2022-000063
吐出容器
- 審判番号
- 2022-000063
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-072824外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月04日
- 審決日
- 2023年02月14日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年3月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和4年1月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年1月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正は、以下(1)の令和2年10月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下(2)の記載にする補正を含むものである。なお、下線部は、補正箇所である。
(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】口部開口及び通気口を有する外層体と、前記外層体の内部を前記口部開口に連通する内容物室と前記通気口に連通する空気室とに仕切るように構成された内層体と、前記内容物室に収容された内容物を吐出するように構成された吐出具と、続きを表示(全11行)前記外層体の外面に剥離可能に接着されることで前記通気口を閉塞するように構成された閉塞体と、前記吐出具に装着されることで前記吐出具を未開封状態に保持するとともに前記吐出具から剥離されると再装着不能となるように構成された開封剥離部と、を備え、前記開封剥離部は、シュリンクフィルムで構成されており、前記閉塞体は、基材層と、該基材層の外面に接する接着層と、前記基材層の内面に接する剥離層とを有し、前記接着層と前記開封剥離部との接着強度は、前記剥離層と前記外層体との接着強度より大きく設定されており、前記接着層と前記開封剥離部とは、同材質の材料で構成され、前記剥離層と前記外層体とは、異材質の材料で構成される吐出容器。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】口部開口及び通気口を有する外層体と、前記外層体の内部を前記口部開口に連通する内容物室と前記通気口に連通する空気室とに仕切るように構成された内層体と、前記内容物室に収容された内容物を吐出するように構成された吐出具と、続きを表示(全12行)前記外層体の外面に剥離可能に接着されることで前記通気口を閉塞するように構成された閉塞体と、前記吐出具に装着されることで前記吐出具を未開封状態に保持するとともに前記吐出具から剥離されると再装着不能となるように構成された開封剥離部と、を備え、前記開封剥離部は、シュリンクフィルムで構成されており、前記閉塞体は、基材層と、該基材層の外面に接する接着層と、前記基材層の内面に接する剥離層とを有し、前記接着層と前記開封剥離部との接着強度は、前記剥離層と前記外層体との接着強度より大きく設定されており、前記接着層と前記開封剥離部とは、同材質の材料で構成され、前記剥離層と前記外層体とは、異材質の材料で構成され、前記閉塞体は、前記開封剥離部とともに前記外層体から除去される吐出容器。」
2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「閉塞体」について、上記のとおり「前記閉塞体は、前記開封剥離部とともに前記外層体から除去される」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献1の記載事項、引用文献1に記載された発明
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ア 原査定の拒絶の理由で引用された特開2016-222301号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。また以下「・・・」は、摘記の省略を示す。以下同様。)。
(ア)「【請求項1】口部、胴部及び底部を有するボトル状をなすと共に容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められた内層体と、前記外層体を貫通する外気導入孔とを備え、前記内層体の減容変形に伴い前記外気導入孔から前記外層体と前記内層体との間に形成される内部空間に外気を導入可能な二重容器において、前記外気導入孔は、前記外層体の外側表面に貼着されたシール材の少なくとも一部を剥離させることで外界と連通可能であることを特徴とする二重容器。【請求項2】続きを表示(全14行)前記外層体の胴部は、局所的に内側に向けて凹む凹部を備え、前記外気導入孔は前記凹部に形成されており、前記外気導入孔には、前記内部空間への外気の導入を許容する一方で前記内部空間からの空気の漏れを防止する逆止弁が設けられており、前記シール材は、前記凹部を覆って貼着されている、請求項1に記載の二重容器。・・・【請求項6】前記外層体の口部に装着される注出栓及び該注出栓の開閉を行う蓋体を有する注出キャップと、少なくとも前記注出キャップ及び前記外層体の胴部の上部に装着されるシュリンクラベルとを備え、前記シュリンクラベルの少なくとも一部は前記注出キャップ及び前記外層体の胴部の上部から取り除くことができ、前記シール材の前記少なくとも一部は、前記シュリンクラベルの前記少なくとも一部に接着されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の二重容器。」
(イ)「【技術分野】【0001】本発明は、容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められた内層体と、外層体を貫通する外気導入孔とを備える二重容器に関し、特に、内容物の熱充填後の冷却時にシャワー水が外気導入孔から侵入することを防止しようとするものである。【背景技術】続きを表示(全14行)【0002】従来、口部、胴部及び底部を有するボトル状をなすと共に容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められた内層体と、外層体を貫通する外気導入孔とを備え、内層体の減容変形に伴い外気導入孔から外層体と内層体との間に形成される内部空間に外気を導入可能な二重容器(デラミ容器とも言う)が知られている(例えば特許文献1参照)。【0003】また、例えば、醤油、醤油含有調味料、食酢、料理酒等の液体食品等を内容物とする場合に、その内容物を容器に充填して製品化する要領として、高温状態の内容物を充填する熱充填工程と、該工程の後にシャワー水を用いて容器及び内容物を冷却する冷却工程とを設けたものが知られている。・・・【発明が解決しようとする課題】【0005】しかしながら、前記したような従来の二重容器について熱充填工程及び冷却工程を適用した場合には、熱充填後の冷却時にシャワー水が外気導入孔から容器の内部空間(外層体と内層体との間)に侵入してしまうという問題があった。また、このようにシャワー水が外気導入孔から侵入した場合には、内層体の材質等によっては内層体のバリア性が低下してしまう場合もあった。【0006】本発明は、前記の課題を解決するために開発されたもので、内容物の熱充填後の冷却時にシャワー水が外気導入孔から侵入することを防止できる二重容器を提供することを目的とする。」
(ウ)「【発明を実施するための形態】【0017】以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。なお、本明細書において、上下方向とは、二重容器の正立状態を基準とし、外層体の口部が位置する側を上方(例えば、図1の上方)、外層体の底部が位置する側を下方(例えば、図1の下方)とする。続きを表示(全21行)【0018】まず、図1~図3を参照して、本発明の一実施形態に係る二重容器1について詳細に例示説明する。図1~図2に示すように、本実施形態に係る二重容器1は、容器の外殻を形成する外層体10と、外層体10の内側に収められる減容変形自在な内層体20とを備えている。なお、本実施形態では、外層体10と内層体20の間には、これら外層体10及び内層体20を互いに部分的に接合する接着帯(図示省略)が設けられているが、接着帯を設けない構成とすることも可能である。【0019】ここで、本実施形態における二重容器1は、合成樹脂製の外層体10と、外層体10に対して相溶性が低い合成樹脂にて形成される内層体20と、外層体10及び内層体20に対して接着性を有する合成樹脂にて形成される帯状の接着層、すなわち、接着帯とを積層させたものであり、これらの合成樹脂を積層して形成したパリソンを、ブロー成形することによって得られたものである。・・・【0020】外層体10は、口部11、胴部12及び底部13を有するボトル状をなすと共に復元自在な可撓性を有するものである。なお、本実施形態において胴部12は、横断面が円形であり、口部11に向けて上部が縮径する筒形状としているが、これに限定されず、例えば、横断面が多角形や楕円形等の形状とすることができる。【0021】内層体20は、その内側に内容物(図示省略)を充填可能な充填空間Mを有しており、積層された外層体10から剥離させることで減容変形させることができる。すなわち、外層体10は外層体10を貫通する外気導入孔14を備えており、内容物の取り出しに伴う内層体20の減容変形に従い、外気導入孔14から外層体10と内層体20との間に形成される内部空間Nに外気が導入されるようになっている。【0022】図3に示すように、本実施形態では、外層体10の胴部12は局所的に内側に向けて凹む凹部15を備え、外気導入孔14は凹部15に形成されている。また、外気導入孔14には、内部空間Nへの外気の導入を許容する一方で内部空間Nからの空気の漏れを防止する逆止弁30が設けられている。【0023】逆止弁30は、本実施形態では、外気導入孔14の外周面との間に隙間を空けつつ外気導入孔14を貫通する貫通部31と、貫通部31の一端部に連結すると共に外気導入孔14から内部空間Nに突出する突出部32と、貫通部31の他端部に連結した複数(本例では4本)の弾性腕部33とを備えている。突出部32は、外気導入孔14の外周面における内側縁部14aに着座して内部空間Nからの空気の漏れを防止する着座部32aを備えている。なお、突出部32は、先端に向けて開口する中空部を有する中空円柱状をなしている。また、複数の弾性腕部33は、凹部15内において外層体10の外側表面に当接して、内部空間Nへの逆止弁30の脱落を防止するように構成されている。・・・【0025】また、外気導入孔14は、外層体10の外側表面に貼着されたシール材40によって外界から遮断されている。本実施形態では、シール材40は、外気導入孔14を取り囲んで外層体10の外側表面に剥離可能に貼着される貼着部41と、該貼着部41に一端が連結すると共に他端が外層体10の外側表面から離間した把持用の突片42とを備えるフィルム材である。シール材40は、凹部15を覆って貼着されている。【0026】また、図1~図2に示したように、二重容器1は、注出キャップ50を備えている。注出キャップ50は、口部11に係合保持される注出栓51と、注出栓51にヒンジ52を介して連結され、当該注出栓51の開閉を行う蓋体53とを備えている。・・・」
(エ)「【0048】次に、図7~図9を参照して、本発明の更なる他の実施形態に係る二重容器3について詳細に例示説明する。本実施形態に係る二重容器3は、外気導入孔14の位置、シール材40’の構成、及び外気導入孔14の開封をシュリンクラベル70の開封と一体化させた点を除いては、図1~図3を用いて前述した実施形態の場合と同一の構成になっている。【0049】すなわち、本実施形態では、図7~図8に示すように、外気導入孔14が、胴部12の上部に形成された局所的に内側に向けて凹む凹部15内に設けられている。そして、外気導入孔14には、逆止弁30が設けられている。また、シール材40’は、本実施形態では、外層体10の外側表面に剥離可能に貼着された除去予定部43と、該除去予定部43に切断予定部44を介して接続し、前記外層体10の外側表面に貼着されて逆止弁30を覆い隠す被覆部45とを備えている。【0050】また、二重容器3は、少なくとも注出キャップ50及び外層体10の胴部12の上部に装着されるシュリンクラベル70を備えている。本実施形態では、シュリンクラベル70は、注出キャップ50の上面における外周縁から底部13における外周縁にわたる領域に装着されている。また、シュリンクラベル70における、注出キャップ50及び外層体10の胴部12の上部に対応する部分70aは、残りの部分70bから切り離して取り除くことができるようになっている。この注出キャップ50及び外層体10の胴部12の上部に対応する部分70aには、シール材40’の除去予定部43が接着されている。本実施形態では、除去予定部43は、外側表面が全面にわたってシュリンクラベル70に接着されている。・・・【0053】そして、二重容器3の使用に際しては、図9に示すように、シュリンクラベル70における、注出キャップ50及び外層体10の胴部12の上部に対応する部分70aを剥ぎ取ることで、この部分70aに接着されたシール材40’の除去予定部43も当該部分70aと共に剥ぎ取ることができる(図9(b)参照)。その結果、外気導入孔14は外界と連通し、また、逆止弁30はシール材40’の被覆部45によって覆い隠された状態を維持できる。その後の内容物の吐出要領は、図1~図3を用いて説明した実施形態の場合と同様である。」
(オ)「 図面【図1】[図:0001396766000001.jpg]【図2】続きを表示(全14行)[図:0001396766000002.jpg]【図3】[図:0001396766000003.jpg]【図7】[図:0001396766000004.jpg]【図8】[図:0001396766000005.jpg]【図9】[図:0001396766000006.jpg]」
イ 上記記載事項及び図示事項から、以下の事項が把握される。
(ア)【0018】より、「二重容器」は、容器の外殻を形成する外層体10と、外層体10の内側に収められる減容変形自在な内層体20とを備えている。
【0020】より、外層体10は、口部11、胴部12及び底部13を有するボトル状をなす。
【0021】より、外層体10は外層体10を貫通する外気導入孔14を備えており、内容物の取り出しに伴う内層体20の減容変形に従い、外気導入孔14から外層体10と内層体20との間に形成される内部空間Nに外気が導入されるようになっている。
(イ)【0021】より、内層体20は、その内側に内容物を充填可能な充填空間Mを有している。
【0022】より、外層体10の胴部12は局所的に内側に向けて凹む凹部15を備え、外気導入孔14は凹部15に形成されている。また、外気導入孔14には、内部空間Nへの外気の導入を許容する一方で内部空間Nからの空気の漏れを防止する逆止弁30が設けられている。
(ウ)【0026】より、注出キャップ50は、口部11に係合保持される注出栓51と、当該注出栓51の開閉を行う蓋体53を備える。
(エ)【0050】より、二重容器は、少なくとも注出キャップ50及び外層体10の胴部12の上部に装着されるシュリンクラベル70を備えている。このシュリンクラベル70における、注出キャップ50及び外層体10の胴部12の上部に対応する部分70aは、シール材40’の除去予定部43が接着されている。
また、【0050】の記載や、図7~図9から、「シュリンクラベルにおける、注出キャップ及び外層体の胴部の上部に対応する部分」は、「注出キャップに装着されることで前記注出キャップを未開封状態に保持するとともに前記注出キャップから剥離されると再装着不能となるように構成され」ることが看取できる。
(オ)【0049】より、シール材40’は、外層体10の外側表面に剥離可能に貼着された除去予定部43と、該除去予定部43に切断予定部44を介して接続し、前記外層体10の外側表面に貼着されて逆止弁30を覆い隠す被覆部45とを備えている。
【0025】より、外気導入孔14は、外層体10の外側表面に貼着されたシール材40によって外界から遮断されているが、【0053】より、シュリンクラベル70における、注出キャップ50及び外層体10の胴部12の上部に対応する部分70aを剥ぎ取ることで、この部分70aに接着されたシール材40’の除去予定部43も当該部分70aと共に剥ぎ取ることができ、外気導入孔14は外界と連通する。
ウ 以上より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「口部、胴部及び底部を有するボトル状をなすと共に容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められた内層体と、前記外層体を貫通する外気導入孔とを備え、前記内層体の減容変形に伴い前記外気導入孔から前記外層体と前記内層体との間に形成される内部空間に外気を導入可能な二重容器において、前記内層体は、その内側に内容物を充填可能な充填空間を有しており、前記外層体の胴部は、局所的に内側に向けて凹む凹部を備え、前記外気導入孔は前記凹部に形成されており、続きを表示(全13行)前記外気導入孔には、前記内部空間への外気の導入を許容する一方で前記内部空間からの空気の漏れを防止する逆止弁が設けられており、前記外気導入孔は、外層体の外側表面に貼着されたシール材によって外界から遮断されており、前記外層体の口部に係合保持される注出栓及び該注出栓の開閉を行う蓋体を有する注出キャップを備え、少なくとも前記注出キャップ及び前記外層体の胴部の上部に装着されるシュリンクラベルとを備え、前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分は、前記注出キャップに装着されることで前記注出キャップを未開封状態に保持するとともに前記注出キャップから剥離されると再装着不能となるように構成され、前記シール材は、前記外層体の外側表面に剥離可能に貼着された除去予定部を備え、前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分には、前記シール材の前記除去予定部が接着されており、前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分を剥ぎ取ることで、当該部分に接着された前記シール材の前記除去予定部も当該部分と共に剥ぎ取ることができ、前記外気導入孔は外界と連通する、二重容器。」
(3)引用文献2の記載事項
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ア 原査定の拒絶の理由で引用された特開2008-64871号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【0020】上記シート片2は、熱収縮性フィルム3の一側端部3aの内面と他側端部3bの外面の間(重ね合わせ部分5)に介在された介在部21と、前記一側端部3aの縁から外側へ延出された摘み部22と、が形成されている。該シート片2(介在部21及び摘み部22)の内面全体には、熱収縮性フィルムの外面に剥離可能に接着しうる粘着剤が塗工されている。該粘着剤としては、熱収縮性フィルム3の外面に接着し、且つ手で剥離できる程度の接着力を有するものであれば特に限定されず、公知のものを使用できる。例えば、通常タックラベルで広く用いられている粘着剤(ゴム系、アクリル系、ウレタン系などの感圧型粘着剤)、常温で粘着性がなく且つ加熱することによって粘着性を発現する感熱性粘着剤などを用いることができる。・・・」
(イ)「【0027】また、上記実施形態では、溶剤接着するために、シート片2の介在部21に対応する外面には、意匠印刷層8が設けられていない。なぜなら、意匠印刷層8が溶剤で溶解するからであり、又、紫外線硬化型インキを用いて印刷した場合には、該インキは全く溶解しないので溶着できないからである。但し、本発明は、シート片2の介在部21の外面に意匠印刷層8を設けることもできる。この場合、フィルム3の一側端部3aの内面とシート片2の介在部21を溶剤にて接着するために、図5(b)に示すように、少なくとも介在部21の外面に、溶剤接着用の層9が設けられる。この層9は、意匠印刷層8が視認できるように、透明なものが好ましい。該層9としては、例えば、ラベル構成面では、ラミネートやコーティングなどがあり、素材面では、熱収縮性筒状ラベル1と同材質の非結晶性の樹脂フィルムなどを用いることができる。」
「図面【図1】[図:0001396766000007.jpg]【図4】[図:0001396766000008.jpg]【図5】[図:0001396766000009.jpg]」
(4)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「口部」を有する「外層体」は本件補正発明の「口部開口」を有する「外層体」に相当し、以下同様に、「外気導入孔」は「通気口」に、「内層体」は「内層体」に、「充填空間」は「内容物室」に、「内部空間」は「空気室」に、「注出キャップ」は「吐出具」に、「除去予定部」は「閉塞体」に、「シュリンクラベルにおける、注出キャップ及び外層体の胴部の上部に対応する部分」は「シュリンクフィルムで構成され」る「開封剥離部」に、「二重容器」は「吐出容器」にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明の除去予定部が「前記外層体の外側表面に剥離可能に貼着され」、「前記外気導入孔は、外層体の外側表面に貼着されたシール材によって外界から遮断されている」ことは、本件補正発明の「閉塞体」が「前記外層体の外面に剥離可能に接着されることで前記通気口を閉塞するように構成された」ことに相当する。
(ウ)引用発明の「前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分は、前記注出キャップに装着されることで前記注出キャップを未開封状態に保持するとともに前記注出キャップから剥離されると再装着不能となるように構成され」たことは、本件補正発明の開封剥離部が「前記吐出具に装着されることで前記吐出具を未開封状態に保持するとともに前記吐出具から剥離されると再装着不能となるように構成された」ことに相当する。
(エ)引用発明の「前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分を剥ぎ取ることで、当該部分に接着された前記シール材の前記除去予定部も当該部分と共に剥ぎ取ることができ」ることは、本件補正発明の「前記閉塞体は、前記開封剥離部とともに前記外層体から除去される」ことに相当する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「口部開口及び通気口を有する外層体と、前記外層体の内部を前記口部開口に連通する内容物室と前記通気口に連通する空気室とに仕切るように構成された内層体と、前記内容物室に収容された内容物を吐出するように構成された吐出具と、前記外層体の外面に剥離可能に接着されることで前記通気口を閉塞するように構成された閉塞体と、前記吐出具に装着されることで前記吐出具を未開封状態に保持するとともに前記吐出具から剥離されると再装着不能となるように構成された開封剥離部と、を備え、前記開封剥離部は、シュリンクフィルムで構成されており、前記閉塞体は、前記開封剥離部とともに前記外層体から除去される吐出容器。」
【相違点】
本件補正発明の「前記閉塞体は、基材層と、該基材層の外面に接する接着層と、前記基材層の内面に接する剥離層とを有し、
前記接着層と前記開封剥離部との接着強度は、前記剥離層と前記外層体との接着強度より大きく設定されており、
前記接着層と前記開封剥離部とは、同材質の材料で構成され、
前記剥離層と前記外層体とは、異材質の材料で構成され」るのに対して、
引用発明の除去予定部は、外層体の外側表面に剥離可能に貼着され、「前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分には、前記シール材の前記除去予定部が接着されており、」「前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分を剥ぎ取ることで、当該部分に接着された前記シール材の前記除去予定部も当該部分と共に剥ぎ取ることができ」るものの、除去予定部の層構成、除去予定部と「シュリンクラベルにおける、注出キャップ及び外層体の胴部の上部に対応する部分」との接着強度と除去予定部と外層体との接着強度との大小関係及び、除去予定部の材料と「シュリンクラベルにおける、注出キャップ及び外層体の胴部の上部に対応する部分」及び外層体の材料との異同について、特定されていない点。
(5)判断
ア 以下、上記相違点について検討する。
(ア)閉塞体の層構成について
引用発明の剥離に係る構成である「前記シール材は、前記外層体の外側表面に剥離可能に貼着され」るためのシール材の除去予定部の外層体側は、外層体の外側表面に剥離可能に貼着できる程度の「接着強度」を備えることは明らかであり、そのような「接着強度」で外層体の外側表面に剥離可能に貼着する「層」を設けることは、当業者にとって適宜成し得ることである。
また、引用発明の接着に係る構成である「前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分」を「剥ぎ取ることで、当該部分に接着された前記シール材の前記除去予定部も当該部分と共に剥ぎ取ることができ」るためのシール材の除去予定部のシュリンクラベル側は、シュリンクラベルを剥がした時に、共に剥ぎ取ることができる程度の「接着強度」を備えることは明らかであり、そのような接着強度で接着する「層」を設けることも、当業者にとって適宜成し得ることである。
(イ)接着強度の大小関係について
引用発明には、「前記シュリンクラベルにおける、前記注出キャップ及び前記外層体の前記胴部の上部に対応する部分を剥ぎ取ることで、当該部分に接着された前記シール材の前記除去予定部も当該部分と共に剥ぎ取ることができ」ると特定されており、そのためには、上記(ア)で述べたシール材の除去予定部のシュリンクラベル側及び外層体側に設ける各層について、シール材の除去予定部のシュリンクラベル側の層の接着強度を、シール材の除去予定部の外層体側の層の接着強度よりも大きく設定することは自明である。
(ウ)接着層と開封剥離部及び剥離層と外層体の材料の異同について
同材質の樹脂同士が強く接着され得ることは技術常識であり、また、同材質の樹脂材料を接着させることは、引用文献2(特に【0027】参照。)に記載されるように、一般に行われる事項である。また、引用文献2には、剥離に係る粘着剤の材料として、ゴム系、アクリル系、ウレタン系などの感圧型粘着剤、常温で粘着性がなく且つ加熱することによって粘着性を発現する感熱性粘着剤といった種々の材料についても述べられている(特に【0020】参照。)。
してみると、当業者であれば、上記(ア)及び(イ)で述べた、シール材の除去予定部のシュリンクラベル側及び外層体側に設ける各層について、より大きい接着強度が求められるシュリンクラベル側に設ける層を同材質の材料で構成し、外層体側に設ける層を、接着強度がより低い異材質の材料で構成することは、上記技術常識を踏まえれば、容易に想到することができたものといえる。
(エ)相違点についてのまとめ
これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものであり、格別顕著なものということはできない。
よって、本願補正発明の上記相違点に係る構成は、引用発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。
イ したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年1月4日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、令和2年10月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2016-222301号公報
2.特開2008-64871号公報
3.特開2011-25939号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2並びにその記載事項は前記第2の[理由]2(2)、(3)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記閉塞体は、前記開封剥離部とともに前記外層体から除去される」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)、(5)に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-000063