特許訂正審判
2021-390006
遊技機
- 審判番号
- 2021-390006
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-142802
- 登録番号
- 特許第6536244号(P6536244)
- 請求日
- 2021年01月13日
- 審決日
- 2021年04月06日
- 公報発行日
- 2021年08月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 三洋物産
- 【請求人代理人】安藤 悟
- 審判長/審判官
- 審判長 伊藤 昌哉
- 審判官 小島 寛史
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P141 .851-Y (A63F) / P141 .853-Y (A63F) / P141 .841-Y (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6536244号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6536244号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 事案の概要
1 手続の経緯
特許第6536244号(以下、「本件特許」という。)は、平成27年7月17日の出願(特願2015-142802号)であって、平成31年4月22日に特許査定され、その後、請求項1及び2に係る発明について、令和1年6月14日に特許権の設定の登録がされ、令和3年1月13日に訂正審判(以下「本件審判」という。)が請求されたものである。
2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、「特許第6536244号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。また、請求人が求める訂正の内容は、以下のとおりである。
3 訂正の内容
(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に、
「複数種類の処理を実行し、処理の実行に際して内部記憶手段に情報を一時的に記憶させる制御手段を備え、
当該制御手段は、
前記複数種類の処理のうち第1所定処理を実行する第1所定処理実行手段と、
前記複数種類の処理のうち第2所定処理を実行する第2所定処理実行手段と、
前記第1所定処理を開始する場合には前記内部記憶手段に記憶された情報を退避記憶手段に退避させることなく、前記第2所定処理を開始する場合又は開始した後に、前記内部記憶手段に記憶された情報を前記退避記憶手段に退避させる退避実行手段と、
前記第2所定処理を終了する場合又は終了した後に、前記退避記憶手段に退避された情報を前記内部記憶手段に復帰させる復帰実行手段と、
を備え、
割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記第1所定処理が実行される構成であり、
前記第1所定処理を実行している状況から前記第2所定処理を開始する場合には当該第2所定処理を開始する前における前記第1所定処理にて前記割込み処理の実行が禁止され、当該第2所定処理を終了して前記第1所定処理に復帰する場合にはその復帰した第1所定処理にて前記割込み処理の実行が許可され、前記第2所定処理において前記割込み処理の実行が許可されない構成であり、
前記第1所定処理では遊技を進行させるための処理が実行され、
前記第2所定処理では、遊技が実行される状態が、予め定められた正常な遊技が行われる状態ではなくなっていることを特定可能とする処理が実行されることを特徴とする遊技機。」と記載されているのを、
「複数種類の処理を実行し、処理の実行に際して内部記憶手段に情報を一時的に記憶させる制御手段を備え、
当該制御手段は、
前記複数種類の処理のうち、プログラム記憶手段における所定アドレス範囲内の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、
前記複数種類の処理のうち、前記プログラム記憶手段における前記所定アドレス範囲の外部のアドレス範囲の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、
前記領域内処理を開始する場合には前記内部記憶手段に記憶された情報を退避記憶手段に退避させることなく、前記領域外処理を開始する場合又は開始した後に、前記内部記憶手段に記憶された情報を前記退避記憶手段に退避させる退避実行手段と、
前記領域外処理を終了する場合又は終了した後に、前記退避記憶手段に退避された情報を前記内部記憶手段に復帰させる復帰実行手段と、
前記領域内処理及び前記領域外処理を実行可能な特定処理を実行する手段と、
を備え、
前記特定処理が実行されている状況において割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記領域内処理が実行される構成であり、
前記特定処理における前記領域内処理を実行している状況から前記領域外処理を開始する場合には当該領域外処理を開始する前における前記領域内処理にて前記割込み処理の実行が禁止され、当該領域外処理を終了して前記領域内処理に復帰する場合にはその復帰した領域内処理にて前記割込み処理の実行が許可され、前記領域外処理において前記割込み処理の実行が許可されない構成であり、
前記領域内処理では遊技を進行させるための処理が実行され、
前記領域外処理では、遊技が実行される状態が、予め定められた正常な遊技が行われる状態ではなくなっていることを特定可能とする処理が実行されることを特徴とする遊技機。」と訂正する。
なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所及び訂正に関連する箇所等を表す。以下同様。
(2)訂正事項2
本件特許の明細書の段落【0007】に、
「上記課題を解決すべく請求項1記載の発明は、複数種類の処理を実行し、処理の実行に際して内部記憶手段に情報を一時的に記憶させる制御手段を備え、
当該制御手段は、
前記複数種類の処理のうち第1所定処理を実行する第1所定処理実行手段と、
前記複数種類の処理のうち第2所定処理を実行する第2所定処理実行手段と、
前記第1所定処理を開始する場合には前記内部記憶手段に記憶された情報を退避記憶手段に退避させることなく、前記第2所定処理を開始する場合又は開始した後に、前記内部記憶手段に記憶された情報を前記退避記憶手段に退避させる退避実行手段と、
前記第2所定処理を終了する場合又は終了した後に、前記退避記憶手段に退避された情報を前記内部記憶手段に復帰させる復帰実行手段と、
を備え、
割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記第1所定処理が実行される構成であり、
前記第1所定処理を実行している状況から前記第2所定処理を開始する場合には当該第2所定処理を開始する前における前記第1所定処理にて前記割込み処理の実行が禁止され、当該第2所定処理を終了して前記第1所定処理に復帰する場合にはその復帰した第1所定処理にて前記割込み処理の実行が許可され、前記第2所定処理において前記割込み処理の実行が許可されない構成であり、
前記第1所定処理では遊技を進行させるための処理が実行され、
前記第2所定処理では、遊技が実行される状態が、予め定められた正常な遊技が行われる状態ではなくなっていることを特定可能とする処理が実行されることを特徴とする。」と記載されているのを、
「上記課題を解決すべく請求項1記載の発明は、複数種類の処理を実行し、処理の実行に際して内部記憶手段に情報を一時的に記憶させる制御手段を備え、
当該制御手段は、
前記複数種類の処理のうち、プログラム記憶手段における所定アドレス範囲内の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、
前記複数種類の処理のうち、前記プログラム記憶手段における前記所定アドレス範囲の外部のアドレス範囲の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、
前記領域内処理を開始する場合には前記内部記憶手段に記憶された情報を退避記憶手段に退避させることなく、前記領域外処理を開始する場合又は開始した後に、前記内部記憶手段に記憶された情報を前記退避記憶手段に退避させる退避実行手段と、
前記領域外処理を終了する場合又は終了した後に、前記退避記憶手段に退避された情報を前記内部記憶手段に復帰させる復帰実行手段と、
前記領域内処理及び前記領域外処理を実行可能な特定処理を実行する手段と、
を備え、
前記特定処理が実行されている状況において割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記領域内処理が実行される構成であり、
前記特定処理における前記領域内処理を実行している状況から前記領域外処理を開始する場合には当該領域外処理を開始する前における前記領域内処理にて前記割込み処理の実行が禁止され、当該領域外処理を終了して前記領域内処理に復帰する場合にはその復帰した領域内処理にて前記割込み処理の実行が許可され、前記領域外処理において前記割込み処理の実行が許可されない構成であり、
前記領域内処理では遊技を進行させるための処理が実行され、
前記領域外処理では、遊技が実行される状態が、予め定められた正常な遊技が行われる状態ではなくなっていることを特定可能とする処理が実行されることを特徴とする。」と訂正する。
第2 当合議体の判断
以下、本件訂正前の請求項1を、「訂正前請求項1」という。また、訂正前請求項1に係る発明を、「訂正前発明1」という。
訂正後についても、「訂正前」を「訂正後」に変えて同様に、「訂正後請求項1」、「訂正後発明1」という。
1 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
(1)訂正事項1
訂正後請求項1では、訂正前請求項1における「第1所定処理」を「プログラム記憶手段における所定アドレス範囲内の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域内処理」に減縮するとともに、訂正前請求項1における「第2所定処理」を「プログラム記憶手段における前記所定アドレス範囲の外部のアドレス範囲の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域外処理」に減縮し、これに伴い、訂正前請求項1における「第1所定処理実行手段」を「領域内処理実行手段」に減縮するとともに、訂正前請求項1における「第2所定処理実行手段」を「領域外処理実行手段」に減縮した。
また、訂正後請求項1では、「前記領域内処理及び前記領域外処理を実行可能な特定処理を実行する手段と、」「を備え」るという構成を追加し、さらに訂正前請求項1の「割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記第1所定処理が実行される構成」について、「前記特定処理が実行されている状況において割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記領域内処理が実行される構成」と訂正することで、特定処理に対して割込み処理が割り込んで開始されること、及びその特定処理に第1所定処理及び第2所定処理が含まれていることに減縮するものとなった。
そして、「前記領域内処理及び前記領域外処理を実行可能な特定処理を実行する手段と、」との訂正に伴い、訂正前請求項1における「前記第1所定処理を実行している状況から前記第2所定処理を開始する場合」を、「前記特定処理における前記領域内処理を実行している状況から前記領域外処理を開始する場合」に減縮するための訂正を行っている。
以上のとおり、訂正事項1により訂正された事項はすべて特許請求の範囲の減縮といえるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項2は、請求項1の記載を引用して記載されており、前記請求項1についての訂正により、請求項2についても訂正されることとなるところ、請求項2についての訂正も、同様である。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、本件明細書の段落【0007】の記載を、訂正事項1による特許請求の範囲の訂正に伴い、整合性を図るために訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(3)小括
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、訂正事項2は、同条同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
2 特許法第126条第5項(新規事項の有無)について
(1)訂正事項1について
ア 訂正後請求項1の「前記複数種類の処理のうち、プログラム記憶手段における所定アドレス範囲内の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、前記複数種類の処理のうち、前記プログラム記憶手段における前記所定アドレス範囲の外部のアドレス範囲の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、」に関して、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、以下の記載がある。
「【0582】
図72は主側ROM73におけるプログラム及びデータの設定態様を説明するための説明図である。主側MPU72にて実行される制御が特定制御と非特定制御とで区別されていることに対応させて、図72に示すように、主側ROM73においても特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータと、非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータとが記憶されているエリアのアドレスが明確に区別されている。具体的には、アドレスX(1)~X(k+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに特定制御用のプログラムが集約して記憶されている。また、アドレスX(1)~X(k+2)に連続するアドレスX(k+3)~X(k+5)はデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスX(k+6)~X(m+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに特定制御用のデータが集約して記憶されている。また、アドレスX(k+6)~X(m+2)に連続するアドレスX(m+3)~X(m+5)はデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスX(m+6)~X(n+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに非特定制御用のプログラムが集約して記憶されている。また、アドレスX(m+6)~X(n+2)に連続するアドレスX(n+3)~X(n+5)はデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスX(n+6)~X(p+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに非特定制御用のデータが集約して記憶されている。なお、上記のようなプログラム及びデータとアドレスとの関係は、主側ROM73における物理アドレス及び主側MPU72において認識されるメモリマップ上の論理アドレスの両方において設定されている。」
以上の記載から、本件明細書等の「アドレスX(1)~X(k+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリア」が訂正後請求項1の「プログラム記憶手段における所定アドレス範囲内の記憶領域」に対応し、同じく「アドレスX(1)~X(k+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに」「集約して記憶されている」「特定制御用のプログラム」が訂正後請求項1の「プログラム記憶手段における所定アドレス範囲内の記憶領域に記憶されているプログラム」に対応し、同じく「特定制御」が訂正後請求項1の「領域内処理」に対応するといえる。そして、本件明細書等において、「特定制御」が主側MPU72で実行されるのが明らかであるから、訂正後請求項1の「領域内処理を実行する領域内処理実行手段」も本件明細書等に記載されているといえる。
また、本件明細書等の「アドレスX(m+6)~X(n+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリア」は、「アドレスX(1)~X(k+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリア」(所定アドレス範囲)の外部のアドレス範囲の記憶領域であるといえるから、訂正後請求項1の「前記プログラム記憶手段における前記所定アドレス範囲の外部のアドレス範囲の記憶領域」に対応する。
また、本件明細書等の「アドレスX(m+6)~X(n+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに」「集約して記憶されている」「非特定制御用のプログラム」が訂正後請求項1の「前記プログラム記憶手段における前記所定アドレス範囲の外部のアドレス範囲の記憶領域に記憶されているプログラム」に対応し、同じく「非特定制御」が訂正後請求項1の「領域外処理」に対応するといえる。そして、本件明細書等において、「非特定制御」が主側MPU72で実行されるのが明らかであるから、訂正後請求項1の「領域外処理を実行する領域外処理実行手段」も本件明細書等に記載されているといえる。
そうすると、訂正後請求項1の「前記複数種類の処理のうち、プログラム記憶手段における所定アドレス範囲内の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、前記複数種類の処理のうち、前記プログラム記憶手段における前記所定アドレス範囲の外部のアドレス範囲の記憶領域に記憶されているプログラムを利用した処理である領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、」が本件明細書等に記載されていることは明らかである。
イ 訂正後請求項1の「前記領域内処理及び前記領域外処理を実行可能な特定処理を実行する手段」及び「前記特定処理が実行されている状況において割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記領域内処理が実行される構成であり、」に関して、本件明細書等には、以下の記載がある。
「【0084】
<主側MPU72の通常処理>
次に、主側MPU72にて実行される通常処理について図10のフローチャートに基づき説明する。
【0085】
まず次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い(ステップS301)、その後に表示クリア処理を実行する(ステップS302)。表示クリア処理では、前回のゲームで所定の表示が行われるように特別表示部67が表示制御されている場合、その所定の表示が消去されるようにする。これにより、特別表示部67は何も表示さていない消灯状態となる。
【0086】
その後、開始待ち処理を実行する(ステップS303)。図11は開始待ち処理を示すフローチャートである。開始待ち処理では、前回のゲームでいずれかのリプレイ入賞が発生している場合(ステップS401:YES)、前回のゲームにおけるベット数と同数の遊技媒体がベットされた状態とするための自動投入処理を行う(ステップS402)。具体的には、主側RAM74における後述する特定制御用のワークエリア74aに設けられたベットカウンタの値を、前回のゲームにおけるベット数に対応する値に設定する。ベットカウンタは、各ゲームにおける遊技媒体のベット数を主側MPU72にて特定するためのカウンタである。
・・・略・・・
【0090】
開始待ち処理では、投入メダル検出センサ45a,45bに対する不正を監視するための第1非特定制御処理を実行する(ステップS412)。当該第1非特定制御処理の処理内容については後に詳細に説明する。
・・・略・・・
【0092】
開始待ち処理では、リセットボタン56に対する不正を監視するための第2非特定制御処理を実行する(ステップS416)。当該第2非特定制御処理の処理内容については後に詳細に説明する。
【0093】
通常処理(図10)の説明に戻り、ステップS303の開始待ち処理の実行後、メダルのベット数が規定数(本実施形態では「3」)に達しているか否かを判定し(ステップ304)、ベット数が規定数に達していない場合には開始待ち処理(ステップS303)に戻る。CB状態ST3以外の遊技状態であれば規定数は「3」であり、CB状態ST3であれば規定数は「2」である。ベット数が規定数に達している場合にはスタートレバー41が操作されたか否かを判定する(ステップS305)。スタートレバー41が操作されていない場合には、開始待ち処理(ステップS303)に戻る。一方、スタートレバー41が操作された場合には、ベット数の規定数に対応するメインラインML1~ML3を有効化させた後に、既に説明した受付禁止処理を実行する(ステップS306)。これにより、メダル投入口45にメダルが投入されたとしても、当該メダルは投入メダル検出センサ45a,45bにて検出されることなくメダル受け皿59へ排出される。その後、今回のゲームにおける役の抽選を行うための抽選処理を実行するとともに(ステップS307)、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させるリール回転処理を実行した後に(ステップS308)、ストップボタン42~44が操作されて停止指令が発生した場合に対応するリール32L,32M,32Rを停止させるリール停止処理を実行する(ステップS309)。
【0094】
その後、媒体付与処理を実行する(ステップS310)。媒体付与処理では、今回のゲームにおいて小役入賞が成立している場合に、当該小役入賞に対応した枚数のメダル又は仮想メダルを遊技者に付与するための処理を実行する。具体的には、仮想メダルを付与する場合にはクレジットカウンタに今回の小役入賞に対応した値を加算し、クレジットカウンタの値が上限貯留数に達している場合にはその上限貯留数を超えた数分のメダルがメダル受け皿59に払い出されるようにホッパ装置53を駆動制御する。」
「【0581】
<特定制御と非特定制御との区別について>
次に、主側MPU72にて実行される特定制御と非特定制御との違いについて説明する。本スロットマシン10では主側MPU72にて実行される各種制御のうち、一部の不正監視に関する制御が非特定制御とされ、それ以外の不正監視に関する制御及び遊技者による遊技操作に基づき遊技を進行させるための制御を含めて非特定制御以外の制御が特定制御とされている。特定制御について詳細には、主側MPU72への動作電力の供給が開始された場合に実行されるメイン処理(図8)による制御、及び定期的に実行されるタイマ割込み処理(図9)による制御は特定制御に含まれている。また、開始待ち処理(図11)にて実行される第1非特定制御処理及び第2非特定制御処理及びリール制御処理(図19)にて実行される第3非特定制御処理を除く、通常処理(図10)による制御、例えばスタートレバー41の操作に基づき実行される役の抽選処理、リール32L,32M,32Rの駆動制御及び全てのリール32L,32M,32Rが回転した場合における特典の付与制御は特定制御に含まれている。」
「【0589】
次に、非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータを利用して主側MPU72にて実行される第1非特定制御処理及び第2非特定制御処理について説明する。まず第1非特定制御処理について説明する。」
以上の記載から、本件明細書等の「通常処理」が訂正後請求項1の「特定処理」に対応し、同じく「タイマ割込み処理」が訂正後請求項1の「割込み処理」に対応する。そして、本件明細書等には、通常処理(特定処理)に対してタイマ割込み処理(割込み処理)が割り込んで開始されることが記載されているとともに、通常処理(特定処理)に、特定制御(領域内処理)及び非特定制御(領域外処理)が含まれることが記載されていることは明らかである。
してみると、訂正後請求項1の「前記領域内処理及び前記領域外処理を実行可能な特定処理を実行する手段」及び「前記特定処理が実行されている状況において割込み条件が成立したことに基づいて割込み処理が開始された場合には前記領域内処理が実行される構成であり、」は、本件明細書等に記載されている。
ウ 請求項2は、請求項1の記載を引用して記載されており、前記請求項1についての訂正により、請求項2についても訂正されることとなるところ、請求項2についての訂正も、同様である。
エ したがって、訂正事項1は、本件明細書等の記載に基づくものであって、本件明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の段落【0007】について、訂正事項1と同様の訂正をしたものである。
したがって、訂正事項2は、訂正事項1と同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)小括
訂正事項1及び2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、請求項1についての訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。
また、請求項2は、請求項1の記載を引用して記載されており、前記請求項1についての訂正により、請求項2についても訂正されることとなるところ、請求項2についての訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもないことは、明らかである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の段落【0007】について、訂正事項1と同様の訂正をしたものである。
したがって、訂正事項2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。
(3)小括
訂正事項1及び2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 特許法第126条第7項(独立特許要件)について
訂正前発明1と同様、訂正後発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
5 一群の請求項について
本件審判は、特許権全体に対して請求されたものであり、請求項ごとに請求されたものではないから、一群の請求項に関する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するか否かの検討を要しない。
第3 むすび
以上のとおりであるから、訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-390006