2022-000582
バイオマス由来の樹脂層を有する積層体を備える包装製品
- 審判番号
- 2022-000582
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-123133外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月13日
- 審決日
- 2023年01月17日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .55 -Z (B32B) / P18 .121-Z (B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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1 出願分割の経緯の概略
本願は、令和2年7月17日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成25年1月9日に出願した特願2013-2024号を最先の出願とする、第3次の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
第3次分割(本願):特願2020-123133号(令和 2年 7月17日)
2 本願の手続の経緯の概略
本願の出願後の手続の経緯の概略は次のとおりである。
(令和3年10月15日 :原査定の謄本の送達)
第2 令和4年1月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年1月13日に提出された手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1、2の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】積層体(但し、下記ラミネートチューブ用原反Aおよび下記押出チユーブ用積層材Eを除く。)を備える包装製品であって、前記積層体は、板紙基材と、続きを表示(全18行)前記板紙基材の一方の面側に位置し、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のポリオレフィンと、を含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層と、を有してなり、前記包装製品が、ラミネートチューブ(但し、下記押出チューブCを除く。)である、包装製品。(ラミネートチューブ用原反A:金属箔と、この金属箔の一側面に接着した低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムと、前記金属箔の他側面に接着した、その両面に低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムが配設される紙と、該紙に積層した縦一軸圧延多層フィルムとを備えさせた、ラミネートチューブ用原反。)(押出チューブC:両側にそれぞれポリエチレン層4,8が形成され、これらポリエチレン層4,8の間に天然パルプとポリエチレンパルプとからなる合成紙より形成された紙層3が介在された積層材料9の端部がヒートシール10されることにより形成され、かつ、上記ヒートシール部10の端部が上記両ポリエチレン層4,8及び紙層3のポリエチレンパルプの溶融により形成されたポリエチレン被膜11によって被覆されてなる、押出チューブ。)(押出チユーブ用積層材E:内側からポリエチレン/接着性ポリオレフイン樹脂/アルミ箔/接着性ポリオレフイン樹脂/原紙/接着性ポリオレフイン/乳白ポリエチレン/ポリエチレンの押出チユーブ用積層材。)【請求項2】積層体を備える包装製品であって、前記積層体は、板紙基材と、前記板紙基材の一方の面側に位置し、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のポリオレフィンと、を含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層と、を有してなり、前記包装製品が、蓋材(但し、下記蓋材B、下記蓋材Dおよび下記壜栓Fを除く。)である、包装製品。(蓋材B:食品容器の蓋材であって、2つの防水層と、前記2つの防水層間に配置された紙からなる基材層とを有する積層シートからなり、前記2つの防水層のうちの少なくとも一方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層である、食品容器用蓋材。)(蓋材D:紙又は紙とアルミニウム箔より成る基材の両面に、ポリエチレン層を介してポリエステルフイルムを積層し、内側のポリエステルフイルムにシール層を設けた容器の蓋材。)(壜栓F:壜口に嵌合できる寸法の円筒部を有するポリエチレン製の壜栓本体と、この壜栓本体の上記円筒部に被着された積層シートとよりなり、この積層シートは上記円筒部側から順にポリエチレンフイルム、耐水紙、熱接着性樹脂フイルム及びポリエステルフイルムの4層よりなり、上記ポリエチレンフイルムは上記円筒部及び上記耐水紙の双方に熱接着されており、上記熱接着性樹脂フイルムは上記耐水紙及び上記ポリエステルフイルムの双方に熱接着されている、壜栓。)」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和3年5月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2の記載は次のとおりである。
「【請求項1】積層体(但し、下記ラミネートチューブ用原反Aを除く。)を備える包装製品であって、前記積層体は、板紙基材と、続きを表示(全14行)前記板紙基材の一方の面側に位置し、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のポリオレフィンと、を含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層と、を有してなり、前記包装製品が、ラミネートチューブである、包装製品。(ラミネートチューブ用原反A:金属箔と、この金属箔の一側面に接着した低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムと、前記金属箔の他側面に接着した、その両面に低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムが配設される紙と、該紙に積層した縦一軸圧延多層フィルムとを備えさせた、ラミネートチューブ用原反。)【請求項2】積層体を備える包装製品であって、前記積層体は、板紙基材と、前記板紙基材の一方の面側に位置し、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のポリオレフィンと、を含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層と、を有してなり、前記包装製品が、蓋材(但し、下記蓋材Bを除く。)である、包装製品。(蓋材B:食品容器の蓋材であって、2つの防水層と、前記2つの防水層間に配置された紙からなる基材層とを有する積層シートからなり、前記2つの防水層のうちの少なくとも一方の防水層が、アルミニウム箔からなるアルミニウム層である、食品容器用蓋材。)」
2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正は、次の補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前の請求項1に記載された「積層体」について、「押出チユーブ用積層材E:内側からポリエチレン/接着性ポリオレフイン樹脂/アルミ箔/接着性ポリオレフイン樹脂/原紙/接着性ポリオレフイン/乳白ポリエチレン/ポリエチレンの押出チユーブ用積層材。」を「除く」(以下「補正事項1」という。)。
イ 補正事項2
本件補正前の請求項1の「ラミネートチューブ」について、「押出チューブC:両側にそれぞれポリエチレン層4,8が形成され、これらポリエチレン層4,8の間に天然パルプとポリエチレンパルプとからなる合成紙より形成された紙層3が介在された積層材料9の端部がヒートシール10されることにより形成され、かつ、上記ヒートシール部10の端部が上記両ポリエチレン層4,8及び紙層3のポリエチレンパルプの溶融により形成されたポリエチレン被膜11によって被覆されてなる、押出チューブ。」を「除く」(以下「補正事項2」という。)。
ウ 補正事項3
本件補正前の請求項2の「蓋材」について、「壜栓F:壜口に嵌合できる寸法の円筒部を有するポリエチレン製の壜栓本体と、この壜栓本体の上記円筒部に被着された積層シートとよりなり、この積層シートは上記円筒部側から順にポリエチレンフイルム、耐水紙、熱接着性樹脂フイルム及びポリエステルフイルムの4層よりなり、上記ポリエチレンフイルムは上記円筒部及び上記耐水紙の双方に熱接着されており、上記熱接着性樹脂フイルムは上記耐水紙及び上記ポリエステルフイルムの双方に熱接着されている、壜栓。」を「除く」(以下「補正事項3」という。)。
(2)補正事項1について
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、「ポリオレフィン樹脂層」に関して、「例えば、板紙基材側から順に第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層と第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層とを有してなる。積層体のシール層およびコア層は、両者がバイオマスポリオレフィン樹脂層であってもよく、いずれか一方のみがバイオマスポリオレフィン樹脂層であってもよい。」(【0017】)、「本発明において、第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層は、積層体のコア層としての機能を果たすものであってもよい。」(【0018】)、「本発明において、第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層は、積層体のシール層としての機能を果たすものであってもよい。」(【0023】)、「積層体のコア層およびシール層のいずれか一方のみがバイオマスポリオレフィン樹脂層である場合には、他方は非バイオマスポリオレフィン樹脂層であってもよい。」(【0068】)の記載がある
すなわち、当初明細書等には、ポリオレフィン樹脂層を、「コア層」又は「シール層」とすることが記載されているものの、「乳白ポリエチレン」とすることの記載はないし、示唆する記載もない。
したがって、補正事項1は、当初明細書等に開示のない引用文献の課題解決手段である「押出チユーブ用積層材E」を新たに追加して記載することを前提にして、それを除くとするものであるから、補正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
(3)補正事項2について
当初明細書等には、「板紙基材」に関して、「板紙基材としては、白板紙全般を対象とするが、特に安全性の観点から天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等の使用が好ましい。」(【0015】)の記載がある。
すなわち、当初明細書等には、板紙基材として「天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等」を用いることが記載されているものの、「天然パルプとポリエチレンパルプとからなる合成紙」より形成することの記載はないし、示唆する記載もない。
また、当初明細書等には、「ラミネートチューブ」に関して、「本発明による積層体は、包装容器や包装袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、積層フィルム、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、およびラミネートチューブ等の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品が好ましい。」(【0083】)と記載されているものの、ヒートシール部の端部が両ポリエチレン層及び紙層のポリエチレンパルプの溶融により形成されたポリエチレン被膜によって被覆されてなることの記載はないし、示唆する記載もない。
したがって、補正事項2は、当初明細書等に開示のない引用文献の課題解決手段である「押出チューブC」を新たに追加して記載することを前提にして、それを除くとするものであるから、補正事項2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
(4)補正事項3について
当初明細書等には、「蓋材」に関して、「本発明による積層体は、包装容器や包装袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、積層フィルム、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、およびラミネートチューブ等の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品が好ましい。」(【0083】)と記載されているものの、壜栓が、壜口に嵌合できる寸法の円筒部を有するポリエチレン製の壜栓本体と、この壜栓本体の上記円筒部に被着された積層シートとよりなること、及びポリエチレンフイルムが円筒部及び耐水紙の双方に熱接着されていることについての記載はないし、示唆する記載もない。
したがって、補正事項3は、当初明細書等に開示のない引用文献の課題解決手段である「壜栓F」を新たに追加して記載することを前提にして、それを除くとするものであるから、補正事項3は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年5月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載(上記第2[理由]1(2))により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1、3~5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
<引用文献等一覧>
引用文献1 実公平5-3316号公報
引用文献2 実公平4-6909号公報
引用文献3 特開2012-251006号公報
引用文献4 特開2012-250350号公報
引用文献5 特開2012-167172号公報
3 引用文献の記載事項
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(1)引用文献1に記載された技術事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された技術事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
「〔産業上の利用分野〕本考案は、耐湿性が改善され、かつ層間剥離強度が向上した紙積層押出チユーブに関する。〔従来の技術及び考案が解決しようとする課題〕・・・本考案は上記事情を改善するためになされたもので、耐湿性が優れ、特にヒートシール端部からの吸湿を確実に減少し得ると共に、このヒートシール部における層間剥離強度を向上させることができる押出チユーブを提供することを目的とする。」(第1欄13行~第2欄12行)
「〔実施例〕以下、本考案につき第1図及び第2図を参照して更に詳しく説明する。第1図において、1はアルミニウム箔等の金属箔層であり、この金属箔層1の一面には接着剤層2を介して紙層3が積層されていると共に、この紙層3には更にポリエチレン層4が積層されている。また、前記金属箔層1の他面には接着剤層5を介してポリエチレン層6が積層され、その上にポリオレフイン系樹脂フイルム層7が積層され、更にその上にポリエチレン層8が積層されることにより、積層材料9が構成されている。この積層材料9は、金属箔層1を内側(内容物側)にし、紙層3を外側にして、その端部をヒートシールすることにより、第2図に示すようにチユーブTを形成するものである。」(第3欄36行~第4欄7行)
「また、積層材料の両側に形成されるポリエチレン層4,8は、それぞれ本積層材料によつて形成される容器の最外層及び最内層を構成するもので、チユーブの外面及び内面を保護すると共に、ヒートシールを可能とするものである。これら両層4,8の厚さはそれぞれ20~180μmとすることが好適で、これによりヒートシールが良好になされると共に、ヒートシール端部におけるシール性を向上させることができる。」(第4欄29行~第4欄37行)
「第1図[図:0001394750000001.jpg]」
「第2図[図:0001394750000002.jpg]」
イ 引用発明の認定
上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「金属箔層1の一面には接着剤層2を介して紙層3が積層されていると共に、この紙層3には更にポリエチレン層4が積層され、また、前記金属箔層1の他面には接着剤層5を介してポリエチレン層6が積層され、その上にポリオレフイン系樹脂フイルム層7が積層され、更にその上にポリエチレン層8が積層されることにより、積層材料9が構成され、この積層材料9を、金属箔層1を内側(内容物側)にし、紙層3を外側にして、その端部をヒートシールすることにより、形成したチユーブT。」
(2)引用文献3~5に記載された事項及び周知技術の認定
ア 引用文献3に記載された技術事項
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなる樹脂組成物からなる樹脂フィルムであって、前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91~0.96g/cm3の密度を有する、樹脂フィルム。・・・【請求項6】前記樹脂組成物が、化石燃料由来のエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンとを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。」
「【発明の効果】【0022】本発明によれば、ポリオレフィン樹脂フィルムが、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなる樹脂組成物からなり、バイオマス由来のエチレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなることで、カーボンニュートラルなポリオレフィン樹脂フィルムを実現できる。したがって、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリオレフィン樹脂フィルムと比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン樹脂フィルムを代替することができる。」
「【0063】上記のようにして得られる樹脂フィルムの厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5~500μm程度、好ましくは5~200μm程度である。また、樹脂フィルムは、単層のフィルムとして用いてもよいし、複数枚をラミネートして積層フィルムとして用いてもよい。【0064】用途本発明による樹脂フィルムは、容器や袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、積層フィルム、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、およびラミネートチューブ等の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品およびシート成形品が好ましい。」
「【0084】樹脂組成物および樹脂フィルムの評価上記の実施例4~7および比較例2で用いた樹脂組成物の加工適性および得られたフィルムの特性について、以下の各種評価:(6)ドローダウン、(7)ネックイン、(8)モーター負荷、(9)樹脂圧力、(10)シール開始温度、を行った。」
イ 引用文献4に記載された技術事項
引用文献4には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなる樹脂組成物からなる樹脂層を、少なくとも2層有してなる複層樹脂フィルムであって、前記バイオマス由来のエチレンを5質量%以上含んでなり、0.915~0.96g/cm3の密度を有し、10~100μmの厚さを有する、第1の樹脂層と、前記バイオマス由来のエチレンを5質量%以上含んでなり、0.90~0.925g/cm3の密度を有し、1~50μmの厚さを有する、第2の樹脂層とを有してなり、第1の樹脂層の密度d1と第2の樹脂層の密度d2が、d1>d2を満たし、第1の樹脂層の厚さt1と第2の樹脂層の厚さt2が、t1>t2を満たす、複層樹脂フィルム。・・・【請求項8】前記樹脂組成物が、化石燃料由来のエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンとを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の複層樹脂フィルム。」
「【発明の効果】【0024】本発明によれば、ポリオレフィン複層樹脂フィルムが、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなる樹脂組成物からなり、バイオマス由来のエチレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなることで、カーボンニュートラルなポリオレフィン複層樹脂フィルムを実現できる。したがって、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明のポリオレフィン複層樹脂フィルムは、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリオレフィン複層樹脂フィルムと比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン複層樹脂フィルムを代替することができる。」
「【0068】第2の樹脂層第2の樹脂層は、複層樹脂フィルムのシール層としての機能を果たすものでる。第2の樹脂層はヒートシール層としての、ヒートシール性が求められる。複層樹脂フィルムはヒートシール層を有することで、他の樹脂フィルム上に積層する際に接着剤等を用いなくとも、強固に接着させることができる。」
「【0080】上記のようにして得られる複層樹脂フィルムの厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5~500μm程度、好ましくは5~200μm程度である。また、樹脂フィルムは、複数枚をラミネートして積層フィルムとして用いてもよい。【0081】用途本発明による複層樹脂フィルムは、容器や袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、積層フィルム、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、およびラミネートチューブ等の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品およびシート成形品が好ましい。」
ウ 引用文献5に記載された技術事項
引用文献5には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、前記ポリエチレン系樹脂は、気相重合法にて得られた直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物であることを特徴とするフィルム。・・・続きを表示(全11行)【請求項4】前記樹脂組成物を5~90モル%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95モル%とを、下記の(A)または(B)あるいは(C)で構成してなることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。(A)前記樹脂組成物と、前記石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成(B)中間層を前記樹脂組成物とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成(C)中間層を前記樹脂組成物と、前記石油由来ポリエチレン系樹脂とを混合した層とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成【請求項5】請求項1または4に記載のフィルムをシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させたことを特徴とする積層フィルム。」
「【発明の効果】【0012】請求項1に記載の発明によれば、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、前記ポリエチレン系樹脂は、気相重合法にて得られた直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物であるので、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムの構成を、全て石油由来の樹脂組成物に依存する状態から、この石油由来のポリエチレン系樹脂に、石油由来のポリエチレン系樹脂と性能的に違いがなく、カーボンニュートラルなサトウキビなど植物由来のポリエチレン系樹脂を混成(置換)することで、石油資源の使用量を削減するとともに、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなるフィルムを提供することができる。・・・続きを表示(全12行)【0015】請求項4に記載の発明によれば、樹脂組成物を5~90モル%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95モル%とを、下記の(A)または(B)あるいは(C)(A)樹脂組成物と、石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成(B)中間層を樹脂組成物とし、外層および内層を石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成(C)中間層を樹脂組成物と、石油由来ポリエチレン系樹脂とを混合した層とし、外層および内層を石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成で構成してなるので、フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減するとともに、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。加えて、(B)あるいは(C)のようなフィルムを構成する内外層に石油由来ポリエチレン系樹脂を用いることで、既存の製造工程が有する特性でフィルムを製造することができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなるフィルムを提供することができる。【0016】請求項5に記載の発明によれば、植物由来ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂からなるフィルム(請求項1または4に記載)をシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させた積層フィルムとするので、ヒートシールに用いるシーラントフィルムにおいても、このシーラントフィルムであるフィルムを構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減するとともに、積層フィルムの製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムを提供することができる。」
「【0050】なお、本願発明の樹脂組成物1からなるフィルムF1~F4や、これらフィルムF1~F4を用いた積層フィルム3を使用して、上述したスタンディングパウチに例示される包装袋6以外にも、ポリエチレン系樹脂を用いた樹脂組成物1から構成される、例えば、飲食品・化粧品・薬品・雑貨品などの内容物を収容するラミネートチューブ、液体紙容器などを含む容器や、容器の蓋材、あるいは容器のラベルなどを構成することができ、いっそう石油由来の使用比率を低下させるとともに、二酸化炭素排出量を大きく抑制することができる。」
エ 周知技術
上記ア~ウから、次の事項は、周知技術(以下「周知技術」という。)であると認められる。
「ラミネートチューブに用いられる積層体におけるポリエチレンフィルムを、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のポリオレフィンと、を含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるものとすることにより環境負荷を低減すること」
4 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「紙層3」は本願発明「板紙基材」に相当する。
引用発明の「積層材料9」は、「金属箔と、この金属箔の一側面に接着した低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムと、前記金属箔の他側面に接着した、その両面に低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムが配設される紙と、該紙に積層した縦一軸圧延多層フィルムとを備えさせた」ものではないから、本願発明の「ラミネートチューブ用原反A:金属箔と、この金属箔の一側面に接着した低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムと、前記金属箔の他側面に接着した、その両面に低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムが配設される紙と、該紙に積層した縦一軸圧延多層フィルムとを備えさせた、ラミネートチューブ用原反」を除く「積層体」に相当する。
引用発明の「ポリエチレン層4」と本願発明の「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のポリオレフィンと、を含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層」とは、ポリオレフィン樹脂層の限りで一致する。
引用発明の「積層材料9」は、複数の材料を貼り合わせて積層されたものであり、いわゆるラミネート加工されたものであるから、引用発明の「チユーブT」は本願発明の「ラミネートチューブ」である「包装製品」に相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「積層体(但し、下記ラミネートチューブ用原反Aを除く。)を備える包装製品であって、前記積層体は、板紙基材と、前記板紙基材の一方の面側に位置するポリオレフィン樹脂層と、を有してなり、前記包装製品が、ラミネートチューブである、包装製品。(ラミネートチューブ用原反A:金属箔と、この金属箔の一側面に接着した低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムと、前記金属箔の他側面に接着した、その両面に低密度ポリエチレンフィルムもしくは線状低密度ポリエチレンフィルムが配設される紙と、該紙に積層した縦一軸圧延多層フィルムとを備えさせた、ラミネートチューブ用原反。)」
[相違点]
ポリオレフィン樹脂層に関して、本願発明は、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のポリオレフィンと、を含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層」であるのに対して、引用発明は「ポリエチレン層4」である点。
(2)判断
ア 相違点について
石油資源の枯渇を抑制し、地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素の増加を抑制する手段として、石油系由来の原料のみからなる樹脂に替えて、生物産生のバイオマス素材を原料としたものを用いることは、当業者が普通に検討し得る技術課題であるから、引用発明における「ポリエチレン層4」の材料として、周知技術の樹脂組成物からなるものとする動機付けがある。
したがって、引用発明及び周知技術に基づき、相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
イ 本願発明の作用ないし効果について
そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 小括
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-000582