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特許拒絶査定不服審判

2022-000575

遊技機

審判番号
2022-000575
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-238254外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月13日
審決日
2022年08月23日
公報発行日
2022年11月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-238254「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和2年7月2日出願公開、特開2020-99431〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成30年12月20日の出願であって、令和2年11月4日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年1月12日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月2日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月11日付け(謄本送達日:同年同月26日)で、同年7月28日付け手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和4年1月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和4年1月13日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕

令和4年1月13日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、令和3年1月12日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、

「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
小役を含む複数種類の役の当否を決定し、正解小役を含む複数種類の小役が重複して当選する特定当選態様が存在するように内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、
小役の入賞に伴い、入賞した小役の配当に基づいて遊技価値の払出数を決定する制御を行う払出制御手段と、を備えた遊技機であって、
前記特定当選態様では、前記正解小役と前記正解小役よりも配当が低い他の小役とが重複して当選し、
前記リール制御手段が、
内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合には前記正解小役が入賞する場合と前記正解小役が入賞しない場合とが存在し、前記複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に前記正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記正解打順とは異なる場合には表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記正解小役が入賞しないように回転中のリールを停止させることを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
小役を含む複数種類の役の当否を決定し、正解小役を含む複数種類の小役が重複して当選する特定当選態様が存在するように内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、
小役の入賞に伴い、入賞した小役の配当に基づいて遊技価値の払出数を決定する制御を行う払出制御手段と、を備えた遊技機であって、
前記特定当選態様では、前記正解小役と前記正解小役よりも配当が低い他の小役とが重複して当選し、
前記リール制御手段が、
内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合には前記正解小役が入賞する場合と前記正解小役が入賞しない場合とが存在し、前記複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に前記正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記正解小役が入賞しない場合には前記他の小役が必ず入賞するように回転中のリールを停止させ、前記正解打順とは異なる場合には表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記正解小役が入賞しないように回転中のリールを停止させることを特徴とする遊技機。」とする補正である(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否について

(1)補正の目的について

ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「リール制御手段」に関し、「前記正解小役が入賞しない場合には前記他の小役が必ず入賞するように回転中のリールを停止させ、」との限定を付加するものである。

イ 上記アからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項について

本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0061】ないし【0062】、【0148】ないし【0152】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AからKについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。

「A 外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
B 小役を含む複数種類の役の当否を決定し、正解小役を含む複数種類の小役が重複して当選する特定当選態様が存在するように内部抽選を行う内部抽選手段と、
C 前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
D 前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、
続きを表示(全12行)
E 小役の入賞に伴い、入賞した小役の配当に基づいて遊技価値の払出数を決定する制御を行う払出制御手段と、
F を備えた遊技機であって、
G 前記特定当選態様では、前記正解小役と前記正解小役よりも配当が低い他の小役とが重複して当選し、
H 前記リール制御手段が、
I 内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合には前記正解小役が入賞する場合と前記正解小役が入賞しない場合とが存在し、
J 前記複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に前記正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記正解小役が入賞しない場合には前記他の小役が必ず入賞するように回転中のリールを停止させ、
K 前記正解打順とは異なる場合には表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記正解小役が入賞しないように回転中のリールを停止させる
F ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例の記載事項、引用発明

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ア 引用例の記載事項

原査定で引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-231399号公報(平成27年12月24日公開、以下「引用例」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(ア)

「【0001】
本発明は、スロットマシンなどの遊技機に関する。」

(イ)

「【0008】
本発明の目的は、非特別遊技状態における出玉率を制御することができ、従来機種とのゲーム性の差別化を図ることができる、遊技機を提供することである。」

(ウ)

「【0023】
スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備えている。
【0024】
本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが左右に並べて配置されている。左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。リール帯には、21個の図柄が周方向に並べて配列されている。」

(エ)

「【0028】
前扉3には、表示パネルユニット5の下方に、操作部13が設けられている。操作部13は、表示パネルユニット5の前面に対して前側に張り出しており、平坦な上面14および前側に緩やかに凸湾曲した前面15を有している。」

(オ)

「【0030】
前面15には、スタートレバー19、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C、右ストップボタン20Rおよび精算ボタン21が設けられている。左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rは、前面15の左右方向の中央部において、左からこの順に並べて配置されている。スタートレバー19は、左ストップボタン20Lの左側に配置されている。精算ボタン21は、スタートレバー19のさらに左側に配置されている。」

(カ)

「【0036】
たとえば、有効ライン上に小役に係る図柄の組合せが並ぶと、その小役に入賞となり、所定の配当数のメダルが配当として付与され、その配当数が配当数表示器8に表示される。配当は、スロットマシン1に50枚を上限としてクレジットされ、50枚を超える分については、メダル排出口22からメダルトレイ23に排出される。配当がクレジットされると、クレジット数が配当数だけ増え、クレジット数表示器7の表示が更新される。」

(キ)

「【0042】
スロットマシン1は、ゲームの中枢的な制御を実行するメイン基板31と、ゲームに付随する演出のための制御を実行するサブ基板32と、液晶表示装置24を制御する液晶基板33とを備えている。
【0043】
メイン基板31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45が備えられている。CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45は、バスにより、データを通信可能に接続されている。また、メイン基板31には、CPU41にクロックパルスを与えるクロック発生回路46と、乱数を生成する乱数生成回路47とが備えられている。
続きを表示(全12行)
【0044】
CPU41は、ROM42に格納されているプログラムを実行し、入出力ポート44から入力される信号に基づいて、入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御する。
【0045】
RAM43は、CPU41によるプログラムの実行時のワークエリアとして使用される。
【0046】
入出力ポート(入力ポート)44には、MAXベットボタン17、1枚ベットボタン18、スタートレバー19、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C、右ストップボタン20R、精算ボタン21、左リール位置検出センサ51L、中リール位置検出センサ51C、右リール位置検出センサ51R、メダル投入センサ52およびメダル払出センサ53が接続されている。
【0047】
入出力ポート(出力ポート)44には、クレジット数表示器7、配当数表示器8、ベット数表示LED9、リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12が制御対象として接続されている。また、入出力ポート(出力ポート)44には、左リール4Lを回転駆動する左リール駆動モータ61L、中リール4Cを回転駆動する中リール駆動モータ61C、右リール4Rを回転駆動する右リール駆動モータ61R、メダル投入口16から投入されるメダルの受付/拒否を切り替えるためのメダルブロックソレノイド62および本体2内に設けられたメダル貯留部(図示せず)からメダルを払い出すためのメダル払出駆動モータ63が制御対象として接続されている。左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rには、ステッピングモータが採用されている。」

(ク)

「【0049】
CPU41は、内部抽選を実行し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの停止後、有効ライン上に内部抽選での当選役に対応した図柄の組合せが並んでいるか否かを判定する。有効ライン上に当選役に対応した図柄の組合せが並んでいれば、CPU41は、その当選役に入賞と判定し、当選役に応じた処理を実行する。
【0050】
また、CPU41は、データ送出回路45を介して、サブ基板32に各種データを送出する。各種データには、ゲーム開始の条件が成立したことを表すベット信号、スタートレバー19が操作されたことを表すレバーオン信号、左ストップボタン20Lが操作されたことを表す左停止信号、中ストップボタン20Cが操作されたことを表す中停止信号、右ストップボタン20Rが操作されたことを表す右停止信号、および内部抽選の当選役に関する情報である当選役データなどが含まれる。」

(ケ)

「【0065】
具体的には、CPU41は、スタートレバー19が操作されたタイミングで、乱数生成回路47から乱数を取得する。そして、CPU41は、ROM42に格納されている抽選テーブルを参照する。抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する乱数の範囲(たとえば、0~65535)が複数の抽選区分に分けられ、抽選区分の個々に1以上の役が対応づけられている。CPU41は、乱数生成回路47から取得した乱数が属する抽選区分に対応づけられた役を当選役として決定する。乱数生成回路47から取得した乱数がどの抽選区分にも属さない場合には、CPU41は、内部抽選の結果を不当選(純ハズレ)と決定する。
【0066】
また、スタートレバー19が操作されると、CPU41は、前のゲーム(実ゲーム)での左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転の開始から4.1秒間が経過しているか否かを判定する(ステップS3)。
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【0067】
前のゲームでの左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転の開始から4.1秒間が経過していれば(ステップS3のYES)、CPU41は、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rに駆動パルス信号を入力し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの順方向の回転を開始させる(ステップS4)。CPU41は、左リール位置検出センサ51L、中リール位置検出センサ51Cおよび右リール位置検出センサ51Rの出力信号ならびに左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力数に基づいて、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転位置を常に把握している。
【0068】
前のゲームでの左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転の開始から4.1秒間が経過するまでは、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転が開始されない(ステップS3のNO)。これにより、1ゲームに費やされる時間が4.1秒間以上に保たれる。
【0069】
その後、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの回転速度が一定になると、CPU41は、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rを有効化する。そして、CPU41は、遊技者による第1停止操作が行われたか否かを判定する(ステップS5)。
【0070】
なお、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rの有効化後における左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rの操作のうち、最初の操作を「第1停止操作」といい、2番目の操作を「第2停止操作」といい、最後の操作を「第3停止操作」という。
【0071】
第1停止操作が行われるまで、CPU41は、第1停止操作が行われたか否かの判定を繰り返す(ステップS5のNO)。
【0072】
第1停止操作が行われると(ステップS5のYES)、CPU41は、第1停止操作のタイミングと内部抽選の結果とに基づく停止制御により、第1停止操作に対応した左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cまたは右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、第1停止操作に対応した左リール4L、中リール4Cまたは右リール4Rを停止(第1停止)させる(ステップS6)。このとき、第1停止操作に対応した左リール4L、中リール4Cまたは右リール4Rは、第1停止操作時の回転位置を基準として、所定の最大スベリコマ数(たとえば、4コマ)の図柄が移動する範囲内でその回転が停止される。第2停止操作および第3停止操作が行われた場合についても、同様の停止制御が行われる。」

(コ)

「【0079】
そして、CPU41は、有効ライン上に内部抽選での当選役に対応した図柄の組合せが並んでいるか否かを判定する(ステップS11)。有効ライン上に当選役に対応した図柄の組合せが並んでいれば、CPU41は、その当選役に入賞と判定し、当選役に応じた処理を実行して、図3Aおよび図3Bに示される一連の処理を終了する。」

(サ)

「【0080】
図4は、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの各周面(リール帯)に描かれている図柄の配列を示す図である。」

(シ)

「【0086】
図5A、図5B、図5C、図5D、図5E、図5Fおよび図5Gは、内部抽選の抽選対象である役の種類および個々の役に対応づけられた図柄の組合せおよび配当数(払出枚数)を示す図である。
【0087】
内部抽選の抽選対象の役には、「一種BB」、「リプレイ1」、「リプレイ2」、「正解小役1~27」、「順不正解小役1~12」、「逆不正解小役1~14」、「下段小役」および「右上がり小役」が含まれる。」

(ス)

「【0092】
「正解小役1」は、小役の1つである。「正解小役1」には、図5Bに示されるように、「黄ベル」?「黄ベル」?「黄ベル」の図柄が左からこの順に並ぶ図柄組合せが対応づけられている。また、「正解小役1」には、配当数「7」が対応づけられている。内部抽選で「正解小役1」が当選役として決定され、当該ゲームで「黄ベル」?「黄ベル」?「黄ベル」の図柄の組合せが有効ライン上に停止すると、「正解小役1」に入賞となる。「正解小役1」の入賞に対しては、7枚のメダルが配当として付与される。」

(セ)

「【0119】
「順不正解小役1」は、小役の1つである。「順不正解小役1」には、図5Cに示されるように、「黄ベル」-「リプ1」-「リプ1」の図柄が左からこの順に並ぶ図柄組合せが対応づけられている。また、「順不正解小役1」には、配当数「1」が対応づけられている。内部抽選で「順不正解小役1」が当選役として決定され、当該ゲームで「黄ベル」-「リプ1」-「リプ1」の図柄の組合せが有効ライン上に停止すると、「順不正解小役1」に入賞となる。「順不正解小役1」の入賞に対しては、1枚のメダルが配当として付与される。」

(ソ)

「【0148】
スロットマシン1の遊技状態には、「一種BB」の当選が持ち越されている非特別遊技状態である「一種BB内部中」と、一種BBゲームが実行されている特別遊技状態である「一種BB中」と、「一種BB内部中」および「一種BB中」のいずれの状態でもない非特別遊技状態である「通常中」とがある。」

(タ)

「【0150】
「通常中」の遊技状態における内部抽選では、図7に示される通常中抽選テーブルが使用される。
【0151】
通常中抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する65536個の乱数のうちの5920個の乱数(抽選値)が属する抽選区分に、「一種BB」が対応づけられている。
【0152】
また、65536個の乱数のうちの1700個の乱数が属する抽選区分には、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」が対応づけられている。」

(チ)

「【0183】
また、乱数生成回路47から取得された乱数が属する抽選区分に「正解小役1」が対応づけられている場合、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」が当選役として決定される。すなわち、乱数生成回路47から取得された乱数が属する抽選区分に「正解小役1」が対応づけられている場合、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」に同時当選する。
【0184】
当該抽選区分には、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rの正解となる操作順である正解押し順が設定されている。遊技者により、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが正解押し順で操作され、かつ、「正解小役1」に対応づけられた「黄ベル」-「黄ベル」-「黄ベル」の図柄の組合せを構成する各図柄、つまり「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功すると、停止制御により、当該図柄の組合せが有効ライン上に停止され、「正解小役1」に入賞となる。「黄ベル」の図柄を狙った目押しは、停止制御により「黄ベル」の図柄を有効ライン上に停止させることが可能な範囲(黄ベルの引き込み範囲)に含まれる図柄が有効ライン付近に位置するタイミングで左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cまたは右ストップボタン20Rを操作すると成功する。
【0185】
当該抽選区分の正解押し順として、たとえば、中ストップボタン20Cの第1停止操作、左ストップボタン20Lの第2停止操作および右ストップボタン20Rの第3停止操作の操作順が設定されている場合を例にとる。この場合に、正解押し順と同じ順序に従って、つまり中ストップボタン20C→左ストップボタン20L→右ストップボタン20R→中ストップボタン20C→左ストップボタン20L→・・・の順序に従って、正解押し順以外の操作順で、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、その操作のタイミングにより、「順不正解小役3~6,9~12」のいずれかに対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止され、当該図柄の組合せに対応する役に入賞となるか、「順不正解小役3~6,9~12」のいずれに対応づけられた図柄の組合せも有効ライン上に停止せず、非入賞となる。また、正解押し順と逆の順序に従って、つまり中ストップボタン20C→右ストップボタン20R→左ストップボタン20L→中ストップボタン20C→右ストップボタン20R→・・・の順序に従って、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、その操作のタイミングにより、「逆不正解小役1~12」のいずれかに対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止され、当該図柄の組合せに対応する役に入賞となるか、「逆不正解小役1~12」のいずれに対応づけられた図柄の組合せも有効ライン上に停止せず、非入賞となる。」

(ツ)

【図4】

「
[図:0001390396000001.jpg]
」

(テ)

【図5B】

「
[図:0001390396000002.jpg]
」

(ト)

「【図5C】
[図:0001390396000003.jpg]
」

(ナ)

「【図5D】
[図:0001390396000004.jpg]
」

イ 引用例の記載より認定できる事項

(ア)認定事項ア

図5Cに示した順不正解小役の配当数を参照すると、「順不正解小役1~12」は、いずれも配当数が1であるから、「順不正解小役3~6,9~12」は、いずれも配当数が1であることが看て取れるから、これらの入賞に対しては、1枚のメダルが付与されることが認められ、また、図5Dに示した逆不正解小役の配当数を参照すると、「逆不正解小役1~12」は、いずれも配当数が1であるから、「逆不正解小役1~12」は、いずれも配当数が1であることが看て取れるから、これらの入賞に対しても、1枚のメダルが付与されることが認められる。

(イ)認定事項イ

図4に示した、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの各周面(リール帯)に描かれている図柄の配列(【0080】)を参照すると、「黄ベル」の図柄は各リールにおいて2コマしか配置されていないことから、「黄ベル」の図柄を有効ラインに停止できるか否かは第1停止操作、第2停止操作又は第3停止操作のタイミングに基づくことが看て取れ、「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされると、当該図柄の組合せが有効ライン上に停止されるが、「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされないと、最大スベリコマ数(たとえば、4コマ)の範囲内に「黄ベル」の図柄が存在せず、「正解小役1」に対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止されないことが認定できる。

ウ 引用発明

上記ア及びイからみて、引用例には、次の発明が記載されている。なお、a-1からkについては本願補正発明の特定事項AからKに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。

「a-1 前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備え(【0023】)、本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rが左右に並べて配置され、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有し、リール帯には、21個の図柄が周方向に並べて配列され(【0024】)、
a-2 前扉3には、操作部13が設けられ、操作部13は、平坦な上面14および前側に緩やかに凸湾曲した前面15を有し(【0028】)、前面15には、スタートレバー19、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C、右ストップボタン20Rおよび精算ボタン21が設けられた(【0030】)
f スロットマシン1であって(【0023】)、
b-1 スロットマシン1は、ゲームの中枢的な制御を実行するメイン基板31を備え(【0042】)、
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b-2 メイン基板31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44およびデータ送出回路45が備えられ、また、メイン基板31には、CPU41にクロックパルスを与えるクロック発生回路46と、乱数を生成する乱数生成回路47とが備えられ(【0043】)、
b-3 CPU41は、スタートレバー19が操作されたタイミングで、乱数生成回路47から乱数を取得し、ROM42に格納されている抽選テーブルを参照し、抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する乱数の範囲(たとえば、0~65535)が複数の抽選区分に分けられ、抽選区分の個々に1以上の役が対応づけられており、乱数生成回路47から取得した乱数が属する抽選区分に対応づけられた役を当選役として決定し、乱数生成回路47から取得した乱数がどの抽選区分にも属さない場合には、内部抽選の結果を不当選と決定し(【0065】)、
b-4 スロットマシン1の遊技状態には、「一種BB」の当選が持ち越されている非特別遊技状態である「一種BB内部中」と、一種BBゲームが実行されている特別遊技状態である「一種BB中」と、「一種BB内部中」および「一種BB中」のいずれの状態でもない非特別遊技状態である「通常中」とがあり(【0148】)、「通常中」の遊技状態における内部抽選では、通常中抽選テーブルが使用され(【0150】)、通常中抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する65536個の乱数のうちの1700個の乱数が属する抽選区分には、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」が対応づけられ(【0151】、【0152】)、
c-1 CPU41は、入出力ポート44に接続されている各制御対象を制御し(【0044】)、
c-2 入出力ポート44には、左リール4Lを回転駆動する左リール駆動モータ61L、中リール4Cを回転駆動する中リール駆動モータ61C、右リール4Rを回転駆動する右リール駆動モータ61R、メダルを払い出すためのメダル払出駆動モータ63が制御対象として接続され(【0047】)、
c-3 スタートレバー19が操作されると(【0066】)、CPU41は、左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cおよび右リール駆動モータ61Rに駆動パルス信号を入力し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの順方向の回転を開始させ(【0067】)、
c-4 第1停止操作が行われると、CPU41は、第1停止操作のタイミングと内部抽選の結果とに基づく停止制御により、第1停止操作に対応した左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cまたは右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、第1停止操作に対応した左リール4L、中リール4Cまたは右リール4Rを停止(第1停止)させ、このとき、第1停止操作に対応した左リール4L、中リール4Cまたは右リール4Rは、第1停止操作時の回転位置を基準として、所定の最大スベリコマ数の図柄が移動する範囲内でその回転が停止され、第2停止操作および第3停止操作が行われた場合についても、同様の停止制御が行われ(【0072】)、
de CPU41は、有効ライン上に内部抽選での当選役に対応した図柄の組合せが並んでいるか否かを判定し、有効ライン上に当選役に対応した図柄の組合せが並んでいれば、その当選役に入賞と判定し(【0079】)、所定の配当数のメダルが配当として付与され(【0036】)、
g-1 乱数生成回路47から取得された乱数が属する抽選区分に「正解小役1」が対応づけられている場合、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」に同時当選し、当選役として決定され(【0183】)、
g-2 「正解小役1」の入賞に対しては、7枚のメダルが配当として付与され(【0092】)、「順不正解小役3~6,9~12」及び「逆不正解小役1~12」の入賞に対しては、1枚のメダルが配当として付与され(認定事項ア)、
hij-1 当該抽選区分には、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rの正解となる操作順である正解押し順が設定され(【0184】)、
hij-2 遊技者により、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが正解押し順で操作され、かつ、「正解小役1」に対応づけられた「黄ベル」-「黄ベル」-「黄ベル」の図柄の組合せを構成する各図柄、つまり「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされると、停止制御により、当該図柄の組合せが有効ライン上に停止され、「正解小役1」に入賞となり(【0184】、認定事項イ)、「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされないと、所定の最大スベリコマ数の範囲内に「黄ベル」の図柄が存在せず、「正解小役1」に対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止されず(認定事項イ)、
k 正解押し順以外の操作順で、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、その操作のタイミングにより、「順不正解小役3~6,9~12」のいずれかに対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止され、当該図柄の組合せに対応する役に入賞となるか、「順不正解小役3~6,9~12」のいずれに対応づけられた図柄の組合せも有効ライン上に停止せず、非入賞となり、また、正解押し順と逆の順序に従って、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、その操作のタイミングにより、「逆不正解小役1~12」のいずれかに対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止され、当該図柄の組合せに対応する役に入賞となるか、「逆不正解小役1~12」のいずれに対応づけられた図柄の組合せも有効ライン上に停止せず、非入賞となる(【0185】)
f スロットマシン1(【0023】)。」

(以下「引用発明」という。)

(3)周知例の記載、周知技術等

ア 周知例1

本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-27609号公報(平成27年2月12日公開、以下「周知例1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、スロットマシン等で代表される遊技機に関するものである。」
「【0479】
このように、取りこぼしうる小役(チェリー)と、常に引き込み制御可能なリプレイや小役(ベル、スイカ)との共有当選当たり値とすることによって、万人から支持される遊技機を提供することが可能となる。つまり、チェリーに当選したとき、常に取りこぼすことなく目押しできる技量を持った遊技者であれば、チェリー図柄を揃えることによって小役のなかでは最も多くのメダル払い出しを享受でき、優越感に浸ることが可能となる。また、常にチェリーを目押しすることができない遊技者であったとしても、チェリーは、常に取りこぼされ得ない他の小役と重複当選しているので、従来であればメダルが払い出されないところ、当該他の小役図柄が揃うことによってメダルの払い出しを享受でき、遊技者に与える損失感を軽減できる。これにより、目押しの技量が高い遊技者、および、目押しの技量が低い遊技者のいずれからも支持される遊技機を提供することが可能となる。さらに、チェリーに当選したときに遊技者がチェリーを取りこぼしたとしても、チェリー図柄が揃ったときに払い出されるメダル枚数(12枚)よりも少ないメダルが払い出されるので、ホールにとっても過剰な損失とはならない。これにより、遊技者とホールとの均衡を図ることが可能となる。」

イ 周知例2

本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-100825号公報(平成21年5月14日公開、以下「周知例2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、スロットマシン等で代表される遊技機に関するものである。」
「【0489】
このように、取りこぼしうる小役(チェリー)と、常に引き込み制御可能なリプレイや小役(ベル、スイカ)との共有当選当たり値とすることによって、万人から支持される遊技機を提供することが可能となる。つまり、チェリーに当選したとき、常に取りこぼすことなく目押しできる技量を持った遊技者であれば、チェリー図柄を揃えることによって小役のなかでは最も多くのメダル払い出しを享受でき、優越感に浸ることが可能となる。また、常にチェリーを目押しすることができない遊技者であったとしても、チェリーは、常に取りこぼされ得ない他の小役と重複当選しているので、従来であればメダルが払い出されないところ、当該他の小役図柄が揃うことによってメダルの払い出しを享受でき、遊技者に与える損失感を軽減できる。これにより、目押しの技量が高い遊技者、および、目押しの技量が低い遊技者のいずれからも支持される遊技機を提供することが可能となる。さらに、チェリーに当選したときに遊技者がチェリーを取りこぼしたとしても、チェリー図柄が揃ったときに払い出されるメダル枚数(12枚)よりも少ないメダルが払い出されるので、ホールにとっても過剰な損失とはならない。これにより、遊技者とホールとの均衡を図ることが可能となる。」

ウ 周知技術1

上記ア及びイからみて、以下の事項が本願の出願前に周知であると認められる。

「取りこぼしうる小役と、常に引き込み制御可能なリプレイや小役との共有当選当たり値とすることによって、取りこぼしうる小役を取りこぼしたとしても、他の小役図柄が揃うスロットマシン。」(以下「周知技術1」という。)。

エ 周知例3

原査定で引用文献2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第5857301号公報(平成28年2月10日発行、以下「周知例3」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

「【0018】
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。」
「【0058】
そして本実施形態では、いずれかの打順ベルが当選した場合に、ストップボタンB1?B3の押下順序に応じたロジック演算が行われる。具体的には、打順ベルC1~打順ベルC6、打順ベルR1~打順ベルR6のそれぞれに対して正解打順が設定されており、正解打順とは異なる順序は不正解打順として扱われる。そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタンB1~B3に対する停止操作が行われると、メダルの払出数に応じて優先度を求めるロジック演算を行い、メダルの払出数が最も多くなる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められる。また、いずれかの打順ベルが当選した場合に、不正解打順でストップボタンB1~B3に対する停止操作が行われると、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの種類に応じて停止位置の候補についての優先度を求めるロジック演算を行い、最も多くの入賞形態を示す図柄組合せを表示させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められる。
【0059】
・・・、各打順ベルに含まれる複数種類の小役のうち、ベルは、配当が8枚で入賞形態を示す図柄組合せの種類は3種類であり、不正解小役1~特殊小役4は、いずれも配当が1枚で入賞形態を示す図柄組合せの種類は各4種類、不正解小役5および不正解小役6は、いずれも配当が1枚で入賞形態を示す図柄組合せの種類は各2種類、制御小役1および制御小役2は、いずれも配当が1枚で入賞形態を示す図柄組合せの種類は各6種類となっている。このためいずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、メダルの払出数が多くなるベルを入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われ、不正解打順でストップボタンB1~B3に対する停止操作が行われると、入賞形態を示す図柄組合せの種類が多くなる不正解小役や制御小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われる。」

オ 周知例4

本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第5888532号公報(平成28年3月22日発行、以下「周知例4」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

「【0016】
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。」
「【0055】
そして本実施形態では、打順ベルが当選した場合に、ストップボタンB1~B3の押下順序に応じたロジック演算が行われる。具体的には、図7に示すように、打順ベル1~打順ベル12のそれぞれに対して正解打順が設定されており、正解打順と異なる順序が不正解打順として扱われる。」
「【0063】
・・・。このように本実施形態では、打順ベルの当選時に参照される停止制御テーブルにおいて、正解打順では最も多くのメダルが払い出されるように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、不正解打順では有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。」

カ 周知例5

原査定で引用文献3として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-187493号公報(平成28年11月4日公開、以下「周知例5」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、回転している複数のリールが停止したときに表示された図柄の組合せによって、遊技の結果が定まるスロットマシンに関する。」
「【0214】
図20(e)は、MB非内部中に入賞A1条件装置が当選したとき、左リール40Lの「ベル」図柄が有効ラインL1上に停止表示されたのち、中ストップスイッチ37Cを第2停止したときの停止態様を示す。中ストップスイッチ37Cが、中リール40Cの図柄番号15の「リプレイ」図柄が下段Lを通過しているとき停止操作されると、中リール40Cの図柄番号16の「ベル」図柄が有効ラインL1上に停止表示される。このとき、「ベル」図柄は、払い出し枚数が多い図柄組合せを優先して引き込む枚数優先引き込みによって入賞1(ベル)に対応する「ベル」図柄が有効ラインL1上に停止表示される。」
「【0216】
図20(g)は、MB非内部中に入賞A1条件装置が当選したとき、左リール40Lの「ベル」図柄が有効ラインL1上に停止表示されたのち、右ストップスイッチ37Rを第2停止したときの停止態様を示す。右ストップスイッチ37Rが、右リール40Rの図柄番号16の「ベル」図柄が下段Lを通過しているとき停止操作されると、図柄番号2の「スイカ」図柄が有効ラインL1上に停止表示される。このとき、右リール40Rの図柄番号16の「ベル」図柄が下段Lを通過しているときであるので、引き込み可能な図柄は、入賞1に対応する「ベル」図柄と、1枚役3、4に対応する「スイカ」図柄とになる。このとき、右リール40Rの第2停止は、不正解操作順序であり、個数優先引き込みによって、「スイカ」図柄は2個、「ベル」図柄は1個と「スイカ」図柄の方が多いため、「スイカ」図柄を引き込む。」

キ 周知技術2

上記エないしカからみて、以下の事項が本願出願前に周知であると認められる。

「所定の役に対して正解打順が設定され、正解打順と異なる順序が不正解打順として扱われるリールの停止制御において、正解打順では最も多くのメダルが払い出されるように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、不正解打順では有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように押下検出位置に対する停止位置が設定されているスロットマシン。」(以下「周知技術2」という。)

(4)対比

本願補正発明と引用発明を対比する。

ア 特定事項Aについて

引用発明のa-1における「ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有し、リール帯には、21個の図柄が周方向に並べて配列され」た「左右に並べて配置され」た「左リール4L、中リール4Cおよび右リール4R」は、本願補正発明の特定事項Aにおける「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリール」に相当する。

よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Aを備える。

イ 特定事項Bについて

引用発明のb-3における「スタートレバー19が操作されたタイミングで、乱数生成回路47から乱数を取得し、」「乱数生成回路47が生成する乱数の範囲(たとえば、0~65535)が複数の抽選区分に分けられ、抽選区分の個々に1以上の役が対応づけられ」た「抽選テーブルを参照し、」「乱数生成回路47から取得した乱数が属する抽選区分に対応づけられた役を当選役として決定し、乱数生成回路47から取得した乱数がどの抽選区分にも属さない場合には、」「内部抽選の結果を不当選と決定」することは、本願補正発明の特定事項Bにおける「小役を含む複数種類の役の当否を決定」することに相当する。

また、引用発明のb-4における「正解小役1」は、本願補正発明の特定事項Bにおける「正解小役」に相当し、引用発明のb-4及びg-1における「通常中抽選テーブルでは、乱数生成回路47が生成する65536個の乱数のうちの1700個の乱数が属する抽選区分には、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」が対応づけられ」、「「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」に同時当選し、当選役として決定され」ることは、本願補正発明の特定事項Bにおける「正解小役を含む複数種類の小役が重複して当選する特定当選態様が存在するように」されたことに相当する。

そして、引用発明のb-3及びb-4における「スタートレバー19が操作されたタイミングで、乱数生成回路47から乱数を取得し、」「乱数生成回路47が生成する乱数の範囲(たとえば、0~65535)が複数の抽選区分に分けられ、抽選区分の個々に1以上の役が対応づけられ」、「乱数生成回路47が生成する65536個の乱数のうちの1700個の乱数が属する抽選区分には、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」が対応づけられ」た、「通常中抽選テーブル」「を参照し、」「乱数生成回路47から取得した乱数が属する抽選区分に対応づけられた役を当選役として決定し、乱数生成回路47から取得した乱数がどの抽選区分にも属さない場合には、」「内部抽選の結果を不当選と決定」する「CPU41」は、本願補正発明の特定事項Bにおける「小役を含む複数種類の役の当否を決定し、正解小役を含む複数種類の小役が重複して当選する特定当選態様が存在するように内部抽選を行う内部抽選手段」としての機能を有するものである。

よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Bを備える。

ウ 特定事項Cについて

引用発明のc-2、c-3及びc-4における「スタートレバー19が操作されると」、「左リール4Lを回転駆動する左リール駆動モータ61L、中リール4Cを回転駆動する中リール駆動モータ61C、右リール4Rを回転駆動する右リール駆動モータ61Rに駆動パルス信号を入力し、左リール4L、中リール4Cおよび右リール4Rの順方向の回転を開始させ」、「第1停止操作が行われると、」「第1停止操作のタイミングと内部抽選の結果とに基づく停止制御により、第1停止操作に対応した左リール駆動モータ61L、中リール駆動モータ61Cまたは右リール駆動モータ61Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、第1停止操作に対応した左リール4L、中リール4Cまたは右リール4Rを停止(第1停止)させ、このとき、第1停止操作に対応した左リール4L、中リール4Cまたは右リール4Rは、第1停止操作時の回転位置を基準として、所定の最大スベリコマ数の図柄が移動する範囲内でその回転が停止され、第2停止操作および第3停止操作が行われた場合についても、同様の停止制御」を「行」う「CPU41」は、本願補正発明の特定事項Cにおける「前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段」としての機能を有するものである。

よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Cを備える。

エ 特定事項Dについて

引用発明のdeにおける「有効ライン上に内部抽選での当選役に対応した図柄の組合せが並んでいるか否かを判定し、有効ライン上に当選役に対応した図柄の組合せが並んでいれば、」「その当選役に入賞と判定」する「CPU41」は、本願補正発明の特定事項Dにおける「前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段」としての機能を有するものである。

よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Dを備える。

オ 特定事項Eについて

引用発明のdeにおける「当選役に入賞と判定し」、「所定の配当数のメダルが配当として付与」する「CPU41」は、本願補正発明の特定事項Eにおける「小役の入賞に伴い、入賞した小役の配当に基づいて遊技価値の払出数を決定する制御を行う払出制御手段」としての機能を有するものである。

よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Eを備える。

カ 特定事項Fについて

引用発明のfにおける「スロットマシン1」は、本願補正発明の特定事項Fにおける「遊技機」に相当する。

よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Fを備える。

キ 特定事項Gについて

引用発明のg-1及びg-2における「乱数生成回路47から取得された乱数が属する抽選区分に「正解小役1」が対応づけられている場合、」「7枚のメダルが配当として付与され」る「「正解小役1」」と、「1枚のメダルが配当として付与され」る「「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」に同時当選し、当選役として決定され」ることは、本願補正発明の特定事項Gにおける「前記特定当選態様では、前記正解小役と前記正解小役よりも配当が低い他の小役とが重複して当選」することに相当する。

よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Gを備える。

ク 特定事項H、I及びJについて

引用発明のg-1、hij-1及びhij-2における「乱数生成回路47から取得された乱数が属する抽選区分に「正解小役1」が対応づけられている場合、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」に同時当選し、当選役として決定され」、「当該抽選区分には、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rの正解となる操作順である正解押し順が設定され」、「遊技者により、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが正解押し順で操作され」ることは、本願補正発明の特定事項Iにおける「内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合」に相当する。

また、引用発明のhij-2における「「正解小役1」に対応づけられた「黄ベル」-「黄ベル」-「黄ベル」の図柄の組合せを構成する各図柄、つまり「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされると、停止制御により、当該図柄の組合せが有効ライン上に停止され、「正解小役1」に入賞とな」ること、及び、「「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされないと、所定の最大スベリコマ数の範囲内に「黄ベル」の図柄が存在せず、「正解小役1」に対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止され」ないことは、「正解小役1」に入賞となる場合とそうでない場合があることであるから、本願補正発明の特定事項Jにおける「正解小役が入賞する場合と前記正解小役が入賞しない場合とが存在」することに相当する。

そして、引用発明のhij-2における「「正解小役1」に対応づけられた「黄ベル」-「黄ベル」-「黄ベル」の図柄の組合せを構成する各図柄、つまり「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされると、停止制御により、当該図柄の組合せが有効ライン上に停止され、「正解小役1」に入賞とな」ることは、本願補正発明の特定事項Jにおける「前記複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に前記正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ」ることに相当する。

さらに、引用発明のc-4において、「左リール4L」、「中リール4C」及び「右リール4R」の「停止制御」が「CPU41」により行われることが特定されている。

したがって、引用発明のc-4、g-1、hij-1及びhij-2における「乱数生成回路47から取得された乱数が属する抽選区分に「正解小役1」が対応づけられている場合、「正解小役1」、「順不正解小役3~6,9~12」および「逆不正解小役1~12」に同時当選し、当選役として決定され」、「当該抽選区分には、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rの正解となる操作順である正解押し順が設定され」、「遊技者により、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが正解押し順で操作され、かつ、「正解小役1」に対応づけられた「黄ベル」-「黄ベル」-「黄ベル」の図柄の組合せを構成する各図柄、つまり「黄ベル」の図柄を狙った目押しが成功するタイミングで第1停止操作、第2停止操作及び第3停止操作がなされると、」「CPU41」による「停止制御により、当該図柄の組合せが有効ライン上に停止され、「正解小役1」に入賞とな」ることと、本願補正発明の特定事項H、I及びJにおける「前記リール制御手段が、」「内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合には前記正解小役が入賞する場合と前記正解小役が入賞しない場合とが存在し、」「前記複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に前記正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記正解小役が入賞しない場合には前記他の小役が必ず入賞するように回転中のリールを停止させ」ることとは、「前記リール制御手段が、」「内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合には前記正解小役が入賞する場合と前記正解小役が入賞しない場合とが存在し、」「前記複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に前記正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ」る点で両者は一致する。

ケ 特定事項Kについて

引用発明のkにおける「正解押し順以外の操作順で、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが操作されると、その操作のタイミングにより、「順不正解小役3~6,9~12」のいずれかに対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止され、当該図柄の組合せに対応する役に入賞となるか、「順不正解小役3~6,9~12」のいずれに対応づけられた図柄の組合せも有効ライン上に停止せず、非入賞となる」ことと、本願補正発明の特定事項Kにおける「前記正解打順とは異なる場合には表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記正解小役が入賞しないように回転中のリールを停止させる」こととは、引用発明のkにおける「「順不正解小役3~6,9~12」のいずれかに対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止され、当該図柄の組合せに対応する役に入賞となるか、「順不正解小役3~6,9~12」のいずれに対応づけられた図柄の組合せも有効ライン上に停止せず、非入賞となる」ことが「正解小役1」が入賞しないことであることは明らかであるから、両者は、「前記正解打順とは異なる場合には」「前記正解小役が入賞しないように回転中のリールを停止させる」点で一致する。

コ 上記ア-ケからみて、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。

<一致点>

A 外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、

B 小役を含む複数種類の役の当否を決定し、正解小役を含む複数種類の小役が重複して当選する特定当選態様が存在するように内部抽選を行う内部抽選手段と、

C 前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、

D 前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、

E 小役の入賞に伴い、入賞した小役の配当に基づいて遊技価値の払出数を決定する制御を行う払出制御手段と、

F を備えた遊技機であって、

G 前記特定当選態様では、前記正解小役と前記正解小役よりも配当が低い他の小役とが重複して当選し、

H 前記リール制御手段が、

I 内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合には前記正解小役が入賞する場合と前記正解小役が入賞しない場合とが存在し、

J’ 前記複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に前記正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、

K’ 前記正解打順とは異なる場合には前記正解小役が入賞しないように回転中のリールを停止させる

F 遊技機。」

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点1> (特定事項I,J)

停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合において、本願補正発明は、前正解小役が入賞しない場合には他の小役が必ず入賞するように回転中のリールを停止させるのに対して、引用発明は、目押しが成功せず、「正解小役1」に対応づけられた図柄の組合せが有効ライン上に停止されない場合における有効ライン上に停止される図柄の組合せについての特定がされていない点。

<相違点2> (特定事項K)

本願補正発明は、正解打順とは異なる場合には表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって、正解小役が入賞しないように回転中のリールを停止させるのに対して、引用発明は、表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって「正解小役1」が入賞しないようにしているか否かは不明である点。

(5)判断

上記の各相違点について検討する。

ア 相違点1について

周知技術1(上記(3)ウ)として示したように、「取りこぼしうる小役と、常に引き込み制御可能なリプレイや小役との共有当選当たり値とすることによって、取りこぼしうる小役を取りこぼしたとしても、他の小役図柄が揃うスロットマシン」は、本願出願前周知である。

そして、周知技術1における「取りこぼしうる小役を取りこぼ」すことは、本願補正発明の相違点1に係る構成の「正解小役が入賞しない場合」に相当し、周知技術1における「他の小役図柄が揃う」ことは、本願補正発明の相違点1に係る構成の「他の小役が必ず入賞するように」したことに相当する。

してみると、周知技術1は、本願補正発明の相違点1に係る構成をすべて具備するものである。

ここにおいて、引用発明と周知技術1とは、複数の役が重複当選し得るスロットマシンという点で技術分野が共通し、遊技の興趣性を向上させるという課題を内在する点でも共通するから、周知技術1を引用発明に適用し、遊技者により、左ストップボタン20L、中ストップボタン20Cおよび右ストップボタン20Rが正解押し順で操作され、目押しが成功しない場合においても、他の小役図柄が揃うように構成し、本願補正発明の相違点1に係る構成を成すことは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について

周知技術2(上記(3)キ)として示したように、「所定の役に対して正解打順が設定され、正解打順と異なる順序が不正解打順として扱われるリールの停止制御において、正解打順では最も多くのメダルが払い出されるように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、不正解打順では有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように押下検出位置に対する停止位置が設定されているスロットマシン」は、本願出願前周知である。

そして、周知技術2における「不正解打順では有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように押下検出位置に対する停止位置が設定され」ることは、本願補正発明の相違点2に係る構成の「正解打順とは異なる場合には表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定すること」に相当する。

ここにおいて、引用発明と周知技術2とは、所定の役に対して正解打順が設定され、正解打順と異なる順序が不正解打順として扱われるスロットマシンという点で技術分野が共通し、遊技の興趣性を向上させるという課題を内在する点でも共通するから、周知技術2を引用発明に適用し、不正解打順では、「正解小役1」が入賞しないようにするために、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数が最も多くなるように押下検出位置に対する停止位置が設定されるように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

(6)本願補正発明の奏する効果について

本願補正発明の奏する効果は、引用発明、周知技術1及び2の奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

(7)請求人の主張について

ア 請求人の主張の概要 請求人は、審判請求書の「3-4.本願発明と引用発明との対比」において、概ね以下のとおり主張する。

「 本願発明では、内部抽選で特定当選態様が得られた場合に、停止操作の順序として予め設定されている正解打順である場合には正解小役が入賞する場合と正解小役が入賞しない場合とが存在し、複数のリールのそれぞれを停止させる複数の停止操作のうち一部の停止操作が特定のタイミングで行われた場合に正解小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、正解小役が入賞しない場合には他の小役が必ず入賞するように回転中のリールを停止させる構成(以下、本願発明に特有の構成1)を採用しています。」

「 ・・・引用文献1~3(合議体注:それぞれ、上記引用例、上記周知例3、上記周知例5に相当する。)の記載内容からは、上記本願発明に特有の構成1を導き出すことができないため、本願発明を引用文献1~3に基づいて容易に想到することができたと論理づけることはできないものと思料いたします。よって本願発明は原査定の拒絶理由には該当しないものと思料いたします。」

イ 請求人の主張についての検討

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請求人の主張について以下に検討すると、請求人が主張する「本願発明に特有の構成1」は、上記(4)及び(5)において検討した本願補正発明の相違点1に係る構成に相当する。

そして、上記(5)アにおいて検討したとおり、本願補正発明の相違点1に係る構成は、周知技術1として示したように、本願出願前周知の事項であり、上記「本願発明に特有の構成1」を備えることによって、本願補正発明が格別な進歩性を有するものとは認められない。

したがって、審判請求書における請求人の主張は採用できない。

(8)むすび

以上のとおり、本願補正発明は、当業者が、引用発明、周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括

本願補正発明は、上記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年1月12日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項 1

・下記引用文献等 1-3

<引用文献等一覧>

1.特開2015-231399号公報

2.特許第5857301号公報(周知技術を示す文献)

3.特開2016-187493号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献に記載された内容

引用文献1は、上記第2[理由]3における「引用例」に相当し、引用文献2は、上記2[理由]3における「周知例3」に相当し、引用文献3は、上記2[理由]3における「周知例5」に相当する。

したがって、引用文献1、2及び3に記載された内容は、上記第2[理由]3(2)及び(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明(上記第2[理由]1)は、本願補正発明(上記第2[理由]3(1))から、本件補正により限定された事項、すなわち、上記相違点1に係る本願補正発明の構成を削除したものである。

そして、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明と引用発明とは、上記相違点2で相違し、その余の点で一致するから、上記第2[理由]3(5)イで示した理由と同様な理由により、本願発明は、当業者が、引用発明及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-000575

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