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特許無効審判

2021-800085

半導体装置

審判番号
2021-800085
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2016-185062
登録番号
6043457
請求日
2021年10月20日
審決日
2023年02月22日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】TCTモバイル・オーバーシーズ・リミテッド
  • 【請求人代理人】黒田 健二
  • 【請求人代理人】松本 孝
  • 【請求人代理人】吉村 誠
  • 【被請求人】株式会社 半導体エネルギー研究所
  • 【被請求人代理人】古城 春実
  • 【被請求人代理人】牧野 知彦
  • 【被請求人代理人】岡田 健太郎
  • 【被請求人代理人】平井 佑希
  • 【被請求人代理人】蟹田 昌之
審判長/審判官
  • 審判長 須田 勝巳
  • 審判官 山澤 宏
  • 審判官 児玉 崇晶
分類
P1123.113-Y (G09G) / P1123.121-Y (G09G) / P1123.537-Y (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条、特許法第123条、特許法第44条、特許法第169条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6043457号発明「半導体装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 次の(1)及び(2)を結論とする審決を求める。 (1) 特許第6043457号の特許請求の範囲の請求項4に記載された発明についての特許を無効とする。 (2) 審判費用は被請求人の負担とする。 2 答弁の趣旨 次の(1)及び(2)を結論とする審決を求める。 (1) 本件審判の請求は成り立たない。 (2) 審判費用は、請求人の負担とする。 第2 手続の経緯 1 出願分割の経緯の概略 本件無効審判の請求に係る特許第6043457号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成28年9月23日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、平成22年9月9日(優先権主張 2009年(平成21年)9月10日)に出願した特願2010-201897号を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願:特願2010-201897号(平成22年 9月 9日) 第1世代 :特願2014- 82837号(平成26年 4月14日) 第2世代 :特願2015-204233号(平成27年10月16日) 本願 :特願2016-185062号(平成28年 9月23日) 2 本件特許の手続の経緯の概略 (1)本件特許の出願から設定登録までの経緯 本件特許の請求項1-24に係る発明についての、出願から本件無効審判請求の前までの手続の経緯の概略は、次のとおりである。 平成28年 9月23日 :出願(特願2016-185062号) 平成28年10月24日付け:特許査定 平成28年11月18日 :設定登録 (2)本件無効審判の手続の経緯 本件無効審判における手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年10月20日 :審判請求書(以下、「請求書」という。)の提出 令和4年 1月 7日 :審判事件答弁書(以下、「答弁書」という。)の提出 同年 5月25日 :審判事件弁駁書(以下、「弁駁書」という。)の提出 同年 8月19日付け:審理事項通知書 同年10月 3日 :口頭審理陳述要領書の提出(請求人) 同日 :口頭審理陳述要領書の提出(被請求人) 同年10月17日 :口頭審理 以下、口頭審理陳述要領書について、提出者を書面名の頭につけて、「請求人陳述要領書」などという。 第3 本件特許発明 本件特許の請求項4に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項4の記載は次のとおりである。 なお、請求項において、「A」~「R」として付された記号は、請求項において特定される事項を識別するために当審で付加したものであり、以下、それぞれの記号が付される特定事項を、「構成A」~「構成R」などという。 「【請求項4】 A ゲートドライバを有し、 B 前記ゲートドライバは、第1乃至第6のトランジスタを有し、 C 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のクロック信号線と電気的に接続され、 D 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のゲート信号線と電気的に接続され、 E 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源線と電気的に接続され、 F 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のゲート信号線と電気的に接続され、 G 前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、 H 前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 I 前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され、 J 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記電源線と電気的に接続され、 K 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 L 前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 M 前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され、 N 前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 O 前記第5のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 P 前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 Q 前記第6のトランジスタのゲートは、前記第2のクロック信号線と電気的に接続される R ことを特徴とする半導体装置。」 第4 請求人の主張及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 (1)無効理由1 ア 無効理由1-1 本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明と同一であるから、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきものである。 (請求書11-13、19、23-49頁) イ 無効理由1-2 仮に、甲第2号証に記載された発明に本件特許発明の構成Mに相当する構成がないとしても、本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証若しくは甲第4号証に記載された技術から容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 (請求書11-13、19、23-76頁) (2)無効理由2 ア 無効理由2-1 本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明と同一であるから、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきものである。 (請求書13-15、19、76-95頁) イ 無効理由2-2 仮に、甲第3号証に記載された発明に本件特許発明の構成G及びIに相当する構成がないとしても、本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載の技術から容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 (請求書13-15、19、76-101頁) (3)無効理由3 本件特許発明は、甲第6号証に記載された発明と同一であるから、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきものである。 (請求書16-18、19、102-127頁) (4)無効理由4 本件特許発明と甲第6号証に記載された発明は同一であるが、甲第6号証は本件明細書の先行技術文献として挙げられたものであり、そうすると、本件特許の請求項4に記載されている事項では、課題を解決する手段が記載されておらず、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されていない構成を含むものであるため、本件特許出願は、特許法36条6項1号の規定する、いわゆるサポート要件に違反し、本件特許は同法123条1項4号に該当し、無効とすべきである。 (請求書18、20、127-131頁) 2 証拠方法 甲第1号証 :特許第6043457号公報(本件特許) 甲第2号証 :韓国公開特許10-2005-0114850号公報 甲第3号証 :特開2006-351171号公報 甲第4号証 :米国特許出願公開第2006/0001637号明細書 甲第5号証 :米国特許出願公開第2008/0170064号明細書 甲第6号証 :特開2005-50502号公報 甲第7号証 :早期審査に関する事情説明書(本件特許の特許出願2016-185062号に関して) 以降、「甲第1号証」ないし「甲第7号証」を、「甲1」ないし「甲7」などと省略して記載する場合がある。 第5 被請求人の主張及び証拠方法 1 被請求人の主張の概要 (1) 無効理由1について ア 無効理由1-1について 甲2の図8には誤記があり、構成M、構成Nを備えておらず、新規性欠如に関して理由がない。 (答弁書7-13、18、19頁) イ 無効理由1-2について 甲2の図8には誤記があり、構成M、構成Nにおいて相違し、甲3または甲4には構成Mに相当する構成は開示されておらず、さらに、甲2に記載の発明に甲3または甲4に記載の技術を組み合わせる動機づけもない。したがって、進歩性欠如に関しても理由がない。 (答弁書7-19頁) (2) 無効理由2について ア 無効理由2-1について 甲3に記載された発明と本件特許発明では、構成H、構成Mにおいて相違することから、新規性欠如に関して理由がない。 (答弁書19、20頁) イ 無効理由2-2について 甲3に記載された発明と本件特許発明では、構成H、構成Mにおいて相違しており、さらに、甲3記載の発明に甲5に記載の技術を組み合わせる動機づけもない。したがって、進歩性欠如に関しても理由がない。 (答弁書19-21頁) (3) 無効理由3について 甲6に記載された発明と本件特許発明では、構成G、構成M、構成N、構成P、及び構成Qにおいて相違することから、新規性欠如に関して理由がない。 (答弁書22-25頁) (4) 無効理由4について 本件特許発明の「電気的に接続」に関して請求人の独自の誤った解釈に基づくものであって、本件特許発明と甲6に記載された発明は同一でなく、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていない構成を含むものではない。 (答弁書25-26頁) 2 証拠方法 乙第1号証 :「REPLY TO OFFICE ACTION UNDER 37 C.F.R §1.111」と題する書面 乙第2の1号証 :「AMENDMENT IN REPLY TO ACTION OF MAY 18,2017」 乙第2の2号証 :Amendment to the Claims(US15334397の補正書) 乙第2の3号証 :REMARKS(US15334397の意見書) 以降、「乙第1号証」ないし「乙第2の3号証」を、「乙1」ないし「乙2の3」などと省略して記載する場合がある。 第6 当審の判断 1 本件特許発明の「電気的に接続」について 本件無効審判においては、本件特許発明の「電気的に接続」の解釈に争いがあり、その解釈は、無効理由1~4に係る判断の前提となることから、まず、「電気的に接続」の解釈について検討する。 (1)請求人の主張 請求人は「電気的に接続」について請求書において次のア~エのとおり主張している。 ア 「3 本件特許発明と甲2発明の対比 ・・・中略・・・ (7)構成要件Gと構成gの対比 ・・・中略・・・ この点、本件明細書の段落【0027】には、「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。」と記載されている。 そうすると、甲2発明において、N2トランジスタのソース又はドレインの一方と、開始信号線との間に、N1トランジスタが1個接続されていたとしても、N2トランジスタのソース又はドレインの一方と、開始信号線とが電気的に接続されていることに変わりはない。 ・・・中略・・・ (13)構成要件Mと構成mの対比 ・・・中略・・・ この点、N9トランジスタのソース又はドレインの一方と第1クロック信号(CLK1)の信号線との間に、N5トランジスタが1個接続されているが、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、第1クロック信号(CLK1)の信号線と電気的に接続されているといえる。」(請求書43-47頁) イ 「2 本件特許発明と甲3発明の対比 ・・・中略・・・ (7)構成要件Gと構成g’の対比 ・・・中略・・・ この点、トランジスタT6のソース又はドレインの一方と前段ゲート出力Gout(j-2)の信号線の間に、トランジスタT2及びキャパシタCが接続しているが、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、トランジスタT6のソース又はドレインの一方は、前段ゲート出力Gout(j-2)の信号線と電気的に接続されているといえる。 ・・・中略・・・ (13)構成要件Mと構成m’の対比 ・・・中略・・・ この点、トランジスタT11及びT10を介している点については、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、トランジスタT7のソース又はドレインの一方は、前記第2クロック信号(LCLK2)の信号線と電気的に接続されているといえる。」(請求書89-93頁) ウ 「3 本件特許発明と甲6発明の対比 ・・・中略・・・ (7)構成要件Gと構成g”の対比 ・・・中略・・・ この点、第6ホールドトランジスタQ46のドレーンと第1入力信号の信号線の間に、第4トランジスタQ4及び第1トランジスタQ1が接続しているが、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、第6ホールドトランジスタQ46のドレーンは、第1入力信号の信号線と電気的に接続されているといえる。 ・・・中略・・・ (8)構成要件Hと構成h”の対比 ・・・中略・・・ この点、キャパシタCを介している点については、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載によれば、電気的に接続されていることを否定するものではない。 ・・・中略・・・ (13)構成要件Mと構成m”の対比 ・・・中略・・・ この点、第4ホールドトランジスタQ34のドレーンと前記第2クロックCKVBの信号線との間に、第5ホールドトランジスタQ45及び第6ホールドトランジスタQ46が接続しているが、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、第4ホールドトランジスタQ34のドレーンは、前記第2クロックCKVBの信号線と電気的に接続されているといえる。 (14)構成要件Nと構成n”の対比 ・・・中略・・・ この点、第4ホールドトランジスタQ34のソースと前記第3トランジスタQ3のゲートとの間に、第4トランジスタQ4が接続しているが、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、第4ホールドトランジスタQ34のソースは、前記第3トランジスタQ3のゲートと電気的に接続されているといえる。」 (15)構成要件Oと構成o”の対比 ・・・中略・・・ この点、キャパシタCを介している点については、本件明細書の段落【0027】の記載のとおり、電気的に接続されていることを否定するものではない。 (16)構成要件Pと構成p”の対比 ・・・中略・・・ この点、第5ホールドトランジスタQ45のソースと前記第3トランジスタQ3のゲートとの間に、第4トランジスタQ4が接続しているが、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、第5ホールドトランジスタQ45のソースは、前記第3トランジスタQ3のゲートと電気的に接続されているといえる。 (17)構成要件Qと構成q”の対比 ・・・中略・・・ この点、第5ホールドトランジスタQ45のゲートと第2クロックCKVBの信号線との間に、第4ホールドトランジスタQ34及び第6ホールドトランジスタQ46が接続しているが、上記「第2」「3」「(7)」で詳述したとおり、本件明細書の段落【0027】の記載からすれば、第5ホールドトランジスタQ45のゲートは、第2クロックCKVBの信号線と電気的に接続されているといえる。」(請求書121-127頁) エ 「第5 無効理由4(サポート要件違反) ・・・中略・・・ (3)本件特許の請求項の記載では、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できないこと 本件特許発明のうち、「電気的に接続され」という発明特定事項について、当業者が、本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えているものであるから、サポート要件に違反する。すなわち、「電気的に接続」について、本件明細書の段落【0027】には「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である」と記載されている。」(請求書127-130頁) また、請求人は「電気的に接続」について弁駁書において次のオ、カのとおり主張している。 オ 「2 「2 甲2発明の構成」(11頁)について」 構成nに関して、被請求人は、「正しい図8から把握される甲2発明のN9トランジスタのソース又はドレインの他方は、N4トランジスタのゲートと電気的に接続されていない」と主張する(11頁9~11行)。 しかしながら、甲2において、N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、下図に示す経路で、N4トランジスタのゲートに電気的に接続することもできると考えられるから、構成nを有することは明らかである。 [図:0001399903000001.jpg] また、被請求人は、構成mに関して、「ソース又はドレインからゲートヘ電位が供給されることはなく、このような構成をもって電気的に接続されているとはいえない」と主張し(11頁20行~12頁1行)、「本件特許発明は、回路の発明であり、そこで素子や配線の接続関係が規定されているのは、そのような接続関係によって電位等を伝え、回路として所望の動作をなしうるようにするためであることは、当業者から見れば明らかである。【0027】が説明しているのは、トランジスタ等が間に接続されていても、そのトランジスタがオンすれば所望の電位等が伝わり、所望の回路として動作する(回路として同じ技術的思想を持つ)のであるから、そのような接続関係は、電気的な接続と言えるということである。」と主張する(12頁6~11行)。 しかしながら、本件明細書の【0027】には、「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。」としか記載されておらず、「ソース又はドレインからゲートヘ電位が供給されることはなく、このような構成をもって電気的に接続されているとはいえない」という被請求人の主張の根拠となるような記載はないし、また、「【0027】が説明しているのは、トランジスタ等が間に接続されていても、そのトランジスタがオンすれば所望の電位等が伝わり、所望の回路として動作する(回路として同じ技術的思想を持つ)のであるから、そのような接続関係は、電気的な接続と言えるということ」(12頁8~11行)を示す記載も一切ない。 この点について、被請求人は、「実際、本件明細書の他の記載を見ても、トランジスタのソース及びドレインを介して電位等を伝えることが説明されているのであって(例えば【0101】など)、本件特許発明の電気的接続とは、このような接続関係を意味するものである」と主張する(12頁12~14行)。 しかしながら、本件明細書の【0101】には、電気的接続についての説明は一切ない。むしろ、本件明細書の【0099】には、「次に、トランジスタ101~105のチャネル幅の比率について説明する」と記載されており、【0101】でも、「したがって、トランジスタ101のチャネル幅は、トランジスタ102のチャネル幅、及び/又は、トランジスタ103のチャネル幅よりも大きいことが可能である。このような場合、トランジスタ101のチャネル幅は、トランジスタ102のチャネル幅又はトランジスタ103のチャネル幅の3倍以下であることが好ましい。より好ましくは、2倍以下であることが好ましい。」と記載されているのであるから、【0101】は、電気的接続についての説明ではなく、チャンネル幅の比率についての説明にすぎないことは明らかである。 したがって、【0101】が、電気的接続についての説明であるという被請求人の主張は全く根拠がない。 また、請求人の主張が正しいことは、被請求人が本件特許の審査過程で提出した早期審査に関する事情説明書(甲7)からも明らかである。すなわち、甲7において、被請求人は、以下のとおり説明している。 [図:0001399903000002.jpg] [図:0001399903000003.jpg] 以上の説明をまとめて、本件明細書の図27(被請求人が甲7で引用している)に当てはめると、以下のとおりとなる。 [図:0001399903000004.jpg] そして、本件発明の構成要件Iは、「前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され」というものであるが、上記図27によれば、第3のトランジスタ205のゲートと、第2のクロック信号線113との接続関係は、下図の緑線のとおりとなり、途中でトランジスタ206(ピンク丸箇所)のソース又はドレインの一方とゲートを介して接続されている。 [図:0001399903000005.jpg] また、本件発明の構成要件Nは、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」というものであるが、上記図27によれば、第5のトランジスタ102のソース又はドレインの一方と、第2のトランジスタ202のゲートとの接続関係は、下図の緑線のとおりとなり、途中でトランジスタ206(ピンク丸箇所)のソース又はドレインの一方とゲートを介して接続されている。 [図:0001399903000006.jpg] このように、早期審査に関する事情説明書(甲7)における被請求人の説明を前提としても、「電気的に接続されている場合」においては、トランジスタのゲートを介して接続されている場合を含むことが明らかである。 以上から、甲2発明については、「N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記N5トランジスタを介して、前記第1クロック信号(CLK1)の信号線と電気的に接続されている」という構成mを有していることは明らかである」(弁駁書5-10頁) カ 「第4 無効理由4について サポート要件違反についての被請求人の反論は、要は、「電気的に接続」の解釈について、本件特許発明の構成要件が、素子や配線の接続関係を規定しているのは、そのような接続関係によって電位等を伝え、回路として所望の動作をなしうるようにするためであることは、当業者から見れば明らかであり、本件明細書の【0027】もそのことを説明しているものであるというものである(25頁末行~26頁3行)。 しかしながら、本件明細書【0027】には、単に、「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。」としか記載されていないのであり、被請求人の主張を支える記載は一切ないから、被請求人の主張は失当である。」(弁駁書19-20頁) (2)被請求人の主張 これに対して、被請求人は答弁書において、次のア~オのとおり主張している。 ア 「2 甲2発明の構成 ・・・中略・・・ (2)構成m 構成要件Mに対応する構成mに関し、請求人は、N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、N5トランジスタを介して、前記第1クロック信号(CLK1)の信号線と電気的に接続されていると主張する。 しかしここで請求人は、N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、N5トランジスタのソース又はドレインから、N5トランジスタのゲートヘと抜けてCLK1に電気的に接続されていると主張するが、ソース又はドレインからゲートヘ電位が供給されることはなく、このような構成をもって電気的に接続されているとはいえない。 本件明細書【0027】では、「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。」と説明されており、ここではトランジスタが介在しても良いことは記載されている。本件特許発明は、回路の発明であり、そこで素子や配線の接続関係が規定されているのは、そのような接続関係によって電位等を伝え、回路として所望の動作をなしうるようにするためであることは、当業者から見れば明らかである。【0027】が説明しているのは、トランジスタ等が間に接続されていても、そのトランジスタがオンすれば所望の電位等が伝わり、所望の回路として動作する(回路として同じ技術的思想を持つ)のであるから、そのような接続関係は、電気的な接続と言えるということである。 実際、本件明細書の他の記載を見ても、トランジスタのソース及びドレインを介して電位等を伝えることが説明されているのであって(例えば【0101】など)、本件特許発明の電気的接続とは、このような接続関係を意味するものである。 これに対し、請求人が主張するような態様でトランジスタを配置してしまうと、XとYの間では電位等が伝わらなくなってしまうのであって、このような接続は「XとYとの電気的な接続を可能」ではなく、電気的接続に当たらないことは明らかである。 [図:0001399903000007.jpg] 以上より、甲2発明のN9トランジスタのソース又はドレインの一方は、第1クロック信号(CLK1)の信号線と電気的に接続されていない。」(答弁書11-12頁) イ 「(2)構成要件M ア 甲3との組み合わせ」 ・・・中略・・・ (イ)トランジスタT7はLCLK2と電気的に接続されていないこと 加えて、請求人は、甲3文献記載のトランジスタT7のソース又はドレインの一方が、トランジスタ11及び10を介して、LCLK2と電気的に接続されていると主張した上で、トランジスタT7が本件特許発明の「第5のトランジスタ」に、LCLK2が同「第2のクロック信号線」に、それぞれ相当し、甲3には本件特許発明の構成要件Mに相当する構成が開示されていると主張する(審判請求書60、61頁)。 しかし、請求人が主張するトランジスタT7のソース又はドレインの一方(下記図の赤で示した方)は、電源線Voffに接続されているのであって、LCLK2とは電気的に接続されていない。 [図:0001399903000008.jpg] すなわち、前述のとおり、本件明細書【0027】では、「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電汽的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。」と説明されているところ、この記載が、トランジスタ等が間に接続されていても、そのトランジスタがオンすれば所望の電位等が伝わり、所望の回路として動作するから、そのような接続関係であれば、電気的な接続と言えるということを説明したものであることは、前述のとおりである。 これを本件特許発明の構成要件Mについて見ると、同構成要件が第2のクロック信号線と電気的に接続することを規定しているのは、第2のクロック信号線の信号が第5のトランジスタのソース又はドレインの一方に供給されることを意味していることは、技術的に明らかである。 これに対し、甲3発明のトランジスタT7は電源線に接続されており、電源線は一定の電位Voffに固定されていることから、甲3記載の回路において、LCLK2の信号(電位の変化)が、トランジスタT7のソース又はドレインの一方に伝わることはない。このような請求人が主張するような構成をもって、トランジスタTr7のソース又はドレインの一方が、LCLK2と電気的に接続されているとはいえない。」(答弁書13-15頁) ウ 「第2 無効理由2について 1 甲3発明の構成 (1)構成h’ 請求人は、甲3発明のトランジスタT6のソース又はドレインの他方(下記図の赤で示した方)は、トランジスタT1のゲートと電気的に接続されていると主張する(審判請求書81頁)。 [図:0001399903000009.jpg] しかし、無効理由1の箇所で、T7とLCLK2の接続関係について述べたのと同様、T6のソース又はドレインの他方とT1のゲートとは、それぞれが電源線Voffに接続されているのであって、T6のソース又はドレインの他方の電位がT1のゲートに伝わることはない。 本件特許発明の構成要件Hが、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方と第1のトランジスタのゲートが電気的に接続することを規定しているのは、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方の電位を第1のトランジスタのゲートに伝えることで第1のトランジスタのオン/オフを制御することを意味していることは、技術的に明らかであって、請求人が主張するような構成をもって、トランジスタT6のソース又はドレインの他方が、T1のゲートと電気的に接続されているとはいえない。 (2)構成m’ 無効理由1の箇所で述べたとおり、甲3発明のトランジスタT7のソース又はドレインの一方(下記図の赤で示した方)は、電源線(ゲートオフ電圧Voff)に接続されているのであって、LCLK2とは電気的に接続されていない。 [図:0001399903000010.jpg] 」(答弁書19-20頁) エ 「第3 無効理由3について 1 甲6発明の構成 (1)構成g” 請求人は、甲6発明の第6ホールドトランジスタQ46のソース又はドレインの一方(下記図の赤で示した方)が、第4トランジスタQ4及び第1トランジスタQ1を経由して、第1入力信号(IN1)と電気的に接続されていると主張する。 [図:0001399903000011.jpg] しかし、無効理由1の箇所で、T7とLCLK2の接続関係について述べたのと同様、第6ホールドトランジスタQ46のソース又はドレインの一方は、電源線VOFFに接続されているのであって、IN1の信号(電位の変化)が、第6ホールドトランジスタQ46のソース又はドレインの一方に伝わることはない。 本件特許発明の構成要件Gが、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方と第1のゲート信号線が電気的に接続することを規定しているのは、第1のゲート信号線の信号が第3のトランジスタのソース又はドレインの一方に供給されることを意味していることは、技術的に明らかであって、請求人が主張するような構成をもって、第6ホールドトランジスタQ46のソース又はドレインの一方が、IN1と電気的に接続されているとはいえない。 (2)構成m” 請求人は、甲6発明の第4ホールドトランジスタQ34のドレイン(下記図の赤で示した方)は、第5ホールドトランジスタQ45及び第6ホールドトランジスタQ46を介して、第2クロックCK2の信号線と電気的に接続されていると主張する(審査請求書115頁)。 [図:0001399903000012.jpg] しかし、無効理由1の箇所で、甲2発明の構成mに関して述べたのと同様、請求人は、トランジスタのゲートとソース又はドレインを通じた経路であっても電気的に接続されていると主張しているが、ソース又はドレインとゲートを通じて、電位等が伝わることはないから、このような構成をもって、第4ホールドトランジスタQ34のドレインが、第2クロックCK2の信号線と電気的に接続されているとはいえない。 (3)構成n” 請求人は、甲6発明の第4ホールドトランジスタQ34のソース(下記図の赤で示した方)は、第4トランジスタQ4を介して、第3トランジスタQ3のゲートと電気的に接続されていると主張する(審査請求書116頁)。 [図:0001399903000013.jpg] しかし第一に、構成m”で述べたのと同様、請求人は、第4トランジスタQ4のゲートとソース又はドレインを通じた経路であっても電気的に接続されていると主張しているが、誤りである。 また第二に、構成g”で述べたのと同様、第4ホールドトランジスタQ34のソースは、電源線VOFFと接続されているのであって、その電位が、トランジスタQ3のゲートに伝わることはないから、この点からしても第4ホールドトランジスタQ34のソースとトランジスタQ3のゲートとは、電気的に接続されているとはいえない。 (4)構成p” 構成n”に関して述べたのと同様の理由(トランジスタQ4のゲートとソース又はドレインを通じていること及び第5ホールドトランジスタQ45のソースは電源線VOFFと接続されていること)により、第5ホールドトランジスタQ45のソースとトランジス夕Q3のゲートとは、電気的に接続されているとはいえない。 (5)構成q” 構成q”についても、構成n”に関して述べたのと同様の理由(第6ホールドトランジスタQ46のゲートとソース又はドレインを通じていること及び第5ホールドトランジスタQ45のゲートは電源線VOFFと接続されていること)により、第5ホールドトランジスタQ45のゲートとCK2とは、電気的に接続されているとはいえない。」(答弁書22-25頁) オ 「第4 無効理由4について ・・・中略・・・ 2 請求人の解釈誤り 上記請求人の主張は、「電気的に接続」の解釈について、電位等を伝えないような態様ですら、「電気的に接続」に当たるという独自の解釈を前提としているが、その解釈自体が誤りであることは、既に繰り返し述べたとおりである。 本件特許発明の構成要件が、素子や配線の接続関係を規定しているのは、そのような接続関係によって電位等を伝え、回路として所望の動作をなしうるようにするためであることは、当業者から見れば明らかであり、本件明細書【0027】もそのことを説明しているものである。 請求人自身も指摘するとおり、甲6は、本件明細書の【0004】、【0005】に記載されている「特許文献1」である。被請求人が上記第3で主張したとおり、本件特許発明と甲6発明とは異なる発明であって、特許庁も、本件特許発明の内容を正しく理解し、そのように理解したからこそ、本件特許発明が登録に至っているのであり、それが当業者の通常の解釈である。」(答弁書25-26頁) また、被請求人は、被請求人陳述要領書において、次のカ、キのとおり主張している。 カ 「「(1)無効理由4について」について (1)本件特許発明と実施例との対応関係について 早期審査に関する事情説明書(甲7)に記載された対応関係には、誤りがあるため、以下、正しい対応関係を説明する。 甲7の1枚目の赤枠内で示された箇所の、「第2のトランジスタ」に対応するとされている「トランジスタ202」は「トランジスタ201」の、「第3のトランジスタ」に対応するとされている「トランジスタ205」は「トランジスタ206」の、それぞれ誤記である。 甲7の誤記を前提とした請求人の主張によれば、第5のトランジスタ(102)のソース又はドレインの他方は、以下のような経路で第2のトランジスタのゲートに接続されていることになるが、いかにも迂遠な経路であり、この時点において甲7に明らかに誤記があることが伺える。 ・・・中略・・・ そして正しい対応関係に基づいて、第5のトランジスタのソース又はドレインの他方と第2のトランジスタのゲートとの接続関係(構成要件N)及び第3のトランジスタのゲートと第2のクロック信号線との接続関係(構成要件I)を見ると、以下のとおりの経路で接続されており、いずれもソース又はドレインからゲートヘと抜ける経路は辿っていない。 [図:0001399903000014.jpg] 以上より、甲7の対応関係には誤記があり、甲7を根拠とする請求人の主張も誤りである。」(被請求人陳述要領書5―7頁) キ 「(2)「電気的に接続」に関して ア 電気的接続の意味については、審判事件答弁書別紙答弁の理由12頁でも説明したとおりであるが、本件特許発明のような回路の発明において、素子や配線の接続関係が規定されているのは、そのような接続関係によって電位等を伝え、回路として所望の動作をなしうるようにするためである。 本件特許明細書の【0027】の記載は、このような当業者の理解を当然の前提として、XとYとの間に何か素子が配置されていたとしても、その素子を介して電位等を伝達することができるのであれば、XとYとが電気的に接続されていると言える(配置された素子は、「XとYとの電気的な接続を可能とする素子」と言える)ことを説明しているものである。すなわち、XとYとの間で電位等の伝達が適切に行えないような態様で素子が配置されている場合には、電気的接続とは言えない(電気的な接続を可能とする素子とは言えない)ことになる。 イ 審判事件答弁書別紙答弁の理由12頁では、電気的接続に当たらない(電位等が伝わらない)例として、以下の図の右のような、トランジスタのソース又はドレインと、ゲートを介した経路を挙げた。 [図:0001399903000015.jpg] 例えば本件特許明細書【0219】には、トランジスタ205(下記【図21】Aを参照)の機能について、「配線212とノード13の導通状態を制御する」とか「配線212の電位をノード13に供給するタイミングを制御する」などと説明されている。 [図:0001399903000016.jpg] このように、本件特許明細書におけるトランジスタとは、ソース及びドレインを介して接続された2点間(上記例では配線212とノード13)との間の導通状態を制御したり、電位等を供給する機能を有する素子であって、このようにソース及びドレインを介して2点間を接続することで「電気的接続」を実現しているものである。 ウ また、審判事件答弁書別紙答弁の理由19頁では、甲3発明のトランジスタT6の他方の端子(下記図の●(審判注:原文は赤丸)で示した方の端子)とT1のゲートの接続関係に関し、間に電源線が介在している場合には、電気的接続に当たらないことを説明した。 [図:0001399903000017.jpg] このように、間に電源線を介する場合に、電位や信号(以下「電位等」という。)が伝わらないという点について、若干説明を補足すると以下のとおりとなる。 [図:0001399903000018.jpg] 例えば、上記図のような単純な回路を例とする。このスイッチをオンにした時に、Aの電位等がBに供給又は伝送されるかを検討する。 まず図2のように、AとBとが通常の配線でつながっている場合、スイッチをオンにすると、Aの電位等(例えば15V)は、Bに供給又は伝送され、Bも15Vになる。この場合、AとBとは、スイッチを介して電気的に接続されていると言える。 [図:0001399903000019.jpg] これに対し、下記図3のように、もしAとBとが配線でつながっていなければ当然のことながら、Aの電位等がBに供給又は伝送されることはない。この場合、AとBとは、電気的に接続されているとは言えない。 [図:0001399903000020.jpg] 本件で問題となっている電源線について検討する。図4Aのように、AとBとの間に電源線(例えば10Vの電池が接続されているとする)が介在しているとする。電源線とBとの間には、スイッチ等が介在していないため、Bの電位は10Vである。 [図:0001399903000021.jpg] 図4Aの状態から、図4Bのようにスイッチをオンすると、Aには電源線の電位(10V)が供給される。一方、電源線の電位(10V)は、一定であり、Bの電位は10Vのままになるため、Aの電位(15V)がBに供給されることはない。この場合、AとBとは、電気的に接続されていると言えない。 [図:0001399903000022.jpg] このことは、スイッチがオフの時点でのAの電位等が電源線の電位等よりも低かった場合でも同様である。 電源線は、その名のとおり、電位等を供給する「源」であり、その電位等は変化しない。そのような電源線が間に介在すると、電源線から電位等が供給又は伝送されることはあっても、逆は生じない。そのため、電源線を介してつながっているAとBとの間で、互いに電位等を供給又は伝送されることはなく、このような場合には、AとBとは、電気的に接続されているとは言えない。 エ 以上が、審判事件答弁書において明示した電気的接続に当たらない例である。審理事項通知書では、「答弁書で記載されること以外にも例外があるのかも含め」電気的接続について説明することが求められているが、電気的接続の意義は上述のとおり、電位等を伝達しうる関係を意味するので、電位等を伝達することができないような接続関係は、電気的接続には当たらない。 そこで、答弁書に記載した上記2つ以外で、電気的接続に当たらない場合の具体例を挙げるならば例えば容量素子を介在させる場合にも、接続関係によって、電気的接続に当たる場合と当たらない場合とがありうる。 本件特許明細書の【0027】には「XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えばスイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)がある」と記載されており、容量素子も、配置の態様によっては、電気的な接続を可能とする素子の一つになりうる。 下記図の左のように容量素子が配置されている場合には、ノードAの電位が変化すると、赤で示したノードBの電位も変化する。したがって、このような接続関係であればAとBとは容量素子を介して電気的に接続されていると言える。 これに対し、下記図の右のような場合には、ノードBは、スイッチを介して、ノードCから電位が供給されている。ノードCの電位に応じて、ノードBの電位が決まる。このとき、ノードAの電位は、接地されているため変化せず、容量素子はノードBの電位を保持しているだけである。また、ノードBの電位は、ノードCの電位が伝達されるのであり、ノードBにノードAの電位が伝達されるのではない。このような接続関係の場合には、CとBは電気的に接続されているが、AとBは電気的に接続されていないと言える。 [図:0001399903000023.jpg] なお、上記図は、容量素子がトランジスタのゲートに接続されている場合の一例を示したが、トランジスタのソースやドレインに、容量素子が追加して設けられた場合にも、適切に電位等を伝達できず、所望の動作をなし得ないような場合などにおいて、電気的接続に当てはまらない場合がある。 このように、【0027】は、ただ間に素子が介在してもよいということを述べているのではなく、その接続関係によって、素子を介して電位等を伝えることができる場合(電気的接続を可能とする素子が介在している場合)には、電気的接続にあたることを説明したものである。 オ さらに、審理事項通知書では、本件特許発明に関する実施例において、直接接続される以外の「電気的に接続」されるものがあるのかという点についても釈明を求められているので、この点に回答すると、本件特許明細書における、直接接続される以外の電気的接続の例としては、上述した【図21】Aにおけるトランジスタ205を介した配線212とノード13との電気的接続のほか、【0141】には、図9は、図1(A)の回路に、回路120を新たに設けた回路であって、回路120を介してトランジスタ103やトランジスタ105のゲートと配線113とが電気的に接続されることが説明されている。 ここでは「例えば図9(B)に示すように、トランジスタ103のゲートは、回路120を介さずに配線113と接続され、トランジスタ105のゲートは、回路120を介して配線113と接続されることが可能である。」と説明されているところ、下記図のとおり、図9(B)の回路120に、例えば図9(D)に開示されている回路例を適用してみると、抵抗素子及び容量素子を介して、配線113とトランジスタ105のゲートとが電気的に接続されており、配線113とトランジスタ103のゲートとは、抵抗素子及び容量素子を介さずに直接接続されていることが理解できる。 [図:0001399903000024.jpg] また、図1(A)と図9とで対比させてみると、図1(A)では、配線113とトランジスタ103、105のゲートは直接接続されているが、図9(A)(B)では、配線113とトランジスタ103や105のゲートの間に回路120が設けられており、その回路120に図9(C)(D)に開示されている回路例を適用してみると、抵抗素子などを介して、電気的に接続されていることが理解できる。」(被請求人陳述要領書7-15頁) (3)合議体の判断 本件特許発明は、その特許請求の範囲の請求項4に記載のとおり、「半導体装置」に係る発明であって、その発明特定事項は実質的に、複数の信号線及び複数のトランジスタの接続態様を規定することにより、回路構成として特定されたものである。 ここで、本件特許発明において、信号線及びトランジスタの接続態様の規定に用いられている「電気的に接続」との表現については、その文言が示すとおり、特定の信号線とトランジスタの特定の端子との間、もしくは、トランジスタの特定の端子同士の間では、少なくとも、その「接続」を介して、電気信号の授受や電位の相互作用が発生するような態様を指示するものと解すべきであり、そのような解釈によって初めて、本件特許発明が備える回路構成を明確に特定できるといえる。 してみると、例えば、下記の図に示すように、トランジスタのソースとドレインの間は、トランジスタがオン状態であれば、トランジスタのソースとドレインを介した接続によって電気信号の授受や電位の相互作用が発生するといえるから、電気的に接続されているといえる一方、下記の図に示すように、トランジスタのゲートとドレイン(又はソース)を介した接続(以下、「トランジスタのゲートを介する接続」という。)では、ゲートに印加された信号や電位は、ドレイン(又はソース)から出力される信号や電位とは異なるものであるから、そのような接続は電気的に接続とはいえない。 [図:0001399903000025.jpg] また、2つの端子が電源線を介して接続されている場合(以下、「電源線を介する接続」という。)には、当該2つの端子に電源線の電位が印加されているのであって、2つの端子の一方の端子から他方の端子に電位や信号が伝達されることはないから、そのような場合も、2つの端子が電気的に接続されているとはいえない。例えば、下図のようにA端子とB端子が常に一定の電位である電源線(例えば、アース)を介して接続されている場合には、A端子の電位を5Vと10Vに交互に変動させようとしても、A端子の電位は常に0Vに固定されるのであってこれを変化させることはできず、また、同様に電源線に接続されているB端子の電位も常に0Vに固定されていて、これも変化することはないから、A端子からB端子へ電位や信号を伝達することは不可能である。 [図:0001399903000026.jpg] これに対し、請求人は、本件特許の明細書の段落【0027】の「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。」との記載を根拠に、例えば、甲2の図8における信号線CLK1と、N9トランジスタのソースまたはドレインとが、電気的に接続されている旨主張するが、両者の間には、N5トランジスタが介在しており、信号線CLK1はN5トランジスタのゲートと、N9トランジスタのソースまたはドレインはN5トランジスタのソースまたはドレインと、それぞれ接続されているのであって、信号線CLK1上に電位として生じる電気信号そのものが、N9トランジスタのソースまたはドレイン端子の状態に作用するような接続態様を構成していないことは明らかであるから、「電気的に接続」との表現について、請求人の主張する解釈は、採用することができない。 また、本件特許発明のトランジスタと、本件特許の明細書の実施例におけるトランジスタの対応関係に関して、本件特許の審査過程で提出された早期審査の事情説明書(甲7)では、「第2のトランジスタ」が「トランジスタ202」に対応し、「第3のトランジスタ」が「トランジスタ205」に対応するものとしているが、仮にそうであるとすると、本件特許発明の構成Iは、トランジスタ205のゲートが、トランジスタ206のソース(又はドレイン)・ゲート間を介して第2のクロック信号線113に接続されるものとなり(上記(1)オに引用した弁駁書9頁の上側の図の緑色の線を参照。)、また、構成Nは、トランジスタ102のソースが電源線115、トランジスタ204のソース・ドレイン間、トランジスタ206のソース(又はドレイン)・ゲート間を介してトランジスタ202のゲートに接続されるものとなり(上記(1)オに引用した弁駁書9頁の下側の図の緑色の線を参照。)、いずれも「トランジスタのゲートを介する接続」を含むものであり、さらに、構成Nに関しては「電源線を介する接続」も含むものであるから、これらの接続経路を介して所定の電位や信号が伝達されているとは認められない。 これに対して、被請求人が陳述要領書で記載する、「第2のトランジスタ」が「トランジスタ201」に対応し、「第3のトランジスタ」が「トランジスタ206」に対応するものであるとすると、構成I、Nに対応する実施例他の記載は、「トランジスタのゲートを介する接続」や「電源線を介する接続」を含むものではない。そうすると、本件特許の明細書に接した当業者であれば、被請求人が陳述要領書で記載する対応関係であったと理解するのが自然であるから、本件特許発明の「第2のトランジスタ」及び「第3のトランジスタ」と、本件特許の明細書の実施例におけるトランジスタの対応関係については、早期審査の事情説明書には誤記があり、被請求人が陳述要領書で記載する対応関係であったと認められ、本件特許の図27(但し、構成Mに対応する記載は図7(C)の記載に基づいて青線で付加した。)をもとに、本件特許発明の「第1のトランジスタ」~「第6のトランジスタ」を「A1」~「A6」として重ねて記載すると以下の図のような対応関係となる。 [図:0001399903000027.jpg] そして、この誤記が訂正された、本件特許発明に対応する実施例の記載においては、 「トランジスタ203」(「第1のトランジスタ」)のソース又はドレインの一方は、「配線112」(「第1のクロック信号線」)と直接接続され(構成C)、 「トランジスタ203」(「第1のトランジスタ」)のソース又はドレインの他方は、「配線211」(「第2のゲート信号線」)と直接接続され(構成D)、 「トランジスタ201」(「第2のトランジスタ」)のソース又はドレインの一方は、「配線115」(「電源線」)と直接接続され(構成E)、 「トランジスタ201」(「第2のトランジスタ」)のソース又はドレインの他方は、「配線211」(「第2のゲート信号線」)と直接接続され(構成F)、 「トランジスタ206」(前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、「配線212」(「第1のゲート信号線」)と直接接続され(構成G)、 「トランジスタ206」(「第3のトランジスタ」)のソース又はドレインの他方は、「トランジスタ203」(「第1のトランジスタ」)のゲートと直接接続され(構成H)、 「トランジスタ206」(「第3のトランジスタ」)のゲートは、「配線113」(「第2のクロック信号線」)と直接接続され(構成I)、 「トランジスタ204」(「第4のトランジスタ」)のソース又はドレインの一方は、「配線115」(「電源線」)と直接接続され(構成J)、 「トランジスタ204」(「第4のトランジスタ」)のソース又はドレインの他方は、「トランジスタ203」(「第1のトランジスタ」)のゲートと直接接続され(構成K)、 「トランジスタ204」(「第4のトランジスタ」)のゲートは、「トランジスタ201」(「第2のトランジスタ」)のゲートと直接接続され(構成L)、 「トランジスタ102」(「第5のトランジスタ」)のソース又はドレインの一方は、「配線113」(「第2のクロック信号線」)と直接接続され(構成M)、 「トランジスタ102」(「第5のトランジスタ」)のソース又はドレインの他方は、「トランジスタ201」(「「第2のトランジスタ」」のゲートと直接接続され(構成N)、 「トランジスタ102」(「第5のトランジスタ」)のゲートは、「トランジスタ203」(「第1のトランジスタ」)のゲートと直接接続され(構成O)、 「トランジスタ103」(「第6のトランジスタ」)のソース又はドレインの一方は、「トランジスタ201」(「第2のトランジスタ」)のゲートと直接接続され(構成P)、 「トランジスタ103」(「第6のトランジスタ」)のゲートは、「配線113」(「第2のクロック信号線」)と直接接続される(構成Q)、 ものであり、いずれも、「トランジスタのゲートを介する接続」でも、「電源線を介する接続」でもなく、トランジスタの端子に対して信号線が伝達する信号が入力し、電源線の電位が作用し、また、トランジスタの端子間では信号が伝達されるものとなっている。 したがって、本件特許発明において、トランジスタの端子(ソース、ドレイン、ゲート)と、信号線あるいは電源線とが「電気的に接続」される態様、ならびに、他のトランジスタの端子と「電気的に接続」される態様とは、トランジスタの端子と接続先との間に他の素子が介在する場合であっても、トランジスタの端子に対して信号線が伝達する信号が入力し、電源線の電位が作用し、また、トランジスタの端子間で信号が伝達されるものをいい、例えば、「トランジスタのゲートを介する接続」や、「電源線を介する接続」は、「電気的に接続」には含まれないものと判断する。 2 甲第2号証の図8、及び甲第4号証のFIG.10について また、本件無効審判においては、甲第2号証の図8(以下、「甲2図8」ともいう。)、及び甲第4号証のFIG.10の解釈にも争いがあり、その解釈は、甲第2号証及び甲第4号証に記載された事項の認定の前提となることから、甲第2号証の図8、及び甲第4号証のFIG.10について検討する。 (1)甲第2号証の図8について ア 被請求人の主張 被請求人は答弁書において次のとおり主張している。 「1 図8の誤記 (1)甲2の図8 甲2には、図8として以下の図が掲載されている。 [図:0001399903000028.jpg] この図8を見ると、当業者であれば、一見して誤りであることが理解できる点がいくつかある。 例えば、トランジスタN4及びN6のソース(下記図の赤色で示した端子)及びゲートがいずれも第2電源電圧VSSと接続されており、同電位に固定されている。 [図:0001399903000029.jpg] トランジスタは、ゲート電位(VG)とソース電位(Vs)との電位差(VGS)が変化し、トランジスタの閾値(Vth)を超えると電流が流れる(オフからオンに切り替わる)ものであるため、甲2の図8のトランジスタN4、N6のようにVGSが0Vで固定されてしまえば、これらのトランジスタはオンすることがなくなり、トランジスタの意味をなさなくなってしまう。 また、トランジスタN7及びN9のソース及びドレインを見ると、その双方が第2電源電圧VSSと接続されており、同電位に固定されている。 [図:0001399903000030.jpg] これでは、トランジスタN7やN9をオン/オフしてもソースとドレインの電位が変化しないのであり、トランジスタを設ける意味がない。 このように、甲2の図8は、当業者から見ると一見して誤りであることが理解でき、結論を先に述べると、以下のとおりが正しい(赤の破線で囲った箇所の配線がない)。 [図:0001399903000031.jpg] 」(答弁書7-9頁) イ 請求人の主張 請求人は弁駁書において次のとおり主張している。 「1「1 図8の誤記」(7頁)について 被請求人は、甲2の図8について誤りがあると主張する(7頁8~9行)。その根拠の一つとして、被請求人は、トランジスタN4及びN6のソース及びゲートが同電位に固定されているため、「甲2の図8のトランジスタN4、N6のようにVGSが0Vで固定されてしまえば、これらのトランジスタはオンすることがなくな(る)」と主張する。 しかしながら、トランジスタがオンできるかどうかは、ゲートの電位がその閾値に達するかどうかにかかっているのであるから、被請求人の主張は誤っている。さらに、本件明細書のトランジスタ104は、ゲートとソースが直接接続されているため(下記図1(A)参照)、トランジスタ104は、VGSが0Vで固定されていることになる。 [図:0001399903000032.jpg] そうすると、仮に、被請求人の上記主張を前提とすると、本件明細書のトランジスタ104もオンすることができなくなるのであり、本件明細書の記載に基づき当業者が、本件発明を容易に実施することもできなくなる(本件発明には、実施可能要件違反があることとなる)。 また、被請求人は、「トランジスタN7及びN9のソース及びドレインを見ると、その双方が第2電源電圧VSSと接続されており、同電位に固定されている。これでは、トランジスタN7やN9をオン/オフしてもソースとドレインの電位が変化しないのであり、トランジスタを設ける意味がない」と主張する(8頁5~9行)。 被請求人の当該主張の要点は、トランジスタをオンにしたとき、ソース電位とドレイン電位が変化するはずで、そうでなければトランジスタの意味がないということになる。 しかしながら、当業者は、トランジスタは、電気信号がソースとドレインに電位変化を発生させるように設定されているとは考えない。ソースとドレインの電位が同じであることは現実に存在する。したがって、「トランジスタをオンにしたとき、そのソース電位とドレイン電位が変わるはずで、そうでなければトランジスタの意味がない」という被請求人の主張は誤りである。 以上のとおり、被請求人の主張が誤っていることは明らかであり、万が一、被請求人の主張が正しいのであれば、本件発明には、実施可能要件違反があることとなる。 被請求人は、「甲2の図8は、当業者から見ると一見して誤りであることが理解でき、結論を先に述べると、以下のとおりが正しい」(8頁11~12行)と述べて、「正しい図8」なるものを示している(9頁)。 しかしながら、被請求人の主張する正しい図8(9頁)は、甲2の図8に誤記があるという被請求人の主張に基づいているが、当該被請求人の主張が誤ったものであることは、上述したとおりである。また、被請求人の「正しい図8」を裏付ける記載は、甲2には一切記載されていない。 したがって、被請求人の主張する「正しい図8」(9頁)は、誤っている。」(弁駁書3-5頁) また、請求人は、請求人陳述要領書において次のとおり主張している。 「第1 「(2)無効理由1について」(3頁)について 1「ウ 請求人に対して」(5頁)について 審判合議体は、甲2図8及び甲4図10について、誤記であるとの見解を示されています。 しかしながら、本件における図を誤記であるとした場合、図における構成をどのように訂正すべきかが明確ではありません。したがって、先行技術文献における明らかな誤記ではない以上、不明確な訂正をするべきではなく、先行技術文献に記載された内容をそのまま引用発明として認定するべきです。しかも、客観的には、甲2及び甲4において、それぞれ、課題解決手段としての構成が図に開示されている以上、当該図に触れた当業者は、当該構成を実施し得るといえます。 また、特許法の観点からは、課題解決手段としての構成が開示されている以上、発明者の誤記であるかどうかとは関係がないといえます。特許出願人が、意図的に冗長なことや曖昧なことを明細書に記載することは、よくあることです。明白な誤記ではない以上、先行技術文献に開示されている構成を引用発明として認定するべきです。」(請求人陳述要領書3頁) ウ 合議体の判断 甲第2号証の明細書の記載(特に、下記3(1)ア(ソ)の記載)によれば、第2ノード(QB)は「N5トランジスタ」によって充電されるものであるが、甲2図8のように第2ノード(QB)と放電の電位である第2電源電圧(VSS)線とが直接接続されていると、第2ノード(QB)の電位は第2電源電圧(VSS)と常に等しくなる(放電される)ことから、充電ができなくなってしまうことは明らかである。 また、MOS薄膜トランジスタが、ゲート、ソース、ドレインを有し、ゲート・ソース間の電圧がしきい値の電圧を超えることで動作(オン)することは技術常識(必要であれば、特開2008-34826号公報(特に、段落【0036】、【0044】等参照)、特開2007-156420号公報(特に、段落【0033】、【0040】等参照)等参照。)である。 そして、甲第2号証の下記3(1)ア(セ)には、「N1トランジスタ」~「N9トランジスタ」がNMOS薄膜トランジスタであることが記載されている。 そうすると、甲2図8において、N4トランジスタ及びN6トランジスタのソースとゲートが直接接続されているとすると、ソースとゲートは常に同電位であって、ゲート・ソース間の電圧はゼロであり、しきい値の電圧を超えることはなく、N4トランジスタ及びN6トランジスタはオンすることができなくなってしまうことは明らかである。この点に関して、請求人は、本件明細書のトランジスタ104も、ゲートとソースが直接接続されてVGSが0Vで固定されている旨を主張しているが、本件明細書の図1(A)のトランジスタ104の記載は、ドレインとゲートが接続されているものと認められ、ゲートとソースが直接接続されているものとは認められない。 してみると、甲第2号証の図8の下記の部分(赤線部分)の接続に関して、直接接続されていないことは明らかである。 したがって、この部分の接続に関しては直接接続されていないものとして判断する。 [図:0001399903000033.jpg] (2)甲第4号証のFIG.10について ア 被請求人の主張 被請求人は答弁書において次のとおり主張している。 「(イ)トランジスタT6はCKBと接続されていない 加えて、請求人は、甲4文献記載のトランジスタT6のソースが第2クロック信号CKBの信号線と電気的に接続されていると主張した上で、トランジスタT6が本件特許発明の「第5のトランジスタ」に、第2クロック信号CKBの信号線が同「第2のクロック信号線」に、それぞれ相当し、甲4には本件特許発明の構成要件Mに相当する構成が開示されていると主張する(審判請求書74、75頁)。しかし、その根拠として挙げる甲4のFIG.10には誤記があり、トランジスタT6は、CKBとは接続されていない。 すなわち、甲4のFIG.10はその審査過程で、出願人から、クロック信号線であるCKBと電源線であるVOFFとが接続されてしまっており、そのままでは動作しないことは、当業者から見て明らかであるとして誤記の訂正が行われている(乙1)。 正しいFIG.10は以下のとおりであり、そこではトランジスタT6は、CKBとは接続されていない。 [図:0001399903000034.jpg] 」(答弁書15-16頁) イ 請求人の主張 請求人は弁駁書において次のとおり主張している。 「イ 甲4との組み合わせについて ・・・中略・・・ また、被請求人は、甲4のトランジスタT6はCKBと接続されていないと主張し、甲4の図10について、甲4の審査過程で誤記の訂正がなされたと主張する(17頁13~15行)。 しかしながら、先行技術文献については、当業者が、当該先行技術文献に記載されている事項から技術内容をどのように理解するかを検討するべきであり、当該先行技術文献の頒布後の事情(審査過程等を含む)を考慮するべきではない。むしろ、甲4文献に触れた当業者は、VoffとCKBが同じ電位であれば接続は可能であると理解する。」(弁駁書13頁) また、請求人は、請求人陳述要領書において次のとおり主張している。 「第1 「(2)無効理由1について」(3頁)について 1「ウ 請求人に対して」(5頁)について 審判合議体は、甲2図8及び甲4図10について、誤記であるとの見解を示されています。 しかしながら、本件における図を誤記であるとした場合、図における構成をどのように訂正すべきかが明確ではありません。したがって、先行技術文献における明らかな誤記ではない以上、不明確な訂正をするべきではなく、先行技術文献に記載された内容をそのまま引用発明として認定するべきです。しかも、客観的には、甲2及び甲4において、それぞれ、課題解決手段としての構成が図に開示されている以上、当該図に触れた当業者は、当該構成を実施し得るといえます。 また、特許法の観点からは、課題解決手段としての構成が開示されている以上、発明者の誤記であるかどうかとは関係がないといえます。特許出願人が、意図的に冗長なことや曖昧なことを明細書に記載することは、よくあることです。明白な誤記ではない以上、先行技術文献に開示されている構成を引用発明として認定するべきです。」(請求人陳述要領書3頁) ウ 合議体の判断 甲第4号証のFIG.10の記載では、第2クロック信号CKBの信号線と第1電圧VOFFの電源線とが接続されてしまっているが、CKBの信号線とVOFFの電源線が接続されてしまうと、第4トランジスタT4、第9トランジスタT9のゲートには第1電圧VOFFが供給されてしまい、第2クロック信号CKBが入力されないことは明らかであるが、甲第4号証の段落[0136]には、第4トランジスタT4及び第9トランジスタT9のゲートには、第2クロック信号CKBが入力されることが記載されており、甲第4号証のFIG.10の記載は、この記載と矛盾するものである。 そして、第2クロック信号CKBの信号線と第1電圧VOFFの電源線とが接続されていなければ、第4トランジスタT4、第9トランジスタT9のゲートには第2クロック信号CKBが入力できることは明らかである。 したがって、合議体は、甲第4号証のFIG.10において、第2クロック信号CKBの信号線と第1電圧VOFFの電源線とが接続されていることは明白な誤記であって、両者は接続されていないものと判断する。 なおこのことは、米国特許商標局の審査過程で、答弁書p.18のFIG.10に示す誤記の訂正がなされたことからも証左される(乙1、米国特許公報US.8605027.B2)。 3 各甲号証に記載された事項及び発明 (1)甲第2号証に記載された事項及び甲2発明 ア 甲第2号証に記載された事項 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。) [図:0001399903000035.jpg] [図:0001399903000036.jpg] [図:0001399903000037.jpg] [図:0001399903000038.jpg] [図:0001399903000039.jpg] [図:0001399903000040.jpg] [図:0001399903000041.jpg] [図:0001399903000042.jpg] [図:0001399903000043.jpg] [図:0001399903000044.jpg] [図:0001399903000045.jpg] [図:0001399903000046.jpg] [図:0001399903000047.jpg] イ 甲2発明 上記アの記載事項(ア)~(チ)から、甲第2号証には、次の事項が記載されているといえる。 (ア)上記ア(イ)には、“ゲート駆動回路であるシフトレジスタを用いた液晶表示装置”が記載されている。 (イ)上記ア(カ)には、“図8はシフトレジスタのN番目のステージ回路”であることが記載され、また、上記ア(ク)、(ス)の記載と図8(上記ア(チ))から、“ステージ回路は、第1プルアップスイッチング部(10)、駆動信号出力スイッチ(20)、第2プルアップスイッチ(30)、第1プルダウンスイッチング部(40)、第2プルダウンスイッチ(50)、第3プルアップスイッチ(60)、第3プルダウンスイッチ(70)を備え”ることが看取できる。 さらに、上記ア(キ)には、“ステージ回路に、第1電源電圧(VDD)及び第2電源電圧(VSS)と、お互いに位相が反対である第1クロック(CLK1)及び第2クロック(CLK2)と、前段(N-1)番目のステージの出力信号である開始信号(Vst)と、が入力される”ことが記載されている。 してみると、甲第2号証には、“シフトレジスタのN番目のステージ回路は、第1プルアップスイッチング部(10)、駆動信号出力スイッチ(20)、第2プルアップスイッチ(30)、第1プルダウンスイッチング部(40)、第2プルダウンスイッチ(50)、第3プルアップスイッチ(60)、第3プルダウンスイッチ(70)を備え、また、第1電源電圧(VDD)及び第2電源電圧(VSS)と、お互いに位相が反対である第1クロック(CLK1)及び第2クロック(CLK2)と、前段(N-1)番目のステージの出力信号である開始信号(Vst)と、が入力される”ことが記載されているといえる。 (ウ)上記ア(セ)には、“各スイッチのトランジスタはすべて非晶質シリコン(a-Si)を用いたNMOS薄膜トランジスタであ”ることが記載されている。 (エ)上記ア(ク)の記載と図8(上記ア(チ))より、“第1プルアップスイッチング部(10)は、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)と、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)とで構成され、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のドレイン及びゲートが開始信号(Vst)線に直接接続され、第1NMOSプルアップ スイッチング素子(N1)のソースと第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のドレインが直接接続され、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のソースに第1ノード(Q)が直接接続され、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のゲートに第1クロック信号(CLK1)線が直接接続されるものであ”ることが看取できる。 また、上記ア(ク)には、“第1プルアップスイッチング部(10)は、入力される第1クロック信号(CLK1)または開始信号(Vst)に応答して第1ノード(Q)を充電させて駆動信号出力スイッチ(20)を駆動させるものであ”ることが記載されている。 してみると、甲第2号証には、“第1プルアップスイッチング部(10)は、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)と、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)とで構成され、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のドレイン及びゲートが開始信号(Vst)線に直接接続され、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のソースと第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のドレインが直接接続され、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のソースに第1ノード(Q)が直接接続され、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のゲートに第1クロック信号(CLK1)線が直接接続されるものであり、入力される第1クロック信号(CLK1)または開始信号(Vst)に応答して第1ノード(Q)を充電させて駆動信号出力スイッチ(20)を駆動させるものであ”ることが記載されているといえる。 (オ) 上記ア(ク)の記載と図8(上記ア(チ))より、“駆動信号出力スイッチ(20)は、N3トランジスタ(N3)であって、ドレインが第2クロック信号(CLK2)線に直接接続され、ソースがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され、ゲートが第1ノード(Q)に直接接続されるものであ”ることが看取できる。 また、上記ア(ク)には、“駆動信号出力スイッチ(20)は、第1ノード(Q)を充電してオン(on)状態に転換することによって駆動され、入力された第2クロック信号(CLK2)を用いたゲート駆動信号{(N)_out}を出力するものであ”ることが記載されている。 (カ)上記ア(コ)の記載と図8(上記ア(チ))より、“第2プルアップスイッチ(30)は、N5トランジスタ(N5)であって、ドレインが第1電源電圧(VDD)線に直接接続され、ソースが第2ノード(QB)に直接接続され、ゲートが第1クロック信号(CLK1)線に直接接続されるものであ”ることが看取できる。 また、上記ア(ケ)には、“第2プルアップスイッチ(30)は、前記第1プルアップスイッチング部(10)のオン/オフ状態と関係なく、第1クロック信号(CLK1)と第1電源電圧(VDD)に応答し、駆動されるものであ”ることが記載されている。 (キ)図8(上記ア(チ))より、“第1プルダウンスイッチング部(40)は、N4トランジスタ(N4)とN6トランジスタ(N6)で構成され、N4トランジスタ(N4)のドレインがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され、N4トランジスタ(N4)のソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、N4トランジスタ(N4)のゲートがN6トランジスタ(N6)のゲートに直接接続され、さらに、第2ノード(QB)に接続されており、N6トランジスタ(N6)のドレインが第1ノード(Q)に直接接続され、N6トランジスタ(N6)のソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続されるものであ”ることが看取できる。 また、上記ア(コ)には、“第1プルダウンスイッチング部(40)は、第2プルアップスイッチ(30)と第2ノード(QB)を形成し、前記第2プルアップスイッチ(30)の出力に応答して接続された第1ノード(Q)を放電させるものであ”ることが記載されている。 (ク)図8(上記ア(チ))より、“第2プルダウンスイッチ(50)は、N7トランジスタ(N7)であって、ドレインが第2ノード(QB)に直接接続され、ソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、ゲートが開始信号(Vst)線に直接接続されるものであ”ることが看取できる。 また、上記ア(サ)には、“第2プルダウンスイッチ(50)は、前記開始信号(Vst)によって駆動され、第2プルアップスイッチ(30)の信号により接続された第2ノード(QB)を放電するものであ”ることが記載されている。 (ケ)図8(上記ア(チ))より、“第3プルアップスイッチ(60)は、N8トランジスタ(N8)であって、ドレインが第1ノード(Q)に直接接続され、ソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、ゲートが次段ステージの出力{(N+1)_out}線に直接接続されるものであ”ることが看取できる。 また、上記ア(シ)には、“第3プルアップスイッチ(60)は、次段ステージの出力{(N+1)_out}が入力されて駆動され、接続された第1ノード(Q)の放電を行うものであ”ることが記載されている。 (コ)図8(上記ア(チ))より、“第3プルダウンスイッチ(70)は、N9トランジスタ(N9)であって、ドレインが第2ノード(QB)に直接接続され、ソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、ゲートが第1ノード(Q)に直接接続されるものであ”ることが看取できる。 また、上記ア(ス)には、“第3プルダウンスイッチ(70)は、前記第1プルアップスイッチング部(10)による第1ノード(Q)の充電により動作し、前記第2ノード(QB)を放電させるものであ”ることが記載されている。 (サ)なお、請求人は、本件特許発明の構成Nに対応する甲第2号証の構成として、次のとおり主張している。 「(14)構成要件N(「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、」)に対応する構成 上記○5(審判注:原文は丸数字)及び○7(審判注:原文は丸数字)のとおり、N9トランジスタのソース又はドレインの他方は、N4トランジスタのゲートと電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000048.jpg] したがって、甲2発明は、以下の構成を有する。 n N9トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記N4トランジスタのゲートと電気的に接続されている 」(請求書39頁) しかしながら、このN9トランジスタのソース又はドレインの他方と、N4トランジスタのゲートの接続は、上記1(2)で検討した図8の誤記の部分を含むものであって、直接は接続されておらず、仮に、誤記の部分が接続されているとしても、第2電源電圧(VSS)を介するものであって、「電源線を介する接続」を含むものであるから、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえず、請求人の主張するこの「構成n」は採用しないものとした。 (但し、上記「(キ)」及び「(コ)」で検討したとおり、N9トランジスタのソース又はドレインの一方であるドレインと、N4トランジスタのゲートは、第2ノード(QB)を経由して直接接続されているとはいえる。) (シ)以上、(ア)~(サ)の検討から、甲第2号証には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「ゲート駆動回路であるシフトレジスタを用いた液晶表示装置であって、 シフトレジスタのN番目のステージ回路は、第1プルアップスイッチング部(10)、駆動信号出力スイッチ(20)、第2プルアップスイッチ(30)、第1プルダウンスイッチング部(40)、第2プルダウンスイッチ(50)、第3プルアップスイッチ(60)、第3プルダウンスイッチ(70)を備え、また、第1電源電圧(VDD)及び第2電源電圧(VSS)と、お互いに位相が反対である第1クロック(CLK1)及び第2クロック(CLK2)と、前段(N-1)番目のステージの出力信号である開始信号(Vst)と、が入力されるものであって、 各スイッチのトランジスタはすべて非晶質シリコン(a-Si)を用いたNMOS薄膜トランジスタであって、 第1プルアップスイッチング部(10)は、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)と、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)とで構成され、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のドレイン及びゲートが開始信号(Vst)線に直接接続され、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のソースと第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のドレインが直接接続され、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のソースに第1ノード(Q)が直接接続され、第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のゲートに第1クロック信号(CLK1)線が直接接続されるものであり、入力される第1クロック信号(CLK1)または開始信号(Vst)に応答して第1ノード(Q)を充電させて駆動信号出力スイッチ(20)を駆動させるものであって、 駆動信号出力スイッチ(20)は、N3トランジスタ(N3)であって、ドレインが第2クロック信号(CLK2)線に直接接続され、ソースがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され、ゲートが第1ノード(Q)に直接接続されるものであり、第1ノード(Q)を充電してオン(on)状態に転換することによって駆動され、入力された第2クロック信号(CLK2)を用いたゲート駆動信号{(N)_out}を出力するものであって、 第2プルアップスイッチ(30)は、N5トランジスタ(N5)であって、ドレインが第1電源電圧(VDD)線に直接接続され、ソースが第2ノード(QB)に直接接続され、ゲートが第1クロック信号(CLK1)線に直接接続されるものであり、前記第1プルアップスイッチング部(10)のオン/オフ状態と関係なく、第1クロック信号(CLK1)と第1電源電圧(VDD)に応答し、駆動されるものであって、 第1プルダウンスイッチング部(40)は、N4トランジスタ(N4)とN6トランジスタ(N6)で構成され、N4トランジスタ(N4)のドレインがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され、N4トランジスタ(N4)のソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、N4トランジスタ(N4)のゲートがN6トランジスタ(N6)のゲートに直接接続され、さらに、第2ノード(QB)に接続されており、N6トランジスタ(N6)のドレインが第1ノード(Q)に直接接続され、N6トランジスタ(N6)のソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続されるものであり、第2プルアップスイッチ(30)と第2ノード(QB)を形成し、前記第2プルアップスイッチ(30)の出力に応答して接続された第1ノード(Q)を放電させるものであり、 第2プルダウンスイッチ(50)は、N7トランジスタ(N7)であって、ドレインが第2ノード(QB)に直接接続され、ソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、ゲートが開始信号(Vst)線に直接接続されるものであり、前記開始信号(Vst)によって駆動され、第2プルアップスイッチ(30)の信号により接続された第2ノード(QB)を放電するものであり、 第3プルアップスイッチ(60)は、N8トランジスタ(N8)であって、ドレインが第1ノード(Q)に直接接続され、ソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、ゲートが次段ステージの出力{(N+1)_out}線に直接接続されるものであり、次段ステージの出力{(N+1)_out}が入力されて駆動され、接続された第1ノード(Q)の放電を行うものであり、 第3プルダウンスイッチ(70)は、N9トランジスタ(N9)であって、ドレインが第2ノード(QB)に直接接続され、ソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され、ゲートが第1ノード(Q)に直接接続されるものであり、前記第1プルアップスイッチング部(10)による第1ノード(Q)の充電により動作し、前記第2ノード(QB)を放電させるものである、 液晶表示装置。」 (2)甲第3号証に記載された事項及び甲3発明 ア 甲第3号証に記載された事項 甲第3号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明はシフトレジスタ及びこれを備える表示装置に関し、特に、寄生容量の影響を殆ど受けないゲート出力を生成するシフトレジスタ及びこれを備える表示装置に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、重くて大きい陰極線管(CRT)の代わり有機発光表示装置(OLED)、プラズマ表示装置(PDP)、液晶表示装置(LCD)のような平板表示装置が盛んに開発されている。 PDPは、気体放電により生じるプラズマを利用して文字及び画像を表示する装置であり、有機発光表示装置は、特定有機物または高分子等の電界発光を利用して文字及び画像を表示する。液晶表示装置は、二つの表示板の間に挟持された液晶層に電場を印加し、この電場の強さを調節して、液晶層を通過する光の透過率を調節することで所望の画像を得る。 【0003】 この中で特に、携帯電話機などに採用される中小型表示装置として外部と内部にそれぞれ表示板部を備えたデュアル表示装置の開発が進められている。 このデュアル表示装置は、内部に装着される主表示板部、外部に装着される副表示板部、外部からの入力信号を伝達する配線が設けられた駆動フレキシブル印刷回路基板(FPC)、主表示板部と副表示板部を接続する補助FPC、並びにこれらを制御するための統合チップを備える。 【0004】 デュアル表示装置のうち、例えば、液晶表示装置と有機発光表示装置は、スイッチング素子を有する画素と表示信号線を有する表示板、並びに表示信号線のうちゲート線にゲートオン電圧とゲートオフ電圧を送出して、画素のスイッチング素子を導通又は非導通の少なくとも一方を行うゲート駆動部と、表示信号線のうちのデータ線にデータ電圧を送出して、導通したスイッチング素子を通じて画素に印加するデータ駆動部を備え、統合チップは、主表示板部と副表示板部のゲート駆動部とデータ駆動部を制御するための制御信号及び駆動信号を生成し、主に主表示板部にCOG(chip on glass)形態で装着されている。 【0005】 一方、このような中小型表示装置は勿論、大型表示装置において、コスト節減などのためにゲート駆動部が画素のスイッチング素子と同一の工程で形成され表示板部に集積される場合がある。 ゲート駆動部は実質的にシフトレジスタとして、互いに接続され、一列に配列されている複数のステージを含み、第1ステージが走査開始信号の印加を受けてゲート出力を送出すると同時に、次のステージにキャリー出力(carry output)を送出して順次にゲート出力を生成する。このようなキャリー出力はゲート出力を使用することもできる。 各ステージは、複数のNMOSまたはPMOSトランジスタと少なくとも一つのキャパシタを含んで構成されており、位相差が90゜乃至180゜である複数のクロック信号に同期してゲート出力を生成する。 【0006】 この時、トランジスタが非晶質シリコンからなる場合、ゲート出力を生成した後、ゲート線に印加される電圧を低電圧に維持するためにトランジスタを導通状態に維持する。しかし、長時間導通しているため、トランジスタのしきい電圧が増加して誤動作の原因になる。 現在、7個のトランジスタを用いることでしきい電圧が増加するなどの問題点は解決されたが、位相が異なる二つのクロック信号が全てローである区間でゲート線が浮遊状態となり、二つの表示板のうちの上部表示板に備えられた共通電極の間の寄生容量によってゲート線に印加された電圧が変化するという問題がある。中小型表示装置において、低電圧駆動のために共通電圧が周期的に変化する場合は特にそうである。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 そこで、本発明は上記従来のシフトレジスタ及びこれを備える表示装置における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、寄生容量の影響を殆ど受けないゲート出力を生成するシフトレジスタ及びこれを備える表示装置を提供することにある。」 (イ)「【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 次に、本発明に係るシフトレジスタ及びこれを備える表示装置を実施するための最良の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。 ・・・中略・・・ 【0025】 階調電圧生成部800は、画素PXの透過率に関連する二組の階調電圧群(または基準階調電圧群)を生成する。そのうち一組は、共通電圧Vcomに対してプラスの値を有し、もう一組はマイナスの値を有する。 ゲート駆動部400RM、400LM、400Sは、ゲート線(G1-G2n)に接続されてスイッチング素子Qを導通させることができるゲートオン電圧Vonと、スイッチング素子Qを非導通させることができるゲートオフ電圧Voffの組み合わせからなるゲート信号をゲート線(G1-G2n)に印加する。ここで、ゲート駆動部400RM、400LM、400Sは、画素のスイッチング素子Qと同一工程で形成し、集積され、信号線SL1、SL2、SL3を介して統合チップ700にそれぞれ接続される。副表示板300Sにもゲート駆動部400Sが右側に配置されることもできる。 ・・・中略・・・ 【0032】 図4に示したゲート駆動部400L、400Rは、左右に一列に配列されており、ゲート線(G1-G2n)にそれぞれ接続されている複数のステージから成る左側ステージ410L、右側ステージ410Rを含むシフトレジスタであって、第1及び第2垂直同期開始信号LSTV、RSTV、第1乃至第4クロック信号LCLK1、RCLK1、LCLK2、RCLK2及びゲートオフ電圧Voffが入力される。 各ステージ410L、410Rは、セット端子S、リセット端子R、ゲート電圧端子GV、出力端子OUT、並びに第1及び第2クロック端子CK1、CK2を含む。 【0033】 各ステージ410L、410Rは、上述したように、画素のスイッチング素子Qと同一工程で形成されて同一基板上に集積されており、奇数番目のゲート線G1、G3、...、G2n-1にそれぞれ接続されている奇数番目のステージST1、ST3、...、ST(2n-1)が左側シフトレジスタ400Lに配置されており、偶数番目のゲート線G2、G4、...、G2nにそれぞれ接続されている偶数番目のステージST2、ST4、...、ST(2n)が右側シフトレジスタ400Rに配置されている。 左側及び右側ステージ410L、410R、例えば、左側シフトレジスタ400Lに位置したj番目ステージST(j)のセット端子Sには、前段ステージST(j-2)のゲート出力、つまり、前段ゲート出力Gout(j-2)が、リセット端子Rには後段ステージST(j+2)のゲート出力、つまり、後段ゲート出力Gout(j+2)が入力され、クロック端子CK1、CK2には第1及び第2クロック信号LCLK1、LCLK2がそれぞれ入力される。出力端子OUTはゲート線G1、G3、...、G2n-1と前段及び後段ステージST(j-2)、ST(j+2)にゲート出力Gout(j)を送出する。これと異なり、前段及び後段ステージに出力されるキャリー信号を送出する別個の出力端子をさらに一つ設けることができ、出力端子OUTに接続されるバッファーをさらに設けることもできる。 【0034】 即ち、左側及び右側ステージ410L、410Rは、前段ゲート出力Gout(j-2)と後段ゲート出力Gout(j+2)に基づき、クロック信号LCLK1、RCLK1、LCLK2、RCLK2に同期してゲート出力を生成する。 但し、各シフトレジスタ400L、400Rの第1番目のステージST1、ST2には前段ゲート出力の代わりに垂直同期開始信号LSTV、RSTVが入力され、左側シフトレジスタ400Lに入力される第1垂直同期開始信号LSTVと、右側シフトレジスタ400Rに入力される第2垂直同期開始信号RSTVは、幅が1Hである複数のパルスを1フレームに一個含む1フレーム周期の信号であり、第2垂直同期開始信号RSTVは、第1垂直同期開始信号LSTVに比べて1Hほど遅延された信号である。第1乃至第4クロック信号LCLK1、RCLK1、LCLK2、RCLK2はデューティ比が25%で、4Hの周期を有し、順に90゜の位相差を有する。 【0035】 この時、例えば、j番目のステージST(j)のクロック端子CK1に第1クロック信号LCLK1が、クロック端子CK2に第3クロック信号LCLK2が入力される場合、これに隣接したj-2番目及びj+2番目のステージST(j-2)、ST(j+2)のクロック端子CK1には第3クロック信号LCLK2が、クロック端子CK2には第1クロック信号LCLK1が入力される。 各クロック信号LCLK1、RCLK1、LCLK2、RCLK2は、画素のスイッチング素子Qを駆動することができるように、電圧レベルがハイである場合はゲートオン電圧Vonと同一であり、ローである場合はゲートオフ電圧Voffと同一であることが好ましい。 【0036】 図5を参照すると、本発明の一実施形態によるゲート駆動部400の各ステージ、例えば、j番目のステージは、入力部420、プルアップ駆動部430、プルダウン駆動部440、並びに出力部450を含み、これらは少なくとも一つのNMOSトランジスタT1~T11及びキャパシタCからなる。しかし、NMOSトランジスタの代わりにPMOSトランジスタを使用することもできる。また、キャパシタCは実際に工程時に形成されるゲートとドレイン-ソース間の寄生容量であることができる。 説明上、クロック信号LCLK1、RCLK1、LCLK2、RCLK2のハイレバルに相当する電圧を高電圧と称し、クロック信号LCLK1、RCLK1、LCLK2、RCLK2のローレベルに相当する電圧の大きさはゲートオフ電圧Voffと同一であり、これを低電圧と称する。 【0037】 入力部420は、セット端子Sに接続されているトランジスタT2を含み、このトランジスタT2は入力端子と制御端子がセット端子Sに共通的に接続されて一種のダイオード的役割を果たし、高電圧を接続点J1に出力する。 プルアップ駆動部430は、入力端子と制御端子が共通的にクロック端子CK1とクロック端子CK2にそれぞれ接続されている2個のトランジスタT9、T10を含み、このトランジスタT9、T10もダイオード的役割を果たし、高電圧を接続点J2と接続点J3にそれぞれ出力する。 【0038】 プルダウン駆動部440は、低電圧を接続点J1、J2、J3にそれぞれ出力するトランジスタT3、T4、T7、T8、T11を含む。トランジスタT3の制御端子はリセット端子Rに、トランジスタT4の制御端子は接続点J2にそれぞれ接続されている。トランジスタT7の制御端子J1は接続点J1に、トランジスタT8の制御端子は第2クロック端子CK2に、トランジスタT11の制御端子は第1クロック端子CK1に接続されている。 出力部450は、第1クロック端子CK1とゲートオフ電圧端子GVとの間に接続され、接続点J1、J2、J3の電圧に従って第1クロック信号LCLK1と低電圧を選択的に出力するトランジスタT1、T5、T6とキャパシタCを含む。トランジスタT1の制御端子は接続点J1に接続されており、キャパシタCを介して出力端OUTに接続されている。トランジスタT5の制御端子は接続点J2に接続されており、トランジスタT6の制御端子T6は接続点J3に接続されている。2個のトランジスタT5、T6の接続点は出力端子OUTに接続されている。 【0039】 次に、図5に示したシフトレジスタの動作についてj番目のステージを例に挙げて図6及び7を参照して説明する。 j番目のステージST(j)が第1クロック信号LCLK1に同期してゲート出力を生成する場合、前段及び後段ステージST(j-2)、ST(j+2)は、第3クロック信号LCLK2に同期してゲート出力を生成する。 【0040】 まず、第3クロック信号LCLK2及び前段ゲート出力Gout(j-2)がハイになれば、トランジスタT2、T8、T10が導通する。するとトランジスタT2は、高電圧を接続点J1に伝達して、2個のトランジスタT1、T7を導通させ、トランジスタT10は高電圧を接続点J3に伝達してトランジスタT6を導通させる。これにより、2個のトランジスタT7、T8は低電圧を接続点J2に、トランジスタT6は低電圧を出力端子OUTに伝達する。また、トランジスタT1が導通し第1クロック信号LCLK1が出力端子OUTに出力されるが、この際、第1クロック信号LCLK1が低電圧であるので、ゲート出力Gout(j)はもう一度低電圧になる。これと同時に、キャパシタCは、高電圧と低電圧との差に相当する大きさの電圧を充電する。 この時、後段ゲート出力Gout(j+2)がローであるので、リセット端子Rの入力もローである。従って、リセット端子Rと接続点J2に制御端子が接続されているトランジスタT3、T4、T5は非導通状態である。 【0041】 次に、前段ゲート出力Cout(j-2)と第3クロック信号LCLK2がローになれば、接続点J1はセット端子Sとの接続が遮断され浮遊状態となって高電圧を維持し、第1クロック信号LCLK1は依然としてローであるので、ゲート出力Gout(j)もローを維持する。この際、接続点J3も第3クロック信号LCLK2と遮断されて浮遊状態になるので、図6に示したように、直前の電圧である高電圧を維持する。 【0042】 次に、第1クロック信号LCLK1がハイになれば、2個のトランジスタT9、T11がそれぞれ導通する。この状態で2個のトランジスタT9、T7は、第1クロック信号LCLK1とゲートオフ電圧Voffの間に直列に接続され、接続点J2の電位は2個のトランジスタT9、T7の導通時の抵抗値によって決定され、接続点J2に制御端子が接続されているトランジスタT4、T5が非導通となるように、トランジスタT7の導通時の抵抗値が小さいことが好ましい。また、接続点J3は、導通したトランジスタT11を介して低電圧が伝達されてローに変化し、制御端子がこれに接続されているトランジスタT6が非導通となる。従って、出力端子OUTは、第1クロック信号LCLK1にのみ接続され、ゲートオフ電圧Voffとは遮断されて高電圧を送出する。一方、キャパシタCの一端、つまり、接続点J1の電位は高電圧ほどさらに上昇する。図6には、直前の電圧と同一のものとして示されているが、実際は高電圧ほどさらに上昇する。 【0043】 次に、第1クロック信号LCLK1がローになれば、トランジスタT9、T11が非導通となり、接続点J2、J3は浮遊状態となって直前の電圧を維持する。接続点J1も浮遊状態であるので直前の電圧を維持してトランジスタT1は導通状態を維持し、出力端子OUTはローである第1クロック信号LCLK1を出力する。 また、第3クロック信号LCLK2もローであるので、トランジスタT8は非導通状態を維持する。 【0044】 次に、後段ゲート出力Gout(j+2)がハイになれば、トランジスタT3が導通して低電圧を接続点J1に伝達する。これにより、トランジスタT1が非導通となって第1クロック信号LCLK1と出力端子OUTの接続が遮断される。 これと同時に、第3クロック信号LCLK3がハイになってトランジスタT10が導通して接続点J3に高電圧を伝達する。これにより、トランジスタT6が導通して出力端子OUTとゲートオフ電圧Voffが接続するので、出力端子OUTは低電圧を引き続き送出する。また、接続点J2は浮遊状態であるため、直前の電圧である低電圧を維持する。」 (ウ)「【図4】 [図:0001399903000049.jpg] 」 (エ)「【図5】 [図:0001399903000050.jpg] 」 イ 甲3発明 上記アの記載事項(ア)~(エ)から、甲第3号証には、次の事項が記載されているといえる。 (ア)上記ア(ア)、及びア(イ)の段落【0025】によれば甲第3号証には、“画素のスイッチング素子と同一の工程で形成され表示板部に集積されるゲート駆動部であるシフトレジスタを備える表示装置”が記載されているといえる。 (イ)上記ア(ア)の段落【0005】には、“シフトレジスタは複数のステージからなる”ことが記載され、また、上記ア(イ)の段落【0032】には、“各ステージは、セット端子S、リセット端子R、ゲート電圧端子GV、出力端子OUT、並びに第1及び第2クロック端子CK1、CK2を含む”ことが記載されている。 してみると、甲第3号証には、“シフトレジスタの各ステージは、セット端子S、リセット端子R、ゲート電圧端子GV、出力端子OUT、並びに第1及び第2クロック端子CK1、CK2を含”むことが記載されているといえる。 (ウ)上記ア(イ)の段落【0036】には、“各ステージは、入力部420、プルアップ駆動部430、プルダウン駆動部440、並びに出力部450を含み、これらは少なくとも一つのNMOSトランジスタT1~T11及びキャパシタCからなって”いることが記載されている。 (エ)上記ア(イ)の段落【0032】、【0033】、及び図4(上記ア(ウ))には、“j番目ステージST(j)のセット端子Sには、前段ステージST(j-2)のゲート出力、つまり、前段ゲート出力Gout(j-2)が、リセット端子Rには後段ステージST(j+2)のゲート出力、つまり、後段ゲート出力Gout(j+2)が入力され、クロック端子CK1、CK2には第1及び第3クロック信号LCLK1、LCLK2がそれぞれ入力され、ゲート電圧端子GVにはゲートオフ電圧Voffが入力し、出力端子OUTはゲート線G1、G3、...、G2n-1と前段及び後段ステージST(j-2)、ST(j+2)にゲート出力Gout(j)を送出するものであ”ることが記載されている。 (オ)上記ア(イ)の段落【0036】、【0037】及び図5(上記ア(エ))によれば、甲第3号証には、“入力部420は、セット端子Sに直接接続されているNMOSトランジスタT2を含み、このNMOSトランジスタT2はドレインとゲートがセット端子Sに共通的に直接接続されて一種のダイオード的役割を果たし、ソースがJ1に直接接続されていることで、高電圧を接続点J1に出力”することが記載されている。 (カ)上記ア(イ)の段落【0037】及び図5(上記ア(エ))によれば、甲第3号証には、“プルアップ駆動部430は、ドレインとゲートが共通的にクロック端子CK1とクロック端子CK2にそれぞれ直接接続されている2個のNMOSトランジスタT9、T10を含み、このNMOSトランジスタT9、T10もダイオード的役割を果たし、NMOSトランジスタT9のソースがJ2に直接接続され、NMOSトランジスタT10のソースがJ3に直接接続されていることで、高電圧を接続点J2と接続点J3にそれぞれ出力”することが記載されている。 (キ)上記ア(イ)の段落【0038】及び図5(上記ア(エ))によれば、甲第3号証には、“プルダウン駆動部440は、低電圧を接続点J1、J2、J3にそれぞれ出力するNMOSトランジスタT3、T4、T7、T8、T11を含み、NMOSトランジスタT3のゲートはリセット端子Rに、NMOSトランジスタT4のゲートは接続点J2にそれぞれ直接接続され、NMOSトランジスタT7のゲートは接続点J1に、NMOSトランジスタT8のゲートは第2クロック端子CK2に、NMOSトランジスタT11のゲートは第1クロック端子CK1に直接接続されており、NMOSトランジスタT3、T4のドレインは接続点J1に、NMOSトランジスタT7、T8のドレインは接続点J2に、NMOSトランジスタT11のドレインは接続点J3に、それぞれ直接接続されており、NMOSトランジスタT3、T4、T7、T8、T11のソースはゲート電圧端子GVに直接接続され”ることが記載されている。 (ク)上記ア(イ)の段落【0038】及び図5(上記ア(エ))によれば、甲第3号証には、“出力部450は、第1クロック端子CK1とゲートオフ電圧端子GVとの間に接続され、接続点J1、J2、J3の電圧に従って第1クロック信号LCLK1と低電圧を選択的に出力するNMOSトランジスタT1、T5、T6とキャパシタCを含み、NMOSトランジスタT1のゲートは接続点J1に直接接続されており、キャパシタCを介して出力端子OUTに接続されており、NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続されており、NMOSトランジスタT6のゲートは接続点J3に直接接続されており、NMOSトランジスタT1のドレインは第1クロック信号LCLK1に直接接続され、NMOSトランジスタT5、T6のドレインは出力端子OUTに直接接続され、NMOSトランジスタT1のソースは出力端子OUTに直接接続され、NMOSトランジスタT5、T6のソースは、ゲート電圧端子GVに直接接続されている” ことが記載されている。 (ケ)以上、(ア)~(ク)の検討から、甲第3号証には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。 「画素のスイッチング素子と同一の工程で形成され表示板部に集積されるゲート駆動部であるシフトレジスタを備える表示装置において、 シフトレジスタの各ステージは、セット端子S、リセット端子R、ゲート電圧端子GV、出力端子OUT、並びに第1及び第2クロック端子CK1、CK2を含み、 各ステージは、入力部420、プルアップ駆動部430、プルダウン駆動部440、並びに出力部450を含み、これらは少なくとも一つのNMOSトランジスタT1~T11及びキャパシタCからなっており、 j番目ステージST(j)のセット端子Sには、前段ステージST(j-2)のゲート出力、つまり、前段ゲート出力Gout(j-2)が、リセット端子Rには後段ステージST(j+2)のゲート出力、つまり、後段ゲート出力Gout(j+2)が入力され、クロック端子CK1、CK2には第1及び第3クロック信号LCLK1、LCLK2がそれぞれ入力され、ゲート電圧端子GVにはゲートオフ電圧Voffが入力し、出力端子OUTはゲート線G1、G3、...、G2n-1と前段及び後段ステージST(j-2)、ST(j+2)にゲート出力Gout(j)を送出するものであって、 入力部420は、セット端子Sに直接接続されているNMOSトランジスタT2を含み、このNMOSトランジスタT2はドレインとゲートがセット端子Sに共通的に直接接続されて一種のダイオード的役割を果たし、ソースがJ1に直接接続されていることで、高電圧を接続点J1に出力し、 プルアップ駆動部430は、ドレインとゲートが共通的にクロック端子CK1とクロック端子CK2にそれぞれ直接接続されている2個のNMOSトランジスタT9、T10を含み、このNMOSトランジスタT9、T10もダイオード的役割を果たし、NMOSトランジスタT9のソースがJ2に直接接続され、NMOSトランジスタT10のソースがJ3に直接接続されていることで、高電圧を接続点J2と接続点J3にそれぞれ出力し、 プルダウン駆動部440は、低電圧を接続点J1、J2、J3にそれぞれ出力するNMOSトランジスタT3、T4、T7、T8、T11を含み、NMOSトランジスタT3のゲートはリセット端子Rに、NMOSトランジスタT4のゲートは接続点J2にそれぞれ直接接続され、NMOSトランジスタT7のゲートは接続点J1に、NMOSトランジスタT8のゲートは第2クロック端子CK2に、NMOSトランジスタT11のゲートは第1クロック端子CK1に直接接続されており、NMOSトランジスタT3、T4のドレインは接続点J1に、NMOSトランジスタT7、T8のドレインは接続点J2に、NMOSトランジスタT11のドレインは接続点J3に、それぞれ直接接続されており、NMOSトランジスタT3、T4、T7、T8、T11のソースはゲート電圧端子GVに直接接続されており、 出力部450は、第1クロック端子CK1とゲートオフ電圧端子GVとの間に接続され、接続点J1、J2、J3の電圧に従って第1クロック信号LCLK1と低電圧を選択的に出力するNMOSトランジスタT1、T5、T6とキャパシタCを含み、NMOSトランジスタT1のゲートは接続点J1に直接接続されており、キャパシタCを介して出力端子OUTに接続されており、NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続されており、NMOSトランジスタT6のゲートは接続点J3に直接接続されており、NMOSトランジスタT1のドレインは第1クロック信号LCLK1に直接接続され、NMOSトランジスタT5、T6のドレインは出力端子OUTに直接接続され、NMOSトランジスタT1のソースは出力端子OUTに直接接続され、NMOSトランジスタT5、T6のソースは、ゲート電圧端子GVに直接接続されている、 表示装置。」 (3)甲第4号証 ア 甲第4号証に記載された事項 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「[0002] 1. Field of the Invention [0003] The present invention relates to a shift register, a display device having the shift register and a method of driving the shift register, and more particularly to a shift register capable of generating a scan signal for scanning a gate line of an active matrix thin film transistor liquid crystal display device (“AMTFT-LCD”), a display device having the shift register and a method of driving the shift register.」 (当審訳:[0002] 1. 発明の分野 [0003] 本発明は、シフトレジスタ、該シフトレジスタを有する表示装置及び該シフトレジスタの駆動方法に関し、より詳細には、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ液晶表示装置(「AMTFT-LCD」)のゲートラインを走査するための走査信号を生成することができるシフトレジスタと、該シフトレジスタを有する表示装置及び該シフトレジスタの駆動方法に関する。) (イ)「[0012] FIG. 1 is a plan view showing a thin film transistor (TFT) substrate of a conventional poly-silicon liquid crystal display device (“poly-Si TFT LCD”). [0013] Referring to FIG. 1, the poly-Si TFT LCD includes a glass substrate 10, an integrated printed circuit board (“PCB”) 20 and a film cable 18. A data drive circuit 12 and a gate drive circuit 14 are formed on the glass substrate 10. A terminal 16 and the glass substrate 10 are electrically connected to the integrated PCB 20 through the film cable 18. Therefore, the manufacturing cost of the poly-Si TFT LCD is decreased. In addition, the data and gate drive circuits 12 and 14 are directly formed on the glass substrate 10 so that power consumption of the poly-Si TFT LCD is decreased. [0014] FIG. 2 is a plan view showing a TFT substrate of a conventional amorphous silicon liquid crystal display device. [0015] Referring to FIG. 2, a data driver chip 34 is formed on a data flexible PCB 32 through a chip-on-film (“COF”) process. End portions of data lines of a pixel array are electrically connected to a data PCB 36 through the data flexible PCB 32. In addition, a gate driver chip 40 is formed on a gate flexible PCB 38 through the COF process. End portions of gate lines of the pixel array are electrically connected to a gate PCB 42 through the gate flexible PCB 38. [0016] The gate drive circuit may be mounted on the data PCB so that the gate PCB is omitted. An LCD module having an integrated PCB, which does not have a gate PCB, is disclosed in Korean Patent Laid Open Publication No. 2000-66493. [0017] The LCD module having the integrated PCB, however, includes the gate flexible PCB, although the LCD module does not have the gate PCB. Therefore, the number of the flexible PCBs in an a-Si TFT LCD is larger than that in a poly-Si TFT LCD, so that the a-Si TFT LCD has more complex outer lead bonding (“OLB”) process than the poly-Si TFT LCD, thereby increasing the manufacturing cost thereof. [0018] A shift register of a gate drive circuit is disclosed in U.S. Pat. No. 5,517,542. [0019] In this patent, the shift register for the gate drive circuit outputs signals using three clock signals. Each of stages of the shift register outputs an output signal using two clock signals of the three clock signals. Each of the stages is enabled using an output signal from a previous stage as an input signal. In addition, each of the stages is disabled using a feedback signal from a following stage. [0020] To maintain a selected stage inactive, a stored charge in a capacitor is provided to a gate electrode of a pull down transistor. Therefore, when a threshold voltage of the pull down transistor exceeds the charged voltage of the capacitor as a result of over stress, the pull down transistor is erroneously turned off in the inactive state of the selected stage. [0021] To overcome the problem, U.S. Pat. No. 5,517,542 employs a threshold voltage drift compensations circuit that increases a VDD voltage proportional to a threshold voltage drift to prevent a decrease in the conductivity of the pull down transistor. [0022] However, a need still exists for a shift register that improves functional and operational reliability by effectively preventing or reducing deterioration of components of the shift register, and a display device employing such shift register.」 (当審訳:[0012] 図1は、従来のポリシリコン液晶表示装置(「ポリシリコンTFT LCD」)の薄膜トランジスタ(TFT)基板を示す平面図である。 [0013] 図1を参照すると、ポリシリコンTFT LCDは、ガラス基板10、集積プリント回路基板(「PCB」)20及びフィルムケーブル18を含む。ガラス基板10上には、データドライバ回路12とゲートドライバ回路14とが形成されている。端子16とガラス基板10は、フィルムケーブル18を介して集積プリント回路基板20に電気的に接続されている。そのため、ポリシリコンTFT LCDの製造コストが低減される。また、データドライバ回路12及びゲートドライバ回路14がガラス基板10上に直接形成されるので、ポリシリコンTFT LCDの消費電力が低減される。 [0014] 図2を参照すると、従来のアモルファスシリコン液晶表示装置のTFT基板を示す平面図である。 [0015] 図2を参照すると、データドライバチップ34はチップオンフィルム(「COF」)プロセスにより、データフレキシブル基板32上に形成されている。画素アレイのデータ線の端部は、データフレキシブル基板32を介してデータPCB36に電気的に接続される。また、ゲートフレキシブルプリント基板38上には、COFプロセスによりゲートドライブチップ40が形成されている。画素アレイのゲート線の端部は、ゲートフレキシブルプリント基板38を介してゲートプリント基板42と電気的に接続されている。 [0016] ゲートドライブ回路は、ゲートPCBを省略するようにデータPCBに実装してもよい。韓国公開特許第2000-66493には、ゲートPCBを持たない一体型PCBを有するLCDモジュールが開示されている。 [0017] しかしながら、一体型PCBを有するLCDモジュールは、ゲートPCBを有していないものの、ゲートフレキシブルPCBを含んでいる。そのため、a-Si TFT LCDのフレキシブルPCBの数は、ポリシリコンTFT LCDのそれよりも多くなるので、a-Si TFT LCDは、ポリシリコンTFT LCDよりも複雑なアウターリードボンディング(「OLB」)行程を有することになり、その製造コストが増大する。 [0018] ゲートドライブ回路のシフトレジスタは、米国特許第5517542号に開示されている。 [0019] この特許では、ゲートドライブ回路のシフトレジスタは、3つのクロック信号を用いて信号を出力する。シフトレジスタの各ステージは、3つのクロック信号のうちの2つのクロック信号を用いて出力信号を出力する。各ステージは、前のステージの出力信号を入力信号としてイネーブルされる。また、後続のステージからのフィードバック信号により、各ステージが無効にされる。 [0020] 選択されたステージを非アクティブに保つために、キャパシタに蓄積された電荷がプルダウントランジスタのゲート電極に供給される。そのため、過大なストレスによりプルダウントランジスタの閾値電圧が、キャパシタの充電電圧を超えると、プルダウントランジスタが誤ってオフになり、選択されたステージが非アクティブ状態になってしまう。 [0021] この問題を解決するために、米国特許第5517542号では、プルダウントランジスタの導電性の低下を防ぐために、閾値電圧ドリフトに比例してVDD電圧を増大さる閾値電圧ドリフト補償回路を採用している。 [0022] しかしながら、シフトレジスタの構成する部品の劣化を効果的に防止または低減することで、機能的・動作的な信頼性を向上させたシフトレジスタ、及びそのようなシフトレジスタを採用した表示装置が求められている。) (ウ)「[0100] FIG. 7 is a block diagram illustrating a shift register according to another example embodiment of the present invention. [0101] Referring to FIG. 7, the shift register 700 includes N stages ASRC1, ASRC2, . . . and ASRCN for outputting N gate signals (or scan signal) GOUT1, GOUT2, GOUT3, . . . and GOUTN, and a dummy stage ASRC+X for outputting a dummy gate signal GDUMMY. [0102] The dummy stage ASRC+X may output the dummy gate signal GDUMMY to a preceding stage ASRCN, thereby controllably inactivating the preceding stage ASRCN. Alternatively, the dummy stage ASRC+X may output the dummy gate signal GDUMMY to all the N stages ASRC1, ASRC2, . . . , ASRCN, thereby controllably inactivating all the stages ASRC1, ASRC2, . . . , ASRCN. [0103] The shift register 700 may be formed on the display panel 100 (referring to FIG. 3). [0104] A clock generator (not shown) for generating a plurality of clock signals provides a first clock signal CK and a second clock signal CKB to the first stage ASRC1 of the shift register 700 through the first and second clock terminals CK1 and CK2, respectively. [0105] The first stage ASRC1 may receive the start scan signal STV and a gate signal GOUT2 of the second stage ASRC2 through the first and second control terminals IN1 and IN2, respectively. [0106] The first stage ASRC1 of the shift register 700 outputs a gate signal GOUT1 and a first voltage VOFF (or VSS) to a first gate line via an output terminal OUT of the first stage ASRC1. The first stage ASRC1 also outputs a carry signal to the first control terminal IN1 of the second stage ASRC2 via a carry terminal CR based on the first clock signal CK. [0107] The second clock signal CKB is applied to the first clock terminal CK1 of the second stage ASRC2 of the shift register 700 and the first clock signal CK is applied to the second clock terminal CK2 of the second stage ASRC2. The carry signal outputted from the first stage ASRC1 is applied to the first control terminal IN1 of the second stage ASRC2. A gate signal GOUT3 outputted from a third stage ASRC3 is applied to a second control terminal IN2 of the second stage ASRC2. [0108] The second stage ASRC2 outputs the gate signal GOUT2 and a first voltage VOFF (or VSS) to a second gate line via an output terminal OUT of second stage ASRC2. The second stage ASRC2 also outputs the carry signal to the first control terminal IN1 of the third stage ASRC3 via the carry terminal CR based on the second clock signal CKB. [0109] Thus, the Nth stage ASRCN receives the first and second clock signals CK and CKB through the first and second clock terminals CK1 and CK2, respectively. [0110] Also, the carry signal outputted from the preceding stage ASRCN-1 is applied to the first control terminal IN1 of the Nth stage ASRCN, and the dummy gate signal GDUMMY outputted from the dummy stage ASRC+X is applied to a second control terminal IN2 thereof. The Nth stage ASRCN outputs the gate signal GOUTN and the first voltage VOFF (or VSS) to the Nth gate line via the output terminal OUT of the Nth stage ASRCN. The Nth stage ASRCN also outputs the carry signal to the first control terminal IN1 of the dummy stage GDUMMY. [0111] The carry signal is generated based on the first clock signal CK so that the gate signal GOUTN of the Nth stage for an Nth gate line, which would have been delayed by a load of the gate line, etc., is prevented from being applied to an input terminal of a next stage. [0112] The first and second clock signals CK and CKB are alternately applied to the first and second clock terminals CK1 and CK2 of the respective stages ASRC1, ASRC2, . . . ASRCN, and ASRC+X. [0113] In this embodiment, each of the stages ASRC1, ASRC2, . . . ASRCN, and ASRC+X receives the output signals GOUT1, GOUT2, . . . , GOUTN and GDUMMY outputted from the nearest stages (i.e., preceding stage and/or the next stage). [0114] However, in other embodiments, each of the stages ASRC1, ASRC2, . . . ASRCN and ASRC+X may receive the output signals GOUT1, GOUT2, . . . GOUTN and GDUMMY outputted from any preceding and/or following stages. For example, Mth stage may receive an output signal GOUTM+2 outputted from an M+2th stage and/or an output signal GOUTM-2 outputted from an M-2th stage. 」 (当審訳:[0100] 図7は、本発明の別の例示的な実施形態によるシフトレジスタを示すブロック図である。 [0101] 図7を参照すると、シフトレジスタ700は、N個のゲート信号(またはスキャン信号GOUT1、GOUT2、GOUT3、...、GOUTNを出力するためのN個のステージASRC1、ASRC2、...、ASRCNと、ダミーゲート信号GDUMMYを出力するためのダミーステージASRC+Xとを含む。 [0102] ダミーステージASRC+Xは、ダミーゲート信号GDUMMYを先行ステージASRCNに出力することで、先行ステージASRCNを制御可能に不活性化してもよい。あるいは、ダミーステージASRC+Xは、ダミーゲート信号GDUMMYを、N個のステージASRC1、ASRC2、...、ASRCNの全てに出力してもよい。N個のステージASRC1、ASRC2、...、ASRCNにダミーゲート信号GDUMMYを出力して、全てのステージASRC1、ASRC2、...、ASRCNを制御的に不活性化する。 [0103] シフトレジスタ700は、表示パネル100上に形成されてもよい(図3を参照のこと)。 [0104] 複数のクロック信号を生成するためのクロックジェネレータ(図示せず)は、第1クロック端子CK1及び第2クロック端子CK2を介して、第1クロック信号CK及び第2クロック信号CKBを、それぞれシフトレジスタ700の初段ASRC1に供給する。 [0105] 第1段ASRC1は、第1及び第2制御端子IN1及びIN2をそれぞれ介して、開始走査信号STV及び第2段ASRC2のゲート信号GOUT2を受信してもよい。 [0106] シフトレジスタ700の第1段ASRC1は、第1段ASRC1の出力端子OUTを介してゲート信号GOUT1及び第1電圧VOFF(またはVSS)を第1ゲート線に出力する。また、第1段ASRC1は、第1クロック信号CKに基づいて、キャリー端子CRを介して、第2段ASRC2の第1制御端子IN1にキャリー信号を出力する。 [0107] シフトレジスタ700の第2段ASRC2の第1クロック端子CK1には、第2クロック信号CKBが印加され、第2段ASRC2の第2クロック端子CK2には、第1クロック信号CKが印加される。初段ASRC1から出力されたキャリー信号は、2段目ASRC2の第1制御端子IN1に印加される。第2段ASRC2の第2制御端子IN2には、第3段ASRC3から出力されたゲート信号GOUT3が印加される。 [0108] 第2段ASRC2は、ゲート信号GOUT2と第1電圧VOFF(またはVSS)とを、第2段ASRC2の出力端子OUTを介して第2ゲート線に出力する。また、第2段ASRC2は、第2クロック信号CKBに基づいて、キャリー端子CRを介して、第3段ASRC3の第1制御端子IN1にキャリー信号を出力する。 [0109] このように、N段目のASRCNは、第1及び第2クロック端子CK1及びCK2を介して、第1及び第2クロック信号CK及びCKBをそれぞれ受信する。 [0110] また、前段のASRCN-1から出力されたキャリー信号は、N段目のASRCNの第1制御端子IN1に印加され、ダミー段ASRC+Xから出力されたダミーゲート信号GDUMMYは、その第2制御端子IN2に印加される。N番目のステージASRCNは、N番目のステージASRCNの出力端子OUTを介して、ゲート信号GOUTNと第1電圧VOFF(またはVSS)をN番目のゲート線に出力する。また、N番目のステージASRCNは、ダミーステージGDUMMYの第1制御端子IN1にキャリー信号を出力する。 [0111] キャリー信号は、第1クロック信号CKに基づいて生成されるので、ゲート線の負荷などによって遅延していたであろうN番目のゲート線に対するN番目のステージのゲート信号GOUTNが、次のステージの入力端子に印加されることを防止することができる。 [0112] 第1及び第2のクロック信号CK及びCKBは、それぞれのステージASRC1、ASRC2、...の第1及び第2のクロック端子CK1及びCK2に交互に印加される。ASRCN,及びASRC+Xに交互に印加される。 [0113] 本実施形態では、ステージASRC1、ASRC2、...ASRCN、ASRC+Xのそれぞれが、第1及び第2のクロック端子CK1及びCK2に交互に印加される。ASRCN、及びASRC+Xは、出力信号GOUT1、GOUT2、...GOUTN,GDUMMYが、直近のステージ(すなわち、前段及び/または次段)から出力される。 [0114] しかしながら、他の実施形態では、各ステージASRC1、ASRC2、...ASRCN及びASRC+Xは、前の及び/又は次の段から出力される出力信号GOUT1、GOUT2、……GOUT1,GOUT2,……GOUTN,GDUMMYを受信することができる。例えば、M番目のステージは、M+2番目のステージから出力された出力信号GOUTM+2及び/またはM-2番目のステージから出力された出力信号GOUTM-2を受信してもよい。) (エ)「[0128] FIG. 10 is a circuit diagram illustrating an example stage of the shift register in FIG. 7 according to another example embodiment of the present invention. [0129] Referring to FIG. 10, the example stage (e.g., Nth stage) of the shift register includes a pull up drive section 1010, a first pull up drive control section 1020, a second pull up drive control section 1030, a pull down drive section 1040 and a maintaining section 1050. [0130] The pull up drive section 1010 includes switching elements, such as a first transistor T1 and an eighth transistor T8. The first clock signal CK is applied to drain electrodes of the first and eighth transistors T1 and T8. Gate electrodes of the first and eighth transistors T1 and T8 are connected to a node N1, thereby being controlled by a control signal CNTR2. A source electrode of the first transistor T1 is connected to an output terminal 1060 of the Nth stage, and a source electrode of the eighth transistor T8 is connected to a carry output terminal 1070 of the Nth stage. [0131] Additionally, a first capacitor C1 is coupled between the source electrode and the gate electrode of the first transistor T1. A second capacitor C2 is coupled between the source electrode and gate electrode of the eighth transistor T8. The first and second capacitors C1 and C2 may correspond to a parasitic capacitor or an additionally installed capacitor. For example, the first and second capacitors C1 and C2 store an electric charge corresponding to the control signal CNTR2 at the node N1 to perform a boot-strap operation, so that overlap area between the gate electrode and the source electrode is larger than overlap area between the gate electrode and the drain electrode in the first and eighth transistors T1 and T8. The first and eighth transistors T1 and T8 may be implemented with NMOS transistors. [0132] The first pull up drive control section 1020 includes a switching element, such as a second transistor T2 whose drain electrode and gate electrode are commonly connected to each other. The second transistor T2 receives a gate signal GOUTN-1 of an N#1th stage and outputs the control signal CNTR2 to the node N1. Assuming that the Nth stage is the first stage, the start scan signal STV is applied to the second transistor T2 of the first pull up drive control section 1020. The second transistor T2 may be implemented with an NMOS transistor. [0133] The second pull up drive control section 1030 includes a switching element, for example, a third transistor T3. A gate electrode of the third transistor T3 receives a gate signal GOUTN+1 outputted from an output terminal of an N+1th stage. A drain electrode of the third transistor T3 is connected to the node N1 and thereby connected to the gate electrode of the first transistor T1. A source electrode of the third transistor T3 is connected to the first voltage VOFF (or VSS). [0134] When the third transistor T3 is turned on in response to the gate signal GOUTN+1 outputted from the output terminal of the N+1th stage, the first voltage VOFF (or VSS) is provided to the node N1. The third transistor T3 may be implemented with an NMOS transistor. [0135] The output terminal 1060 of the Nth stage of the shift register is connected to the second pull up drive control section 1030 of an N#1th stage, and outputs a gate signal GOUTN of the Nth stage. [0136] The pull down drive section 1040 includes switching elements, such as a fourth transistor T4 and a ninth transistor T9. Gate electrodes of the fourth and ninth transistors T4 and T9 receive the second clock signal CKB, and source electrodes thereof are connected to the first voltage VOFF (or VSS). A drain electrode of the fourth transistor T4 is connected to the source electrode of the first transistor T1 of the pull up drive section 1010 and the output terminal 1060 of the Nth stage. A drain electrode of the ninth transistor T9 is connected to the source electrode of the eighth transistor T8 of the pull up drive section 1010 and the carry output terminal 1070 of the Nth stage. The pull down drive section 1040 is controlled by the second clock signal CKB to inactivate a gate line and a carry signal line. The second clock signal CKB that is an AC pulse signal rather than a DC signal is used to control the gate electrodes of the fourth and ninth transistors T4 and T9, so that the fourth and ninth transistors T4 and T9 may be prevented from being deteriorated. The fourth and ninth transistors T4 and T9 may be implemented with NMOS transistors. [0137] The maintaining section 1050 includes switching elements, such as a fifth transistor T5, a sixth transistor T6, a seventh transistor T7 and a tenth transistor T10, and a third capacitor C3. [0138] Each gate electrode of the fifth, seventh and tenth transistors T5, T7 and T10 is connected to a node N2, and each source electrode thereof is connected at the first voltage VOFF (or VSS). The first clock signal CK is applied to one end of the third capacitor C3. Each gate electrode of the fifth, seventh and tenth transistors T5, T7 and T10 is connected to a drain electrode of a sixth transistor T6. [0139] Therefore, when the sixth transistor T6 is turned on, the fifth, seventh and tenth transistors T5, T7 and T10 are turned off in response to the first voltage VOFF (or VSS). When the sixth transistor T6 is turned off, the fifth, seventh and tenth transistors T5, T7 and T10 are turned on in response to the first clock signal CK that is charged in the third capacitor C3, thereby outputting the first clock signal CK to the node N1, the carry output terminal 1070 and the output terminal 1060 of the Nth stage. [0140] The maintaining section 1050 outputs the first clock signal CK as the gate signal GOUTN and the carry signal to an Nth gate line until an N+1th gate line is activated. Therefore, the maintaining section 1050 prevents the gate line from receiving a malfunction signal until the next scanning cycle. [0141] In this embodiment, an AC pulse signal is applied as the clock signal to the gate electrodes of the fourth and ninth transistors T4 and T9 of the pull down drive section 1040, so that the deterioration of the fourth and ninth transistors T4 and T9, which would have been caused by a DC voltage, may be reduced or prevented. Therefore, output from the output terminal 1060 and the carry output terminal 1070 is maintained by operation of the fourth and fifth transistors T4 and T5 and ninth and tenth transistors T9 and T10 that are turned on in response to the first and second clock signals CK and CKB. [0142] The first and second clock signals CK and CKB are alternately applied to the first and second clock terminals CK1 and CK2 of the respective stages ASRC1, ASRC2, . . . ASRCN and ASRC+X. [0143] In this embodiment, each of the stages ASRC1, ASRC2, . . . ASRCN and ASRC+X receives the output signals GOUT1, GOUT2, . . . GOUTN and GDUMMY outputted from the nearest stages (i.e., preceding stage and/or the next stage). However, in the alternative embodiment, each of the stages ASRC1, ASRC2, . . . ASRCN and ASRC+X may receive the output signals GOUT1, GOUT2, . . . GOUTN and GDUMMY outputted from any preceding and/or following stages. For example, an Mth stage may receive an output signal GOUTM+2 outputted from an M+2th stage and/or an output signal GOUTM-2 outputted from an M-2th stage.」 (当審訳:[0128] 図10は、本発明の別の例示的な実施形態による、図7のシフトレジスタの例示的なステージを示す回路図である。 [0129] 図10を参照すると、シフトレジスタの例示的なステージ(例えば、N番目のステージ)は、プルアップ駆動部1010と、第1プルアップ駆動制御部1020と、第2プルアップ駆動制御部1030と、プルダウン駆動部1040と、維持部1050とを含む。 [0130] プルアップ駆動部1010は、第1トランジスタT1及び第8トランジスタT8などのスイッチング素子を含む。第1トランジスタT1及び第8トランジスタT8のドレイン電極には、第1クロック信号CKが印加される。第1及び第8トランジスタT1、T8のゲート電極はノードN1に接続され、それによって制御信号CNTR2によって制御される。第1トランジスタT1のソース電極は、N段の出力端子1060に接続され、第8トランジスタT8のソース電極は、N段のキャリー出力端子1070に接続されている。 [0131] さらに、第1のキャパシタC1は、第1トランジスタT1のソース電極とゲート電極との間に結合されている。第2キャパシタC2は、第8トランジスタT8のソース電極とゲート電極の間に結合される。第1及び第2キャパシタC1、C2は、寄生キャパシタまたは追加的に設置されたキャパシタに対応することができる。例えば、第1及び第2キャパシタC1、C2は、第1及び第8トランジスタT1、T8において、ゲート電極とソース電極との間のオーバーラップ面積が、ゲート電極とドレイン電極との間のオーバーラップ面積よりも大きくなるように、ノードN1に制御信号CNTR2に対応する電荷を蓄積してブートストラップ動作を行う。なお、第1及び第8トランジスタT1、T8は、NMOSトランジスタで実装してもよい。 [0132] 第1プルアップ駆動制御部1020は、ドレイン電極とゲート電極とが共通に接続された第2トランジスタT2などのスイッチング素子を含む。第2トランジスタT2は、N-1段目のゲート信号GOUTN-1を受けて、制御信号CNTR2をノードN1に出力する。N番目のステージが1番目のステージであるとすると、第1プルアップ駆動制御部1020の第2トランジスタT2には、スタートスキャン信号STVが印加される。なお、第2トランジスタT2は、NMOSトランジスタで実装してもよい。 [0133] 第2プルアップ駆動制御部1030は、スイッチング素子、例えば、第3トランジスタT3を含む。第3トランジスタT3のゲート電極には、N+1段目の出力端子から出力されたゲート信号GOUTN+1が入力される。第3のトランジスタT3のドレイン電極は、ノードN1に接続されることで、第1のトランジスタT1のゲート電極に接続される。第3トランジスタT3のソース電極は、第1電圧VOFF(またはVSS)に接続されている。 [0134] N+1段目の出力端子から出力されるゲート信号GOUTN+1に応答して、第3トランジスタT3がオンすると、第1電圧VOFF(またはVSS)がノードN1に供給される。なお、第3トランジスタT3は、NMOSトランジスタで実装してもよい。 [0135] シフトレジスタのN段目の出力端子1060は、N-1段目の第2プルアップ駆動制御部1030に接続され、N段目のゲート信号GOUTNを出力する。 [0136] プルダウン駆動部1040は、第4トランジスタT4及び第9トランジスタT9などのスイッチング素子を含む。第4トランジスタT4及び第9トランジスタT9のゲート電極は、第2クロック信号CKBを受け、そのソース電極は、第1電圧VOFF(またはVSS)に接続される。第4トランジスタT4のドレイン電極は、プルアップ駆動部1010の第1トランジスタT1のソース電極とN段目の出力端子1060に接続されている。第9のトランジスタT9のドレイン電極は、プルアップ駆動部1010の第8のトランジスタT8のソース電極とN段目のキャリー出力端子1070に接続されている。プルダウン駆動部1040は、第2クロック信号CKBによって制御され、ゲート線とキャリー信号線とを不活性化する。DC信号ではなくACパルス信号である第2クロック信号CKBを用いて、第4トランジスタT4及び第9トランジスタT9のゲート電極を制御することで、第4トランジスタT4及び第9トランジスタT9の劣化を防止することができる。なお、第4及び第9トランジスタT4、T9は、NMOSトランジスタで実装してもよい。 [0137] 維持部1050は、第5トランジスタT5、第6トランジスタT6、第7トランジスタT7及び第10トランジスタT10などのスイッチング素子と、第3キャパシタC3とを含む。 [0138] 第5、第7、第10トランジスタT5、T7、T10の各ゲート電極はノードN2に接続され、それらの各ソース電極は第1電圧VOFF(またはVSS)に接続されている。第3キャパシタC3の一端には、第1クロック信号CKが印加される。また、第5、第7、第10トランジスタT5、T7、T10の各ゲート電極は、第6トランジスタT6のドレイン電極に接続されている。 [0139] したがって、第6トランジスタT6がオンになると、第1電圧VOFF(またはVSS)に応答して、第5、第7及び第10トランジスタT5、T7及びT10がオフになる。第6トランジスタT6がオフになると、第3キャパシタC3に充電される第1クロック信号CKに応答して、第5、第7、第10トランジスタT5、T7、T10がオンになり、これにより、第1クロック信号CKをノードN1、キャリー出力端子1070、N段目の出力端子1060に出力する。 [0140] 維持部1050は、N+1番目のゲート線が活性化するまで、第1クロック信号CKをゲート信号GOUTN及びキャリー信号としてN番目のゲート線に出力する。したがって、維持部1050は、次の走査サイクルまでゲート線が誤動作信号を受信することを防止する。 [0141] 本実施形態では、プルダウン駆動部1040の第4トランジスタT4及び第9トランジスタT9のゲート電極に、クロック信号としてACパルス信号を印加しているので、直流電圧を印加した場合に生じるであろう第4トランジスタT4及び第9トランジスタT9の劣化を低減又は防止することができる。したがって、出力端子1060及びキャリー出力端子1070からの出力は、第1及び第2クロック信号CK及びCKBに応答してオンされる第4及び第5トランジスタT4及びT5ならびに第9及び第10トランジスタT9及びT10の動作によって維持される。 [0142] 第1及び第2クロック信号CK及びCKBは、それぞれのステージASRC1、ASRC2、...の第1及び第2クロック端子CK1及びCK2に交互に印加される。ASRCN及びASRC+Xである。 [0143] 本実施形態では、ステージASRC1、ASRC2、...ASRCN、ASRC+Xのそれぞれは、出力信号GOUT1、GOUT2、……を受信する。GOUT1、GOUT2、……ASRCN、ASRC+Xは、直近のステージ(1つ前の段及び次段)から出力された出力信号GOUT1、GOUT2、...GOUTN、GDUMMYを受信する。しかし、代替実施形態では、各ステージASRC1、ASRC2、...ASRCN及びASRC+Xは、任意の前の段及び任意の後段の出力信号GOUT1、GOUT2、...GOUTN及びGDUMMYを受信してもよい。例えば、M番目のステージには、M+2番目のステージから出力された出力信号GOUTM+2及び/またはM-2番目のステージから出力された出力信号GOUTM-2が入力されることがある。) (オ)「FIG.10 [図:0001399903000051.jpg] 」 (4)甲第5号証 ア 甲第5号証に記載された事項 甲第5号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「[0002] 1. Technical Field [0003] The present invention relates to a liquid crystal display (LCD) device and, more particularly, to an LCD device and a method of driving the same that can substantially prevent variations in brightness of an LCD panel by gradually increasing the level of a gate-on voltage. [0004] 2. Discussion of Related Art [0005] A liquid crystal display (LCD) device displays an image by applying an electric field to a liquid crystal material having dielectric anisotropy injected between two substrates and by controlling the intensity of the electric field to control the amount of light transmitted through the liquid crystal material. [0006] The LCD device may be classified into an active matrix type and a passive matrix type according to driving methods. An LCD device using a thin film transistor (TFT) of the active matrix type is widely used. The TFT may be formed of amorphous silicon or polysilicon. The TFT using polysilicon has low power consumption and low manufacturing costs; however, the manufacturing process is complicated. The TFT using amorphous silicon, having a less complicated manufacturing process, is widely used as an LCD element for a large screen LCD. Moreover, a gate driving circuit may be integrated into an LCD panel using the amorphous silicon TFTs. In this case, the gate driving circuit is provided on the LCD panel and thereby a separate driving integrated circuit is not required. [0007] When such an amorphous silicon gate (ASG) is used, variations in brightness occur between the top and bottom of the panel as the panel size increases due to a gate-on voltage being lower towards the bottom of the panel. Therefore, voltages applied to pixels vary according to the position of the panel, even though the same data voltage is applied. SUMMARY OF THE INVENTION [0008] According to embodiments of the present invention a liquid crystal display (LCD) device and a method of driving the same that can substantially prevent variations in brightness between the top and bottom of an LCD panel by including a voltage compensation signal generator.」 (当審訳:[0002] 1.技術分野 [0003] 本発明は、液晶表示(LCD)デバイスに関し、より詳しくは、ゲートオン電圧のレベルを徐々に増加させることによってLCDパネルの輝度変化を実質的に防止できるLCDデバイス及びその駆動方法に関する。 [0004] 2.関連技術の考察 [0005] 液晶表示(LCD)デバイスは、2つの基板間に注入された誘電異方性を有する液晶材料に電界を印加し、液晶材料中を透過する光の量を制御すべくその電界の強度を制御することによって画像を表示する。 [0006] LCDデバイスは、駆動方法に従ってアクティブマトリクス型及びパッシブマトリクス型に分類されてよい。アクティブマトリクス型の薄膜トランジスタ(TFT)を用いたLCDデバイスが広く用いられている。TFTは、非晶質シリコンまたはポリシリコンから形成されてよい。ポリシリコンを用いたTFTは、低消費電力及び低製造コストを有する、しかしながら、製造プロセスが複雑である。非晶質シリコンを用いたTFTは、より複雑でない製造プロセスを有し、大画面LCDのためのLCD素子として広く用いられている。そのうえ、非晶質シリコンTFTを用いたLCDパネル中にゲート駆動回路が一体化されてよい。このケースでは、ゲート駆動回路がLCDパネル上に設けられ、それによって、分離した駆動集積回路は必要とされない。 [0007] かかる非晶質シリコンゲート(ASG)が用いられるときには、ゲートオン電圧がパネルの下部に向かって低くなるため、パネルサイズが増加するにつれてパネルの上部と下部との間に輝度変化が発生する。それゆえに、たとえ同じデータ電圧は印加されても、画素に印加される電圧は、パネルの位置に従って変化する。 発明の概要 [0008] 本発明の実施形態によれば、電圧補償信号発生器を含めることによってLCDパネルの上部と下部との間の輝度変化を実質的に防止できる液晶表示(LCD)デバイス及びその駆動方法。) (イ)「[0027] FIG. 3 is a block diagram schematically showing the configuration of a gate driver shown in FIGS. 1 and 2; [0028] FIG. 4 is a detailed circuit diagram showing a first shift register shown in FIG. 3;」 (当審訳:[0027] 図3は、図1及び2に示されるゲートドライバの構成を概略的に示すブロック図である。 [0028] 図4は、図3に示される第1シフトレジスタを示す詳細な回路図である。) (ウ)「[0047] FIG. 3 is a block diagram of the first and second gate driving circuits shown in FIGS. 1 and 2. [0048] As shown in FIG. 3, the first and second gate drivers 20 and 30 have a structure symmetric to each other with respect to the gate lines GL1, . . . , GLn. The first and second gate drivers 20 and 30 receive various signals from the data driver 60 and transmit the received signals to the shift registers through signal lines to sequentially output the gate driving signal. The shift register includes a plurality of stages STG1, . . . , STGn+1, which are cascaded to each other. Each of the first to the (n+1)th stages STG1, . . . , STG(n+1) connected to one another is electrically connected to sequentially output the gate driving signal. The (n+1)th stage STG(n+1) indicates a dummy stage. Herein, n is an even number. [0049] Each of the stages STG1, . . . , STG(n+1) includes first and second clock terminals CK1 and CK2, an input terminal IN, a control terminal CT, an output terminal OUT, a reset terminal RE, a carry terminal CR, and a ground voltage terminal VSS. [0050] In odd-numbered stages STG1, STG3, . . . , STG(n+1) among the stages STG1, . . . , STG(n+1), the first clock terminal CK1 receives a gate clock pulse CKV and the second clock terminal CK2 receives a gate clock bar pulse CKVB. In even-numbered stages STG2, STG4, . . . , STGn among the stages STG1, . . . , STG(n+1), the first clock terminal CK1 receives a gate clock bar pulse CKVB and the second clock terminal CK2 receives a gate clock pulse CKV.」 (当審訳:[OO47] 図3は、図1及び2に示される第1及び第2ゲート駆動回路のブロック図である。 [OO48] 図3に示されるように、第1及び第2ゲートドライバ20及び30は、ゲート線GL1、...、GLnに関して互いに対称な構造を有する。第1及び第2ゲートドライバ20及び30は、様々な信号をデータドライバ60から受信して、ゲート駆動信号を順次に出力するために、受信された信号を信号線を通してシフトレジスタヘ送信する。シフトレジスタは、互いにカスケード接続された、複数のステージSTGl、...、STGn+1を含む。互いに接続された第1~第(n+1)ステージSTG1、...、STG(n+1)の各々がゲート駆動信号を順次に出力するように電気的に接続される。第(n+1)ステージSTG(n+1)は、ダミーステージを示す。ここで、nは偶数である。 [OO49] ステージSTG1、...、STG(n+1)の各々は、第1及び第2クロック端子CK1及びCK2、入力端子IN、制御端子CT、出力端子OUT、リセット端子RE、キャリー端子CR、ならびにグラウンド電圧端子VSSを含む。 [0050] ステージSTG1、...、STG(n+1)のうちで奇数ステージSTG1、STG3、...、STG(n+1)では、第1クロック端子CK1がゲートクロックパルスCKVを受信して、第2クロック端子CK2がゲートクロックバーパルスCKVBを受信する。ステージSTG1、...、STG(n+1)のうちで偶数ステージSTG2、STG4、...、STGnでは、第1クロック端子CK1がゲートクロックバーパルスCKVBを受信して、第2クロック端子CK2がゲートクロックパルスCKVを受信する。) (エ)「[0065] FIG. 4 is a circuit diagram for explaining the first stage shown in FIG. 3. [0066] Herein, the first stage has the same configuration as each of the second to the (n+1)th stages, and therefore only configuration of the first stage will be described except for that of the second to the (n+1)th stages. [0067] As shown in FIG. 4, the first stage includes a pull-up portion 132a, a pull-down portion 132b, a driving portion 132c, a holding portion 132d, a switching portion 132e, and a carry portion 132f. [0068] The pull-up portion 132a pulls up the gate clock pulse CKV supplied through the first clock terminal CK1 to be output as the gate driving signal through the output terminal OUT. The pull-up portion 132a includes a first transistor NT1 with a gate electrode connected to a first node N1, a source electrode connected to the first clock terminal CK1, and a drain electrode connected to the output terminal OUT. The first transistor NT1 represents a pull-up transistor pulling up the gate clock pulse CKV. And the first transistor NT1 supplies the gate line of the pixel area with the gate driving signal through the output terminal OUT.」 (当審訳:[OO65] 図4は、図3に示される第1ステージを説明するための回路図である。 [OO66] ここで、第1ステージは、第2~第(n+1)ステージの各々と同じ構成を有し、それゆえに、第2~第(n+1)ステージを除いて、第1ステージの構成のみが記載される。 [OO67] 図4に示されるように、第1ステージは、プルアップ部132a、プルダウン部132b、駆動部132c、ホールディング部132d、スイッチング部132e、及びキャリー部132fを含む。 [0068] プルアップ部132aは、第1クロック端子CK1を通して供給されたゲートクロックパルスCKVをゲート駆動信号として出力端子OUTを通して出力するためにプルアップする。プルアップ部132aは、第1ノードN1へ接続されたゲート電極、第1クロック端子CK1へ接続されたソース電極、及び出力端子OUTへ接続されたドレイン電極をもつ第1トランジスタNT1を含む。第1トランジスタNT1は、ゲートクロックパルスCKVをプルアップするプルアップトランジスタを表す。そして第1トランジスタNT1は、ゲート駆動信号を出力端子OUTを通して画素領域のゲート線に供給する。) (オ)「[0080] The first stage further includes a ripple preventing portion 132g and a reset portion 132h. The ripple preventing portion 132g prevents the gate driving signal maintained at the ground voltage VOFF from being rippled by a noise inputted through the input terminal IN. The ripple preventing portion 132g includes a twelfth transistor NT12 and a thirteenth transistor NT13. The twelfth transistor NT12 has a source electrode connected to the input terminal IN, a gate electrode connected to the second clock terminal CK2, and a drain electrode connected to the first node N1. The thirteen transistor NT13 has a drain electrode connected to the first node N1, a gate electrode connected to the first clock terminal CK1, and a source electrode connected to the second electrode N2.」 (当審訳:[0080] 第1ステージは、リップル防止部132g及びリセット部132hをさらに含む。リップル防止部132gは、グラウンド電圧に維持されたゲート駆動信号が入力端子INを通して入力されたノイズによってリップルされることを防止する。リップル防止部132gは、第12トランジスタNT12及び第13トランジスタNT13を含む。第12トランジスタNT12は、入力端子INへ接続されたソース電極、第2クロック端子CK2へ接続されたゲート電極、及び第1ノードN1へ接続されたドレイン電極を有する。第13トランジスタNT13は、第1ノードN1へ接続されたドレイン電極、第1クロック端子CK1へ接続されたゲート電極、及び第2電極N2へ接続されたソース電極を有する。) (カ)「FIG.3 [図:0001399903000052.jpg] 」 (キ)「FIG.4 [図:0001399903000053.jpg] 」 (5)甲第6号証 ア 甲第6号証に記載された事項 甲第6号証には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、シフトレジスタとこれを有するスキャン駆動回路及び表示装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 一般に、製造コストを低減させ、サイズを縮小させるために、データドライバーICやゲートドライバーICを液晶パネルに集積化しようとする努力が行われている。前記した集積化を具現するためには、液晶パネルのスキャン駆動回路は、単純な構造を有する。」 (イ)「【発明を実施するための最良の形態】 【0028】 以下では、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例をより詳細に説明する。 【0029】 図1は、本発明の第1実施例によるシフトレジスタの単位ステージを説明するための回路図である。特に、a-Si TFTでスキャン駆動回路を構成した時、第2トランジスタQ2のゲートがフローティングされることを防止するための単位ステージを図示する。 【0030】 図1を参照すると、本発明の第1実施例によるシフトレジスタの単位ステージ100は、バッファー部110、充電部120、駆動部130、放電部140、及びホールディング部150を含み、スキャン開始信号STV又は前段ステージの出力信号に基づいてゲート信号(又は、走査信号、スキャン信号)を出力する。 【0031】 バッファー部110は、ドレーンとゲート(又は、制御電極)が共通され、第1入力信号IN1の供給を受け、ソースが充電部120の第1端に連結された第1トランジスタQ1で構成され、前段ステージの出力端子OUTから提供される第1入力信号IN1に応答して第1トランジスタQ1のソースに連結された充電部120、駆動部130、放電部140、及びホールディング部150にゲートオン電圧VONを供給する。仮に、前記単位ステージが一番目ステージであると、前記第1入力信号IN1はスキャン開始信号STVである。 【0032】 充電部120は、第1端が前記第1トランジスタQ1のソースと放電部140に連結され、第2端が駆動部130の出力端子OUTに連結されたキャパシタCで構成される。 【0033】 駆動部130は、ドレーンがクロック端子CKに連結され、ゲートが第1ノードN1を経由してキャパシタCの第1端に連結され、ソースがキャパシタCの第2端及び出力端子OUTに連結された第2トランジスタQ2と、ドレーンが第2トランジスタQ2のソース及びキャパシタCの第2端に連結され、ソースが第1電圧VOFFに連結された第3トランジスタQ3で構成される。この際、第2トランジスタQ2のドレーンには、単位ステージが奇数番目ステージである場合には、クロック端子CKに第1クロックCKVが印加され、偶数番目ステージである場合には、クロック端子CKに第1クロックCKVと位相が反対である第2クロックCKVBが入力される。前記第2トランジスタQ2は、プル-アップ機能を行い、第3トランジスタQ3は、プル-ダウン機能を行う。 【0034】 放電部140は、ドレーンがキャパシタCの第1端に連結され、ゲートが第3トランジスタQ3のゲートと共通され第2入力信号IN2が印加され、ソースが前記第1電圧VOFFに連結された第4トランジスタQ4で構成され、第2入力信号IN2に応答してキャパシタCに充電された電荷を、ソースを通じて第1電圧VOFF端に放電する。」 (ウ)「【0072】 図6は、本発明の第4実施例によるシフトレジスタの単位ステージを説明するための回路図である。前記ステージは、a-Si TFTを含み、スキャン信号を出力する出力端子OUT、第2トランジスタQ2のソースがフローティングされることを防止する。 【0073】 図6を参照すると、本発明の第4実施例によるシフトレジスタの単位ステージ400は、バッファー部110、充電部120、駆動部130、放電部140、ホールディング制御部350、及びホールディング部460を含み、スキャン開始信号STV又は前段ステージの出力信号に基づいてスキャン信号(又は、走査信号)を出力する。前記した図1及び図5と比較して、同じ構成要素には同じ図面番号を付与し、その説明は省略する。 【0074】 ホールディング部460は、第5ホールドトランジスタQ45と第6ホールドトランジスタQ46を含み、出力端子OUTがフローティングされることを防止する。ホールディング部460は、出力端子OUTがハイレベルである時、オフ状態を維持する。第5ホールドトランジスタQ45は、ドレーンが出力端子OUTに連結され、ゲートがホールディング制御部350に連結され、ソースに第1電圧VOFFが印加される。第6ホールドトランジスタQ46は、ドレーンが出力端子OUTに連結され、ゲートに第2クロック端子CK2が印加(当審注:「連結」の誤記と認められる。)され、ソースに第1電圧VOFFが印加される。第5ホールドトランジスタQ45に連結された第1クロック端子CK1に印加される第1クロックCKVと第6ホールドトランジスタQ46に連結された第2クロック端子CK2に印加される第2クロックCKVBは、互いに反対位相を有する。ここで、シフトレジスタの単位ステージに印加される信号は、図4bと同様である。 【0075】 第2ホールドトランジスタQ32及び第4ホールドトランジスタQ34は、現在ステージの出力端子OUTがハイレベルである時、第5ホールドトランジスタQ45のゲートを第1電圧VOFFにプル-ダウンする。 【0076】 現在ステージの出力信号OUTがローである時、第1クロックCKVと同期されるコントロール電圧が第2ホールドトランジスタQ32を通じて第5ホールドトランジスタQ45のゲートに伝達される。なお、第3ホールドトランジスタQ33及び第4ホールドトランジスタQ34はターンオフしている。出力端子OUTがハイレベルではなく、クロック端子CK1がハイレベルである場合、第2ホールドトランジスタQ32のゲート電圧は、第1クロックCKVのハイレベル電圧から第1ホールドトランジスタQ31のしきい電圧を引いた電圧と同じである。 【0077】 第2ホールドトランジスタQ32は、出力端子OUTがハイレベルではない場合、第1クロックCKVと同期されるコントロール電圧を第5ホールドトランジスタQ45のゲートに印加する。 【0078】 一方、第2クロックCKVBがハイレベルであり、前記レジスタ出力端子OUTがローレベルである場合、第6ホールドトランジスタQ46は、第2クロックCKVBに応答して出力端子OUTを第1電圧VOFFにホールディングする。 【0079】 以上で説明したように、第4実施例によると、第1クロック端子CK1に印加される第1クロックCKVと第2クロック端子CK2に印加される第2クロックCKVBは、常に反対位相である。出力端子OUTがハイレベルではなく、第1クロックCK1がハイレベルである時、第5ホールドトランジスタQ45により出力端子OUTに第1電圧VOFFが印加される。出力端子OUTがハイレベルではなく、第2クロックCKVBがハイレベルである時、第6ホールドトランジスタQ46により出力端子OUTに第1電圧VOFFが印加される。これにより、出力端子OUT、第2トランジスタQ2のソースやキャパシタCの第1端がフローティングされることを防止することができる。」 (エ)「【0100】 以上で説明した本発明の多様な実施例によると、一種の交流波形である第1クロックCKV又は第2クロックCKVBを用いてa-Si TFT LCDのスキャン駆動回路の内部ノードと出力ノードのフローティング状態を防止することができる。これにより、高電圧が印加されるトランジスタの寿命を増加させて信頼性を高めることができ、a-Si TFTを有するスキャン駆動回路を含む液晶パネルや前記液晶パネルを有するLCDの表示品質を高めることができる。」 (オ)「【図6】 [図:0001399903000054.jpg] 」 イ 甲6発明 上記アの記載事項(ア)~(オ)から、甲第6号証には、次の事項が記載されているといえる。 (ア) 上記ア(ア)の段落【0001】には、「シフトレジスタとこれを有するスキャン駆動回路」が記載され、また、段落【0002】には、「データドライバーICやゲートドライバーICを液晶パネルに集積化しようとする努力が行われている。前記した集積化を具現するためには、液晶パネルのスキャン駆動回路は、単純な構造を有する」と記載されている。 してみると、甲第6号証には、“ゲートドライバーICを具現化するシフトレジスタを有するスキャン駆動回路が集積化される液晶パネル”が記載されているといえる。 (イ)上記ア(ウ)の段落【0073】には図6(上記ア(オ))のシフトレジスタの単位ステージ400に関して、“シフトレジスタの単位ステージ400は、バッファー部110、充電部120、駆動部130、放電部140、ホールディング制御部350、及びホールディング部460を含み、スキャン開始信号STV又は前段ステージの出力信号に基づいてスキャン信号を出力するものであ”ることが記載されている。 (ウ)上記ア(ウ)の段落【0073】には図6(上記ア(オ))のシフトレジスタの単位ステージ400に関して、「前記した図1及び図5と比較して、同じ構成要素には同じ図面番号を付与し、その説明は省略する」と記載され、さらに、上記ア(イ)の段落【0030】-【0034】には図1のシフトレジスタの単位ステージ100に関して、 “バッファー部110は、ドレーンとゲート(又は、制御電極)が共通され、第1入力信号IN1の供給を受け、ソースが充電部120の第1端に連結された第1トランジスタQ1で構成され、前段ステージの出力端子OUTから提供される第1入力信号IN1に応答して第1トランジスタQ1のソースに連結された充電部120、駆動部130、放電部140にゲートオン電圧VONを供給するものであって、 充電部120は、第1端が前記第1トランジスタQ1のソースと放電部140に連結され、第2端が駆動部130の出力端子OUTに連結されたキャパシタCで構成され、 駆動部130は、ドレーンがクロック端子CKに連結され、ゲートが第1ノードN1を経由してキャパシタCの第1端に連結され、ソースがキャパシタCの第2端及び出力端子OUTに連結された第2トランジスタQ2と、ドレーンが第2トランジスタQ2のソース及びキャパシタCの第2端に連結され、ソースが第1電圧VOFFに連結された第3トランジスタQ3で構成され、 放電部140は、ドレーンがキャパシタCの第1端に連結され、ゲートが第3トランジスタQ3のゲートと共通され第2入力信号IN2が印加され、ソースが前記第1電圧VOFFに連結された第4トランジスタQ4で構成され、第2入力信号IN2に応答してキャパシタCに充電された電荷を、ソースを通じて第1電圧VOFF端に放電するものであ” ることが記載されている。 また、図6(上記ア(オ))によれば、単位ステージ400においては、駆動部130の第2トランジスタQ2のドレーンは第1クロック端子CK1に連結されていることが看取できる。 してみると、甲第6号証には図6(上記ア(オ))のシフトレジスタの単位ステージ400に関して、 “バッファー部110は、ドレーンとゲート(又は、制御電極)が共通され、第1入力信号IN1の供給を受け、ソースが充電部120の第1端に連結された第1トランジスタQ1で構成され、前段ステージの出力端子OUTから提供される第1入力信号IN1に応答して第1トランジスタQ1のソースに連結された充電部120、駆動部130、放電部140にゲートオン電圧VONを供給するものであって、 充電部120は、第1端が前記第1トランジスタQ1のソースと放電部140に連結され、第2端が駆動部130の出力端子OUTに連結されたキャパシタCで構成され、 駆動部130は、ドレーンが第1クロック端子CK1に連結され、ゲートが第1ノードN1を経由してキャパシタCの第1端に連結され、ソースがキャパシタCの第2端及び出力端子OUTに連結された第2トランジスタQ2と、ドレーンが第2トランジスタQ2のソース及びキャパシタCの第2端に連結され、ソースが第1電圧VOFFに連結された第3トランジスタQ3で構成され、 放電部140は、ドレーンがキャパシタCの第1端に連結され、ゲートが第3トランジスタQ3のゲートと共通され第2入力信号IN2が印加され、ソースが前記第1電圧VOFFに連結された第4トランジスタQ4で構成され、第2入力信号IN2に応答してキャパシタCに充電された電荷を、ソースを通じて第1電圧VOFF端に放電するものであ” ることが記載されているといえる。 (エ)上記ア(ウ)の段落【0073】、【0074】には図6(上記ア(オ))のシフトレジスタの単位ステージ400に関して、 “ホールディング部460は、第5ホールドトランジスタQ45と第6ホールドトランジスタQ46を含み、出力端子OUTがフローティングされることを防止し、出力端子OUTがハイレベルである時、オフ状態を維持するもので、第5ホールドトランジスタQ45は、ドレーンが出力端子OUTに連結され、ゲートがホールディング制御部350に連結され、ソースに第1電圧VOFFが印加され、さらに、第6ホールドトランジスタQ46は、ドレーンが出力端子OUTに連結され、ゲートに第2クロック端子CK2が連結され、ソースに第1電圧VOFFが印加されるものであって、また、第5ホールドトランジスタQ45に連結された第1クロック端子CK1に印加される第1クロックCKVと第6ホールドトランジスタQ46に連結された第2クロック端子CK2に印加される第2クロックCKVBは、互いに反対位相を有し、 第2ホールドトランジスタQ32及び第4ホールドトランジスタQ34は、現在ステージの出力端子OUTがハイレベルである時、第5ホールドトランジスタQ45のゲートを第1電圧VOFFにプル-ダウンするものであ” ることが記載されている。 また、図6(上記ア(オ))によれば、“第4ホールドトランジスタQ34は、ドレーンが第5ホールドトランジスタQ45のゲートに連結され、ゲートが出力端子OUTに連結され、ソースに第1電圧VOFFが印加されるものであ”ることが看取できる。 (オ)以上、(ア)~(エ)の検討から、甲第6号証には次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる。 「ゲートドライバーICを具現化するシフトレジスタを有するスキャン駆動回路が集積化される液晶パネルにおいて、 シフトレジスタの単位ステージ400は、バッファー部110、充電部120、駆動部130、放電部140、ホールディング制御部350、及びホールディング部460を含み、スキャン開始信号STV又は前段ステージの出力信号に基づいてスキャン信号を出力するものであって、 バッファー部110は、ドレーンとゲート(又は、制御電極)が共通され、第1入力信号IN1の供給を受け、ソースが充電部120の第1端に連結された第1トランジスタQ1で構成され、前段ステージの出力端子OUTから提供される第1入力信号IN1に応答して第1トランジスタQ1のソースに連結された充電部120、駆動部130、放電部140にゲートオン電圧VONを供給するものであって、 充電部120は、第1端が前記第1トランジスタQ1のソースと放電部140に連結され、第2端が駆動部130の出力端子OUTに連結されたキャパシタCで構成され、 駆動部130は、ドレーンが第1クロック端子CK1に連結され、ゲートが第1ノードN1を経由してキャパシタCの第1端に連結され、ソースがキャパシタCの第2端及び出力端子OUTに連結された第2トランジスタQ2と、ドレーンが第2トランジスタQ2のソース及びキャパシタCの第2端に連結され、ソースが第1電圧VOFFに連結された第3トランジスタQ3で構成され、 放電部140は、ドレーンがキャパシタCの第1端に連結され、ゲートが第3トランジスタQ3のゲートと共通され第2入力信号IN2が印加され、ソースが前記第1電圧VOFFに連結された第4トランジスタQ4で構成され、第2入力信号IN2に応答してキャパシタCに充電された電荷を、ソースを通じて第1電圧VOFF端に放電するものであって、 ホールディング部460は、第5ホールドトランジスタQ45と第6ホールドトランジスタQ46を含み、出力端子OUTがフローティングされることを防止し、出力端子OUTがハイレベルである時、オフ状態を維持するもので、第5ホールドトランジスタQ45は、ドレーンが出力端子OUTに連結され、ゲートがホールディング制御部350に連結され、ソースに第1電圧VOFFが印加され、さらに、第6ホールドトランジスタQ46は、ドレーンが出力端子OUTに連結され、ゲートに第2クロック端子CK2が連結され、ソースに第1電圧VOFFが印加されるものであって、また、第5ホールドトランジスタQ45に連結された第1クロック端子CK1に印加される第1クロックCKVと第6ホールドトランジスタQ46に連結された第2クロック端子CK2に印加される第2クロックCKVBは、互いに反対位相を有し、 第2ホールドトランジスタQ32及び第4ホールドトランジスタQ34は、現在ステージの出力端子OUTがハイレベルである時、第5ホールドトランジスタQ45のゲートを第1電圧VOFFにプル-ダウンするものであって、第4ホールドトランジスタQ34は、ドレーンが第5ホールドトランジスタQ45のゲートに連結され、ゲートが出力端子OUTに連結され、ソースに第1電圧VOFFが印加されるものである、 液晶パネル。」 4 無効理由1(甲2発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について (1) 無効理由1-1(甲2発明に基づく新規性の欠如)について ア 対比 本件特許発明と甲2発明を対比する。 理解の便宜のため、最初に、甲第2号証の図8(但し、上記2(1)で検討した部分は点線とした。)に、本件特許発明の各「ゲート信号線」、各「クロック信号線」、「電源線」、及び「第1のトランジスタ」~「第6のトランジスタ」を「A1」~「A6」として、赤字で対応する構成に書き入れたものを掲げる。 [図:0001399903000055.jpg] (ア)構成Aについて 甲2発明の「シフトレジスタ」は、「ゲート駆動回路である」から、本件特許発明の「ゲートドライバ」に相当する。 (イ)構成Bについて 甲2発明の「N3トランジスタ(N3)」、「N4トランジスタ(N4)」、「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)」、「N6トランジスタ(N6)」、「N9トランジスタ(N9)」、「N5トランジスタ(N5)」は、各々、本件特許発明の「第1のトランジスタ」、「第2のトランジスタ」、「第3のトランジスタ」、「第4のトランジスタ」、「第5のトランジスタ」、「第6のトランジスタ」に相当する。 そして、甲2発明の「シフトレジスタのN番目のステージ回路」は、「N3トランジスタ(N3)」、「N4トランジスタ(N4)」、「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)」、「N6トランジスタ(N6)」、「N9トランジスタ(N9)」、「N5トランジスタ(N5)」を有するものであるから、甲2発明と本件特許発明は「前記ゲートドライバは、第1乃至第6のトランジスタを有」する点で一致する。 (ウ)構成C、Dについて 甲2発明の「N3トランジスタ(N3)」は、「ドレインが第2クロック信号(CLK2)線に直接接続され、ソースがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され」るものである。 してみると、甲2発明の「第2クロック信号(CLK2)線」、「ゲート駆動信号{(N)_out}の出力線」は、本件特許発明の「第1のクロック信号線」、「第2のゲート信号線」に相当し、甲2発明の「N3トランジスタ(N3)」の「ドレインが第2クロック信号(CLK2)線に直接接続され、ソースがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のクロック信号線と電気的に接続され、前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のゲート信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (エ)構成E、Fについて 甲2発明の「N4トランジスタ(N4)」は、「N4トランジスタ(N4)のドレインがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され、N4トランジスタ(N4)のソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され」るものである。 してみると、甲2発明の「第2電源電圧(VSS)線」は、本件特許発明の「電源線」に相当し、上記(ウ)の点を踏まえると、甲2発明の「N4トランジスタ(N4)のドレインがゲート駆動信号{(N)_out}の出力線に直接接続され、N4トランジスタ(N4)のソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源線と電気的に接続され、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のゲート信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (オ)構成Gについて 甲2発明の「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)」は、「ドレイン」に「第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のソース」が「直接接続され」るものである。また、「第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のドレイン及びゲートが開始信号(Vst)線に直接接続され」るものであり、「第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)」は、開始信号(Vst)線と「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)」の「ドレイン」との間においていわゆるダイオード接続されるものであり、「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)」の「ドレイン」には、直接ではないが開始信号(Vst)が入力されているといえる。 してみると、甲2発明の「開始信号(Vst)線」は、本件特許発明の「第1のゲート信号線」に相当し、甲2発明の「第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のドレイン及びゲートが開始信号(Vst)線に直接接続され、第1NMOSプルアップスイッチング素子(N1)のソースと第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のドレインが直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (カ)構成Hについて 甲2発明は、「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のソースに第1ノード(Q)が直接接続され」るものであって、また、「N3トランジスタ(N3)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続される」ものであるから、「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のソース」と「N3トランジスタ(N3)」の「ゲート」は直接接続されているといえる。 してみると、甲2発明の、「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のソースに第1ノード(Q)が直接接続され」、「N3トランジスタ(N3)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続される」ことは、本件特許発明の「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (キ)構成Iについて 甲2発明は、「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のゲートに第1クロック信号(CLK1)線が直接接続されるものであ」る。 してみると、甲2発明の「第1クロック信号(CLK1)線」は、本件特許発明の「第2のクロック信号線」に相当し、甲2発明の「第2NMOSプルアップスイッチング素子(N2)のゲートに第1クロック信号(CLK1)線が直接接続されるものであ」ることは、本件特許発明の「前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (ク)構成Jについて 甲2発明の「N6トランジスタ(N6)のソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続される」ことは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記電源線と電気的に接続され」ることに相当する。 (ケ)構成Kについて 甲2発明は「N6トランジスタ(N6)のドレインが第1ノード(Q)に直接接続され」るものであって、また、「N3トランジスタ(N3)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続される」ものであるから、「N6トランジスタ(N6)のドレイン」と「N3トランジスタ(N3)」の「ゲート」は直接接続されているといえる。 してみると、甲2発明の「N6トランジスタ(N6)のドレインが第1ノード(Q)に直接接続され」、「N3トランジスタ(N3)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続される」ことは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (コ)構成Lについて 甲2発明の「N4トランジスタ(N4)のゲートがN6トランジスタ(N6)のゲートに直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (サ)構成Mについて 甲2発明は「N9トランジスタ(N9)」の「ソースが第2電源電圧(VSS)線に直接接続され」るものであって、「第2クロック信号(CLK2)」が入力するものではない。 (シ)構成Nについて 甲2発明の「N9トランジスタ(N9)」は「ドレインが第2ノード(QB)に直接接続され」るものであって、また、「N4トランジスタのゲート」は「第2ノード(QB)に接続され」るものであるから、「N9トランジスタ(N9)」の「ドレイン」と、「N4トランジスタのゲート」は直接接続されているといえる。 してみると、甲2発明のN9トランジスタ(N9)」の「ドレインが第2ノード(QB)に直接接続され」、「N4トランジスタのゲートが」「第2ノード(QB)に接続され」ることは、本件特許発明の「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (ス)構成Oについて 甲2発明は「N9トランジスタ(N9)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続され」るものであって、また、「N3トランジスタ(N3)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続されるものであ」るから、「N9トランジスタ(N9)」の「ゲート」と「N3トランジスタ(N3)」の「ゲート」は直接接続されているといえる。 してみると、甲2発明の「N9トランジスタ(N9)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続され」、「N3トランジスタ(N3)」の「ゲートが第1ノード(Q)に直接接続される」ことは、本件特許発明の「前記第5のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (セ)構成Pについて 甲2発明は「N5トランジスタ(N5)」の「ソースが第2ノード(QB)に直接接続され」るものであって、また、「N4トランジスタのゲート」は「第2ノード(QB)に接続され」るものであるから、「N5トランジスタ(N5)」の「ソース」と、「N4トランジスタのゲート」は直接接続されているといえる。 してみると、甲2発明の「N5トランジスタ(N5)」の「ソースが第2ノード(QB)に直接接続され」、「N4トランジスタのゲートが」「第2ノード(QB)に接続され」ることは、本件特許発明の「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (ソ)構成Qについて 甲2発明の「N5トランジスタ(N5)」の「ゲートが第1クロック信号(CLK1)線に直接接続される」ことは、本件特許発明の「前記第6のトランジスタのゲートは、前記第2のクロック信号線と電気的に接続されること」に相当する。 (タ)構成Rについて 甲2発明の「液晶表示装置」を構成する「シフトレジスタ」は、「非晶質シリコン(a-Si)を用いたNMOS薄膜トランジスタ」で構成されたものであり、「非晶質シリコン(a-Si)を用いたNMOS薄膜トランジスタ」は“半導体素子”であるから、当該“半導体素子”で構成される甲2発明の「液晶表示装置」は、本件特許発明の「半導体装置」に相当する。 そうすると、本件特許発明と甲2発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「ゲートドライバを有し、 前記ゲートドライバは、第1乃至第6のトランジスタを有し、 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のクロック信号線と電気的に接続され、 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のゲート信号線と電気的に接続され、 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源線と電気的に接続され、 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のゲート信号線と電気的に接続され、 前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、 前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記電源線と電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第5のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第6のトランジスタのゲートは、前記第2のクロック信号線と電気的に接続される、 半導体装置。」 <相違点1>(構成Mについて) 本件特許発明では、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され」ているのに対し、甲2発明では、「N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、第2電源電圧(VSS)線と電気的に接続され」ている点。 イ 判断 したがって、本件特許発明は、前記の相違点1において甲2発明と相違するから、甲第2号証に記載された発明ではない。 ウ 請求人の主張 請求人は、構成Mについて次のとおり主張している。 「(13)構成要件M(「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され、」)に対応する構成 上記○5(審判注:原文は丸数字)及び○7(審判注:原文は丸数字)のとおり、N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、N5トランジスタを介して、前記第1クロック信号(CLK1)の信号線と電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000056.jpg] したがって、甲2発明は、以下の構成を有する。 m N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記N5トランジスタを介して、前記第1クロック信号(CLK1)の信号線と電気的に接続されている 」(請求書38-39頁) エ 請求人の主張についての合議体の検討 上記主張について検討する。 請求人の主張するN9トランジスタ(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当。)のソース又はドレインの一方と、第1クロック信号(CLK1)(本件特許発明の「第2のクロック」に相当。)の信号線の接続経路には、N5トランジスタの「ゲートを介する接続」が含まれており、第1のクロック信号(CLK1)がN9トランジスタのドレインに入力されることはないことから、上記1の意味において、N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、N5トランジスタを介して、前記第1クロック信号(CLK1)の信号線と電気的に接続されているとはいえない。 したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。 オ 小括 以上検討したとおり、本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明とはいえず、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものでなく、同法123条1項2号によって無効とすべきものではない。 (2) 無効理由1-2(甲2発明に基づく進歩性の欠如)について ア 対比 本件特許発明と甲2発明を対比すると、上記(1)アで検討したように、以下の相違点1で相違する。 <相違点1>(構成Mについて) 本件特許発明では、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され」ているのに対し、甲2発明では、「N9トランジスタのソース又はドレインの一方は、第2電源電圧(VSS)線と電気的に接続され」ている点。 イ 判断 相違点1について検討する。 (ア)甲第3号証には、上記3(2)イで検討したように甲3発明が記載されており、下記5(1)アで検討するように、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」が、本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当するものである。 ここで、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」のドレインは「接続点J2」に直接接続される一方、前記「接続点J2」には、「NMOSトランジスタT4」(本件特許発明の「第4のトランジスタ」に相当。)のゲート、及び「NMOSトランジスタT5」(本件特許発明の「第2のトランジスタ」に相当。)のゲートが直接接続される他は、「第1クロック信号LCLK1」の線(本件特許発明の「第1のクロック信号線」に相当。)が、ダイオード接続された「NMOSトランジスタT9」を介して接続されているのみである。 そして、前記「接続点J2」から「NMOSトランジスタT4」のゲートを介する接続、あるいは、前記「接続点J2」から「NMOSトランジスタT5」のゲートを介する接続は、いずれも、「トランジスタのゲートを介する接続」であるから、電気的な接続はここで途絶えることになる。 そうすると、「接続点J2」には「第3クロック信号LCLK2」が電気的に接続されていないから、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」のドレインは、上記1の意味において「第3クロック信号LCLK2」(本件特許発明の「第2のクロック信号線」に相当。)とは電気的に接続されていない。 また、「NMOSトランジスタT7」のソースは「ゲート電圧端子GV」(本件特許発明の「電源線」に相当。)に接続されているから、電気的な接続はここで途絶えることになる。 したがって、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」のソースは、上記1の意味において「第3クロック信号LCLK2」(本件特許発明の「第2のクロック信号線」に相当。)とは電気的に接続されていない。 次に、甲第4号証について検討する。 ここで、甲第4号証のFIG.10について、上記2(2)で明らかな誤記であるとした部分を正しいものに改めたものに、本件特許発明の「第2のゲート信号線」、「第1のクロック信号線」、「第2のクロック信号線」、「電源線」、及び、「第1のトランジスタ」、「第2のトランジスタ」、「第5のトランジスタ」を「A1」、「A2」、「A5」として、赤字で対応する構成に書き入れたものを掲げる。 [図:0001399903000057.jpg] すなわち、甲第4号証の、シフトレジスタのN段目のステージに関するFIG.10、及び段落[0128]-[0139]の記載によれば、「第1トランジスタT1」のドレインは、「第1クロック信号CK」(本件特許発明の「第1のクロック信号線」に相当。)に接続され、ソースは、「N段の出力端子1060」(本件特許発明の「第2のゲート信号線」に相当。)に接続されており、甲第4号証の「第1トランジスタT1」が、本件特許発明の「第1のトランジスタ」に相当し、また、「第5トランジスタT5」のドレインは、「N段の出力端子1060」に接続され、ソースは、「第1電圧VOFF」(本件特許発明の「電源線」に相当。)に接続されており、甲第4号証の「第5トランジスタT5」が、本件特許発明の「第2のトランジスタ」に相当するものと認められる。 そして、甲第4号証の「第6トランジスタT6」(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当。)のゲートは、「第1トランジスタT1」のゲートに接続され、ドレインは、「第5トランジスタT5」のゲートに接続されているものの、上記2(2)で検討したように甲第4号証のFIG.10には明らかな誤記があり、「第2クロック信号CKBの信号線」と「第1電圧VOFF」の電源線とは接続されていないことから、ソースと「第2クロック信号CKB」(本件特許発明の「第2のクロック信号線」に相当。)とは接続されていない。 したがって、甲第3号証及び甲第4号証には、上記相違点1に係る構成は記載されていないから、甲2発明に甲第3号証及び甲第4号証に記載の技術を組み合わせたとしても相違点1に係る構成とすることは容易とはいえない。 (イ)また、本件特許発明の第5のトランジスタと甲2発明のN9トランジスタとは、「ソース又はドレインの他方」が「第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」、「ゲート」が、「第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」る点で共通し、両者が有する機能も、第1のトランジスタ(甲2発明の「N3トランジスタ」に相当。)のゲート電圧がハイレベルになってオンする際に、第2のトランジスタ(甲2発明の「N4トランジスタ」に相当。)のゲート電圧をローレベルにしてオフさせるという機能を有する点では共通しているものと認められる。 しかしながら、本件特許発明の第5のトランジスタの「ソース又はドレインの一方」は、「第2のクロック信号線と電気的に接続され」ており、そのような接続とすることにより、本件特許明細書の段落【0120】に記載されているように、ソース端子にH信号を供給することができ、それにより、第5のトランジスタに逆バイアスを印加することで第5のトランジスタの劣化を抑制するという作用効果を奏することができるものであるのに対して、甲2発明のN9トランジスタは、ソースがVSS(ローレベル)に接続されているために、ソースにH信号を供給することはできず、N9トランジスタに逆バイアスを印加してN9トランジスタの劣化を抑制することはできないものである。 さらに、甲2発明では、N9トランジスタはソースがVSS(ローレベル)に接続されていることから、上記3(1)ア(ス)に記載されるように、そのゲート電圧がハイレベルになっている間(第1ノード(Q)が充電されている間)は常に第2ノード(QB)の放電を行うことができるものであるが、仮に、N9トランジスタのソースをVSSに代えて第1クロック(CLK1)線(本願の「第2のクロック信号線」に相当。)に接続すると、ゲート電圧がハイレベルになっていても、第1クロック信号(CLK1)線がハイレベルの時には放電を行うことができず甲2発明のシフトレジスタとしての動作が不安定になるものと認められる。 そして、甲第3号証や、甲第4号証には、本件特許発明の第5のトランジスタのゲート、ドレインと同様の接続構成を有し、同様の機能を有するトランジスタの記載は認められるものの、ソースは、いずれも低電位側の電源に接続されており、ソースを第2のクロック信号線と接続することを記載ないし示唆するものはなく、また、そのようにすることが当該技術分野における周知技術であったともいえない。 してみると、甲2発明においてN9トランジスタのソースを第2のクロック信号線と接続する動機付けが存在しない。 (ウ)したがって、本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証若しくは甲第4号証に記載された技術から容易に発明できたものとはいえない。 ウ 請求人の主張 請求人は、請求書において、 (ア)甲第3号証に関して、 「 さらに、上記○2(審判注:原文は丸数字)(段落【0032】、【0033】、【0036】及び【0038】)並びに○4(審判注:原文は丸数字)の記載から明らかなように、トランジスタT7のソース又はドレインの一方は、トランジスタ11及び10(審判注:「トランジスタT11及びT10」の誤記と認められる。)を介して、前記第2クロック信号(LCLK2)の信号線と電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000058.jpg] 」(請求書60頁)、 また、甲2発明、甲第3号証の技術は、技術分野が同一で、課題が共通し、機能が同一であるから、甲第3号証の技術を甲2発明に適用する動機付けがある旨(請求書62-63頁)、 (イ)甲第4号証に関して、 「 さらに、上記○3~○5(審判注:原文は丸数字)の記載から明らかなように、第6トランジスタT6のトランジスタのソースは、第2クロック信号CKBの信号線と電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000059.jpg] 」(請求書74頁)、 また、甲2発明と、甲第4号証の技術は、技術分野が同一で、課題が共通し、機能が同一であるから、甲第4号証の技術を甲2発明に適用する動機付けがある旨(請求書75-76頁)、 を主張している。 エ 請求人の主張についての合議体の検討 (ア)甲第3号証に関しては、図5(上記3(2)ア(エ))を参照すると、第3クロック信号(LCLK2)(本件特許発明の「第2のクロック」に相当。)はトランジスタT11及びT10を介してゲートオフ電圧Voffが入力する線に入力し、このゲートオフ電圧Voffが入力する線とトランジスタT7(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当。)のソースが接続されるものであって、請求人の主張する、トランジスタT7のソースと、第3クロック信号(LCLK2) の接続経路には、「電源線を介する接続」が含まれていて、トランジスタT7のソースには第3クロック信号(LCLK2)は入力されないことから、上記1の意味において、トランジスタT7のソースは、第3クロック信号(LCLK2)の信号線と電気的に接続されているとはいえない。 また、甲第4号証に関しては、上記2(2)ウで検討したように、FIG.10の第2クロック信号CKB(本件特許発明の「第2のクロック」に相当。)の信号線と第1電圧VOFFの電源線とは接続されていないことは明らかであるから、第6トランジスタT6(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当。)のソースは、第2クロック信号CKBの信号線と電気的に接続されているとはいえない。 してみると、甲第3、4号証は相違点1に係る構成を開示しないから、甲2発明に組み合わせたとしても相違点1に係る構成とすることは容易とはいえない。 (イ)さらに、上記イで検討したように、甲2発明においてN9トランジスタ(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当。)のソースを第2のクロック信号線と接続する動機付けが存在しない。 (ウ)したがって、上記主張を採用することはできない。 オ 小括 以上検討したとおり、本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証若しくは甲第4号証に記載された技術から容易に発明できたものではないから、特許法29条2項の規定に違反してされたものでなく、同法123条1項2号によって無効とすべきものではない。 5 無効理由2(甲3発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)について (1) 無効理由2-1(甲3発明に基づく新規性の欠如)について ア 対比 本件特許発明と甲3発明を対比する。 理解の便宜のため、最初に、甲第3号証の図5に、本件特許発明の各「ゲート信号線」、各「クロック信号線」、「電源線」、及び「第1のトランジスタ」~「第6のトランジスタ」を「A1」~「A6」として、赤字で対応する構成に書き入れたものを掲げる。 [図:0001399903000060.jpg] (ア) 構成Aについて 甲3発明の「ゲート駆動部」は、本件特許発明の「ゲートドライバ」に相当する。 (イ)構成Bについて 甲3発明の「ゲート駆動部」である「シフトレジスタ」の各「ステージ」は、「NMOSトランジスタT1」、「NMOSトランジスタT5」、「NMOSトランジスタT6」、「NMOSトランジスタT4」、「NMOSトランジスタT7」、「NMOSトランジスタT8」を有するものである。 してみると、甲3発明の「NMOSトランジスタT1」、「NMOSトランジスタT5」、「NMOSトランジスタT6」、「NMOSトランジスタT4」、「NMOSトランジスタT7」、「NMOSトランジスタT8」は、各々、本件特許発明の「第1のトランジスタ」、「第2のトランジスタ」、「第3のトランジスタ」、「第4のトランジスタ」、「第5のトランジスタ」、「第6のトランジスタ」に相当し、甲3発明の「各ステージ」が「NMOSトランジスタT1~T11及びキャパシタCからなって」いることは、本件特許発明の「前記ゲートドライバは、第1乃至第6のトランジスタを有」することに相当する。 (ウ)構成Cについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT1」は、「ドレインはクロック端子CK1に直接接続され」るものであって、また、「クロック端子CK1」には「第1クロック信号LCLK1」が入力するものであり、「クロック端子CK1」は信号線の一部と認められる。 してみると、甲3発明の「クロック端子CK1」は、本件特許発明の「第1のクロック信号線」に相当し、甲3発明の「NMOSトランジスタT1」の「ドレインはクロック端子CK1に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のクロック信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (エ)構成Dについて 甲3発明は、「NMOSトランジスタT1のソースは出力端子OUTに直接接続され」、また、「出力端子OUTはゲート線G1、G3、...、G2n-1・・・にゲート出力Gout(j)」の信号を「送出するものであ」って、「出力端子OUT」は信号線の一部と認められる。 してみると、甲3発明の「出力端子OUT」は、本件特許発明の「第2のゲート信号線」に相当し、甲3発明の「NMOSトランジスタT1のソースは出力端子OUTに直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のゲート信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (オ)構成Eについて 甲3発明は、「NMOSトランジスタT5」の「ソースは、ゲート電圧端子GVに直接接続されて」おり、また、「ゲート電圧端子GVにはゲートオフ電圧Voffが入力」するものであり、「ゲート電圧端子GV」は、電源線の一部と認められる。 してみると、甲3発明の「ゲート電圧端子GV」は、本件特許発明の「電源線」に相当し、甲3発明の、「NMOSトランジスタT5」の「ソースは、ゲート電圧端子GVに直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源線と電気的に接続され」ることに相当する。 (カ)構成Fについて 甲3発明は、「NMOSトランジスタT5」の「ドレインは出力端子OUTに接続され」るものであるから、上記(エ)の点を踏まえると、甲3発明の「NMOSトランジスタT5」の「ドレインは出力端子OUTに直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のゲート信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (キ)構成G、Hについて 甲3発明は、「NMOSトランジスタT6のドレインは出力端子OUTに直接接続され」るものである。 また、甲3発明では、「NMOSトランジスタT2はドレインとゲートがセット端子Sに共通的に直接接続されて一種のダイオード的役割を果たし、ソースが接続点J1に直接接続され」るものであって、「セット端子Sには、前段ステージST(j-2)のゲート出力、つまり、前段ゲート出力Gout(j-2)が」入力するものであるから、「接続点J1」には、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力しているといえる。そして、甲3発明では、「接続点J1」は、「キャパシタCを介して出力端子OUTに接続され」るものであるから、「接続点J1」に入力した「前段ゲート出力Gout(j-2)」が「キャパシタCを介して」「出力端子OUT」に入力しているといえる。 してみると、甲3発明では、「NMOSトランジスタT6」の「ドレイン」と、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」とは、上記1の意味において電気的に接続されているといえる。ここで、「セット端子S」は、「前段ゲート出力Gout(j-2)」の信号が入力するものであり、信号線の一部と認められ、甲3発明の「セット端子S」は、本件特許発明の「第1のゲート信号線」に相当する。 さらに、甲3発明の「接続点J1」には、「NMOSトランジスタT1のゲート」も「直接接続され」るものであり、「NMOSトランジスタT1のゲートは」、「キャパシタCを介して出力端子OUTに接続され」るものである。 してみると、甲3発明では、「NMOSトランジスタT6」の「ドレイン」は、「NMOSトランジスタT1のゲート」とも、上記1の意味において電気的に接続されているといえる。 ここで、本件特許発明の構成G、Hは、「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであって、「前記第3のトランジスタのソース」が、「第1のゲート信号線と電気的に接続され」る場合には、「前記第3のトランジスタのドレイン」が、「前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであって、「前記第3のトランジスタのドレイン」が、「第1のゲート信号線と電気的に接続され」る場合には、「前記第3のトランジスタのソース」が、「前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものである。 一方、甲3発明では、「NMOSトランジスタT6」の「ドレイン」は、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と、「NMOSトランジスタT1のゲート」の両方に電気的に接続されており、「NMOSトランジスタT6」の「ドレイン」が、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と電気的に接続される場合は、「ソース」が「NMOSトランジスタT1のゲート」と電気的に接続されるというものではないし、「NMOSトランジスタT6」の「ドレイン」が、「NMOSトランジスタT1のゲート」と電気的に接続される場合は、「ソース」が「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と電気的に接続されるというものでもない。 したがって、甲3発明は、「NMOSトランジスタT6」のソース又はドレインの一方は、「セット端子S」と電気的に接続され、「NMOSトランジスタT6」のソース又はドレインの他方は、「NMOSトランジスタT1のゲート」と電気的に接続されるものではない。 (ク)構成Iについて 甲3発明は、「NMOSトランジスタT6のゲートは接続点J3に直接接続され」るものである。 また、「NMOSトランジスタT10」の「ドレインとゲートが共通的にクロック端子CK2に接続され」「ダイオード的役割を果たし」、「NMOSトランジスタT10のソースが接続点J3に直接接続され」るものであって、「クロック端子CK2」には「第3クロック信号LCLK2」が入力するものであるから、「接続点J3」には、「第3クロック信号LCLK2」が入力しているといえる。 してみると、甲3発明の「NMOSトランジスタT6のゲート」は、「クロック端子CK2」と上記1の意味において電気的に接続されているといえ、また、「クロック端子CK2」は「第3クロック信号LCLK2」が入力するものであり、信号線の一部と認められる。 したがって、甲3発明の「クロック端子CK2」は、本件特許発明「第2のクロック信号線」に相当し、甲3発明の「NMOSトランジスタT6のゲートは接続点J3に直接接続され」、「NMOSトランジスタT10」の「ドレインとゲートが共通的にクロック端子CK2に直接接続され」、「NMOSトランジスタT10のソースが接続点J3に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 (ケ)構成Jについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT4」の「ソースはゲート電圧端子GVに接続され」るものであるから、上記(オ)も踏まえると、甲3発明の「NMOSトランジスタT4」の「ソースはゲート電圧端子GVに接続され」ることは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記電源線と電気的に接続され」ることに相当する。 (コ)構成Kについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT4」の「ドレインは接続点J1」に直接接続され、また、「NMOSトランジスタT1のゲートは接続点J1に直接接続され」るものである。 してみると、甲3発明の「NMOSトランジスタT4」の「ドレインは接続点J1」に接続され、「NMOSトランジスタT1のゲートは接続点J1に接続され」ることは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (サ)構成Lについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT4のゲートは接続点J2に」「直接接続され」、また、「NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続され」るものである。 してみると、甲3発明の「NMOSトランジスタT4のゲートは接続点J2に」「直接接続され」、「NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (シ)構成Mについて 上記(ケ)を踏まえると、甲3発明の「接続点J3」には、「第3クロック信号LCLK2」が入力し、さらに、「NMOSトランジスタT11のドレインは接続点J3に接続され」るものであり、「接続点J3」に入力した「第3クロック信号LCLK2」は、「NMOSトランジスタT11」がオンの際には、「NMOSトランジスタT11」の「ソース」から出力されるものである。 しかしながら、甲3発明の「NMOSトランジスタT11のソース」は「ゲート電圧端子GVに直接接続され」、「NMOSトランジスタT7」の「ソース」も「ゲート電圧端子GVに直接接続され」るものであり、そして、「ゲート電圧端子GV」には「ゲートオフ電圧Voff」が入力するものであって、「NMOSトランジスタT7」の「ソース」に「第3クロック信号LCLK2」が入力することはないから、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」の「ソース」は、「第3クロック信号LCLK2」が入力する「クロック端子CK2」と、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえない。 (ス)構成Nについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT7」の「ドレインは接続点J2」に直接接続されるものであって、「NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続され」るものである。 してみると、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」の「ドレインは接続点J2」に直接接続され、「NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (セ)構成Oについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT7のゲートは接続点J1に」直接接続され、「NMOSトランジスタT1のゲートは接続点J1に直接接続され」るものである。 してみると、甲3発明の「NMOSトランジスタT7のゲートは接続点J1に」直接接続され、「NMOSトランジスタT1のゲートは接続点J1に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第5のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (ソ)構成Pについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT8のドレインは接続点J2」に直接接続され、「NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続され」るものである。 してみると、甲3発明の「NMOSトランジスタT8のドレインは接続点J2」に直接接続され、「NMOSトランジスタT5のゲートは接続点J2に直接接続され」ることは、本件特許発明の「前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 (タ)構成Qについて 甲3発明の「NMOSトランジスタT8のゲートは第2クロック端子CK2」に直接接続されるものであるから、上記(ケ)の点も踏まえると、甲3発明の「NMOSトランジスタT8のゲートは第2クロック端子CK2」に直接接続されることは、本件特許発明の「前記第6のトランジスタのゲートは、前記第2のクロック信号線と電気的に接続される」ことに相当する。 (チ)構成Rについて 甲3発明の「表示装置」は、「シフトレジスタ」を有し、「シフトレジスタ」は、「画素のスイッチング素子と同一の工程で形成され表示部に集積され」るものであって、半導体装置といえるから、本件特許発明の「半導体装置」に相当する。 そうすると、本件特許発明と甲3発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「ゲートドライバを有し、 前記ゲートドライバは、第1乃至第6のトランジスタを有し、 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のクロック信号線と電気的に接続され、 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のゲート信号線と電気的に接続され、 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源線と電気的に接続され、 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のゲート信号線と電気的に接続され、 前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記電源線と電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第5のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第6のトランジスタのゲートは、前記第2のクロック信号線と電気的に接続される、 半導体装置。」 <相違点2>(構成G、Hについて) 本件特許発明では、「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであるのに対して、甲3発明では、「NMOSトランジスタT6」のドレインが、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と、「NMOSトランジスタT1のゲート」の両方に電気的に接続されている点。 <相違点3>(構成Mについて) 本件特許発明では、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され」るものであるのに対し、甲3発明では、「NMOSトランジスタT7」の「ソースはゲート電圧端子GVに接続され」ている点。 イ 判断 したがって、本件特許発明は、前記の相違点2、相違点3において甲3発明と相違するから、甲第3号証に記載された発明ではない。 ウ 請求人の主張 請求人は、構成Hについて次の(ア)、(イ)のとおり主張している。 (ア)「(8)構成要件H(「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、」)に対応する構成 上記「第2」「4」「(1)」「ア」○2(審判注:原文は丸数字)(段落【0036】及び【0038】)並びに○4(審判注:原文は丸数字)のとおり、トランジスタT6のソース又はドレインの他方は、トランジスタT1のゲートと電気的に接続されている。 [図:0001399903000061.jpg] したがって、甲3発明は、以下の構成を有する。 h’トランジスタT6のソース又はドレインの他方は、トランジスタT1のゲートと電気的に接続されている 」(請求書81頁) (イ)「1「1 甲3発明の構成」(19頁)について (1)構成h’について ・・・中略・・・ これに対し、被請求人は、トランジスタT6のソース又はドレインの他方が、T1のゲートと電気的に接続されているとはいえないと主張する(19頁末行~20頁1行)。 しかしながら、上記「第1」「4」「(2)」「ア」で述べたとおり、被請求人は、トランジスタのソース及びドレインを介して電位等を伝えることが記載されていると述べ(12頁12~13行)、下図を示している(12頁)。 [図:0001399903000062.jpg] 被請求人のかかる主張に基づけば、甲3のトランジスタT6のソース又はドレインの他方とトランジスタT1のゲートとの間に介在しているトランジスタT4は、ソース及びドレインにより接続しているのであるから、被請求人の主張を前提としても、電気的に接続していることは明らかである。 この点に関して、被請求人は、本件発明の構成要件Hが、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方と第1のトランジスタのゲートが電気的に接続することを規定しているのは、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方の電位を第1のトランジスタのゲートに伝えることで第1のトランジスタのオン/オフを制御することを意味していることは、技術的に明らかであると主張する(19頁16~末行)。 しかしながら、本件発明の構成要件Hに関し、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方と第1のトランジスタのゲートが電気的に接続することの技術的意義は、本件明細書には一切記載されていないのであり、被請求人の上記主張は、本件明細書の記載に基づかないものであって、失当である。」(弁駁書14-16頁) また、請求人は構成Mについて次の(ウ)、(エ)のとおり主張している。 (ウ)「(13)構成要件M(「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され、」)に対応する構成 上記「第2」「4」「(1)」「ア」○2(審判注:原文は丸数字)(段落【0032】、【0033】、【0036】及び【0038】)並びに○4(審判注:原文は丸数字)のとおり、トランジスタT7のソース又はドレインの一方は、トランジスタT11及びT10を介して、前記第2クロック信号(LCLK2)の信号線と電気的に接続されている。 [図:0001399903000063.jpg] したがって、甲3発明は、以下の構成を有する。 m’トランジスタT7のソース又はドレインの一方は、トランジスタT11及びT10を介して、前記第2クロック信号(LCLK2)接続されている 」(請求書84、85頁) (エ)「(2)構成m’について 被請求人は、甲3発明のトランジスタT7のソース又はドレインの一方は、電源線に接続されているのであって、LCLK2とは電気的に接続されていないと主張する(20頁4~6行)。 しかしながら、上記「第1」「4」「(2)」「ア」で述べたとおり、トランジス夕T7のソース又はドレインの一方は、トランジスタ11及び10を介して、前記第2クロック信号(LCLK2)の信号線と電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000064.jpg] しかも、被請求人は、トランジスタのソース及びドレインを介して電位等を伝えることが記載されていると述べて(12頁12~13行)、下図を示している(12頁)。 [図:0001399903000065.jpg] 被請求人のかかる主張に基づけば、甲3文献のトランジスタT7と第2クロック信号(LC LK2)との間に介在しているトランジスタT11及びトランジスタT10は、いずれも、ソース及びドレインにより接続しているのであるから、被請求人の主張を前提としても、電気的に接続していることは明らかである。」(弁駁書16,17頁) エ 請求人の主張についての合議体の検討 (ア)構成G及びHについて 上記ウ(ア)、(イ)で請求人が主張する、「NMOSトランジスタT6」(本件特許発明の「第3のトランジスタ」に相当。)のソースと「NMOSトランジスタT1」(本件特許発明の「第1のトランジスタ」に相当。)のゲートの接続経路には、「ゲート電圧端子」(本件特許発明の「電源線」に相当。)の線が含まれており、上記接続経路は、「電源線を介する接続」を含むものであるから、上記1の意味において、甲第3号証において「NMOSトランジスタT6」のソースと「NMOSトランジスタT1」のゲートとは電気的に接続されているとはいえない。 また、構成Hと構成Gは、上記ア(キ)で、本件特許発明の構成G、Hは、「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであって、「前記第3のトランジスタのソース」が、「第1のゲート信号線と電気的に接続され」る場合には、「前記第3のトランジスタのドレイン」が、「前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであって、「前記第3のトランジスタのドレイン」が、「第1のゲート信号線と電気的に接続され」る場合には、「前記第3のトランジスタのソース」が、「前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものである、と検討したように、構成Hは構成Gと一体的なものである。 そして、上記ア(キ)で検討したように、甲3発明では、「NMOSトランジスタT6」(本件特許発明の「第3のトランジスタ」に相当。)の「ドレイン」は、「前段ゲート出力Gout(j-2)」(本件特許発明の「第1のゲート信号」に相当。)が入力する「セット端子S」と、「NMOSトランジスタT1」(本件特許発明の「第1のトランジスタ」に相当。)の「ゲート」の両方に電気的に接続されており、「NMOSトランジスタT6」の「ドレイン」が、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と電気的に接続される場合は、「ソース」が「NMOSトランジスタT1のゲート」と電気的に接続されるというものではないし、「NMOSトランジスタT6」の「ドレイン」が、「NMOSトランジスタT1のゲート」と電気的に接続される場合は、「ソース」が「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と電気的に接続されるというものでもない。 したがって、甲3発明は、「NMOSトランジスタT6」のソース又はドレインの一方が、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と電気的に接続された上に、「NMOSトランジスタT6」のソース又はドレインの他方が、「NMOSトランジスタT1のゲート」と電気的に接続されるというものではないから、甲3発明が、本件特許発明の構成G及び構成Hを有するとはいえない。 (イ)構成Mについて 上記ア(シ)で検討したように、甲3発明の「接続点J3」には、「第3クロック信号LCLK2」(本件特許発明の「第2のクロック信号」に相当。)が入力し、さらに、「NMOSトランジスタT11のドレインは接続点J3に接続され」るものであり、「接続点J3」に入力した「第3クロック信号LCLK2」は、「NMOSトランジスタT11」がオンの際には、「NMOSトランジスタT11」の「ソース」から出力されるものである。 しかしながら、甲3発明の「NMOSトランジスタT11のソース」は「ゲート電圧端子GVに直接接続され」、「NMOSトランジスタT7」(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当。)の「ソース」も「ゲート電圧端子GVに直接接続され」るものであり、そして、「ゲート電圧端子GV」には「ゲートオフ電圧Voff」が入力するので、請求人が主張する「NMOSトランジスタT7」の「ソース」と、「第3クロック信号LCLK2」の接続経路には「電源線を介する接続」が含まれることになり、「NMOSトランジスタT7」の「ソース」に「第3クロック信号LCLK2」が入力することはないから、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」の「ソース」は、「第3クロック信号LCLK2」が入力する「クロック端子CK2」と、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえない。 (ウ)したがって、請求人の主張は採用することはできない。 オ 小括 以上検討したとおり、本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明とはいえず、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものでなく、同法123条1項2号によって無効とすべきものではない。 (2) 無効理由2-2(甲3発明に基づく進歩性の欠如)について ア 対比 本件特許発明と甲3発明を対比すると、上記(1)アで検討したように、以下の相違点2、3で相違する。 <相違点2>(構成G、Hについて) 本件特許発明では、「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであるのに対して、甲3発明では、「NMOSトランジスタT6」のドレインは、「前段ゲート出力Gout(j-2)」が入力する「セット端子S」と、「NMOSトランジスタT1のゲート」の両方に電気的に接続されている点。 <相違点3>(構成Mについて) 本件特許発明では、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され」るものであるのに対し、甲3発明では、「NMOSトランジスタT7」の「ソースはゲート電圧端子GVに接続され」ている点。 イ 判断 (ア)相違点2について 理解の便宜のため、甲第5号証のFIG.4に、本件特許発明の各「ゲート信号線」、各「クロック信号線」、及び「第1のトランジスタ」、「第3のトランジスタ」を「A1」、「A3」として、赤字で対応する構成に書き入れたものを掲げる。 [図:0001399903000066.jpg] すなわち、甲第5号証の段落[0068] (上記3(4)ア(エ))及びFIG.4(上記3(4)ア(キ)。上に掲げた図も参照。)には、「第1トランジスタNT1」のソースは「第1クロック端子CK1」の信号線(本件特許発明の「第1のクロック信号線」に相当する。)に直接接続され、ドレインは「ゲート駆動信号」の「出力端子OUT」の信号線(本件特許発明の「第2のゲート信号線」に相当する)に直接接続されることが記載され、甲第5号証の「第1トランジスタNT1」は、本件特許発明の「第1のトランジスタ」に相当するものと認められる。 さらに、甲第5号証の段落[0080] (上記3(4)ア(オ))及びFIG.3、4(上記3(4)ア(カ)、(キ)。FIG.4については、上に掲げた図も参照。)の記載によれば、「第12トランジスタNT12」のソースは前段のゲート駆動信号が入力する「入力端子IN」の信号線(本件特許発明の「第1のゲート信号線」に相当する)に直接接続され、ドレインは「第1ノードN1」を介して「第1トランジスタNT1」の「ゲート」に接続され、ゲートは「第2クロック端子CK2」の信号線(本件特許発明の「第2のクロック信号線」に相当する)に直接接続されるものである。してみると、甲第5号証の「第12トランジスタNT12」は、本件特許発明の「第3のトランジスタ」に相当するものと認められ、また、「第12トランジスタNT12」のソース又はドレインの他方は、「第1トランジスタNT1」のゲートと電気的に接続されているといえる。 これに対して、甲3発明において本件特許発明の「第3のトランジスタ」に対応付けられた「NMOSトランジスタT6」は、ドレインが「出力端子OUT」に接続され、ソースが「ゲート電圧端子GV」(低電圧)に接続されることで、甲第3号証の段落【0040】に記載されるように、「NMOSトランジスタT6」をオンオフすることで低電圧を出力端子OUTに伝達するか否かの制御をするものである。してみると、仮に、甲3発明の「NMOSトランジスタT6」のドレイン及びソースの接続関係を、甲第5号証の「第12トランジスタNT12」のドレイン及びソースの接続関係に変えてしまうと、「出力端子OUT」及び「ゲート電圧端子GV」とは接続されないものとなり、「NMOSトランジスタT6」をオンオフすることで低電圧を出力端子OUTに伝達するか否かの制御をすることはできなくなってしまうことから、甲3発明の「NMOSトランジスタT6」に代えて甲第5号証の「第12トランジスタNT12」のドレイン及びソースの接続関係を採用する理由がない。 したがって、甲3発明に、甲第5号証の技術事項を適用する理由がなく、当業者が相違点2に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (イ)相違点3について 甲3発明の「NMOSトランジスタT7」は、甲第3号証の段落【0040】の記載によれば、第3クロック信号LCLK2(本件特許発明の「第2のクロック信号」に相当する。)及び前段ゲート出力Gout(j-2)がハイになると、導通され、低電圧を接続点J2に伝達するものであるが、これは、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」のソースが、「ゲート電圧端子GV」(低電圧)に接続されているためである。してみると、仮に、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」のソースに、「ゲート電圧端子GV」(低電圧)に代えて第3クロック信号LCLK2を接続すると、第3クロック信号LCLK2はハイであるために、低電圧を接続点J2に伝達することはできなくなってしまうことから、甲3発明の「NMOSトランジスタT7」のソースに、「ゲート電圧端子GV」(低電圧)に代えて第3クロック信号LCLK2を接続する理由が存在しない。 また、甲第5号証においては、「第2クロック端子CK2」の信号線(本件特許発明の「第2のクロック信号線」に相当する)は「第12トランジスタNT12」及び「第6トランジスタNT6」の「ゲート」と接続されているだけで、それら以外のトランジスタの「ソース」または「ドレイン」とは接続されていないから、甲第5号証には、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され」るという上記相違点3に係る構成について記載されているとはいえない。 してみると、甲3発明に、甲第5号証の技術事項を適用して、当業者が相違点3に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (ウ)したがって、本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された技術から容易に発明できたものとはいえない。 ウ 小括 以上検討したとおり、本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された技術から容易に発明できたものではないから、特許法29条2項の規定に違反してされたものでなく、同法123条1項2号によって無効とすべきものではない。 6 無効理由3(甲6発明に基づく新規性の欠如)について (1)対比 本件特許発明と甲6発明を対比する。 理解の便宜のため、最初に、甲第6号証の図6に、本件特許発明の各「ゲート信号線」、各「クロック信号線」、「電源線」、及び「第1のトランジスタ」~「第6のトランジスタ」を「A1」~「A6」として、赤字で対応する構成に書き入れたものを掲げる。 [図:0001399903000067.jpg] ア 構成Aについて 甲6発明の「ゲートドライバーIC」は、本件特許発明の「ゲートドライバ」に相当する。 イ 構成Bについて 甲6発明の「ゲートドライバーIC」の「シフトレジスタ」の「単位ステージ400」は、「第2トランジスタQ2」、「第3トランジスタQ3」、「第6ホールドトランジスタQ46」、「第4トランジスタQ4」、「第4ホールドトランジスタQ34」、「第5ホールドトランジスタQ45」を有するものである。 してみると、甲6発明の「第2トランジスタQ2」、「第3トランジスタQ3」、「第6ホールドトランジスタQ46」、「第4トランジスタQ4」、「第4ホールドトランジスタQ34」、「第5ホールドトランジスタQ45」は、各々、本件特許発明の「第1のトランジスタ」、「第2のトランジスタ」、「第3のトランジスタ」、「第4のトランジスタ」、「第5のトランジスタ」、「第6のトランジスタ」に相当し、甲6発明の「単位ステージ400」が「第2トランジスタQ2」、「第3トランジスタQ3」、「第6ホールドトランジスタQ46」、「第4トランジスタQ4」、「第4ホールドトランジスタQ34」、「第5ホールドトランジスタQ45」を有することは、本件特許発明の「前記ゲートドライバは、第1乃至第6のトランジスタを有」することに相当する。 ウ 構成Cについて 甲6発明の「ドレーン」は、本件特許発明の「ドレイン」に相当する。 そして、甲6発明の「第2トランジスタQ2」は、「ドレーンが第1クロック端子CK1に連結され」るものであり、「第2トランジスタQ2」の、「ドレーン」と「第1クロック端子CK1」は直接接続されているものといえる(以下、「連結」は、直接接続されていると解する。)。また、「第1クロック端子CK1」には、「第1クロックCKV」の信号が印加されるものであって、「第1クロック端子CK1」は、「第1クロックCKV」信号の信号線の一部と認められる。 してみると、甲6発明の「第1クロック端子CK1」は、本件特許発明の「第1のクロック信号線」に相当し、甲6発明の「第2トランジスタQ2」の「ドレーンが第1クロックCKVが印加される第1クロック端子CK1に連結され」ることは、本件特許発明の「前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のクロック信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 エ 構成Dについて 甲6発明の「第2トランジスタQ2」は、「ソースが」「出力端子OUTに連結され」ている。また、甲6発明の「シフトレジスタ」は「ゲートドライバーICを具現化する」ものであり、「出力端子OUT」からは「ゲート信号」を出力していることは明らかであり、また、「出力端子OUT」は、「ゲート信号」を出力する信号線の一部と認められる。 してみると、甲6発明の「出力端子OUT」は、本件特許発明の「第2のゲート信号線」に相当し、甲6発明の「第2トランジスタQ2」の「ソースが」「出力端子OUTに連結され」ることは、本件特許発明の「前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のゲート信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 オ 構成Eについて 甲6発明は、「第3トランジスタQ3」の「ソースが第1電圧VOFFに連結され」るものである。また、この「ソース」と「第1電圧VOFF」を「連結」するために電源線があること明らかである。 してみると、甲6発明のこの「ソース」と「第1電圧VOFF」を「連結」する電源線は、本件特許発明の「電源線」に相当し、そして、甲6発明の「第3トランジスタQ3」の「ソースが第1電圧VOFFに連結され」ることは、本件特許発明の「前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源線と電気的に接続され」ることに相当する。 カ 構成Fについて 甲6発明は、「第3トランジスタQ3」の「ドレーンが第2トランジスタQ2のソース」「に連結され」るものであり、そして、上記エの点も踏まえると、甲6発明の「第3トランジスタQ3」の「ドレーンが第2トランジスタQ2のソース」「に連結され」ることは、本件特許発明の「前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のゲート信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 キ 構成G、Hについて 甲6発明の「第6ホールドトランジスタQ46」は、「ドレーンが出力端子OUTに連結され」るものである。 また、甲6発明では、「キャパシタCの第1端」が、「ドレーンとゲートが共通され、第1入力信号IN1の供給を受け」る「第1トランジスタQ1」の「ソース」と連結されており、ここで、「第1トランジスタQ1」はいわゆる「第1入力信号IN1」に対してダイオード接続されるものであって、また、「第1入力信号IN1」は「前段ステージの出力端子OUTから提供される」ものであり前段のゲート信号と認められる。してみると、「キャパシタCの第1端」には、「第1トランジスタQ1」を介して、前段のゲート信号が入力しているものと認められる。また、「第1トランジスタQ1」が「第1入力信号IN1の供給を受け」るためには、何らかの信号線があることは明らかである。 そして、甲6発明の「キャパシタCの第2端」には、「出力端子OUT」が連結されており、甲6発明の「第6ホールドトランジスタQ46」の「ドレーン」は、「キャパシタC」を介して、「第1入力信号IN1」の信号線とは、上記1の意味において電気的に接続されているといえる。また、甲6発明の「第1入力信号IN1」の信号線は、本件特許発明の「第1のゲート信号線」に相当する。 さらに、甲6発明の「キャパシタCの第1端」には、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」が連結されており、「第6ホールドトランジスタQ46」の「ドレーン」は、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」にも、「キャパシタC」を介して、上記1の意味において、電気的に接続されているといえる。 ここで、本件特許発明の構成G、Hは、「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであって、「前記第3のトランジスタのソース」が、「第1のゲート信号線と電気的に接続され」る場合には、「前記第3のトランジスタのドレイン」が、「前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものであって、「前記第3のトランジスタのドレイン」が、「第1のゲート信号線と電気的に接続され」る場合には、「前記第3のトランジスタのソース」が、「前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」るものである。 一方、甲6発明では、「第6ホールドトランジスタQ46」の「ドレーン」は、「第1入力信号IN1」の信号線と、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」の両方に電気的に接続されており、「第6ホールドトランジスタQ46」の「ドレーン」が、「第1入力信号IN1」の信号線と電気的に接続される場合は、「ソース」が「第2トランジスタQ2」の「ゲート」と電気的に接続されるというものではないし、「第6ホールドトランジスタQ46」の「ドレーン」が、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」と電気的に接続される場合は、「ソース」が「第1入力信号IN1」の信号線と電気的に接続されるというものでもない。 したがって、甲6発明は、「第6ホールドトランジスタQ46」のソース又はドレインの一方は、「第1入力信号IN1」の信号線と電気的に接続され、「NMOSトランジスタT6」のソース又はドレインの他方は、「NMOSトランジスタT1のゲート」と電気的に接続されるものではない。 ク 構成Iについて 甲6発明の「第6ホールドトランジスタQ46」の「ゲートに第2クロック端子CK2が連結され」るものであって、また、「第2クロック端子CK2」には「第2クロックCKVB」信号が印加されるものであり、「第2クロック端子CK2」は、「第2クロックCKVB」信号の信号線の一部と認められる。 したがって、甲6発明の「第2クロック端子CK2」は、本件特許発明の「第2のクロック信号線」に相当し、甲3発明の「第6ホールドトランジスタQ46」の「ゲートに第2クロック端子CK2が連結され」ることは、本件特許発明の「前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され」ることに相当する。 ケ 構成Jについて 甲6発明の「第4トランジスタQ4」の「ソースが前記第1電圧VOFFに連結され」るものであって、上記オの点も踏まえると、甲3発明の「第4トランジスタQ4」の「ソースが前記第1電圧VOFFに連結され」ることは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記電源線と電気的に接続され」ることに相当する。 コ 構成Kについて 甲6発明の「第4トランジスタQ4」の「ドレーンがキャパシタCの第1端に連結され」、また、「キャパシタCの第1端」には「第2トランジスタQ2」の「ゲート」が連結されるものであるから、上記1の意味において、「第4トランジスタQ4」の「ドレーン」と、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」は電気的に接続されているといえる。 してみると、甲6発明の「第4トランジスタQ4」の「ドレーンがキャパシタCの第1端に連結され」、また、「キャパシタCの第1端」には「第2トランジスタQ2」の「ゲート」が連結されることは、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 サ 構成Lについて 甲6発明の「第4トランジスタQ4」の「ゲートが第3トランジスタQ3のゲートと共通され」るものであって、ここで、「共通」が直接接続であることは明らかであるから、本件特許発明の「前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 シ 構成M、Nについて 甲6発明の「第4ホールドトランジスタQ34」は、「ドレーンが第5ホールドトランジスタQ45のゲートに連結され」、「ソースに第1電圧VOFFが印加されるものであ」って、「第2クロックCKVBが印加される第2クロック端子CK2」、及び「第3トランジスタQ3」の「ゲート」とは、上記1の意味において電気的に接続されていない。 ス 構成Oについて 甲6発明の「第4ホールドトランジスタQ34」の「ゲートが出力端子OUTに連結され」るものであって、また、「出力端子OUT」には、「キャパシタCの第2端」が連結され、「キャパシタCの第1端」には、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」が接続されており、「第4ホールドトランジスタQ34」の「ゲート」と、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」は、「キャパシタC」を介して接続されているといえる。そして、キャパシタは信号を伝達するので、「第4ホールドトランジスタQ34」の「ゲート」と、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」は、上記1の意味において電気的に接続されていると認められる。 してみると、甲6発明の「第4ホールドトランジスタQ34」の「ゲートが出力端子OUTに連結され」、「出力端子OUT」には、「キャパシタCの第2端」が連結され、「キャパシタCの第1端」には、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」が接続されていることは、本件特許発明の「前記第5のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ることに相当する。 セ 構成Pについて 甲6発明の「第5ホールドトランジスタQ45」は、「ドレーンが出力端子OUTに連結され」、「ソースに第1電圧VOFFが印加され」るものであって、「第5ホールドトランジスタQ45」の「ソース」または「ドレーン」の一方が、「第3トランジスタQ3」の「ゲート」と、上記1の意味において電気的に接続されていない。 ソ 構成Qについて 甲6発明の「第5ホールドトランジスタQ45」の「ゲート」は、「第4ホールドトランジスタQ34」の「ドレーン」に接続されるものであって、「第2クロックCKVBが印加される第2クロック端子CK2」には、上記1の意味において電気的に接続されていない。 タ 構成Rについて 甲6発明の「液晶パネル」は、「ゲートドライブIC」を有し、また、「ゲートドライバーICを具現化するシフトレジスタを有するスキャン駆動回路が集積化され」たものであり、半導体装置といえるから、本件特許発明の「半導体装置」に相当する。 そうすると、本件特許発明と甲6発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「ゲートドライバを有し、 前記ゲートドライバは、第1乃至第6のトランジスタを有し、 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のクロック信号線と電気的に接続され、 前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のゲート信号線と電気的に接続され、 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源線と電気的に接続され、 前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のゲート信号線と電気的に接続され、 前記第3のトランジスタのゲートは、第2のクロック信号線と電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記電源線と電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、 前記第5のトランジスタのゲートは、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続される、 半導体装置。」 <相違点4>(構成G、Hについて) 本件特許発明では、「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ているのに対して、甲6発明では、「第6ホールドトランジスタQ46」の「ドレーン」は、「第1入力信号IN1」の信号線と、「第2トランジスタQ2」の「ゲート」の両方に電気的に接続されている点。 <相違点5>(構成Mについて) 本件特許発明では、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され」ているのに対して、甲6発明では、「第4ホールドトランジスタQ34」のソース又はドレインの一方は、「第2クロックCKVBが印加される第2クロック端子CK2」とは電気的に接続されていない点。 <相違点6>(構成Nについて) 本件特許発明では、「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ているのに対して、甲6発明では、「第4ホールドトランジスタQ34」のソース又はドレインの他方は、「第3トランジスタQ3」の「ゲート」とは電気的に接続されていない点。 <相違点7>(構成Pについて) 本件特許発明では、「前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され」ているのに対して、甲6発明では、「第5ホールドトランジスタQ45」のソース又はドレーンの一方は、「第3トランジスタQ3」の「ゲート」と電気的に接続されていない点。 <相違点8>(構成Qについて) 本件特許発明では、「前記第6のトランジスタのゲートは、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され」ているのに対して、甲6発明では、「第5ホールドトランジスタQ45」のゲートは、「第2クロックCKVBが印加される第2クロック端子CK2」には電気的に接続されていない点。 (2)判断 したがって、本件特許発明は、前記の相違点4~8において甲6発明と相違するから、甲第6号証に記載された発明ではない。 (3)請求人の主張 請求人は、構成G、M、N、P、Qに関して、請求書において次のア~オのとおり主張している。 ア 構成Gについて 「(7)構成要件G(「前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1のゲート信号線と電気的に接続され、」)に対応する構成 上記○2(審判注:原文は丸数字)(段落【0031】及び【0034】)、○3(審判注:原文は丸数字)(段落【0073】及び【0074】)並びに○5(審判注:原文は丸数字)のとおり、第1入力信号(IN1)として入力される信号は、第1トランジスタQ1と、第4トランジスタQ4を経由して、配線により第6ホールドトランジスタQ46のソースと接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000068.jpg] したがって、甲6発明は、以下の構成を有する。 g”第6ホールドトランジスタQ46のドレーン(当審注:「ソース」の誤記と認められる。)は、第4トランジスタQ4及び第1トランジスタQ1を介して、第1入力信号(IN1)に接続されている 」(請求書111頁 イ 構成Mについて 「(13)構成要件M(「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のクロック信号線と電気的に接続され、」)に対応する構成 上記○3(審判注:原文は丸数字)(段落【0075】)及び○5(審判注:原文は丸数字)のとおり、第4ホールドトランジスタQ34のドレーンは、第5ホールドトランジスタQ45及び第6ホールドトランジスタQ46を介して、前記第2クロックCKVBの信号線と電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000069.jpg] したがって、甲6発明は、以下の構成を有する。 m”第4ホールドトランジスタQ34のドレーンは、第5ホールドトランジス夕Q45及び第6ホールドトランジスタQ46を介して、前記第2クロックCKVBの信号線と電気的に接続されている 」(請求書115-116頁) ウ 構成Nについて 「(14)構成要件N(「前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、」)に対応する構成 上記○3(審判注:原文は丸数字)(段落【0075】)及び○5(審判注:原文は丸数字)のとおり、第4ホールドトランジスタQ34のソースは、第4トランジスタQ4を介して、第3トランジスタQ3のゲートと電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000070.jpg] したがって、甲6発明は、以下の構成を有する。 n”第4ホールドトランジスタQ34のソースは、第4トランジスタQ4を介して、前記第3トランジスタQ3のゲートと電気的に接続されている 」(請求書116頁) エ 構成Pについて 「(16)構成要件P(「前記第6のトランジスクのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、」)に対応する構成 上記○2(審判注:原文は丸数字)(段落【0033】)、○3(審判注:原文は丸数字)(段落【0074】)及び○5(審判注:原文は丸数字)のとおり、第5ホールドトランジスタQ45のソースは、第4トランジスタQ4を介して、第3トランジスタQ3のゲートと電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000071.jpg] したがって、甲6発明は、以下の構成を有する。 p”第5ホールドトランジスタQ45のソースは、第4トランジスタQ4を介して、第3トランジスタQ3のゲートと電気的に接続されている 」(請求書117-118頁) オ 構成Qについて 「(17)構成要件Q(「前記第6のトランジスタのゲートは、前記第2のクロック信号線と電気的に接続される」)に対応する構成 上記○3(審判注:原文は丸数字)(段落【0074】)及び○5(審判注:原文は丸数字)のとおり、第5ホールドトランジスタQ45のゲートは、第4ホールドトランジスタQ34及び第6ホールドトランジスタQ46を介して、第2クロックCKVBの信号線と電気的に接続されている(下記参照)。 [図:0001399903000072.jpg] したがって、甲6発明は、以下の構成を有する。 q”第5ホールドトランジスタQ45のゲートは、第4ホールドトランジスタQ34及び第6ホールドトランジスタQ46を介して、第2クロックCKVBの信号線と電気的に接続されている 」(請求書118-119頁) また、請求人は、構成G、M、N、P、Qに関して、弁駁書において次のカ~クのとおり主張している。 カ 構成Gについて 「第3 無効理由3について 1 「1 甲6発明の構成」(22頁)について (1)構成g”について 請求人が、甲6発明の第6ホールドトランジスタQ46のソース又はドレインの一方(下記図の赤で示した方)が、第4トランジスタQ4及び第1トランジスタQlを経由して、第1入力信号(IN1)と電気的に接続されていると主張したことについて、被請求人は、否認する(22頁10行~末行)。」 しかしながら、上記「第1」「4」「(2)」「ア」で述べたとおり、被請求人は、本件明細書には、トランジスタのソース及びドレインを介して電位等を伝えることが記載されていることを認めている(12頁)。そうすると、審判請求書で詳述したとおり、第1入力信号(IN1)として入力される信号は、第1トランジスタQlと、第4トランジスタQ4を経由して、配線により第6ホールドトランジスタQ46のソースと接続されていることは明らかである(下記参照)。 [図:0001399903000073.jpg] 」(弁駁書17-18頁) キ 構成Mについて 「(2)構成m”について 請求人が、第4ホールドトランジスタQ34のドレインは、第5ホールドトランジスタQ45及び第6ホールドトランジスタQ46を介して、前記第2クロックCK2の信号線と電気的に接続されている(下記参照)と主張したことについて、被請求人は否認する(23頁10~14行)。 [図:0001399903000074.jpg] しかしながら、上記「第1」「2」において、甲2発明の構成mに関して述べたのと同様、本件明細書【0027】の記載に基づけば、第4ホールドトランジスタQ34のドレインは、第5ホールドトランジスタQ45及び第6ホールドトランジスタQ46を介して、前記第2クロックCK2の信号線と電気的に接続されていることは明らかである。」(弁駁書18-19頁) ク 構成N、P、及びQについて 「(3)構成n”、p”及びq”について 被請求人は、甲6発明の構成n”、p”及びq”に関し、「電気的に接続され」について、否認する(23頁16行~25頁5行)。 しかしながら、構成m”、g”及びn”に述べたのと同様の理由により、電気的に接続されていることは明らかである。」(弁駁書19頁) (4)請求人の主張についての合議体の検討 ア 構成Gについて 第1入力信号IN1(本件特許発明の「第1のゲート信号」に相当する。)として入力される信号が、第1トランジスタQ1と、第4トランジスタQ4を経由して、第4トランジスタQ4のソースから第1電圧VOFFが印加される電源線に出力されても、第6ホールドトランジスタQ46(本件特許発明の「第3のトランジスタ」に相当する。)のソースには、第1電圧VOFFが印加されており、請求人の主張する、第1入力信号IN1と第6ホールドトランジスタQ46のソースとの接続経路には、「電源線を介する接続」が含まれている結果、第6ホールドトランジスタQ46のソースに、第1入力信号IN1の信号が入力されることはないことから、第6ホールドトランジスタQ46のソースに、第1入力信号IN1の信号線が、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえない。 イ 構成Mについて 請求人の主張する第4ホールドトランジスタQ34(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当する。)のドレーンと、前記第2クロックCKVB(本件特許発明の「第2のクロック信号」に相当する。)の信号線の接続経路には、第5ホールドトランジス夕Q45及び第6ホールドトランジスタQ46の「ゲートを介する接続」が含まれており、第4ホールドトランジスタQ34のドレーンに、第2クロックCKVBの信号が入力されることはないことから、第4ホールドトランジスタQ34のドレーンと、前記第2クロックCKVBの信号線が、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえない。 ウ 構成Nについて 請求人の主張する第4ホールドトランジスタQ34(本件特許発明の「第5のトランジスタ」に相当する。)のソースと、前記第3トランジスタQ3(本件特許発明の「第2のトランジスタ」に相当する。)のゲートの接続経路には、第4トランジスタQ4の「ゲートを介する接続」が含まれており、さらに、第4ホールドトランジスタQ34のソースには、第1電圧VOFFが印加されているから、前記接続経路には、「電源線を介する接続」も含まれるものである。そうすると、第4ホールドトランジスタQ34のソースと、前記第3トランジスタQ3のゲートの間で、信号の伝達が行われることはないことから、第4ホールドトランジスタQ34のソースと、前記第3トランジスタQ3のゲートが、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえない。 エ 構成Pについて 請求人の主張する第5ホールドトランジスタQ45(本件特許発明の「第6のトランジスタ」に相当する。)のソースと、第3トランジスタQ3のゲートの接続経路には、第4トランジスタQ4の「ゲートを介する接続」が含まれており、さらに、第5ホールドトランジスタQ45のソースには、第1電圧VOFFが印加されているから、前記接続経路には、「電源線を介する接続」も含まれるものである。そうすると、第5ホールドトランジスタQ45のソースと、第3トランジスタQ3のゲートの間で、信号の伝達が行われることはないことから、第5ホールドトランジスタQ45のソースと、第3トランジスタQ3のゲートが、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえない。 オ 構成Qについて 請求人の主張する第5ホールドトランジスタQ45(本件特許発明の「第6のトランジスタ」に相当する。)のゲートと、第2クロックCKVB(本件特許発明の「第2のクロック信号」に相当する。)の信号線の接続経路には、第6ホールドトランジスタQ46の「ゲートを介する接続」が含まれるとともに、第6ホールドトランジスタQ46のソースと第4ホールドトランジスタQ34のソースとの間の「電源線を介する接続」も含まれており、第5ホールドトランジスタQ45のゲートに、第2クロックCKVBの信号が入力されることはないことから、第5ホールドトランジスタQ45のゲートと、第2クロックCKVBの信号線が、上記1の意味において電気的に接続されているとはいえない。 したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。 (5)小括 以上検討したとおり、本件特許発明は、甲第6号証に記載された発明とはいえず、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものでなく、同法123条1項2号によって無効とすべきものでない。 7 無効理由4(サポート要件違反)について (1)請求人の主張 請求人は、請求書において、次のとおり主張している。 「第5 無効理由4(サポート要件違反) 本件特許の請求項4に記載されている事項は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていない構成を含むものであるため、本件特許出願は特許法36条6項1号に規定する、いわゆるサポート要件に違反するから、本件特許は特許法123条1項4号の規定によって無効とすべきである。 1 「電気的に接続され」という発明特定事項がサポート要件に違反すること (1)サポート要件違反の判断基準について 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり、明細書のサポート要件の存在は、特許権者が証明責任を負う。 (2)本件明細書に記載された課題 本件明細書には、発明の課題について、以下のとおり記載されている。 ・・・中略・・・ このように本件明細書には、発明の課題として、トランジスタの劣化を抑制するということが記載されている。 (3)本件特許の請求項の記載では、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できないこと 本件特許発明のうち、「電気的に接続され」という発明特定事項について、当業者が、本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えているものであるから、サポート要件に違反する。すなわち、「電気的に接続」について、本件明細書の段落【0027】には「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である」と記載されている。 その結果、上記「第4」「3」で述べたとおり、甲6発明の構成も本件特許発明に含まれている。 しかしながら、甲6文献は、本件明細書の段落【0004】及び【0005】に記載されている「特許文献1」である。そのため、甲6発明では、「トランジスタQ32が劣化する」という本件明細書の段落【0004】に記載されている課題そのものが生じることとなる。 したがって、本件特許発明は、発明の詳細な説明の記載により、当業者が発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えるものであることは明らかである。 2 まとめ 以上より、本件特許の請求項4に記載されている発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていない構成を含むものであるため、本件特許出願は特許法36条6項1号に規定する、いわゆるサポート要件に違反する。 したがって、本件特許は特許法123条1項4号の規定によって無効となるべきである。」(請求書127-131頁) また、請求人は弁駁書において次のとおり主張している。 「第4無効理由4について サポート要件違反についての被請求人の反論は、要は、「電気的に接続」の解釈について、本件特許発明の構成要件が、素子や配線の接続関係を規定しているのは、そのような接続関係によって電位等を伝え、回路として所望の動作をなしうるようにするためであることは、当業者から見れば明らかであり、本件明細書の【0027】もそのことを説明しているものであるというものである(25頁末行~26頁3行)。 しかしながら、本件明細書【0027】には、単に、「XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード等)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。」としか記載されていないのであり、被請求人の主張を支える記載は一切ないから、被請求人の主張は失当である。」(弁駁書19-20行) (2)合議体の判断 上記6に検討したように、本件明細書に従来技術として記載される、甲第6号証に記載された発明は本件特許発明に含まれない。 さらに、本件特許発明と甲6発明は、特に、構成M、Nの点で相違することで、本件特許発明では、第5のトランジスタにおけるソース又はドレインとなる端子が、第2のクロック信号に応じて交互に入れ替わることになり、第5のトランジスタにおけるソース又はドレインとなる端子が固定されることがなくなり、端子の劣化が抑制され、本件特許発明の課題であるトランジスタの劣化の抑制ができるものである。 したがって、本件特許の請求項4には、発明の課題を解決するための構成が記載されており、本件特許の請求項4の記載が、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり、無効理由1から無効理由4までは、いずれも理由がなく、請求人が主張する無効理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許発明についての特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法169条2項において準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-800085

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