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特許拒絶査定不服審判

2023-017999

補強ゴム組成物を加硫する方法

審判番号
2023-017999
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-542853
請求日
2023年10月25日
審決日
2025年05月12日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
  • 【請求人代理人】小林 浩
  • 【請求人代理人】片山 英二
  • 【請求人代理人】大森 規雄
  • 【請求人代理人】猪狩 俊博
審判長/審判官
  • 審判長 柴田 昌弘
  • 審判官 淺野 美奈
  • 審判官 植前 充司
分類
P18 .113-WZ (C08J) / P18 .121-WZ (C08J) / P18 .575-WZ (C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-542853「補強ゴム組成物を加硫する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月15日国際公開、WO2019/154825、令和 3年 5月20日国内公表、特表2021-512987〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件は2019年(平成31年) 2月 6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年 2月 9日、欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。 令和 2年 8月 7日 国内書面の提出 令和 2年 9月11日 国際出願翻訳文提出書の提出 令和 3年11月19日 手続補正書及び上申書の提出 令和 4年12月 8日付け 拒絶理由通知 令和 5年 3月13日 手続補正書及び意見書の提出 令和 5年 6月20日付け 拒絶査定 令和 5年10月25日 審判請求書及び手続補正書の提出 第2 令和 5年10月25日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 5年10月25日に提出された手続補正書による補正を却下する。 [理由] 1 令和 5年10月25日に提出された手続補正書による手続補正の内容 令和 5年10月25日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前(すなわち、令和 5年 3月13日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1を、下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1とする補正事項を含む。なお、下線は、合議体が補正箇所に対して付したものである。 (1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「 補強ゴム組成物の調製方法であって、 (A)少なくとも120℃の温度で、少なくとも以下の化合物、 (i)ゴムと、 (ii)少なくとも1つ無機充填剤と、 (iii)0.1~2phr(ゴム100重量部当たりの重量部)の少なくとも1つの有機過酸化物と、ここで、前記少なくとも1つの有機過酸化物はペルオキシケタールを含み、 (iv)フェノール類、パラフェニリデンジアミン、および窒素酸化物から選択される少なくとも1つの酸化防止剤と を混合して、未硬化の補強ゴム組成物を調製するステップと、 (B)ステップ(A)で調製された未硬化の補強ゴム組成物を冷却するステップと、を含む、方法。」 (2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「 補強ゴム組成物の調製方法であって、 (A)少なくとも120℃の温度で、少なくとも以下の化合物、 (i)ゴムと、 (ii)少なくとも1つの無機充填剤と、ここで、前記少なくとも1つの無機充填剤がカーボンブラックを含み、 (iii)0.1~2phr(ゴム100重量部当たりの重量部)の少なくとも1つの有機過酸化物と、ここで、前記少なくとも1つの有機過酸化物はペルオキシケタールを含み、 (iv)フェノール類、パラフェニリデンジアミン、および窒素酸化物から選択される少なくとも1つの酸化防止剤と を混合して、未硬化の補強ゴム組成物を調製するステップと、 (B)ステップ(A)で調製された未硬化の補強ゴム組成物を冷却するステップと、を含む、方法。」 2 本件補正の適否 (1) 本件補正の目的(特許法第17条の2第5項)についての検討 本件補正による請求項1の補正は、補正前の「(ii)少なくとも1つ無機充填剤と、」とあるのを、「(ii)少なくとも1つの無機充填剤と、ここで、前記少なくとも1つの無機充填剤がカーボンブラックを含み、」と補正する補正事項を有するものである。 このうち、「少なくとも1つ無機充填剤」を「少なくとも1つの無機充填剤」に補正する点は、助詞が欠けていたところを補うものであるから、特許法第17条の2第5項第3号に規定するところの誤記の訂正を目的とするものである。 また、「ここで、前記少なくとも1つの無機充填剤がカーボンブラックを含み、」と特定する事項は、「少なくとも1つの無機充填剤」に関し「カーボンブラック」を含むものであることを特定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定するところの特許請求の範囲の減縮(いわゆる「限定的減縮」)を目的とするものである。 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定するところの特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、同法同条第6項が準用する同法第126条第7項の規定(いわゆる「独立特許要件」)を満たすものであるか否かについて検討する。 (2) 独立特許要件についての検討 ア 本件補正発明 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下、「本件補正発明」という。)は、上記1(2)のとおりである。 イ 引用文献2を主たる証拠とする新規性・進歩性の検討 (ア) 引用文献2の記載事項等 A 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本件優先日前に頒布された刊行物である特表2003-519270号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「熱誘発性ラジカル開始剤によって活性化されるカップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)を含むタイヤ用ゴム組成物」に関し、次の記載がある。 「【請求項1】タイヤの製造に利用できる硫黄加硫性ゴム組成物であって、 少なくとも、 (A)ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる一種のジエンエラストマー(成分A)、 (B)強化白色充填剤(成分B)、 (C)少なくとも一つの活性化されるエチレン二重結合を有するカップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)(成分C)、 (D)成分Cと併用される、0.05~1phr(エラストマー100当りの質量部)の熱誘発性ラジカル開始剤(成分D)、 をベースとする事を特徴とする組成物。 【請求項2】成分Aが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエン-スチレンコポリマー、ブタジエン-イソプレンコポリマー、イソプレン-スチレンコポリマー、ブタジエン-スチレン-イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる、請求項1に記載のゴム組成物。 【請求項3】成分Aが、主に、天然ゴム、合成ポリイソプレン、イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる、請求項2に記載のゴム組成物。 【請求項4】10~200phrの成分Bを含む、請求項1~3の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項5】成分Cの量が、成分Bの質量の0.5%~20%である、請求項1~4の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項6】成分Cの量が、成分Bの質量の10%未満である、請求項5に記載のゴム組成物。 【請求項7】成分Dの量が0.5phr未満である、請求項1~6の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項8】成分Dの量が0.1~0.3phrである、請求項7に記載のゴム組成物。 【請求項9】成分Cのエチレン二重結合が、少なくとも一つのC=O、C=C、C≡C結合、OH、OR(Rはアルキルである)又はOAr(Arはアリールである)、又は硫黄及び/又は窒素の少なくとも一種の原子、又は少なくとも一種のハロゲンを有するラジカルの中から選ばれる少なくとも一種の隣接電子吸引基によって活性化される、請求項1~8の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項10】隣接電子吸引基が、アシル(-COR)、カルボニル(=C=O)、カルボキシル(-COOH)、カルボキシ-エステル(-COOR)、カルバミル(-CO-NH2;-CO-NH-R;-CO-N-R2)、アルコキシ(-OR)、アリーロキシ(-OAr)、ヒドロキシ(-OH)、アルケニル(-CH=CHR)、アルキニル(-C≡CR)、ナフチル(C10H7-)、フェニル(C6H5-)基、少なくとも一種の硫黄(S)及び/又は窒素(N)原子、又は少なくとも一種のハロゲンの中から選ばれる、請求項9に記載のゴム組成物。 【請求項11】隣接電子吸引基がカルボニル(=C=O)基である、請求項10に記載のゴム組成物。 【請求項12】成分Cが、一般式: (I)Z-T-Y 〔ここで、Zは、活性化されるエチレン二重結合を有する基であり、 Tは、二価の炭化水素基であり、 Yは、以下の式: 【化1】 [図:0001427286000001.jpg] (ここで、R1基は、置換されていてもいなくても良く、同じであっても異なっていても良い、C1~C18のアルキル基、C5~C18のシクロアルキル基、又はC6~C18のアリール基を表し、R2基は、置換されていてもいなくても良く、同じであっても異なっていても良い、C1~C18のアルコキシ基又はC5~C18のシクロアルコキシ基を表す)〕 のアルコキシシランである、請求項1~11の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項13】Z基が、構造式: 【化2】 [図:0001427286000002.jpg] (ここで、W1は、O、NH、S又はCH2であり、W2は、N又はCHであり、R3とR4基は、同じであっても異なっていても良く、水素、置換されていてもいなくても良いC1~C6のアルキル、又はハロゲンを表す、但し、R4がCOOH基である時は、R3は水素原子である)から選ばれる、請求項12に記載のゴム組成物。 【請求項14】成分Cが、アルコキシ(C1~C4)-シリルプロピル-シランである、請求項12又は13に記載のゴム組成物。 【請求項15】成分Cが、アルコキシ(C1~C4)-シリルプロピルアクリレート、アルコキシ(C1~C4)-シリルプロピルメタクリレート、アルコキシ(C1~C4)-シリルプロピルアクリルアミド、アルコキシ(C1~C4)-シリルプロピルメタクリルアミド、アルコキシ(C1~C4)-シリルプロピルマレイミド、アルコキシ(C1~C4)-シリルプロピルイソマレイミド、N-(プロピル-アルコキシシラン)マレアミド酸、N-(プロピル-アルコキシシラン)フマルアミド酸及びこれらの化合物の混合物で形成される基から選択される、請求項14に記載のゴム組成物。 【請求項16】成分Cが、式: 【化3】 [図:0001427286000003.jpg] のトリメトキシ-シリルプロピルメタクリレートである、請求項15に記載のゴム組成物。 【請求項17】成分Cが、式: 【化4】 [図:0001427286000004.jpg] のN-(プロピルトリエトキシシラン)マレアミド酸である、請求項15に記載のゴム組成物。 【請求項18】成分Cが、式: 【化5】 [図:0001427286000005.jpg] のN-(プロピルトリエトキシシラン)イソマレイミドである、請求項15に記載のゴム組成物。 【請求項19】成分Dが、過酸化物、ヒドロペルオキシド、アジド化合物、ビス(アゾ)化合物、過酸、過酸エステル及びそれらの化合物の混合物から成る群から選ばれる、請求項1~18の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項20】成分Dが、式: 【化6】 [図:0001427286000006.jpg] (ここで、Meはメチルである)の1,1-ビス(t-ブチル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンである、請求項19に記載のゴム組成物。 【請求項21】成分Dが、式: 【化7】 [図:0001427286000007.jpg] のアゾビス(イソブチロニトリル)である、請求項19に記載のゴム組成物。 【請求項22】成分Bが主にシリカである、請求項1~21の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項23】成分Bが主にアルミナである、請求項1~21の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項24】成分Bが全体の強化充填剤を構成する、請求項1~23の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項25】成分Bが、カーボンブラックとの混合物で使用される、請求項1~23の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項26】成分Aが、主に、天然ゴム、合成ポリイソプレン又はそれらのエラストマーの混合物で形成されている、請求項3~25の何れか一項に記載のゴム組成物。 【請求項27】成分Aが、天然ゴム又は合成ポリイソプレンで専ら形成されている、請求項26に記載のゴム組成物。 【請求項28】タイヤの製造に使用できるゴム組成物の製造方法であって、少なくとも、(i)ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる一種のジエンエラストマー(成分A)、少なくとも、 (ii)強化白色充填剤(成分B)、 (iii)少なくとも一つの活性化されるエチレン二重結合を有するカップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)(成分C)、 (iV)成分Cと併用される、0.05~1phr(エラストマー100当りの質量部)の熱誘発性ラジカル開始剤(成分D)、 が混入されて、全体の混合物が、熱機械的に、一つ以上の工程で、110℃~190℃の最大温度に到達するまで混練される事を特徴とする方法。 【請求項29】最大混練温度が130℃~180℃である、請求項28に記載の方法。 【請求項30】タイヤ又はタイヤ用の半製品の製造の為の請求項1~27の何れか一項に記載のゴム組成物の使用であって、半製品が、特に、トレッド、トレッド用のアンダーレイヤー、クラウンプライ、サイドウォール、カーカスプライ、ビード、プロテクター、インナーチューブ及びチューブレスタイヤ用の気密内部ゴムを含む群から選ばれる事を特徴とする使用。 【請求項31】請求項1~27の何れか一項に記載のゴム組成物を含む事を特徴とするタイヤ。 【請求項32】請求項1~27の何れか一項に記載のゴム組成物を含むタイヤ用の半製品であって、特に、トレッド、トレッド用のアンダーレイヤー、クラウンプライ、サイドウォール、カーカスプライ、ビード、プロテクター、インナーチューブ及びチューブレスタイヤ用の気密内部ゴムを含む群の中から選ばれる事を特徴とする半製品。 【請求項33】タイヤトレッドから成る、請求項32に記載の半製品。 【請求項34】請求項26又は27のゴム組成物をベースとする事を特徴とする、請求項33のタイヤトレッド。 【請求項35】白色充填剤で強化されるジエンエラストマーをベースとするゴム組成物において、活性化されるエチレン二重結合を有するカップリング剤のカップリング活性体(白色充填剤/ジエンエラストマー)としての熱誘発性ラジカル開始剤の使用であって、前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる事を特徴とする使用。 【請求項36】ラジカル開始剤が0.05~1phr(エラストマーの100当りの質量部)の量で存在する、請求項35に記載の使用。 【請求項37】ジエンエラストマーをベースとし、白色充填剤で強化される硫黄加硫性ゴム組成物において、活性化されるエチレン二重結合を有するカップリング剤のカップリング機能(白色充填剤/ジエンエラストマー)を活性化する方法であって、少なくとも、(i)ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる一種のジエンエラストマー(成分A)、少なくとも、 (ii)強化充填剤としての白色充填剤(成分B)、 (iii)少なくとも一つの活性化されたエチレン二重結合を有するカップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)(成分C)、 (iV)成分Cと併用される、0.05~1phr(エラストマー100当りの質量部)の熱誘発性ラジカル開始剤(成分D)、 が混練によって混入されて、全体の混合物が、熱機械的に、一つ以上の工程で、110℃~190℃の最大温度に到達するまで混練される事を特徴とする方法。 【請求項38】最大混練温度が130℃~180℃である、請求項37に記載の方法。 【請求項39】ラジカル開始剤が0.5phr未満の量で存在する、請求項37又は38に記載の方法。」 「 【0001】 (発明の分野) 本発明は、白色充填剤で強化されたジエンゴム組成物に関し、特に、タイヤ又はタイヤ用の半製品、特にタイヤ用トレッドを製造する為のジエンゴム組成物に関する。」 「 【0009】 (発明の開示) 従って、本発明の第一の主題は、タイヤの製造に使用することの出来る硫黄加硫性ゴム組成物に関し、少なくとも、 (A)ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる一種のジエンエラストマー(成分A)、 (B)強化白色充填剤(成分B)、 (C)少なくとも一つの活性化されたエチレン二重結合を有するカップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)(成分C)、 (D)成分Cと併用される、0.05~1phr(エラストマー100当りの質量部)の熱誘発性ラジカル開始剤(成分D)、 をベースとする組成物に関する。 本発明の他の主題は、タイヤ又はその様なタイヤ用の半製品の製造の為の、本発明のゴム組成物の使用である。それらの半製品は、特に、トレッド、例えばそれらトレッドの下に置かれるアンダーレイヤー、クラウンプライ、サイドウォール、カーカスプライ、ビード、プロテクター、インナーチューブ及びチューブレスタイヤ用の気密内部ゴムの中から選ばれる。 【0010】 本発明の主題は、又、本発明のゴム組成物を含むタイヤ及び半ゴム製品それ自身にある。 本発明は、特にタイヤ用トレッドに関し、これらのトレッドは、新しいタイヤの製造に又は摩耗したタイヤの再生に使用する事が出来る。本発明の組成物によって、これらのトレッドはローリング抵抗が低く且つ高い摩耗抵抗を有する。 又、本発明は、タイヤの製造に使用できるゴム組成物の製造方法に関し、この方法は、少なくとも、(i)ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる一種のジエンエラストマー(成分A)、少なくとも、(ii)強化白色充填剤(成分B)、 (iii)少なくとも一つの活性化されるエチレン二重結合を有するカップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)(成分C)、 (iV)成分Cと併用される、0.05~1phr(エラストマー100当りの質量部)の熱誘発性ラジカル開始剤(成分D)、 が混入されて、全体の混合物が、熱機械的に、一つ以上の工程で、110℃~190℃の最大温度に到達するまで混練される事を特徴とする。」 「 【0022】 好ましくは、成分Aは、専ら天然ゴム、合成ポリイソプレン又はそれらの化合物の混合物で形成されても良い。 勿論、本発明の組成物は、上記で定義された成分Aに加えて、成分A以外のジエンエラストマー、非ジエンエラストマー、又は、例えば、熱可塑性ポリマーの様なエラストマー以外のポリマーを含んでも良い。 II-2.強化充填剤(成分B) 強化充填剤として使用される白色充填剤は、合計強化充填剤の全部又は一部分だけを構成しても良く、後者の場合は、例えば、カーボンブラックと一緒に使用される。 好ましくは、本発明のゴム組成物においては、強化白色充填剤は、合計強化充填剤の大部分、即ち、50質量%より多くを、更に好ましくは80質量%より多くを構成する。 【0023】 本発明において、「強化充填剤」とは、「白色」充填剤(即ち、無機又は鉱物充填剤)であって、その色は(カーボンブラックとは対照的に)如何なるものでもよく、「透明」充填剤とも呼ばれ、それ自身で、中間体カップリング系以外の手段なしに、タイヤの製造を目的としたゴム組成物を強化する事の出来る、言い換えれば、その強化機能において通常の充填剤のタイヤグレードのカーボンブラックを置換える事の出来る充填剤を意味するものと理解される。 好ましくは、この強化白色充填剤は、シリカ(SiO2)又はアルミナ(Al2O3)タイプの無機充填剤、又はこれら二つの充填剤の混合物である。」 「 【0026】 本発明のゴム組成物がタイヤ用のトレッドとして使用される場合は、使用される強化白色充填剤は、特にシリカの場合は、好ましくは、60~250m2/g、更に好ましくは80~200m2/gのBET表面積を有する。 又、強化白色充填剤は、カーボンブラックとのブレンド(混合物)で使用されても良い。適当なカーボンブラックは全てのカーボンブラックであり、特に、HAF、ISAF及びSAFタイプのカーボンブラックであり、これらはタイヤに、特にタイヤ用のトレッドに普通に使用される。その様なカーボンブラックの例としては、N115,N134、N234、N339、N347及びN375が挙げられるがこれらに限定されない。合計強化充填剤中のカーボンブラックの量は広範囲に変化させても良く、カーボンブラックのこの量は、好ましくはゴム組成物中に存在する強化白色充填剤の量よりも少ない。 【0027】 好ましくは、強化充填剤の合計量(強化白色充填剤+カーボンブラック(若しあれば))は、10~200phr、更に好ましくは20~150phrであり、その最適量は目的とされる用途によって異なる。事実、例えば、自転車のタイヤの期待される強化水準は、持続的な高速での走行ができるタイヤ、例えば、モーターサイクルタイヤ、乗用車タイヤ又は重量車両の様な実用車用タイヤに対する要求よりも低い。 高速度での走行を可能とするタイヤ用のトレッドに対しては、強化白色充填剤の量は、特に、シリカである場合は、好ましくは30~120phr、更に好ましくは40~100phrである。」 「 【0038】 II-4.カップリング活性体(成分D) カップリングにとって必須の第二成分は、活性化に適当な、即ち、前述のカップリング剤のカップリング機能を増加させるのに適当なカップリング活性体である。極めて少量(1phr未満)で使用されるこのカップリング活性体は、熱誘発性タイプのラジカル開始剤(又はラジカルスターターとも呼ばれる)である。 周知の通り、ラジカル開始剤は、エネルギーの活性に続いて、その媒体中においてその場に遊離基を発生させる事の出来る有機化合物である。本発明の組成物のラジカル開始剤は、熱誘発性タイプの開始剤、即ち、遊離基を創り出す為のエネルギーの供給が加熱形態でなければならない開始剤である。これらの遊離基の発生は、ゴム組成物の製造(熱機械的な混練)中にカップリング剤とジエンエラストマーとの間の相互反応を促進するものと考える。 好ましくは、ラジカル開始剤は180℃未満、更に好ましくは160℃未満の分解温度を有する。その範囲の温度は、本発明のゴム組成物の製造中に、カップリングの活性効果から完全に利益を得る事を可能にする。 従って、成分Dは、好ましくは、過酸化物、ヒドロペルオキシド、アジド化合物、ビス(アゾ)化合物、過酸、過酸エステル及びこれらの化合物の混合物から選ばれる。 【0039】 更に好ましくは、成分Dは、過酸化物、ビス(アゾ)化合物、過酸エステル及びこれら化合物の二種以上の混合物から成る群から選ばれる。特定の例としては、ベンゾイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、クミルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチル)-3-ヘキシンペルオキシド、1,3-ビス(t-ブチル-イソプロピル)ベンゼンペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンペルオキシド、1,1′-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBNと略称される)、1.1′-アゾビス(s-ペンチルニトリル)又は1,1′-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)が挙げられる。 【0040】 本発明の特に好ましい実施態様によれば、使用されるラジカル開始剤は,1,1-ビス(t-ブチル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンペルオキシドであり、これは以下の式(III-1)(Meはメチル基である)に相当する: 【化11】 [図:0001427286000008.jpg] その様な化合物は、特にジエンゴムの架橋剤として公知であり(例えば、Kempermann, Rubber Chem. Tech. (1987), 61, p.422参照)、例えば、Trigonox29-40(固体炭酸カルシウム上に担持された40質量%の過酸化物)の名称でFlexsys社から市販されている。 本発明のその他の有利な実施態様によれば、使用されるラジカル開始剤は、1,1′-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBNと略称される)であり、以下の式(III-2)に相当する: 【化12】 [図:0001427286000009.jpg] 」 「 【0044】 II-6.ゴム組成物の調製 組成物は、適当な混合機中で、当業者に公知の二段階調製工程を使用して製造される。即ち、110℃~190℃、好ましくは130℃~180℃の最大温度(Tmax)までの高温での熱機械的作業又は混練(時に、非生産性フェーズと言われる)の第一フェーズ、それに続く、低温、一般的には、110℃未満、例えば、60℃~100℃での機械的作業(時に、生産性フェーズと言われる)の第二フェーズであって、仕上げフェーズ中に、架橋又は加硫系が導入される。その様なフェーズは、例えば、前述のEPA0501227に開示されている。 本発明の製造方法は、本発明の組成物の少なくとも全ての基本構成成分、即ち、成分B、成分C及び成分D(0.05~1phrの量の)が、第一の、所謂「非生産性」フェーズ中に成分A中に混練によって導入される事、即ち、少なくともそれらの異なる基本構成成分が混合機に導入されて、熱機械的に、一段階以上で、最大温度が110℃~190℃、好ましくは130℃~180℃に到達するまで混練される事を特徴とする。 【0045】 好ましくは、熱機械的混練中に到達される最大温度Tmaxよりも低い分解温度を有するラジカル開始剤が選択される。 例えば、第一(非生産性)フェーズは、単独の熱機械的段階で行われ、その段階中に必要な全ての成分が、成分CとDとを一緒にする事によって形成されるカップリング系、追加の被覆剤又は加工剤及びその他の様々な添加剤も含めて、加硫系は除外して、適当な混合機、例えば、通常の密閉式混合機に導入される。この混合機において、混合物が取出された後、そして、組成物に補完的な熱処理を施す事を目的として、特に、強化充填剤とそのカップリング系のエラストマーマトリックス中での更なる分散を改善する為に中間体を冷却した後(冷却温度は好ましくは100℃未満)に、第二段階の熱機械的作業が付加されても良い。混練の全期間は、この非生産性フェーズでは、好ましくは2~10分間である。 【0046】 この様にして得られた混合物を冷却した後、次いで、加硫系が低温で、一般的にはオープンミルの様な開放式混合機に導入される。全体の組成物は、次いで、数分間、例えば、5~15分間混合される(生産性フェーズ)。 この様にして得られた最終組成物は、次いで、例えば、シート、プレート又は、トレッドの様な半製品の製造に使用出来るゴム形態部材の形態でカレンダーに掛けられる。 加硫(又はキュアリング)は、公知の方法で、一般的に130℃~200℃の温度で、例えば、特に、キュアリング時間、採用される加硫系及び当該組成物の加硫動力学によって5~90分の間で変動しても良い十分な時間で行われる。 本発明は、未加硫状態(即ち、キュアリング前)と加硫状態(即ち、架橋又は加硫後)の両方における前述のゴム組成物に係わるものである事は言うまでもない。」 「 【0047】 勿論、本発明の組成物は単独でも、或いはタイヤを製造するのに使用出来るその他のゴム組成物とのブレンド(即ち、混合物)として使用されても良い。 III.本発明の実施態様の実施例 III-1.ゴム組成物の調製 以下のテストの為の手順は次の通りである:ジエンエラストマー又はジエンエラストマーの混合物、強化充填剤、カップリング系(成分C)及びその活性体(成分D)、次に、加硫系を除くその他の様々な添加剤が、密閉式混合機に導入され容量の70%まで充填された。初期タンク温度は凡そ60℃であった。次いで、熱機械的作業(非生産性フェーズ)が、事例(全混練期間が2~10分)によって一以上の段階で、約165℃の最大「降下」温度が得られるまで行われた。 【0048】 この様にして得られた混合物を回収して、冷却し、次いで、硫黄とスルフェンアミドを開放式混合機(ホモフィニッシャー)に30℃で添加して、適当な時間、事例によって5~12分間、全てのものを混合した(生産性フェーズ)。 この様にして得られた組成物を、次いで、その物理的又は機械的性質を測定する為にゴムのシート(2~3mmの厚さ)又は薄いフィルムの形態で、或いは、所望の寸法に、例えば、タイヤ用の半製品、特にトレッドの様な寸法に切断及び/又は組立てた後に直接使用出来る形状化された部材の形態でカレンダー加工された。」 「 【0049】 以下のテストにおいて、強化白色充填剤(シリカ及び/又はアルミナ)は全体の強化充填剤を構成するが、この充填剤の一部はカーボンブラックで置換えることが出来る。 III-2.テスト A)テスト1 この最初のテストの目的は、熱誘発性ラジカル開始剤と一緒にされた時に活性化される二重結合を有するアルコキシシランの改善されたカップリング機能を証明する点にある。この機能は、一つは通常のTESPTカップリング剤と、今一つは活性化される二重結合をそれ自身有するアルコキシシランであってそれ自身で使用される、即ち、ラジカル開始剤無しで使用されるアルコキシシランとで比較される。 【0050】 天然ゴムをベースとした、シリカで強化された五つのゴム組成物が比較された。これらの組成物は重量車両タイヤ用のトレッドを目的とするものである。 これら五つの組成物は、次の相違点を除いて同一のものである。 組成物1:それ自身で使用されるカップリング剤TESPT。 組成物2:TESPT(4phr)が0.16phrの過酸化物と一緒に使用された。 組成物3:それ自身で使用されるカップリング剤TMSPM(3.7phr)。 組成物4:TMSPM(3.7phr)が0.16phrの過酸化物と一緒にされた。 組成物5:過酸化物(0.16phr)が加硫系と一緒に導入された。 組成物1と3は、従来の参照組成物であり、組成物4だけが本発明のものである。テストされた二つのカップリング剤(TESPTとTMSPM)は、トリエトキシシラン官能の等モル量で、即ち、テストされる組成物の如何に拘わらず、シリカと活性であり且つそのヒドロキシル表面基が使用されるトリエトキシシラン官能の同じモル数が使用された。白色充填剤の質量当り、TESPTの量は8%、TMSPMの量は8%(正確には7.4%)未満である。本発明の組成物で使用されるラジカル開始剤の量は極めて少ない(0.16phr、即ち成分Cの質量当り4.3%)。 【0051】 表1及び2は、異なる組成物の配合(表1-phrで表される異なる生成物の量)と、キュアリング(150℃で25分)前及び後のその性質を示す。図1は、伸び(%)の関数としての弾性率(MPa)の曲線を示す。これらの曲線はC1からC5と標識化され、それぞれ、組成物1~5に相当する。加硫系は硫黄及びスリフェンアミドによって形成され、それに対して、組成物5の場合、0.16phrの過酸化物が添加された。 ここで使用された過酸化物は、1,1-ビス(t-ブチル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンペルオキシド(上記の式(III-1))であり、固体炭酸カルシウム支持体に40質量%の量の過酸化物を「担持した」形態で、Trigonox 29/40として市販されている。以下の種々の表に示される量は、炭酸カルシウムの量に対して(即ち、一緒ではない)補正された実際の過酸化物の割合である。」 「 【0055】 組成物4の改善された結果は、本発明の組成物をベースとしたタイヤ用のトレッドの低いローリング抵抗と極めて良好な摩耗抵抗の両方を期待させるものである。 このテストは、カップリング剤を活性化する事が出来る様にする為には、過酸化物(更に、多目の量、一般的には5~7phrでは架橋剤として知られる)は、密閉式混合機中に、即ち、非生産性フェーズ中に、カップリング剤と同時に導入されなければならず、通常架橋剤に対して行われる様に開放型混合機(生産性フェーズ)に導入されてはならない事を示す。 過酸化物が生産性フェーズ中に、開放式混合機に導入される時は、指示される(1phr未満、好ましくは0.5phr未満)少ない量では、ジエンエラストマーに対して架橋効果を持たない事が明確に理解出来る。 B)テスト2 このテストの目的は、本発明の技術的効果が、活性化されるタイプのエチレン二重結合を持つカップリング剤においてのみ得られる事を示す事である。 この為に、天然ゴムをベースとし、シリカで強化された四つのゴム組成物が、先のテスト同様に比較された。これらの組成物は特に重量車両のタイヤの為のトレッドを目的とする。 【0056】 テストされた四つの組成物は、次の相違点を除いて同一のものである。 組成物6:それ自身で使用される1-オクテン-トリエトキシシランカップリング剤(4phr)。 組成物7:1-オクテン-トリエトキシシラン(4phr)が、0.16phrの式III-1の過酸化物と一緒にされた。 組成物8:N-(プロピルトリエトキシシラン)イソマレイミド(4phr)が、0.16phrの式III-1の過酸化物と一緒に使用された。 組成物9:N-(プロピルトリエトキシシラン)マレアミド酸(4phr)が、0.16phrの式III-1の過酸化物と一緒にされた。 前述の通りに、トリエトキシシラン官能の等モル量で、種々のカップリング剤が使用された。白色充填剤の質量当りのカップリング剤の量は、全ての事例で、10%未満(正確には、9.6%)である。本発明の組成物における過酸化物(成分D)の量は非常に少なく、0.16phr、即ち、成分Cの質量当り3.3%である。 【0057】 組成物6と7に対して使用されたカップリング剤は、公知のアルコキシシランであり、その官能基「X」は非活性化タイプのエチレン二重結合である。この化合物は次の式に相当する(OEt=エトキシ): CH2=CH-(CH2)6-Si(OEt)3 テストされたその他の二つのアルコキシシランは既に開示されている(上記式II-2及びII-3参照)。それらは共に少なくとも一つの隣接カルボニル基によって活性化されるエチレン二重結合を含む。これらのアルコキシシランは、以下に開示される操作方法によって公知の方法で合成された。 1)N-(プロピルトリエトキシシラン)マレアミド酸(式II-2):凝縮器で周りを囲まれた500mlの三つ口フラスコ中で、17.7g(0.18モル)の無水マレイン酸を60mlの無水THF(テトラヒドロフラン)に溶解し、周囲温度(20℃)で、ゆっくりと(期間:凡そ1時間30分)、155mlの無水THFで希釈された41g(0.1モル)の3-アミノプロピルトリエトキシシランの溶液を添加した。初めに無色であった溶液が次いで黄色になった。周囲温度で二時間攪拌を続け、その最後で出発生成物が全体に使用尽くされた。反応媒体を回転蒸発器で濃縮し、57gの黄色固体を得た。NMR分析は、これが式(II-2)の上記N-(プロピルトリエトキシシラン)マレアミド酸(純度95%以上)である事を示した。 【0058】 2)N-(3-プロピルトリエトキシシラン)イソマレイミドは、無水マレイン酸と3-アミノプロピルトリエトキシシランから、その場で発生されるTFH中のN-(3-プロピルトリエトキシシラン)マレアミド酸へのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の作用によって得られる:1リットルの三つ口フラスコ中で、115mlの無水THFに溶解された41.8g(0.2モル)のDCCを、235mlの無水THF中のその場で発生される0.2モルのN-(3-プロピルトリエトキシシラン)マレアミド酸に滴加した。ジシクロヘキシル尿素(DHU)の白色沈殿が現れた。一晩中周囲温度での攪拌を続けた。DHUを濾過し、THFを蒸発させ、次いで、反応媒体を最後に濾過してDCCの残さを分離した。55gの褐色オレンジ状の液体が得られた。NMR分析は、これが式(II-3)の上記N-(プロピルトリエトキシシラン)イソマレイミド(純度95%以上)である事を示した。 【0059】 組成物8と9だけが、従って、本発明の組成物である。 表3及び4は、異なる組成物の配合、及び加硫(150℃で25分)前と後のそれらの性質を示す。図2は伸び(%)の関数としての弾性率(MPa)の曲線を示す。これらの曲線はC6からC9と標識化され、それぞれ、組成物6~9に相当する。 表4のそれぞれの結果は、本発明の組成物8と9が、対照組成物と比較して、加硫後に著しく良好な性能を有する事を示す。即ち、 1)最大変形(M100、M300)における弾性率と、強化白色充填剤による良好な強化を示す高いM300/M100比。 2)より有利なヒステリシス性:実質的に低いHL、非線形ΔG*及びtan(δ)max。 3)より大きな破断応力。」 「 【0061】 C)テスト3 このテストの目的は、天然ゴム以外のジエンエラストマー、この場合は、SBIRコポリマー又はSBRコポリマーをベースとした組成物についての本発明の有利な効果を証明する事にある。 以下の相違点を除いて同一のものである四つのゴム組成物が比較された。 組成物10:SBIRとそれ自身で使用されるTESPT(6.4phr)。 組成物11:SBIRと、0.20phrのラジカル開始剤(過酸化物)で活性化されるTMSPM(6phr)。 組成物12:SBRと、それ自身で使用されるカップリング剤TESPM(6.4phr)。 組成物13:SBRと、0.20phrのラジカル開始剤(過酸化物)で活性化されるTMSPM(6phr)。 組成物11と13は本発明の組成物であり、通常のカップリング剤(TESPT)を使用する組成物10と12は対照の組成物である。テストされた二つのカップリング剤は等モル量で、即ち、強化白色充填剤の質量当り約7~8質量%の量で使用された。本発明の組成物で使用されたラジカル開始剤の量は極めて少量(0.20phr)で、成分Cの3.3質量%である。 【0062】 表5と6は、別々の組成物の配合と、加硫(150℃で25分)の前後におけるそれらの性質を示す。種々の結果の検討結果は、本発明の組成物11と13は、対照組成物と比較して、全体的に改善された性質を有し、これは当該エラストマーには拘わりがない事を示す: 1)全ての事例における十分に低い(55MU未満)ムーニー可塑性。 2)高いスコーチ抵抗(30分のT5)。 3)高い変形(M300)とM300/M100比における高い弾性率、これは良好な強化、従って、ジエンエラストマーと強化白色充填剤との間の改善されたカップリングの水準を意味する。 4)低いヒステリシス損失(HL)。 要するに、通常のカップリング剤(TESPT)は、提唱される極少量の過酸化物タイプの熱誘発性ラジカル開始剤と組合わされる、活性化されるエチレン二重結合を有するアルコキシシランによって提供されるカップリング性能よりも劣るカップリング性能を与える。 D)テスト4 このテストは、再度、天然ゴムをベースとし、更に、強化白色充填剤用の被覆剤を含む本発明の組成物における本発明の有益な効果を示すものである。 次の相違点を除いて上記テスト1のそれと同じ二つのゴム組成物が比較された。 組成物14:それ自身で使用されるカップリング剤TESPT(4phr)、 組成物15:0.16phrのラジカル開始剤で活性化されたTMSPM(3phr)、被覆剤の添加(2phr)。 組成物14はこのテストの為の対照であり、シリカの質量当り8質量%のTESPTを含む。組成物15は本発明の組成物で、シリカの質量当り、8%未満のカップリング剤TMSPM(正確には6%)と、カップリング活性体、即ち、極少量の過酸化物(0.16phr、TMSPMの質量当り5.3%)を含む。 【0063】 被覆剤は、未加硫状態での加工性(粘度の低下)とエラストマーマトリックス中での白色充填剤の分散性の更なる改善の為に、TMSPMと過酸化物と同時に組成物に導入された(非生産性工程)。 表7と8は、別々の組成物の配合と、加硫(150℃で25分)の前後におけるそれらの性質を示す。組成物15は、対照組成物と比較して、実質的に大きい加硫後の強化性質(M300とM300/M100比)を有し、同様に改善されたヒステリシス(低いHL、ΔG*及びtan(δ)max)を有する事が注目される。これら全ては、通常のアルコキシシランTESPTに関して、過酸化物の存在における活性化二重結合を有するアルコキシシランのカップリングの良好な有効性によるものである。 E)テスト5 このテストは、強化白色充填剤として、シリカとアルミナ(上記で参照されたEPA0810258に記述されている様なアルミナ)のブレンド(50/50容量)を含む組成物の場合における先のテスト結果の確認である。 この為に、次の相違点を除いて同一の、天然ゴムをベースとした、重量車両タイヤ用のトレッドを目的とした三つの組成物が比較された。 組成物16:カップリング剤TESPT(4phr)。 組成物17:カップリング剤TMSPM(3.7phr)。 組成物18:0.16phrの過酸化物と一緒のTMSPM(3.7phr)。 組成物16と17は従来の組成物であり、組成物18だけが本発明の組成物である。テストされた二つのカップリング剤は、トリエトキシシラン官能の等モル量で使用された(全白色充填剤の反応性官能と同じモル数)。白色充填剤(65phr)当り、TESPTの量は凡そ6%(正確には6.2%)に等しく、TMSPMの量は6%(正確には5.7%)未満である。 【0064】 表9と10は、別々の組成物の配合と、加硫(150℃で20分)の前後におけるそれらの性質を示す。 表10の結果の検証で、本発明の組成物の利点、特に、 1)対照組成物16よりも大きい十分なスコーチ抵抗(20分より大きいT5)、 2)全ての事例において十分に低い(50MU未満)ムーニー可塑性、 3)大きな弾性率M300の値(組成物17に関して)とM300/M100の比、 4)tan(δ)maxの著しく低い値、非線形ΔG*及びHL損失における実質的な減少によって示される改善されたヒステリシス性、 が確認された。」 「 【0067】 【表1】 [図:0001427286000010.jpg] 天然ゴム、 (2)マイクロビーズ(BET及びCTABが、凡そ150~160m2/g)の形態でRhodia社から市販されている"HD"-Zeosil1165MPタイプのシリカ、 (3)Degussa社のTESPT-Si69、 (4)Huls社のTMSPM-Dynasylan Memo、 (5)式(III-1)の過酸化物-Flexsys社のTrigonox 29/40、 (6)N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニル-p-フェニレンジアミン、 (7)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド。」 「 【0069】 【表3】 [図:0001427286000011.jpg] [図:0001427286000012.jpg] (1)天然ゴム、 (2)マイクロビーズ(BET及びCTABが、凡そ150~160m2/g)の形態でRhodia社から市販されている"HD"-Zeosil1165MPタイプのシリカ、 (5)式(III-1)の過酸化物-Flexsys社のTrigonox 29/40、 (6)N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニル-p-フェニレンジアミン、 (7)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド。 (8)1-オクテントリエトキシシラン、 (9)N-(プロピルトリエトキシシラン)イソマレイミド-式II-3、 (10)N-(プロピルトリエトキシシラン)マレアミド酸-式II-2。」 「 【0071】 【表5】 [図:0001427286000013.jpg] [図:0001427286000014.jpg] (2)~(7)は表1に同じ、 (11)20%のブタジエン単位(45%の1-2、45%のトランス);44%のイソプレン単位(37%の3,4、24%のトランス);及び36%のスチレン単位;Tg=-23℃のSBIR、 (12)73.5%のブタジエン単位(59.5%の1-2、23%のトランス);26.5%のスチレン単位;Tg=-29℃のSBR溶液;37.5phrの芳香族油で油展されたSBR100phr(即ち、合計137.5phr)。」 「 【0073】 【表7】 [図:0001427286000015.jpg] [図:0001427286000016.jpg] ~(7)は表1と同じ、 (13)α,ω-ジヒドロキシ-ポリジメチルシロキサン(ABCR社のPS340)。」 「 【0075】 【表9】 [図:0001427286000017.jpg] [図:0001427286000018.jpg] (1)~(7)は表1に同じ、 (14)Baikowski社のアルミナCR125(粉末形態で、BETが凡そ105m2/g)。」 B 引用文献2に記載された発明 上記Aの記載、特に「III.本発明の実施態様の実施例」の項における「III-1.ゴム組成物の調製」の項の記載、「III-2.テスト」の項のテスト1の組成物4に関する記載及び表1の記載を中心に整理すると、引用文献2には次の発明が記載されていると認める。 「天然ゴム 100部、Rhodia社から市販されている"HD"-Zeosil1165MPタイプのシリカ 50部、Huls社のTMSPM-Dynasylan Memo 3.7部、Flexsys社のTrigonox 29/40を過酸化物として0.16部、ZnO 3部、ステアリン酸2.5部、N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニル-p-フェニレンジアミンを耐酸化剤として1.9部を密閉式混合器に充填し、約165℃まで加熱し、得られた混合物を回収して、冷却する、方法。」(以下、「引例2発明」という。) (イ) 対比・判断 本件補正発明と引例2発明とを対比する。 引例2発明の「天然ゴム」は、本件補正発明の「ゴム」に相当し、引例2発明の「Rhodia社から市販されている"HD"-Zeosil1165MPタイプのシリカ」は、本件補正発明の「無機充填剤」に相当する。 また、引例2発明の「Flexsys社のTrigonox 29/40」は「1,1-ビス(t-ブチル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンペルオキシド」である(【0051】)から、本件補正発明の「ペルオキシケタール」(有機過酸化物)に相当するものであって、その割合は過酸化物として天然ゴム100部に対して0.16部(【0050】)であるから、本件補正発明の「(iii)0.1~2phr(ゴム100重量部当たりの重量部)の少なくとも1つの有機過酸化物と、ここで、前記少なくとも1つの有機過酸化物はペルオキシケタールを含み、」との特定事項を満たす。 さらに、引例2発明の「N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニル-p-フェニレンジアミン」は「パラフェニリデンジアミン」の一つであるから、引例2発明は、本件補正発明の「(iv)フェノール類、パラフェニリデンジアミン、および窒素酸化物から選択される少なくとも1つの酸化防止剤と」との特定事項を満たす。 そして、引例2発明の天然ゴムを主材とする混合物は、シリカなどを「強化充填剤」として含む(【0023】)ものであるから、本件補正発明の「補強ゴム組成物」に相当するものであって、その製法からみて「未硬化」であることは明らかである(引例2発明で得られる混合物は、後の「生産性フェーズ」を経て成型される(【0048】)ものである。)。 したがって、両者の間の一致点・一応の相違点は次のとおりである。 (一致点) 「 補強ゴム組成物の調製方法であって、 (A)少なくとも120℃の温度で、少なくとも以下の化合物、 (i)ゴムと、 (ii)少なくとも1つの無機充填剤と、 (iii)0.1~2phr(ゴム100重量部当たりの重量部)の少なくとも1つの有機過酸化物と、ここで、前記少なくとも1つの有機過酸化物はペルオキシケタールを含み、 (iv)フェノール類、パラフェニリデンジアミン、および窒素酸化物から選択される少なくとも1つの酸化防止剤と を混合して、未硬化の補強ゴム組成物を調製するステップと、 (B)ステップ(A)で調製された未硬化の補強ゴム組成物を冷却するステップと、を含む、方法。」 (相違点) 少なくとも1つの無機充填剤に関し、本件補正発明は「ここで、前記少なくとも1つの無機充填剤がカーボンブラックを含み、」と特定するのに対し、引例2発明にはそのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 引用文献2には、「強化充填剤として使用される白色充填剤は、合計強化充填剤の全部又は一部分だけを構成しても良く、後者の場合は、例えば、カーボンブラックと一緒に使用される。」(【0022】)、「又、強化白色充填剤は、カーボンブラックとのブレンド(混合物)で使用されても良い。適当なカーボンブラックは全てのカーボンブラックであり、特に、HAF、ISAF及びSAFタイプのカーボンブラックであり、これらはタイヤに、特にタイヤ用のトレッドに普通に使用される。その様なカーボンブラックの例としては、N115,N134、N234、N339、N347及びN375が挙げられるがこれらに限定されない。合計強化充填剤中のカーボンブラックの量は広範囲に変化させても良く、カーボンブラックのこの量は、好ましくはゴム組成物中に存在する強化白色充填剤の量よりも少ない。」(【0026】)と、強化充填剤として白色充填剤とともに「カーボンブラック」を用いることができる旨記載されるとともに、「III.本発明の実施態様の実施例」の「III-1.ゴム組成物の調製」の項において、「以下のテストにおいて、強化白色充填剤(シリカ及び/又はアルミナ)は全体の強化充填剤を構成するが、この充填剤の一部はカーボンブラックで置換えることが出来る。」(【0049】)と、実施例(テストにおける各例)において、充填剤の一部としてカーボンブラックを用いうることが明記されている。 つまり、引例2発明においても、「カーボンブラック」を用いた例が想定されているものといえるから、上記相違点は実質的な相違点ではないか、そうでなくとも、当業者が容易に想到し得たものであるといえる。 (他の組成物に着目して引用発明を認定した場合) 表3の組成物8及び9、表5の11及び13、表7の組成物15、表9の組成物18について、それぞれ引用発明を認定した場合にも、引例2発明と同様のことがいえる。 (審判請求人の主張について) なお、審判請求人は審判請求書において、次のとおり主張する。 ・主張1 「実施例では、耐酸化剤である(6)N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニル-p-フェニレンジアミンが1.9phrの量で含まれていることが記載されているものの、当該耐酸化剤がどの段階でゴム組成物に添加されたのかは必ずしも明らかではなりません。 例えば、上記引用した引用文献2の段落[0047]には、第1フェーズ(非生産性フェーズ)で処理される成分について、『ジエンエラストマー又はジエンエラストマーの混合物、強化充填剤、カップリング系(成分C)及びその活性体(成分D)、次に、加硫系を除くその他の様々な添加剤が、密閉式混合機に導入され容量の70%まで充填された』と記載されています。しかしながら、実施例における表に記載のどの化合物が「加硫系を除くその他の様々な添加剤」であるのかについては、引用文献2の表の記載を含めて記載がありません。「すべての添加剤」と記載した方が明瞭であるにもかかわらず、あえて「様々な添加剤」と記載されており、さらに上記引用した引用文献2の段落[0048]には第2フェーズ(生産性フェーズ)で処理される成分について、『適当な時間、事例によって5~12分間、全てのものを混合した(生産性フェーズ)』と記載されています。このような記載から、第2フェーズ(生産性フェーズ)の時点で添加剤が添加される可能性を示唆していると考えられます。」(審判請求書第8頁ないし第9頁) ・主張2 「引用文献2に記載の成分B(強化白色充填剤)について、上記のとおり強化白色充填剤は、カーボンブラックに代えて使用されるものであり、カーボンブラックとは対照的な用語として定義されています。このような引用文献2において、カーボンブラックを使用することは困難であると思料いたします。 加えて、引用文献2は、カーボンブラックが本来2つの能力(第一に、充填剤がエラストマーとの混合中にそのマトリックス中に混入され、且つ凝集しないこと、第二にエラストマー中に均質に分散すること)を有するところ、当該カーボンブラックに代えて、そのような能力を有さずエラストマー-マトリックス内で共に凝集する困った傾向を有する白色充填剤を用いるための発明です(引用文献2の段落[0002]~[0003])。また、上記のとおり、引用文献2の実施例では、強化白色充填剤としてシリカ、アルミナのみが使用されており、カーボンブラックが使用された実施例は記載がありません。そうすると、強化白色充填剤を使用するために調整された引用文献2の発明において、強化白色充填剤とは凝集性および分散性が異なるカーボンブラックを用いた場合、当業者は、引用文献2の発明の効果が得られなくなることも想定しうると考えます。 引用文献2には、カーボンブラックを使用できるという一行記載はあるものの、カーボンブラックを使用した実施例はなく、引用文献2の記載を総合考慮すると、カーボンブラックを使用することを想到することは困難であると思料いたします。」(審判請求書第9頁ないし第10頁) そこで、上記主張について検討する。 ・主張1について 引用文献2の【0047】、【0048】には、「III-1.ゴム組成物の調製」として調製手順が記載されており、「ジエンエラストマー又はジエンエラストマーの混合物、強化充填剤、カップリング系(成分C)及びその活性体(成分D)、次に、加硫系を除くその他の様々な添加剤が、密閉式混合機に導入され容量の70%まで充填され」、「熱機械的作業」がなされる「非生産性フェーズ」により得られた混合物に対して、「次いで、硫黄とスルフェンアミドを開放式混合機(ホモフィニッシャー)に30℃で添加して、適当な時間、事例によって5~12分間、全てのものを混合」する「生産性フェーズ」を経ることが記載されている。 してみれば、「耐酸化剤(6)」は「非生産性フェーズ」に係る工程において添加されるものと認識できる。そして、明示的な記載ではないものの、表1において「耐酸化剤(6)」と「硫黄」の間に区分線が設けられていることとも合致するものといえる。 してみると、「耐酸化剤(6)」の添加タイミングが不明であるとする審判請求人の上記主張は採用できない。 ・主張2について 審判請求人が主張するとおり、引用文献2の【0023】には、「本発明において、「強化充填剤」とは、「白色」充填剤(即ち、無機又は鉱物充填剤)であって、その色は(カーボンブラックとは対照的に)如何なるものでもよく、「透明」充填剤とも呼ばれ、それ自身で、中間体カップリング系以外の手段なしに、タイヤの製造を目的としたゴム組成物を強化する事の出来る、言い換えれば、その強化機能において通常の充填剤のタイヤグレードのカーボンブラックを置換える事の出来る充填剤を意味するものと理解される。」と記載されているものの、当該記載は、「強化充填剤」とは「タイヤの製造を目的としたゴム組成物を強化する事の出来る、言い換えれば、その強化機能において通常の充填剤のタイヤグレードのカーボンブラックを置換える事の出来る充填剤」である、即ち、「強化充填剤」とは「タイヤグレードのカーボンブラック」と同程度或いはそれ以上の強化機能を発現できるものであると説明しているにすぎず、「カーボンブラック」を用いないことを意味するものではない。 このことは、引用文献2の【0022】や【0026】において、「カーボンブラック」を一緒に用いる(混合物として使用する)旨の記載や、「III.本発明の実施態様の実施例」の【0049】の「以下のテストにおいて、強化白色充填剤(シリカ及び/又はアルミナ)は全体の強化充填剤を構成するが、この充填剤の一部はカーボンブラックで置換えることが出来る。」との記載とも合致するものである。 してみると、引用文献2の【0023】の記載を根拠として、カーボンブラックを使用することを想到することは困難である旨主張する審判請求人の主張2は採用することができない。 (まとめ) したがって、本件補正発明は、引例2発明であるか、あるいは、引例2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 独立特許要件についてのまとめ 上記イで検討したとおり、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、あるいは、引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 3 本件補正の適否についてのまとめ 上記2のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反する補正事項を含むものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本件発明について 1 本件発明 本件補正は、前記のとおり却下されたので、請求項1~11に係る発明は、令和 5年 3月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記第2 1(1)のとおりのものであると認める。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和 4年12月8日付け拒絶理由通知書に記載した理由2及び3であり、次の理由を含むものである。 理由2.(新規性)本件発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3.(進歩性)本件発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・引用文献2:特表2003-519270号公報 3 判断 本件発明は、本件補正発明において、少なくとも1つの無機充填剤に関し、「ここで、前記少なくとも1つの無機充填剤がカーボンブラックを含み、」との特定事項を有さないものであるところ、上記第2 2(2)で検討したとおり、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明であるか、あるいは、引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 してみると、本件補正発明において特定されている「ここで、前記少なくとも1つの無機充填剤がカーボンブラックを含み、」との特定事項を有さないものである本件発明もまた、引用文献2に記載された発明であるか、あるいは、引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 本件発明についてのまとめ 以上のとおり、本件発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、あるいは、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-017999

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