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特許拒絶査定不服審判

2021-004267

ポリオレフィン系樹脂組成物およびフィルムそれぞれの製造法

審判番号
2021-004267
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-075668外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月02日
審決日
2023年04月06日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2017- 75668「ポリオレフィン系樹脂組成物およびフィルムそれぞれの製造法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月15日出願公開、特開2018- 24826〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年4月6日(優先権主張 平成28年8月1日)の出願であって、令和2年11月10日付けで拒絶理由が通知され、同年同月30日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年3月2日付けで拒絶査定がされ、同年4月2日に拒絶査定不服審判の請求がされ、令和4年9月12日付けで拒絶理由が通知され、同年12月9日に意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明は、令和2年11月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は以下のとおりのものであると認められる。 「メインホッパーとサイドフィード供給口を備えた押出し機において、メインホッパーからプロピレン系重合体(A)を100重量部供給し、サイドフィード供給口より以下の特徴を有する無定形シリカ(B)を1~19重量部供給する、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造法。 i)レーザー回折法により測定される平均粒子 1~10μm ii)BET比表面積 30~700m2/g iii)かさ密度 0.1~1g/ml iv)細孔容積 0.3~3ml/g v)吸油量 50~500ml/100g」 第3 当審の拒絶理由の概要 令和4年9月12日付け拒絶理由通知に記載した拒絶理由の概要は次のとおりであり、以下の「第4」で、その妥当性について当審の判断を示す。 「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由(進歩性)について ・請求項 1~3 ・引用文献 A,2 ・・・ ●理由(進歩性)について ・請求項 1~3 ・引用文献 2,3 ・・・ <引用文献一覧> 2.特開2006-96939号公報 3.特開2012-214709号公報(周知技術を示す文献としても使用) A.特開2003-170420号公報(新たに引用された文献) B.特開2004-122763号公報(新たに引用された文献)」 第4 当審の判断 1 引用文献Aに記載された発明に基づく進歩性について (1)引用文献Aの記載等 ア 引用文献Aの記載 引用文献Aには、次の事項が記載されている。 ・「【請求項1】混合割合が下記(1)である熱可塑性樹脂と混合割合が下記(2)である無機微粒子を、混合温度が下記(3)である温度で混合した後、溶融混練することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。 (1)80≦熱可塑性樹脂の配合割合(重量%)<99 (2)1<無機微粒子の配合割合(重量%)≦20 (但し、熱可塑性樹脂の配合割合と無機微粒子の配合割合の合計を100重量%とする。) (3)熱可塑性樹脂の融点(℃)-80<混合温度(℃)<熱可塑性樹脂の融点(℃)-20 【請求項2】溶融混練が二軸の溶融押出機を用いる溶融混練であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。 【請求項3】無機微粒子が二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。 【請求項4】熱可塑性樹脂がプロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。 【請求項5】プロピレンを主成分とする単量体を重合して得られる重合体の融点が145℃以下であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物の製造方法。」 ・「【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無機微粒子の濃度が高く、無機微粒子の分散性に優れる樹脂組成物の製造方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意検討の結果、混合割合が特定の範囲である熱可塑性樹脂と混合割合が特定の範囲である無機微粒子を、混合温度が特定の範囲である温度で混合した後、溶融混練する樹脂組成物の製造方法が上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。」 ・「【0024】本発明で用いられる無機微粒子は、特に限定されるものではないが、平均粒子径が1~10μmであり、見掛け比重が0.1~1g/ccであるものが、フィルムの外観や耐ブロッキング性、耐傷つき性の面から好ましく用いられる。 【0025】本発明で用いられる無機微粒子として、具体的には、二酸化ケイ素、アルミノシリケート、タルク等のケイ酸マグネシウム、カオリン等のケイ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。この中でも、特に二酸化ケイ素については本発明の効果が大きいので好ましく用いられる。」 ・「【0027】微粒子である熱可塑性樹脂の混合量が80重量部未満の場合(即ち、無機微粒子の混合量が20重量部を超えた場合)、無機微粒子の分散性が不充分なことがある。また、微粒子である熱可塑性樹脂の混合量が99重量部以上の場合(即ち、無機微粒子の混合量が1重量部以下の場合)、フィルムなどの製品に用いる場合に大量に添加しなければ耐ブロッキング性が改良されず、製品としての価値が低いものとなることがある。」 ・「【0034】本発明により得られた樹脂組成物と、他の熱可塑性樹脂の混合物も押出成形、射出成形、発泡成形、中空成形など幅広い用途に好適に用いることができる。特に押出成形には好適に用いられ、無機微粒子の分散が良好なフィルムが得られる。」 ・「【0035】 【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0036】・・・(略)・・・ (5)フィルム外観:フィルム100cm2あたり、目視により確認できるフィッシュアイの個数を計測し、300個以上のものを「不良」、300個以下の物を「良好」とした。 ・・・(略)・・・ 【0040】(実施例4)熱可塑性樹脂として融点が139℃、MFRが8g/10分の粉末状(平均粒径=1mm)のプロピレン-エチレン共重合体(エチレン含有量=4重量%)を、無機微粒子として、サイリシア550(富士シリシア化学製、レーザー法による平均粒子径3.9μm、見かけ比重0.30g/cc)を用いた。熱可塑性樹脂90重量部を20Lヘンシェルミキサー(川田製作所製)内で80℃まで予熱し、無機微粒子10重量部と酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部、イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.10重量部を加え、535rpm、80℃で1分間混合した。この混合物をΦ30mm二軸混練機(日鋼製作所製)で230℃で混練した。上記で混練して得られた組成物1重量部に無機微粒子を含まないプロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体(MFR=7g/10分)99重量部を加え、250℃でTダイを用いて厚さ30μmのフィルムを製膜した。得られたフィルムの外観は良好であった。」 ・「【0044】 【表1】 [図:0001397409000001.jpg] 」 イ 引用文献Aに記載された発明 上記アの摘記から、引用文献Aには、次の発明が記載されていると認められる。 「熱可塑性樹脂として融点が139℃、MFRが8g/10分の粉末状(平均粒径=1mm)のプロピレン-エチレン共重合体(エチレン含有量=4重量%)を、無機微粒子として、サイリシア550(富士シリシア化学製、レーザー法による平均粒子径3.9μm、見かけ比重0.30g/cc)を用い、熱可塑性樹脂90重量部を20Lヘンシェルミキサー(川田製作所製)内で80℃まで予熱し、無機微粒子10重量部と酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.05重量部、イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製)0.10重量部を加え、535rpm、80℃で1分間混合し、この混合物をΦ30mm二軸混練機(日鋼製作所製)で230℃で混練する、組成物の製造法。」(以下、「引用発明A1」という。) (2)対比・判断 本願発明1と引用発明A1とを対比する。 引用発明A1の「プロピレン-エチレン共重合体(エチレン含有量=4重量%)」は、本願発明1における「プロピレン系重合体(A)」に相当する。 引用発明A1の「サイリシア550(富士シリシア化学製、レーザー法による平均粒子径3.9μm、見かけ比重0.30g/cc)」は、富士シリシア化学株式会社のSYLISIA(登録商標)のホームページ(https://www.fuji-silysia.co.jp/products/p390/)によると、比表面積が500(m2/g)、吸油量が160(mL/100g)、かさ密度が30(mL/5g)、すなわち約0.167(g/mL)であり、参考文献B(特開2004-122763)の【0029】によると、細孔容積が0.80ml/gであり、富士ゲル販売株式会社のサイリシアのホームページ(http://fujigh.co.jp/sylysia.htm)には、「合成シリカ・サイリシアはケイ酸をゲル化させた三次元構造のコロイド状シリカ」であることが記載されていることから、本願発明1における「i)レーザー回折法により測定される平均粒子1~10μm、ii)BET比表面積30~700m2/g、iii)かさ密度0.1~1g/ml、iv)細孔容積0.3~3ml/g、v)吸油量50~500ml/100gの特徴を有する無定形シリカ(B)」に相当する。 引用発明A1の「組成物」は、本願発明1における「ポリオレフィン系樹脂組成物(X)」に相当する。 引用発明A1においては、熱可塑性樹脂90重量部に対して無機微粒子10重量部を混合していることから、本願発明1における「プロピレン系重合体(A)を100重量部供給し、無定形シリカ(B)を1~19重量部供給する」に相当する。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「押出し機において、プロピレン系重合体(A)を100重量部供給し、以下の特徴を有する無定形シリカ(B)を1~19重量部供給する、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造法。 i)レーザー回折法により測定される平均粒子 1~10μm ii)BET比表面積 30~700m2/g iii)かさ密度 0.1~1g/ml iv)細孔容積 0.3~3ml/g v)吸油量 50~500ml/100g」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1> 本願発明1は、「メインホッパーとサイドフィード供給口を備えた押出し機において、メインホッパーからプロピレン系重合体(A)を供給し、サイドフィード供給口より無定形シリカ(B)を供給する」と特定されているのに対し、引用発明A1は、そのような特定がない点。 そこで、相違点1について検討する。 引用文献2には、「上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機を用いて、メインホッパーからペレットであるオレフィン重合体(B)を供給し、該オレフィン重合体(B)100重量部に対して、サイドフィード供給口から無機微粒子アンチブロッキング剤(A)1~19重量部を供給し、溶融混練するアンチブロッキング剤マスターバッチの製造方法。」(請求項5)が記載されており、「本発明の目的は、端面色、外観(フィルムの白斑点)、透明性、耐ブロッキング性、ホットスリップ性および耐スクラッチ性に優れたフィルムを得ること」(【0007】)、無機微粒子アンチブロッキング剤(A)として、好ましくは二酸化ケイ素であること(【0017】)、オレフィン重合体(B)として、ポリプロピレン系樹脂が好ましいこと(【0025】)、上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機を用いた実施例1が、当該押出機を用いない比較例1及び2と比べて、端面色、外観、透明性、耐ブロッキング性、ホットスリップ性、耐スクラッチ性に優れること(【0061】~【0069】)、が記載されている。 そして、引用文献2は、プロピレン系重合体にアンチブロッキング剤としてシリカを混合する樹脂組成物の製造法である点で、引用文献Aと技術分野が一致するとともに、フィルムの外観、耐ブロッキング性、耐傷つき性を考慮するものである。 してみれば、引用発明A1において、同じ技術分野に属する上記引用文献2に係る「上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機を用いて、メインホッパーからペレットであるオレフィン重合体(B)としてのポリプロピレン系樹脂を供給し、サイドフィード供給口から無機微粒子アンチブロッキング剤(A)としての二酸化ケイ素を供給する」との技術事項を適用することは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、本願の発明の詳細な説明には、実施例1ないし5及び比較例1において、本願発明1に係る製造法によって得られる樹脂組成物をマスターバッチとして用いて得られた無延伸ポリプロピレンフィルムについて、ヘーズ、フィッシュアイ、表面粗さを測定し、評価結果を確認したことが記載されているにすぎず、本願発明1に係る製造法によって得られる樹脂組成物そのものの評価結果については何ら確認されていない。 また、比較例1は、プロピレン系重合体100重量部に対し、無定形シリカを0.9重量部ブレンドして得られたMB-3を、プロピレン-エチレンランダム共重合パウダー100重量部に対して、33重量部ブレンドしたブレンド物から得られた無延伸ポリピロピレンフィルムの評価結果が、実施例1ないし5に対して、分散性及び印刷特性について劣ることが確認されているにすぎない。 そうすると、本願発明1によって奏される「耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、耐傷つき性、印刷特性および透明性に優れたポリプロピレンフィルムの形成に用いるマスターバッチとして好適なポリオレフィン系樹脂組成物の製造法を提供する」との効果については、格別顕著であるとはいえない。 さらに、上記効果については、引用文献A及び引用文献2に記載されている事項から、当業者が予測し得る範囲のものであって、当業者が予測し得ないほどの効果を奏するものでもない。 (3)令和4年12月9日に提出された意見書(以下、「意見書」という。)の主張について 請求人は意見書において、 「また、請求人は、相違点1に係る本願発明1の構成によって得られる効果が顕著であることをより明らかにするため、追加実験を行いましたので、比較例2として以下に示します。 <比較例2> ・・・(略)・・・ 得られたフィルムの評価結果は、ヘーズ 4.2%、フィッシュアイ 320個/300cm2、分散性 ×、平均表面粗さ(Ra) 0.045μm、最大高さ(Rt) 4.21μm、表面突起数 10個、印刷特性 ×、傷つき特性 ○であった。 ここで、比較例2で使用したサイリシア530は、本願請求項1に規定される無定形シリカに該当しますが、比較例2は、メインホッパーからプロピレン系重合体を供給し、サイドフィード供給口より無定形シリカを供給するポリオレフィン系樹脂組成物の製造法が行われておりません。そして、比較例2では分散性、フィッシュアイ特性及び印刷特性の評価結果が本願の実施例と比較して劣っておりますので、本願発明1の効果が顕著な効果であることを裏付けるものと考えます。」と主張している。 しかしながら、比較例2は、樹脂組成物そのものの評価結果ではなく、樹脂組成物をマスターバッチとして用いて得られた無延伸ポリプロピレンフィルムについての評価結果であるから、当該評価結果が、本願発明1に係る製造法の効果が顕著であることを直ちに裏付けるものとはいえない。 なお、仮に、比較例2の分散性、フィッシュアイ特性及び印刷特性の評価結果を考慮したとしても、これら3つの評価結果が、引用文献A及び引用文献2に記載されている事項から、当業者が予測し得えないほどの顕著な効果であるとはいえない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願発明1は、引用発明A1及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 引用文献2に記載された発明に基づく進歩性について (1)引用文献2の記載等 ア 引用文献2の記載 引用文献2には、次の事項が記載されている。 ・「【請求項1】 上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機を用いて、メインホッパーから供給されるオレフィン重合体(B)100重量部に対して、サイドフィード供給口から無機微粒子アンチブロッキング剤(A)1~19重量部を供給し、溶融混練して得られるアンチブロッキング剤マスターバッチ。 【請求項2】 無機微粒子アンチブロッキング剤(A)が、コールターカウンター法で測定した重量平均粒子径が1~10μmであり、かさ密度が0.1~1g/mlであり、BET比表面積が30~700m2/gである無機微粉末である請求項1記載のアンチブロッキング剤マスターバッチ。 【請求項3】 メインホッパーから供給されるオレフィン重合体(B)がペレットである請求項1または2に記載のアンチブロッキング剤マスターバッチ。 【請求項4】 プロピレン系重合体(C)100重量部に対し、請求項1~3のいずれかに記載のアンチブロッキング剤マスターバッチ0.1~20重量部を配合して得られるポリプロピレンフィルム用組成物。 【請求項5】 上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機を用いて、メインホッパーからペレットであるオレフィン重合体(B)を供給し、該オレフィン重合体(B)100重量部に対して、サイドフィード供給口から無機微粒子アンチブロッキング剤(A)1~19重量部を供給し、溶融混練するアンチブロッキング剤マスターバッチの製造方法。」 ・「【0007】 かかる状況において、本発明の目的は、端面色、外観(フィルムの白斑点)、透明性、耐ブロッキング性、ホットスリップ性および耐スクラッチ性に優れたフィルムを得ることができるアンチブロッキング剤マスターバッチおよび、ポリプロピレンフィルム用組成物および、アンチブロッキング剤マスターバッチ製造方法を提供すること、特に、端面色と透明性に加えて、外観(フィルムの白斑点)、耐ブロッキング性、ホットスリップ性および耐スクラッチ性に優れたフィルムを得ることができるアンチブロッキング剤マスターバッチおよび、ポリプロピレンフィルム用組成物および、アンチブロッキング剤マスターバッチ製造方法を提供することにある。」 ・「【0018】 本発明で用いられる無機微粒子アンチブロッキング剤(A)のコールターカウンター法で測定される重量平均粒子径は、耐ブロッキング性の改良効果を高めるという観点や、透明性の観点から、好ましくは1~10μmであり、より好ましくは2~5μmであり、さらに好ましくは2~4μmである。 【0019】 本発明で用いられる無機微粒子アンチブロッキング剤(A)のかさ密度は、耐ブロッキング性の改良効果を高めるという観点や、耐スクラッチ性の観点から、好ましくは0.1~1g/mlであり、より好ましくは0.1~0.5g/mlであり、さらに好ましくは0.1~0.2g/mlである。 【0020】 本発明で用いられる無機微粒子アンチブロッキング剤(A)のBET比表面積は、耐ブロッキング性の改良効果を高めるという観点や、透明性の観点から、好ましくは30~700m2/gであり、より好ましくは100~400m2/gであり、さらに好ましくは150~350m2/gである。 とがある。 【0021】 本発明で用いられる無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の細孔容積は、得られるポリプロピレン系フィルムに特に良好な耐ブロッキング性と耐スクラッチ性を同時に発現させるという観点から、好ましくは0.04~3ml/gであり、より好ましくは0.9~2ml/gである。 【0022】 本発明で用いられる無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の白色度は、得られるポリプロピレン系フィルムに特に良好な端面色を発現させるという観点から、好ましくは80以上であり、より好ましくは95以上である。 【0023】 本発明に用いられる無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の重量平均粒子径、BET比表面積、細孔容積および白色度は下記の方法によって測定されるものである。 (1)重量平均粒子径:レーザーカウンター法によって求められる。 (2)BET比表面積:自動ガス吸脱着分析装置(BECKMAN COULTER社 オムニソーブ360)を用い、連続容量方式によって測定して求められる。 (3)細孔容積:自動ガス吸脱着分析装置(BECKMAN COULTER社 オムニソーブ360)を用い、連続容量方式によって測定して求められる。 (4)白色度:JIS P 8123に従って求められる。」 ・「【0031】 本発明で用いられる無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の押出機への供給量は、メインホッパー(5)から供給されるオレフィン重合体(B)100重量部に対し、1~19重量部であり、好ましくは1~12重量部であり、より好ましくは2~4重量部である。 【0032】 無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の押出機への供給量が、該下限を下回る場合、フィルムなどの製品に用いる場合に大量に添加しなければ耐ブロッキング性が改良されず、製品としての価値が低いものとなることがある。無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の押出機への供給量が該上限を上回る場合、無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の分散が不十分なことがある。また得られるフィルムの外観や、透明性が不十分な場合がある。」 ・「【0046】 本発明のポリプロピレンフィルム用組成物はプロピレン系重合体(C)100重量部に対し、本発明のアンチブロッキング剤マスターバッチ0.1~20重量部を配合して得られる組成物である。アンチブロッキング剤マスターバッチの配合量として、好ましくは1~15重量部であり、より好ましくは2~12重量部である。 アンチブロッキング剤マスターバッチの含有量が該下限を下回る場合、延伸フィルムの耐ブロッキング性の改良効果が充分でない場合があり、アンチブロッキング剤マスターバッチの含有量が該上限を上回る場合、延伸フィルムの透明性が不十分な場合がある」 ・「【実施例】 【0050】 次に実施例および比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で用いた試料の調整方法、物性の測定方法を下記に示した。 ・・・(略)・・・ 【0055】 (5)白班点数(外観、単位:個/600cm2) フィルムから、20cm×30cmのフィルム試験片を採取し、フィルム中の白班点数を目視で判定した。数値が小さいほどフィルム外観に優れることを示す。 【0056】 (6)ヘイズ(透明性、単位:%) フィルムを用いてASTM D1103に従って測定した。数値が小さいほど透明性に優れることを示す。 【0057】 (7)ブロッキング強度(耐ブロッキング性、kg/12cm2) フィルムから、30mm×150mmのフィルム試験片を採取し、長手方向に40mm重なるようにフィルムをあわせたものをトレーシングペーパーにはさみ、0.5kgの荷重下で60℃,3時間状態調整を行った。その後、23℃、湿度50%雰囲気下に30分以上放置し、200mm/分の速度で剪断引っ張り試験を行った。同一フィルムの4切片について計4回測定し、データの平均を算出して、試料の剥離に要する強度とした。数値の小さいほうが耐ブロッキング性に優れることを示す。 【0058】 (8)40℃動摩擦係数(ホットスリップ性) フィルムを用いて相対湿度65%RHの恒温室において、フィルム温度40℃でASTM-D1894-63に従い測定した動摩擦係数で示す。数値の小さいほうがホットスリップ性に優れることを示す。 【0059】 (9)Δヘイズ(耐スクラッチ性、単位:%) 平板にシリコンシートを積層した測定台のシリコンシート上にフィルムを固定した後、該測定用フィルム上に2kgの荷重をかけたもう一枚のフィルムを載置し、このフィルムを一方向に10回滑らせる。シリコンシート上に固定した側の測定用フィルムのヘイズ(ヘイズ2)を測定し、スクラッチ性試験前のフィルムのヘイズ(ヘイズ1)を測定し、下記式1より耐スクラッチ性を求めた。 Δヘイズ=(ヘイズ2)-(ヘイズ1) 式1 数値が小さいほうが耐スクラッチ性に優れることを示す。」 ・「【0061】 実施例1 プロピレン重合体パウダー(B-1)(プロピレン-エチレン共重合体、エチレン含有量4.0重量%、メルトフローレイト(MFR)5.0g/10分、融点142℃、冷キシレン可溶部量2.9重量%)100重量部に対しチバスペシャリティーケミカルズ製イルガノックス1010 0.15重量部、チバスペシャリティーケミカルズ製イルガホス168 0.15重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、65mmφ単軸混練機により樹脂温度220℃で造粒、ペレット化することによりプロピレン重合体(B-1)のペレットを得た。 【0062】 次いで、上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機(30mmφ2軸混練機)を用い、上流に備えられているメインホッパーからオレフィン重合体(B-1)のペレットを100重量部供給し、下流に備えられているサイドフィード供給口から、コールターカウンターで測定した重量平均粒子径が1.9μmで、かつ、かさ密度が0.15g/mlで、かつ、BET比表面積が287m2/gで、かつ、N2吸着二酸化ケイ素(A-1)2量部を供給してサイドフィード供給口の上流側のシリンダ温度を230℃、サイドフィード供給口より下流側のシリンダ温度を170℃にして、溶融混練し、ポリプロピレンフィルム用二酸化ケイ素のマスターバッチを得た。該マスターバッチのメルトフローレイトは6.0g/10分であった。 【0063】 次いで、プロピレン重合体(C-1)(プロピレン-エチレン-ブテン共重合体、エチレン含有量4.1重量%、ブテン含有量4.3重量%、メルトフローレイト(MFR)5.5g/10分、融点127℃、冷キシレン可溶部量5.4重量%)100重量部に対し、上記二酸化ケイ素のマスターバッチを11重量部、チバスペシャリティーケミカルズ製イルガノックス1010 0.15重量部、チバスペシャリティーケミカルズ製イルガホス168 0.15重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、65mmφ単軸混練機により樹脂温度220℃で造粒、ペレット化することによりポリプロピレンフィルム用組成物のペレットを得た。該ペレットのメルトフローレイト(MFR)は5.5g/10分であった。 【0064】 (延伸フィルムの作成) 表層用に上記で得られたペレットを用い、基材層用に住友化学工業(株)製FS2011DG3(融点159℃、MFR=2.5g/10分のポリプロピレン)を用い、それぞれ樹脂温度230℃、260℃にて各々別の押出機で溶融混練し、一基の共押出しTダイに供給した。このTダイから、表層/基材層/表層の2種3種構成として押出された樹脂を30℃の冷却ロールにて急冷、固化することにより、厚さ1mmのキャストシートを得た。 【0065】 上記のようにして得られたキャストシートを、予熱後、延伸温度120℃にて縦延伸機のロール周速差により縦方向に5倍延伸し、引き続いて加熱炉にて延伸温度157℃にて横方向に8倍延伸したのち、165℃で熱処理を行い、厚さ1μm/20μm/1μmの多層二軸延伸フィルムを得、巻取り機で巻き取った。得られたフィルムの物性の評価結果を表1に示した。 ・・・(略)・・・ 【0068】 【表1】 [図:0001397409000002.jpg] 【0069】 実施例1で得られた延伸フィルムは、端面色、外観、透明性、耐ブロッキング性、ホットスリップ性、耐スクラッチ性に優れるものであることが分かる。 これに対して、比較例1は、本発明の要件である上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機を用いずにアンチブロッキング剤のマスターバッチを製造して得られた延伸フィルムであるため、延伸フィルムの外観、耐ブロッキング性、ホットスリップ性が不十分であることが分かる。 また、比較例2は本発明の要件である上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機を用いてアンチブロッキング剤のマスターバッチを製造して使用することなく、ポリプロピレンフィルム用組成物を製造して得られた延伸フィルムであるため、延伸フィルムの外観、耐ブロッキング性、ホットスリップ性、耐スクラッチ性が不十分であることが分かる。」 イ 引用文献2に記載された発明 上記アの摘記から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。 「プロピレン重合体パウダー(B-1)(プロピレン-エチレン共重合体、エチレン含有量4.0重量%、メルトフローレイト(MFR)5.0g/10分、融点142℃、冷キシレン可溶部量2.9重量%)100重量部に対しチバスペシャリティーケミカルズ製イルガノックス1010 0.15重量部、チバスペシャリティーケミカルズ製イルガホス168 0.15重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、65mmφ単軸混練機により樹脂温度220℃で造粒、ペレット化することによりプロピレン重合体(B-1)のペレットを得、次いで、上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えた押出機(30mmφ2軸混練機)を用い、上流に備えられているメインホッパーからオレフィン重合体(B-1)のペレットを100重量部供給し、下流に備えられているサイドフィード供給口から、コールターカウンターで測定した重量平均粒子径が1.9μmで、かつ、かさ密度が0.15g/mlで、かつ、BET比表面積が287m2/gで、かつ、N2吸着二酸化ケイ素(A-1)2量部を供給してサイドフィード供給口の上流側のシリンダ温度を230℃、サイドフィード供給口より下流側のシリンダ温度を170℃にして、溶融混練し、ポリプロピレンフィルム用二酸化ケイ素のマスターバッチを得る、製造法。」(以下、「引用発明2-1」という。) (2)対比・判断 本願発明1と引用発明2-1とを対比する。 引用発明2-1の「プロピレン重合体パウダー(B-1)(プロピレン-エチレン共重合体、エチレン含有量4.0重量%、メルトフローレイト(MFR)5.0g/10分、融点142℃、冷キシレン可溶部量2.9重量%)」は、本願発明1における「プロピレン系重合体(A)」に相当する。 引用発明2-1の「コールターカウンターで測定した重量平均粒子径が1.9μmで、かつ、かさ密度が0.15g/mlで、かつ、BET比表面積が287m2/gで、かつ、N2吸着二酸化ケイ素(A-1)」は、本願発明1における「i)レーザー回折法により測定される平均粒子1~10μm、ii)BET比表面積30~700m2/g、iii)かさ密度0.1~1g/mlの特徴を有するシリカ(B)」に相当する。 引用発明2-1の「ポリプロピレンフィルム用二酸化ケイ素のマスターバッチ」は、本願発明1における「ポリオレフィン系樹脂組成物(X)」に相当する。 引用発明2-1においては、プロピレン重合体パウダー(B-1)100重量部に対してN2吸着二酸化ケイ素(A-1)2量部を混合していることから、本願発明1における「プロピレン系重合体(A)を100重量部供給し、シリカ(B)を1~19重量部供給する」に相当する。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「メインホッパーとサイドフィード供給口を備えた押出し機において、メインホッパーからプロピレン系重合体(A)を100重量部供給し、サイドフィード供給口より以下の特徴を有するシリカ(B)を1~19重量部供給する、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造法。 i)レーザー回折法により測定される平均粒子 1~10μm ii)BET比表面積 30~700m2/g iii)かさ密度 0.1~1g/ml」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点2-1> 本願発明1は、シリカについて、「iv)細孔容積 0.3~3ml/g」と特定されているのに対し、引用発明2-1は、そのような特定がない点。 <相違点2-2> 本願発明1は、シリカについて、「v)吸油量 50~500ml/100g」と特定されているのに対し、引用発明2-1は、そのような特定がない点。 <相違点2-3> 本願発明1は、「無定形シリカ」と特定されているのに対し、引用発明2-1については、「無定形」との特定がない点。 上記相違点2-1について検討する。 引用文献2には、【0021】において「無機微粒子アンチブロッキング剤(A)の細孔容積は、得られるポリプロピレン系フィルムに特に良好な耐ブロッキング性と耐スクラッチ性を同時に発現させるという観点から、好ましくは0.04~3ml/gであり、より好ましくは0.9~2ml/gである。」ことが記載されている。 してみれば、引用発明2-1において、N2吸着二酸化ケイ素(A-1)として、さらに細孔容積を好ましい範囲又はより好ましい範囲のものを選択することは、当業者が容易に想到することができたものである。 上記相違点2-2について検討する。 引用文献3には、「平均粒子径が600~1500μmであるポリプロピレン系樹脂粒子(成分(A))と、前記成分(A)100重量部に対して、下記式(1)で表される真球度が1.0~1.5であり、コールターカウンターで測定した平均粒子径が1.0~4.0μmであり、比表面積が260~1000m2/gであり、吸油量が100~400ml/100gであり、細孔容積が0.5~1.4ml/gである球状シリカ微粉末(成分(D))1~10重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物。真球度=π×(微粉末の最大長/2)2/(微粉末の断面積) 式(1)」及び「請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を溶融混練して得られるマスターバッチ」(特許請求の範囲)が記載されており、「本発明の目的は、フィルム製膜時にメヤニが発生し難く、フィッシュアイが少なく、透明性が良く、耐スクラッチ性に優れるポリプロピレン系フィルムを得ることができるポリプロピレン系樹脂組成物」等を提供すること(【0005】)、「吸油量が100ml/g未満の場合、耐スクラッチ性が劣ったり、吸油量が400ml/gを超えるとフィッシュアイの発生を引き起こしたりする場合がある」こと(【0022】)、「球状シリカ微粉末(成分(D))の配合量は、成分(A)または成分(A)と成分(B)との合計100重量部に対して、1~10重量部であり、10重量部を超えると球状シリカ微粉末が凝集をおこしてフィッシュアイとなり、1重量部に満たないと十分な耐ブロッキング性能を得ることができない」こと(【0024】)、が記載されている。 そして、引用文献2は、プロピレン系重合体とアンチブロッキング剤としてシリカを含有する樹脂組成物を溶融混練して得られるマスターバッチである点で、引用文献3と技術分野が一致するとともに、フィルムの外観、耐スクラッチ性を考慮するものである。 してみれば、引用発明2-1において、同じ技術分野に属する上記引用文献3に記載の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到することができたものである。 上記相違点2-3について検討する。 引用文献3には、【0059】の【表1】において、シリカ微粉末としてサンスフェアH31,L31,H32を用いているが、サンスフェアのカタログ(https://premium.ipros.jp/agc/catalog/detail/631525/)には、「非晶質で安全性が高い」と記載されていることから、サンスフェアH31,L31,H32が無定形シリカであることは明らかであり、同じくシリカ微粉末としてサイリシア420とサイロスフェアC-1504を用いているが、富士ゲル販売株式会社のサイリシアのホームページ(http://fujigh.co.jp/sylysia.htm)には、「合成シリカ・サイリシアはケイ酸をゲル化させた三次元構造のコロイド状シリカ」であること、及び「サイロスフェアは従来のシリカゲルの多孔性に球状の粉体特性を持たせる」ことがそれぞれ記載されていることから、サイリシア420とサイロスフェアC-1504が無定形シリカであることも明らかである。 そうすると、引用文献3には、アンチブロッキング剤として無定形シリカを用いるという技術事項が記載されているといえ、当該技術事項は、当業者に周知の技術事項であったといえる。 してみれば、引用発明2-1において、N2吸着二酸化ケイ素(A-1)として、無定形シリカを適用することは、当該周知の技術事項に基づき、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、上記1(2)で検討したとおり、本願発明1によって奏される「耐ブロッキング性、分散性、フィッシュアイ特性、耐傷つき性、印刷特性および透明性に優れたポリプロピレンフィルムの形成に用いるマスターバッチとして好適なポリオレフィン系樹脂組成物の製造法を提供する」との効果については、格別顕著であるとはいえない。 (3)意見書の主張について 請求人は意見書において、 「また、請求人は、本願発明1の構成によって得られる効果が顕著であることをより明らかにするため、追加実験を行いましたので、比較例3として以下に示します。 <比較例3> ・・・(略)・・・ 得られたフィルムの評価結果は、ヘーズ 8.4%、フィッシュアイ 30個/300cm2、分散性 ○、平均表面粗さ(Ra) 0.080μm、最大高さ(Rt) 7.4μm、表面突起数 20個、印刷特性 ×、傷つき特性 ○であった。 ここで、比較例3では、本願請求項1に規定されるような、メインホッパーからプロピレン系重合体を供給し、サイドフィード供給口より無定形シリカを供給するポリオレフィン系樹脂組成物の製造法が行われておりますが、比較例3で使用したサイリシア470は、平均粒子径が14.1μmであり、本願請求項1に規定される無定形シリカとは異なります。そして、比較例3では、分散性は良好な結果となっておりますが、透明性(ヘーズ)及び印刷特性の評価結果が本願の実施例より劣っていることが分かります。このため、本願発明1の効果は、単に「メインホッパーからプロピレン系重合体を供給し、サイドフィード供給口より無定形シリカを供給する」という構成のみによって得られるものではなく、本願請求項1に規定される特定量の無定形シリカをサイドフィード供給口より供給することによって奏される効果であることを確認することができます。 従いまして、本願発明1は、引用発明2-1及び引用文献3に記載された事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、進歩性を有するものと考えます。」と主張している。 しかしながら、比較例3は、樹脂組成物そのものの評価結果ではなく、樹脂組成物をマスターバッチとして用いて得られた無延伸ポリプロピレンフィルムについての評価結果であるから、当該評価結果が、本願発明1に係る製造法の効果が顕著であることを直ちに裏付けるものとはいえない。 なお、仮に、比較例3の分散性、透明性及び印刷特性の評価結果を考慮したとしても、比較例3の評価結果は、無定型シリカの平均粒子径が本願発明1の範囲内か否かによるものであり、相違点2-1ないし2-3によって奏される効果であるとはいえないことから、相違点2-1ないし2-3についての引用発明2-1に引用文献3に記載された事項及び周知の技術事項を適用することは当業者が容易に想到することができたものであるとの上記(2)の判断に影響を与えるものではない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願発明1は、引用発明2-1並びに引用文献3に記載された事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 上記第4のとおり、本願発明1は、引用文献Aに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-004267

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