状のスクリーン10が設けられる。スクリーン10はキャップ又はキャップの破片を排出できるようにメッシュ、多孔、又はスリットを有し、回転するパドル7,7に干渉しないようにパドル7,7の外周の軌跡から所定の隙間を空けて配置される。この実施形態では、スクリーン10は、回転するパドル7,7の周囲の一部(すなわち下側の半分)に設けられているが、周囲の全体に設けられてもよい。」
e 「【0023】
図4に示すように、ガイドブレード11…間には、ケーシング4内に投入された汚れPETボトルに散水する散水機構12…が設けられる。散水機構12…は散水パイプ13(図2参照)に接続される。キャップ付きPETボトルは、飲み残しを内蔵していることが多い。このため上記装置でキャップを除去する際に、これらが外部に出てきてPETボトルを汚す。本装置ではこれを清掃するために散水機構12・・・を設けている。また、PETボトルは賞味期限切れの飲料水を内蔵していることもある。本装置の散水機構12・・・によって、キャップを取り外し、飲料水を取り出したPETボトルを散水・清掃してもよい。なお、排出した飲料水は水処理設備で処理する必要がある。」
f 「【0025】
上記PETボトルキャップ除去装置のみでも90%以上キャップ及びラベルを除去することができる。更に除去効率を上げるためには、図6に示されるキャタピラ式圧縮装置を本装置の前段に設置することが有効である。キャタピラ式圧縮装置では、ニードル21・・・を有する上下2段のキャタピラ22,23が、ホッパー24に投入されたPETボトルを呑み込みながら偏平に潰す。2段キャタピラ22,23の間隙は約20mmでPETボトルの口部がここで破壊される。しかしながら、軟らかい材質のキャップは壊れず、破壊された口部に被さったままのことが多い。キャップは後段のPETボトルキャップ除去装置の内部で攪拌、衝突を繰り返すうちに完全に分離する。
【0026】
なお、PETボトルを偏平にする装置は、この方式でなくても、ローラ方式、ピストン・シリンダによるプレス方式でもよい。」
g 「
[図:0001401009000001.jpg]
」
h 「
[図:0001401009000002.jpg]
」
i 「
[図:0001401009000003.jpg]
」
(イ)前記(ア)から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献1の【請求項1】を引用する【請求項2】を、さらに引用する【請求項5】には、「PETボトルのボトル本体からキャップを取り外すPETボトルキャップ除去装置であって、軸の回りに回転しうるパドルと、前記パドルが収容され、前記軸の軸線方向における一端側にPETボトルの投入口を他端側にPETボトルの排出口を有するケーシングと、前記ケーシングに設けられ、前記パドルの回転に伴ってPETボトルを前記投入口から前記排出口に向かって移動させるガイドブレードと」、「回転する前記パドルの周囲又は周囲の一部に、キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有するスクリーン」とを備え、「前記ケーシングの投入口の前段に、PETボトルを偏平に潰す圧縮装置」とを備える「PETボトルキャップ除去装置」が記載されている。
b ここで、前記(ア)dで摘記した【0016】には、スクリーンは、「回転するパドル7,7外周の円形状の軌跡に形状を合わせた断面半円弧状のスクリーン10」であること、及び「回転するパドル7,7の周囲の一部(すなわち下側の半分)に設けられている」ことが記載されている。
c また、同【0025】(前記(ア)f参照。)には、PETボトルを扁平に潰す圧縮装置について、「ホッパー24に投入されたPETボトルを呑み込みながら扁平に潰す」ものであることが記載されている。
(ウ)前記(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
「PETボトルのボトル本体からキャップを取り外すPETボトルキャップ除去装置であって、
軸の回りに回転しうるパドルと、
前記パドルが収容され、前記軸の軸線方向における一端側にPETボトルの投入口を他端側にPETボトルの排出口を有するケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、前記パドルの回転に伴ってPETボトルを前記投入口から前記排出口に向かって移動させるガイドブレードと、
回転する前記パドルの周囲の一部に、キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有するスクリーンを備え、
前記ケーシングの投入口の前段に、PETボトルを偏平に潰す圧縮装置を備えるPETボトルキャップ除去装置であって、
前記スクリーンは、回転するパドルの周囲の下側の半分に設けられ、回転するパドル外周の円形状の軌跡に形状を合わせた断面半円弧状のスクリーンであり、
前記圧縮装置は、ホッパーに投入されたPETボトルを呑み込みながら扁平に潰すものである、
PETボトルキャップ除去装置」
イ 引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用され、原出願の出願日前に公知となった米国特許第5186331号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、各摘記事項毎に当審の仮訳を掲載した。
a 特許請求の範囲
「
[図:0001401009000004.jpg]
」
プラスチックボトルとボトルキャップと組み合わせて用いて、プラスチックボトルからボトルキャップを分離するための装置であって、
第1の軸の周りに回転可能であり、複数の突出部を有する第1のローラと、
前記第1の軸と実質的に平行な第2の軸の周りに回転可能な第2のローラであって、複数の突出部を有し、前記第1のローラに隣接し、前記第1のローラと第2のローラとの間隔を画定する、第2のローラと、
ボトルを受け入れて誘導する投入ホッパと、
前記ボトルは柔軟な非脆性プラスチックと前記キャップから構成され、前記キャップがされたボトルは前記投入ホッパーに供給され、前記ボトルは実質的に前記ローラ間の間隔よりも大きいボトルと、
前記第1のローラを回転させ、頂部を前記第2のローラの方向へ動かす手段と、
前記第2のローラを回転させ、頂部を前記第1のローラの方向へ動かす手段であって、前記第1のローラと第2のローラの回転により、前記ローラ間にボトルは供給され、ボトルが破壊され、キャップが外される、手段と、
スクリーンであって、前記ボトルとキャップを受け、キャップより大きく、ボトルより小さい開口を有し、キャップは開口を通過するがボトルは開口を通過しない、スクリーンと、
前記スクリーンの下方に位置し、破壊されたボトルとボトルから分離されたキャップを受け入れる手段と、を含む装置。
b 第3欄第34~44行
「
[図:0001401009000005.jpg]
」
ボトル(41)がホッパー(11)に供給されることにより、供給ローラ(18)がボトル(41)を下方へ押し、ボトル(41)が破壊ローラ(16)と(17)に捕捉されるにようにする。ボトル(41)は円筒形であり、いくつかのボトルのようなフラットなものではないため(例として、米国特許第41553206号明細書の図4に示されている)、図5に示すように、破裂によりボトル部分(42)のネック(43)からキャップが外れる十分な量の空気をボトル内部に有する。これは、ボトルがいずれの方向で破壊ローラ(16)と(17)に供給されても生じる。
c 第3欄第55~66行
「
[図:0001401009000006.jpg]
」
ボトル(41)とキャップ(44)がローラ(16)と(17)の間を通過すると、それらは開口(47)を有するスクリーン(46)上に落下する。これらの開口(47)は、キャップ(44)の通過を可能とする十分な大きさであり、ボトルのメイン部分(42)又はベース部分(45)を通過させるには小さすぎる。重力により継続的に、キャップ(44)は、スクリーン(46)の下にある受け入れコンテナ(48)内に落下する。ベース部分(45)と破壊されたボトル部分(42)は、重力によりシュート(49)へ移動し、傾斜したシュート(49)の下方にあるコンテナ(50)内に集められる。
d 図5
「
[図:0001401009000007.jpg]
」
(4)対比・判断
ア 本件補正発明と引用発明との対比・判断
(ア)本件補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「圧縮装置」は、「ケーシングの投入口の前段」に備えられ、「ホッパーに投入されたPETボトルを呑み込みながら扁平に潰すもの」であるから、引用発明の「圧縮装置」と、本件補正発明の「排出機構」とは、共に「ボトルが供給される機構」である点で共通する。
b 引用発明の「スクリーン」は、「断面半円弧状」であり「パドルの周囲の下側の半分」に備えられたものであることから、「上側の側面を開放される筒状である」ことは明らかである。また、スクリーンに設けられた「メッシュ、多孔、又はスリット」は「キャップの破片を排出し得る」ものであることから、「排出孔」であるといえる。すると、引用発明の「スクリーン」と、本件補正発明の「排出部材」とは、「上側の側面を開放される筒状にされると共に、排出孔が設けられ、ボトルが供給される機構からのボトルが内側に供給される、排出部材」である点で共通する。
c 引用発明の「パドル」について、「パドルの周囲」に「スクリーン」が設けられていることから、「パドル」は「スクリーン」の内側に設けられていることは明らかである。また、「パドルの回転」に伴ってPETボトルがケーシング内を移動することから、パドルの回転によってPETボトルが攪拌されているといえる。すると、引用発明の「パドル」と、本件補正発明の「攪拌部材」とは、「排出部材の内側に設けられ、回転されることでボトルが攪拌される攪拌部材」である点で共通する。
d 引用発明の「PETボトルキャップ除去装置」は、本件補正発明の「ボトル処理機」に相当する。
(イ)以上より、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「ボトルが供給される機構と、
上側の側面を開放される筒状にされると共に、排出孔が設けられ、前記ボトルが供給される機構からのボトルが内側に供給される、排出部材と、
前記排出部材の内側に設けられ、回転されることで前記ボトルが攪拌される攪拌部材と、
を備えたボトル処理機。」
(相違点1)
ボトルが供給される機構が、本件補正発明は「液体が収容されるボトルが供給され、前記ボトルから液体を排出する排出機構」であるのに対し、引用発明は、「PETボトルを偏平に潰す圧縮装置」であって、供給されるPETボトルが液体を収容すること及びPETボトルから液体を排出することが特定されないものである点。
(相違点2)
攪拌部材が、本件補正発明は排出部材の内側に「同軸上に」設けられ、「上側において前記排出機構が前記ボトルから液体を排出すると共に、回転されることで前記ボトル及び液体が攪拌される攪拌部材」であるのに対し、引用発明は「軸の回りに回転しうるパドル」であるものの、「パドル」と他の部材との位置関係において、「パドル」が「断面半円弧状のスクリーン」と「同軸上」に設けられるとは特定されず、「圧縮装置」が「パドル」の「上側」とも特定されず、また、「パドル」が液体を攪拌することも特定されていない点。
(相違点3)
排出部材が、本件補正発明は「前記排出機構からのボトル及び液体が内側に供給されると共に、内側から前記排出孔を介して液体が排出される」ものであるのに対し、引用発明は、「PETボトルを偏平に潰す圧縮装置」からのPETボトル及びキャップが、「キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有する断面半円弧状のスクリーン」の内側に供給されるものの、圧縮装置からの液体が内側に供給され、内側からメッシュ、多孔、又はスリットを介して液体が排出されることが特定されないものである点。
(ウ)判断
a 相違点1について
前記(3)ア(ア)eで摘記した引用文献1の【0023】から、引用発明の「PETボトルキャップ除去装置」は、飲み残し又は賞味期限切れ飲料水を内蔵しているキャップ付きPETボトルも処理対象とするものであるから、引用発明の「PETボトルを偏平に潰す圧縮装置」に供給されるPETボトルには、飲み残し又は賞味期限切れ飲料水を内蔵しているものが当然に含まれるものと認められる。そして、前記(3)ア(ア)fで摘記した引用文献1の【0025】、【0026】から、PETボトルを偏平に潰す圧縮装置は、PETボトルを偏平に潰し、PETボトルの口部を破壊するものであるから、PETボトルから飲み残し又は賞味期限切れ飲料水が排出されるものと認められる。したがって、引用発明の「PETボトルを偏平に潰す圧縮装置」は、空のボトルのみならず「液体が収容されるボトルが供給され」るものであり、「前記ボトルから液体を排出する」ものであるといえるので、前記相違点1は、実質的な相違点とはいえない。
b 相違点2について
(a)「パドル」と「スクリーン」の位置関係について
前記(3)ア(ア)dで摘記した引用文献1の【0016】から、スクリーンは、回転するパドル外周の円形状の軌跡に形状を合わせた断面半円弧状のものであり、回転するパドルに干渉しないようにパドルの外周の軌跡から所定の間隔を開けて配置されるものである。そうすると、パドルの回転軸と断面半円弧状のスクリーンの軸との位置関係について「同軸上」との明示はないものの、パドルの回転軸は、断面半円弧状のスクリーンの軸と同軸上であると考えるのが自然であるから、この点は実質的な相違点でないか、または、両者を同軸上に配置することは装置を設計するにあたっての当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、当業者が容易になし得る事項である。
(b)「パドル」と「圧縮装置」の位置関係と、液体の流れについて
引用発明の「圧縮装置」は、「パドルが収容され」た「ケーシングの投入口の前段に」備えられたものであるが、「パドル」と「圧縮装置」の空間的な位置関係や、前記aで検討した「圧縮装置」において、PETボトルから排出される液体の流れについては、詳細が不明である。
この点について、例えば前記(3)イ(ア)c、dで摘記した引用文献2の第3欄第55~66行及び図5には、ボトル(41)とキャップ(44)が破壊ローラー(16)と(17)の間を通過し、開口を有するスクリーン(46)上に落下し、スクリーンによりボトルとキャップを分離することが記載されている。すなわち、引用文献2には、「ボトルとキャップを分離する」「スクリーン」の上側に、「ボトル(41)とキャップ(44)」を「通過」させる「破壊ローラー(16)と(17)」を設けたことが記載されており、このように、空間的な位置関係における上側にボトルを破壊する装置を配置することにより、その下側に配置された次の処理を行う装置にボトルを供給することは、ボトルを処理する技術分野における周知技術といえる。
また、引用文献1の【0023】には、「キャップ付きPETボトルは、飲み残しを内蔵していることが多い」ため、「キャップを除去する際に、これらが外部に出てきてPETボトルを汚す」ことから、「これを清掃するために散水機構12」をケーシング内に設けうることが記載されていることから、引用発明における「ケーシング」には、飲み残しを内蔵したPETボトルやPETボトルから外部に出てきた飲み残しを供給しうるものといえる。
そうすると、引用発明において、「PETボトルを偏平に潰す圧縮装置」の配置として、前記周知技術を採用し、引用発明の「回転するパドルの周囲の下側の半分に設けられ」「キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有するスクリーン」の上側に「圧縮装置」を配置することにより、「圧縮装置」から「回転する」「パドル」にPETボトル及びキャップを供給することは、当業者が容易になし得たことであり、引用発明において、上側の「圧縮装置」から「回転するパドル」にPETボトル及びキャップが供給されるのであるから、前記aで検討した「圧縮装置」においてPETボトルから排出される液体も同様に、「回転するパドル」に供給されるようにすることに特段の困難性はない。そして、前記引用文献1の【0023】に記載のとおり、引用発明の「回転するパドル」が収容される「ケーシング」には、PETボトルの飲み残しが供給されることが想定されているのであるから、「回転するパドル」が、ボトルのみならず、「圧縮装置」においてPETボトルから排出される液体も攪拌するようになることはごく自然なことであって、特段の困難性を伴うものではない。
してみると、前記相違点2は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。
c 相違点3について
前記b(b)で検討したとおり、引用発明に周知技術を適用し、引用発明の「回転するパドルの周囲の下側の半分に設けられ」「キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有するスクリーン」の上側に「圧縮装置」を配置することにより、「圧縮装置」から排出されるPETボトル及びキャップに加えて、「圧縮装置」においてPETボトルから排出される液体も、「キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有するスクリーン」に供給されるようになるのであるから、ボトルから排出された液体が「メッシュ、多孔、又はスリット」を介してスクリーンの内側から排出されるようになることも明らかである。
してみると、前記相違点3は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。
d 効果について
本件補正発明の「排出部材の内側に攪拌部材が設けられており、攪拌部材が回転されることで、ボトル及び液体が攪拌される。このため、排出部材の内側から排出孔を介して液体を効果的に排出でき、ボトルから液体を効果的に選別できる。」との効果は、引用発明において、周知技術に基づき「PETボトルを偏平に潰す圧縮装置」を「回転する前記パドルの周囲の下側の半分に」備えられた「キャップ又はキャップの破片を排出し得るメッシュ、多孔、又はスリットを有する断面半円弧状のスクリーン」の上側に配置することで、PETボトルとボトルから排出された液体がパドルによって攪拌されるようになることから、当業者が予測し得るものである。
e 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、引用文献1では、スクリーン10の内側にパドル7及び軸8が同軸上に設けられていない(図2参照)こと、引用文献2には、スクリーン46が平板状にされると共に、本発明の「攪拌部材」に対応するものが設けられていないことから、引用文献1及び2には、「排出部材の内側に攪拌部材が同軸上に設けられる」という技術的思想が記載も示唆もされておらず、引用文献1に引用文献2を組み合わせても、スクリーン10の内側においてパドル7及び軸8が同軸上に設けられない旨、本願発明は、「排出部材の内側に攪拌部材が同軸上に設けられる」ことにより、排出部材の内側において攪拌部材がボトル及び液体を効果的に攪拌でき、ボトルから液体を効果的に選別できるという顕著な効果を奏する旨、主張している。
しかしながら、明細書に添付された図面は、構成要素のおおよその位置関係を把握するための概略図であって、引用文献1の【図2】は、「パドル7」の「軸8」と「スクリーン10」とが同軸上にないことを明示的に特定するものではないから、この【図2】の記載のみをもって、「パドル7」の「軸8」と「スクリーン10」とが同軸上にないとまではいえない。
むしろ、前記ア(ウ)cで検討したとおり、引用文献1の【0016】の「ケーシング4内のパドル7,7の下方には、回転するパドル7,7外周の円形状の軌跡に形状を合わせた断面半円弧状のスクリーン10が設けられる。」との記載によれば、「断面半円弧状のスクリーン10」は「回転するパドル7,7外周の円形状の軌跡に形状を合わせた」ものとされているから、「パドル7」の「軸8」は、「断面半円弧状のスクリーン10」と「同軸上」にあると解釈する方が、技術思想的にも自然な発想である。
そして、両者が同軸上にあれば、偏りなく均一に攪拌ができることは、その構造から当業者であれば予測し得る事項であるから、請求人の主張する、同軸上にあることで効果的に攪拌、選別ができるという効果は、当業者が予測し得ないものとはいえない。
よって前記請求人の主張は採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、原出願の出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年1月25日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年6月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、原出願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
記
引用文献1:特開2005-001325号公報
引用文献2:米国特許第05186331号明細書(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項は、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明において、排出部材について「上側の側面を開放される筒状にされる」という特定を行わず、攪拌部材を排出部材の内側に「同軸上」に設けるという特定を行わないものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに排出部材を「上側の側面を開放される筒状にされる」ものに減縮し、攪拌部材を排出部材の内側に「同軸上」に設けるものに減縮したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)に記載した理由と同じ理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-001128