特許訂正審判
2021-390098
多価不飽和脂肪酸の精製方法
- 審判番号
- 2021-390098
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-550611
- 登録番号
- 特許第6816012号(P6816012)
- 請求日
- 2021年07月13日
- 審決日
- 2021年09月15日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ブリュジーズ ティベリオ
- 【請求人代理人】特許業務法人後藤特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 前田 佳与子
- 審判官 渕野 留香
- 審判官 穴吹 智子
- 分類
- P141 .851-Y (A61K) / P141 .841-Y (A61K) / P141 .854-Y (A61K) / P141 .855-Y (A61K) / P141 .856-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6816012号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6816012号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3-12〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第6816012号(以下、「本件特許」という。)に係る出願(特願2017-550611号)は、2016年3月22日(パリ条約による優先権主張 2015年3月26日、2015年8月5日 いずれもイタリア(IT))を国際出願日として出願され、令和2年12月25日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、令和3年7月13日に、本件特許に対して本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6816012号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、請求項3から12について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
そして、本件訂正審判の請求による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、以下の訂正事項1のとおりである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
ここで、請求項4~12は、請求項3を直接あるいは間接的に引用する請求項であって、請求項3に連動して訂正されるものであり、下記訂正事項1に関し、請求項3~12は一群の請求項を構成している。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3に「前記エステルは、好ましくはC1~C3のアルキルエステルである、請求項1又は2に記載の精製方法。」と記載されているのを、
「前記エステルは、好ましくはC1~C3のアルキルエステルであり、前記精製された組成物が、0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカを含有する、請求項1又は2に記載の精製方法。」に訂正する。
また、請求項3を直接又は間接的に引用する請求項4~12も同様に訂正することになる。
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
本件訂正前の請求項3は、
「【請求項3】
前記エステルは、好ましくはC1~C3のアルキルエステルである、請求項1又は2に記載の精製方法。」であり、
この請求項3が引用する請求項1は、
「【請求項1】
オメガ3および/またはオメガ6系列に属し、2~6個の二重結合および18個以上の炭素原子を有する、動物および/または植物由来の長鎖多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはエステルを含む組成物であって、精製された組成物は、合計濃度が0.01%以下、すなわち100ppm以下のフラン脂肪酸またはその対応する塩もしくはエステルを含む、長鎖多価不飽和脂肪酸を含む、精製方法であって、
a)精製される長鎖多価不飽和脂肪酸を含む混合物の1重量部を、沸点で、所望により最大20%の水を含む極性溶媒中、好ましくは、メタノールまたはエタノール等のプロトン性溶媒中で少なくとも3重量部の尿素を用いて処理し、前記組成物を含有する尿素包接錯体を生成する段階と、
b)冷却して前記尿素錯体を沈殿させ、前記尿素錯体を濾過により単離し、事前に尿素を飽和させた前記極性溶媒で洗浄する段階と、
c)前記尿素包接錯体を水に溶解し、前記溶解後に形成された油相を、前記油相を水と混合不可能な有機溶媒、典型的にはヘキサンで抽出し、次に前記溶媒を蒸発乾固することによって、または超臨界流体、特に二酸化炭素により前記尿素包接錯体から直接抽出することによって分離する段階と
を含む精製方法。」であり、
上記請求項1を引用する同請求項2は、
「【請求項2】
前記脂肪酸は、海洋由来であり、特に、水産養殖魚を含む魚油由来、またはクリルオイル由来、またはさらに藻類およびその他油糧微生物由来、または選択した菌株の藻類またはその他微生物の「単細胞発酵」由来であり、エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5 n-3、全シス)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6 n-3、全シス)またはその塩もしくはエステルを含む、請求項1に記載の精製方法。」である。
すなわち、訂正後の請求項3は、訂正前の請求項3における精製方法について、請求項1又は2に記載の精製方法により得られる「精製された組成物」が「0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカを含有する」ものである方法であることを特定したものであるから、請求項3についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項3を引用する訂正後の請求項4~12についての訂正も、同様である。
よって、訂正事項1による請求項3~12についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面である本件特許の設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)の【0113】~【0115】には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付した。
「【0113】
本発明のプロセスに従う精製後、多数の多価不飽和脂肪酸の精製組成物が得られたが、これらのうち、当然ながら限定的ではないいくつかの例を、以下で手短に大まかに報告する。
・・・
【0114】
これらすべての組成物は、
- 0.1%以下、すなわち1000ppm以下、好ましくは0.01%以下、すなわち、100ppm以下の合計濃度のフラン脂肪酸またはその対応する塩もしくは好ましくはC1~C3のアルキルエステルを合わせたものを含むことを特に特徴とする。
【0115】
当該組成物はまた、一般に、
・・・
- 5.0ng/g以下、好ましくは0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカ、
・・・を含むことをさらに特徴とする。」
すなわち、訂正後の請求項3で特定された、請求項1又は2に記載の精製方法により得られる「精製された組成物が、0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカを含有する」ものである点は、本件明細書等に記載されている事項である。
請求項3を引用する訂正後の請求項4~12についても、同様である。
よって、訂正事項1による請求項3~12についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上述のとおり、訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項3の精製方法をさらに特定するものであり、この訂正は、訂正前の請求項3に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項3に記載された発明の対象や目的を変更するものでもない。
請求項3を引用する訂正後の請求項4~12についての訂正も、同様である。
よって、訂正事項1による請求項3~12についての訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 独立特許要件
上記1で説示したとおり、上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かかる訂正によって、その範囲が減縮された、特許請求の範囲の請求項3~12については、本件訂正後のこれらの請求項に記載されている事項により特定される発明が特許法第126条第7項に規定する要件(「特許出願の際独立して特許を受けることができるものであること」、いわゆる、独立特許要件)に適合するか検討を要するものであるが、本件訂正後の請求項3~12に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は見出せない。
よって、訂正事項1による請求項3~12についての訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-390098