審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-000316

空調吹出口の風向調整装置及びそのイオン発生装置

審判番号
2022-000316
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-066082外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月07日
審決日
2022年10月19日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021- 66082「空調吹出口の風向調整装置及びそのイオン発生装置」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年4月8日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和 3年 7月29日付け:拒絶理由通知書 令和 3年10月 1日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年11月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (令和 3年11月 9日 :原査定の謄本の送達) 令和 4年 1月 7日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1ないし5に係る発明は、令和 3年10月 1日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、前記空調吹出口から吹き出される空気を受ける面板部と、 前記面板部を前記空調吹出口の前方に取り付ける取付部と、 前記面板部の前記空調吹出口側において前記面板部に載置されており、イオンを発生するイオン発生装置と、を備え、 前記イオン発生装置は、イオンを発生する針状放電電極の針を、前記面板部の前記空調吹出口側の面と平行な上面から上向きに突設させた装置である、 空調吹出口の風向調整装置。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項、及び引用文献3に記載の周知事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 引用文献1:特開2017-166817号公報 引用文献2:特開2017-199553号公報 引用文献3:特開2011-33254号公報 なお、令和3年7月29日付けの拒絶理由通知書によれば、引用文献3は、この出願の請求項2について周知事項を示す文献として用いたものであり、この出願の請求項1に対して実質的に用いたものではない。 第4 引用文献 1 引用文献1について (1) 引用文献1の記載 原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献1には、以下の記載がある(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。 「【請求項1】 空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、前記空調吹出口から吹き出される空気を受ける面板部と、 前記面板部を前記空調吹出口の前方に取り付ける取付部と、 前記面板部に配置される抗菌部材であって、除菌性を有する物質である抗菌剤と、微細孔を有する袋材に前記抗菌剤を収容する袋体と、を有する抗菌部材と、を備え、 前記面板部は、 前記抗菌部材が格納されるトレー状の筐体部と、 前記筐体部の上部開口を一部覆い、前記空調吹出口から吹き出されて前記抗菌部材を通過する空気の通気量を制限する通気口を有するカバー部と、を有する、 空調吹出口の風向調整装置。」 「【0018】 図1は、空調機1の空調吹出口2から吹き出された空気の風向を調整する風向調整装置3の取付状態の一例である。風向調整装置3は、図1に示すように、空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口2の前方に配置され、空調吹出口2から吹き出される空気を受けるウィングプレート4(本願でいう「面板部」の一例である)と、ウィングプレート4を空調吹出口2の前方に取り付けるためのアーム5(本願でいう「取付部」の一例である)とを備える。 【0019】 図2は、風向調整装置3の斜視図である。ウィングプレート4は、プラスチックその他の合成樹脂で形成されている。ウィングプレート4は、浅底なトレー状の形態を有する筐体部4Kと、筐体部4Kの上部開口を一部覆うカバー部4Cとを有する。ウィングプレート4には、抗菌部材12が配置される。抗菌部材12は、袋体13を有する部材である。袋体13には、室内を除菌する除菌性の物質である抗菌剤15が収容されている。 【0020】 筐体部4Kは、底面部分を形成する主面部6と、長手方向の両端縁において主面部6から立設された壁部7,7とを有する。また、筐体部4Kは、当該壁部7,7が形成されていない両側縁に、主面部6に対して傾斜する壁部を形成する上流側傾斜部8および下流側傾斜部9を有する。主面部6の上面の中央部付近には、アーム5を回動自在にウィングプレート4へ取り付けるための角度調整機構11(本願でいう「角度調整部」の一例である)が設けられている。また、下流側傾斜部9および壁部7,7には、空調吹出口2から吹き出されて抗菌部材12を通過する空気の通気量を制限する側部通気口14Sが設けられている。 【0021】 カバー部4Cは、筐体部4Kの上部開口のうち空調吹出口2から吹き出る空気の下流側の部分を覆う。カバー部4Cは、空調吹出口2から吹き出されて抗菌部材12を通過する空気の通気量を制限する上部通気口14Uを有する。上部通気口14Uは、空調吹出口2から吹き出る空気の流れ方向に沿って長手方向が延在する楕円形状の孔である。カバー部4Cは、筐体部4Kの上部開口の一部を覆うことにより、抗菌部材12を格納するための空間である格納部10をカバー部4Cと主面部6との間に形成する。抗菌部材12は、カバー部4Cと主面部6との間に形成される格納部10内に格納される。」 「【0023】 図3は、抗菌部材12における空気の流れを示した図の一例である。風向調整装置3では、空調吹出口2から吹き出された空気がウィングプレート4の格納部10内へ流れ込む。そして、格納部10内に流入する空気が袋体13を透過する。格納部10を通過する空気の通気量は、上部通気口14Uや側部通気口14Sの数、大きさ、形状によって制限されている。よって、格納部10に格納されている袋体13を透過した空気は、適宜の量の抗菌性物質が添加された状態で抗菌部材12の下流側へ流れる。抗菌部材12の下流側へ流れた空気は、上部通気口14Uや側部通気口14Sを経て、風向調整装置3が設置された室内空間へ拡散し、室内空間に浮遊する菌を抗菌性物質で除菌する。」 「【0025】 ところで、袋体13に収容される抗菌剤15の具体例としては、例えば、多孔性の無機質固形担体に二酸化塩素を担持させた粒子状の抗菌剤が挙げられる。このような抗菌剤が収容される場合、袋体13を形成する袋材としては、全面に当該無機質固形担体の粒径より小さな径の微細孔を有するものが好ましい。なお、ここでいう全面とは、概ね袋体13の表面全体という程度の意味であり、微細孔が形成されていない領域を一部に有する袋体13を排除するものではない。また、抗菌剤15としては、二酸化塩素に代えて金属イオン等を放つ抗菌性の金属材料等を適用してもよい。また、微細孔の径は、袋体13に収容される抗菌剤15の粒径より小さな径であればよい。例えば、抗菌剤15の粒径が十数ミリメートルある場合には、微細孔の径を10ミリメートル程度にすることができる。また、例えば、抗菌剤15の粒径が数ミリメートル程度の場合には、微細孔の径を数ミクロンから数ミリメートル程度の範囲内にすることができる。」 「 [図:0001392830000001.jpg] [図:0001392830000002.jpg] [図:0001392830000003.jpg] 」 (2) 引用文献1の記載から認められる事項 ア 上記(1)の【0018】~【0021】、【0023】及び図1~図3の記載から、ウィングプレート4が面板部であることを勘案すると、引用文献1には、抗菌部材12が、面板部の空調吹出口2側において、面板部の主面部6の上面側の空気が通過する空間に臨むように前記主面部6の上面に配置されることが記載されていると認められる。 イ 上記(1)の【0019】及び【0025】の記載から、引用文献1には、室内を除菌する除菌性の物質である抗菌剤として用いられる金属イオン等を放つ抗菌性の金属材料等からなる抗菌部材が記載されていると認められる。 (3) 引用発明 上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、前記空調吹出口から吹き出される空気を受ける面板部と、 前記面板部を前記空調吹出口の前方に取り付ける取付部と、 前記面板部の前記空調吹出口側において、面板部の主面部の上面側の空気が通過する空間に臨むように前記主面部の上面に配置されており、室内を除菌する除菌性の物質である抗菌剤として用いられる金属イオン等を放つ抗菌性の金属材料等からなる抗菌部材と、を備える、 空調吹出口の風向調整装置。」 2 引用文献2について (1) 引用文献2の記載 原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献2には、以下の記載がある。 「【0015】 これに対して、本発明では、図1の(a)~(c)に示すように、保護カバーに送風の上流側から桟を介して導入される風の流れを整える整流部材(第1整流板、第2整流板)を設けることで、当該保護カバーによって生じる乱流を低減し、電界への送風の風速の偏りを少なくしている。 【0016】 具体的には、図1の(a)に示すように、保護カバーと回路基板とで囲まれた流域部において、当該保護カバーの、送風方向上流側の桟の内側に当該桟を経て導入される風の流れを整える第1整流板(整流部材)を形成する。第1整流板は、板面が送風方向に平行になるように配置され、送風方向の長さが長ければ長いほど整流効果があるが、長ければ電界に接近し影響を与えるため、当該電界に影響を与えない程度の長さにするのが好ましい。また、第1整流版は、回路基板の壁面まで設けられているのが好ましい。これにより、流体の特性により風速が低下する回路基板の壁面近傍の乱流を抑制できるため、風速の低下を抑制できるという効果を奏する。従って、この第1整流板により、送風方向上流側の桟を経た風の乱流を抑制し、電界に当たる風の速度分布を均一にできるという効果を奏する。 【0017】 また、図1の(b)に示すように、保護カバーと回路基板とで囲まれた流域部において、当該保護カバーの、回路基板の壁面に対向する位置に桟を経て導入される風の流れを整える第2整流板(整流部材)を形成する。第2整流板は、保護カバーの回路基板の壁面に対向する位置に送風方向に沿って送風方向上流側の桟から下流側の桟まで延設されたリブ状の部材である。第2整流板は、高さが高ければ高いほど整流効果があるが、高ければ電界に接近し影響を与えるため、当該電界に影響を与えない程度の高さにするのが好ましい。この第2整流板により、送風方向上流側から下流側まで風の流れを整えることができるという効果を奏する。 【0018】 さらに、図1の(c)に示すように、図1の(a)に示す第1整流板と、図1の(b)に示す第2整流板とを組み合わせてもよい。この場合には、第1整流板の効果と第2整流板の効果との両方の効果を奏することができるため、電界への送風に損失を生じさせず、且つ電界への送風の風速の偏りを少なくして、電界全体に風を当てることで、保護カバーから外部に排出されるイオンの量の低減を抑制できる。」 「【0020】 〔実施形態1〕 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明すれば以下の通りである。なお、本実施形態では、本発明のイオン発生装置を空気調和機の一種であるエアコンの室内ユニットに搭載した例について説明する。 【0021】 (エアコンの概要) 図3の(a)は、室内ユニットの正面図、(b)は右側面図である。図4は、室内ユニットの外観斜視図であり、(a)は吹出方向を上向きにした状態を示し、(b)は吹出方向を下向きにした状態を示した図である。図5は、図3の(a)のBB線矢視断面図であり、(a)は吹出方向を上向きにした状態を示し、(b)は吹出方向を下向きにした状態を示した図である。 【0022】 室内ユニットは、図3の(a)(b)に示すように、前面から底面にかけて湾曲面とされるキャビネット1を備えている。キャビネット1は、熱交換器3及び室内ファン4を備え、上面に吸込口5が形成され、湾曲面に吹出口6が形成される。さらに、キャビネット1の湾曲面には、吹出口6を開閉するルーバ2が設けられている。ルーバ2は、図4の(a)(b)に示すように、上下両開き可能である。ルーバ2が上下両開きする機構については、公知である。なお、例えば特許第4603085号公報(2010年10月8日登録)に記載の導風パネル20の機構や補助ルーバ30を採用することでも実現可能である。 【0023】 キャビネット1の内部には、図5の(a)(b)に示すように、吸込口5から吹出口6に至る空気通路7が形成され、この空気通路7に熱交換器3と室内ファン4とが配設される。さらに、空気通路7には、吹出口6近傍にイオン発生装置101が着脱可能に配置されている。ユーザによるイオン発生装置101の着脱は、図4の(b)に示すように、ルーバ2が下開きした状態で行う。 【0024】 イオン発生装置101は、空気通路7に配置されているため、当該空気通路7内の送風により発生したイオンを吹出口6から排出するようになっている。 【0025】 (イオン発生装置の概要) 図6は、イオン発生装置の外観斜視図である。図7の(a)は、イオン発生装置の上面図、(b)は、イオン発生装置の正面図、(c)は(b)のDD線矢視断面図である。 【0026】 イオン発生装置101は、回路基板16が蓋11と保護カバー12とで形成された保護ケース内に収納された構造となっている。回路基板16は、正イオン発生用のイオン発生素子10a、負イオン発生用のイオン発生素子10b及び図示しないが他に高圧トランス、高電圧回路、電源回路等を有している。なお、上記保護カバー12は、回路基板16のイオン発生素子10a、10bの放電電極13をユーザが直接触れないようにガードするためのカバーである。 【0027】 イオン発生素子10a、10bそれぞれは、例えばコロナ放電により正イオン及び負イオンを発生させるために、放電電極13と誘電電極14を有している。ここで、放電電極13は、空気の通流方向と略直交する方向に離隔して配置されている。放電電極13は、針電極である。」 「【0029】 従って、回路基板16では、高電圧を発生させる昇圧トランスを備えた図示しない高圧発生回路からイオン発生素子10a及びイオン発生素子10bの放電電極13に高電圧が印加されると、放電電極13の針先でコロナ放電が発生し、イオンが生成される。生成されたイオンは、これらイオン発生素子10a及びイオン発生素子10bを収容する保護カバー12の開口部である桟12aを通して排出される。 【0030】 このイオンの発生量を多くするために、上記構成のイオン発生装置101では、保護カバー12が放電電極13を覆ったときに形成される流域部(保護カバー12と回路基板16とで囲まれた領域)に、上記桟12aが形成された開口部を介して導入される風の流れを整える整流部材を設けている。本実施形態では、保護カバー12に、整流部材としての第1整流板12b、第2整流板12cを形成した例について説明する。なお、整流部材は、保護カバー12に設けてもよいし、回路基板16に設けてもよい。」 「 [図:0001392830000004.jpg] [図:0001392830000005.jpg] [図:0001392830000006.jpg] [図:0001392830000007.jpg] [図:0001392830000008.jpg] 」 (2) 引用文献2の記載から認められる事項 ア 上記2(1)の【0016】、【0017】、【0026】及び【0027】並びに図1、図6及び図7から、引用文献2には、蓋11と保護カバー12とで形成された保護ケース内に回路基板16が収納されたイオン発生装置は、イオンを発生する針電極である放電電極13の針を、回路基板16の壁面から垂直に突設させた装置であることが記載されていると認められる。 イ 上記2(1)の【0016】、【0017】、【0027】及び【0030】並びに図1、図6及び図7から、放電電極13の針は、保護カバー12と回路基板16とで囲まれた流域部に臨むように空気の通流方向と直交する方向に配置されることが記載されていると認められる。 ウ 上記2(1)の図1、図6及び図7から、引用文献2には、イオン発生装置において、放電電極13が突設される側の回路基板16の壁面と回路基板16が収納される保護ケースの蓋11側の面とが平行であることが看取できる。 (3) 引用文献2に記載された技術事項 上記2(1)及び(2)を総合すると、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。 「空気調和機における空気通路の吹出口6近傍に配置されており、空気通路内の送風により発生したイオンを排出し、蓋11と保護カバー12とで形成された保護ケース内に回路基板16が収納されたイオン発生装置101であって、イオンを発生する針電極である放電電極13の針を、保護カバー12と回路基板16とで囲まれた流域部に臨むように空気の通流方向と直交する方向に配置するとともに、保護ケースの蓋11側の面と平行な回路基板の壁面から垂直に突設させた、イオン発生装置。」 3 周知例1について (1) 周知例1の記載 当審で新たに引用し、本願の出願前に頒布された特開2006-132842号公報(以下「周知例1」という。)には、以下の記載がある。 「【0024】 通気開口部13には、除菌装置としてのイオン発生ユニット40が取り付けられている。箱体部6の側壁部6Sにはイオン発生ユニット40を取り付けるための矩形枠部42が形成されており、この矩形枠部42の内部にイオン発生ユニット40が装着されている。イオン発生ユニット40の放電面である外部電極面41は通気開口部13側に露出している。 【0025】 尚、除菌装置は、細菌の殺菌、滅菌、除菌やウィルスの分解、除去作用等の少なくとも何れかを行うものである。ここでは、イオン発生ユニット40で構成される除菌装置が、空気の流路においてフィルター11の下流側に設けられているので、発生したイオンが、フィルター11に接触して中和されてしまうという現象が起こることなく室内に放出されることとなる。このため、フィルター11のみを設ける場合に比べてより多くのイオンが室内に放出され、室内空気の浮遊細菌の不活化により、除菌が行える。 【0026】 イオン発生ユニット40は商用電源と接続される図示しない高圧パルス発生回路とイオン発生素子を備えている。イオン発生素子は、誘電体を正極・負極電極間に挟み、誘電体の正極・負極の電極に高電圧パルス発生回路を接続したもので、高電圧パルス発生回路から正極・負極間に所定の高電圧パルスを印加して、内部電極と外部電極の間にプラズマ放電を発生させるものである。 【0027】 プラズマ放電が起こると、外部電極面41が送風路に露出しているので、外部電極面41の水蒸気がイオン化され、正イオンと負イオンがほぼ同量発生する。正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付着したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは自然数)として表される。負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付着したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは自然数)として表される。ファン8の回転により正イオン及び負イオンが室内の空気中に放出されると、過酸化水素H2O2又は水酸基ラジカル・OHとなり、室内浮遊物(ウィルス、細菌)に凝集して不活化して浮遊細菌を除菌するので室内の空気が清浄化される。」 (2) 周知例1の記載から認められる事項 上記(1)の記載を総合すると、周知例1には「イオン発生ユニット40により放出したイオンにより空気中の菌を除去すること」が記載されていると認められる。 4 周知例2について (1) 周知例2の記載 原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2011-33254号公報(以下「周知例2」という。)には、以下の記載がある。 「【0078】 上記のイオン発生素子41において、板状の誘導電極51と針状の放電電極52とを上記のように所定の距離を確保して配置し、誘導電極51と放電電極52との間に高電圧を印加すると、針状の放電電極52の先端でコロナ放電が生じる。このコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかのイオンが発生し、このイオンが誘導電極51に設けられた貫通孔51bからイオン発生素子41の外部に放出される。さらに送風を加えることで、より効果的にイオンを放出することが可能となる。 【0079】 ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは任意の自然数)として表される。また負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)として表される。 【0080】 また正イオン及び負イオンの両極性のイオンを放出すれば、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させることにより、両イオンが空気中を浮遊するカビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。」 (2) 周知例2の記載から認められる事項 上記(1)の記載を総合すると、周知例2には「イオン発生素子41により放出したイオンにより空気中の菌を除去すること」が記載されていると認められる。 第5 対比 1 本願発明と引用発明とを、その機能、構造及び技術的意義を考慮して対比する。 (1) 引用発明の「空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、前記空調吹出口から吹き出される空気を受ける面板部」は、本願発明の「空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、前記空調吹出口から吹き出される空気を受ける面板部」に相当する。 (2)引用発明の「前記面板部を前記空調吹出口の前方に取り付ける取付部」は、本願発明の「前記面板部を前記空調吹出口の前方に取り付ける取付部」に相当する。 (3)引用発明の「前記面板部の前記空調吹出口側において前記面板部の主面部の上面に配置されており、室内を除菌する除菌性の物質である抗菌剤として用いられる金属イオン等を放つ抗菌性の金属材料等からなる抗菌部材」は、本願発明の「前記面板部の前記空調吹出口側において前記面板部に載置されており、イオンを発生するイオン発生装置」に、「前記面板部の前記空調吹出口側において前記面板部に載置されており、イオンを発生する手段」という限りにおいて一致する。 (4)引用発明の「面板部の主面部の上面」は、本願発明の「面板部の前記空調吹出口側の面」に相当する。 2 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、前記空調吹出口から吹き出される空気を受ける面板部と、 前記面板部を前記空調吹出口の前方に取り付ける取付部と、 前記面板部の前記空調吹出口側において前記面板部に載置されており、イオンを発生する手段と、を備える、 空調吹出口の風向調整装置。」 [相違点] 「イオンを発生する手段」が、本願発明は、「イオンを発生する針状放電電極の針を、前記面板部の前記空調吹出口側の面と平行な上面から上向きに突設させた装置である、」「イオンを発生するイオン発生装置」であるのに対し、引用発明は、「室内を除菌する除菌性の物質である抗菌剤として用いられる金属イオン等を放つ抗菌性の金属材料等からなる抗菌部材」である点。 第6 判断 1 相違点について 引用発明の抗菌部材と引用文献2に記載された技術事項のイオン発生装置とは、いずれも、空調機に用いられたイオンを発生・放出する手段という点で共通する。 また、上記第4の3(2)及び4(2)から、イオン発生装置により放出したイオンにより空気中の菌を除去することは、本願の出願日前に従来周知の技術事項であることが分かり、当該従来周知の技術事項を考慮すれば、引用発明と引用文献2に記載された技術事項とは、室内を除菌するという機能を有する点においても共通する。 さらに、引用発明の抗菌部材と引用文献2に記載された技術事項のイオン発生装置の放電電極の針とは、いずれも、空気が通過する空間に臨むように配置される点においても共通する。 そうすると、引用発明において、抗菌部材に引用文献2に記載された技術事項のイオン発生装置を適用して、当該イオン発生装置の放電電極の針が面板部の主面部の上面側の空気が通過する空間に臨むように、当該イオン発生装置の保護ケースの蓋側の面を前記主面部の上面に配置することは、当業者が容易に想到し得たことである。そして、引用文献2に記載された技術事項において放電電極の針が保護ケースの蓋側の面と平行な上面である回路基板の壁面から垂直に突設した構造となっているから、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用した結果として、当該イオン発生装置が、放電電極の針を面板部の空調吹出口側の面と平行な上面から上向きに突設させた構成になることは、明らかである。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び従来周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 請求人の主張について 請求人は、審判請求書(第3ページ第12~29行)において、本願発明では、空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に、取付部によって面板部を取り付け可能であることが規定されているのであるから、風向調整装置がエアコンと別体品であることは請求項において十分に規定されていると思料される旨、主張する。 しかしながら、上述のとおり、引用発明も、空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に、取付部によって面板部を取り付けるものであるため、請求人の当該主張を採用することはできない。 また、請求人は、審判請求書(第4ページ第1行~第5ページ第17行)において、本願発明では、イオン発生装置を面板部の空調吹出口側の面に載置するが故に生じる埃等の堆積により、イオン発生に支障が生ずるのを防ぐために、針状放電電極の針を上向きに突設させることで、空調吹出口から吹き出る風に針を晒して、針の部分に埃が留まることができないようにしたものであり、このような着想は当業者であっても引用文献から容易に得られるものではない旨、主張する。 しかしながら、上述のとおり、引用発明のイオンを発生する手段も面板部の空調吹出口側において面板部の主面部の上面に載置されており、また、引用発明に従来周知の技術事項も考慮して引用文献2に記載された技術事項を適用して針状放電電極の針を上向きに突設させることは当業者が容易に想到し得たことである以上、請求人の当該主張を採用することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び従来周知の技術事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-000316

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決6件(佐伯 午郎)
  • 2023-019337拒絶査定不服審判 / 2025-05-09 / 請求不成立壁面緑化装置
    同じ当事者: 佐伯 午郎
  • 2019-009979拒絶査定不服審判 / 2020-12-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)空気清浄媒体
    同じ当事者: 佐伯 午郎
  • 2019-014514拒絶査定不服審判 / 2020-10-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)拡散装置
    同じ当事者: 佐伯 午郎
  • 2019-011613拒絶査定不服審判 / 2020-06-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)空調機の化粧シール
    同じ当事者: 佐伯 午郎
  • 2019-012960拒絶査定不服審判 / 2020-06-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)エアコンディショナー用フィルター
    同じ当事者: 佐伯 午郎
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2023-022373拒絶査定不服審判 / 2025-12-25 / 請求不成立露点温度調節用除湿装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-007979拒絶査定不服審判 / 2025-12-08 / 請求不成立換気システム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-004489拒絶査定不服審判 / 2025-11-19 / 請求不成立冷凍サイクル装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-003775拒絶査定不服審判 / 2025-10-20 / 請求不成立空調システム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-003628拒絶査定不服審判 / 2025-09-08 / 請求不成立冷却回収システム及び方法
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)540件(121・F24F)
  • 2024-005552拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)機器管理システム
    共通の審決分類: 121・F24F
  • 2024-017360拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)空調制御装置及び空調制御方法
    共通の審決分類: 121・F24F
  • 2024-004690拒絶査定不服審判 / 2026-06-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)空気調和装置、管理装置、およびプログラム
    共通の審決分類: 121・F24F
  • 2024-006711拒絶査定不服審判 / 2026-06-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)推論装置、学習装置、および、空気調和装置
    共通の審決分類: 121・F24F
  • 2024-003072拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)ヒートポンプサイクル装置の室外機、及び、ヒートポンプサイクル装置
    共通の審決分類: 121・F24F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存