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特許異議申立

2021-700020

情報処理装置、カメラ制御方法、プログラム、カメラ装置、および画像処理システム

審判番号
2021-700020
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-056446
登録番号
6721076
請求日
2021年01月08日
審決日
2022年06月30日
公報発行日
2022年09月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日本電気株式会社
  • 【権利者代理人】速水 進治
  • 【異議申立人】木村 靖
審判長/審判官
  • 審判長 五十嵐 努
  • 審判官 渡辺 努
  • 審判官 川崎 優
分類
P1651.113-YAA(H04N) / P1651.121-YAA(H04N) / P1651.537-YAA(H04N) / P1651.851-YAA(H04N) / P1651.853-YAA(H04N) / P1651.854-YAA(H04N) / P1651.855-YAA(H04N) / P1651.841-YAA(H04N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6721076号発明「情報処理装置、カメラ制御方法、プログラム、カメラ装置、および画像処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6721076号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕、〔12、13〕について訂正することを認める。 特許第6721076号の請求項1、2、5~9、10~11、12~13に係る特許を維持する。 特許第6721076号の請求項3、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6721076号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成31年3月25日に出願されたものであって、令和2年6月22日にその特許権の設定登録(特許公報発行日 令和2年7月8日)がされた。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和3年 1月 8日 :特許異議申立人木村靖により本件の請求項1~13の特許に対する特許異議の申立て及び甲第1号証~甲第6号証の提出 同年 6月29日付け:取消理由通知 同年 8月27日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求 同年10月25日 :特許異議申立人による意見書及び甲第7号証、甲第8号証の提出 以下、令和3年8月27日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。 第2 本件訂正について 1 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「 人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備える情報処理装置。」 とあるのを、 「 人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備え、 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する情報処理装置。」 に訂正する。 請求項1を引用する請求項2,5~9も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、 「 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる複数の前記カメラ設定が存在する場合、前記カメラ設定毎に算出される前記スコアの統計処理値を用いて、前記推奨設定を決定する、 請求項4に記載の情報処理装置。」 とあるのを、 「 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる複数の前記カメラ設定が存在する場合、前記カメラ設定毎に算出される前記スコアの統計処理値を用いて、前記推奨設定を決定する、 請求項1又は2に記載の情報処理装置。」 に訂正する。 請求項5を引用する請求項6~9も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に、 「 前記推奨設定決定手段は、所定期間毎に前記推奨設定を決定する、 請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。」 とあるのを、 「 前記推奨設定決定手段は、所定期間毎に前記推奨設定を決定する、 請求項1,2,5のいずれか1項に記載の情報処理装置。」 に訂正する。 請求項6を引用する請求項7~9も同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に、 「 前記推奨設定決定手段は、前記カメラの動作タイミングに基づく時間的条件毎に前記推奨設定を決定する、 請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。」 とあるのを、 「 前記推奨設定決定手段は、前記カメラの動作タイミングに基づく時間的条件毎に前記推奨設定を決定する、 請求項1,2,5,6のいずれか1項に記載の情報処理装置。」 に訂正する。 請求項7を引用する請求項8,9も同様に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に、 「 前記認証処理を実行する認証手段を更に備える、 請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。」 とあるのを、 「 前記認証処理を実行する認証手段を更に備える、 請求項1,2,5~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。」 に訂正する。 請求項8を引用する請求項9も同様に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項10に、 「 コンピュータが、 画像に写る人物の認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積し、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定し、 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御する、 ことを含むカメラ制御方法。」 とあるのを、 「 コンピュータが、 画像に写る人物の認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積し、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定し、 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御し、 複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する、 ことを含むカメラ制御方法。」 に訂正する。 請求項10を引用する請求項11も同様に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項12に、 「 カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラと、 前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段と、 前記認証処理で得られたスコアと、前記カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備える画像処理システム。」 とあるのを、 「 カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラと、 前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段と、 前記認証処理で得られたスコアと、前記カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備え、 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する画像処理システム。」 に訂正する。 請求項12を引用する請求項13も同様に訂正する。 2 訂正の適否についての判断 (1)請求項1~9について ア 一群の請求項 訂正前の請求項2~9は、訂正前の請求項1を直接もしくは間接に引用しており、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定される「一群の請求項」である。 イ 訂正事項1 (ア)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「推奨設定決定手段」について、「前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ように限定したものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、当該訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項2,5~9についても同様のことがいえる。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 【0041】には、「他の一例として、複数の人物が認証処理の対象となる場合に、推奨設定決定部130は、データベースに蓄積された情報を参照して複数の人物の認証スコアが所定の基準値以上となるカメラ設定を特定し、そのカメラ設定をカメラ20の推奨設定として決定してもよい。具体的な例として、データベースに図6に示されるような情報が記憶されており、認証スコアに関する所定の基準値が「70」である場合を考える。図6は、認証処理の結果とカメラ設定とを対応付けて記憶するデータベースの他の一例を示す図である。図6の例の場合、「設定1」のカメラ設定では、複数の人物A~Cの認証スコアが所定の基準値以上である。一方、「設定2」のカメラ設定では、人物AおよびCの認証スコアは所定の基準値以上であるが、人物Cの認証スコアは所定の基準値未満となっている。この場合、推奨設定決定部130は、「設定1」のカメラ設定を、カメラ20の推奨設定として決定する。」との記載があることから、「前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ことが裏付けられているといえる。 また、訂正前の請求項4には、「前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」との記載があり、訂正前の請求項4に記載された構成で発明を限定しているものである。 したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)から明らかなように、訂正事項1に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2,5~9の記載について訂正するものではなく、請求項2,5~9のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 ウ 訂正事項2 (ア)訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項3 (ア)訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 オ 訂正事項4 (ア)訂正の目的 訂正事項3により、訂正前の請求項4が削除されたため、削除された請求項4を引用する請求項5は、明瞭でない記載となった。 そして、上記イ(イ)を援用するに、訂正事項1により、訂正前の請求項4に係る構成が、訂正後の請求項1に含まれる構成となったため、結果として、訂正事項1、3により、訂正前の請求項1を引用する請求項4を引用する請求項5は、訂正後の請求項1を引用する請求項5となり、訂正前の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項4を引用する請求項5は、訂正後の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項5となった。 そうすると、訂正前の請求項4を引用する請求項5は、訂正後の請求項1又は2を引用する請求項5となる。 したがって、訂正事項3により明瞭でない記載となった記載を訂正する訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項5について、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、当該訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項6~9についても同様のことがいえる。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 請求項5について、訂正前後の構成は同じものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 また、訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載以外に、訂正前の請求項6~9の記載について訂正するものではなく、請求項6~9のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 カ 訂正事項5 (ア)訂正の目的 訂正事項2、3により、訂正前の請求項3、4が削除されたことに伴い、多数項を引用している請求項6の引用請求項数を削減する(「請求項1から5」から「請求項1,2,5」とする)訂正である訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項6について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、当該訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項7~9についても同様のことがいえる。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、引用請求項数を削減する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 また、訂正事項5は、訂正前の請求項6の記載以外に、訂正前の請求項7~9の記載について訂正するものではなく、請求項7~9のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 キ 訂正事項6 (ア)訂正の目的 訂正事項2、3により、訂正前の請求項3、4が削除されたことに伴い、多数項を引用している請求項7の引用請求項数を削減する(「請求項1から6」から「請求項1,2,5,6」とする)訂正である訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項7について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、当該訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項8、9についても同様のことがいえる。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、引用請求項数を削減する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 また、訂正事項6は、訂正前の請求項7の記載以外に、訂正前の請求項8、9の記載について訂正するものではなく、請求項8、9のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 ク 訂正事項7 (ア)訂正の目的 訂正事項2、3により、訂正前の請求項3、4が削除されたことに伴い、多数項を引用している請求項8の引用請求項数を削減する(「請求項1から7」から「請求項1,2,5~7」とする)訂正である訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項8について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、当該訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項9についても同様のことがいえる。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、引用請求項数を削減する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 また、訂正事項7は、訂正前の請求項8の記載以外に、訂正前の請求項9の記載について訂正するものではなく、請求項9のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 (2)請求項10、11について ア 一群の請求項 訂正前の請求項11は、訂正前の請求項10を引用しており、訂正事項8によって訂正される請求項10に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項10、11に対応する訂正後の請求項10、11は、特許法第120条の5第4項に規定される「一群の請求項」である。 イ 訂正事項8 (ア)訂正の目的 訂正事項8は、訂正前の請求項10について、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ステップを追加して限定したものである。 したがって、訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項10について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、当該訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項11についても同様のことがいえる。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 【0041】には、「他の一例として、複数の人物が認証処理の対象となる場合に、推奨設定決定部130は、データベースに蓄積された情報を参照して複数の人物の認証スコアが所定の基準値以上となるカメラ設定を特定し、そのカメラ設定をカメラ20の推奨設定として決定してもよい。具体的な例として、データベースに図6に示されるような情報が記憶されており、認証スコアに関する所定の基準値が「70」である場合を考える。図6は、認証処理の結果とカメラ設定とを対応付けて記憶するデータベースの他の一例を示す図である。図6の例の場合、「設定1」のカメラ設定では、複数の人物A~Cの認証スコアが所定の基準値以上である。一方、「設定2」のカメラ設定では、人物AおよびCの認証スコアは所定の基準値以上であるが、人物Cの認証スコアは所定の基準値未満となっている。この場合、推奨設定決定部130は、「設定1」のカメラ設定を、カメラ20の推奨設定として決定する。」との記載があることから、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ことが裏付けられているといえる。 したがって、当該訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)から明らかなように、訂正事項8に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 また、訂正事項8は、訂正前の請求項10の記載以外に、訂正前の請求項11の記載について訂正するものではなく、請求項11のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 (3)請求項12、13について ア 一群の請求項 訂正前の請求項13は、訂正前の請求項12を引用しており、訂正事項9によって訂正される請求項12に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項12、13に対応する訂正後の請求項12、13は、特許法第120条の5第4項に規定される「一群の請求項」である。 イ 訂正事項9 (ア)訂正の目的 訂正事項9は、訂正前の請求項12の「推奨設定決定手段」について、「前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ように限定したものである。 したがって、訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項12について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、当該訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項13についても同様のことがいえる。 (イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 【0041】には、「他の一例として、複数の人物が認証処理の対象となる場合に、推奨設定決定部130は、データベースに蓄積された情報を参照して複数の人物の認証スコアが所定の基準値以上となるカメラ設定を特定し、そのカメラ設定をカメラ20の推奨設定として決定してもよい。具体的な例として、データベースに図6に示されるような情報が記憶されており、認証スコアに関する所定の基準値が「70」である場合を考える。図6は、認証処理の結果とカメラ設定とを対応付けて記憶するデータベースの他の一例を示す図である。図6の例の場合、「設定1」のカメラ設定では、複数の人物A~Cの認証スコアが所定の基準値以上である。一方、「設定2」のカメラ設定では、人物AおよびCの認証スコアは所定の基準値以上であるが、人物Cの認証スコアは所定の基準値未満となっている。この場合、推奨設定決定部130は、「設定1」のカメラ設定を、カメラ20の推奨設定として決定する。」との記載があることから、「前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ことが裏付けられているといえる。 したがって、当該訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)から明らかなように、訂正事項9に係る訂正は、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 また、訂正事項9は、訂正前の請求項12の記載以外に、訂正前の請求項13の記載について訂正するものではなく、請求項13のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 (4)まとめ 以上のとおり、訂正前の請求項〔1~9〕、〔10、11〕、〔12、13〕に対応する訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕、〔12、13〕は、特許法第120条の5第4項に規定される「一群の請求項」である。 また、本件訂正請求の訂正事項1~9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」もしくは特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであって、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 さらに、本件においては、訂正前の全請求項(請求項1~13)について特許異議申立がされているので、訂正前の請求項1~13に係る訂正事項1~3、5~9に関して、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 したがって、特許請求の範囲の請求項の記載を、訂正事項1~9のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕、〔12、13〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記第2で示したとおり、本件訂正は適法になされたものであり、本件特許の請求項1~13に係る発明(以下、「本件訂正発明1~13」という。)は、それぞれ、本件訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された次の事項により特定される以下のとおりのものである。 ここで、本件訂正発明1、10、12の各構成には、A~H、A10~E10、A12~E12の符号を当審において付した。以下、構成A~構成H等という。 【請求項1】(本件訂正発明1) A 人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 B 前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 C 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備え、 D 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する E 情報処理装置。 【請求項2】(本件訂正発明2) 前記カメラ制御手段は、前記カメラの姿勢、前記カメラの撮影倍率、前記カメラの露光時間の長さ、輝度、彩度、撮影解像度、および、圧縮品質の少なくともいずれか1つを制御する、 請求項1に記載の情報処理装置。 【請求項3】(削除) 【請求項4】(削除) 【請求項5】(本件訂正発明5) 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる複数の前記カメラ設定が存在する場合、前記カメラ設定毎に算出される前記スコアの統計処理値を用いて、前記推奨設定を決定する、 請求項1又は2に記載の情報処理装置。 【請求項6】(本件訂正発明6) 前記推奨設定決定手段は、所定期間毎に前記推奨設定を決定する、 請求項1,2,5のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項7】(本件訂正発明7) 前記推奨設定決定手段は、前記カメラの動作タイミングに基づく時間的条件毎に前記推奨設定を決定する、 請求項1,2,5,6のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項8】(本件訂正発明8) 前記認証処理を実行する認証手段を更に備える、 請求項1,2,5~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項9】(本件訂正発明9) 前記認証手段は、所定のエリアに設けられたゲートを通過する人物に対して前記認証処理を実行する、 請求項8に記載の情報処理装置。 【請求項10】(本件訂正発明10) F コンピュータが、 A10 画像に写る人物の認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積し、 B10 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定し、 C10 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御し、 D10 複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する、 E10 ことを含むカメラ制御方法。 【請求項11】(本件訂正発明11) コンピュータに、請求項10に記載のカメラ制御方法を実行させるプログラム。 【請求項12】(本件訂正発明12) G カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラと、 H 前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段と、 A12 前記認証処理で得られたスコアと、前記カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 B12 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 C12 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備え、 D12 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する E12 画像処理システム。 【請求項13】(本件訂正発明13) 請求項12に記載の画像処理システムが備えるカメラ。 第4 取消理由の概要 令和3年6月29日付けで通知した取消理由は、以下のとおりである。 理由1.(新規性) 請求項1~3、8、10~13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3、8、10~13に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 理由2.(進歩性) 請求項1~3、8~13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、8~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 請求項6~9に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 甲第1号証:特開2005-202731号公報 甲第5号証:特開2014-232971号公報 第5 各甲号証の記載事項及び各甲号証に記載された発明もしくは技術 異議申立人は、令和3年1月8日に、特許異議の申立てとともに甲第1号証~甲第6号証を提出し、令和3年10月25日に、意見書とともに甲第7号証及び甲第8号証を提出している。 以下では、各甲号証の記載事項及び各甲号証に記載された発明もしくは技術について検討する。 1 甲第1号証(特開2005-202731号公報) (1)甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【要約】 ・・・ 【解決手段】人物の顔画像を利用して当該人物を特定する顔認識装置において、入力画像内の顔領域の画像情報、および、現在撮像を行なっているカメラの制御パラメータ、および、装置周辺の照明環境情報のうち、少なくとも1つまたは複数の情報から、あらかじめ与えられた顔の識別性能が最も高くなるようなカメラ制御基準を基にカメラの制御を行なうことで、一度のみのカメラ制御により最適な認識結果を取得する。」 「【0016】 また、カメラ101は、入力画像を調整する機能を備えているものとし、たとえば、ゲイン値、絞り値、シャッタ速度、ホワイトバランスなどが挙げられる。本発明ではこれらのどの調整要素を利用してもよいが、本実施の形態においては色情報を使わない認識手法を利用することや制御速度のことを考慮してゲインの調整を行なうことで説明を行なう。なお、画質を最適にするためには絞りの制御を利用することやシャッタ速度の調整、カラー情報を使う場合にはホワイトバランスを制御対象(調整要素)としても構わない。」 「【0025】 認識部105は、辞書情報記憶部104に記憶された辞書情報(部分空間)と顔特徴抽出部103で得られた特徴情報(濃淡情報あるいは部分空間情報)とを照合(比較)することにより、カメラ101で撮像されている認識対象者Mが誰であるかを認識、あるいは、該当人物であるかどうかを同定する。人物を認識するためには、どの人物のデータに最も類似しているかを求めればよく、最大類似度をとるデータに対応する人物を認識結果とすればよい。この際、最大類似度が所定の閾値に到達しない場合には、該当する人物が登録されていないということで「未登録者」といった扱いをすればよい。この認識方法を本実施の形態では「1:N認識」として定義し、以降の説明で繰り返し利用することとする。」 「【0044】 ここで、あらかじめ作成する最適ゲイン取得用の最適ゲイン取得関数の作成方法について図5を用いて説明する。あらかじめ本顔認識装置が設置されると思われる場所の照明環境を複数(本実施の形態では照度1から照度nまでとする)用意しておき、それらの中でカメラ101のゲインをGain(min)からGain(max)まで変更しながら、その各ゲインごとの画像を取得するようなデータを収集する。 【0045】 この作業により、図5に示すように与えられた照明環境に対して特定のゲインにした場合の顔領域の画像情報が得られ、さらに、この状態での類似度の分布が取得できる。このときに登録されている辞書情報の全てに対する類似度を組合わせを変えながら求め、本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差が最も高くなるゲイン値が「最適なゲイン」であることがわかり、それらの最適な組合わせを学習させる。」 「【0062】 次に、第4の実施の形態について説明する。 第4の実施の形態は、たとえば、第1の実施の形態で説明した顔認識装置を、通行者の顔を認識して通行者の通行を制御する通行制御装置に適用した場合の例である。 【0063】 図10は、第4の実施の形態に係る通行制御装置の構成を概略的に示すものである。この通行制御装置は、たとえば、重要施設(セキュリティ重視の部屋など)への入退室管理を行なうもので、利用者(通行者)の顔を認識して、その認識結果に基づき重要施設の入退室用ドアの開閉制御を行なうものであり、カメラ101、顔検出部102、顔特徴抽出部103、辞書情報記憶部104、認識部105、照明環境入力部106、カメラ制御部107、出力部108、および、認識部105の認識結果に応じて重要施設116の入退室用ドア117の開閉制御を行なう通行制御手段としてのドア制御部115から構成されている。 なお、図10において、ドア制御部115以外は図1の顔認識装置と同じ構成であるので、同一符号を付してその説明は省略する。」 (2)甲第1号証に記載された発明 上記(1)の記載から、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 なお、1a~1eは、説明のために当審で付したものであり、以下、「構成1a」~「構成1e」という。 また、各構成の末尾に、対応する記載事項の段落番号等を付した。 (甲1発明) 1a 人物の顔画像を利用して当該人物を特定する顔認識装置において、入力画像内の顔領域の画像情報、および、現在撮像を行なっているカメラの制御パラメータ、および、装置周辺の照明環境情報のうち、少なくとも1つまたは複数の情報から、あらかじめ与えられた顔の識別性能が最も高くなるようなカメラ制御基準を基にカメラの制御を行なうことで、一度のみのカメラ制御により最適な認識結果を取得するものであって、(【解決手段】) 1b カメラ101は、入力画像を調整する機能を備えているものとし、たとえば、ゲイン値、絞り値、シャッタ速度、ホワイトバランスなどが挙げられ、画質を最適にするためには絞りの制御を利用することやシャッタ速度の調整、カラー情報を使う場合にはホワイトバランスを制御対象(調整要素)としても構わないものであり、(【0016】) 1c 認識部105は、辞書情報記憶部104に記憶された辞書情報(部分空間)と顔特徴抽出部103で得られた特徴情報(濃淡情報あるいは部分空間情報)とを照合(比較)することにより、カメラ101で撮像されている認識対象者Mが誰であるかを認識、あるいは、該当人物であるかどうかを同定するものであって、人物を認識するためには、どの人物のデータに最も類似しているかを求めればよく、最大類似度をとるデータに対応する人物を認識結果とすればよく、(【0025】) 1d-1 あらかじめ本顔認識装置が設置されると思われる場所の照明環境を複数(本実施の形態では照度1から照度nまでとする)用意しておき、それらの中でカメラ101のゲインをGain(min)からGain(max)まで変更しながら、その各ゲインごとの画像を取得するようなデータを収集し、(【0044】) 1d-2 与えられた照明環境に対して特定のゲインにした場合の顔領域の画像情報が得られ、さらに、この状態での類似度の分布が取得でき、このときに登録されている辞書情報の全てに対する類似度を組合わせを変えながら求め、本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差が最も高くなるゲイン値が「最適なゲイン」であることがわかり、(【0045】) 1e 顔認識装置を、通行者の顔を認識して通行者の通行を制御する通行制御装置に適用した場合、重要施設(セキュリティ重視の部屋など)への入退室管理を行なうもので、利用者(通行者)の顔を認識して、その認識結果に基づき重要施設の入退室用ドアの開閉制御を行なうものである(【0062】、【0063】) 1a 顔認識装置。 2 甲第2号証(特開2008-312036号公報) (1)甲第2号証に記載された事項 甲第2号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【0006】 本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、撮影環境が変化しても、その変化に迅速に対応して人物の顔を検出できる顔検出装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。」 「【0013】 [第1の実施形態] 図1は、本発明の実施の形態に係る顔検出装置の構成を示すブロック図である。顔検出装置は、人物の顔を撮像するカメラ10と、カメラ10により生成された画像に基づいて顔検出処理を行うコンピュータ20と、を備えている。 【0014】 コンピュータ20は、CPU、RAM、ROM、入出力ポート等を備えている。コンピュータ20は、機能的には図1に示すように、画像を入力する画像入力部21と、画像入力部21に入力された画像に基づいて人物の顔検出処理を行う顔検出部22と、カメラ10のパラメータを調整するパラメータ調整部23と、調整されたパラメータに基づいてカメラ10を制御するカメラ制御部24と、を備えている。 【0015】 以上のように構成された顔検出装置において、次の顔検出処理ルーチンが実行される。図2は、コンピュータ20が実行する顔検出処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、本実施形態では、撮像パラメータとしてカメラゲインを用いた場合について説明する。 【0016】 ステップS11では、パラメータ調整部23は、基準画像パラメータpcを初期値p0に設定して、ステップS12に進む。ここでは、カメラゲインが1~100まで連続して設定可能な場合は、初期値p0として例えば中間値50が設定される。また、本装置の使用環境下で最適な値を初期値p0としてもよい。」 「【0018】 ステップS13では、パラメータ調整部23は、基準画像パラメータpdと画像パラメータ変動のためのパラメータc(i)を用いて、式(1)に示すように現状の基準画像パラメータpcを設定して、ステップS14に進む。 【0019】 【数1】 pc=pd+c(i) ・・・(1) 【0020】 ここで、c(i)は、繰り返し回数iに依存したパラメータであり、例えば式(2)に示すように定義される。 【0021】 【数2】 c(i)=Δp×(i-(N-1)/2) ・・・(2) 【0022】 ここで、Nは、繰り返し回数閾値である。Δpは画像パラメータの変動分であり、本実施形態では例えばΔp=2である。これにより、繰り返し回数iに応じて、基準画像パラメータpdを基準にして、画像パラメータpcが変動可能になる。 【0023】 例えば、N=5回、現在の基準画像パラメータpd=50である場合、i=0のときpc=46、i=1のときpc=48、i=2のときpc=50、i=3のときpc=52、i=4のときpc=54となる。これにより、少しずつ画像パラメータpcを変化させた状態で画像が生成される。 【0024】 ステップS14では、カメラ制御部24は、パラメータ調整部23において現在設定されている画像パラメータpcになるようにカメラ10のカメラゲインを調整して、ステップS15に進む。この結果、カメラ10は、カメラ制御部24で設定されたカメラゲインの状態で人物を撮像して、画像を生成する。この画像は、画像入力部21を介して、顔検出部22に供給される。 【0025】 ステップS15では、顔検出部22は、画像入力部21から供給された画像に基づいて顔の検出処理を行い、更に検出された顔の信頼度(顔らしさを示す指標)である顔検出尤度φ(i)を算出する。ここで、顔の検出処理は、公知の画像処理方法を用いることができ、学習型の顔検出処理であるニューラルネットワークを用いた手法、サポートベクターマシンを用いた方法、あるいはブースティング手法を用いることができる。」 「【0027】 そして、顔検出部22は、上記のように顔検出尤度φ(i)を算出し、この顔検出尤度φ(i)を記録した後、ステップS16に進む。本実施形態で使用される顔検出尤度φ(i)は、顔検出処理により検出された画像特徴が顔らしくなくなるに従ってゼロに近づき、画像特徴が顔らしくなるに従って大きな値になる。 【0028】 ステップS16では、パラメータ調整部23は、繰り返し回数iを1増分し、増分後の繰り返し回数iが繰り返し回数閾値Nより小さいか否かを判定する。増分後の繰り返し回数iが繰り返し回数閾値Nより小さいときはステップS13に戻り、小さくないときはステップS17に進む。この結果、繰り返し回数iが繰り返し回数閾値Nに達するまで、ステップS13からステップS15までの処理が繰り返される。 【0029】 ステップS17では、パラメータ調整部23は、顔検出処理に最適な基準画像パラメータpdを更新する。具体的には、φ(i){i=0,…,N-1}において最大の尤度を与えるiをimaxとすると、パラメータ調整部23は、式(3)に示すように、pd+c(imax)を新たな基準画像パラメータpdとして、ステップS18に進む。」 【0030】 【数3】 pd←pd+c(imax) ・・・(3) 【0031】 ただし、imaxは次の式(4)を満たす。 【0032】 【数4】 imax=arg maxφ(i) ・・・(4) 【0033】 ステップS18では、パラメータ調整部23は、処理を継続するか否かを判定し、処理の終了が指示されない場合は処理を継続すべく再びステップS12に戻る。そして、更新された基準画像パラメータpdを用いて上述した処理が行われる。また、処理の終了が指示されたときは処理を終了する。そして、この処理の終了後、顔検出部22は、更新された新たな基準画像パラメータpd(本実施形態ではカメラゲイン)のときの画像に基づいて人物の顔を検出する。 【0034】 以上のように、第1の実施形態に係る顔検出装置は、各々異なるカメラゲインを用いて人物を撮像し、生成された画像から顔らしさを表す顔検出尤度を算出し、その顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインを次回の撮像に用いる。このため、顔検出装置は、連続的に顔検出を行う際に徐々に明るさの条件や照明の当たり具合などが変化する場合においても、安定に顔を検出することができる。」 「【0051】 例えば、撮像パラメータ及び画像変換パラメータは、上述した実施形態のものに限定されるものではなく、カメラの電子シャッタ速度や、絞り値、或いは濃度変換のための変換関数などにも適用可能である。また、撮像パラメータ、画像変換パラメータは、それぞれの任意の画像パラメータを組み合わせたものでもよい。なお、撮像パラメータと画像変換パラメータの制御は、同時に行ってもよい。」 (2)甲第2号証に記載された発明 上記(1)の記載から、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 なお、2a~2oは、説明のために当審で付したものであり、以下、「構成2a」~「構成2o」という。 (甲2発明) 2a 撮影環境が変化しても、その変化に迅速に対応して人物の顔を検出できる顔検出装置であって、(【0006】) 2b 顔検出装置は、人物の顔を撮像するカメラ10と、カメラ10により生成された画像に基づいて顔検出処理を行うコンピュータ20と、を備え(【0013】) 2c コンピュータ20は、画像を入力する画像入力部21と、画像入力部21に入力された画像に基づいて人物の顔検出処理を行う顔検出部22と、カメラ10のパラメータを調整するパラメータ調整部23と、調整されたパラメータに基づいてカメラ10を制御するカメラ制御部24と、を備え、(【0014】) 2d 撮像パラメータとしてカメラゲインを用いた場合に、基準画像パラメータpcを初期値p0に設定し、カメラゲインが1~100まで連続して設定可能な場合は、初期値p0として例えば中間値50が設定され、(【0015】、【0016】) 2e 基準画像パラメータpdと画像パラメータ変動のためのパラメータc(i)を用いて、現状の基準画像パラメータpcをpc=pd+c(i)と設定し、c(i)=Δp×(i-(N-1)/2)と定義すると、繰り返し回数iに応じて、基準画像パラメータpdを基準にして、画像パラメータpcが変動可能になり、(【0018】~【0022】) 2f 少しずつ画像パラメータpcを変化させた状態で画像が生成され、(【0023】) 2g カメラ制御部24は、パラメータ調整部23において現在設定されている画像パラメータpcになるようにカメラ10のカメラゲインを調整して、カメラ10は、カメラ制御部24で設定されたカメラゲインの状態で人物を撮像して、画像を生成し、(【0024】) 2h この画像は、画像入力部21を介して、顔検出部22に供給され、(【0024】) 2i 顔検出部22は、画像入力部21から供給された画像に基づいて顔の検出処理を行い、更に検出された顔の信頼度(顔らしさを示す指標)である顔検出尤度φ(i)を算出し、(【0025】) 2j 顔検出尤度φ(i)は、顔検出処理により検出された画像特徴が顔らしくなくなるに従ってゼロに近づき、画像特徴が顔らしくなるに従って大きな値になるものであって、(【0027】) 2k 繰り返し回数閾値Nに達するまで、処理が繰り返され、(【0028】) 2l パラメータ調整部23は、顔検出処理に最適な基準画像パラメータpdを更新し、φ(i){i=0,…,N-1}において最大の尤度を与えるiをimaxとすると、パラメータ調整部23は、pd+c(imax)を新たな基準画像パラメータpdとし、(【0029】~【0032】) 2m 顔検出部22は、更新された新たな基準画像パラメータpd(本実施形態ではカメラゲイン)のときの画像に基づいて人物の顔を検出し、(【0033】) 2n 各々異なるカメラゲインを用いて人物を撮像し、生成された画像から顔らしさを表す顔検出尤度を算出し、その顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインを次回の撮像に用いるため、顔検出装置は、連続的に顔検出を行う際に徐々に明るさの条件や照明の当たり具合などが変化する場合においても、安定に顔を検出することができ、(【0034】) 2o 撮像パラメータは、カメラの電子シャッタ速度や、絞り値、或いは濃度変換のための変換関数などにも適用可能である(【0051】) 2a 顔検出装置。 3 甲第3号証(特開2007-274264号公報) (1)甲第3号証に記載された事項 甲第3号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【0001】 本発明は、画質パラメータを最適にして撮影するいわゆるベストショット撮影技術に関し、特に、特定の個人に応じた撮影状態での撮影を実現し得るカメラ、ベストショット撮影方法、およびプログラムに関する。」 「【0026】 本発明によれば、撮影時にフレーム内の画像から特定した人物の画質パラメータを自動設定して撮影するので、その人物の年代や性別等に応じた画質の画像を取得できる。」 「【0043】 顔認識部29-2は顔検出部29-1で抽出された顔の特徴データとデータベース29-3の顔認識テーブルの顔認識レコードに記憶されている特徴データと比較して類似度を判定し、検出された顔がどの個人の顔であるかを特定する(つまり、個人を特定する)。類似度の判定には、例えば、検出した顔の特徴データと登録済みの人物の顔の特徴データの差分から距離(距離自乗平均)を求め、距離が所定閾値以下の場合に類似度が高い(若しくは一致している)と判定することができる。」 「【0051】 図4は顔認識テーブル40の構造の一実施例を示す図であり、顔認識テーブル40は図4(a)に示すように、顔認識レコードを識別するための個人IDを記憶する個人ID欄41、名前を記録する名前欄42、優先度を記録する優先度欄43、顔の特徴データを記録する特徴データ欄44、照合画像ポインタを記憶する照合画像ポインタ欄45等を含む顔認識データ欄とシャープネスを記憶するシャープネス欄46、彩度を記憶する彩度欄47、コントラストを記憶するコントラスト欄48、フィルターを記憶するフィルター欄49等を含む画質パラメータ欄を含む顔認識レコードを複数記憶してなる。」 「【0054】 撮影時に、顔検出部29-1がフレーム内の画像の人物の顔を検出し、顔の特徴データを抽出すると、顔認識部29-2は抽出された特徴データをデータベース29-3の顔認識テーブル40を構成する各顔認識レコードの特徴データ欄44に記憶されている特徴データと比較し、類似度の最も大きな顔認識レコードに登録されている個人を検出された顔の人物として特定する。そして、その顔認識レコードに登録されている画質パラメータ値(図4の例では、シャープネス46~フィルター49欄に記憶されている値)を撮影パラメータとして設定し、撮影を実行することにより、特定された個人に応じた画質の画像を得ることができる。」 「【0058】 なお、複数の人物が写っているフレームにおいて複数の人物を特定した場合に、図7に示した例では優先度が一番高い人物の画質パラメータを用いるようにしたが、それら複数の人物の優先度の値を基に算出した偏らない画質(例えば、平均的画質)で撮影する手段を設けるようにしてもよい。また、図8に示すように優先するか優先度の値を基に算出した平均するかの選択メニュー114を画面の所定の位置に表示して、ユーザが選択できるようにしてもよい。また、上位何人かの優先度の平均化といった折衷的方法で画質を求めるようにしてもよい。図8の例で、ユーザが選択メニュー114のうち、「一人を優先する」を選択すると優先度が一番高い人物の画質パラメータを用いて撮影され、「画質を平均化する」を選択すると、各画質パラメータの平均値、例えば、複数の人物を3人とすると、3人の各画質パラメータの値の平均値を用いて撮影が行なわれることになる。」 「【0060】 図10は本発明に係るベストショット撮影時の制御部22による制御動作例を示すフローチャートである。このフローチャートはデジタルカメラ100に本発明のベストショット撮影機能を実現させるためのプログラムを説明するためのものである。 以下に示す処理は基本的に制御部22が予めフラッシュメモリ等のプログラムメモリに記憶されたプログラムに従って実行する例で説明するが、全ての機能をプログラムメモリに格納する必要はなく、必要に応じて、その一部若しくは全部をネットワークを介して受信して実現するようにしてもよい。以下、図1~図9に基いて説明する。なお、図10に示すフローチャートでは、シャッターキー8の半押しでステップS3以降の顔認識によるベストショット撮影を開始し、優先度の高い一人に画質を最適化して撮影する場合(図6、図7、図9)を例として説明する。」 「【0073】 (変形例1) 上記図10に示したフローチャートではフレーム中に複数で顔を認識した場合は優先度の高い一人の画質を用いてその人物の顔を最適画質で撮影する場合を例としたが、認識された顔に対応する顔認識レコードに記憶されている各画質パラメータの平均値をそれぞれ算出し、算出された平均値を用いて撮影するようにしてもよい。この場合は、例えば、図10のステップS13を、「検出された顔の全てについて顔認識処理が終わると、制御部22は上記ステップS10で取得した各顔認識レコードの優先度欄43に記憶されている各画質パラメータを取り出し、」とし、ステップS14を、「次に、取り出した各画質パラメータの平均値をそれぞれ算出し、算出された平均値を撮影パラメータとして設定する」とすればよい。例えば、図8で、ユーザが選択メニュー114のうち、「画質を平均化する」を選択した場合は、各画質パラメータの平均値、例えば、複数の人物を3人とすると、3人のシャープネス値の平均値、彩度の平均値、コントラストの平均値、フィルターの平均値、・・を用いて撮影が行なわれることとなる。」 「【0076】 また、国籍別の画質パラメータテーブル90-1(~90-N)は本発明の画質パラメータ記憶手段に相当し、画質IDを記憶する画質ID欄91シャープネスを記憶するシャープネス欄92、彩度を記憶する彩度欄93、コントラストを記憶するコントラスト欄94、フィルターを記憶するフィルター欄95、フラッシュの強度を記憶するフラッシュ欄96等を含む画質パラメータレコードを複数記憶してなる。フラッシュ欄96を設けたことにより撮影時に人種等によって異なる顔色に応じた照明パラメータ(フラッシュの強度)を自動設定できるので国籍(人種)が異なっても最適な画質の画像を撮影することができる。また、一度登録した画質パラメータは再び流用登録ができるので、人が増えるたびに顔認識テーブルに画質パラメータを設定する手間を省くことができる。画質IDは画質パラメータテーブル90-1~90-N等の参照IDである。」 (2)甲第3号証に記載された技術 上記(1)の記載から、甲第3号証には、以下の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されている。 なお、3a~3jは、説明のために当審で付したものであり、以下、「構成3a」~「構成3j」という。 (甲3技術) 3a 画質パラメータを最適にして撮影するいわゆるベストショット撮影技術に関し、特に、特定の個人に応じた撮影状態での撮影を実現し得るカメラ、ベストショット撮影方法、およびプログラムに関する技術であって、(【0001】) 3b 撮影時にフレーム内の画像から特定した人物の画質パラメータを自動設定して撮影するので、その人物の年代や性別等に応じた画質の画像を取得でき、(【0026】) 3c 顔認識部29-2は顔検出部29-1で抽出された顔の特徴データとデータベース29-3の顔認識テーブルの顔認識レコードに記憶されている特徴データと比較して類似度を判定し、検出された顔がどの個人の顔であるかを特定する(つまり、個人を特定する)ものであって、(【0043】) 3d 類似度の判定には、例えば、検出した顔の特徴データと登録済みの人物の顔の特徴データの差分から距離(距離自乗平均)を求め、距離が所定閾値以下の場合に類似度が高い(若しくは一致している)と判定することができ、(【0043】) 3e 顔認識テーブル40は、顔認識レコードを識別するための個人IDを記憶する個人ID欄41、名前を記録する名前欄42、優先度を記録する優先度欄43、顔の特徴データを記録する特徴データ欄44、照合画像ポインタを記憶する照合画像ポインタ欄45等を含む顔認識データ欄とシャープネスを記憶するシャープネス欄46、彩度を記憶する彩度欄47、コントラストを記憶するコントラスト欄48、フィルターを記憶するフィルター欄49等を含む画質パラメータ欄を含む顔認識レコードを複数記憶してなり、(【0051】) 3f 撮影時に、顔検出部29-1がフレーム内の画像の人物の顔を検出し、顔の特徴データを抽出すると、顔認識部29-2は抽出された特徴データをデータベース29-3の顔認識テーブル40を構成する各顔認識レコードの特徴データ欄44に記憶されている特徴データと比較し、類似度の最も大きな顔認識レコードに登録されている個人を検出された顔の人物として特定し、その顔認識レコードに登録されている画質パラメータ値を撮影パラメータとして設定し、撮影を実行することにより、特定された個人に応じた画質の画像を得ることができ、(【0054】) 3g 複数の人物が写っているフレームにおいて複数の人物を特定した場合に、優先度が一番高い人物の画質パラメータを用いるようにしたが、それら複数の人物の優先度の値を基に算出した偏らない画質(例えば、平均的画質)で撮影する手段を設けるようにしてもよく、上位何人かの優先度の平均化といった折衷的方法で画質を求めるようにしてもよく、ユーザが選択メニュー114のうち、「一人を優先する」を選択すると優先度が一番高い人物の画質パラメータを用いて撮影され、「画質を平均化する」を選択すると、各画質パラメータの平均値、例えば、複数の人物を3人とすると、3人の各画質パラメータの値の平均値を用いて撮影が行なわれることになり、(【0058】) 3h デジタルカメラ100にベストショット撮影機能を実現させるためのプログラムであって、制御部22が予めフラッシュメモリ等のプログラムメモリに記憶されたプログラムに従って実行するものであり、(【0060】) 3i フレーム中に複数で顔を認識した場合は優先度の高い一人の画質を用いてその人物の顔を最適画質で撮影する場合だけでなく、認識された顔に対応する顔認識レコードに記憶されている各画質パラメータの平均値をそれぞれ算出し、算出された平均値を用いて撮影するようにしてもよく、ユーザが選択メニュー114のうち、「画質を平均化する」を選択した場合は、各画質パラメータの平均値、例えば、複数の人物を3人とすると、3人のシャープネス値の平均値、彩度の平均値、コントラストの平均値、フィルターの平均値を用いて撮影が行なわれ、(【0073】) 3j 国籍別の画質パラメータテーブル90-1(~90-N)は、画質IDを記憶する画質ID欄91シャープネスを記憶するシャープネス欄92、彩度を記憶する彩度欄93、コントラストを記憶するコントラスト欄94、フィルターを記憶するフィルター欄95、フラッシュの強度を記憶するフラッシュ欄96等を含む画質パラメータレコードを複数記憶してなり、フラッシュ欄96を設けたことにより撮影時に人種等によって異なる顔色に応じた照明パラメータ(フラッシュの強度)を自動設定できるので国籍(人種)が異なっても最適な画質の画像を撮影することができる技術。(【0076】) 4 甲第4号証(特開2009-59185号公報) (1)甲第4号証に記載された事項 甲第4号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【0001】 本発明は、駐車場等への車両の入場及び出場に際して、車両ナンバー(ナンバープレート)を撮像して認識する車両用ナンバープレート撮像システムに関する。」 「【0032】 図1は本発明に係る車両用ナンバープレート撮像システムの構成を示すブロック図であり、例として駐車場の1つの出口レーンに設置されたカメラユニット1と、トリガーセンサー20と精算機30と、出口レーンとは異なる場所に設置された画像処理装置10との接続状態を示しており、図示しないが、同様なカメラユニットとトリガーセンサーと発券機が別の入口レーンに設置され、さらに同様な入口出口レーンの構成が他にも1、2個所設置され、1台の画像処理装置10は複数のレーンの状態を管理している。」 「【0039】 図6は本発明の実施例における画像処理装置10の動作フローであり、これを図1とともに説明すると、ステップS1でトリガーONを受けたカメラ2が撮像した画像は、ステップS2で画像処理装置10のカメラ制御部12に受信され、次いで、ステップS3でプレート画像処理部11のプレート切り出し部14にすぐさま転送され、カメラ視野2Hの画像の中からナンバープレートNPの部分を切り出しし、さらにステップS4に進んでその切り出した画像から文字認識部15が文字抽出をして文字辞書サーバーのデータと比較して個々の文字を認識し、ステップS5でその認識された文字データに該当する車両CRが入出庫サーバーに存在するか(在車しているか)を検索し、ナンバーマッチング部16でその検索候補から特定のナンバーの車両データを詳細に比較してベストマッチングを絞り込み、次いで、ステップS6に進んでマッチング判定部17でそのマッチング判定結果によって車両CRのデータ番号や入場時間などを決定し、ステップS7で外部通信部13を介して精算機30にその情報を送信する。 【0040】 精算機30では、マッチング判定データに含まれる進入車両CRの入場時刻などから駐車料金を計算し、料金精算が済むとゲート開閉機32に対してゲート開信号を発信し、その後車両が出場して第2のループコイル31Bを通過しきると、ゲート閉信号を発信して、ステップS8で再度画像処理装置10に車両CRの出場を通知する。入出庫サーバーでは車両CRの出場によって在車データを削除するか、別の出場履歴サーバーに移動させるか等の処理を行い、全体の処理を終了する。以上が通常の車両の出場時の動作の例である。」 「【0043】 そこで本発明においては、撮像した画像のナンバープレートNPの部分の画像の明度を適正に維持するために、図6のフローのステップS13とステップS1の成す判断フローにおいて、トリガー入力がN分間経過するうちに入力?YESに移行しない場合、丸Aで示したインターバル撮像モードの撮像フローに移行することにしている。次に、図7において本発明の実施例におけるインターバル撮像モードの撮像設定処理フローを示す。 【0044】 図7において、始めのステップS14では、画像処理装置10のカメラ制御部12は、カメラユニット1に対してカラ撃ち(トリガー入力なしでカメラ撮像する)の指示を送信する。カメラユニット1のメモリー(カメラ2のメモリー)はその時点での撮像条件を記憶しており、その条件でのカラ撃ち撮像をおこない、画像を画像処理装置10へ送信する。次のステップS15で画像処理装置10のカメラ制御部12がその画像を受信すると、ステップS16に進んでプレート画像処理部11において通常のナンバー切り出しではなく、予め設定した位置のターゲットマークTMを切り出す。 【0045】 図5に本発明で使用するターゲットマークTMの実施例を示す出口レーンOTの状態図を示し、この例では白と黒または濃緑色のターゲットマークTMを、シールとしてトリガーセンサー20A,20Bの外装体のカメラ側を向いている面に貼っている。 【0046】 図7のフローに戻り、上記のステップS16でターゲットマークTMの画像を切り出すと(例では2個所とも)、ステップS17に進んで個々のターゲットマークTMについての明度を計測する。図8は本発明の実施例におけるターゲットマークTMの明度判定方法の説明図を示し、実施例の様なターゲットマークTMの画像から、その濃淡の状態を明度として抽出し、その横方向の長さも測定してそれぞれw、b、c、d、eといった部分の量を計測する。即ち、濃淡のレベルを示す波形のデューティとそのレベルの最大値、最小値、最大最小の差等を計測し、適正な明度となっているかどうかを判定する。 【0047】 ステップS18における判定によって<マーク画像の明度OK?>がNO(明るすぎか暗すぎ)の場合には、ステップS19でカメラ撮像設定を変更して、ステップS20でカメラ2にその変更した撮像設定を送信すると、カメラ2は受信した撮像設定に自身のメモリーを書換える。画像処理装置10は再度カラ撃ち指示を送信して前述のフローを繰り返し、ステップS18で<マーク画像の明度OK?>に対してYES(適正な画像)が得られれば、ステップS21に進んでカメラ撮像設定を画像処理装置10側にも保存して、インターバル撮像モードの撮像を終了する。」 「【0049】 この様にしてインターバル撮像モードに移行して、カメラ2でカラ撃ちした時の最後のベストな撮像設定条件がカメラ2のメモリーに保存されているため、次の撮像時に適正な明るさでナンバープレートNPを撮像することが出来る(請求項1のポイント)。また、その明度を計測するためのターゲットマークTMをカメラ視野2H内に設定したことで、通常の撮像と同様な流れでカラ撃ちのシステムが出来る(請求項2のポイント)。さらに、カラ撃ち時のターゲットマークTMをトリガーセンサー20A.20Bのケースの外装に貼ったシールで行うため、明度の計測と判定が適切におこなえる(請求項3のポイント)。加えて、インターバル撮像モードでのカラ撃ちの頻度を予めN分と決めておき、N分は環境の変化の度合いによってはかなり頻繁な設定でも良く、急な環境の変化への対応が可能となる(請求項5のポイント)。」 「【0051】 次に、図9で本発明の実施例におけるレーンOTの周辺環境の照度と電子シャッタースピードの関係を表す。この例では、電子シャッタースピードは複数のステップで設定可能なカメラ2を想定しており、同時にカメラゲインとして、例えばCCD素子への撮像時の入力光を増幅するアンプゲインも変化させ、画像の適正な明度を得ることが出来るが、説明の簡略化のため、電子シャッタースピードのみで画像の明度を調整する場合を説明し、カメラゲインや絞り(アイリス)は固定とする。」 (2)甲第4号証に記載された技術 上記(1)の記載から、甲第4号証には、以下の技術(以下、「甲4技術」という。)が記載されている。 (甲4技術) 駐車場等への車両の入場及び出場に際して、車両ナンバー(ナンバープレート)を撮像して認識する車両用ナンバープレート撮像システムに関する技術であって、(【0001】) カメラユニット1と、トリガーセンサー20と精算機30とが駐車場の1つの出口レーンに設置され、同様なカメラユニットとトリガーセンサーと発券機が別の入口レーンに設置され、出口レーンとは異なる場所に画像処理装置10が設置され、複数のレーンの状態を管理しており、(【0032】) カメラ視野2Hの画像の中からナンバープレートNPの部分を切り出しし、その切り出した画像から文字認識部15が文字抽出をして文字辞書サーバーのデータと比較して個々の文字を認識し、その認識された文字データに該当する車両CRが入出庫サーバーに存在するか(在車しているか)を検索し、車両CRのデータ番号や入場時間などを決定し、精算機30にその情報を送信し、(【0039】) 精算機30では、駐車料金を計算し、料金精算が済むとゲート開閉機32に対してゲート開信号を発信し、その後車両が出場して第2のループコイル31Bを通過しきると、ゲート閉信号を発信して、画像処理装置10に車両CRの出場を通知するものであって、(【0040】) 撮像した画像のナンバープレートNPの部分の画像の明度を適正に維持するために、トリガー入力がN分間経過するうちに入力?YESに移行しない場合、インターバル撮像モードの撮像フローに移行し、(【0043】) 画像処理装置10のカメラ制御部12は、カメラユニット1に対してカラ撃ち(トリガー入力なしでカメラ撮像する)の指示を送信し、(【0044】) 予め設定した位置のターゲットマークTMを切り出し、(【0044】) 個々のターゲットマークTMについての明度を計測し、(【0046】) 適正な明度となっているかどうかを判定し、(【0046】) 明るすぎか暗すぎの場合には、カメラ撮像設定を変更して、カメラ2にその変更した撮像設定を送信すると、カメラ2は受信した撮像設定に自身のメモリーを書換え、画像処理装置10は再度カラ撃ち指示を送信して適正な画像が得られれば、カメラ撮像設定を画像処理装置10側にも保存して、インターバル撮像モードの撮像を終了し、(【0047】) インターバル撮像モードに移行して、カメラ2でカラ撃ちした時の最後のベストな撮像設定条件がカメラ2のメモリーに保存されているため、次の撮像時に適正な明るさでナンバープレートNPを撮像することが出来、(【0049】) 加えて、インターバル撮像モードでのカラ撃ちの頻度を予めN分と決めておき、N分は環境の変化の度合いによってはかなり頻繁な設定でも良く、急な環境の変化への対応が可能となり、(【0049】) 電子シャッタースピードのみで画像の明度を調整する技術。(【0051】) 5 甲第5号証(特開2014-232971号公報) (1)甲第5号証に記載された事項 甲第5号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【0001】 本発明は、撮像装置が撮像した画像に対して画像処理を行う画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。 【0002】 撮像装置を固定箇所に設置し、当該固定箇所から撮像された画像の一部の領域に対して画像処理を行う技術がある。このような技術は、例えば、撮像装置が道路の所定の箇所を通過する車両を撮像し、当該車両のナンバープレートの認識を行う場面にて用いられる。」 「【0005】 しかしながら、特許文献1に開示された技術を用いたとしても、撮像装置の露光が適切にされていなければ、撮像された画像のナンバープレート部分に黒潰れ・白飛びが発生するおそれがある。特に、逆光の環境で画像を撮像する場合、車両のボディにライトや日光が反射した画像を撮像する場合、日向と日陰の境界線を含む画像を撮像する場合などに、黒潰れ・白飛びが発生する可能性が高い。画像の黒潰れ・白飛びはガンマ値の補正によって解消することができないため、特許文献1に開示された技術を用いたとしても、ナンバープレートの認識ができないという問題がある。また、黒潰れ・白飛びが発生しなくても、ナンバープレート部分のコントラストが低いと、認識誤りが発生しやすくなるという問題がある。 本発明の目的は、上述した課題を解決する画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することにある。」 「【0011】 以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。 図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置100の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る画像処理装置100は、路側に設置された撮像装置200が撮像した画像から、当該画像に写った車両のナンバープレートのナンバー認識を行う。 画像処理装置100は、画像受信部101、対象特定部102、画像処理部103、確信度算出部104、計時部105、計測部106、履歴記憶部107、露光補正部108(設定値補正部)、露光条件記憶部109を備える。」 「【0015】 次に、露光条件記憶部109が記憶する情報について説明する。 図3は、露光条件記憶部109が記憶する情報の一例を示す図である。 露光条件記憶部109は、初期値設定テーブル(図3(A))と条件テーブル(図3(B))とを記憶する。初期値設定テーブルは、図3(A)に示すように、時間帯と、当該時間帯に属する時刻に露光条件の初期化を行う場合の補正値とを関連付けて格納する。このとき、補正値は、撮像装置200と外光との関係(例えば、逆光になる関係、反射光が写り込む関係、日没時など)において、撮像される画像の対象領域のコントラストが適正になるような値であることが好ましい。また、条件テーブルは、図3(B)に示すように、ナンバープレートの種別と、画像の明るさの目標値、画像のコントラスト値の目標値、エッジ強度の標準偏差の目標値を格納する。」 「【0019】 次に、確信度算出部104は、算出した確信度が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。確信度算出部104が算出した確信度が所定値以下である場合(ステップS7:NO)、計時部105は、計時する未認識時間が所定時間(例えば、30分)を経過したか否かを判定する(ステップS8)。計時部105が未認識時間が所定時間を経過していないと判定した場合(ステップS8:NO)、ステップS3に戻り、撮像部が撮像する次のフレームの画像についてナンバー認識処理を実行する。他方、計時部105が未認識時間が所定時間を経過したと判定した場合(ステップS8:YES)、ステップS1に戻り、再度現在時刻に関連付けられた補正値を用いて露光補正を行う。」 「【0033】 また、本実施形態では、画像処理装置100がナンバープレートのナンバー認識を行う場合について説明したが、これに限られず、顔認識などその他の画像処理を行うものであっても良い。 【0034】 また、本実施形態では、画像処理装置100が対象領域の明るさに基づいて露光補正を行う場合を説明したが、これに限られず、対象領域のその他の特性値に基づいて撮像装置200のその他の設定値を補正するものであっても良い。例えば、画像処理装置100は、対象領域の鮮鋭度に基づいて、露光量を変えないように撮像装置200のF値及びシャッタースピードを補正しても良い。」 (2)甲第5号証に記載された技術 上記(1)の記載から、甲第5号証には、以下の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されている。 なお、5a~5fは、説明のために当審で付したものであり、以下、「構成5a」~「構成5f」という。 (甲5技術) 5a 撮像装置が撮像した画像に対して画像処理を行う画像処理装置に関して、車両を撮像し、当該車両のナンバープレートの認識を行う技術であり、(【0001】、【0002】) 5b 撮像装置の露光が適切にされていなければ、撮像された画像のナンバープレート部分に黒潰れ・白飛びが発生するおそれがあるため、確信度算出部104、計時部105、露光条件記憶部109を備え、(【0005】、【0011】) 5c 露光条件記憶部109は、初期値設定テーブルと条件テーブルとを記憶し、(【0015】) 5c-1 初期値設定テーブルは、時間帯と、当該時間帯に属する時刻に露光条件の初期化を行う場合の補正値とを関連付けて格納するものであり、(【0015】) 5c-2 補正値は、撮像装置200と外光との関係(例えば、逆光になる関係、反射光が写り込む関係、日没時など)において、撮像される画像の対象領域のコントラストが適正になるような値であり、(【0015】) 5d 確信度算出部104は、算出した確信度が所定値以上であるか否かを判定し、確信度算出部104が算出した確信度が所定値以下である場合、計時部105は、計時する未認識時間が所定時間(例えば、30分)を経過したか否かを判定し、計時部105が未認識時間が所定時間を経過していないと判定した場合、撮像部が撮像する次のフレームの画像についてナンバー認識処理を実行し、計時部105が未認識時間が所定時間を経過したと判定した場合、再度現在時刻に関連付けられた補正値を用いて露光補正を行い、(【0019】) 5e ナンバープレートのナンバー認識を行う場合に限られず、顔認識などその他の画像処理を行うものであっても良く、(【0033】) 5f 露光補正を行う場合に限られず、撮像装置200のその他の設定値を補正するものであっても良い技術。(【0034】) 6 甲第6号証(特開2016-72964号公報) (1)甲第6号証に記載された事項 甲第6号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【0001】 本発明は、一般に画像処理に関し、特に、候補被写体が着目被写体であるか否かを判定するために使用されるパン値、チルト値及びズーム値などの一連のカメラ設定を計画する方法、システム及び装置に関する。例を挙げると、「候補被写体」及び「着目被写体」という用語は、それぞれ、(i)混雑した空港におり、人混みの中の一人であるにすぎない人物と、(ii)特定の着目人物であると既に識別されている人混みの中の人物とを表す。本発明は、候補被写体が着目被写体であるか否かを判定するために使用される一連のカメラ設定を計画するためのコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品にも関する。」 (2)甲第6号証に記載された技術 上記(1)の記載から、甲第6号証には、以下の技術(以下、「甲6技術」という。)が記載されている。 (甲6技術) 候補被写体が着目被写体であるか否かを判定するために使用されるパン値、チルト値及びズーム値などの一連のカメラ設定を計画する方法、システム及び装置に関する技術。(【0001】) 7 甲第7号証(特開2011-188094号公報) (1)甲第7号証に記載された事項 甲第7号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【0001】 本発明は、物体認識装置及びプログラムに係り、特に、撮像した画像から特定の物体を認識する場合において、認識に適した画像が撮像されるように撮像装置を制御する物体認識装置及びプログラムに関する。」 「【0010】 本発明は、上述した問題を解決するために成されたものであり、画像のぶれやノイズを低減して、特定の物体を認識するために認識に適した画像を得ることができる物体認識装置及びプログラムを提供することを目的とする。」 「【0029】 撮像装置12は、認識対象領域を含む範囲を設定された露光時間で撮像し、画像信号を生成する撮像部(図示省略)と、撮像部で生成されたアナログ信号を設定されたゲインで増幅するゲイン調整部(図示省略)と、ゲイン調整されたアナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換部(図示省略)と、A/D変換された画像信号を一時的に格納するための画像メモリ(図示省略)とを備えている。」 「【0033】 ウインドウ画像抽出部22は、撮像画像から予め定められたサイズのウインドウ(探索ウインドウと呼称)を1ステップにつき、予め定められた移動量(探索ステップと呼称)だけ移動させながら画像を切り取る。ここでは、切り取った画像をウインドウ画像といい、ウインドウ画像のサイズ(すなわち探索ウインドウのサイズ)をウインドウサイズと呼称する。ウインドウサイズは様々なサイズの物体を認識するために複数種設定されており、ウインドウ画像抽出部22は、設定されている全てのウインドウサイズの探索ウインドウを用いてウインドウ画像を抽出する。また、ウインドウ画像抽出部22は、抽出したウインドウ画像を予め設定された画素数の画像(例えば、横16×縦32画素の画像)に変換する。 【0034】 認識部24は、例えば、SVM(Support Vector Machine)やHOG(Histogram of Oriented Gradient)等の手法を用いて、ウインドウ画像が特定の物体を示す画像であるか否かを認識する。 【0035】 識別モデル記憶部26には、認識部24による認識の手法に応じて予め学習により生成された識別モデルが記憶されている。なお、ここでは、識別モデル記憶部26をコンピュータ16に設ける場合について説明するが、他の外部装置の記憶手段に識別モデルを記憶しておき、ネットワークや通信手段を介して他の外部装置に接続して、他の外部装置の記憶手段に記憶された識別モデルを読み込むような構成としてもよい。 【0036】 撮像制御部40は、さらに、認識部24で特定の物体を示す画像と認識されたウインドウ画像の画像特性を抽出する画像特性抽出部42と、画像特性抽出部42で抽出されたウインドウ画像の画像特性及び予め定めた評価値マップに基づいて、ウインドウ画像の認識の容易さを示す評価値を算出する評価値算出部44と、評価値算出部44で算出された評価値に基づいて、撮像装置に設定された露光時間及びゲインを制御するための撮像制御値を算出して、撮像装置12に出力する撮像制御値算出部46と、を含んだ構成で表すことができる。 【0037】 画像特性抽出部42は、認識部24で特定の物体を示す画像と認識されたウインドウ画像、そのウインドウ画像の大きさ、撮像画像上でのウインドウ画像の位置、認識された物体の属性(歩行者、二輪車、車両等)を取得する。なお、ここでは、認識結果に含まれる情報の1つとしてウインドウ画像を取得することとするが、特定の物体を示す画像及びその周辺画像を含む部分画像を取得すればよい。また、周辺画像も含めて取得するのは、背景の複雑さ等によっても認識の容易さが異なるため、背景も含めた画像を用いて認識の容易さを評価するためである。 【0038】 また、画像特性抽出部42は、取得されたウインドウ画像からエッジを検出し、検出されたエッジの方向別の頻度を示すエッジ方向のヒストグラムを生成する。一般的に、認識に適した画像には様々な方向のエッジが適度に含まれていることが予想されるため、ここでは、エッジ方向のヒストグラムの頻度の平均及び頻度の分散をウインドウ画像の特性として抽出する。 【0039】 評価値算出部44は、予め定めた評価値マップを用いて、画像特性抽出部42で抽出されたウインドウ画像の画像特性に対する評価値を算出する。図2に示すように、評価値マップは、画像特性と評価値との関係を定めたもので、評価値は画像が認識に適しているほど高い。評価値マップは、認識結果が既知の画像及びその画像特性を、横軸に頻度の平均、縦軸に頻度の分散を取ったグラフに複数プロットし、良好に撮像された画像の画像特性が多くプロットされている領域は評価値を高くし、画像のぶれやノイズが生じている画像の画像特性が多くプロットされている領域は評価値を低くして、複数段階の領域を設定することで作成することができる。例えば、図2に示すように、中心部ほど評価値が高く、外側へ向かうほど評価値が低い等高線のマップを作成することができる。 【0040】 この評価値マップを用いて、画像特性と評価値との関係をより詳細に説明する。例えば、同図中Aに示す位置に画像特性がプロットされたウインドウ画像は、認識に適した評価値の高い画像であるとする。この評価値の高い画像と同じ明るさで撮影された画像であっても、露光時間が長くゲインが低いほど、車両運動の影響を受けて強いぶれが生じた画像となり、認識には適さない評価値の低い画像となる。このような画像から検出されるエッジの量は少なく、またぶれの方向性によりエッジ方向のヒストグラムに偏りが生じる。すなわち、頻度の平均は小さくなり、頻度の分散は大きくなる。この場合、同図中Bに示す位置にプロットされる。一方、評価値の高い画像と同じ明るさで撮影された画像であっても、露光時間が短くゲインが高いほど、画像全体のノイズが多くなり、認識には適さない評価値の低い画像となる。このような画像から検出されるエッジは様々な方向に均等にばらつくため、頻度の分散は低くなり、同図中Cに示す位置にプロットされる。 【0041】 撮像制御値算出部46は、評価値マップに基づいて、評価値が高くなるように撮像制御値として露光時間及びゲインを算出する。具体的には、図3に示すように、画像の明るさを一定に保つために、露光時間とゲインとの積が一定となるように露光時間及びゲインを変更した場合の評価値の変化を示す直線を評価値マップ上に対応させる。そして、この直線上で評価値が最大となる点に対応する露光時間及びゲインを撮像制御値として算出する。なお、露光時間とゲインとの積が一定とは、厳密に一定の場合とする場合に限らず、評価値マップにおける評価値の設定に応じて、露光時間とゲインとの積が所定値または所定値±αとなる範囲を含む。撮像制御値算出部46は、算出した撮像制御値を撮像装置12へ出力する。撮像装置12では、撮像制御値算出部46で算出された露光時間及びゲインを設定し、設定された露光時間及びゲインで撮像を行う。 【0042】 次に、図4を参照して、第1の実施の形態の物体認識装置10のコンピュータ16で実行される物体認識処理ルーチンについて説明する。 【0043】 ステップ100で、撮像装置12で撮像された撮像画像を取得し、次に、ステップ102で、撮像画像に対して例えば16×32画素の探索ウインドウを撮像画像の所定領域(例えば、左上角の領域)に設定し、設定した探索ウインドウを用いて、撮像画像から16×32画素のウインドウ画像を抽出する。 【0044】 次に、ステップ104で、識別モデル記憶部26に記憶された識別モデルを用いて、SVMやHOG等の手法を用いてウインドウ画像が特定の物体を示す画像か否かを認識する。 【0045】 次に、ステップ106で、上記ステップ104の認識結果に基づいて、ウインドウ画像が特定の物体を示す画像か否かを判定する。肯定判定される場合には、ステップ108へ移行し、否定判定される場合には、処理を終了する。 【0046】 ステップ108では、図5に示すように、上記ステップ104の認識結果として、特定の物体を示す画像と認識されたウインドウ画像、そのウインドウ画像の大きさ、撮像画像上でのウインドウ画像の位置、認識された物体の属性(歩行者、二輪車、車両等)を取得する。そして、取得されたウインドウ画像からエッジを検出し、検出されたエッジの方向別の頻度を示すエッジ方向のヒストグラムを生成する。そして、ウインドウ画像の画像特性として、エッジ方向のヒストグラムの頻度の平均及び頻度の分散を抽出する。 【0047】 次に、ステップ110で、上記ステップ108で抽出した画像特性を、予め定めた評価値マップにプロットし、画像特性に対応した認識の容易さを示す評価値Eを算出する。 【0048】 次に、ステップ112で、上記ステップ110で算出した評価値Eが予め定めた評価値閾値Ethより小さいか否かを判定することにより、上記ステップ102で抽出されたウインドウ画像が認識に適した画像か否かを判定する。E<Ethの場合には、認識に適した画像ではないと判定して、ステップ114へ移行し、E≧Ethの場合には、認識に適した画像であると判定して、そのまま処理を終了する。 【0049】 ステップ114では、露光時間とゲインとの積が一定となるように露光時間及びゲインを変更した場合の評価値の変化を示す直線を評価値マップ上に対応させ、この直線上で評価値が最大となる点に対応する露光時間及びゲインを撮像制御値として算出し、算出した撮像制御値を撮像装置12へ出力して、処理を終了する。 【0050】 これにより、次のフレームの撮像画像は、評価値が高くなるように露光時間及びゲインが設定された撮像装置12で撮像された認識に適した撮像画像となる。 【0051】 また、上記ステップ102のウインドウ画像の抽出処理では、探索ウインドウの各サイズについて撮像画像全体を走査しながらウインドウ画像を抽出し、上記ステップ104で抽出された各ウインドウ画像について認識処理を行うため、1つの撮像画像から複数の特定の物体を示すウインドウ画像が認識される場合もある。その場合には、ウインドウ画像毎に上記ステップ108及びステップ110の処理を実行して評価値Eを算出し、いずれか1つの評価値Eが評価値閾値Ethより小さい場合に、上記ステップ112で肯定判定されるようにしたり、全ての評価値Eが評価値閾値Ethより小さい場合に、上記ステップ112で肯定判定されるようにしたりすることができる。 【0052】 以上説明したように、第1の実施の形態の物体認識装置によれば、予め定めた画像の特性と認識の容易さを示す評価値との関係を示す評価値マップに、特定の物体を示す画像であると認識されたウインドウ画像の画像特性をプロットして評価値を算出し、画像の明るさを保ったままこの評価値が最大となる露光時間及びゲインを算出するため、画像のぶれやノイズを低減して、特定の物体を認識するために認識に適した撮像画像を得ることができる。」 (2)甲第7号証に記載された技術 上記(1)の記載から、甲第7号証には、以下の技術(以下、「甲7技術」という。)が記載されている。 なお、7a~7lは、説明のために当審で付したものであり、以下、「構成7a」~「構成7l」という。 (甲7技術) 7a 撮像した画像から特定の物体を認識する場合において、認識に適した画像が撮像されるように撮像装置を制御する物体認識装置に関する技術であって、(【0001】) 7b 画像のぶれやノイズを低減して、特定の物体を認識するために認識に適した画像を得ることができる物体認識装置を提供することを目的とするものであり、(【0010】) 7c 撮像装置12は、認識対象領域を含む範囲を設定された露光時間で撮像し、画像信号を生成する撮像部と、撮像部で生成されたアナログ信号を設定されたゲインで増幅するゲイン調整部とを備え、(【0029】) 7d ウインドウ画像抽出部22は、撮像画像から予め定められたサイズのウインドウ(探索ウインドウと呼称)を1ステップにつき、予め定められた移動量(探索ステップと呼称)だけ移動させながら画像を切り取り、抽出したウインドウ画像を予め設定された画素数の画像(例えば、横16×縦32画素の画像)に変換し、(【0033】) 7e 認識部24は、ウインドウ画像が特定の物体を示す画像であるか否かを認識し、(【0034】) 7f 撮像制御部40は、認識部24で特定の物体を示す画像と認識されたウインドウ画像の画像特性を抽出する画像特性抽出部42と、画像特性抽出部42で抽出されたウインドウ画像の画像特性及び予め定めた評価値マップに基づいて、ウインドウ画像の認識の容易さを示す評価値を算出する評価値算出部44と、評価値算出部44で算出された評価値に基づいて、撮像装置に設定された露光時間及びゲインを制御するための撮像制御値を算出して、撮像装置12に出力する撮像制御値算出部46と、を含んだ構成であり、(【0036】) 7g 画像特性抽出部42は、認識部24で特定の物体を示す画像と認識されたウインドウ画像、そのウインドウ画像の大きさ、撮像画像上でのウインドウ画像の位置、認識された物体の属性(歩行者、二輪車、車両等)を取得するものであり、ここでは、認識結果に含まれる情報の1つとしてウインドウ画像を取得することとするが、特定の物体を示す画像及びその周辺画像を含む部分画像を取得すればよく、周辺画像も含めて取得するのは、背景の複雑さ等によっても認識の容易さが異なるため、背景も含めた画像を用いて認識の容易さを評価するためであって、取得されたウインドウ画像からウインドウ画像の特性を抽出し、(【0037】、【0038】) 7h 評価値算出部44は、予め定めた評価値マップを用いて、画像特性抽出部42で抽出されたウインドウ画像の画像特性に対する評価値を算出し、評価値は画像が認識に適しているほど高いものであり、評価値マップは、認識結果が既知の画像及びその画像特性を、複数プロットし、良好に撮像された画像の画像特性が多くプロットされている領域は評価値を高くし、画像のぶれやノイズが生じている画像の画像特性が多くプロットされている領域は評価値を低くして、複数段階の領域を設定することで作成することができ、(【0039】) 7i 撮像制御値算出部46は、評価値マップに基づいて、評価値が高くなるように撮像制御値として露光時間及びゲインを算出し、算出した撮像制御値を撮像装置12へ出力し、撮像装置12では、撮像制御値算出部46で算出された露光時間及びゲインを設定し、設定された露光時間及びゲインで撮像を行うものであって、(【0041】) 7j 物体認識装置10のコンピュータ16で実行される物体認識処理ルーチンは、(【0042】) 7j-1 撮像装置12で撮像された撮像画像を取得し、撮像画像に対して例えば16×32画素の探索ウインドウを撮像画像の所定領域(例えば、左上角の領域)に設定し、設定した探索ウインドウを用いて、撮像画像から16×32画素のウインドウ画像を抽出し、(【0043】) 7j-2 識別モデル記憶部26に記憶された識別モデルを用いて、ウインドウ画像が特定の物体を示す画像か否かを認識し、(【0044】) 7j-3 認識結果に基づいて、ウインドウ画像が特定の物体を示す画像か否かを判定し、肯定判定される場合には、(【0045】) 7j-4 認識結果として、特定の物体を示す画像と認識されたウインドウ画像、そのウインドウ画像の大きさ、撮像画像上でのウインドウ画像の位置、認識された物体の属性(歩行者、二輪車、車両等)を取得し、ウインドウ画像の画像特性を抽出し、(【0046】) 7j-5 抽出した画像特性を、予め定めた評価値マップにプロットし、画像特性に対応した認識の容易さを示す評価値Eを算出し、(【0047】) 7j-6 算出した評価値Eが予め定めた評価値閾値Ethより小さいか否かを判定することにより、抽出されたウインドウ画像が認識に適した画像か否かを判定するものであり、E<Ethの場合には、認識に適した画像ではないと判定するが、E≧Ethの場合には、認識に適した画像であると判定してそのまま処理を終了し、(【0048】) 7j-7 評価値が最大となる点に対応する露光時間及びゲインを撮像制御値として算出し、算出した撮像制御値を撮像装置12へ出力して、処理を終了し、(【0049】) 7j-8 1つの撮像画像から複数の特定の物体を示すウインドウ画像が認識される場合には、ウインドウ画像毎に評価値Eを算出し、いずれか1つの評価値Eが評価値閾値Ethより小さい場合、全ての評価値Eが評価値閾値Ethより小さい場合に、評価値が最大となる点に対応する露光時間及びゲインを撮像制御値として算出し、算出した撮像制御値を撮像装置12へ出力することにより、(【0051】、【0049】) 7k 次のフレームの撮像画像は、評価値が高くなるように露光時間及びゲインが設定された撮像装置12で撮像された認識に適した撮像画像となり、(【0050】) 7l 予め定めた画像の特性と認識の容易さを示す評価値との関係を示す評価値マップに、特定の物体を示す画像であると認識されたウインドウ画像の画像特性をプロットして評価値を算出し、画像の明るさを保ったままこの評価値が最大となる露光時間及びゲインを算出するため、画像のぶれやノイズを低減して、特定の物体を認識するために認識に適した撮像画像を得ることができる技術。(【0052】) 8 甲第8号証(特開2010-177894号公報) (1)甲第8号証に記載された事項 甲第8号証には、以下のような記載がある。(下線は合議体が付したものである。) 「【0002】 さらに詳しくは、本発明は、連続撮影を通じて得られた複数の画像から代表画像を自動的に選択する撮像装置、画像管理装置及び画像管理方法、並びにコンピューター・プログラムに係り、特に、人物などの被写体を連続撮影して得られた複数の画像の中から被写体の写真写りの良し悪しに応じて代表画像を自動的に選択する撮像装置、画像管理装置及び画像管理方法、並びにコンピューター・プログラムに関する。」 「【0060】 撮像制御部280は、ユーザーにより指定された撮影モードに対応するプログラム線図を露出判定部270で選択されたプログラム線図に変更するとともに、EV値抽出部240から出力されたEV値に基づいて露出条件を決定する。そして、決定された露出条件に基づいて、アイリス機構部112及びシャッター機構部113を制御するための制御信号をアイリス機構部112及びシャッター機構部113に出力する。また、各撮像条件に応じた撮像モード設定や低照度補正などの制御を行なう。さらに、撮像制御部280は、シャッター・レリーズ・ボタンの深押し状態において、撮像画像に含まれる被写体のシーンが夜景シーンや逆光シーンなどの特定シーンであると判定された場合には、少なくとも2つの異なる撮像記録パラメーターを用いて撮像画像を記録させる制御を行なう。なお、シャッター・レリーズ・ボタンが半押し状態の場合には、少なくとも2つの異なる撮像記録パラメーターが確定する。また、2つの異なる撮像記録パラメーターとして、例えば、ユーザーにより指定された撮像記録パラメーターと、判定されたシーンに応じた撮像記録パラメーターとすることができる。」 「【0062】 本実施形態では、撮像装置100は、同じ被写体を複数回にわたって撮影する連続撮影機能を備えている。例えば人物など動く物体を被写体とする場合には、シャッター・レリーズ・ボタンを押すタイミングをとることが難しいことから、連続撮影はとりわけ有効である。具体的には、シャッター・レリーズ・ボタンが半押し状態となったときに、自動合焦制御機能、自動露光制御機能、主要被写体検出機能が起動し、深押し状態で通常撮影が起動し、さらに深押し状態を所定時間以上継続すると深押しを解除するまで連続撮影が実行される。 【0063】 ここで、連続撮影して得られた複数の画像の中から、どれが適切なものかを取捨選択しなければならないという問題がある。そこで、本実施形態では、代表画像選択部300が、連続撮影して得られた複数の画像を、顔情報に基づいてそれぞれスコア化し、最もスコアの高い画像を連続撮影画像における代表画像として自動的に選択するように構成されている。スコア化に用いるパラメーターには、検出顔の属性情報を用いることができる。具体的には、代表画像選択部300は、顔検出部210から出力される検出顔の笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度を基に、各撮影画像をスコア化する。 【0064】 但し、連続撮影された画像に顔画像が存在しない場合には、代表画像選択部300は、顔情報の代わりに撮影時の環境情報に基づいて各画像をスコア化し、最もスコアの高い画像を代表画像として自動的に選択する。撮影時の環境情報として、露出度、鮮鋭度、手ブレ度を挙げることができ、代表画像選択部300は、これらを撮影環境情報に基づいて各撮影画像をスコア化する。ディジタル信号処理部123から出力される、画面内の所定領域から検出される光量成分の光量レベルを示すAE信号、高周波成分のレベルを示すコントラスト信号をそれぞれ露出度、鮮鋭度として用いることができ、また、ブレ検出部180から出力される、撮像装置100に加わった加速度、動き、傾きの検出値に対応する電圧値を手ブレ度として用いることができる。代表画像選択部300は、これらの撮影環境情報を入力して、連続撮影された各撮影画像をスコア化する。 【0065】 連続撮影した画像内に顔画像が存在する場合並びに存在しない場合のいずれにせよ、本実施形態に係る撮像装置100は、連続撮影して得られた複数の画像の中から、被写体の写真写りの良し悪しに応じて、代表画像を自動的に選択することができる訳である。」 「【0070】 次いで、メイン制御部200内の代表画像選択部300は、顔検出部210で検出された各検出顔の属性情報(但し、撮影画像中に人物が存在する場合)、又は、撮影時の環境情報に基づいて(但し、撮影画像中に人物が存在しない場合)、連続撮影された各々の撮影画像を評価し、評価結果をスコア化する(ステップS3)。評価に用いる検出顔の属性情報は、笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度などであり、例えば特開2007-249852号公報若しくは特開2008-305342号公報(前述)に記載されている方法に従ってこれらの顔属性情報を取得することができる。 【0071】 次いで、メイン制御部200内の代表画像選択部300は、スコア化された各画像のうち、スコアが最も高い画像を、連続撮影した一連の画像の代表画像として選択する(ステップS4)。」 「【0079】 また、画像中で複数の顔が検出された場合には(ステップS15のYes)、検出顔毎に重みを決定し、各検出顔について算出されたスコアの重み付け平均を計算して(ステップS16)、当該画像のスコアとして決定する(ステップS17)。 【0080】 複数の検出顔が存在する場合の検出顔の重み付け方法として、例えば、スルー画像上でユーザーが選択した検出顔や、顔部分のエッジの境界が最も際立っている(鮮鋭度の高い)顔に、より大きな重みを与える方法などが挙げられる。」 (2)甲第8号証に記載された技術 上記(1)の記載から、甲第8号証には、以下の技術(以下、「甲8技術」という。)が記載されている。 なお、8a~8jは、説明のために当審で付したものであり、以下、「構成8a」~「構成8j」という。 (甲8技術) 8a 人物などの被写体を連続撮影して得られた複数の画像の中から被写体の写真写りの良し悪しに応じて代表画像を自動的に選択する撮像装置に関する技術であって、(【0002】) 8b 撮像制御部280は、露出条件を決定し、各撮像条件に応じた撮像モード設定や低照度補正などの制御を行い、さらに、シャッター・レリーズ・ボタンの深押し状態において、撮像画像に含まれる被写体のシーンが夜景シーンや逆光シーンなどの特定シーンであると判定された場合には、少なくとも2つの異なる撮像記録パラメーターを用いて撮像画像を記録させる制御を行ない、シャッター・レリーズ・ボタンが半押し状態の場合には、少なくとも2つの異なる撮像記録パラメーターが確定し、また、2つの異なる撮像記録パラメーターとして、例えば、ユーザーにより指定された撮像記録パラメーターと、判定されたシーンに応じた撮像記録パラメーターとすることができ、(【0060】) 8c 撮像装置100は、同じ被写体を複数回にわたって撮影する連続撮影機能を備え、(【0062】) 8d 連続撮影して得られた複数の画像の中から、どれが適切なものかを取捨選択しなければならないという問題があるため、代表画像選択部300が、連続撮影して得られた複数の画像を、顔情報に基づいてそれぞれスコア化し、最もスコアの高い画像を連続撮影画像における代表画像として自動的に選択するように構成され、(【0063】) 8e スコア化に用いるパラメーターには、検出顔の属性情報を用いることができ、具体的には、代表画像選択部300は、顔検出部210から出力される検出顔の笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度を基に、各撮影画像をスコア化するものであり、(【0063】) 8f 連続撮影された画像に顔画像が存在しない場合には、代表画像選択部300は、顔情報の代わりに撮影時の環境情報に基づいて各画像をスコア化し、最もスコアの高い画像を代表画像として自動的に選択し、撮影時の環境情報として、露出度、鮮鋭度、手ブレ度を挙げることができ、代表画像選択部300は、これらを撮影環境情報に基づいて各撮影画像をスコア化するものであり、(【0064】) 8g 連続撮影した画像内に顔画像が存在する場合並びに存在しない場合のいずれにせよ、撮像装置100は、連続撮影して得られた複数の画像の中から、被写体の写真写りの良し悪しに応じて、代表画像を自動的に選択することができ、(【0065】) 8h 代表画像選択部300は、顔検出部210で検出された各検出顔の属性情報(但し、撮影画像中に人物が存在する場合)、又は、撮影時の環境情報に基づいて(但し、撮影画像中に人物が存在しない場合)、連続撮影された各々の撮影画像を評価し、評価結果をスコア化し、評価に用いる検出顔の属性情報は、笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度などであり、次いで、スコア化された各画像のうち、スコアが最も高い画像を、連続撮影した一連の画像の代表画像として選択し、(【0070】、【0071】) 8i 画像中で複数の顔が検出された場合には、検出顔毎に重みを決定し、各検出顔について算出されたスコアの重み付け平均を計算して、当該画像のスコアとして決定し、(【0079】) 8j 複数の検出顔が存在する場合の検出顔の重み付け方法として、スルー画像上でユーザーが選択した検出顔や、顔部分のエッジの境界が最も際立っている(鮮鋭度の高い)顔に、より大きな重みを与える方法などが挙げられる技術。(【0080】) 第6 取消理由についての当審の判断 1 本件訂正発明1 (1)本件訂正発明1、甲1発明 本件訂正発明1と甲1発明とを対比するにあたり、本件訂正発明1と甲1発明とを再掲する。 (本件訂正発明1) A 人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 B 前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 C 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備え、 D 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する E 情報処理装置。 (甲1発明) 1a 人物の顔画像を利用して当該人物を特定する顔認識装置において、入力画像内の顔領域の画像情報、および、現在撮像を行なっているカメラの制御パラメータ、および、装置周辺の照明環境情報のうち、少なくとも1つまたは複数の情報から、あらかじめ与えられた顔の識別性能が最も高くなるようなカメラ制御基準を基にカメラの制御を行なうことで、一度のみのカメラ制御により最適な認識結果を取得するものであって、 1b カメラ101は、入力画像を調整する機能を備えているものとし、たとえば、ゲイン値、絞り値、シャッタ速度、ホワイトバランスなどが挙げられ、画質を最適にするためには絞りの制御を利用することやシャッタ速度の調整、カラー情報を使う場合にはホワイトバランスを制御対象(調整要素)としても構わないものであり、 1c 認識部105は、辞書情報記憶部104に記憶された辞書情報(部分空間)と顔特徴抽出部103で得られた特徴情報(濃淡情報あるいは部分空間情報)とを照合(比較)することにより、カメラ101で撮像されている認識対象者Mが誰であるかを認識、あるいは、該当人物であるかどうかを同定するものであって、人物を認識するためには、どの人物のデータに最も類似しているかを求めればよく、最大類似度をとるデータに対応する人物を認識結果とすればよく、 1d-1 あらかじめ本顔認識装置が設置されると思われる場所の照明環境を複数(本実施の形態では照度1から照度nまでとする)用意しておき、それらの中でカメラ101のゲインをGain(min)からGain(max)まで変更しながら、その各ゲインごとの画像を取得するようなデータを収集し、 1d-2 与えられた照明環境に対して特定のゲインにした場合の顔領域の画像情報が得られ、さらに、この状態での類似度の分布が取得でき、このときに登録されている辞書情報の全てに対する類似度を組合わせを変えながら求め、本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差が最も高くなるゲイン値が「最適なゲイン」であることがわかり、 1e 顔認識装置を、通行者の顔を認識して通行者の通行を制御する通行制御装置に適用した場合、重要施設(セキュリティ重視の部屋など)への入退室管理を行なうもので、利用者(通行者)の顔を認識して、その認識結果に基づき重要施設の入退室用ドアの開閉制御を行なうものである 1a 顔認識装置。 (2)本件訂正発明1と甲1発明との対比、一致点、相違点 ア 構成Aについて 構成1d-1、1d-2より、甲1発明は、各ゲイン(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)に対して、本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差を順次求めて、求められた本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差のうちで、その差が最も高い時のゲイン値を導出し、「最適なゲイン」とするものである。 ここで、本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差が最も高い時のゲイン値を導出するために、各ゲイン(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)に対応して、求められた「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」を記憶しておく必要があるといえる。 すなわち、甲1発明は、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」と、「各ゲイン」(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)とを記憶する手段を備えるものといえる。 そして、構成1cより、「人物を認識するためには、どの人物のデータに最も類似しているかを求めればよく、最大類似度をとるデータに対応する人物を認識結果とすれば」よいものであるから、甲1発明の構成1d-2の「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」は、顔領域の画像情報を用いた人物を認識するための値であるといえる。 したがって、甲1発明の「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」は、構成Aの「人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコア」に相当する。 また、甲1発明において記憶されている、「各ゲイン」(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)は、顔領域の画像情報を取得する際に、カメラにおいて設定されるゲインであるから、甲1発明の「各ゲイン」は、構成Aの「カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定」に相当する。 そして、甲1発明は、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」と、「各ゲイン」(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)とを記憶する手段を備えるものといえることから、構成Aの「人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段」に相当する構成を備えるものといえる。 イ 構成Bについて 上記アより、甲1発明は、各ゲイン(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)に対して、本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差を順次求めて、求められた本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差のうちで、その差が最も高い時のゲイン値を導出し、「最適なゲイン」とするものである。 したがって、甲1発明は、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する類似度の平均類似度との差」と、「各ゲイン」(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)とに基づいて、「最適なゲイン」を決定する構成を備えるものといえる。 上記アの検討を援用するに、甲1発明の「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する類似度の平均類似度との差」は、構成Bの「スコア」に相当する。 また、上記アのとおり、甲1発明の、「各ゲイン」(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)は、構成Bの「カメラ設定」に相当する。 さらに、「最適なゲイン」にカメラを設定することで、本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差が最も高くなる、すなわち、他人との識別が最も高くなるものであるから、カメラに対する最良の設定であるといえるので、甲1発明の「最適なゲイン」は、構成Bの「カメラの推奨設定」に相当する。 そうすると、甲1発明は「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する類似度の平均類似度との差」と、「各ゲイン」(照度1から照度nまでのn種類の照度それぞれに対するGain(min)からGain(max)までのそれぞれのゲイン)とに基づいて、「最適なゲイン」を決定する構成を備えるものであるから、構成Bの「前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段」に相当する構成を備えるものといえる。 ウ 構成Cについて 構成1aの「入力画像内の顔領域の画像情報、および、現在撮像を行なっているカメラの制御パラメータ、および、装置周辺の照明環境情報のうち、少なくとも1つまたは複数の情報」は、「少なくとも1つまたは複数」との記載から、「入力画像内の顔領域の画像情報、および、現在撮像を行なっているカメラの制御パラメータ」であることを含むものである。 したがって、構成1aは、「入力画像内の顔領域の画像情報、および、現在撮像を行なっているカメラの制御パラメータ」から、「あらかじめ与えられた顔の識別性能が最も高くなるようなカメラ制御基準を基にカメラの制御を行なうことで、一度のみのカメラ制御により最適な認識結果を取得するもので」あり、構成1d-1、1d-2より、構成1aの「現在撮像を行なっているカメラの制御パラメータ」、「あらかじめ与えられた顔の識別性能が最も高くなるようなカメラ制御基準」は、「ゲイン」、「最適なゲイン」を指すといえる。 そうすると、甲1発明は、「最適なゲイン」を基にカメラの制御を行なう構成であり、上記イより、甲1発明の「最適なゲイン」は、構成Cの「前記推奨設定」を指すので、甲1発明は、構成Cの「前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段」に相当する構成を備えるものといえる。 エ 構成Dについて 上記イより、甲1発明は、構成Bの「推奨設定決定手段」に相当する構成を備えるものといえる。 しかし、本件訂正発明1の「推奨設定決定手段」は、構成Dのように「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ものであるのに対し、甲1発明は、複数の人物を想定する発明でなく、構成Dに相当する構成を有するものではない。 オ 構成Eについて 構成1aの「顔認識装置」は、構成1b~1eより、顔認識のために、様々な情報を処理する装置であるといえるので、構成Eの「情報処理装置」に相当する。 したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、構成Eを備える点で一致する。 カ 一致点・相違点 以上より、本件訂正発明1と甲1発明との一致点・相違点は以下のとおりである。 (一致点) 人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備える、 情報処理装置。 (相違点1) 推奨設定決定手段に関して、本件訂正発明1は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲1発明は、そのような構成を有するものではない点。 (3)取消理由の理由1(新規性)について 本件訂正発明1と甲1発明とは、上記(2)カのように相違点1を有するものであるから、本件訂正発明1と甲1発明とは同一でない。 (4)取消理由の理由2(進歩性)について 上記(2)カの相違点1について検討する。 甲1発明は、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差が最も高くなるゲイン値が「最適なゲイン」である」構成(構成1d-2)を含むものである。 そして、上記(2)ア、イより、甲1発明の「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」、「各ゲイン」、「最適なゲイン」は、それぞれ、本件訂正発明1の「スコア」、「カメラ設定」、「カメラの推奨設定」に相当することから、甲1発明は「スコアが最も高くなるカメラ設定の値を、カメラの推奨設定として決定する」という構成を含むものといえる。 しかし、甲1発明は、最適なゲイン(カメラの推奨設定)を決定するにあたって、「複数の人物」について考慮したものでなく、ましてや、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差(スコア)が最も高くなるゲイン値(カメラ設定の値)」であって、「所定の基準値以上」とするものでもない。 そして、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差(スコア)が最も高くなるゲイン値(カメラ設定の値)」という甲1発明について、「複数の人物」について考慮し、更に、「あらかじめ与えられた顔の識別性能が最も高くなるようなカメラ制御基準を基にカメラの制御を行なうことで、一度のみのカメラ制御により最適な認識結果を取得する」(構成1a)ための発明である甲1発明において、「最も高くなるゲイン値(カメラ設定の値)」という一意に定まる値から、「所定の基準値」という閾値以上のゲイン値とする構成とすることは、当業者が容易に発明できたものではない。 以上より、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 2 本件訂正発明2 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用する発明である。 (1)取消理由の理由1(新規性)について 上記1(3)のように、本件訂正発明1と甲1発明とは同一でない以上、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2と甲1発明とは同一でない。 (2)取消理由の理由2(進歩性)について 甲1発明は、構成1d-1~1d-2より、ゲイン値を制御する構成であるが、構成1bより、「絞り値、シャッタ速度、ホワイトバランス」を制御する構成も含まれるものである。 ここで、構成1bの「シャッタ速度」は、本件訂正発明2の「前記カメラの姿勢、前記カメラの撮影倍率、前記カメラの露光時間の長さ、輝度、彩度、撮影解像度、および、圧縮品質」のうちの「カメラの露光時間の長さ」に相当する。 しかし、上記1(4)のように、本件訂正発明1が甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない以上、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2についても同様に当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 3 本件訂正発明6、7、9 本件訂正発明6、7、9は、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する発明である。 (1)取消理由の理由2(進歩性)について 上記1(4)のように、本件訂正発明1が甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない以上、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する本件訂正発明6、7、9についても同様に甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 また、上記第5の5(2)で認定した甲5技術は、撮像された顔画像に黒潰れ・白飛びが発生するおそれがあるため、(構成5b、5e)「露光条件記憶部109は、初期値設定テーブル」「を記憶し、」(構成5c)「初期値設定テーブルは、時間帯と、当該時間帯に属する時刻に露光条件の初期化を行う場合の補正値とを関連付けて格納するものであり、」(構成5c-1)「補正値は、」「撮像される画像の対象領域のコントラストが適正になるような値であり、」(構成5c-2)「未認識時間が所定時間を経過したと判定した場合」、「現在時刻に関連付けられた補正値を用いて露光補正を行う」(構成5d)、「顔認識など」「の画像処理を行う」(構成5e)技術であり、上記相違点1に係る構成に関連する構成ではない。 したがって、本件訂正発明6、7、9は甲1発明及び甲5技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 4 本件訂正発明8 本件訂正発明8は、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する発明である。 (1)取消理由の理由1(新規性)について 上記1(3)のように、本件訂正発明1と甲1発明とは同一でない以上、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する本件訂正発明8と甲1発明とは同一でない。 (2)取消理由の理由2(進歩性)について 上記1(4)のように、本件訂正発明1が甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない以上、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する本件訂正発明8についても同様に甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 さらに、上記3で検討したように、甲5技術は上記相違点1に係る構成に関連する構成ではないので、本件訂正発明8は甲1発明及び甲5技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 5 本件訂正発明10 本件訂正発明10は、本件訂正発明1の各手段をコンピュータが行うカメラ制御方法の発明である。 (1)本件訂正発明10と甲1発明との対比、一致点・相違点 対比については上記1(2)を援用する。 そうすると、本件訂正発明10と甲1発明との一致点・相違点は以下のとおりである。 (一致点) 画像に写る人物の認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積し、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定し、 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御する、 ことを含むカメラ制御方法。 (相違点2) 本件訂正発明10は、各処理をコンピュータが行うカメラ制御方法の発明であるのに対し、甲1発明はそのように限定されていない点。 (相違点3) 推奨設定を決定することに関して、本件訂正発明10は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲1発明は、そのような構成を有するものではない点。 (2)取消理由の理由1(新規性)について 本件訂正発明10と甲1発明とは、上記のように相違点2、3を有するものであるから、本件訂正発明10と甲1発明とは同一でない。 (3)取消理由の理由2(進歩性)について 相違点3について検討する。 相違点3は、上記1(2)カの相違点1と同様の相違点であり、上記1(4)の検討と同様に、当該相違点3に係る構成は、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明10は、甲第1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 6 本件訂正発明11 本件訂正発明11は、本件訂正発明10を引用する発明である。 (1)取消理由の理由1(新規性)について 上記5(2)のように、本件訂正発明10と甲1発明とは同一でない以上、本件訂正発明10を引用する本件訂正発明11と甲1発明とは同一でない。 (2)取消理由の理由2(進歩性)について 上記5(3)のように、本件訂正発明10が甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない以上、本件訂正発明10を引用する本件訂正発明11についても同様に当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 7 本件訂正発明12 本件訂正発明12は、本件訂正発明1について、「カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラ」(構成G)と、「前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段」(構成H)とを備える画像処理システムの発明とするものである。 (1)本件訂正発明12と甲1発明との対比、一致点・相違点 ア 構成Gについて 甲1発明の「カメラ101」は、ゲインを変更しながら各ゲインごとの画像を取得している(構成1d-1)ことから、構成Gの「カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラ」に相当する。 イ 構成Hについて 構成1cの「認識部105」は、「辞書情報記憶部104に記憶された辞書情報(部分空間)と顔特徴抽出部103で得られた特徴情報(濃淡情報あるいは部分空間情報)とを照合(比較)することにより、カメラ101で撮像されている認識対象者Mが誰であるかを認識、あるいは、該当人物であるかどうかを同定するもの」であるから、構成Hの「前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段」に相当する。 ウ 一致点・相違点 上記1(2)を援用するに、本件訂正発明12と甲1発明との一致点・相違点は以下のとおりである。 (一致点) カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラと、 前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段と、 前記認証処理で得られたスコアと、前記カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備える、 画像処理システム。 (相違点4) 推奨設定決定手段に関して、本件訂正発明12は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲1発明は、そのような構成を有するものではない点。 (2)取消理由の理由1(新規性)について 本件訂正発明12と甲1発明とは、上記のように相違点4を有するものであるから、本件訂正発明12と甲1発明とは同一でない。 (3)取消理由の理由2(進歩性)について 相違点4は、上記1(2)カの相違点1と同様の相違点であり、上記1(4)の検討と同様に、当業者が容易に発明できたものではない。 以上より、本件訂正発明12は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 8 本件訂正発明13 本件訂正発明13は、本件訂正発明12を引用する発明である。 (1)取消理由の理由1(新規性)について 上記7(2)のように、本件訂正発明12と甲1発明とは同一でない以上、本件訂正発明12を引用する本件訂正発明13と甲1発明とは同一でない。 (2)取消理由の理由2(進歩性)について 上記7(3)のように、本件訂正発明12が甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない以上、本件訂正発明12を引用する本件訂正発明13についても同様に当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 9 まとめ 以上より、取消理由通知に記載した取消理由により、請求項1、2、6~13に係る特許を取り消すことはできない。 なお、請求項3については、訂正により削除された。 第7 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立書における特許異議申立理由の要旨 特許異議申立書における、請求項1~13に係る特許(以下、訂正前の請求 項1~13に係る発明については、項番にしたがい「本件特許発明1」~「本件特許発明13」という。)に対しての特許異議申立理由の要旨は、以下のとおりである。(特許異議申立書の3.(3)~(5)) なお、末尾の括弧内は、特許異議申立書の関連する頁行である。 (1)特許法第29条第1項第3号について(同法第113条第2号) 本件特許発明1、2、3、8、9、10、12、13は、甲第1号証に記載された発明である。(46頁17~20行) (2)特許法第29条第2項について(同法第113条第2号) 本件特許発明1~13は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明に基づいて本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。(46頁22~25行) なお、上記(2)について、特許異議申立書の3.(4)(4-2-2)(当審注:28頁28行には、(4-3-2)と記載されているが、17頁32行に(4-2-1)とあり、45頁25行に(4-2-3)とあることから、(4-2-2)の誤記であると解される。)には、以下のような具体的な主張がなされている。 ア 本件特許発明1、10、12 (ア)本件特許発明1、10、12と甲1発明との間で相違点が存在するとしても、かかる相違点は当業者が当然になし得る事項に過ぎず、本件特許発明1、10、12は、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。(28頁32~34行) (当審注:特許異議申立書28頁32~34行では、本件特許発明1が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであることを主張しているものであるが、特許異議申立書28頁29行には、「(ア)本件発明1、10、12」と記載されていることから、本件特許発明10、12についても甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであることを主張しているものと解される。) (イ)本件特許発明1は、甲第2号証に、甲第1号証に記載の認証に係る構成要件を追加した構成要件から構成される。故に、本件特許発明1は、甲第1号証及び甲第2号証に基づき、当業者が容易に想到した発明である。(33頁16~18行) (ウ)本件特許発明10と本件発明1は、発明のカテゴリーが異なるだけであって、実質的に同一の発明である。本件発明10は、甲第1号証及び甲第2号証に基づき、当業者が容易に想到した発明である。(33頁23~27行) (当審注:当該記載は、本件発明1が、甲第2号証に、甲第1号証に記載の認証に係る構成要件を追加した構成要件から構成されることの説明の後に、本件発明10と本件発明1と実質的に同一の発明であることを主張するものであるから、本件発明10についても、甲第2号証に、甲第1号証に記載の認証に係る構成要件を追加した構成要件から構成されることを主張しているものと解される。) (エ)本件特許発明12は、甲第2号証に、甲第1号証に記載の認証に係る構成を追加した構成である。故に、本件特許発明12は、甲第1号証及び甲第2号証に基づき、当業者が容易に想到した発明である。(35頁29~31行) イ 本件特許発明2 甲第1号証乃至甲第6号証には、「撮影解像度、および、圧縮品質」を制御する記載はないものの、それ以外の要件についての記載がある。しかしながら、人物を認証するという観点からすれば、いずれもが当業者が容易に着想しえる要素である。従って、本件特許発明2は、甲第1号証乃至甲第6号証に基づき当業者が容易に想到し得るものである。(39頁13~17行) ウ 本件特許発明3 「最大尤度」の代わりに、甲第1号証に記載の類似度のうち最大の類似度を採用することは、当業者にとって容易に想到し得るものである。従って、本件特許発明3は、甲第1号証、甲第2号証に基づき当業者が容易に想到し得るものである。(40頁2~6行) エ 本件特許発明4、5 甲第1号証に記載の発明に、甲第3号証に記載の「複数の人物が認識された場合には、認識された顔に対する各画質パラメータを用いて、撮影を実行する」、又は、「複数の人物が認識された場合には、認識された顔に対する各画質パラメータの平均値を用いて、撮影を実行する」を適用すれば、本件特許発明4、5が構成される。従って、本件特許発明4及び5は、甲第1号証、及び、甲第3号証に基づき当業者が容易に想到し得るものである。(41頁20~26行) オ 本件特許発明6、7 本件特許発明6、7は、甲第1号証と、甲第4号証又は甲第5号証とに基づき容易に想到しえた発明である。(43頁12~13行) カ 本件特許発明8 本件特許発明8は、甲第1号証、又は、甲第1号証及び甲第3号証、又は、甲第1号証及び甲第2号証、又は、甲第1号証~甲第3号証に基づき当業者が容易に想到し得るものである。(43頁16~35行) (当審注:43頁34~35行では、本件特許発明8は、甲第1号証又は甲第2号証に基づき当業者が容易に想到し得るものであることを主張しているものであるが、43頁16~32行において、本件特許発明8で限定された構成は、甲第1号証又は甲第3号証に記載されていることを主張していること、上記ア(ア)、(イ)のように、本件特許発明1は、甲1発明、又は、甲第1号証及び甲第2号証に基づいて容易に発明をすることができたものであることを主張していることから、本件特許発明8は、甲第1号証、又は、甲第1号証及び甲第3号証、又は、甲第1号証及び甲第2号証、又は、甲第1号証~甲第3号証に基づき当業者が容易に想到し得るものであることを主張しているものと解される。) キ 本件特許発明9 本件特許発明9は、甲第1号証、又は、甲第1号証と甲第4号証に基づき当業者が容易に想到し得るものである。(44頁26~27行) ク 本件特許発明11 本件特許発明11の構成要件Rは、本件特許に固有のものとはなり得ない。故に、本件特許発明11は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証に基づき、当業者が容易に想到し得るものである。(45頁13~15行) ケ 本件特許発明13 本件特許発明13について、甲第1号証には、カメラ101と、顔認識を行う装置で構成されるシステムが示されている。また、甲第2号証にも、カメラ10とコンピュータ20とで構成されるシステムが示されている。故に、システムがカメラを備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。(45頁18~23行) 甲第1号証:特開2005-202731号公報 甲第2号証:特開2008-312036号公報 甲第3号証:特開2007-274264号公報 甲第4号証:特開2009-59185号公報 甲第5号証:特開2014-232971号公報 甲第6号証:特開2016-72964号公報 (3)特許法第36条第6項第2号について(同法第113条第4号) 本件特許発明2の「輝度」は、具体的に何の「輝度」を指しているかが不明確であり、仮に、「生成された画像」の「輝度」を制御することを意図している場合であっても、どのように画像処理エンジンを制御すれば「生成された画像」の「輝度」を制御することになるのかが不明である。 同様に、「彩度、撮影解像度、および、圧縮品質」は、具体的に何の「彩度、撮影解像度、および、圧縮品質」を指しているかが不明確である。 本件特許発明2における「前記カメラ制御手段は、前記カメラの姿勢、前記カメラの撮影倍率、前記カメラの露光時間の長さ、輝度、彩度、撮影解像度、および、圧縮品質の少なくともいずれか1つを制御する」は、各項目についてカメラの具体的な制御の方法が不明確であるから、特許を受けようとする発明が明確でない。(45頁33行~46頁13行) 2 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由についての検討 上記1より特許異議申立理由は、上記1(1)、(2)ア~ケ、(3)である。 以下では、取消理由において採用しなかった特許異議申立理由に対して、本件訂正発明についての検討を行う。 (1)特許法第29条第1項第3号について 上記1(1)のうち本件特許発明9については、取消理由において特許異議申立理由として採用しなかった。 本件訂正発明9は、本件訂正発明1を間接に引用する発明である。 上記第6の1(3)で検討したように、本件訂正発明1と甲1発明とは同一でない以上、本件訂正発明1を間接に引用する本件訂正発明9と甲1発明とは同一でない。 (2)特許法第29条第2項について 上記1(2)のうち、独立した請求項に係る発明である本件特許発明1、10、12についての異議申立理由は、上記1(2)アのとおりであって、(ア)のように甲第1号証を主引例として容易であるとしたもの、もしくは、(イ)~(エ)のように甲第2号証を主引例とし甲第1号証を副引例として容易であるとしたものである。 そして、本件訂正発明1は、本件特許発明1について本件特許発明4で限定された構成を追加するように訂正したものであるが、上記1(2)エのように、異議申立人は、本件特許発明4について、甲第1号証及び甲第3号証に基づき当業者が容易に想到し得るものである旨の主張をしている。 また、本件訂正発明10、12についても、実質的に、本件特許発明10、12に、本件特許発明4で限定された構成を追加するように訂正された発明である。 本件訂正発明1、10、12について、甲第1号証を主引例としたものについては、取消理由で採用しており、それに対する検討は、上記第6の1、5、7のとおりである。 よって、以下では、本件訂正発明1、10、12について、甲第1号証を主引例とし、甲第3号証を副引例としたものに対する検討を行い、続いて、甲第2号証を主引例とし甲第1号証及び甲第3号証を副引例としたものに対する検討を行い、その後、従属請求項である本件訂正発明2、5~9、11、13についての検討を行う。 ア 本件訂正発明1 (ア)甲第1号証を主引例とした検討 a 本件訂正発明1と甲1発明との対比、一致点・相違点 本件訂正発明1と甲1発明との対比、一致点・相違点は、上記第6の1(2)カのとおりであり、相違点1を再掲する。 (相違点1) 推奨設定決定手段に関して、本件訂正発明1は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲1発明は、そのような構成を有するものではない点。 b 相違点についての検討 上記相違点1について甲3技術に基づいて容易に想到し得るものであるかについて検討する。 甲3技術は、「画質パラメータを最適にして撮影する」(構成3a)技術であって、「検出された顔がどの個人の顔であるかを特定」(構成3c)し、「登録されている画質パラメータ値を」「設定し」(構成3f)、「複数で顔を認識した場合は優先度の高い一人の画質」を用いるか、「平均値」を用いることにより撮影が行われる(構成3i)技術である。 ここで、画質パラメータの例として、「シャープネス値」、「彩度」、「コントラスト」、「フィルター」(構成3i)等が例示されており、これらは、本件訂正発明1の「カメラ設定」に相当する。 しかし、甲3技術は、登録されている画質パラメータ値を設定する構成、すなわち、予め個人ごとに画質パラメータ(カメラ設定)が設定され、優先度の高い人物もしくは平均値の画質パラメータ(カメラ設定)を用いる技術であって、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する類似度の平均類似度との差」(スコア)と、「各ゲイン」(カメラ設定)とに基づいて、「最適なゲイン」(推奨設定)を決定する甲1技術(上記第6の1(2)イを参照。)に甲3技術を適用したとしても、「最適なゲイン」(推奨設定)を決定する際に、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する類似度の平均類似度との差」(スコア)と、「各ゲイン」(カメラ設定)とに基づく構成に代えて、予め個人ごとに設定されている構成とするだけであるし、ましてや、上記相違点1に係る構成のように、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」構成とするものではない。 したがって、本件訂正発明1が、甲1発明及び甲3技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 (イ)甲第2号証を主引例とした検討 a 本件訂正発明1、甲2発明 本件訂正発明1と甲2発明とを対比するにあたり、本件訂正発明1と甲2発明とを再掲する。 (本件訂正発明1) A 人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 B 前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 C 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備え、 D 前記推奨設定決定手段は、複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する E 情報処理装置。 (甲2発明) 2a 撮影環境が変化しても、その変化に迅速に対応して人物の顔を検出できる顔検出装置であって、 2b 顔検出装置は、人物の顔を撮像するカメラ10と、カメラ10により生成された画像に基づいて顔検出処理を行うコンピュータ20と、を備え 2c コンピュータ20は、画像を入力する画像入力部21と、画像入力部21に入力された画像に基づいて人物の顔検出処理を行う顔検出部22と、カメラ10のパラメータを調整するパラメータ調整部23と、調整されたパラメータに基づいてカメラ10を制御するカメラ制御部24と、を備え、 2d 撮像パラメータとしてカメラゲインを用いた場合に、基準画像パラメータpcを初期値p0に設定し、カメラゲインが1~100まで連続して設定可能な場合は、初期値p0として例えば中間値50が設定され、 2e 基準画像パラメータpdと画像パラメータ変動のためのパラメータc(i)を用いて、現状の基準画像パラメータpcをpc=pd+c(i)と設定し、c(i)=Δp×(i-(N-1)/2)と定義すると、繰り返し回数iに応じて、基準画像パラメータpdを基準にして、画像パラメータpcが変動可能になり、 2f 少しずつ画像パラメータpcを変化させた状態で画像が生成され、 2g カメラ制御部24は、パラメータ調整部23において現在設定されている画像パラメータpcになるようにカメラ10のカメラゲインを調整して、カメラ10は、カメラ制御部24で設定されたカメラゲインの状態で人物を撮像して、画像を生成し、 2h この画像は、画像入力部21を介して、顔検出部22に供給され、 2i 顔検出部22は、画像入力部21から供給された画像に基づいて顔の検出処理を行い、更に検出された顔の信頼度(顔らしさを示す指標)である顔検出尤度φ(i)を算出し、 2j 顔検出尤度φ(i)は、顔検出処理により検出された画像特徴が顔らしくなくなるに従ってゼロに近づき、画像特徴が顔らしくなるに従って大きな値になるものであって、 2k 繰り返し回数閾値Nに達するまで、処理が繰り返され、 2l パラメータ調整部23は、顔検出処理に最適な基準画像パラメータpdを更新し、φ(i){i=0,…,N-1}において最大の尤度を与えるiをimaxとすると、パラメータ調整部23は、pd+c(imax)を新たな基準画像パラメータpdとして、 2m 顔検出部22は、更新された新たな基準画像パラメータpd(本実施形態ではカメラゲイン)のときの画像に基づいて人物の顔を検出し、 2n 各々異なるカメラゲインを用いて人物を撮像し、生成された画像から顔らしさを表す顔検出尤度を算出し、その顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインを次回の撮像に用いるため、顔検出装置は、連続的に顔検出を行う際に徐々に明るさの条件や照明の当たり具合などが変化する場合においても、安定に顔を検出することができ、 2o 撮像パラメータは、カメラの電子シャッタ速度や、絞り値、或いは濃度変換のための変換関数などにも適用可能である 2a 顔検出装置。 b 本件訂正発明1と甲2発明との対比、一致点、相違点 (a)構成Aについて 構成2f、2g、2i、2k~2nより、甲2発明は、少しずつ画像パラメータpcを変化させて画像を生成する際に、現在設定されている画像パラメータpcになるようにカメラゲインを調整して人物を撮像し画像を生成し、顔の検出処理を行い、更に検出された顔の信頼度(顔らしさを示す指標)である顔検出尤度φ(i)を算出し、繰り返し回数閾値Nに達するまで、処理を繰り返し、顔検出処理に最適な基準画像パラメータpdを更新し、更新された新たな基準画像パラメータpd(本実施形態ではカメラゲイン)のときの画像に基づいて人物の顔を検出するものであって、各々異なるカメラゲインを用いて人物を撮像し、生成された画像から顔らしさを表す顔検出尤度を算出し、その顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインを次回の撮像に用いるものである。 ここで、顔検出処理に最適な基準画像パラメータpdを更新し、更新された新たな基準画像パラメータpd(本実施形態ではカメラゲイン)のときの画像に基づいて人物の顔を検出するために、N個の各カメラゲインに対応して、算出された顔検出尤度φ(i)を記憶しておく必要があるといえる。 すなわち、甲2発明は、算出された顔検出尤度φ(i)と各カメラゲインとを記憶する手段を備えるものといえる。 そして、甲2発明の「顔検出尤度φ(i)」は、構成2g、2i、2jより、人物を撮像して生成された画像に基づいて検出された顔に対する顔らしさを示す指標であって、画像特徴が顔らしくなくなるに従ってゼロに近づき、画像特徴が顔らしくなるに従って大きな値になるものであるから、構成Aの「人物が写る画像を用いた認証処理で得られたスコア」とは、「人物が写る画像を用いて得られたスコア」である点で共通する。 また、甲2発明の「各カメラゲイン」は、構成Aの「カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定」に相当する。 したがって、甲2発明と構成Aとは、「人物が写る画像を用いて得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段」を備える点で共通する。 しかし、本件訂正発明1の「スコア」は、認証処理で得られるものであるのに対し、甲2発明の「顔検出尤度φ(i)」は、顔らしさを示す指標であって、認証処理で得られるものではない点で相違する。 (b)構成Bについて 上記(a)より、甲2発明は、各々異なるカメラゲインを用いて人物を撮像し、顔検出尤度を算出し、顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインを次回の撮像に用いるものである。 ここで、顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインを次回の撮像に用いるということは、顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインは、カメラに対する最良の設定であるといえるので、構成Bの「カメラの推奨設定」に相当する。 そうすると、甲2発明と構成Bとは、「前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段」を備える点で共通する。 しかし、上記(a)と同様に、本件訂正発明1の「前記スコア」は、認証処理で得られるものであるのに対し、甲2発明の「顔検出尤度φ(i)」は、顔らしさを示す指標であって、認証処理で得られるものではない点で相違する。 (c)構成Cについて 上記(a)より、甲2発明は、顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインを次回の撮像に用いるものである。 ここで、顔検出尤度がもっとも最適な値になるときのカメラゲインは、カメラに対する最良の設定であるといえるので、構成Bの「カメラの推奨設定」に相当する。 また、カメラゲインにより、カメラの制御を行うものであるから、甲2発明と構成Cとは、「前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段」備える点で共通する。 しかし、上記(a)、(b)と同様に、本件訂正発明1の「前記推奨設定」における「前記スコア」は、認証処理で得られるものであるのに対し、甲2発明の「顔検出尤度φ(i)」は、顔らしさを示す指標であって、認証処理で得られるものではない点で相違する。 (d)構成Dについて 上記(b)より、甲1発明は、構成Bの「推奨設定決定手段」に相当する構成を備えるものといえる。 しかし、本件訂正発明1の「推奨設定決定手段」は、構成Dのように「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」ものであるのに対し、甲2発明は、構成Dに相当する構成を有するものではない。 (e)構成Eについて 構成2aの「顔検出装置」は、構成2b~2oより、顔検出のために、様々な情報を処理する装置であるといえるので、構成Eの「情報処理装置」に相当する。 したがって、本件特許発明1と甲2発明は、構成Eを備える点で一致する。 (f)一致点・相違点 以上より、本件訂正発明1と甲2発明との一致点・相違点は以下のとおりである。 (一致点) 人物が写る画像を用いて得られたスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて、前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備える、 情報処理装置。 (相違点5) スコアに関して、本件訂正発明1の「スコア」は、認証処理で得られるものであるのに対し、甲2発明の「顔検出尤度φ(i)」は、顔らしさを示す指標であって、認証処理で得られるものではない点 (相違点6) 推奨設定決定手段に関して、本件訂正発明1は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲2発明は、そのような構成を有するものではない点。 c 相違点についての検討 相違点6について検討する。 相違点6は、上記(ア)aの相違点1と同じ相違点であり、上記(ア)bの検討と同様に、当該相違点6に係る構成は、甲1発明、甲3技術に基づいて容易に想到し得るものではない。 したがって、相違点5について検討するまでもなく、本件訂正発明1が、甲2発明及び甲1発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 また、本件訂正発明1が、甲2発明及び甲1発明、甲3技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 イ 本件訂正発明10 本件訂正発明10は、本件訂正発明1の各処理をコンピュータが行うカメラ制御方法の発明である。 (ア)甲第1号証を主引例とした検討 本件訂正発明10と甲1発明との対比、一致点・相違点は、上記第6の5(1)のとおりであり、相違点2、3のうちの相違点3について検討する。 相違点3は、上記ア(ア)aの相違点1と同様の相違点であり、上記ア(ア)bの検討と同様に、当該相違点3に係る構成は、甲1発明、甲3技術に基づいて容易に想到し得るものではない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明10が、甲1発明及び甲3技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 (イ)甲第2号証を主引例とした検討 a 本件訂正発明10と甲2発明との対比、一致点・相違点 構成2a~2cより、甲2発明は、コンピュータ20が、「カメラ10のパラメータを調整」し、「調整されたパラメータに基づいてカメラ10を制御する」ものである。 したがって、コンピュータが行うカメラ制御方法の発明である点で、本件発明10と甲2発明は、共通する。 上記ア(イ)の検討も援用するに、本件訂正発明10と甲2発明との一致点・相違点は以下のとおりである。 (一致点) コンピュータが、 画像に写る人物のスコアと、カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積し、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定し、 前記推奨設定に基づいて、前記カメラを制御する、 ことを含むカメラ制御方法。 (相違点7) スコアに関して、本件訂正発明10の「スコア」は、認証処理で得られるものであるのに対し、甲2発明の「顔検出尤度φ(i)」は、顔らしさを示す指標であって、認証処理で得られるものではない点 (相違点8) 推奨設定を決定することに関して、本件訂正発明10は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲2発明は、そのような構成を有するものではない点。 b 相違点についての検討 相違点8について検討する。 相違点8は、上記ア(ア)aの相違点1と同様の相違点であり、上記ア(ア)bの検討と同様に、当該相違点8に係る構成は、甲1発明、甲3技術に基づいて容易に想到し得るものではない。 したがって、相違点7について検討するまでもなく、本件訂正発明10が、甲2発明及び甲1発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 また、本件訂正発明10が、甲2発明及び甲1発明、甲3技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 ウ 本件訂正発明12 本件訂正発明12は、本件訂正発明1について、「カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラ」(構成G)と、「前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段」(構成H)とを備える画像処理システムの発明とするものである。 (ア)甲第1号証を主引例とした検討 本件訂正発明12と甲1発明との対比、一致点・相違点は、上記第6の7(1)のとおりであり、相違点4について検討する。 相違点4は、上記ア(ア)aの相違点1と同様の相違点であり、上記ア(ア)bの検討と同様に、当該相違点4に係る構成は、甲1発明、甲3技術に基づいて容易に想到し得るものではない。 したがって、本件訂正発明12が、甲1発明及び甲3技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 (イ)甲第2号証を主引例とした検討 a 本件訂正発明12と甲2発明との対比、一致点・相違点 (a)構成Gについて 甲2発明の「カメラ10」は、カメラゲインを調整して、人物を撮像して、画像を生成する(構成2g)ことから、構成Gの「カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラ」に相当する。 (b)構成Hについて 本件訂正発明12は、「前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段」(構成H)を備えるのに対し、甲2発明は、認証手段を備えるものでなく、構成Hに相当する構成を有するものではない。 (c)一致点・相違点 上記(a)、(b)の検討、及び、上記ア(イ)の検討を援用するに、本件訂正発明12と甲2発明との一致点・相違点は以下のとおりである。 (一致点) カメラ設定を変えながら人物が写る画像を生成するカメラと、 スコアと、前記カメラが前記画像を生成したときのカメラ設定と、を記憶領域に蓄積する蓄積手段と、 前記記憶領域に蓄積された前記スコアと前記カメラ設定との対応関係に基づいて前記カメラの推奨設定を決定する推奨設定決定手段と、 前記推奨設定に基づいて前記カメラを制御するカメラ制御手段と、 を備える、 画像処理システム。 (相違点9) 本件訂正発明12は、「前記画像を用いて認証処理を実行する認証手段」を備えるのに対し、甲2発明は、認証手段を備えるものでない点。 (相違点10) スコアに関して、本件訂正発明12の「スコア」は、認証処理で得られるものであるのに対し、甲2発明の「顔検出尤度φ(i)」は、顔らしさを示す指標であって、認証処理で得られるものではない点 (相違点11) 推奨設定決定手段に関して、本件訂正発明12は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲2発明は、そのような構成を有するものではない点。 b 相違点についての検討 相違点11について検討する。 相違点11は、上記ア(ア)aの相違点1と同様の相違点であり、上記ア(ア)bの検討と同様に、当該相違点11に係る構成は、甲1発明、甲3技術に基づいて容易に想到し得るものではない。 したがって、相違点9、10について検討するまでもなく、本件訂正発明12が、甲2発明及び甲1発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 また、本件訂正発明12が、甲2発明及び甲1発明、甲3技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。 エ 本件訂正発明2、5~9 本件訂正発明2、5~9は、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する発明である。 (ア)甲1発明を主引例とした場合 本件訂正発明2、5~9は、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する発明であるから、本件訂正発明2、5~9と甲1発明とを対比すると、少なくとも上記ア(ア)aの相違点1を有するものである。 甲2発明、甲3技術~甲6技術をみても、上記相違点1に関連する構成ではなく、本件訂正発明2、5~9は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明や技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 (イ)甲2発明を主引例とした場合 本件訂正発明2、5~9は、本件訂正発明1を直接若しくは間接に引用する発明であるから、本件訂正発明2、5~9と甲2発明とを対比すると、少なくとも上記ア(イ)b(f)の相違点5、6を有するものである。 甲1発明、甲3技術~甲6技術をみても、上記相違点6に関連する構成ではなく、相違点5について検討するまでもなく、本件訂正発明2、5~9は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明や技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 オ 本件訂正発明11 (ア)甲1発明を主引例とした場合 本件訂正発明11は、本件訂正発明10を引用する発明であるから、本件訂正発明11と甲1発明とを対比すると、少なくとも上記第6の5(1)の相違点2、3を有するものである。 相違点3について検討する。 甲2発明、甲3技術~甲6技術をみても、上記相違点3に関連する構成ではなく、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明11は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明や技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 (イ)甲2発明を主引例とした場合 本件訂正発明11は、本件訂正発明10を引用する発明であるから、本件訂正発明11と甲2発明とを対比すると、少なくとも上記イ(イ)aの相違点7、8を有するものである。 相違点8について検討する。 甲1発明、甲3技術~甲6技術をみても、上記相違点8に関連する構成ではなく、相違点7について検討するまでもなく、本件訂正発明11は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明や技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 カ 本件訂正発明13 (ア)甲1発明を主引例とした場合 本件訂正発明13は、本件訂正発明12を引用する発明であるから、本件訂正発明13と甲1発明とを対比すると、少なくとも上記第6の7(1)ウの相違点4を有するものである。 甲2発明、甲3技術~甲6技術をみても、上記相違点4に関連する構成ではなく、本件訂正発明13は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明や技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 (イ)甲2発明を主引例とした場合 本件訂正発明13は、本件訂正発明12を引用する発明であるから、本件訂正発明13と甲2発明とを対比すると、少なくとも上記ウ(イ)a(c)の相違点9~11を有するものである。 相違点11について検討する。 甲1発明、甲3技術~甲6技術をみても、上記相違点11に関連する構成ではなく、相違点9、10について検討するまでもなく、本件訂正発明13は、甲第1号証乃至甲第6号証に記載された発明や技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 (3)特許法第36条第6項第2号について 請求項2に係る発明の「前記カメラ制御手段は、」「輝度、彩度、撮影解像度、および、圧縮品質」「を制御する」ことについて、本件明細書には、以下のような記載がある。 「【0013】 本発明に係る画像処理システムは、人物の認証処理の入力として用いる画像(人物が写る画像)を生成するカメラにおいて推奨されるカメラ設定(以下、「推奨設定」とも表記)を自動的に決定し、当該決定された推奨設定に基づいてカメラを制御する機能を有する。なお本明細書において、「カメラ設定」とは、カメラの撮影範囲、被写体(人物)の写り方、および画質の少なくとも1つに影響を与える設定のことを意味する。具体的には、カメラ設定は、姿勢(パンやチルトの角度)、撮影倍率、露光時間の長さ(シャッタースピード)、輝度、彩度、撮影解像度、および圧縮品質の少なくとも1つを含む。」 「【0043】 図4に戻り、カメラ制御部140は、カメラ20のカメラ設定をS110の処理で決定された推奨設定に変更するため、当該推奨設定を示す推奨設定情報を生成してカメラ20に送信する(S112)。推奨設定情報は、カメラ20の姿勢(パンまたはチルトの角度)、撮像倍率、露光時間の長さ(シャッタースピード)、輝度、彩度、撮影解像度、および圧縮品質の少なくともいずれか1つについて、推奨される設定値を示す情報である。カメラ制御部140は、推奨設定情報をカメラ20に送信することによって、カメラ20の姿勢(パンまたはチルトの角度)、カメラ20の撮影倍率、カメラ20の露光時間の長さ(シャッタースピード)、輝度、彩度、撮影解像度、および圧縮品質の少なくともいずれか1つを制御することができる。 【0044】 設定変更部220は、情報処理装置10から推奨設定情報を取得すると、カメラ20のカメラ設定を当該推奨設定情報の示す推奨設定に変更する(S114)。具体的には、設定変更部220は、情報処理装置10から取得した推奨設定情報が示すカメラ設定に従って、カメラ20の姿勢(パンまたはチルトの角度)を制御する機構、カメラ20の撮像倍率を制御する機構、カメラ20のシャッタースピードを制御する機構、または、撮像素子の出力信号を基に画像を生成する画像処理エンジン(輝度、彩度、撮影解像度、圧縮品質などを制御する部分)などを制御する。これにより、カメラ20の姿勢、撮像倍率、露光時間の長さ(シャッタースピード)、輝度、彩度、撮影解像度、および圧縮品質の少なくともいずれか1つが、推奨設定のとおりに変更される。」 すなわち、「前記カメラ制御手段は、」「輝度、彩度、撮影解像度、および、圧縮品質」「を制御する」ことについての具体的な制御の方法は記載されていないものの、「輝度、彩度、撮影解像度、および、圧縮品質」が、生成される画像を制御するための値であって、当業者であれば、様々な周知の方法を想定することにより、生成される画像の「輝度、彩度、撮影解像度、および、圧縮品質」を制御することが可能であるから、明細書中に具体的な方法が明記されていなくても、請求項2に係る発明が明確でないとすることはできない。 (4)まとめ 上記(1)~(3)より、第7の1(1)~(3)の特許異議申立理由を採用することはできない。 第8 令和3年10月25日に提出された特許異議申立人による意見書及び甲第7号証、甲第8号証についての検討 特許異議申立人は令和3年10月25日に甲第7号証、甲第8号証を提出し、訂正前請求項4に記載の要件(本件訂正発明1の構成D)が、周知の技術であることを示す文献として、甲第7号証、甲第8号証を引用し、「本件訂正発明1は、甲第1号証及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反し、取り消しは免れない。」(意見書10頁34~36行)との主張をしている。 以下では、当該主張(本件訂正発明1は、甲第1号証及び周知技術(甲第7号証、甲第8号証)に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである)に関する検討を行う。 1 本件訂正発明1と甲1発明との相違点 上記第6の1(2)カより、本件訂正発明1と甲1発明との相違点は以下のとおりである。 (相違点1) 推奨設定決定手段に関して、本件訂正発明1は、「複数の人物の前記スコアが所定の基準値以上となる前記カメラ設定を、前記推奨設定として決定する」のに対し、甲1発明は、そのような構成を有するものではない点。 2 相違点1についての検討 (1)甲7技術について 第5の7(2)より、甲7技術は、「画像のぶれやノイズを低減して、特定の物体を認識するために認識に適した画像を得る」(構成7b)ために「撮像画像から予め定められたサイズのウインドウ」を「移動させながら切り取り」(構成7d)、「ウインドウ画像が特定の物体を示す画像である」と認識されると(構成7e、7j-2、7j-3)、「ウインドウ画像(特定の物体を示す画像及びその周辺画像を含む部分画像)の画像特性を抽出」し、「ウインドウ画像の認識の容易さを示す評価値(画像が認識に適しているほど高く、画像のぶれやノイズが生じている画像は低い)を算出」し(構成7f、7g、7h、7j-4、7j-5)、「1つの撮像画像から複数の特定の物体を示すウインドウ画像が認識される場合には、ウインドウ画像毎に評価値Eを算出し、」「E≧Ethの場合には、認識に適した画像であると判定してそのまま処理を終了」するが、「いずれか1つの評価値Eが評価値閾値Ethより小さい場合、全ての評価値Eが評価値閾値Ethより小さい場合に、評価値が最大となる点に対応する露光時間及びゲインを撮像制御値として算出し、算出した撮像制御値を撮像装置12へ出力する」(構成7j-8、7j-6)技術である。 ここで、「1つの撮像画像から複数の特定の物体を示すウインドウ画像が認識される場合」(構成7j-8)において、特定の物体が「歩行者」である(構成7g)とすると、複数のウインドウにおいてそれぞれに人物(歩行者)が認識される場合には、ウインドウ画像毎に評価値Eを算出し、全ての評価値Eが評価値閾値Eth以上であれば処理を終了し、何れかの評価値もしくは全ての評価値が評価値閾値Ethより小さければ評価値が最大となる点に対応する露光時間及びゲインにするものである。 そして、評価値が最大となるように、露光時間及びゲインを設定することは、評価値が評価値閾値Ethより大きくなることとであるから、複数の人物の評価値が所定の基準値以上となる露光時間及びゲインに決定するものといえる。 そうすると、甲7技術は、複数の人物のスコア(評価値)が所定の基準値以上となる前記カメラ設定(露光時間及びゲイン)を、前記推奨設定として決定する点で、相違点1に係る構成と一応共通するものといえる。 しかし、甲7技術の「評価値」は、特定の物体を示す画像及びその周辺画像を含む部分画像であるウインドウ画像から抽出された画像特性より算出されるものであって、ウインドウ画像全体のぶれやノイズに関連する値である。 それに対して、甲1発明の「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」は、第6の1(2)アで検討したように、顔領域の画像情報を用いた人物を認識するための値であり、甲7技術の「評価値」とは異なる概念の値であるから、甲1発明の「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」を甲7技術の「評価値」に置き換えることを想定することはできない。 そうすると、甲1発明に甲7技術を組み合わせた構成を想定したとしても、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」で「最適なゲイン」を設定し、さらに、複数の人物が認識された場合には、ウインドウ画像全体のぶれやノイズから、最適な「露光時間及びゲイン」を決定する構成が想定されるだけであり、相違点1に係る構成を導くことができない。 (2)甲8技術について 第5の8(2)より、甲8技術は、「写真写りの良し悪しに応じて代表画像を自動的に選択する」(構成8a)ために、「顔検出部210から出力される検出顔の笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度を基に、各撮影画像をスコア化」(構成8e)し、「最もスコアの高い画像を連続撮影画像における代表画像として自動的に選択する」(構成8d)ものであって、「画像中で複数の顔が検出された場合には」(構成8i)、「ユーザーが選択した検出顔や、顔部分のエッジの境界が最も際立っている(鮮鋭度の高い)顔に、より大きな重みを与え」(構成8j)、「各検出顔について算出されたスコアの重み付け平均を計算して、当該画像のスコアとして決定」(構成8i)するものである。 すなわち、甲8技術は、写真写りの良い代表画像を選択するために、1つの画像中に複数の人物が検出されると、検出顔の笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度を基にしたスコアを算出して重み付け平均したものを当該画像のスコアと決定し、各撮影画像のうち最も高いスコアの画像を代表画像とするものである。 ここで、甲8技術の「スコア」は、検出顔の笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度を基にしたものであり、複数枚の画像から最も写真写りの良い代表画像を選択するために用いられるものであって、認証処理で得られたものでなく、また、カメラの設定を決定するために用いられるものではない。 したがって、甲1発明に甲8技術を適用したとしても、「本人の辞書情報に対する類似度と他人の辞書情報に対する平均類似度との差」と「各ゲイン」とに基づいて、「最適なゲイン」を決定し、「最適なゲイン」にカメラを設定して撮影した場合において、1つの画像中に複数の人物が検出されると、検出顔の笑顔度、目瞑り度、顔の傾き度を基にしたスコアを算出して重み付け平均したものを当該画像のスコアと決定し、各撮影画像のうち最も高いスコアの画像を代表画像とする構成となるものであり、相違点1に係る構成を導くことができない。 なお、甲8発明の構成8fには、露出度等に基づいて各撮影画像をスコア化する構成が含まれているが、当該構成は、顔画像が存在しない場合を前提とするものであって、「人物の顔画像を利用して当該人物を特定する顔認識装置」(構成1a)である甲1発明に組み合わせる動機付けがない。 (3)まとめ 以上より、本件訂正発明1は、甲第1号証及び周知技術(甲第7号証、甲第8号証)に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるという特許異議申立人の主張を認めることはできない。 また、本件訂正発明10、12についても、同様に、甲第1号証及び周知技術(甲第7号証、甲第8号証)に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるという特許異議申立人の主張を認めることはできない。 さらに、本件訂正発明2、5~9は、本件訂正発明1を直接もしくは間接に引用する発明であり、本件訂正発明11は、本件訂正発明10を引用する発明であり、本件訂正発明13は、本件訂正発明12を引用する発明であるから、同様に、甲第1号証及び周知技術(甲第7号証、甲第8号証)に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるという特許異議申立人の主張を認めることはできない。 第9 まとめ 以上の通りであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項[1、2、5~9]、[10、11]、[12、13]に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項[1、2、5~9]、[10、11]、[12、13]に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件請求項3、4に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項3、4に対して、特許異議申立人木村靖がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700020

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  • 2018-700383異議申立 / 2020-01-14 / 訂正認容画像読取装置及び画像形成装置
    共通の審決分類: 113・H04N、121・H04N、537・H04N、851・H04N ほか1件
  • 2018-700094異議申立 / 2019-12-19 / 訂正認容中継装置、プログラムおよび中継装置の制御方法
    共通の審決分類: 113・H04N、121・H04N、537・H04N、851・H04N ほか1件

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