特許訂正審判
2021-390038
携帯端末機用決済システム、サーバー装置及びプログラム
- 審判番号
- 2021-390038
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-040432
- 登録番号
- 特許第6353667号(P6353667)
- 請求日
- 2021年02月16日
- 審決日
- 2021年04月21日
- 公報発行日
- 2021年08月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 メディアンスフリー
- 【請求人代理人】山本 真一
- 審判長/審判官
- 審判長 渡邊 聡
- 審判官 速水 雄太
- 審判官 中野 浩昌
- 分類
- P141 .852-Y (G06Q) / P141 .853-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6353667号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6353667号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第6353667号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成26年3月3日の出願であって、平成30年6月15日に特許権の設定登録がなされたものであって、令和3年2月16日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6353667号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて、」と記載されているのを、「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務情報に基づいて、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4及び請求項5も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて、」と記載されているのを、「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務情報に基づいて、」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3、請求項4及び請求項5も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前品役務名に基づいて、」と記載されているのを、「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務情報に基づいて、」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて、」と記載されているのを、「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務情報に基づいて、」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0018】に「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて、」と記載されているのを、「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務情報に基づいて、」に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0055】に「その上で、顧客情報を与える信号を、スマートフォン30から、インターネット100を介して、」と記載されているのを、「その上で、顧客情報を与える信号を、スマートフォン30から、インターネット100を介して、即ち、スマートフォン30からインターネット100を経てサーバー1へ及びサーバー1からインターネット100を経て、」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0067】に「高コストの機器を順次して」と記載されているのを、「高コストの機器を準備して」に訂正する。
第3 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1には、以下の記載がある。
(摘記a)
「前記店舗用コンピュータは、
前記サーバーより送信された前記参加店舗としての登録完了通知信号の受信の後に、前記店舗内の商品に関する商品名及び商品価格を含む商品情報ないしは前記店舗で提供される役務名及び役務提供価格を含む役務情報を与える信号を、前記インターネットを介して、前記サーバーへ送信し、」
(摘記b)
「(C)前記店舗での商品購入の際に又は役務の提供の支払いに関して前記ユーザーが前記携帯端末機の利用により前記代金の支払い決済を前記決済用カードにより行うことを前記店舗側に希望する場合には、
前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて、前記ユーザーが当該店舗に於いて購入する商品全ての価格ないしは前記ユーザーが当該店舗に於いて提供を受ける役務全ての価格を算出する際に必要となる決算情報を与える信号を、前記インターネットを介して、前記サーバーへ送信し、」
訂正事項1は、(摘記b)のうちの「前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて」という記載のうちの「役務名」という記載を「役務情報」に訂正するものである。
一方、上記(摘記a)から、商品についての「商品名」、「商品価格」及び「商品情報」は、それぞれ、役務についての「役務名」、「役務提供価格」及び「役務情報」と互いに対応する情報であるといえる。しかしながら、上記(摘記b)の訂正前の「前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて、」との記載内容は、商品については「商品情報」に基づくのに対し、役務については「役務名」に基づくことを特定するものであり、商品の場合と役務の場合とで情報の対応がとれていないことから、上記(摘記a)との関係において不合理を生じている不明瞭な記載である。
ここで、明細書の段落【0077】には、「(4)本発明の主題に係る「携帯端末機用決済システム」の支払い決済の対象となる代金は、商品の購入代金の他に、「店舗」から種々の役務の提供を受ける場合の費用であっても良い。この場合には、「商品情報」に代えて、店舗で提供される役務名及び役務提供価格を含む「役務情報」が、店舗用コンピュータからサーバー装置へ送信・登録される。」と記載されており、支払い決済の対象となる代金が、商品購入代金の場合は「商品情報」に基づき、役務の提供を受ける場合の費用である場合は「役務情報」に基づくものであると認められるから、訂正事項1に係る訂正は、「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務情報に基づいて、」に訂正することにより、商品の場合と役務の場合とで情報の対応をとることで、記載内容を明瞭にするものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で検討したように、明細書の【0077】に記載されたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1は、上記(1)のとおり、特許請求の範囲の不明瞭となっている記載を訂正し、その記載内容を明瞭にするものである。
そして、訂正後の「役務情報」は、訂正前の「役務名」を含むのであるから、「役務情報に基づく」ことは「役務名に基づく」ことを当然含んでおり、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2.訂正事項2ないし4について
(1)訂正の目的について
訂正事項2ないし4に係る訂正は、訂正事項1と同様に「前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて」という記載のうちの「役務名」という記載を「役務情報」に訂正するものであるから、上記1.(1)と同様の理由により、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項2ないし4に係る訂正は、上記1.(2)と同様の理由により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2ないし4に係る訂正は、上記1.(3)と同様の理由により、当該訂正の前後において特許請求の範囲に拡張又は変更はなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3.訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正事項5は、訂正事項1ないし4に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明細書の段落【0018】に「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務名に基づいて、」と記載されているのを、「前記店舗用コンピュータは、前記商品情報ないしは前記役務情報に基づいて、」に訂正するものであるから、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項5は、上記(1)のとおり、訂正事項1ないし4に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項5は、上記(1)のとおり、訂正事項1ないし4に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4.訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0055】の「その後、ユーザーは、本プログラムの動作・指令の下で、自己のスマートフォン30を操作して、当該店舗で当該商品を購入するユーザーの意思表示を伝達する手段として、スマートフォン30の画面上に表示される当該店舗(当該店舗は候補として位置情報より抽出される。)を選択し、その上で、顧客情報を与える信号を、スマートフォン30から、インターネット100を介して、当該店舗内のタブレット端末機40へ送信する。」との記載は、特に「インターネット100を介して」との記載が、具体的にどのような経路をたどることを意味しているのか、必ずしも明瞭ではない。
ここで、請求項1には「(A)前記ユーザーの操作に応じて、前記携帯端末機が前記インターネットを介して前記サーバー装置に電気的に接続された後に利用申し込み信号を前記サーバー装置の前記サーバーへ送信した場合には、前記サーバーは、前記利用申し込み信号の受信に応じて、前記インターネットを介して、前記第1アプリケーションソフトウェア用プログラムを前記携帯端末機に送信し、前記携帯端末機は、前記インターネットを介して前記サーバー装置よりダウンロードされた前記第1アプリケーションソフトウェア用プログラムを前記携帯端末機内の記憶部にインストールし、当該インストール完了後に、前記ユーザーの操作に応じて、前記第1アプリケーションソフトウェア用プログラムを起動し、且つ、当該起動後に当該プログラムより発せられる指令信号に基づいて、所定の金融機関が発行したクレジットカード又はデビットカードの何れか一方の決済用カードに関する、少なくともカード番号を含む顧客カード情報、並びに、少なくとも前記ユーザーが指定する顧客ID、顧客パスワード及び顧客名の各々を含む顧客情報を与える信号を、前記インターネットを介して前記サーバーへ送信すると共に、前記サーバーは、前記携帯端末機より受信した前記顧客カード情報及び前記顧客情報を与える信号を、前記インターネットを介して、前記金融機関用コンピュータに送信し、」との記載がある。当該記載から、本件特許に係る携帯端末機用決済システムにおいては、ユーザーの携帯端末機は、第1アプリケーションソフトウェア用プログラムをサーバー装置からダウンロード・インストールすることで、いわゆるクライアント・サーバ型の動作を行うものであり、第1アプリケーションソフトウェア用プログラムによる指令の下、情報(顧客情報を含む)を、インターネット100を介して、他のコンピュータに送信する場合は、サーバー装置を経由するという思想の下に設計されていることが読み取れる。そうすると、訂正事項6に係る訂正は、「その上で、顧客情報を与える信号を、スマートフォン30から、インターネット100を介して、即ち、スマートフォン30からインターネット100を経てサーバー1へ及びサーバー1からインターネット100を経て、」に訂正することによって、サーバー1を経由することを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項6に係る訂正は、上記(1)で検討したように、請求項1の記載に基づいたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項6は、上記(1)のとおり、明細書の不明瞭となっている記載を訂正し、その本来の意を明らかにするものであるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
5.訂正事項7について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0067】の「高コストの機器を順次して本決済システムを構築することは不要である。」の記載は、特に「順次して」という記載と他の記載との関係が不明であり、日本語として全体の意味が不明である。
一方、明細書の段落【0021】には、「相対的に高コストの専用ハードウェア機器を用いることなく、本携帯端末機用決済システムを構築することができる。」との記載があり、ここでの「用いる」とは「用意する」、「準備する」の意味である。
そうすると、訂正前の「高コストの機器を順次して本決済システムを構築することは不要である。」の記載のうちの「順次」という記載は誤記であり、本来「準備」と記載すべきことが明らかである。
したがって、訂正事項7に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項7に係る訂正は、上記(1)のとおり、訂正前の段落【0067】の誤記を訂正するものであり、訂正事項7に係る訂正により何ら技術的内容が変更されるものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項7は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項7に係る訂正は、上記(1)のとおり、訂正前の段落【0067】の誤記を訂正するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項7は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項7に係る訂正は、上記(1)のとおり、訂正前の段落【0067】の誤記を訂正するものであり、何ら特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7に係る発明は、独立して特許を受けることができるものである。
よって、訂正事項7は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1ないし7に係る訂正は、いずれも適法になされたものである。
よって、結論のとおり審決する。
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