商標異議申立
2024-900209
タイシューヒョーカ
- 審判番号
- 2024-900209
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-121646
- 登録番号
- 6829931
- 請求日
- 2024年10月08日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ベネフィット-イオン
- 【権利者代理人】北川 泰隆
- 【異議申立人】オドレート 株式会社
- 【異議申立人代理人】桂田 健志
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大島 康浩
- 分類
- T1652.13 -Y (W3544) / T1652.271-Y (W3544)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6829931号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6829931号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6829931号商標(以下「本件商標」という。)は、「体臭評価」の文字を標準文字で表してなり、令和5年11月1日に登録出願、第35類、第41類及び第44類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同6年7月23日に登録査定され、同年8月1日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定役務中、第35類「市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,洗濯用柔軟剤・洗濯用漂白剤・口臭用消臭剤・動物用防臭剤・動物用消臭剤・洗濯用洗剤・身体用消臭剤・身体用防臭剤・香料及び薫料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第44類「医業・医療・健康診断・歯科医業及び調剤に関する指導・助言及び情報の提供,健康に関する指導・助言及び情報の提供,健康管理に関する指導・助言及び情報の提供,栄養と食生活に関する指導・助言及び情報の提供,介護に関する指導・助言及び情報の提供,体臭及び体臭改善に関する指導・助言及び情報の提供」(以下「申立対象役務」という。)について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「体臭評価」の文字を標準文字で表してなり(甲1)、別掲のとおりの役務を指定役務として、令和6年8月1日に設定登録されたものである。
そして、「体臭評価」の文字は、申立対象役務との関係において、「体臭の評価」、「体臭を評価する」を意味する語として現に普通に使用されている事実があり、また将来普通に使用される蓋然性が高いといえる(甲2~甲19)。
2 「体臭」及び「評価」の各文字について
(1)「体臭」の文字について
「体臭」の文字は、「goo辞書」のウェブサイトにおいて「1 からだから発散するにおい。皮膚の汗腺や皮脂腺からの分泌物などによる。 出典:デジタル大辞泉(小学館)」との記載がある(甲2)。
(2)「評価」の文字について
「評価」の文字は、「goo辞書」のウェブサイトにおいて「2 事物や人物の、善悪・美醜などの価値を判断して決めること。 出典:デジタル大辞泉(小学館)」との記載がある(甲3)。
3 本件商標の指定役務の需要者及び取引者
本件商標の指定役務の需要者及び取引者は、「体臭及び体臭改善に関する商品を販売する事業者又は使用する一般消費者」、「体臭及び体臭改善に関する商品及び役務の選択に関する情報をインターネット等の各種メディアから受けとる一般消費者」、「体臭改善に関する化粧品・せっけん類等を取り扱う事業者又は使用する一般消費者」、「身体用消臭剤・身体用防臭剤等を取り扱う事業者又は使用する一般消費者」、「体臭と医療に関する情報等を提供する医療従事者」、「体臭と健康に関する情報等を提供する事業者」、「体臭と健康管理に関する情報等を提供する事業者」、「体臭と食生活に関する情報等を提供する事業者」、「体臭と介護に関する情報等を提供する事業者」、「体臭及び体臭改善に関する情報等を提供する事業者」などである。
これら需要者及び取引者において「体臭」、「評価」の各語を甲第2号証及び甲第3号証に示す意味と異なる意味に解することが相当であるとする事情は存在しない。
4 インターネット検索について
申立人は、検索エンジン「Google」を用いて、「体臭評価」、「体臭の評価」及び「体臭を評価する」などのような「体臭と評価を関連付けて用いる表現」が広く使用されている商品及び役務に関するインターネット情報が確認できる(甲4~甲17)。
5 取引の実情等について
体臭に関心がある我が国の需要者及び取引者においては、自分の体臭が他人に不快な思いをさせているのではないかと悩んでいる場合があり、そのような悩みをかかえた方向けの商品・役務が存在する。
例えば、自分の体臭が他人にとって不快かを知るための商品(甲4、甲7、甲9~甲12、甲15)、自分の体臭が他人にとって不快かを教えてくれる役務(甲4、甲7、甲15)。また、そのような悩みをかかえた方向けの情報が提供されている。そして、体臭の原因に関する情報(甲5)、体臭抑制のための商品に関する情報(甲5、甲12)、体臭抑制に効果がある食品に関する情報(甲5、甲10)、体臭抑制に効果がある洗剤、除菌スプレー等に関する情報(甲5、甲12)などが提供されている。さらに、体臭と病気に関する情報(甲6)、体臭と医療に関する情報(甲13)、体臭と健康に関する情報(甲5、甲6)、体臭と健康管理に関する情報(甲5、甲6)、体臭と食生活に関する情報(甲5、甲6、甲10)、体臭と介護に関する情報(甲8)、体臭及び体臭改善に関する情報(甲5、甲6、甲12~甲15)なども提供されている。
6 商標法第3条第1項第3号について
(1)商標法第3条第1項第3号にあげる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定役務等との関係で、その役務等の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品等の識別力を欠くものであることによるものと解される。
(2)そして「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」である(甲18)。
(3)さらに「出願に係る商標が、その指定役務等について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、審決がされた時点において、当該商標が当該役務等との関係で役務等の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者、取引者によって当該役務等に使用された場合に、将来を含め、役務等の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして、当該商標の需要者、取引者によって当該役務等に使用された場合に役務等の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定役務等に関する取引の事情を考慮して判断すべきである。」(甲19)。
(4)上記(2)のとおり、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」(甲18)であり、役務に関しても同様に解すべきであることからすれば、同号の適用に当たっては、必ずしも実際の使用例が数多く要求されるわけではないものと解されるところ、上記2に示したような「体臭」及び「評価」の語義や、甲第4号証ないし甲第17号証に示したように「体臭評価」並びに「体臭の評価」及び「体臭を評価する」などのような「体臭と評価を関連付けて用いる表現」が広く使用されている状況を総合的に検討すれば、本件商標は、これに接する本件商標の指定役務の取引者、需要者に「体臭を評価するという役務」のみならず「体臭を評価するための商品や役務に関する市場調査又は分析」、「体臭を評価するための商品の販売に関する情報の提供」、「体臭を評価するための商品又は役務の選択に関する情報の提供」、「体臭の評価を改善するための化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売等の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「体臭の評価を改善するための身体用消臭剤等の小売等の業務において行われる顧客に対する便益の提供」並びに「体臭の評価に基づく健康に関する情報の提供」、「体臭の評価に基づく健康管理に関する情報の提供」、「体臭の評価に基づく栄養と食生活に関する情報の提供」及び「体臭及び体臭改善に関する情報の提供」などの「体臭評価に関連する各種指定役務」との関係で、その役務の質等を表示記述するものとして容易に認識され得るものであり、また取引に際し必要適切な表示である、と判断するのが相当である。
(5)また上記(3)のとおり「出願に係る商標が、その指定商品について商品の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、審決がされた時点において、当該商標が当該商品との関係で商品の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者、取引者によって当該商品に使用された場合に、将来を含め、商品の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。」(甲19)ことから、役務に関しても同様に解され、本件商標は「体臭評価に関連する各種指定役務」との関係で、その役務の質等を表示記述する標章である、と判断するのが相当である。
(6)本件商標は、標準文字で表したものであるから、普通に用いられる方法で表示するものである。
(7)よって、本件商標をその指定役務中の本異議申立に係る役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に役務の質等を表示した語と認識するに止まるから、当該文字は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、上記以外の役務に使用するときは、役務の質等について誤認を生ずるおそれがある。
第3 むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり「体臭評価」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「体臭」の文字は、「皮膚の汗腺・皮脂腺の分泌物から生じる一種の臭気。」の意味を有し、また、「評価」の文字は、「善悪・美醜・優劣などの価値を判じ定めること。」等を意味する語(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)であるが、構成各文字の語義を結合した場合にその意味合いは漠然とし、具体的な意味合いを認識させるとはいい難いことから、その構成文字全体として一種の造語として把握されるというのが相当である。
また、申立人の提出した証拠によれば、申立人が販売する「体臭を測定するための検査キット」に「体臭評価」の文字(甲4、甲7、甲10~甲12)が使用されていること、また、申立人が体臭の相談サービスを行っている事実(甲16、甲17)は確認できるとしても、それらの証拠は申立人の使用に係る商品又は役務に使用されているものがほとんどであり、その他、当該文字が大学の研究報告書や身体の臭いを測定する機械器具などについて使用されている例(甲8、甲9)が散見されるとしても、申立対象役務との関係性は確認できないことからすると、当該証拠によっては、「体臭評価」の文字が、需要者等に、どのように看取されるのかを具体的に把握することができない。
そして、本件商標の申立対象役務を取り扱う業界において、「体臭評価」の文字が、役務の質等を直接的に表すものとして、取引上一般に使用されていると認めるに足りる事実及び需要者等が、役務の質を表すものと認識し得るという特段の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標を申立対象役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者がその指定役務の具体的な質等を表すものとして認識するとはいえず、むしろ、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。
してみると、本件商標は、申立対象役務との関係において、自他役務の識別標識として十分機能し得るものであって、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、かつ、役務の質について誤認を生ずるおそれもないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきでものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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