特許異議申立
2021-701254
介護支援装置、介護支援方法、プログラム及び介護支援システム
- 審判番号
- 2021-701254
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-500483
- 登録番号
- 6895031
- 請求日
- 2021年12月28日
- 審決日
- 2022年08月18日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社aba
- 【権利者代理人】泉 通博
- 【異議申立人】小林 敏樹
- 審判長/審判官
- 審判長 渡邊 聡
- 審判官 松田 直也
- 審判官 中野 浩昌
- 分類
- P1651.121-YAA(G06Q) / P1651.537-YAA(G06Q) / P1651.536-YAA(G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6895031号発明「介護支援装置、介護支援方法、プログラム及び介護支援システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6895031号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~16〕、17、18、19について訂正することを認める。
特許第6895031号の請求項5、6、8、9、11~19に係る特許を維持する。
特許第6895031号の請求項1~4、7、10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6895031号の請求項1~19に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)9月17日(優先権主張 2019年(令和元年)9月24日)を国際出願日とする出願であって、令和3年6月8日にその特許権の設定登録がされ、令和3年6月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、同年12月28日に特許異議申立人小林敏樹(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、令和4年3月3日付け(起案日)で当審より取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年4月18日に訂正請求書(訂正請求書でする訂正の請求を、以下、「本件訂正請求」という。また、本件訂正請求によりなされる訂正を、以下、「本件訂正」という。)を提出した。さらに、当審は、申立人に対して、同年5月11日付け(起案日)で、訂正があった旨の通知をしたところ、申立人から、指定期間内である同年6月16日までに意見書の提出はされなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)~(4)のとおりである。下線は、訂正箇所であり、訂正請求人が付与したものである。
なお、訂正前請求項1~16について、請求項2~16は、それぞれ請求項1を引用するものであって、後述の訂正事項1によって、記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前請求項1~16に対応する訂正後請求項1~16は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(1)一群の請求項1~16に係る訂正について
ア 訂正請求人は、訂正前請求項1を、本件訂正により、削除することを請求する(以下、「訂正事項1」という。)。
イ 訂正請求人は、訂正前請求項2を、本件訂正により、削除することを請求する(以下、「訂正事項2」という。)。
ウ 訂正請求人は、訂正前請求項3を、本件訂正により、削除することを請求する(以下、「訂正事項3」という。)。
エ 訂正請求人は、訂正前請求項4を、本件訂正により、削除することを請求する(以下、「訂正事項4」という。)。
オ 訂正請求人は、訂正前請求項5の「前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力する、請求項1から4のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とあるもののうち、訂正前請求項1を直接引用するものについて、本件訂正により、さらに、訂正前請求項7の構成を加えて独立形式に改め、「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部と、を有し、前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する、介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項5」という。)。
カ 訂正請求人は、訂正前請求項7を、本件訂正により、削除することを請求する(以下、「訂正事項6」という。)。
キ 訂正請求人は、訂正前請求項8の「前記情報出力部は、複数の前記介護者のうち所定の条件を満たす一以上の前記介護者が前記排泄物の処理を実施した前記処理時点に基づいて前記対応目安時間を決定する、請求項7に記載の介護支援装置。」を、本件訂正により、「前記情報出力部は、複数の前記介護者のうち所定の条件を満たす一以上の前記介護者が前記排泄物の処理を実施した前記処理時点に基づいて前記対応目安時間を決定する、請求項5に記載の介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項7」という。)。
ク 訂正請求人は、訂正前請求項9の「前記被介護者のベッド又は当該ベッドの近傍に設けられたにおいセンサーが検知したにおいの変化を示すにおい変化情報と、前記ベッド又は当該ベッドの近傍に設けられた位置センサーが検知した前記被介護者の位置を示す位置情報と、を取得する情報取得部をさらに有し、前記処理時点特定部は、前記被介護者が前記ベッドの上にいることを前記位置情報が示している間に前記におい変化情報に基づいて前記においが弱くなったと判定される時点を前記処理時点として特定する、請求項7又は8に記載の介護支援装置。」を、本件訂正により、「前記被介護者のベッド又は当該ベッドの近傍に設けられたにおいセンサーが検知したにおいの変化を示すにおい変化情報と、前記ベッド又は当該ベッドの近傍に設けられた位置センサーが検知した前記被介護者の位置を示す位置情報と、を取得する情報取得部をさらに有し、前記処理時点特定部は、前記被介護者が前記ベッドの上にいることを前記位置情報が示している間に前記におい変化情報に基づいて前記においが弱くなったと判定される時点を前記処理時点として特定する、請求項5又は8に記載の介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項8」という。)。
ケ 訂正請求人は、訂正前請求項10を、本件訂正により、削除することを請求する(以下、「訂正事項9」という。)。
コ 訂正請求人は、訂正前請求項11の「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部をさらに有し、前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とあるうち、訂正前請求項1を直接引用するものについて、本件訂正により、これを独立形式に改め、「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部と、を有し、前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する、介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項10」という。)。
サ 請求人は、訂正前請求項12の「前記排泄特定部は、複数の前記被介護者に関連付けて複数の前記排泄時点を特定し、前記情報出力部は、前記複数の被介護者の前記複数の排泄時点に基づいて、前記介護者が前記複数の被介護者それぞれに対する前記介護業務を実施することが推薦される時を示す前記推薦情報を作成する、請求項1から11のいずれか一項に記載の介護支援装置。」を、本件訂正により、「前記排泄特定部は、複数の前記被介護者に関連付けて複数の前記排泄時点を特定し、前記情報出力部は、前記複数の被介護者の前記複数の排泄時点に基づいて、前記介護者が前記複数の被介護者それぞれに対する前記介護業務を実施することが推薦される時を示す前記推薦情報を作成する、請求項5、11のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項11」という。)。
シ 請求人は、訂正前請求項14の「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する、請求項1から13のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とあるうち、訂正前請求項1を引用するものについて、本件訂正により、これを独立形式に改め、「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、を有し、前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する、介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項12」という。)。
ス 請求人は、訂正前請求項15の「前記情報出力部は、前記介護業務を実施することが推薦される時を、前記介護者が属する施設において前記介護者が前記介護業務を行うことが許可されている時間帯内に割り当てる、請求項1から14のいずれか一項に記載の介護支援装置。」を、本件訂正により、「前記情報出力部は、前記介護業務を実施することが推薦される時を、前記介護者が属する施設において前記介護者が前記介護業務を行うことが許可されている時間帯内に割り当てる、請求項5、11、14のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項13」という。)。
セ 請求人は、訂正前請求項16の「前記情報出力部は、前記介護者が所属する介護施設に対して設定された人員配置基準を満たすように前記推薦情報を作成する、求項1から15のいずれか一項に記載の介護支援装置。」を、本件訂正により、「前記情報出力部は、前記介護者が所属する介護施設に対して設定された人員配置基準を満たすように前記推薦情報を作成する、請求項5、11、14、15のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とすることを請求する(以下、「訂正事項14」という。)。
(2)請求項17に係る訂正について
請求人は、訂正前請求項17の「コンピュータが実行する、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定するステップと、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成するステップと、作成した前記推薦情報を出力するステップと、を有する介護支援方法。」に対して、本件訂正により、訂正前請求項5と訂正前請求項7の内容を組み込み、「コンピュータが実行する、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定するステップと、前記被介護者の介護者が前記被介護者の排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定するステップと、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成するステップと、作成した前記推薦情報を出力するステップと、を有し、前記推薦情報を出力するステップにおいて、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて対応目安時間を決定し、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい前記対応目安時間を示す前記推薦情報を出力する、介護支援方法。」とすることを請求する(以下、「訂正事項15」という。)。
(3)請求項18に係る訂正について
請求人は、訂正前請求項18の「コンピュータを、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部、及び前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部、として機能させるためのプログラム。」に対して、本件訂正により、訂正前請求項5と訂正前請求項7の内容を組み込み、「コンピュータを、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部、及び前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部、として機能させ、前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する、プログラム。」とすることを請求する(以下、「訂正事項16」という。)。
(4)請求項19に係る訂正について
請求人は、訂正前請求項19の「情報を表示可能な情報端末と、前記情報端末に対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、前記介護支援装置は、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、を有し、前記情報端末は、前記推薦情報を表示する表示部を有する、介護支援システム。」に対して、本件訂正により、訂正前請求項5と訂正前請求項7の内容を組み込み、「情報を表示可能な情報端末と、前記情報端末に対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、前記介護支援装置は、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部と、を有し、前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定し、前記情報端末は、前記推薦情報を表示する表示部を有する、介護支援システム。」とすることを請求する(以下、「訂正事項17」という。)。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1~4、6、9について
訂正事項1~4、6、9は、訂正前請求項1~4、7、10を削除する訂正であるから、当該訂正事項1~4、6、9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、訂正事項1~4、6、9は、訂正前請求項1~4、7、10を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前請求項5に、「前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力する、請求項1から4のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とあるうち、訂正前請求項2~4を引用しないものとした上で、訂正前請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、さらに、訂正前請求項7の構成を加えて独立形式に改め、「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部と、を有し、前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する、介護支援装置。」とする訂正である。
すなわち、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、さらに、訂正前請求項5の訂正前請求項1を引用するものに訂正前請求項7の構成を加えたものであるため、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項5に係る訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
このとき、訂正後請求項6は、請求項の記載自体に訂正はないものの、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正事項5により訂正された訂正後請求項5を引用することとなった点で、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、さらに、訂正前請求項5の訂正前請求項1を引用するものに訂正前請求項7の構成を加えたものであるため、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項6についても、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項7、8について
訂正事項7、8は、訂正前請求項8、9が、訂正前請求項1を引用する訂正前請求項5を引用する訂正前請求項7を引用するものであるところ、訂正事項6で訂正前請求項7が削除されて訂正前請求項7を引用できなくなったことに伴い、訂正事項5により訂正された訂正後請求項5を引用するものにする訂正である。
そのため、訂正事項7、8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であり、また、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項8、9に係る訂正事項7、8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項10について
訂正事項10は、訂正前請求項11に、「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部をさらに有し、前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とあるうち、訂正前請求項2~10を引用しないものとした上で、訂正前請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改め、「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部と、を有し、前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する、介護支援装置。」とする訂正である。
すなわち、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」並びに同第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」若しくは同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、さらに、訂正前請求項1を引用するものを独立形式に改めたものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項11に係る訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(5)訂正事項11、13、14について
訂正事項11、13、14は、訂正前請求項12、15、16が、訂正前請求項1を引用するものであるところ、訂正事項1で訂正前請求項1が削除されて訂正前請求項1を引用できなくなったことに伴い、訂正事項5により訂正された訂正後請求項5又は訂正事項10により訂正された訂正後請求項11を引用するものにする訂正である。
そのため、訂正事項11、13、14は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、また、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項12、15、16に係る訂正事項11、13、14に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
このとき、訂正後請求項13は、請求項の記載自体に訂正はないものの、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正事項5により訂正された訂正後請求項5を、又は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正事項11により訂正された訂正後請求項12を引用することとなった点で、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、さらに、訂正前請求項5の訂正前請求項1を引用するものに訂正前請求項7の構成を加えたものであるため、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項13についても、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(6)訂正事項12について
訂正事項12は、訂正前請求項14の「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する、請求項1から13のいずれか一項に記載の介護支援装置。」とあるうち、訂正前請求項2~13を引用しないものとした上で、訂正前請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式に改め、「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、を有し、前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する、介護支援装置。」と限定する訂正である。
すなわち、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」並びに同第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」若しくは同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、さらに、訂正前請求項1を引用するものを独立形式に改めたものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項14に係る訂正事項12に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(7)訂正事項15について
訂正事項15は、訂正前請求項17の「コンピュータが実行する、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定するステップと、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成するステップと、作成した前記推薦情報を出力するステップと、を有する介護支援方法。」に、訂正前請求項5と訂正前請求項7の内容を組み込み、「コンピュータが実行する、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定するステップと、前記被介護者の介護者が前記被介護者の排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定するステップと、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成するステップと、作成した前記推薦情報を出力するステップと、を有し、前記推薦情報を出力するステップにおいて、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて対応目安時間を決定し、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい前記対応目安時間を示す前記推薦情報を出力する、介護支援方法。」とする訂正である。
すなわち、訂正事項15は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、さらに、訂正前請求項17に訂正前請求項5及び訂正前請求項7の構成を加えたものであるため、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項17に係る訂正事項15に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(8)訂正事項16について
訂正事項16は、訂正前請求項18の「コンピュータを、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部、及び前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部、として機能させるためのプログラム。」に、訂正前請求項5と訂正前請求項7の内容を組み込み、「コンピュータを、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部、及び前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部、として機能させ、前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する、プログラム。」とする訂正である。
すなわち、訂正事項16は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、訂正前請求項18に訂正前請求項5及び訂正前請求項7の構成を加えたものであるため、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項18に係る訂正事項16に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(9)訂正事項17について
訂正事項17は、訂正前請求項19の「情報を表示可能な情報端末と、前記情報端末に対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、前記介護支援装置は、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、を有し、前記情報端末は、前記推薦情報を表示する表示部を有する、介護支援システム。」に、訂正前請求項5と訂正前請求項7の内容を組み込み、「情報を表示可能な情報端末と、前記情報端末に対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、前記介護支援装置は、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部と、を有し、前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定し、前記情報端末は、前記推薦情報を表示する表示部を有する、介護支援システム。」とする訂正である。
すなわち、訂正事項17は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項17は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、さらに、訂正前請求項19に訂正前請求項5及び訂正前請求項7の構成を加えたものであるため、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
なお、本件においては、訂正前の全ての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正後請求項19に係る訂正事項17に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 小括
したがって、上記の訂正請求による訂正事項1~17は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は同第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、本件においては、訂正前請求項1~19について、上記のとおりであるから、訂正後請求項1~19に係る訂正事項1~17に関して、特許法第120条の5条第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~16〕、17、18、19について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められるので、本件請求項1~19に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」…「本件発明19」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)のうち、本件発明5、6、8、9、11~19は、訂正特許請求の範囲の請求項5、6、8、9、11~19に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、下線は、訂正請求人(特許権者)が付与した。
[本件発明5]
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部と、
を有し、
前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、
前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する、
介護支援装置。
[本件発明6]
前記情報出力部は、前記対応目安時間が閾値以下である場合に、前記排泄物の処理を急ぐべき理由を示す前記推薦情報を出力する、
請求項5に記載の介護支援装置。
[本件発明8]
前記情報出力部は、複数の前記介護者のうち所定の条件を満たす一以上の前記介護者が前記排泄物の処理を実施した前記処理時点に基づいて前記対応目安時間を決定する、
請求項5に記載の介護支援装置。
[本件発明9]
前記被介護者のベッド又は当該ベッドの近傍に設けられたにおいセンサーが検知したにおいの変化を示すにおい変化情報と、前記ベッド又は当該ベッドの近傍に設けられた位置センサーが検知した前記被介護者の位置を示す位置情報と、を取得する情報取得部をさらに有し、
前記処理時点特定部は、前記被介護者が前記ベッドの上にいることを前記位置情報が示している間に前記におい変化情報に基づいて前記においが弱くなったと判定される時点を前記処理時点として特定する、
請求項5又は8に記載の介護支援装置。
[本件発明11]
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部と、
を有し、
前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する、
介護支援装置。
[本件発明12]
前記排泄特定部は、複数の前記被介護者に関連付けて複数の前記排泄時点を特定し、
前記情報出力部は、前記複数の被介護者の前記複数の排泄時点に基づいて、前記介護者が前記複数の被介護者それぞれに対する前記介護業務を実施することが推薦される時を示す前記推薦情報を作成する、
請求項5、11のいずれか一項に記載の介護支援装置。
[本件発明13]
前記情報出力部は、複数の前記介護者に関連付けて、前記複数の被介護者それぞれに対する前記介護業務を実施することが推薦される時を示す前記推薦情報を出力する、
請求項12に記載の介護支援装置。
[本件発明14]
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
を有し、
前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する、
介護支援装置。
[本件発明15]
前記情報出力部は、前記介護業務を実施することが推薦される時を、前記介護者が属する施設において前記介護者が前記介護業務を行うことが許可されている時間帯内に割り当てる、
請求項5、11、14のいずれか一項に記載の介護支援装置。
[本件発明16]
前記情報出力部は、前記介護者が所属する介護施設に対して設定された人員配置基準を満たすように前記推薦情報を作成する、
請求項5、11、14、15のいずれか一項に記載の介護支援装置。
[本件発明17]
コンピュータが実行する、
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定するステップと、
前記被介護者の介護者が前記被介護者の排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定するステップと、
前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成するステップと、
作成した前記推薦情報を出力するステップと、
を有し、
前記推薦情報を出力するステップにおいて、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて対応目安時間を決定し、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい前記対応目安時間を示す前記推薦情報を出力する、
介護支援方法。
[本件発明18]
コンピュータを、
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部、
前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部、及び
前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部、
として機能させ、
前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、
前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する、
プログラム。
[本件発明19]
情報を表示可能な情報端末と、前記情報端末に対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、
前記介護支援装置は、
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部と、
を有し、
前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい前記対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し、
前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定し、
前記情報端末は、前記推薦情報を表示する表示部を有する、
介護支援システム。
第4 取消理由の概要
訂正前請求項1~19に係る特許に対して、当審が令和4年3月3日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
1 請求項1~6、10、12、13、15~19に係る特許は、本件特許出願前日本国内又は外国において頒布された引用文献1(甲第3号証:特開2018-23776号公報)、引用文献2(甲第1号証:特表2015-506192号公報)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6、10、12、13、15~19に係る特許は、特許法第29条第2項(進歩性)の規定に違反してされたものである。
2 請求項2~16に係る特許は、特許請求の範囲の記載の不備のため、特許法第36条第6項第2号(明確性要件)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第5 引用文献記載事項、引用発明
1 引用文献1(甲第3号証:特開2018-23776号公報)について
(1)引用文献1記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審が付与した。
「【0009】
本実施形態のセンサ装置は、吸収性物品に取り付けられる。吸収性物品は、排泄を十分に自己管理することができない成人や幼児などの着用者に装着される衛生用品である。この吸収性物品は、着用者から排泄される尿便や糞便といった糞尿をはじめ、経血やおりものを吸収あるいは保持する。吸収性物品としては、テープ型やパンツ型の紙おむつ(いわゆる「使い捨ておむつ」)あるいは布おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、パンティーライナーなどが挙げられる。
本実施形態においては、パッドと紙おむつとの組み合わせで使用される複合体も吸収性物品とする。すなわち、ISO15621に規定されているように、内装体としての尿パッド(補助パッド)を外装体としての紙おむつによって装着者または装着位置に保持する使用例において、尿パッドおよび紙おむつの複合体も吸収性物品とする。
なお、吸収性物品へのセンサ装置の取り付けには、吸収性物品に対してセンサ装置を直接的に取り付けることはもちろん、吸収性物品が取り付けられる下着や補助具(ホルダーパンツ)に対してセンサ装置を間接的に取り付けることも含まれるものとする。」
「【0011】
[I.第一実施形態]
本実施形態では、図面を参照して、報知システム1、この報知システム1を用いた報知方法の順に各構成を説明する。
報知システム1の構成では、この報知システム1で用いられるセンサ装置10の取付先である紙おむつ2、この紙おむつ2に取り付けられるセンサ装置10、このセンサ装置10を用いた報知システム1の基本構成および詳細構成の順に述べる。
報知方法の構成では、報知システム1を用いて報知する方法を時系列に沿って述べる。」
「【0015】
[2.センサ装置]
図1および図2に示すように、センサ装置10には、紙おむつ2における雰囲気の情報(以下「雰囲気情報」と略称する)を検出する装置本体部11のほか、この装置本体部11をカバーシート2bに取り付ける取付部12が含まれる。
ここでは、カバーシート2bおよび取付部12が互いに貼着するファスニング機構を構成している。」
「【0029】
[3.報知システム]
つぎに、図4および図5を参照して、報知システム1を説明する。
まず、図4を参照して、報知システム1の前提となるコンピュータ100の基本構成を述べる。なお、ここでいうコンピュータ100には、据え置き型やモバイル型のパーソナルコンピュータのほか、いわゆるタブレットやスマートフォンなどの多機能携帯端末などが含まれる。
コンピュータ100には、CPU(Central Processing Unit)やMP(Multi Processor)などの演算部110と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ120(蓄積部)と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光学ドライブ、フラッシュメモリ、リーダライタなどの外部記憶装置121、キーボードやマウスなどの入力装置122、ディスプレイやプリンタ装置などの出力装置123、無線または有線で送受信する通信装置124が設けられる。これらの各デバイス110、120、121、122、123、124は、コンピュータ100の内部に設けられた制御バスやデータバスなどのバス125を介して互いに通信可能に接続される。」
「【0031】
つづいて、図5を参照して、報知システム1の制御に関する詳細な構成を述べる。
この報知システム1には、コンピュータ100の入力側に上述したセンサ装置10が設けられ、コンピュータ100の出力側に報知部130が設けられる。これらのセンサ装置10および報知部130とコンピュータ100とは、bluetooth(登録商標)やwifiなどの無線あるいは有線で情報伝達可能に接続される。ここでは、湿度・温度がセンサ装置10からコンピュータ100に伝達され、伝達された湿度・温度に基づいて報知部130で報知する情報をコンピュータ100が演算する。
【0032】
なお、報知システム1は、単数の着用者だけでなく、複数の着用者に対して適用することができる。すなわち、複数人の着用者に装着される紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられ、各センサ装置10からコンピュータ100に湿度・温度が入力されてもよい。この場合には、着用者のそれぞれを識別するためのID情報が各センサ装置10からコンピュータ100に出力され、ID情報のそれぞれに紐付けられた湿度・温度がコンピュータ100に入力される。
【0033】
[3-1.コンピュータ]
コンピュータ100では、センサ装置10から伝達された湿度・温度が上述したメモリ120に記憶(蓄積)される。あるいは、センサ装置10から伝達された湿度・温度がデータサーバなどのオンラインストレージ128に蓄積されてもよい。この場合には、オンラインストレージ128に蓄積された湿度・温度にコンピュータ100からアクセス可能なものとする。
つづいて、メモリ120あるいはオンラインストレージ128に記憶された湿度・温度に基づいて着用者の排泄に関する情報(以下「排泄情報」という)が演算部110で演算される。そして、演算部110で演算された排泄情報が報知部130に出力される。
以下、メモリ120、演算部110、報知部130の順に各構成を詳述する。」
「【0035】
[3-1-2.演算部]
演算部110は、メモリ120に記憶された湿度・温度の変動に基づいて排泄情報を演算する。
なお、演算部110は、湿度・温度のうち一方の変動に基づいて排泄情報を演算してもよい。この場合にセンサ装置10で検出する雰囲気情報は、湿度または温度だけでよい。このように雰囲気情報が一種の場合には、センサ装置10を簡素な構成とすることができる。これに対し、雰囲気情報が湿度および温度の二種の場合には、排泄情報の精度を確実に確保することができ、更に言えば、排泄物の種類や性状を推定することも可能となる。
【0036】
この演算部110には、排泄情報を演算するために、着用者の排泄時点(排泄をしたタイミング)を判定する判定部111、排泄時点からの経過時間tを計測するタイマ112、排泄物の種類を類別する類別部113の三つの機能要素が設けられている。これらの機能要素は、実行されるプログラム126の一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部または全部をハードウェア(電子回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
【0037】
〈判定部〉
判定部111は、湿度・温度が変動した量に基づいて着用者の判定時点を判定する。具体的には、湿度・温度の変動のうち上昇に着目して設定された下記の条件A1またはA2が成立した場合に、着用者の排泄時点を判定する。
条件A1:湿度・温度の上昇度合いが排泄上昇度合いよりも大きいこと
条件A2:湿度・温度が所定上昇値を上回ること
上記の条件A1における「度合い」とは、単位時間あたりの変動量を意味する。そのため、条件A1は、湿度・温度の単位時間あたりの正の変動量が所定量よりも大きいことと言うこともできる。」
「【0044】
〈タイマ〉
タイマ112は、判定部111で判定された排泄時点からの経過時間tを計測する。すなわち、タイマ112は、条件A1またはA2が成立したときに始動する。なお、タイマ112は、条件B1またはB2が成立したときや紙おむつ2の交換時点が入力されたときに停止(リセット)される。
【0045】
〈類別部〉
類別部113は、判定部111で判定された排泄時点からの湿度・温度の低下度合いに基づいて、着用者からの排泄物の種類を類別する。
この類別部113は、尿便や経血といった流動体の排泄物(流動排泄物)と糞便やおりものといった固形の排泄物(固形排泄物)とを類別する。排泄物は、下記の条件C1が成立した場合に流動体と類別され、条件C1が成立しない場合に固形と類別される。
条件C1:排泄時点からの湿度・温度の低下度合いが類別低下度合い(第一所定低下度合い)よりも大きいこと」
「【0049】
〈排泄情報の演算〉
演算部110は、上述した判定部111、タイマ112、類別部113の演算結果を用いて排泄情報を演算する。
この排泄情報としては、排泄の有無、排泄時点、排泄物の種類、着用者の不快度などが挙げられる。排泄の有無や排泄時点は、判定部111での判定結果から得られ、排泄物の種類は、類別部113での類別結果から得られる。さらに、着用者の不快度は、下記の表1に示すように、判定部111における排泄時点の判定結果の有無、タイマ112で計測された経過時間t、類別部113で類別された排泄物の種類に基づいて演算される。
【0050】
【表1】
[図:0001390580000001.jpg]
【0051】
以下、着用者の不快度について、上記の表1を参照して、四つの演算手法を例示する。
ここでは、着用者の不快度を「○」、「△」、「×」の順に不快な度合いが強くなる三段階に評価している。「○」は快適であり、「△」はやや不快であり、「×」はとても不快である不快度を示す。そのため、不快な状態は、「△」および「×」の二段階に評価される。
【0052】
第一の演算手法は、紙おむつ2に排泄物が排泄されていない状態では、着用者の快適性が保たれるとの知見に基づいて設定されている。そのため、第一の演算手法では、判定部111での排泄時点の判定がされていない場合に、不快度を「○」と演算する。
一方、第二~第四の演算手法は、紙おむつ2に排泄物が排泄された状態では、着用者の快適性が損なわれるとの知見に基づいて設定されている。これらの第二~第四の演算手法は、判定部111での排泄時点の判定がされた場合に実施される。
【0053】
第二~第四の演算手法のうち、第二および第三の演算手法では流動体の排泄物に起因する不快度を演算し、第四の演算手法では固形の排泄物に起因する不快度を演算する。そのため、類別部113で類別された排泄物の種類が流動体であるときに第二および第三の演算手法が実施され、類別部113で類別された排泄物の種類が固形であるときに第四の演算手法が実施される。」
「【0058】
[3-2-2.報知部]
報知部130は、着用者またはこの着用者を介護する介護者に排泄情報を報知するデバイスである。
この報知部130としては、視覚的に表示(報知)するディスプレイやライトなどの表示部、視覚的に報知するスピーカやブザーなどの発音器、触覚的に報知するバイブレータ(振動器)といったデバイスが挙げられる。
上記の報知部130で報知される介護者としては、成人や幼児などの着用者を介護または育児する介護士やヘルパー、親族などが挙げられる。
【0059】
そのほか、報知部130での報知態様を上述したコンピュータ100で制御してもよい。たとえば、排泄物の有無や排泄時点、排泄物の種類、着用者の不快度などに応じて、報知する表示内容、音種、振動パターンなどをコンピュータ100で制御してもよい。
報知部130がディスプレイである場合には、各種の排泄情報の一覧表示やその表示順、各種の排泄情報のうちの一部の表示といった態様をコンピュータ100で制御してもよい。更に言えば、複数の着用者に装着される紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられる場合に、各センサ装置10に紐付けられた着用者と上述した各種の排泄情報との一覧表示や、この一覧表示で経過時間tの長短や不快度の度合いなどに応じた各排泄情報の昇順または降順の表示(ソート表示)といった態様をコンピュータ100で制御してもよい。このような表示態様の制御処理は、上記のプログラム126によりコンピュータ100で実行される。
【0060】
[4.報知方法]
つぎに、図6のフローチャートを参照して、報知方法を説明する。この報知方法は、上述した報知システム1によって報知する方法である。
この報知方法では、センサ装置10で湿度・温度を検出する検出工程(ステップA10)、この検出工程で検出された湿度・温度の変動に基づいて排泄情報を演算する演算工程(ステップA20)、この演算工程で演算された排泄情報を着用者または介護者に報知する報知工程(ステップA30)の順に各工程が実施される。」
「【0070】
[6.作用および効果]
上述したように本実施形態が構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
[6-1.報知システム]
まず、報知システム1に関してする作用および効果を述べる。
(1)本実施形態の報知システム1によれば、センサ装置10で検出された湿度・温度の変動に応じて、適切な排泄情報を演算部110で演算して報知部130で報知することができる。
【0071】
たとえば、排泄の有無を認識することのできない着用者に排泄が有ったことを報知することができる。
また、排泄の有無や排泄時点、着用者の不快度などの排泄情報を介護者に報知することができる。たとえば、センサ装置10の取り付けられた紙おむつ2を装着した着用者とは離隔して報知部130が設けられていれば、着用者の傍にいない介護者に排泄情報を報知することができる。
【0072】
さらに、複数の着用者が装着する紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられていれば、介護施設や病院で報知システム1を活用することもできる。この場合には、各着用者の不快度の上昇を抑えつつ介護者の介護作業を効率化させることができる。具体的に言えば、排泄の無い着用者や不快度の低い着用者に優先して、排泄の有った着用者や不快度の高い着用者の紙おむつ2を交換することができる。
【0073】
(2)演算部110では排泄時点が判定部111で判定されるため、排泄時点の情報や排泄時点に基づいた情報を排泄情報として演算することができる。
(3)また、演算部110では判定部111で判定された排泄時点からの経過時間tがタイマ112で計測され、この経過時間tに基づいて着用者の不快度が演算されるため、排泄時点から経過時間tに応じて着用者の不快度を精度よく演算することができる。
【0074】
(4)そのほか、排泄時点からの湿度・温度の変動量に基づいて排泄情報が演算されることによっても、着用者の不快度を精度よく演算することができる。
(5)また、演算部110では類別部113で排泄物の種類が類別されるため、排泄物の種類に応じて着用者の不快度を適切に演算することができる。」
「【0089】
[III.第二実施形態]
つぎに、第二実施形態のセンサ装置およびこのセンサ装置が取り付けられた吸収性物品用ならびに報知システムについて説明する。
(中略)
【0099】
[3.情報処理システム]
つぎに、報知システムが利用する情報処理システムを説明する。
図11に示すように、情報処理システム30では、クラウドコンピュータ100’(コンピュータ)に対して複数の中継機90(中継部)が接続され、中継機90のそれぞれに複数のセンサ装置7が接続されている。
このようなツリー構造のネットワークトポロジーをなす情報処理システム30を利用して、報知システム3が構築されている。報知システム3には、情報処理システム30に加えて、クラウドコンピュータ100’に接続された報知デバイス130’(報知部)が含まれる。
なお、図11中では、各センサ装置7を区別して符号7A~7Gで示す。また、各中継機90を区別する場合は、符号91、92を用いて説明する。」
「【0107】
そのほか、クラウドコンピュータ100’には、据え置き型やモバイル型のパーソナルコンピュータ130A’(報知部)や、いわゆるタブレットやスマートフォンなどの多機能携帯端末130B’(報知部)などの報知デバイス130’が接続される。報知デバイス130’には、上述した要介護者の推定位置情報のほか、センサ装置7の検出情報に基づいて演算された排泄情報がクラウドコンピュータ100’から伝達される。そして、報知デバイス130’をもつ介護者や親族などに排泄情報が報知される。」
「【0119】
[IV.変形例]
最後に、本実施形態のその他の変形例について述べる。
(中略)
【0124】
さらに、演算部110、110’は、排泄情報として排泄タイミングを演算してもよい。具体的に言えば、演算部110、110’は、一人の着用者または複数人の着用者のそれぞれに対して排泄時点の情報を蓄積し、蓄積された排泄時点の情報に基づいて着用者ごとの排泄タイミングを予測してもよい。たとえば、三十分ごとや一時間ごと区切られた時間帯別に排泄の有った回数の情報が蓄積され、この回数の多い時間帯が排泄タイミング(排泄予測時間)として演算される。
そのうえ、排泄時点からの経過時間や排泄頻度、着用者ごとに予測された排泄タイミングを報知部130に表示してもよい。このように、排泄予測時間やこの予測材料となりうる排泄頻度や経過時間などを介護者に報知することで、各着用者に対するトイレへの誘導や紙おむつ2の交換のタイミングや順番を最適化することもできる。」
(2)引用文献1の記載から把握できる事項
上記(1)から、引用文献1には、次の事項が記載されているといえる。
ア 上記【0029】の「コンピュータ100には、…演算部110と、…メモリ120(蓄積部)…が設けられる。」、【0036】の「この演算部110には、排泄情報を演算するために、着用者の排泄時点(排泄をしたタイミング)を判定する判定部111、排泄時点からの経過時間tを計測するタイマ112、排泄物の種類を類別する類別部113の三つの機能要素が設けられている。」との記載から、
引用文献1には、「排泄情報を演算するために、着用者の排泄時点(排泄をしたタイミング)を判定する判定部111、排泄時点からの経過時間tを計測するタイマ112、排泄物の種類を類別する類別部113の三つの機能要素が設けられている演算部110と、メモリ120(蓄積部)を備えるコンピュータ100」との事項が記載されているといえる。
イ 上記【0009】の「本実施形態のセンサ装置は、吸収性物品に取り付けられる。吸収性物品は、排泄を十分に自己管理することができない成人や幼児などの着用者に装着される衛生用品である。」、「吸収性物品としては、テープ型やパンツ型の紙おむつ(いわゆる「使い捨ておむつ」)あるいは布おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、パンティーライナーなどが挙げられる。」、「吸収性物品へのセンサ装置の取り付け」、【0011】の「報知システム1の構成では、この報知システム1で用いられるセンサ装置10の取付先である紙おむつ2、この紙おむつ2に取り付けられるセンサ装置10」との記載から、
引用文献1には、「センサ装置10は、着用者が装着する紙おむつ2に取り付けられ」との事項が記載されているといえる。
ウ 上記【0033】の「コンピュータ100では、センサ装置10から伝達された湿度・温度が上述したメモリ120に記憶(蓄積)される。」、上記【0035】の「演算部110は、メモリ120に記憶された湿度・温度の変動に基づいて排泄情報を演算する。」、上記【0037】の「判定部111は、湿度・温度が変動した量に基づいて着用者の判定時点を判定する。具体的には、湿度・温度の変動のうち上昇に着目して設定された下記の条件A1またはA2が成立した場合に、着用者の排泄時点を判定する。」との記載から、
引用文献1には、「判定部111は、センサ装置10から伝達された湿度・温度に基づいて、着用者の排泄時点を判定し」との事項が記載されているといえる。
エ 上記【0044】の「タイマ112は、判定部111で判定された排泄時点からの経過時間tを計測する。」との記載から、
引用文献1には、「タイマ112は、判定部111で判定された排泄時点からの経過時間tを計測し」との事項が記載されているといえる。
オ 上記【0045】の「類別部113は、判定部111で判定された排泄時点からの湿度・温度の低下度合いに基づいて、着用者からの排泄物の種類を類別する。この類別部113は、尿便や経血といった流動体の排泄物(流動排泄物)と糞便やおりものといった固形の排泄物(固形排泄物)とを類別する。」との記載から、
引用文献1には、「類別部113は、判定部111で判定された排泄時点からの湿度・温度の低下度合いに基づいて、尿便や経血といった流動体の排泄物(流動排泄物)と糞便やおりものといった固形の排泄物(固形排泄物)とを類別し」との事項が記載されているといえる。
カ 上記【0049】の「演算部110は、上述した判定部111、タイマ112、類別部113の演算結果を用いて排泄情報を演算する。この排泄情報としては、排泄の有無、排泄時点、排泄物の種類、着用者の不快度などが挙げられる。」、上記【0051】の「着用者の不快度を「○」、「△」、「×」の順に不快な度合いが強くなる三段階に評価している。「○」は快適であり、「△」はやや不快であり、「×」はとても不快である不快度を示す。」との記載から、
引用文献1には、「判定部111、タイマ112、類別部113の演算結果を用いて演算された排泄情報であって、排泄情報として着用者の不快度が挙げられ、着用者の不快度は「○」、「△」、「×」の順に不快な度合いが強くなる三段階に評価され」との事項が記載されているといえる。
キ 上記【0058】の「着用者を介護する介護者に排泄情報を報知する」、上記【0071】の「排泄の有無や排泄時点、着用者の不快度などの排泄情報を介護者に報知することができる。」との記載から、
引用文献1には、「着用者を介護する介護者に、排泄の有無や排泄時点、着用者の不快度などの排泄情報を報知し」との事項が記載されているといえる。
ク 上記【0059】の「排泄物の有無や排泄時点、排泄物の種類、着用者の不快度などに応じて、報知する表示内容、音種、振動パターンなどをコンピュータ100で制御してもよい。」との記載から、
引用文献1には、「排泄物の有無や排泄時点、排泄物の種類、着用者の不快度などに応じて、報知する表示内容、音種、振動パターンなどが制御され、」との事項が記載されているといえる。
ケ 上記【0032】の「複数人の着用者に装着される紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられ、各センサ装置10からコンピュータ100に湿度・温度が入力されてもよい。この場合には、着用者のそれぞれを識別するためのID情報が各センサ装置10からコンピュータ100に出力され、ID情報のそれぞれに紐付けられた湿度・温度がコンピュータ100に入力される。」との記載から、
引用文献1には、「複数人の着用者に装着される紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられる場合には、着用者のそれぞれを識別するためのID情報のそれぞれに紐付けられた湿度・温度が入力され」との事項が記載されているといえる。
コ 上記【0072】の「複数の着用者が装着する紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられていれば、介護施設や病院で報知システム1を活用することもできる。この場合には、各着用者の不快度の上昇を抑えつつ介護者の介護作業を効率化させることができる。具体的に言えば、排泄の無い着用者や不快度の低い着用者に優先して、排泄の有った着用者や不快度の高い着用者の紙おむつ2を交換することができる。」との記載から、
引用文献1には、「複数の着用者が装着する紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられていれば、排泄の無い着用者や不快度の低い着用者に優先して、排泄の有った着用者や不快度の高い着用者の紙おむつ2を交換することができる」との事項が記載されているといえる。
サ 上記【0031】の「報知システム1には、コンピュータ100の入力側に上述したセンサ装置10が設けられ、コンピュータ100の出力側に報知部130が設けられる。」との記載から、
引用文献1には、「コンピュータ100の出力側に報知部130が設けられた報知システム1」との事項が記載されているといえる。
シ 上記【0058】の「報知部130は、…この着用者を介護する介護者に排泄情報を報知するデバイスである。」、「報知部130としては、視覚的に表示(報知)するディスプレイやライトなどの表示部、視覚的に報知するスピーカやブザーなどの発音器、触覚的に報知するバイブレータ(振動器)といったデバイスが挙げられる。」との記載から、
引用文献1には、「報知部130は、排泄情報を視覚的に表示(報知)するディスプレイやライトなどの表示部を有する」との事項が記載されているといえる。
(3)引用文献1に記載された発明
ア 上記(2)ア~コから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1A」という。)が記載されているといえる。
排泄情報を演算するために、着用者の排泄時点(排泄をしたタイミング)を判定する判定部111、排泄時点からの経過時間tを計測するタイマ112、排泄物の種類を類別する類別部113の三つの機能要素が設けられている演算部110と、メモリ120(蓄積部)を備えるコンピュータ100であって、
センサ装置10は、着用者が装着する紙おむつ2に取り付けられ、
判定部111は、センサ装置10から伝達された湿度・温度に基づいて、着用者の排泄時点を判定し、
タイマ112は、判定部111で判定された排泄時点からの経過時間tを計測し、
類別部113は、判定部111で判定された排泄時点からの湿度・温度の低下度合いに基づいて、尿便や経血といった流動体の排泄物(流動排泄物)と糞便やおりものといった固形の排泄物(固形排泄物)とを類別し、
判定部111、タイマ112、類別部113の演算結果を用いて演算された排泄情報であって、排泄情報として着用者の不快度が挙げられ、着用者の不快度は「○」、「△」、「×」の順に不快な度合いが強くなる三段階に評価され、
着用者を介護する介護者に、排泄の有無や排泄時点、着用者の不快度などの排泄情報を報知し、
排泄物の有無や排泄時点、排泄物の種類、着用者の不快度などに応じて、報知する表示内容、音種、振動パターンなどが制御され、
複数人の着用者に装着される紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられる場合には、着用者のそれぞれを識別するためのID情報のそれぞれに紐付けられた湿度・温度が入力され、
複数の着用者が装着する紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられていれば、排泄の無い着用者や不快度の低い着用者に優先して、排泄の有った着用者や不快度の高い着用者の紙おむつ2を交換することができる、
コンピュータ100。
イ 上記(2)ア~シから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1B」という。)が記載されているといえる。
コンピュータ100の出力側に報知部130が設けられた報知システム1であって、
コンピュータ100は、
排泄情報を演算するために、着用者の排泄時点(排泄をしたタイミング)を判定する判定部111、排泄時点からの経過時間tを計測するタイマ112、排泄物の種類を類別する類別部113の三つの機能要素が設けられている演算部110と、メモリ120(蓄積部)を備えるコンピュータ100であって、
センサ装置10は、着用者が装着する紙おむつ2に取り付けられ、
判定部111は、センサ装置10から伝達された湿度・温度に基づいて、着用者の排泄時点を判定し、
タイマ112は、判定部111で判定された排泄時点からの経過時間tを計測し
類別部113は、判定部111で判定された排泄時点からの湿度・温度の低下度合いに基づいて、尿便や経血といった流動体の排泄物(流動排泄物)と糞便やおりものといった固形の排泄物(固形排泄物)とを類別し、
判定部111、タイマ112、類別部113の演算結果を用いて演算された排泄情報であって、排泄情報として着用者の不快度が挙げられ、着用者の不快度は「○」、「△」、「×」の順に不快な度合いが強くなる三段階に評価され、
着用者を介護する介護者に、排泄の有無や排泄時点、着用者の不快度などの排泄情報を報知し、
排泄物の有無や排泄時点、排泄物の種類、着用者の不快度などに応じて、報知する表示内容、音種、振動パターンなどが制御され、
複数人の着用者に装着される紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられる場合には、着用者のそれぞれを識別するためのID情報のそれぞれに紐付けられた湿度・温度が入力され、
複数の着用者が装着する紙おむつ2のそれぞれにセンサ装置10が取り付けられていれば、排泄の無い着用者や不快度の低い着用者に優先して、排泄の有った着用者や不快度の高い着用者の紙おむつ2を交換することができ、
報知部130は、排泄情報を視覚的に表示(報知)するディスプレイやライトなどの表示部を有する、
報知システム1。
(4)引用文献1に記載された技術的事項
上記(1)から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されている。
上記【0124】から、「一人の着用者または複数人の着用者のそれぞれに対して排泄時点の情報を蓄積し、蓄積された排泄時点の情報に基づいて着用者ごとの排泄タイミングを予測し、排泄時点からの経過時間や排泄頻度、着用者ごとに予測された排泄タイミングを報知すること」との技術的事項(以下、「技術的事項1A」という。)、上記【0099】【0107】から、「クラウドコンピュータ100’に接続された、パーソナルコンピュータや多機能携帯端末などの報知デバイス130’が含まれる報知システム3」との技術的事項(以下、「技術的事項1B」という。)が、記載されている。
なお、引用文献1に記載された技術的事項1A及び技術的事項1Bをまとめて「引用文献1に記載された技術的事項」という。
2 引用文献2(甲第1号証:特表2015-506192号公報)記載事項
(1)引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0016】
本明細書での製品関連情報とは、吸収性製品の使用に関する情報を意味する。製品関連情報は、
-製品の交換が不要であることの指摘、
-製品を交換する提案、
-特定の時刻までに製品を交換する提案、
-現在着用されている製品よりも大容量または小容量の別の吸収性製品に製品を交換する提案
のいずれかまたは任意の組み合わせを含みうる。」
「【0038】
本発明で言及される吸収性製品は、吸収性の個人用衛生物品であり、男性用または女性用の失禁防具、衛生パッド、テープファスナ付きおむつ、パンツ型おむつ、およびベルト式おむつを含むが、これらに限定されない。吸収性製品を着用している人を、本明細書では着用者または製品着用者と呼ぶ。」
「【0041】
図2は、本発明の方法の基本的な原理を示す。
【0042】
ステップS1で、前記方法を実行できるように、アプリが開かれる。
【0043】
ステップS3で、着用者による流動状および/または固形状の可食材の摂取を示す摂取情報が、モバイルデバイス1を利用して取得される。摂取情報は、製品着用者による流動状および/もしくは固形状の可食材の1回もしくは複数回の実際の摂取に関する情報、ならびに/または製品着用者に関する既知の情報に基づいてモバイルデバイス1により統計的に導き出された情報を含みうる。
【0044】
ステップS4で、着用者の尿および/または便の排泄を示す排泄情報が、モバイルデバイス1を利用して取得される。排泄情報は、製品着用者による尿および/もしくは便の1回もしくは複数回の実際の漏らしに関する情報、ならびに/または製品着用者に関する既知の情報に基づいてモバイルデバイス1により統計的に導き出された情報を含みうる。
【0045】
ステップS5で、着用者の将来の排泄が、ステップS3とステップS4とで取得された摂取情報と排泄情報とに基づいて予測される。この予測は、尿および/または便の将来の漏らしの時刻の予測を含みうる。また、将来の漏らしのタイプ、すなわち将来の漏らしが尿の漏らしと便の漏らしのどちらでありそうなのかについての予測を含みうる。さらに、将来の漏らしの尿および/または便の量の予測を含みうる。
【0046】
6番目のステップS6で、吸収性製品の使用に関する製品関連情報が、前記予測に基づいて提供される。製品関連情報が予測に基づいて提供されるということは、少なくとも製品関連情報の内容が予測に基づくことを意味する。好ましくは、製品関連情報を着用者または介護者に提供する方法も予測に基づく。製品関連情報は、好ましくは、モバイルデバイス1での視覚的、可聴的、および/または振動的な信号を通じて製品着用者に提供される。代わりに、または追加的に、製品関連情報は、モバイルデバイスが通信できる別のモバイルデバイスやコンピュータ等の通信デバイス、たとえば製品着用者の介護者の通信デバイスで提供されうる。後者のシナリオでは、製品関連情報が、たとえばテキストメッセージ(sms)または電子メールの形式で通信デバイスに提供されうる。」
「【0048】
他の実施形態では、摂取情報および/または排泄情報は、モバイルデバイス1により、製品着用者に関する情報に基づいて、少なくともある程度まで自動的に取得されうる。この場合、方法は、モバイルデバイスで製品着用者に関する1または複数の質問を提示するステップと、前記質問への回答に基づいて摂取情報および/または排泄情報を導き出すステップとを含みうる。製品着用者に関する情報に加えて、摂取行動および/または排泄行動についての既知の統計的データが摂取情報および/または排泄情報を導き出すために使用されうる。質問は、製品着用者の通常の摂取慣例および/または製品着用者の通常の排泄行動に関連しうる。また質問は、製品着用者自身および/または製品着用者の健康に関連しうる。たとえば、質問は、製品着用者が通常はいつ食事をし、飲み物を飲み、排尿し、排便するかに関する質問、および/または製品着用者の年齢、性別、薬剤の使用等に関する質問を含みうる。製品着用者の失禁治療のための薬の潜在的な使用(たとえば、薬のタイプおよび/または服用量)に関する情報は特に重要であり、アプリによって関連する排泄情報を取得するために使用されうる。取得された製品着用者に関する情報は、摂取情報および/または排泄情報を推定するために使用されうる。」
「【0050】
アプリは、摂取情報と排泄情報とに基づいて着用者による将来の排泄を予測するためのロジックをさらに含む。このロジックは、典型的には、将来の排泄を予測するための1または複数の予測アルゴリズムを含み、摂取情報と排泄情報とがアプリによって前記予測アルゴリズムへの入力パラメータとして使用される。
【0051】
本発明の基本的な実装では、アプリは、以前に登録された摂取と以前に登録された漏らしとの間の時間を使用して、新たに登録された摂取から将来の漏らしまでの時間を予測するように構成される。好ましくは、アプリは、以前に登録された複数の摂取と以前に登録された複数の漏らしとの間の経過時間を使用して、将来の漏らしの時刻を予測するように構成される。
【0052】
ただし、予測は新たに登録された摂取の時刻から将来の漏らしまでの時間の予測とは限らないことを認識する必要がある。アプリは、以前に登録された摂取情報に基づいて流動状および/または固形状の可食材の将来の摂取をも予測し、予測された将来の摂取にも基づいて着用者による将来の排泄を予測するように構成される。たとえば、製品着用者が通常は食品と液体とを午後7時頃に摂取している場合、アプリは、午後7時以降に発生する可能性がある排泄を予測するときに、この摂取を考慮するように構成されうる。たとえば、アプリは、既に午後5時の時点で、午後7時の将来の摂取により午後8時頃に将来の排泄が行われることを予測し、吸収性製品を午後8時までに交換すべきであるという提案をモバイルデバイス1に表示しうる。」
「【0054】
予測は、アプリによってさまざまな方法で使用されうる。たとえば、ある提案が製品着用者および/または製品着用者の介護者に提案される時刻は、次回の漏らしの予測時刻に基づいて調整されうる。さらに、予測は、アプリによって、将来的に製品の交換が必要になる時期についての提案を含む製品関連情報を提供するために使用されうる。製品関連情報は、製品着用者の将来の漏らしの予測によっては、製品の交換が不要であることの指摘、製品を交換する提案、特定の時刻までに製品を交換する提案、または現在着用されている製品よりも大容量もしくは小容量の別の吸収性製品に製品を交換する提案のいずれかを含みうる。」
(2)上記(1)から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているといえる。
吸収性の個人用衛生物品であり、男性用または女性用の失禁防具、衛生パッド、テープファスナ付きおむつ、パンツ型おむつ、およびベルト式おむつを含む吸収性製品の製品関連情報を、製品着用者の介護者に提供されるものであって、製品関連情報は、将来的に製品の交換が必要になる時期についての提案を含み、将来の排泄の予測に基づいて提供され、たとえば、既に午後5時の時点で、午後7時の将来の摂取により午後8時頃に将来の排泄が行われることを予測し、吸収性製品を午後8時までに交換すべきであるという提案をモバイルデバイス1に表示する。
第6 当審の判断
1 特許法第29条第2項(進歩性)について
(1)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と引用発明1Aを対比する。
(ア) 引用発明1Aの「コンピュータ100」は、介護者に排泄情報を報知する点で、後述する相違点は別にして、本件発明5の「介護支援装置」に相当する。
(イ) 引用発明1Aの「着用者」、「センサ装置10」は、それぞれ、本件発明5の「被介護者」、「センサー」に相当し、引用発明1Aの「センサ装置10は、着用者が装着する紙おむつ2に取り付けられ」ることは、これにより、センサ装置10によりセンシング可能である点で、本件発明5の「被介護者の近傍に設けられ」に相当する。また、引用発明1Aの「センサ装置10から伝達された湿度・温度」は、情報として伝達される点で、本件発明5の「センサーからの情報」に相当する。さらに、引用発明1Aの「着用者の排泄時点(排泄をしたタイミング)」は、本件発明5の「被介護者が排泄した時点である排泄時点」に相当する。そうすると、引用発明1Aの「センサ装置10から伝達された湿度・温度に基づいて、着用者の排泄時点を判定」する「判定部111」が機能要素として設けられている「演算部110」は、本件発明5の「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部」に相当する。
(ウ) 引用発明1Aの「着用者の紙おむつ2を交換すること」は、本件発明5の「前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務」に相当し、引用発明1Aの「着用者を介護する介護者」は、本件発明5の「被介護者の介護者」に相当する。そして、引用発明1Aの「着用者を介護する介護者に、排泄の有無や排泄時点、着用者の不快度などの排泄情報」は、これを報知することで「排泄の無い着用者や不快度の低い着用者に優先して、排泄の有った着用者や不快度の高い着用者の紙おむつ2を交換することができる」もの、すなわち、どの着用者の紙おむつ2を交換した方がいいかを示す情報として参照できる含む点で、本件発明5の「介護業務を前記被介護者の介護者が実施すること」を「推薦」する「推薦情報」に相当する。さらに、引用発明1Aの「排泄情報」を「判定部111、タイマ112、類別部113の演算結果を用いて演算」することは、本件発明5の「推薦情報を作成」することに相当し、引用発明1Aの「着用者を介護する介護者に、排泄の有無や排泄時点、着用者の不快度などの排泄情報を報知」することは、本件発明5の「作成した前記推薦情報を出力する」ことに相当する。そして、引用発明1Aにおいて、このような「排泄情報」を出力する手段を備えていることは明らかであるから、当該「排泄情報」を出力する手段は、本件発明5の「前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部」に相当する。
(エ) そうすると、本件発明5と引用発明1Aとは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することを推薦する推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
を有する介護支援装置。
<相違点>
(相違点5A)
本件発明5は、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて」推薦情報を作成するのに対し、引用発明1Aは、そのような構成を有していない点。
(相違点5B)
本件発明5は、推薦情報が「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を示すのに対し、引用発明1Aは、「排泄情報」がそのような「時」を示しているか定かではない点。
(相違点5C)
本件発明5は、「前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部」を有するのに対し、引用発明1Aは、そのような構成を有していない点。
(相違点5D)
本件発明5は、「前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力」する構成を有するのに対し、引用発明1Aは、そのような構成を有していない点。
(相違点5E)
本件発明5は、「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成を有するのに対し、引用発明1Aは、そのような構成を有していない点。
イ 相違点の判断
(ア)相違点5A、5Bについて
引用文献1には、上記「第5」の1(4)のとおり、蓄積された排泄時点の情報に基づいて着用者ごとの排泄タイミングを予測し、排泄時点からの経過時間や排泄頻度、着用者ごとに予測された排泄タイミングを報知するとする技術的事項1Aが記載されており、着用者の過去に蓄積された時点に基づき、おむつ2の交換のタイミングを示唆するものであるから、引用発明1Aに、引用文献1に記載された技術的事項1Aを適用して、上記相違点5A及び相違点5Bの構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。
(イ)相違点5Dについて
引用文献2には、上記「第5」の2のとおり、吸収性の個人用衛生物品であり、男性用または女性用の失禁防具、衛生パッド、テープファスナ付きおむつ、パンツ型おむつ、およびベルト式おむつを含む吸収性製品の製品関連情報を、製品着用者の介護者に提供されるものであって、製品関連情報は、将来的に製品の交換が必要になる時期についての提案を含み、将来の排泄の予測に基づいて提供され、たとえば、既に午後5時の時点で、午後7時の将来の摂取により午後8時頃に将来の排泄が行われることを予測し、吸収性製品を午後8時までに交換すべきであるという提案をモバイルデバイス1に表示するという技術的事項が記載されている。ここで、「午後8時までに交換すべき」とは、おむつ等の交換の目安時間を意味することは明らかである。そして、引用発明1Aと引用文献2とは、排泄予測に基づいた介護に関する情報を介護者に提供する点で機能を共通にすることから、引用発明1Aに引用文献2の上記技術的事項を適用して、相違点5Dの構成とするとは、当業者が容易になし得た事項である。
(ウ)相違点5Eについて
引用文献1には、上記「第5」の1(4)のとおりの技術的事項1Aが記載されている。また、引用文献2には、以前に登録された摂取と以前に登録された漏らしとの間の時間を使用して、新たに登録された摂取から将来の漏らしまでの時間を予測することが記載されている。しかしながら、引用文献1及び引用文献2には、過去の排泄時点から、当該排泄時点の直後の処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定することは、記載されておらず、示唆もされていない。このため、引用発明1Aに、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項を適用しても、相違点5Eの構成には至らない。
そうすると、本件発明5の相違点5Eの構成は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、相違点5Eの構成により、介護者が適切なタイミングで被介護者の排泄物を処理できるようになる(本件特許明細書【0025】)という効果を奏するものである。
ウ 小括
よって、本件発明5は、相違点5Cを判断するまでもなく、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明6、8、9について
本件発明6、8、9は、本件発明5を引用する発明であるから、本件発明6、8、9は、本件発明5の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成(相違点5Eの構成)を備えるものであって、上記(1)イ(ウ)のとおりであるから、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が相違点5Eの構成を容易に想到することができたものではない。
よって、本件発明6、8、9は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明11について
ア 本件発明11は、「 被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、/ 前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、」(スラッシュ“/”は改行を示す。以下同じ。)を備える点で、本件発明5と構成を同一にし、その余の点で、構成が異なる。
イ そうすると、本件発明11と引用発明1Aとの対比は、上記(1)アのとおりであるから、本件発明11と引用発明1Aとは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することを推薦する推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
を有する介護支援装置。
<相違点>
(相違点11A)
本件発明11は、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて」推薦情報を生成するのに対し、引用発明1Aは、そのような構成を有していない点。
(相違点11B)
本件発明11は、推薦情報が「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を示すのに対し、引用発明1Aは、「排泄情報」がそのような「時」を示しているか定かではない点。
(相違点11C)
本件発明11は、「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有し、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成を有するのに対し、引用発明1Aは、「投薬の内容及び時刻を示す投薬情報」を取得していないため、「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有しておらず、さらに、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成を有していない点。
ウ 上記相違点を判断するに、相違点11A及び相違点11Bは、上記(1)ア(エ)の相違点5A及び相違点5Bと同じであり、その判断は上記(1)イ(ア)のとおりであるから、引用発明1A及び引用文献1に記載された技術的事項1Aに基づいて、当業者が容易になし得た事項である。
相違点11Cについて検討するに、引用文献1及び引用文献2には、「投薬の内容及び時刻を示す投薬情報」を取得することは、記載されておらず示唆もされていない。このため、引用発明1Aに、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項を適用しても、相違点11Cの構成には至らない。
そうすると、本件発明11の相違点11Cの構成は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、相違点11Cの構成により、介護者が適切なタイミングで被介護者の排泄物を処理できるようになる(本件特許明細書【0025】)という効果を奏するものである。
エ 小括
よって、本件発明11は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明12、13について
本件発明12は、本件発明5、11のいずれか一項を引用する発明であり、本件発明13は、本件発明12を引用する発明であるから、本件発明12及び13は、本件発明5の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成(相違点5Eの構成)、又は、本件発明11の「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有し、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成(相違点11C)のいずれか1つを備えるものであるものの、上記(1)イ(ウ)、及び、上記(3)ウのとおりであるから、いずれの構成も、引用発明1A、引用文献1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
よって、本件発明12及び13は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明14について
ア 本件発明14は、「 被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、/ 前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、」を備える点で、本件発明5と構成を同一にし、その余の点で、構成が異なる。
イ そうすると、本件発明14と引用発明1Aとの対比は、上記(1)アのとおりであるから、本件発明14と引用発明1Aとは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することを推薦する推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
を有する介護支援装置。
<相違点>
(相違点14A)
本件発明14は、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて」推薦情報を生成するのに対し、引用発明1Aは、そのような構成を有していない点。
(相違点14B)
本件発明14は、推薦情報が「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を示すのに対し、引用発明1Aは、「排泄情報」がそのような「時」を示しているか定かではない点。
(相違点14C)
本件発明14は、「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」構成を有するのに対し、引用発明1Aは、「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」構成を有していない点。
ウ 上記相違点を判断するに、相違点14A及び相違点14Bは、上記(1)ア(エ)の相違点5A及び相違点5Bと同じであり、その判断は上記(1)イ(ア)のとおり、引用発明1A及び引用文献1に記載された技術的事項1Aに基づいて、当業者が容易になし得た事項である。
相違点14Cについて検討するに、引用文献1及び引用文献2には、「食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報」を出力することは、記載されておらず示唆もされていない。このため、引用発明1Aに、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項を適用しても、相違点14Cの構成には至らない。
そうすると、本件発明14の相違点14Cの構成は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、相違点14Cの構成により、介護者が適切なタイミングで被介護者の排泄物を処理できるようになる(本件特許明細書【0025】)という効果を奏するものである。
エ 小括
よって、本件発明14は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明15、16について
本件発明15は、本件発明5、11、14のいずれか一項を引用する発明であり、本件発明16は、本件発明5、11、14、15のいずれか一項を引用する発明であるから、本件発明15及び16は、本件発明5の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成(相違点5Eの構成)、本件発明11の「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有し、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成(相違点11C)、本件発明14の「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」構成のいずれか1つを備えるものであるものの、上記(1)イ(ウ)、上記(3)ウ、及び、上記(5)ウとおりであるから、いずれの構成も、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
よって、本件発明15及び16は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明17、18について
「介護支援方法」の発明である本件発明17、「プログラム」の発明である本件発明18は、「介護支援装置」である本件発明5と、実質的にカテゴリー表現が異なるのみの発明である。
そして、本件発明17は、「前記推薦情報を出力するステップにおいて、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記排泄時点までの経過時間に基づいて対応目安時間を決定し」、本件発明18は、「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」との構成を有するものであり、引用発明1Aを介護支援方法及びプログラムの発明に書き直した発明は、そのような構成を有していない点で、相違するものである。
そして、その判断は、上記(1)イ(ウ)のとおりであるから、当該構成は、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
よって、本件発明17及び本件発明18は、いずれも、引用発明1Aを介護支援方法及びプログラムに書き換えた発明、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件発明19について
ア 本件発明19の「介護支援装置」は、本件発明5の「介護支援装置」と同一の構成である。また、引用発明1Bは、引用発明1Aの「コンピュータ100」と同一の「コンピュータ100」を含んでおり、本件発明19の「介護支援装置」については、上記(1)で検討したとおりである。
このため、本件発明19と引用発明1Bとの対比は、上記(1)アで行った本件発明19の「介護支援装置」以外の構成である次の構成について行う。
情報を表示可能な情報端末と、前記情報端末に対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、
前記情報端末は、前記推薦情報を表示する表示部を有する、
介護支援システム。
イ 引用発明1Bの「報知部130」と、本件発明19の「情報端末」とは、「デバイス」である点で共通する。
引用発明1Bの「報知システム1」は、後述する相違点は別にして、本件発明19の「介護支援システム」に相当する。
ウ そうすると、本件発明19と引用発明1Bとは、次の点で、一致又は相違する。
<一致点>
情報を表示可能なデバイスと、前記デバイスに対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、
前記介護支援装置は、
被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、
前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することを推薦する推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、
を有し、
前記デバイスは、前記推薦情報を表示する表示部を有する、
介護支援システム。
<相違点>
(相違点19A)
本件発明19は、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて」推薦情報を生成するのに対し、引用発明1Bは、そのような構成を有していない点。
(相違点19B)
本件発明19は、推薦情報が「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を示すのに対し、引用発明1Bは、「排泄情報」がそのような「時」を示しているか定かではない点。
(相違点19C)
本件発明5は、「前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部」を有するのに対し、引用発明1Aは、そのような構成を有していない点。
(相違点19D)
本件発明19は、「前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力」する構成を有するのに対し、引用発明1Bは、そのような構成を有していない点。
(相違点19E)
本件発明19は、「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成を有するのに対し、引用発明1Bは、そのような構成を有していない点。
(相違点19F)
「デバイス」が、本件発明19は「情報端末」であるのに対し、引用発明1Bは「報知部130」であって、情報端末であるか定かではない点。
エ 相違点の判断
(ア)相違点19A、19Bについて
相違点19A及び19Bは、それぞれ、相違点5A及び5Bと同じ相違点であり、その判断は上記(1)イ(ア)で検討したとおりであるから、引用発明1B及び引用文献1に記載された技術的事項1Aに基づいて、当業者が容易になし得た事項である。
よって、引用発明1Bに引用文献1に記載された技術的事項1Aを適用して、相違点19A及び19Bの構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。
(イ)相違点19Dについて
相違点19Dは、相違点5Dと同じ相違点であり、その判断は上記(1)イ(イ)で検討したとおり、引用発明1B及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得た事項である。
よって、引用発明1Bに引用文献2に記載された技術的事項を適用して、本件発明19Dの構成とするとは、当業者が容易になし得た事項である。
(ウ)相違点19Fについて
判断の便宜から、相違点19Fの検討を行う。
引用文献1には、上記「第5」の1(4)のとおり、報知システム3として、クラウドコンピュータ100’に接続された、パーソナルコンピュータや多機能携帯端末などの報知デバイス130’が含まれるようにするとの技術的事項1Bが記載されていることから、引用発明1Bに引用文献1に記載された技術的事項1Bを適用することで、上記相違点19Fの構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。
(エ)相違点19Eについて
相違点19Eは、相違点5Eと同じ相違点であり、その判断は上記(1)イ(ウ)で検討したとおり、引用発明1B、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、相違点19Eの構成により、介護者が適切なタイミングで被介護者の排泄物を処理できるようになる(本件特許明細書【0025】)という効果を奏するものである。
オ 小括
よって、本件発明19は、相違点19Cを判断するまでもなく、引用発明1B、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 特許法第36条第6項第2号(明確性)について
訂正前請求項2の「前回の前記排泄時点からの経過時間」について、「前回の前記排泄時点」を、何を持って「前回」とするのかその基準(処理前の今回の排泄時点等)が不明であるため、技術的にどのような意味を持つ「経過時間」であるのか、その範囲が不明であるとの取消理由について、上記訂正事項2により、請求項2は削除された。
よって、当審で通知した特許法第36条第6項第2号(明確性)の取消理由は存在しない。
3 申立人の特許異議申立の理由について
(1)特許法第29条第2項(進歩性)について
ア 証拠方法
甲第1号証:特表2015-506192号公報
甲第2号証:特開2015-128478号公報
甲第3号証:特開2018-023776号公報
甲第4号証:国際公開WO2016/124081及び抄訳
甲第5号証:特開2019-139693号公報
甲第6号証:特開2019-115760号公報
甲第7号証:特開2002-159523号公報
以下、「甲第1号証」~「甲第7号証」を、それぞれ、「甲1」~「甲7」という。
イ 主張の概要
(ア)訂正前請求項1に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(イ)訂正前請求項1に係る発明は、甲2及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ウ)訂正前請求項2に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(エ)訂正前請求項3に係る発明は、甲1、甲3、甲5及び甲6に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(オ)訂正前請求項4に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(カ)訂正前請求項5に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、又は、甲1、甲3及び甲7に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(キ)訂正前請求項6に係る発明は、甲1、甲3及び甲7に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ク)訂正前請求項7に係る発明は、甲1、甲3、甲4及び甲7に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ケ)訂正前請求項8に係る発明は、甲1、甲3、甲4及び甲7に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(コ)訂正前請求項9に係る発明は、甲1、甲3、甲4及び甲7に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(サ)訂正前請求項10に係る発明は、甲1、甲3及び甲5に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(シ)訂正前請求項11に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ス)訂正前請求項12に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(セ)訂正前請求項13に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ソ)訂正前請求項14に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(タ)訂正前請求項15に係る発明は、甲1、甲3及び甲6に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(チ)訂正前請求項16に係る発明は、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ツ)訂正前請求項17~19に係る発明は、訂正前請求項1に係る発明と同様に、甲1及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(テ)訂正前請求項17~19に係る発明は、訂正前請求項1に係る発明と同様に、甲2及び甲3に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 甲2、甲4~甲7の記載事項について
甲1及び甲3に記載されている事項は、上記「第5」のとおりである。そこで、ここでは、甲2、甲4~甲7の記載について確認をする。
(ア)甲2に記載されている事項
「【請求項1】
吸収性物品に設けられ、排泄物を吸収する吸収性コアと、
前記吸収性物品に設けられ、導電性を有する1対の導電部材と、
前記導電部材間のインピーダンスの大きさを検出する検知部と、
前記検知部によって検知されたインピーダンスの時間経過に応じた変化パターンに基づいて排泄の有無を検出し、排泄が検出されてから所定期間経過後の時間変化に対するインピーダンスの変化の割合に基づいて排泄物が便であるか尿であるかを判定する制御部と、
を備える、排便排尿判定装置。」
「【0024】
かかる排便排尿判定装置であって、前記制御部による判定の結果に基づいて、尿または便が排泄されたことを表示する表示装置を備える、ことが望ましい。
【0025】
このような排便排尿判定装置によれば、排泄物が便であるか尿であるかについての情報を使用者に対して視覚的に提供することができるようになる。また、警告を表示することにより、吸収性物品の交換タイミングに関する注意喚起を行うことができる」
「【0032】
図2に示すように、尿取りパッド1は、互いに直交する三方向として長手方向と幅方向とを有する。また、おむつ101と同様に長手方向及び幅方向に対して直行する方向である幅方向を有する。そして、尿取りパッド1の長手方向と幅方向とで規定される平面形状は、縦長形状の一例として略砂時計形状をなしている。すなわち、長手方向の略中央の位置が幅方向にくびれた形状をなしている。なお、図2には後述する排泄物検知センサー71も示されている。」
「【0044】
排泄物検知機能は、尿取りパッド1に対して排泄物検知装置70、及び、制御部80を設けることで実現されている。また、検知された排泄の状況を使用者に知らせるために、表示装置90が別途設けられる。」
「【0046】
排泄物検知装置70は、尿取りパッド1内に設けられた排泄物検知センサー71と、尿取りパッド1外に設けられた検知部75とを有する。」
「【0057】
制御部80は、検知部75によって検知されたインピーダンス値の時間経過に応じた変化パターンから排泄の有無を判断し、排泄物が尿であるのか便であるのかを判定したり、尿取りパッド1の交換タイミングについて判定したりする。また、制御部80は検知部75によってインピーダンスを検知する際の動作(例えば、インピーダンス値の検知間隔や供給する電流の大きさ等の条件)を制御する。制御部80はCPU(中央処理装置)やメモリー(記憶装置)を備える(共に不図示)。なお、図5では制御部80と検知部75とが異なるユニットとして図示されているが、制御部80と検知部75とが一体として構成されるのであってもよい。制御部80による具体的な判定動作については後で説明する。
【0058】
表示装置90は、制御部80による判定の結果に基づいて、排泄に関する情報を表示したり、警告を発したりする装置である。本実施形態における排泄に関する情報とは、主に尿取りパッド1の交換タイミングについての情報、及び、排泄物が尿であるか便であるかについての情報である。図5に示される表示装置90では、青ランプ91a、黄ランプ91b、赤ランプ91cの3色のランプが設けられている。各ランプは制御部80の判定結果に応じて発光したり点滅したりすることで、視覚的情報として使用者に判定結果を伝達する。また、表示装置90にスピーカー(不図示)が設けられ、警告音等の音を出すことによって使用者に判定結果を伝達するようにしもよい。
【0059】
<排泄物検知の原理>
排泄物検知センサー71によって、尿取りパッド1内に排泄された尿や便を検知する方法について説明する。図7A~図7Cは、泄物検知センサー71によって排泄物を検知する方法について説明する図である。
【0060】
図7Aは、尿取りパッド1内に少量の尿が排泄された場合における尿取りパッド1の状態を表す図である。図に示されるように排泄物検知センサー71の一対の導電部材71p,71pは幅方向に離れて配置されている。そして導電部材71p,71pの間には、導電性の低い吸収性コア11(尿取りパッド1)が配置されている。したがって、吸収性コア11が乾燥した状態であれば、導電部材71p,71pの間は非導通であり電流が流れにくいことから、導電部材71p,71p間では比較的大きなインピーダンスが検知される。
【0061】
ここで、少量の尿が排泄された場合、図7Aに示されるように、尿取りパッド1の長手方向中間部の領域である股下部11mに尿が濡れ広がって、導電部材71p,71p間の吸収性コア11が湿潤状態となる。しかし、股下部11mの領域においては導電部材71pの導電性インク層72iが絶縁用被覆部材72cに被覆されているため、その領域において吸収性コア11が湿潤状態であったとしても、導電部材71p,71p間は依然として非導通の状態である。そのため、少量の尿が排泄された場合であっても検知されるインピーダンスは高い値となる。つまり、股下部11mの領域内しか広がらない程度に排泄量が少量であったり、若しくは排泄そのものが無かったりした場合には、高いインピーダンス値が検知される。このとき、表示装置90では例えば青ランプ91aが点灯し、尿等の排泄量が少ない、若しく排泄されていないことを表示するようにしてもよい。
【0062】
次に、図7Bは、尿取りパッド1内に中量(図7Aの場合よりも多い量)の尿が排泄された場合における尿取りパッド1の状態を表す図である。図のように、尿取りパッド1の股下部11mから腹側部11aの領域に亘って尿が広がっている。この場合、股下部11mの領域では、図7Aと同様に導電部材71p,71pの間は非導通であり電流が流れにくい。一方、腹側部11aの領域にまで尿が広がることにより、この領域において吸収性コア11が湿潤状態となる。すると、導電性インク層72iが露出された導電部材71p同士が導通するため、この領域において電流が流れやすくなり、検知されるインピーダンス値が一気に小さくなる。これにより、尿等が排泄されたことを検知することができる。このとき、表示装置90では例えば黄ランプ91bが点灯し、尿等が排泄されたことを表示するようにしてもよい。
【0063】
なお、排泄された尿の量が吸収性コア11の許容吸収量よりも小さければ、尿は吸収性コア11によって吸収されるため、導電部材71p,71pの間は湿潤状態から徐々に乾いた状態になる。したがって、導電部材71p,71pの間では電流も徐々に流れにくくなり、それに応じて検知されるインピーダンス値も大きくなる。本実施形態では、この現象を利用することにより、尿取りパッド1の交換タイミングを判定することができる。判定の詳細については後で説明する。
【0064】
次に、図7Cは、尿取りパッド1内に多量(図7Bの場合よりも多い量)の尿が排泄された場合における尿取りパッド1の状態を表す図である。図のように、尿取りパッド1の腹側部11aから背側部11bの領域に亘って尿が広がっている。この場合、腹側部11a及び背側部11bの領域において吸収性コア11が湿潤状態となり、導電部材71p同士が導通する。導通する領域が大きくなることでより電流が流れやすくなり、検知されるインピーダンス値はさらに小さくなる。これにより、尿等が広範囲に亘って広がったことを検知することができる。このとき、表示装置90では例えば赤ランプ91cが点灯し、尿取りパッド1の外部に排泄物が漏出するおそれがあることを表示するようにしてもよい。なお、1回当たりの尿の排泄量が小さい場合であっても、数回の排泄によって図7Cのように広範囲に濡れ広がることが考えられる。」
「【0072】
上述のS101~S103の工程により、インピーダンス値、移動平均Z、自乗平均傾きmの時間変化の様子を表す図9のようなグラフが作成される。この図9を用いて具体的な判定アルゴリズムについて説明する。
【0073】
まず、排泄の有無の検出が行われる。制御部80は、自乗平均傾きmの値と所定の閾値Se(排泄閾値とする)との大きさを比較して(図8のS104)、自乗平均傾きmの値が排泄閾値Seよりも小さくなった場合(S104がYes)に尿取りパッド1内に排泄が行われたと判定する(S105)。
【0074】
図7A~図7Cで説明したように、尿取りパッド1内に尿等が排泄されると、排泄物検知センサー71の一対の導電部材71p,71p間が湿潤して通電するようになるため、検知されるインピーダンス値が急激に小さくなる。この性質を利用して、自乗平均傾きmが所定の閾値Seよりも小さくなった場合には、導電部材71p,71p間に尿等が排泄されたものと判定する。図9では時刻t1においてインピーダンスの移動平均値Zが急激に下降し始め、これに伴って自乗平均傾きmも負に転じ、時刻te1において排泄閾値Seよりも小さくなる。したがって、時刻te1の時点で尿または便が排泄されたものと判定される(排泄フラグ)。排泄閾値Seはあらかじめ実験等を行うことで最適な値が設定される。図9において排泄閾値Se=-0.002(1/s)である。
【0075】
なお、図9においては時刻te2(9:12分頃)でも自乗平均傾きmが排泄閾値Seよりも小さくなることから、時刻te2の時点で2回目の排泄が行われたと判定される。同様に、時刻te3(9:28頃)の時点でも自乗平均傾きmが排泄閾値Seよりも小さくなり、3回目の排泄が行われたと判定される。
【0076】
S105にて排泄が検出された場合、当該排泄が検出された時点から所定時間Tiの経過後に尿取りパッド1の交換判定が行われる(S106)。図9で、インピーダンスの移動平均値Zは時刻t1において急激に減少した後、時刻t2において反転して上昇している。これは、尿取りパッド1内に尿または便が排泄された場合、排泄が行われた直後は図7Bまたは図7Cに示されるように導電部材71p,71p間が湿潤しているのに対して、吸収性コア11が十分な吸水性を維持していれば、時間の経過とともに排泄された尿等が吸収されることにより導電部材71p,71p間が徐々に乾燥状態となり、再び通電しにくい状態(図7A参照)となるためである。したがって、時刻te1において尿または便が排泄されたものと判定された後、所定時間Tiが経過してから尿取りパッド1の交換判定を行うこととして、吸水性コア11によって水分が吸収される時間を確保する必要がある。排泄が行われた後に所定時間Tiを確保することにより、インピーダンスの移動平均値Zが一定の値に収束しやすくなり、データの大きな変動やばたつきの影響を除去することができる。すなわち、安定したデータを取得することが可能となり、尿取りパッド1の交換タイミング等について誤判定が発生することを抑制することができる。
【0077】
図9の例ではTi=300秒として、排泄検出後約5分後に尿取りパッド1の交換判定を行うようにしている。なお、移動平均値Zは2回目の排泄に際して時刻t3で再度下降し、時刻t4で上昇する。この場合も2回目の排泄が検出された時刻te2から所定時間Ti(=300秒)経過後に尿取りパッド1の交換判定を開始する。3回目の排泄についても同様であり、時刻t6で移動平均値Zが急激に下降することにより、時刻te3で排泄が検出された後所定時間Ti(=300秒)経過後に尿取りパッド1の交換判定が開始される。
【0078】
尿取りパッド1の交換判定は、インピーダンスの移動平均値Zと所定の閾値Sr(交換閾値とする)とを比較して(S107)、移動平均値Zの値が交換閾値Srよりも小さくなった場合(S107がYes)に交換タイミングであると判定され、表示装置90等に交換のための警告表示を行う(S108)。また、移動平均値Zの値が交換閾値Sr以上である場合には(S107がNo)、交換タイミングの警告は行われない。
【0079】
判定に際して、制御部80は、所定の長さを有する判定期間中における移動平均値Zの平均値と交換閾値Srとの大きさの比較を行う。例えば、図9の場合、時刻te1に1回目の排泄が検出された後、所定時間Ti(=300秒)が経過した時点から60秒間の判定期間(図9のD1で表される領域)において移動平均値Zの平均値と交換閾値Srとの大きさを比較する。1回目の排泄ではインピーダンスの移動平均値Zが判定期間D1の全域で交換閾値Srよりも大きな値を示しているため、尿取りパッド1を交換する必要はない。続いて、2回目の排泄の際には、時刻te2で排泄が検出された後、所定時間Ti(=300秒)が経過した時点から60秒間の判定期間(図9のD2で表される領域)において移動平均値Zの平均値と交換閾値Srとの大きさが比較される。そして、移動平均値Zの平均値が交換閾値Srよりも大きな値を示しているため、尿取りパッド1を交換する必要はないと判定される。なお、判定期間D2における移動平均値Zの大きさは、判定期間D1における移動平均値Zの大きさよりも小さくなっている。これは、2回分の排泄物を吸収したことによって吸収性コア11の吸収余力が小さくなっていることを示している。続いて、3回目の排泄の際には、時刻te3で排泄が検出された後、所定時間Ti(=300秒)が経過した時点から60秒間の判定期間(図9のD3で表される領域)において移動平均値Zの平均値と交換閾値Srとの大きさが比較される。この領域ではインピーダンスの移動平均値Zが判定期間D3の全域で交換閾値Srよりも小さな値を示しているため、尿取りパッド1を交換する必要があるものと判定され、使用者にその旨を知らせる警告が行われる。図9の例では、3回の排泄によって吸収性コア11による水分の吸収容量が限界に達したことがわかる。一方で、大量の尿が排泄された場合や便が排泄された場合には、一回で交換タイミングの警告が行われる場合もある。
【0080】
なお、上述の例では、判定期間中の移動平均値Zの平均値と交換閾値Srとを比較していたが、比較の方法はこの限りではない。例えば、判定期間中における移動平均値Zの最低値と交換閾値Srとの比較を行うようにしてもよい。この場合、判定期間D2において移動平均値Zが交換閾値Srよりも小さくなる場合があるため、2回目の排泄の段階で交換タイミングであると判定されることになる。」
(イ)甲4に記載されている事項
「おむつに排便してから、おむつが交換されるまでの間の時間を示す。」(第7頁第13~14行)
(ウ)甲5に記載されている事項
「【0005】
前記目的に沿う本発明に係る排泄予測方法は、被介護者の過去の介護記録を機械学習によって解析し、前記被介護者の排泄が発生するパターンを学習して、その学習結果から前記被介護者の排泄時間を予測する。
【0006】
本発明に係る排泄予測方法において、前記介護記録には、排尿データ、排便データ、水分摂取データ、及び食事データが含まれることが好ましい。」
「【0008】
本発明に係る排泄予測方法において、前記排尿データ又は前記排便データが記録された排泄時間Teに対し、介護記録入力遅れ時間α及び介護記録考慮時間βを設定し、時間Te-α-β~時間Te-αの間に記録された前記介護記録を用いて算出される排泄時間基準特徴量から前記排泄時間を予測することが好ましい。
【0009】
本発明に係る排泄予測方法において、前記排泄時間基準特徴量に加え、前記排泄時間Teに対し、γ時間前の非排泄時間Tne=Te-γを設定し、時間Tne-α-β~時間Tne-αの間に記録された前記介護記録を用いて算出される非排泄時間基準特徴量から前記排泄時間を予測することが好ましい。
【0010】
本発明に係る排泄予測方法において、前記介護記録は、電子化された介護記録システムに記録されたものであり、予測された前記排泄時間は、前記介護記録システムの表示部に表示されることが好ましい。」
「【0021】
まず、排泄時間の予測では、基本的に排泄が発生した時間を基準として、その直前の所定時間内における複数のデータから解析を行うが、介護記録は介護者が人為的に記録するものであり、データの保存(入力)間隔も一定ではない。特に、排泄時間については、排泄時に直ちに介護記録が入力されるとは限らず、真の排泄時間と排泄データが記録された時間とは必ずしも一致しない。つまり、真の排泄時間Te’に対し、介護記録上の(排尿データ又は排便データが記録された)排泄時間Teは、図1(A)に示すように、時間遅れα’を伴って記録されており、Te=Te’+α’の関係となっている。しかし、時間遅れα’はデータから推測することができず、その長さは記録の度に異なり、一定ではない。そこで、α時間の入力遅れがあった(αは実際のα’より長い可能性も短い可能性もある)ものと仮定し、図1(C)に示すように、介護記録入力遅れ時間αと、介護記録考慮時間βを設定する。これにより、介護記録の排泄時間Teを基準に、時間Te-α-β~時間Te-αの間に記録された介護記録のデータを抽出することができる。そして、抽出したデータを機械学習によって解析し、排泄時間基準特徴量を算出することにより、被介護者の排泄が発生するパターンを学習することができ、排泄時間の予測を行うことができる。」
(エ)甲6に記載されている事項
「【0011】
従って、本発明は、次の交換時までの排尿量を吸収するのに十分な吸収容量を有し、且つ吸収容量が排尿量を過剰に上回らない、次の交換時までの排尿量に応じた適度な吸収性能を有する吸収性物品を、効率良く用いること可能にする介護スケジュール提案装置、介護スケジュール提案方法及び介護スケジュール提案システムに関する。」
「【0019】
本第1実施形態では、吸収性物品10は、排尿センサー20が取り付けられた尿とりパッド11であり、おむつ本体(使い捨ておむつ)12と組み合わせて使うことが出来る。おむつ本体12は、図2に示すように、特開2015-119784号公報に記載の使い捨ておむつと同様の構成を備える。図2では、インナーとしての尿とりパッド11と、アウターとしてのおむつ本体(使い捨ておむつ)12とを組み合わせている。おむつ本体12は、内側の肌対向面側に尿とりパッド11が装着された本体部表面シート12aと、最も非肌対向面側に配された本体部裏面シート12bと、これら両シート12a,12bの間に配置された本体部吸収体12cとを有している。また、おむつ本体12には、幅方向Xにおける本体部吸収体12cの外方に、レッグギャザー形成用の本体部レッグ弾性部材(不図示)が、長手方向Yに伸長状態で配されている。本体部レッグ弾性部材(不図示)の収縮によって、レッグギャザー12dが形成されている。本体部表面シート12aの表面側には、さらに、例えば立体ギャザー(不図示)を形成するための、補助サイドシート(不図示)等を設けておくこともできる。」
「【0042】
本第1実施形態では、排尿センサー20に、データ収集部30が図1に示す如く接続されている。データ収集部30は、図5に示す複数の正電極21a及び複数の負電極21b(複数のセンサー素子20a)に、時間と共に周期的に変化するような電圧、例えば、所定周波数の矩形波となるような電圧を印加して、吸収体11cが吸収した尿の量に対応するインピーダンスの変化を収集し、収集したデータを、介護スケジュール提案システム1Sの後述するデータ取得部(排尿データ取得部)41へ送るようになっている。
【0043】
データ収集部30は、図6に示すように、インピーダンス変化を検出するインピーダンス検出部31と、インピーダンス検出部31で検出したインピーダンス変化データを保存するデータロガー32と、時刻データを出力するタイマー33とを含んで構成されている。」
「【0048】
本第1実施形態では、データ収集部30は、データロガー32が保存したデータを、無線通信でデータ取得部41であるタブレット型パーソナルコンピュータに送信する。データロガー32からデータ取得部41に送信されるデータは、インピーダンスZxの大きさに応じた電圧値の電圧データであり、該電圧データは時刻データと共に、無線通信でデータ取得部41に送信される。この電圧データを以下、インピーダンスの変化量のデータともいう。なお、データ収集部30からデータ取得部41へのデータの送信は有線で行ってもよい。
データ取得部41は、所定時間ごとに、データ収集部30のデータロガー32に保存されているインピーダンスの変化量のデータを取得し、取得データベース部42にそのデータを一旦保存する。そして、データ取得部41は、取得したインピーダンスの変化量のデータを、有線又は無線通信で介護スケジュール提案装置1の排尿データ演算部51に供給する。データ取得部41は、取得したインピーダンスの変化量のデータを、少なくとも1時間に1回、好ましくは1時間に複数回、より好ましくは15分間に1回、さらに好ましくは1~10秒に1回、排尿データ演算部51に供給する。」
「【0051】
本第1実施形態の介護スケジュール提案装置1は、所定のプログラムが組み込まれることで、尿を吸収する吸収性物品10の尿吸収量から取得された着用者の排尿量データを、排尿時刻データと共に記憶する排尿データ記憶部70と、吸収性物品10の尿吸収容量を含む物品情報を記憶する吸収性物品情報記憶部(吸収性物品情報テーブル)76と、吸収性物品10の交換時刻の候補とすることが可能な交換可能時刻又は交換可能時間帯を記憶する交換可能時記憶部(吸収性物品交換時刻記憶部)521と、吸収性物品10の交換スケジュールを提案する交換スケジュール提案部90とを含んで構成される。交換スケジュール提案部90は、交換スケジュール演算部81と交換スケジュール出力部91とを備えている。交換スケジュール出力部91は、情報出力部64及び表示部80を含んで構成される。交換スケジュール演算部81は、排尿データ記憶部70に記憶された排尿量データ及び排尿時刻データに基づいて、交換可能時記憶部521に記憶された交換可能時刻又は交換可能時間帯(本第一実施形態では、吸収性物品を交換可能な時刻である交換可能時刻)から選ばれた、仮に定めた一の交換時刻及び次の交換時刻である、着用開始候補時刻及び着用終了候補時刻によって定まる所定の時間帯における総排尿量を求める。また交換スケジュール演算部81は、求めた総排尿量と、吸収性物品情報記憶部76に記憶された吸収性物品10の尿吸収容量とを比較して、吸収性物品10の尿吸収容量が求められた総排尿量を下回らないように、吸収性物品若しくは所定の時間帯の少なくとも一方を求めるための演算(情報処理)を行う。交換スケジュール出力部91は、交換スケジュール演算部81において求められた吸収性物品若しくは所定の時間帯の少なくとも一方を含むスケジュール情報を提示する。」
「【0053】
さらに、本第1実施形態では、交換スケジュール演算部81は、好ましくは少なくとも24時間にわたって吸収性物品10若しくは所定の時間帯の少なくとも一方を求めるためのスケジュール演算を行い、交換スケジュール出力部91は、吸収性物品の1日の交換スケジュールを提示する、」(ママ)
「【0055】
データ取得部41は、排尿センサー20によって経時的に測定されるインピーダンスの変化量のデータを取得する。本第1実施形態では、インピーダンスの変化量は、前述のデータ収集部30において、データロガー32に出力される電圧データに対応しており、各時刻において吸収性物品10に吸収された尿の量、即ち尿吸収量にも対応する。インピーダンスの経時的な変化は、インピーダンスの変化量のデータとして、データ収集部30のデータロガー32からデータ取得部41を介して排尿データ演算部51に供給される。
排尿検出部512は、インピーダンスの変化から排尿のタイミングすなわち排尿時刻を検出する。即ち、排尿検出部512は、測定されたインピーダンス変化が排尿によるものか、又はノイズであるかを判定する。排尿であることが検出された場合、排尿データ演算部51は、排尿と判定された時刻を示す情報を排尿時刻演算部511に、インピーダンス変化量を尿吸収量演算部513に、各々供給する。
なお、尿吸収量を正確に求めるために、データ収集部30に加速度センサーを設けておき、加速度センサーによっておむつの傾きを検出して、検出したおむつの傾きからインピーダンスの変化量のデータを補正できるようにすることが好ましい。」
「【0066】
本第1実施形態では、交換スケジュール提案部90における交換スケジュール演算部81は、尿吸収総量演算部523と尿吸収最大量取得部524とで構成される総排尿量演算部525と、吸収性物品選択部63とを備えている(図7参照)。尿吸収総量演算部523は、所定の時間帯の前記尿吸収量の合計である総排尿量を算出する。総排尿量とは、所定の時間帯の尿吸収量の合計であり、該所定の時間帯において着用された吸収性物品に排出された排尿量の総量、即ち所定の時間帯における排尿の累積量でもある。すなわち、尿吸収総量演算部523は、交換可能時記憶部である吸収性物品交換時刻記憶部521に記憶された交換可能時刻又は交換可能時間帯の一例である交換時刻(交換予定時刻)から選ばれた、データ収集開始時及びデータ収集終了時に相当する2つの時刻によって定まる、所定の時間帯における総排尿量を算出する。例えば、午前9時から午後1時までの第1時間帯において、着用者が、午前9時半に50mL、午前10時に70mL、及び午前12時に30mL排尿した場合、第1時間帯の総排尿量は150mLとなる。総排尿量演算部525は、排尿時刻と排尿量が保存された排尿スケジュールテーブル75から、所定の時間帯における総排尿量を求め、該総排尿量を排尿スケジュールテーブル75の定められた領域に記憶する。
【0067】
本第1実施形態では、交換スケジュール演算部81における吸収性物品選択部63は、吸収性物品情報テーブル76に記憶されている吸収性物品の情報の中から、総排尿量よりも吸収容量が大きくて近い吸収性物品を選択することで、当該所定の時間帯において用いるのが好ましい吸収性物品を選択し、特定する演算を行う。「総排尿量よりも吸収容量が大きくて近い」吸収性物品とは、総排尿量よりも吸収容量が大きい吸収性物品であって、該吸収性物品のうち吸収容量が最小である(最も近い)ものを意味する。例えば、吸収性物品情報テーブル76に、吸収容量が300mLの吸収性物品A、600mLの吸収性物品B、900mLの吸収性物品C、1200mLの吸収性物品D、1500mLの吸収性物品E、1800mLの吸収性物品Fが記憶されている場合、第1時間帯の総排尿量が600mLであると、吸収性物品選択部63は、吸収容量が600mLを超える吸収性物品C乃至Fの内、該吸収容量が最小である吸収性物品Cを、第1時間帯の吸収性物品として選択する。また、第2時間帯の総排尿量が1000mLであると、吸収性物品選択部63は、吸収容量が1000mLを超える吸収性物品D乃至Fの内、該吸収容量が最小である吸収性物品Dを、第2時間帯の吸収性物品として選択する。本第1実施形態では、一日、すなわち24時間にわたってスケジュール演算を行い、用いる吸収性物品を求めている。
【0068】
交換スケジュール提案部90における交換スケジュール出力部91は、吸収性物品選択部63により選択された吸収性物品の情報を出力する。本第1実施形態では、介護スケジュール提案装置1は、情報処理装置100の表示部80に、吸収性物品選択部63により選択された吸収性物品の情報を出力する。本第1実施形態では、上に述べた如く、一日すなわち24時間にわたって行ったスケジュール演算の結果を以下のように表示する。すなわち、この表示部80には、例えば図8(a)に示すように、第1時間帯である午前9時から午後1時までの時間帯に吸収性物品Bを、第2時間帯である午後1時から午後4時までの時間帯に吸収性物品Aを、第3時間帯である午後4時から午後7時までの時間帯に吸収性物品Cを、第4時間帯である午後7時から翌朝の午前9時までの時間帯に吸収性物品Eをそれぞれ用いることを提案する情報が表示され提示される。交換スケジュール出力部91が出力する吸収性物品の情報は、図8(a)に示す吸収性物品の種類名や吸収容量の表示に代えて、吸収性物品10の吸収容量を段階的に示す文字、記号、色であってもよい。例えば図8(b)に示すように、吸収性物品A~Fを吸収容量が小さい順に小、中小、中、中大、大、及び特大とそれぞれ表示してもよい。
このように、交換スケジュール出力部91により出力され、提示された情報に基づき、介護者等は、各所定の時間帯の排尿量に応じた吸収性能を有する、好ましい吸収性物品を用いることができる。」
「【0075】
本第1実施形態では、交換スケジュール提案部90は、交換スケジュール出力部91を備えており、交換スケジュール出力部91は、吸収性物品選択部63により選択された吸収性物品の情報を出力する。交換スケジュール出力部91は、吸収性物品の情報と共に、被介護者の排尿パターンのデータ情報を出力してもよい。排尿パターンのデータ情報は、排尿時刻及び尿吸収量のデータ情報を指す。例えば、図9に示すように、前記選択された吸収性物品の情報と共に、排尿パターンのデータ情報を、介護スケジュール提案装置1である情報処理装置100の表示部80等に出力しても良い。図9に示す排尿パターンのデータ情報は、15分毎の尿吸収量を、その量に対応する色の濃淡で表している。具体的には、尿吸収量が100mL以下では「少」、200mL以下では「中」、300mL以下では「多」として、これら「少」、「中」及び「多」に対応した色の濃淡で尿吸収量を表している。即ち、色が濃いほど、尿吸収量が多く、色がうすいほど、尿吸収量が少ない。例えば、19時~9時の第4時間帯における総排尿量は、第1日目は500mL、第2日目は500mL、第3日目は700mLとなる。前述のように、吸収性物品情報テーブル76に吸収性物品A乃至Fが記憶されている場合、第4時間帯における総排尿量の最大値は第3日目の700mLとなるため、介護スケジュール提案装置1は、吸収容量が700mLを超える吸収容量を有する吸収性物品C乃至Fの中から、該吸収容量が最小のものである吸収性物品Cを選択し、提案する。
尿吸収量は、図9に示すように、その量に対応する色の濃淡又は色で段階的に表しても良く、該尿吸収量に対応する文字、記号等で段階的に表してもよい。」
「【0082】
本第1実施形態の介護スケジュール提案システム1Sは、例えば介護施設や一般家庭において、尿を吸収する吸収性物品に取り付けられた排尿センサー20を用いて、被介護者の排尿量及び排尿時刻に関する排尿情報を取得して、個々の着用者に適した吸収性物品や交換時刻などを介護者に提案する目的で用いることができる。」
[図:0001390580000002.jpg]
【図9】
(オ)甲7に記載されている事項
「【0026】次に、放置時間算出手段58は、排泄テーブル60から排泄時刻t1及び交換時刻t2を読み出し、交換時刻t2と排泄時刻t1との差時間(t2-t1)を排泄後に放置された放置時間Tとして算出し(ステップS21)、算出された放置時間Tの時刻情報を排泄テーブル60に記憶させる(ステップS23)。」
「【0028】次に、肌荒れ危険度判定手段59は、排泄テーブル60から放置時間Tを読み出し、この放置時間Tがしきい値TH以上かどうかを判定し(ステップS27)、放置時間Tがしきい値TH以上である場合には、肌荒れ注意を示す情報をその放置時間Tと対応付けて排泄テーブル60に記憶させる(ステップS29)。さらに、排泄テーブル60から全ての放置時間Tの読出を終了したかどうかが調べられ(ステップS31)、全ての放置時間Tの読出を終了していない場合には、ステップS27に戻り、ステップS27からステップS31の処理が繰り返し行われる。」
「【0030】図4において、排泄から交換までの放置時間が1時間以上(例えば1:35、1:05等)である場合には、肌荒れ注意というコメントが付加されている。また、1日における各排泄時の放置時間を合計して1日の放置時間を算出し(例えば3:15、2:45等)、この1日の放置時間が5時間以上(例えば5:25等)である場合には、肌荒れ注意というコメントが付加されている。そして、排泄テーブル60から放置時間や肌荒れ注意の情報を読み出して、表示手段53に表示する。なお、放置時間のしきい値は、介護対象者の肌の状態や年齢、性別、活動度(ADL)等から任意に設定することができる。」
「【0032】また、放置時間を表示することで、おむつの交換時刻の目安を介護者に提供し、排泄のチェックを簡略化したり、放置時間を集中管理することで、おむつ交換のスケジュールを作成することができる。」
エ 主張の検討
(ア)本件発明1~4、7、10について
訂正前請求項1~4、7、10は、本件訂正により削除された。このため、申立ての対象がなくなった(申立人の上記イ(ア)~(オ)、(ク)、(サ)の主張)。
(イ)本件発明5について
上記「第6」の1(1)ア(エ)のとおり、本件発明5は、「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成を有するのに対し、引用発明1A(甲3に記載された発明)は、そのような構成を有していない点で相違し(相違点5E)、その判断は上記「第6」の1(1)イ(ウ)のとおりであるから、引用発明1A、引用文献1(甲3)に記載された技術的事項及び引用文献2(甲1)に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
また、甲2、甲4~甲7には上記イのとおりの記載があるものの、本件発明5の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」ことは、記載されておらず示唆もされていない。
このため、甲1~甲7をどのように組み合わせても、上記相違点5Eの構成には至らない。
なお、申立人は、当該相違点の構成(訂正前請求項7の構成)について、甲4、甲7の記載に基づき容易になし得たものであると主張(申立書40ページ)しているが、甲4には「おむつに排便してから、おむつが交換されるまでの間の時間を示す。」との記載、甲7にはおむつに排泄された後の放置時間と肌荒れの危険度とから、おむつの交換時間の目安を提供する技術思想についての記載があるものの、上記相違点5Eに相当する記載はなく、また、上記相違点5Eに係る具体的な構成は、上記甲4、甲7の抽象的な記載から、当業者が容易に想到し得たものであるということもできない。
よって、申立人の上記イ(カ)の主張に理由はない。
(ウ)本件発明6、8、9について
本件発明6、8、9は、本件発明5を引用する発明であるから、本件発明6、8、9は、本件発明5の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成(相違点5Eの構成)を備える点で引用発明1Aと相違し、上記(イ)のとおりであるから、甲1~甲7をどのように組み合わせても、上記相違点5Eの構成には至らない。
よって、申立人の上記イ(キ)、(ケ)及び(コ)の主張に理由はない。
(エ)本件発明11について
上記「第6」の1(3)イのとおり、本件発明11は、「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有し、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成を有するのに対し、引用発明1Aは、「投薬の内容及び時刻を示す投薬情報」を取得していないため、「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有しておらず、さらに、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成を有していない点で相違し(相違点11C)、その判断は上記「第6」の1(3)ウのとおりであるから、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
また、甲2、甲4~甲7には上記イのとおりの記載があるものの、本件発明11の「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有し、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」ことは、記載されておらず示唆もされていない。
このため、甲1~甲7をどのように組み合わせても、上記相違点11Cの構成には至らない。
なお、申立人は、当該相違点の構成(訂正前請求項11の構成)について、甲1(特に段落0048)の記載に基づき容易になし得たものであると主張(申立書43ページ)しているが、当該記載では、製品着用者に関し、質問を提示し、その回答に基づいて排泄情報を導き出す際に、薬剤の使用等に関する質問を含むことは開示されているものの、これ以上の技術事項は開示がなく、上記相違点11Cの構成を、当該記載に基づいて、当業者が容易に導き出すことができたということはできない。
よって、申立人の上記イ(シ)の主張に理由はない。
(オ)本件発明12、13について
本件発明12、13は、本件発明5又は11を引用する発明であるから、本件発明12及び13は、本件発明5の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成(相違点5Eの構成)、本件発明11の「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有し、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成(相違点11C)を備える点で引用発明1Aと相違し、その判断は上記(イ)及び(エ)のとおり、甲1~甲7のどのように組み合わせても、上記相違点5E又は上記相違点11Cの構成には至らない。
よって、申立人の上記イ(ス)及び(セ)の主張に理由はない。
(カ)本件発明14について
上記「第6」の1(5)イのとおり、本件発明14は、「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」構成を有するのに対し、引用発明1Aは、「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力作成する」構成を有していない点で相違し(相違点14C)、上記「第6」の1(5)ウのとおりであるから、引用発明1A、引用文献1に記載された技術的事項及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。
そして、甲2、甲4~甲7には上記イのとおりの記載があるものの、本件発明14の「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」ことは、記載されておらず示唆もされていない。
このため、甲1~甲7をどのように組み合わせても、上記相違点14Cの構成には至らない。
なお、申立人は、当該相違点の構成(訂正前請求項14の構成)について、甲6の段落0075、図9の記載に基づき容易になし得たものであると主張(申立書44~45ページ)しているが、甲6には「次の交換時までの排尿量を吸収するのに十分な吸収容量を有し、且つ吸収容量が排尿量を過剰に上回らない、次の交換時までの排尿量に応じた適度な吸収性能を有する吸収性物品を、効率良く用いること可能にする介護スケジュール提案装置、介護スケジュール提案方法及び介護スケジュール提案システムに関する」(段落0011等)技術事項は開示されているものの、食事の提供に関する記載はなく、また、段落0075には、「交換スケジュール出力部91は、吸収性物品の情報と共に、被介護者の排尿パターンのデータ情報を出力してもよい。排尿パターンのデータ情報は、排尿時刻及び尿吸収量のデータ情報を指す。例えば、図9に示すように、前記選択された吸収性物品の情報と共に、排尿パターンのデータ情報を、介護スケジュール提案装置1である情報処理装置100の表示部80等に出力しても良い。」ことが記載されているものの、交換スケジュールにおいて、排尿がない時間帯に食事を提供することは、記載も示唆もされておらず、上記相違点14Cの構成を、甲6の記載に基づいて、当業者が容易になし得たものであるということはできない。
よって、申立人の上記イ(ソ)の主張に理由はない。
(キ)本件発明15、16について
本件発明15、16は、本件発明5、11又は14のいずれか一項を引用する発明であるから、本件発明15及び16は、本件発明5の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成(相違点5Eの構成)、本件発明11の「前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部」を有し、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」構成(相違点11C)、本件発明14の「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」構成(相違点14C)を備える点で引用発明1Aと相違し、その判断は上記(イ)、(エ)及び(カ)のとおりであるから、甲1~甲7をどのように組み合わせても、上記相違点5E、上記相違点11C又は上記相違点14Cの構成には至らない。
よって、申立人の上記イ(タ)及び(チ)の主張に理由はない。
(ク)本件発明17~19について
訂正前請求項1は削除されたことから、申立ての対象がなくなったものの、本件発明17、18は、本件発明5とカテゴリーが異なる発明であり、本件発明19は、本件発明5の構成を含む発明である。
本件発明17及び本件発明18は、本件発明5とカテゴリーが異なる発明にすぎず、実質的に上記(イ)のとおりであるから、甲1~甲7をどのように組み合わせても、上記相違点5Eに対応する構成(本件発明17の「前記推薦情報を出力するステップにおいて」、「過去の前記排泄時時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて対応目安時間を決定し」との構成、本件発明18の「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」との構成)には至らない。
また、本件発明19は、本件発明5の構成を含む発明であり、実質的に上記(イ)のとおりであるから、甲1~甲7をどのように組み合わせても、上記相違点5Eに対応する上記相違点19Eの構成には至らない。
よって、申立人の上記イ(ツ)及び(テ)の主張に理由はない。
(2)特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について
ア 申立人の主張の概要
(ア)訂正前請求項1の「被介護者の近傍に設けられたセンサー」とは、センサーがどこに設けられているのかが不明確である。
(イ)訂正前請求項1の「前記被介護者の過去の…情報出力部と、」について、どのような情報処理により、過去の排泄時点の情報に基づいて、介護業務を実施することが推奨される時を示す推薦情報を作成するのかが明確でない。次のケース1、2が考えられるところ、ケース1について、訂正前請求項1の記載まで上位概念化できない。
(ケース1)排泄を行った(過去の排泄時点)から、排泄物を処理するまでの望ましい時間を示す推薦情報(介護業務の実施が推薦される時を示す推薦情報)を出力する。
(ケース2)過去の排泄時点(過去の排泄時点)から、次回排泄をする可能性が高い時間帯を予測し、予測した時間帯を示す推薦情報(介護業務の実施が推薦される時を示す推薦情報)を出力する。
(ウ)上記(イ)のため、訂正前請求項1は、過去の排泄時点から、どのような情報処理により推薦情報を作成するのかが明確でない。具体的にどのような推薦情報が作成され、提供されるのかが明確でなく、このため、排泄があったからすぐに排泄物を処理するように通知するといった処理を示しているのか、それとも、排泄があった時間の傾向から、将来の排泄があるであろう時間を予測し、予測時間に排泄物の処理をするように示す推薦情報を生成しているのか明確でない。
(エ)訂正前請求項1は、作成した推薦情報の出力先については限定されておらず、例えば、被介護者に対して出力することを含むが、このような出力を行った場合、課題を解決することができない。
(オ)訂正前請求項2~16、及び、訂正前請求項17~19は、上記(ア)~(エ)のため、明確でない。
(カ)訂正前請求項2を引用する訂正前請求項5は、「推薦情報」が、「排泄時点からの経過時間」であるのか「対応目安時間」であるのか、両方とも含むのかが明確ではなく、「対応目安時間」とは、「排泄時点からの経過時間」と同一であるともいえない。
このため、訂正前請求項5を引用する訂正前請求項6~16も明確ではない。
(キ)訂正前請求項3を引用する訂正前請求項5は、「推薦情報」が、「次に前記被介護者が排泄する可能性がある時間帯」であるのか「対応目安時間」であるのか、両方とも含むのかが明確ではなく、「次に前記 介護者が排泄する可能性がある時間帯」と「対応目安時間」とを同一視できる理由も見当たらない。
このため、訂正前請求項5を引用する訂正前請求項6~16も明確ではない。
(ク)訂正前請求項1は、推薦情報が「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を示すものであるが、どのような情報処理により、これを算出するのかが明確ではなく、訂正前請求項11の「投薬の内容」や「投薬の時刻」の情報を、「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」へと加工する情報処理が、本件の出願時において当業者であれば当然に導き出すことができる理由もない。
このため、訂正前請求項11を引用する訂正前請求項12~16も明確ではない。
(ケ)訂正前請求項11は、上記(ク)のとおり明確でなく、また、訂正前請求項11が引用する訂正前請求項1は、上記(イ)のケース1のような技術を含むこととなるため、先ほど排泄したから、食事の提供を実施することを推薦するといった技術を含んでしまい、その技術的意味が不明確となる。
このため、訂正前請求項14を引用する訂正前請求項15~16も明確ではない。
イ 主張の検討
(ア)上記ア(ア)の主張について
訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5は、「被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて」との構成を含み、このときの「近傍」とは、センサーが被介護者被介護者に関する情報を検知できる程度の範囲を「近傍」としていることは技術常識である。このため、本件発明5の記載は明確である。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(イ)上記ア(イ)の主張について
訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5の「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部」には、「前記被介護者の過去の前記排泄時点」に基づいて、「前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報」を「作成」することが特定されており、本件発明5の記載は明確である。そして、具体的な処理内容まで特定される必要はない。また、上位概念化か否かは、明確性要件の判断とは無関係である。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(ウ)上記ア(ウ)の主張について
訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5は、「前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す」推薦情報を作成すればよく、本件発明5の記載は明確であって、具体的な情報処理の内容を限定する必要はない。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(エ)上記ア(エ)の主張について
訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5は、「前記推薦情報を出力する」処理を行うことが明確に特定されており、出力先まで限定される必要はなく、本件発明5の記載は明確である。なお、課題を解決することができるか否かは、明確性要件の判断とは無関係である。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(オ)上記ア(オ)の主張について
上記(ア)~(エ)のとおりであるから、申立人が主張する訂正前請求項1をその構成に含む本件発明11、14の記載は明確であり、本件発明5、11、14のいずれかを引用する本件発明6、8、9、12、13、15、16の記載も明確である。さらに、本件発明5とカテゴリーの異なる本件発明17、18の記載、本件発明5をその構成に含む本件発明19の記載も明確である。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(カ)上記ア(カ)及び(キ)の主張について
訂正前請求項2、3は本件訂正により削除されたことから、申立人の主張の根拠となる記載は存在せず、本件発明5の記載は明確である。
このため、本件発明5を引用する本件発明6、8、9、12、13、15、16も明確である。
(キ)上記ア(ク)の主張について
訂正前請求項1をその構成に含む本件発明11について、上記(イ)のとおり、訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5は明確であり、本件発明11には、「情報出力部」が、「前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」ことが特定されており、本件発明11の記載は明確である。なお、具体的な処理内容まで特定される必要はない。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
このため、本件発明11を引用する本件発明12、13、15、16も明確である。
(ク)上記ア(ケ)の主張について
訂正前請求項1をその構成に含む本件発明14について、上記(イ)のとおり、訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5は明確であるから、本件発明14の記載も明確である。なお、具体的な処理内容まで特定される必要はない。
よって申立人の当該主張に理由はない。
なお、本件訂正により、本件発明14は、訂正前請求項11を引用しないものとなったことから、訂正前請求項11を引用する訂正前請求項14に対する主張の根拠となる記載は存在しない。
このため、本件発明14を引用する本件発明15、16も明確である。
(3)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
ア 申立人の主張の概要
(ア)訂正前請求項1~19は、上記(2)ア(イ)のケース1、2を含んでいる。しかしながら、ケース1に示すように、排泄を行ったからことを契機とするような推薦情報を提供するような実施形態が記載されていない。また、訂正前請求項1の記載では、推薦情報の出力先が明確ではないため、課題を解決する手法を含んでいない。
このため、訂正前請求項1を引用する訂正前請求項2~16、及び、訂正前請求項17~19も、発明の詳細な説明に記載したものではない。
(イ)上記(2)ア(カ)及び(キ)のとおりであるから、訂正前請求項5に記載された「推薦情報」は、訂正前請求項2、3との対応において明確ではなく、これに対応する記載も本件特許明細書には記載されていない。
このため、訂正前請求項5を引用する訂正前請求項6~16も、発明の詳細な説明に記載したものではない。
(ウ)訂正前請求項11の記載について、上記(2)ア(ク)のとおりであり、本件特許明細書段落0081~0085には、「薬の種類」から「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を決定する点については、開示がされていない。また、「投薬方法」から「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を決定する点については、開示がされていない。
このため、訂正前請求項11を引用する訂正前請求項12~16も、発明の詳細な説明に記載したものではない。
(エ)訂正前請求項14の記載について、上記(2)ア(ケ)のとおりであり、また、本件特許明細書段落0077~0081を参酌しても、先ほど排泄したから、食事の提供を実施することを推薦するための情報処理については、開示されていない。
このため、訂正前請求項14を引用する訂正前請求項15~16も、発明の詳細な説明に記載したものではない。
イ 主張の検討
(ア)上記ア(ア)の主張について
訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5には、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報」と記載されており、「前記被介護者の過去の前記排泄時点」に「基づいて」、「前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務」を「前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を示す「推薦情報」が特定されるのみである。
申立人は、「排泄を行ったからことを契機」(ママ)と主張(排泄を行ったことを契機とすることを主張していると解釈)するものであるから、本件発明5の「前記被介護者の過去の前記排泄時点」に「基づいて」との記載に基づく主張ではない。なお、申立人が主張するケース1は、「排泄を行った(過去の排泄時点)から、排泄物を処理するまでの望ましい時間を示す推薦情報(介護業務の実施が推薦される時を示す推薦情報)を出力する。」とするのみで、推薦情報の出力は、排泄を行ったことを契機とするとしていない。
また、本件発明5の「介護支援装置」は、本件特許明細書段落0027の「介護支援システムS1は、例えば介護施設又は病院のように被介護者を介護する必要がある施設(以下、「介護施設等」という。)において介護者の介護業務を支援するためのシステムである。」、同0029の「介護支援システムS1は、センサー1と、情報端末2と、介護支援装置3とを備える。」、同0032の「介護支援装置3は、例えばコンピュータであり、センサー1から送信されたにおい信号に基づいて、介護者の介護業務を支援するために有用な各種の情報を作成し、作成した情報を出力する。」との記載から、介護者を支援するための装置であるから、コンピュータである「介護支援装置」が推薦情報を出力することで、課題を解決できることは明らかである。
そうすると、訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5は本件特許明細書に記載した範囲内のものである。
同様に、訂正前請求項1をその構成に含む本件発明11、14も本件特許明細書に記載した範囲内のものである。そして、本件発明5、11、14のいずれかを引用する本件発明6、8、9、12、13、15、16も本件特許明細書に記載した範囲内のものである。さらに、本件発明5とカテゴリーの異なる本件発明17、18、本件発明5をその構成に含む本件発明19も本件特許明細書に記載した範囲内のものである。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(イ)上記ア(イ)の主張について
訂正前請求項2、3は本件訂正により削除されたことから、申立人の主張の根拠となる記載は存在せず、本件発明5は本件特許明細書に記載された事項の範囲内のものである。
このため、訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5を引用する本件発明6、8、9、12、13、15、16も本件特許明細書に記載した範囲内のものである。
(ウ)上記ア(ウ)の主張について
本件発明11の記載は、上記理由(2)イ(ク)のとおり明確であり、明確性要件は、サポート要件とは無関係である。
また、本件発明11には、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し」、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」ことが特定されるものであって、「前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成する」ことについては、本件特許明細書段落0081には「そこで、情報取得部351が、被介護者に対する投薬の内容及び時刻を含む投薬情報をさらに取得し、情報出力部354は、投薬情報にさらに基づいて推薦情報を作成してもよい。」、同0082には「情報出力部354は、投薬をするべき時間帯における、各被介護者の排泄時点から現在時点までの経過時間に算出した投薬所要時間を加算した時間が対応目安時間を超えない時間帯を、投薬を行うべき時間帯として示す推薦情報を出力する。」と記載されており、本件発明11は、本件特許明細書に記載されている範囲内のものである。
このため、本件発明11を引用する本件発明12、13、15、16は本件特許明細書に記載した範囲内のものである。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(エ)上記ア(エ)の主張について
本件発明14の記載は、上記理由(2)イ(ケ)のとおり明確であり、明確性要件は、サポート要件とは無関係である。
また、本件発明14には、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し」、「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」ことが特定されるものであって、「前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力する」ことについては、本件特許明細書段落0079に、「具体的には、情報出力部354は、食事の提供が可能な時間帯における、各被介護者の排泄時点から現在時点までの経過時間に食事の提供に要する時間を加算した時間が対応目安時間を超えない時間帯を、食事の提供を行うべき時間帯として示す推薦情報を出力する。」と記載されており、本件発明14は、本件特許明細書に記載されている範囲内のものである。
このため、本件発明14を引用する本件発明15、16も本件特許明細書に記載した範囲内のものである。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(4)特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について
ア 申立人の主張の概要
(ア)訂正前請求項1~19に係る発明について、本件特許明細書には、上記(2)ア(イ)のケース1に示すように、排泄を行ったことを契機として推薦情報を提供するような実施形態が記載されていない。また、このように推薦情報を提供した場合、「介護者は多数の業務を抱えていることが多いので、常に迅速に排泄物を処理できるとは限らない」という課題をどのようにして解決しているのか、当業者が実施可能な程度に本件特許明細書には記載がなされていない。
(イ)上記(2)ア(カ)(キ)のとおりであるから、訂正前請求項5に係る発明について、本件特許明細書には、「排泄時点からの経過時間」であり、かつ、「対応目安時間」であるような何かしらの情報については、当業者が実施可能な程度に記載がなされていない。
また、本件特許明細書には、「次に前記被介護者が排泄する可能性がある時間帯」であり、かつ「対応目安時間」であるような何かしらの情報については、当業者が実施可能な程度に記載がなされていない。
このため、訂正前請求項5を引用する訂正前請求項6~16も、当業者が実施可能な程度に記載がなされていない。
(ウ)訂正前請求項11に係る発明について、上記(2)ア(ク)のとおりであり、本件特許明細書には、「投薬の内容」の情報を、「介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」へと加工する情報処理については、記載がなされておらず、どのようにして当業者が実施すればよいのか、当業者が実施可能な程度に本件特許明細書には記載がなされていない。
このため、訂正前請求項11を引用する訂正前請求項12~16も、当業者が実施可能な程度に記載がなされていない。
(エ)訂正前請求項14に係る発明について、上記(2)ア(ク)のとおりであり、また、本件特許明細書の段落0077~0081を参酌しても、先ほど排泄したから、食事の提供を実施することを推薦するための情報処理については、当業者が実施可能な程度に本件特許明細書には記載がなされていない。
このため、訂正前請求項14を引用する訂正前請求項15~16も、当業者が実施可能な程度に記載がなされていない。
イ 主張の検討
(ア)上記ア(ア)の主張について
上記(3)イ(ア)のとおり、本件発明5には、「前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報」と記載されるものであって、「前記被介護者の過去の前記排泄時点」に「基づいて」、「前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務」を「前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時」を示す「推薦情報」が特定されるのみである。
そのため、申立人の「排泄を行ったことを契機として推薦情報を提供する」との主張は、本件発明5の記載に基づいておらず、実施可能要件とは無関係の主張である。なお、「このように推薦情報を提供した場合、「介護者は多数の業務を抱えていることが多いので、常に迅速に排泄物を処理できるとは限らない」という課題をどのようにして解決しているのか」との主張については、本件訂正により、訂正前請求項1をその構成に含む本件発明5は「前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力し」、「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成を含むことになり、本件特許明細書段落0066、0069に具体的な説明がされていることから、本件特許明細書には、当業者が本件発明5を実施可能することができる程度に明確かつ十分に記載されている。さらに、訂正前請求項1をその構成に含む本件発明11、14については、それぞれ、上記(3)イ(ウ)、及び、上記(3)イ(エ)のとおり、本件特許明細書に記載されており、当業者が本件発明11、14を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されており、さらに、本件発明5、11、14のいずれかを引用する本件発明6、8、9、12、13、15、16についても、本件特許明細書には、当業者がこれらの発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。また、本件発明5とカテゴリーの異なる本件発明17、18、及び、本件発明5をその構成に含む本件発明19についても、本件特許明細書には、当業者がこれらの発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(イ)上記ア(イ)の主張について
本件発明5は、本件訂正により、「前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定する」構成を含むことになり、本件特許明細書段落0069に具体的な説明がされていることから、本件特許明細書には、当業者が本件発明5を実施可能することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
このため、本件発明5を引用する本件発明6、8、9、12、13、15、16について、本件特許明細書には、当業者がこれらの発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
(ウ)上記ア(ウ)の主張について
上記(ア)のとおり、本件特許明細書段落0081、0082には、「投薬」に関する事項が記載されており、本件特許明細書には、当業者が本件発明11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
このため、本件発明11を引用する本件発明12、13、15、16についても、本件特許明細書には、当業者がこれらの発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
よって、申立人の当該主張に理由はない。
(エ)上記ア(エ)の主張について
上記(ア)のとおり、本件特許明細書段落0079には「具体的には、情報出力部354は、食事の提供が可能な時間帯における、各被介護者の排泄時点から現在時点までの経過時間に食事の提供に要する時間を加算した時間が対応目安時間を超えない時間帯を、食事の提供を行うべき時間帯として示す推薦情報を出力する。」と記載されており、本件特許明細書には、当業者が本件発明14を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
このため、本件発明14を引用する本件発明15、16について、本件特許明細書には、当業者がこれらの発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
よって、申立人の主張に理由はない。
5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項5、6、8、9、11~19に係る特許を取り消すことはできない。
また、請求項1~4、7、10は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1~4、7、10に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701254