特許拒絶査定不服審判
2022-000007
ユーザインタフェースの一部の移動を介するコンピューティングデバイスとのインタラクション
- 審判番号
- 2022-000007
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-159427
- 請求日
- 2022年01月04日
- 審決日
- 2022年07月12日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】インテル コーポレイション
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】宮崎 修
- 審判長/審判官
- 審判長 稲葉 和生
- 審判官 宮下 誠
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-159427「ユーザインタフェースの一部の移動を介するコンピューティングデバイスとのインタラクション」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月26日出願公開、特開2019-220217、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2015年1月28日(優先権主張2014年3月24日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2016-553847号(以下、「原出願」という。)の一部を令和元年9月2日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和2年10月 9日付け :拒絶理由通知
令和2年12月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 2月 4日付け :拒絶理由通知(最後)
令和3年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 4月23日付け :拒絶理由通知(最後)
令和3年 8月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 9月 7日付け :令和3年8月10日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定
令和4年 1月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和3年9月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1-2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
引用文献1.特開2013-73529号公報
引用文献2.特開2013-235568号公報
第3 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和4年1月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、それらのうちの本願発明1、本願発明4、本願発明7及び本願発明8は、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
スマートフォンであって:
上部及び下部エッジを有する対話型ディスプレイと;
少なくとも1つのプロセッサと;
を備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
当該スマートフォンのユーザにより前記対話型ディスプレイ上で描かれる所定のジェスチャを検出し、
前記対話型ディスプレイ上で描かれる前記所定のジェスチャの検出に応答して、前記対話型ディスプレイ上のユーザインタフェース上の1つ以上のアイコンの列及び通知バーを前記対話型ディスプレイ上の第1位置から前記対話型ディスプレイ上の第2位置へ移動させ、前記通知バーは当該スマートフォンの現在の状態に関する情報を表示し、前記第2位置は前記第1位置よりも前記対話型ディスプレイの前記下部エッジに近く、
前記少なくとも1つのプロセッサは更に、
非アクティブの時間の後、前記1つ以上のアイコンの列及び前記通知バーを、前記対話型ディスプレイ上の前記第2位置から前記対話型ディスプレイ上の前記第1位置に戻させ、
前記ユーザによる前記アイコンのうち1つのアクティブ化に応答してアプリケーションを開始し、前記アプリケーションのアプリケーションユーザインターフェースは、前記対話型ディスプレイの第1のディスプレイエリアに表示され、前記1つ以上のアイコンの列及び前記通知バーは、前記第2位置にあるとき前記対話型ディスプレイの第2のディスプレイエリアに表示され、前記第1のディスプレイエリアは、前記第2のディスプレイエリアより大きい、
スマートフォン。」
「【請求項4】
スマートフォンによって実行されるコンピュータ実施方法であって:
前記スマートフォンのユーザにより対話型ディスプレイ上で描かれる所定のジェスチャを検出するステップであって、前記対話型ディスプレイは、上部及び下部エッジを有するステップと;
前記対話型ディスプレイ上で描かれる前記所定のジェスチャの検出に応答して、前記対話型ディスプレイ上のユーザインタフェース上の1つ以上のアイコンの列及び通知バーを前記対話型ディスプレイ上の第1位置から前記対話型ディスプレイ上の第2位置へ移動させるステップであって、前記通知バーは前記スマートフォンの現在の状態に関する情報を表示し、前記第2位置は前記第1位置よりも前記対話型ディスプレイの前記下部エッジに近い、ステップと;
を備え、
非アクティブの時間の後、前記1つ以上のアイコンの列及び前記通知バーを、前記対話型ディスプレイ上の前記第2位置から前記対話型ディスプレイ上の前記第1位置に戻させるステップと;
前記ユーザによる前記アイコンのうち1つのアクティブ化に応答してアプリケーションを開始するステップであって、前記アプリケーションのアプリケーションユーザインターフェースは、前記対話型ディスプレイの第1のディスプレイエリアに表示され、前記1つ以上のアイコンの列及び前記通知バーは、前記第2位置にあるとき前記対話型ディスプレイの第2のディスプレイエリアに表示され、前記第1のディスプレイエリアは、前記第2のディスプレイエリアより大きい、ステップと;
をさらに備える、コンピュータ実施方法。」
「【請求項7】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、該プロセッサに請求項4乃至6のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムを記録する少なくとも1つのコンピュータ読取可能記録媒体。」
また、本願発明2-3は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明5-6は本願発明4を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明1
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1(特開2013-73529号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0012】
(第1実施形態)
図1から図3を参照しながら、第1実施形態に係るスマートフォン1の外観について説明する。図1から図3に示すように、スマートフォン1は、ハウジング20を有する。ハウジング20は、フロントフェイス1Aと、バックフェイス1Bと、サイドフェイス1C1~1C4とを有する。フロントフェイス1Aは、ハウジング20の正面である。バックフェイス1Bは、ハウジング20の背面である。サイドフェイス1C1~1C4は、フロントフェイス1Aとバックフェイス1Bとを接続する側面である。以下では、サイドフェイス1C1~1C4を、どの面であるかを特定することなく、サイドフェイス1Cと総称することがある。」
「
[図:0001387405000001.jpg]
」
「【0030】 図4に示す例では、4つのロケータ51が表示されている。これは、ホーム画面40の数が4つであることを示す。また、図4に示す例では、左から2番目のシンボルが他のシンボルと異なる態様で表示されている。これは、左から2番目のホーム画面が現在表示されていることを示している。」
「【0032】
ディスプレイ2Aの上端には、領域42が設けられている。領域42には、充電池の残量を示す残量マーク43、及び通信用の電波の電界強度を示す電波レベルマーク44が表示される。スマートフォン1は、領域42に、現在時刻、天気の情報、実行中のアプリケーション、通信システムの種別、電話のステータス、装置のモード、装置に生じたイベント等を表示してもよい。このように、領域42は、利用者に対して各種の通知を行うために用いられる。領域42は、ホーム画面40以外の画面でも設けられることがある。領域42が設けられる位置は、ディスプレイ2Aの上端に限られない。」
「
[図:0001387405000002.jpg]
」
「【0035】
図5は、スマートフォン1の構成を示すブロック図である。スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2と、ボタン3と、照度センサ4と、近接センサ5と、通信ユニット6と、レシーバ7と、マイク8と、ストレージ9と、コントローラ10と、カメラ12及び13と、コネクタ14と、加速度センサ15と、方位センサ16と、ジャイロスコープ17とを有する。
【0036】
タッチスクリーンディスプレイ2は、上述したように、ディスプレイ2Aと、タッチスクリーン2Bとを有する。ディスプレイ2Aは、文字、画像、記号、又は図形等を表示する。タッチスクリーン2Bは、ジェスチャを検出する。」
「【0048】
コントローラ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。コントローラ10は、通信ユニット6等の他の構成要素が統合されたSoC(System-on-a-chip)等の集積回路であってもよい。コントローラ10は、スマートフォン1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。」
「【0050】
コントローラ10は、例えば、制御プログラム9Aを実行することにより、タッチスクリーン2Bを介して検出されたジェスチャに応じて、ディスプレイ2Aに表示されている情報を変更する等の各種制御を実行する。」
「
[図:0001387405000003.jpg]
」
「【0085】
(第2実施形態)
次に、図10から図13を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態に係るスマートフォンの構成は、第1実施形態に係るスマートフォンと同様である。そこで、以下では、第2実施形態に係るスマートフォンをスマートフォン1として説明を行う。また、以下では、第1実施形態と共通する事項については説明を省略し、第1実施形態と異なる部分のみ説明を行う。
【0086】
図10は、第2実施形態に係るスマートフォンが行う制御の第1の例を示す図である。スマートフォン1は、ステップS31に示すように、第1実施形態における図7のステップS11と同様のホーム画面40をディスプレイ2Aに表示している。すなわち、ステップS31では、4つのアイコン50がホーム画面40の左上領域に配置されており、その他の領域にはアイコン50が配置されていない。
【0087】
また、利用者は、ステップS11と同様に、スマートフォン1の右下部分を持っている。そして、ステップS31では、利用者の親指F1が、ホーム画面40の右下領域においてアイコン50が配置されていない領域Rをタップしている。この場合、スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2を介して、ホーム画面40においてアイコン50が配置されていない領域Rに対するタップを検出する。
【0088】
スマートフォン1は、ステップS31でホーム画面40の領域Rに対するタップを検出すると、ステップS32に示す処理を行う。スマートフォン1は、ステップS32として、4つのアイコン50各々を、ステップS31で配置されていた位置から、ステップS31でタップされた領域Rに向かって移動させる。ステップS32では、4つのアイコン50の位置関係は、ステップS31と同様である。ステップS32では、アイコン50同士の位置関係は、ホーム画面40の領域Rに向かう移動する前と後とで変わっていない。」
「
[図:0001387405000004.jpg]
」
(2)引用発明1
上記(1)の段落【0012】及び【0035】記載の説明と図2記載のスマートフォンの外観から、フロントフェイス1Aはタッチスクリーンディスプレイ2を囲むように構成されているから、該フロントフェイス1Aには、タッチスクリーンディスプレイ2の上部に当たるフロントフェイス1Aの部分と、タッチスクリーンディスプレイ2の下部に当たるフロントフェイス1Aの部分が含まれているといえる。
上記(1)の段落【0088】記載の説明と図10記載のスマートフォンの制御から、「ステップS31で配置されていた位置」は「タッチスクリーンディスプレイ2の上部に当たるフロントフェイス1Aの部分に近い位置」であって、「ステップS31でタップされた領域R」は「タッチスクリーンディスプレイ2の下部に当たるフロントフェイス1Aの部分に近い位置」であるといえる。
さらに、上記(1)の段落【0030】及び【0032】記載の説明と図4、10の記載から、利用者によるタップに応じて、領域42及びロケータ51は移動せず、「4つのアイコン50各々だけ」が移動しているといえる。
したがって、上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「スマートフォン1は、ハウジング20を有し、ハウジング20はフロントフェイス1Aを有し、
ディスプレイ2Aの上端には、領域42が設けられ、充電池の残量を示す残量マーク43、及び通信用の電波の電界強度を示す電波レベルマーク44が表示され、利用者に対して各種の通知を行い、
スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2と、コントローラ10とを有し、
タッチスクリーンディスプレイ2は、ディスプレイ2Aと、タッチスクリーン2Bとを有し、
フロントフェイス1Aには、タッチスクリーンディスプレイ2の上部に当たるフロントフェイス1Aの部分と、タッチスクリーンディスプレイ2の下部に当たるフロントフェイス1Aの部分を含み、
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)であり、
コントローラ10は、タッチスクリーン2Bを介して検出されたジェスチャに応じて、ディスプレイ2Aに表示されている情報を変更する等の各種制御を実行し、
スマートフォン1は、ステップS31でホーム画面40の領域Rに対するタップを検出すると、スマートフォン1は、4つのアイコン50各々だけを、タッチスクリーンディスプレイ2の上部に当たるフロントフェイス1Aの部分に近い位置から、タッチスクリーンディスプレイ2の下部に当たるフロントフェイス1Aの部分に近い位置に向かって移動させる、
スマートフォン1。」
2 引用文献2、引用発明2
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2(特開2013-235568号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0015】
以下の説明で、電子装置は、タッチスクリーンを備える移動通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ラップトップ、スマートフォン、ネットブック、テレビ、モバイルインターネットデバイス(MID)、ウルトラモバイルPC(UMPC)、タブレットPC、ナビゲーション、及びMP3などを含む。しかし、タッチスクリーンを備えていない電子装置でも同様に画面を移動させることができる。」
「【0057】
傾きの変化が検出された場合、電子装置は、S407段階に進行して傾きの変化に基づいて全体画面の位置を移動させる。例えば、下方向への傾きの変化が検出された場合、電子装置は、図5Bに示すように、全体画面を下方向へ移動させる。他の例で、右側への傾きの変化が検出された場合、電子装置は、図5Cに示すように、全体画面を右側へ移動させる。また他の例で、右側の下方向への傾きが検出された場合、電子装置は、図5Dに示すように、全体画面を右側の下方向へ移動させる。この時、電子装置は、既に設定された基準距離だけ全体画面を移動させる。」
「
[図:0001387405000005.jpg]
」
(2)引用発明2
上記(1)から、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「電子装置は、タッチスクリーンを備えるスマートフォンを含み、下方向への傾きの変化が検出された場合、電子装置は、全体画面を下方向へ移動させる。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「スマートフォン1」は、本願発明1の「スマートフォン」に対応する。
(イ)引用発明1の「タッチスクリーンディスプレイ2の上部に当たるフロントフェイス1Aの部分」及び「タッチスクリーンディスプレイ2の下部に当たるフロントフェイス1Aの部分」は、本願発明1の「上部及び下部エッジ」に相当する。
引用発明1の「コントローラ10」は、「タッチスクリーン2Bを介して検出されたジェスチャに応じて、ディスプレイ2Aに表示されている情報を変更する等の各種制御を実行」するから対話型であるといえる。
そうすると引用発明1の「タッチスクリーンディスプレイ2」は、本願発明1の「上部及び下部エッジを有する対話型ディスプレイ」に相当する。
(ウ)引用発明1の「コントローラ10」は、CPU(Central Processing Unit)であるから、プロセッサの一種といえる。
ここで、引用発明1の「コントローラ10」は図5では1つのブロック図として表現されており、「各種制御を実行する」ものであるから、最小でも1つはあるといえるところ、用語「少なくとも1つ」には「1つ」が含まれるから、該「コントローラ10」は、本願発明1の「少なくとも1つのプロセッサ」に相当する。
(エ)引用発明1の「コントローラ10は、タッチスクリーン2Bを介して検出されたジェスチャに応じて、ディスプレイ2Aに表示されている情報を変更する等の各種制御を実行」するところ、具体的な検出に関しては、「ステップS31でホーム画面40の領域Rに対するタップを検出する」から、コントローラ10はタッチスクリーン2Bを介して検出されたジェスチャである「タップ」を検出しているといえる。
上記(イ)を踏まえると、引用発明1における「タッチスクリーン2B」を「介して検出されたジェスチャ」である「タップ」と、本願発明1の「対話型ディスプレイ上で描かれる所定のジェスチャ」とは、「対話型ディスプレイ上の所定のジェスチャ」である点で共通する。
(オ)引用発明1の「ディスプレイ2Aの上端」の「領域42」には、「充電池の残量を示す残量マーク43、及び通信用の電波の電界強度を示す電波レベルマーク44が表示され、利用者に対して各種の通知を行」うことと、図4の該領域42の細長い形状を踏まえると、該領域42は、スマートフォン1の現在の充電池の残量や電波の電界強度に関する情報を利用者に対して通知する細長い領域といえ、本願発明1の「当該スマートフォンの現在の状態に関する情報を表示」する「通知バー」に相当する。
引用発明1の「タッチスクリーンディスプレイ2の下部に当たるフロントフェイス1Aの部分に近い位置」は、本願発明1の及び「下部エッジに近」い位置に相当する。
そうすると、引用発明1の「ステップS31でホーム画面40の領域Rに対するタップを検出すると、スマートフォン1は、4つのアイコン50各々だけを、タッチスクリーンディスプレイ2の上部に当たるフロントフェイス1Aの部分に近い位置から、タッチスクリーンディスプレイ2の下部に当たるフロントフェイス1Aの部分に近い位置に向かって移動させる」ことと、本願発明1の「前記対話型ディスプレイ上で描かれる前記所定のジェスチャの検出に応答して、前記対話型ディスプレイ上のユーザインタフェース上の1つ以上のアイコンの列及び通知バーを前記対話型ディスプレイ上の第1位置から前記対話型ディスプレイ上の第2位置へ移動させ、前記通知バーは当該スマートフォンの現在の状態に関する情報を表示し、前記第2位置は前記第1位置よりも前記対話型ディスプレイの前記下部エッジに近」いこととは、「前記対話型ディスプレイ上」の「前記所定のジェスチャの検出に応答して、前記対話型ディスプレイ上のユーザインタフェース上の1つ以上のアイコンの列」「を前記対話型ディスプレイ上の第1位置から前記対話型ディスプレイ上の第2位置へ移動させ、通知バーは当該スマートフォンの現在の状態に関する情報を表示し、前記第2位置は前記第1位置よりも前記対話型ディスプレイの前記下部エッジに近」いことである点で共通している。
イ 上記アから、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「スマートフォンであって:
上部及び下部エッジを有する対話型ディスプレイと;
少なくとも1つのプロセッサと;
を備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
当該スマートフォンのユーザにより前記対話型ディスプレイ上の所定のジェスチャを検出し、
前記対話型ディスプレイ上の前記所定のジェスチャの検出に応答して、前記対話型ディスプレイ上のユーザインタフェース上の1つ以上のアイコンの列を前記対話型ディスプレイ上の第1位置から前記対話型ディスプレイ上の第2位置へ移動させ、通知バーは当該スマートフォンの現在の状態に関する情報を表示し、前記第2位置は前記第1位置よりも前記対話型ディスプレイの前記下部エッジに近い、
スマートフォン。」
<相違点>
(相違点1)
「所定のジェスチャ」に関し、本願発明1は、「前記対話型ディスプレイ上で描かれる所定のジェスチャ」であるのに対して、引用発明1においては「前記対話型ディスプレイ上でタップするジェスチャ」である点。
(相違点2)
「所定のジェスチャの検出に応答して、」「前記対話型ディスプレイ上の第1位置」と「前記対話型ディスプレイ上の第2位置」との間で移動させるものが、本願発明1では「アイコンの列及び通知バー」であるのに対し、引用発明1では「4つのアイコン50各々だけ」である点。
(相違点3)
本願発明1では、「非アクティブの時間の後、前記1つ以上のアイコンの列及び前記通知バーを、前記対話型ディスプレイ上の前記第2位置から前記対話型ディスプレイ上の前記第1位置に戻させ」るのに対し、引用発明1では該「戻させる」か否か不明な点。
(相違点4)
本願発明1では、「前記少なくとも1つのプロセッサは更に、前記ユーザによる前記アイコンのうち1つのアクティブ化に応答してアプリケーションを開始し、前記アプリケーションのアプリケーションユーザインターフェースは、前記対話型ディスプレイの第1のディスプレイエリアに表示され、前記1つ以上のアイコンの列は、前記第2位置にあるとき前記対話型ディスプレイの第2のディスプレイエリアに表示され、前記第1のディスプレイエリアは、前記第2のディスプレイエリアより大きい」のに対し、引用発明1では、開始されたアプリケーションが表示されるエリアが特定されておらず、4つのアイコン40が表示されるエリアとの大小関係が特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、先に相違点2について検討する。
引用発明1の「領域42」及び「4つのアイコン50」について、引用文献1には、利用者が「領域42」を「4つのアイコン50」と同じように操作するとの記載や示唆はされていない。
引用発明2のスマートフォンは全体画面を下方向へ移動させるものであるところ、引用文献2に、本願発明1の「通知バー」に対応するものは記載も示唆もないから、引用発明2では「通知バー」を移動させることは特定されていない。
そうすると、引用発明1に引用発明2を組み合わせる動機付けがなく、仮に、組み合わせてみたとしても、引用発明1の「領域42」を「4つのアイコン50」とともに移動させることは、当業者であっても容易に想到できたとはいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明4について
本願発明4は、本願発明1に係る発明のカテゴリー違いの発明であるといえるから、本願発明1に対して上述したとおり、引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明2-3,5-6について
本願発明2-3は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明5-6は、本願発明4を減縮した発明であるから、本願発明4と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本願発明7,8について
本願発明7,8は、本願発明4-6の方法を引用する「コンピュータプログラム」及び「コンピュータ読取可能記録媒体」の発明であるから、本願発明4-6に対して上述したとおり、引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定について
上記「第5 対比・判断」で示したとおり、本願発明1-8は、拒絶査定において引用された引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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