商標取消審判
2021-300614
アンノウン
- 審判番号
- 2021-300614
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2015-044185
- 登録番号
- 5878795
- 請求日
- 2021年08月11日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 Plus Eighty One
- 【請求人代理人】栗原 浩之
- 【請求人代理人】山▲崎▼ 雄一郎
- 【被請求人】アイユブ・エブラヒム
- 【被請求人代理人】中田 和博
- 【被請求人代理人】青木 博通
- 【被請求人代理人】神蔵 初夏子
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第2号、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5878795号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5878795号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成27年5月11日に登録出願、第25類「被服、履物、帽子、ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」を指定商品として、平成28年9月2日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和3年8月27日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年8月27日から令和3年8月26日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「被服、履物、帽子」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、本件審判請求に係る指定商品について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は令和3年11月25日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び令和4年6月21日付け審尋に対する同年8月29日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第44号証を提出した。
なお、以下、乙各号証の表記にあたっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 答弁の理由
商標権者であるアイユブ・エブラヒム(以下「本件商標権者」という。)は、要証期間内に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中第25類「被服」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。
(2)本件商標権者について
本件商標権者は本件商標に係るunknownブランドの創始者であり、所有者である。本件商標権者の会社であるイギリス国ロンドン在のChey International (London) Limited(以下「Chey社」という。:乙2)を通じてすべての商品が販売されている。
Chey社は1987年に設立され英国を拠点として皮革コート製造・販売を事業として行っている。また、皮革ジャケット、皮革ズボンも扱っている。クラシックな美しさと、洗練されたハイファッションのバランスを保っているムートンコートが代表的であり、シープスキンには世界でも最高品質といわれるTOSCANA(スペイン産ラム)を厳選して使用し、きめ細やかなスエード面となめらかなウール面を短くカットすることで、カジュアルで幅広い年代に着られるデザインになっている。イギリスでも数社しか現存しないmade in ENGLANDにこだわり、優れたクラフトマンシップを持つ自社工場で一貫して生産され続けている(乙3)。
(3)本件商標権者による「unknown」ブランドのコートの販売及び広告
本件商標権者は大手総合商社である丸紅ファッションリンク株式会社(以下「丸紅ファッションリンク社」という。:乙4)、服飾や雑貨の企画デザインから生産、輸入、店舗のディスプレイに至るまでファッション関連事業を営む株式会社中茂(以下「中茂社」という。:乙5)、ファッション衣料および関連商品の輸入・卸売を行う株式会社エム・エス・ティー(乙6)、合同会社ラボーラ(以下「ラボーラ社」という。:乙7)を通じて我が国に輸出し、国内に店舗を有するレディース・メンズのトータルファッションの企画・製造・販売・直営店の運営等を行う株式会社ベイクルーズ(以下「ベイクルーズ社」という。:乙8、乙9)、株式会社トゥモローランド(以下「トゥモローランド社」という。)、紳士服、婦人服、バッグ、紳士服・婦人服及び雑貨等の企画・仕入及び販売を行う株式会社ユナイテッドアローズ、株式会社シップス(以下「シップス社」という。)の店舗等において販売している。
乙第8号証は、ベイクルーズ社の公式通販サイトにおいて少なくとも2019年10月頃から2020年2月頃に本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付したムートンコートを販売し、販売のために展示していたことを示すものである。
乙第8号証中「2019AW」とは、ファッション業界において「2019年の秋冬物の商品」を示す語であり、秋冬物は10月から翌年2月を指すのが一般的とのことである。
乙第9号証に示されている写真は同一商品の裏側に付けられたラベルを撮影したものである。なお、ムートンコートは第25類「被服」に含まれるものである。
乙第10号証は、トゥモローランド社の公式通販サイトにおいて少なくとも2019年10月頃から2020年2月頃に本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付したムートンリバーシブルコートを販売し、販売のために展示していたことを示すものである。
乙第10号証中「2019AW」とは、上記同様にファッション業界において「2019年の秋冬物の商品」を示す語であり、秋冬物は10月から翌年2月を指すのが一般的とのことである。
乙第11号証は同一商品のポケットの内部に施された本件商標を付したラベルを撮影したものである。なお、ムートンリバーシブルコートは第25類「被服」に含まれるものである。
乙第12号証は、シップス社の公式通販サイトにおいて本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付したパイピングベストが販売されていること、販売のために展示していることを示すものである。
乙第13号証は同一商品の裏側のポケット部に施された本件商標を付したラベルを示すものである。なお、パイピングベストは第25類「被服」に含まれるものである。
乙第14号証は株式会社ZOZOが運営するファッションコーディネートを紹介するサイトである「WEAR」において本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付したライダースジャケットが販売、紹介されていることを示すものである。
(4)本件商標と使用商標の同一性
本件商標は黒い長方形図形の内部に白い文字で「unkn」、「wn」と記載し、その間に花のように中心にやや縦長の円があり、それを中心として放射線状に20本ほどの線が広がっている図形を配している態様である。全体として「unknown」の「o」の部分を図形化した態様となっている。
乙第8号証、乙第9号証、乙第11号証及び乙第13号証に示される使用商標は黒い長方形図形の内部に白い文字で「unkn」、「wn」と記載し、その間に花のように中心にやや縦長の円があり、それを中心として放射線状に20本ほどの線が広がっている図形を配している態様であり、本件商標とほぼ同一である。
乙第14号証に示される使用商標は、白い長方形図形の内部に黒い文字で「unkn」、「wn」と記載し、その間に花のように中心にやや縦長の円があり、それを中心として放射線状に20本ほどの線が広がっている図形を配している態様である。全体として「unknown」の「o」の部分を図形化した態様となっており、本件商標とは白と黒が反転している。しかし、使用されている文字、書体、図形が共通しており、本件商標と社会通念上同一の商標である。
以上のとおりであるから、使用商標は、本件商標と同一又は社会通念上
同一の商標と認められるべきものである。
(5)まとめ
以上より、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において本件商標権者が、第25類「被服」に含まれる「ムートンコート」、「ムートンリバーシブルコート」及び「パイピングベスト」に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して譲渡し、譲渡のために展示し、商品に関する広告をしたものである。
2 回答書による主張
乙第8号証ないし乙第14号証に掲載されている商品は本件商標権者又は同者の会社とされるChey社から我が国に輸入されたものである。
Chey社の商品は本件商標「unknown」のラベルを付して、イギリスから輸出され我が国に輸入されている。Beams(ビームス)、Estnation(エストネーション)、Curensology(カレンソロジー)、Journal Standard(ジャーナルスタンダード)、L’ssage(リサージュ)、Iena(イエナ)、Plage(プラーゲ)、Tomorrowland(トゥモローランド)、Whim Gazette(ウィムガゼット)、その他のファッション小売店によって販売されている。
このことは商社であるMarubeni Europe plcが宜誓書において述べている(乙15)。
また、Chey社がMarubeni Europe plcに宛てたインボイス(2018年8月30日から2019年9月29日付)の写しを提出する(乙16~乙23)。
商品の配達先は乙第4号証で商品の販売についての宣誓書を作成した丸紅ファッションリンク社である。
乙第8号証左上方に「Plage」、また右上方に「Plage/【UNKNOWN/アンノウン】 AVIATORムートンコート」の記載がある。
「Plage」は、国内の小売店の一つである。乙第23号証の2019年9月29日付のインボイスは、この「Plage」宛ての商品の請求書である。STYLEの欄に「AVIATOR COAT」とあり、乙第8号証の商品と一致している。
乙第10号証に掲載されているTOMORROWLANDが販売するムートンリバーシブルコートに該当するインボイスが乙第19号証であると思われる。
乙第24号証ないし乙第31号証はChey社がMST INC.に宛てたインボイスや郵送伝票である。小売店SHIPSで販売する目的で輸出されている(乙24~乙26、乙28、乙30)。2019年4月15日から20200年8月5日にわたっている。SHIPSで販売されている権利者の商品は乙第12号証に掲載されている。被請求人の輸出の実態を示す証拠として提出する。
乙第32号証ないし乙第37号証はChey社が中茂社(乙5)に宛てたインボイスや郵送伝票である。小売店ユナイテッドアローズ等(乙14)で販売する目的で輸出されている。2018年9月4日から2019年9月23日にわたっている。乙第34号証の2019年9月23日付のインボイスには「男性もののライダー」の記載がある。乙第14号証に男性もののライダージャケットの掲載があり、これは2009年春夏物の商品であるが、乙第34号証のインボイスと商品が共通しており、2009年以降も引き続き同様の商品を輸出し、我が国で販売している実態を示している。
乙第38号証ないし乙第42号証はChey社がラボーラ社(乙7)に宛てたインボイス、郵送伝票である。2018年9月21日から2020年9月9日にわたっている。Chey社の輸出の実態を示す証拠として提出する。
乙第43号証として2018年から2020年までに本件商標権者の商品についての我が国での販売量を示す表を提出する。
以上のように、本件商標権者は、自己の意思に基づいて自己の商標を付した指定商品を日本国内で販売するために、業として本件商標をその指定商品に付したものを丸紅ファッションリンク社等の商社を通じて輸出し譲渡し、日本国内において販売している。
よって、これら商社による輸入行為が、本件商標権者の輸入行為であり(商標法第2条第3項第2号)、商標法第50条に規定する本件商標権者による本件商標の使用と認めることができる。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第2号証は、被請求人が、イギリスの会社情報を紹介するウェブサイト「GOV.UK」における本件商標権者の会社情報と主張するものであり、本号証の1葉目の「Find and update company information」の見出しの下に「CHEY INTERNATIONAL(LONDON) LIMITED」の記載があり、「3 officers / 1 resignation」の項に、「EBRAHIM, Alyub Chey」の記載があり、「Role Active Director」の記載があることから、Chey社の「Role Active Director」は、「EBRAHIM, Alyub Chey」氏であり、同者は、本件商標権者である「アイユブ・エブラヒム」氏と同一人であると推認できる。
(2)乙第8号証は、被請求人が、ベイクルーズ公式通販サイトと主張するものであり、本号証の左上に「BAYCREW’S STORE」の記載、その横に「WOMEN」の記載、その下に「HOME>Plage>コート・ブルゾン>その他のコート>【UNKNOWN/アンノウン】 AVIATORムートンコート◆」の記載、その下に筆記体風の「Plage」の記載、その下にムートンコートの裏側を撮影したと思しき写真が掲載され、その横に、「Plage」の記載があり、その下に「【UNKNOWN/アンノウン】 AVIATORムートンコート◆」の記載がある。
そして、ムートンコートの裏側を撮影したと思しき写真には、黒色の布製織りネームが付されており、その織りネームには、別掲2のとおり、「unknown」(構成中の「o」の部分は図案化されている。以下同じ。)の欧文字(以下「使用商標」という。)が記載されており、本件商標と使用商標は、いずれも黒色の背景に「unknown」の欧文字を横書きしたものであり、いずれも構成文字を同じくし、「アンノウン」の称呼、「知らない」の観念を共通にすることから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標であると認められる。
(3)乙第23号証は、被請求人が、Chey社が「Marubeni Europe plc」に発行した2019年9月29日付け請求書と主張するものであり、本号証の左上に、「ORIGINAL INVOICE」の記載、その下に「MARUBENI EUROPE PLC」の記載、その下の「DELIVER TO:」の記載の下に、「MARUBENI FASHION LINK LTD」の記載があり、本号証の右上に「CHEY INTERNATIONAL (LONDON) LTD.」の記載、「DATE:」の項に「29/09/2019」の記載、「REF:」の項に「PLAGE」の記載があり、本号証の表中、「STYLE」の欄に「AVIATOR COAT」の記載があることから、Chey社は、「MARUBENI EUROPE PLC」を通じ、日本国内の「MARUBENI FASHION LINK LTD」に、「AVIATOR COAT」を2019年9月29日に我が国に輸出したことが推認できる。
そして、「AVIATOR COAT」は、ベイクルーズ公式通販サイトで販売された「AVIATORムートンコート」であると推認できる。
2 判断
上記1によれば、本件商標権者である「アイユブ・エブラヒム」氏は、Chey社の取締役であることが確認できることから、Chey社は、本件商標権者より、本件商標の商標権の使用について黙示の許諾を受けていると推認できる。
そして、Chey社は、要証期間である2019年9月29日に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる使用商標が付された「AVIATORムートンコート」を我が国に輸出し、当該商品は、ベイクルーズ公式通販サイトにおいて、販売を目的として、展示されたと判断でき、「AVIATORムートンコート」は、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する商品であり、この使用行為は、商標法第2条第3項第2号に該当すると認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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