商標取消審判
2021-300491
アプラス、アプルス
- 審判番号
- 2021-300491
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1992-135410
- 登録番号
- 3061722
- 請求日
- 2021年06月29日
- 審決日
- 2022年04月28日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アプラス ピーティーワイ エルティーディー
- 【請求人代理人】田中 克郎
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】佐藤 俊司
- 【請求人代理人】飯田 遥
- 【被請求人】株式会社 アプラス
- 【被請求人代理人】鎌田 直也
- 【被請求人代理人】鎌田 文二
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 岩崎 安子
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- T131 .1 -Y (042)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3061722号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第3061722号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「APLUS」の欧文字を書してなり、平成4年7月7日に登録出願され、第42類の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テ―プその他の周辺機器を含む)の貸与」を指定役務として、平成7年7月31日に設定登録され、同17年3月8日及び同27年6月30日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年7月14日であり、その請求の登録前3年以内の平成30年7月14日から令和3年7月13日までの期間を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「ベンダーリース」事業において被請求人自身が提供するサービスは、クレジット事業たるファイナンスリースであって、物品の貸与ではない。被請求人らが提供する「ベンダーリース」事業において、物品の貸与を行っているのは、昭和リース株式会社であって、被請求人ではない。被請求人の会社概要(乙1)には、被請求人が行う主な事業内容として、いわゆる金融・クレジット事業が挙げられており、「ベンダーリース」事業は、このうち「ショッピングクレジット事業」の中のラインナップとして列記されている。ベンダーリースにおいて被請求人自身が提供するサービスは、あくまでも、「ファイナンスリース」であって「ベンダーリース」の中の与信機能に相当する部分であり、物品の貸与そのものをサービスとして提供しているのではない(乙7、乙8)。実際、リース物件の所有権は「昭和リース株式会社」にあり、リース契約書には「契約が終了された場合は、物件を昭和リースへご返却頂きます。」との記載が明記されていることからも、被請求人は物品の貸与に関しては一切関わっておらず、契約締結上の便宜のために、形式的に転貸者となっているにすぎないことは明らかである(乙9)。
したがって、被請求人が提供する「ベンダーリース」において、被請求人は、あくまでファイナンスシステムに関するサービスを提供しているにすぎず、被請求人が要証期間内に当該「ベンダーリース」に関する契約を締結したとしても、そのことをもって、被請求人が請求に係る指定役務の提供を行っているとはいえない。
(2)被請求人は、封筒(乙19)が、主に被請求人が「ベンダーリース」において、リース契約者に対して各種の書類を送付する際に使用する封筒であること、当該封筒が2020年11月30日時点で、被請求人の手元に存在していたこと、「株式会社D」への「リース料請求明細書」写し(乙21)が封筒に入れられて株式会社Dに送付されたなどと主張している。しかし、被請求人が要証期間内に実際にリース料請求明細書(乙21)を封筒(乙19)に入れて送付したこと、および、当該明細書入りの封筒を「株式会社D」が要証期間内に実際に領したことの証明はなされていない。封筒は、「ベンダーリース」以外にも被請求人が提供する各種サービスに使用されるものであることは容易に想像でき、在庫としてストックされていることは一般常識に照らして明らかであるから、封筒(乙19)が要証期間内に存在していたことをもって、本件商標の使用の事実があったとは認められない。被請求人は、商標法第2条第3項各号列記のいずれの使用行為に当たるか主張しておらず、どのような使用行為に当たるのかも不明確である。
(3)被請求人は、会社案内(乙2)の表紙に本件商標と社会通念上同一の使用商標の表示があり、第7ページに「ベンダーリース」を紹介しており、2021年1月に制作され、納品されたことをもって、本件商標が指定役務において使用したと主張するが、当該行為が商標法第2条第3項各号のいずれの使用行為に該当するか、全く主張、立証されていない。会社案内(乙2)は、請求に係る指定役務に関する広告などではなく、表紙に記載の「APLUS」の文字は、単に被請求人名称の英文社名の略称が示されているにすぎず、商標といえず、要証期間内に展示・頒布等されたことの証明もなされていない。そもそも被請求人は、指定役務の提供を行っていないから、仮に会社案内(乙2)の展示・頒布等の事実が立証された場合であっても、当該事実によって、結論が変わるものではない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証を提出している。
1(1)本件商標は、被請求人名称の略称であり、被請求人は、ハウスマークの一つとして、会社案内での表示をはじめ、その業務において継続して使用している。
(2)被請求人は、その業務の一つである「ショッピングクレジット事業」において、平成28年10月よりグループ会社である「昭和リース株式会社」と提携し、販売会社(ベンダー)が契約の受付等を行うリースである「ベンダーリース」を提供している。この「ベンダーリース」は、個人事業者等に代わって事務機器等の物件を購入し、個人事業者等に対して物件のリースを提供するもので、パソコンやコピー複合機などの事務機器だけでなく、店舗設備も対象の物件とするものである。
(3)「ベンダーリース」は、個人事業者等、販売会社、被請求人及び昭和リース株式会社の4者間での取引であり、具体的な流れは、次のとおりである。
ア 個人事業者等が、被請求人と加盟店契約を締結した販売会社において、希望する物件を選定し、被請求人に対し、希望する物件についてベンダーリース契約の申し込みを行う。
イ 被請求人が、審査のうえ、個人事業者等とベンダーリース契約を締結し、個人事業者等の希望する物件の代金を販売会社に支払って購入する。
ウ 被請求人は、商品を「昭和リース株式会社」に売渡す。
エ 「昭和リース株式会社」が、被請求人と物品をリースする契約を締結し、被請求人は、その物件を個人事業者等に転リースする。
オ 個人事業者等が、被請求人へ物件のリース料を支払う。
(4)被請求人は、その業務に係る「ベンダーリース」によって「パソコン機器のリース」を提供しており、請求に係る指定役務に該当する。
2 「ベンダーリース」についての申込書冊子(乙9)の表紙に本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標の表示がある。また、この申込書冊子(乙9)により実際に申し込みがされたことを示すものとして、2021年3月18日、同年4月1日、同年同月22日の「ベンダーリース(昭和リース提携型)契約書兼リース物件借受証」、「リース物件代金請求書」及び「御見積書」の写し(乙10~乙18)を提出する。これらのベンダーリースの申込書作成時点において、申込書冊子(乙9)が使用されたことは明らかである。「ベンダーリース」の申込みがなされたリース物件の記載(乙10~乙18)は、被請求人が「ベンダーリース」において請求に係る指定役務の提供を行っていることを示している。
3 被請求人及び被請求人の管理運営会社「株式会社アプラスフィナンシャル」の会社案内(乙2)には、表紙に本件商標と社会通念上同一の使用商標の表示があり、第7ページにおいて、「ショッピングクレジット」のラインナップとして、上記「ベンダーリース」を紹介している。会社案内の裏表紙に記載された数字は、2021年1月に制作され、納品されたものであることを示している。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、平成21年(2009年)に株式会社アプラスクレジットとして設立され、その後、同22年(2010年)4月に株式会社アプラスフィナンシャルとの間で吸収分割及び事業承継がなされ、その名称が「株式会社アプラス」になったものである(乙1、乙2)。
また、上記株式会社アプラスフィナンシャルは、昭和31年(1956年)10月に設立され、平成4年(1992年)4月に「株式会社アプラス」に商号変更され、さらに、同22年(2010年)4月に上記吸収分割及び事業承継と同時ないし前後して「株式会社アプラスフィナンシャル」に商号変更されたものであり、本件商標の設定登録時から上記吸収分割及び事業承継後の同23年(2011年)3月になされた一般承継による本件商標権の移転の登録までの間の本件商標の商標権者である。
そして、株式会社アプラスフィナンシャルと本件商標権者である「株式会社アプラス」とは、「アプラスグループ」という企業グループにおいて、その管理運営を行う会社と事業会社の関係となっており、アプラスグループの展開する事業であるショッピングクレジット事業、カード事業、ペイメント事業、ハウジング事業及びその他の事業のうち、本件商標権者は、ショッピングクレジット事業、カード事業、ペイメント事業についての事業会社である(乙2)。
(2)本件商標権者は、平成28年(2016年)10月より、ショッピングクレジット事業の一つとして昭和リース株式会社と連携してベンダーリース事業を提供している(乙2、乙7)。
(3)本件商標権者を含む「アプラスグループ」の会社案内(乙2)には、表紙の中央付近に別掲2の「APLUS」の欧文字(以下「使用商標1」という。)とこれより小さい「CORPORATE PROFILE」の大文字が表示され、裏表紙の中央付近に、企業ロゴ等とともに「アプラス」の片仮名が表示され、さらに下部に「2021.01」という文字が表示されている。
また、会社案内(乙2)には、「アプラスグループの展開する事業」に「ショッピングクレジット事業」がある旨(5ページ)、「「ショッピングクレジット」のラインナップ」に「ビジネスクレジット・ベンダーリース」がある旨(7頁)が記載され、さらに、「アプラスグループ 会社概要」において、本件商標権者である「株式会社アプラス」の主な事業内容がショッピングクレジット事業を含む旨が記載されている(乙2)。
(4)本件商標権者は、令和3年(2021年)1月に、株式会社伝創社より会社案内の修正増刷の代金支払い請求を受けている(乙3)。このことから、本件商標権者は、アプラスグループに属する他の企業とともに、この代金支払い請求の前後において、株式会社伝創社に対し会社案内(乙2)の修正増刷依頼を行い、同社より上記会社案内の納入がなされたことが明らかである。
さらに、修正増刷がなされた会社案内がその納入後に関係者に全く配布されなかったり一切展示されないことは通常考え難いから、本件商標権者は、本件商標権者によって納入された会社案内を展示したり、本件商標権者自身によって又はアプラスグループに属する他の企業を経由して関係者に配布したものと推認される。
(5)本件商標権者は、令和2年(2020年)10月にベンダーリース事業において用いられる「ベンダーリース(昭和リース提携型)申込書」と題する申込書冊子を改訂した(乙9。以下改訂後の申込書冊子を単に「申込書冊子」という。)。
申込書冊子の表紙には、「ベンダーリース(昭和リース提携型)申込書」との表題と別掲2の「アプラス」の片仮名(以下「使用商標2」という。)がいずれも企業ロゴとともに示されており、申込書冊子には、「リース契約(ファイナンスリース)について」、「お申込みの内容(約款)」、「ベンダーリース(昭和リース提携型)契約書兼リース物件借受証」、「リース物件代金請求書」等の書面が含まれている。
そのうち、「リース契約(ファイナンスリース)について」というタイトルの書面には、「リース契約のしくみ」として、リース取引の当事者は、顧客、販売店、アプラス及び昭和リースの四者である旨、物件のリースを希望する顧客と販売店との間で物件を選定し、アプラスが顧客の審査をし、その上でリース契約を締結する旨、顧客がリース契約を締結する相手方は、アプラスであって販売店でなく、リース契約の内容は、アプラスと顧客との間で決定される旨、アプラスは、物件を販売店から購入すると同時に物件を昭和リースに売渡し、昭和リースが物件をアプラスにリース(賃貸)する契約を締結して、その物件を顧客に転リース(転貸)する旨、顧客はアプラスに対して転リース契約に基づく転リース料を支払う旨が記載され、さらに、「リース契約(ファイナンスリース)の特徴」として、リース物件の所有権は昭和リースにある旨、リース期間終了後もリース物件の所有権は顧客に移らず、引き続きリース物件を使用する場合は、規定の再リース料をアプラスに支払うことになる旨、契約終了の場合は、物件を昭和リースに返却することになる旨が記載されている。
また、「お申込みの内容(約款)」という書面には、契約者を含む申込者を甲とし、本件商標権者株式会社アプラスを乙とする契約及びその申込みの内容として、次の記載がある。
「第1条 リース契約の趣旨
(1)乙は、甲の指定に基づき、申込書等に記載の販売店(以下、「売主」という)から物件を買受けて、次条以下の条件で甲にリース(賃貸)し、甲はこれを事業・職務の用に供するために借り受けます。
・・(中略)・・
(4)リース契約における物件は、乙が売主から買い受けると同時に、これを昭和リース株式会社(・・(中略)・・以下「丙」という)に売り渡し、乙がこの売渡しと同時に丙からリースバック(賃借)したものとします。」
「第11条(契約解除)
(1)乙は、甲が次の各号の一つにでも該当したときは、通知や催告を要せずリース契約を解除することができるものとします。
・・(中略)・・
(2)リース契約が解除されたときは、甲は甲の責任と負担において直ちに物件を原状に回復(・・)したうえで、乙の指定する場所に持参もしくは送付して乙に返還し、あわせて規定損害金を乙に支払うものとします。」
「第13条(物件の返還・清算)
(1)甲はリース契約がリース期間の満了または中途で終了したとき、・・・は、・・・を除き、直ちに甲の負担で物件を原状に回復したうえ、乙または丙の指定する場所に返還します。」
(6)本件商標権者は、上記(4)の使用商標2が表示された申込書冊子に含まれる「ベンダーリース(昭和リース提携型)契約書兼リース物件借受証」、「リース物件代金請求書」を用いた顧客からの申込みを受けて、顧客との間で下記の3つの契約を行った。
ア リース物件がデスクトップパソコン2台とノートパソコン2台であり、申込日及び契約締結日が令和3年(2021年)3月18日である、横浜市保土ケ谷区の顧客との間のリース契約(乙10、乙11)。
イ リース物件がサーバー1台とPC1台であり、申込日及び契約締結日がそれぞれ令和3年(2021年)4月1日及び同月26日である、東京都北区の顧客との間のリース契約(乙13、乙14)。
ウ リース物件がノートPCとネットワークサーバーであり、申込日及び契約締結日がそれぞれ令和3年(2021年)4月22日及び同月23日である、長野県岡谷市の顧客との間のリース契約(乙16、乙17)。
(7)封筒(乙19)は、その表面には、左右の2カ所に封筒内の印刷文字が表示される窓が設けられるとともに、左上に枠囲いされた「親展」の文字が印刷され、さらに、左下に企業ロゴやホームページのアドレスを示すURL等とともに別掲2(2)の「APLUS」の欧文字(以下「使用商標2」という。)が印刷されており、その裏面には、右下に「878-9140」等の文字が印刷されている。そして、トッパン・フォームズ株式会社による被請求人宛2020年11月30日付け請求書(乙20)には、品名コードが「878-9140」であって品名が「新汎用封筒(横型・2つ窓)アドヘア糊」である商品80000枚を含む商品の代金を2020年12月までに支払うよう求める旨が示されている。これらによれば、遅くともこの請求書による代金請求がなされた2020年12月までに被請求人は、トッパン・フォームズ株式会社より品名コードが「878-9140」である封筒80000枚の納品を受けたものであり、さらに、封筒の印刷発注に数週間以上の日程が必要とは考えられないことから、この納品前の数週間の間に、被請求人はトッパン・フォームズ株式会社にこれらの商品を発注したものと推認される。
(8)リース料請求明細書(乙21)は、A4縦のものであり、三つ折りにして封筒(乙19)に入れた場合における封筒表面の左の窓に対応する位置には、宛先の郵便番号、住所、会社名等が表示されており、右の窓に対応する位置には、被請求人の郵便番号、住所、名称とともに、「カスタマーサポート 福岡」の文字と電話番号が表示されている。さらに、書類がリース料金の月々の支払明細である旨等と企業ロゴ等が示された上で、「ご利用販売店名」とともに「物件名」の項目、リース期間、支払方法や指定預金口座、残存価格を示す項目が表示され、その後に月毎の支払明細を示す月毎の支払金額を示す項目が表示されている。具体的には、乙第21号証は、令和3年8月16日作成の大阪市浪速区の株式会社D宛てのリース料金請求明細書の写しであって、「物件名」は「京セラ 複合機 他5台」、「リース期間」は「3年7月20日~9年7月19日」である。
このリース料請求明細書(乙21)は、宛先の郵便番号、住所、会社名等の表示と被請求人の郵便番号、住所、名称等の表示の態様からみて、封筒表面左右の2カ所に封筒内の印刷文字が表示される窓が設けられた上記(7)の封筒と同形状の封筒に封入された上で宛先に郵送されるべく作成されたことが明らかである。さらに、このような社用の汎用封筒のデザインが頻繁に変更されることは通常考え難く、また、上記(7)のとおり、被請求人に上記(7)の封筒80000枚が納品されていることも併せ鑑みれば、封筒が納品されてから令和3年8月までの間、被請求人は、リース料請求明細書(乙21)のような書類を封筒表面左右の2カ所に封筒内の印刷文字が表示される窓が設けられた形状の封筒に封入して郵送するにあたっては、この形状の封筒として上記(7)の封筒を用いて郵送していたものと推認される。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
上記1の使用商標1及び使用商標2は、いずれも、本件商標と同様の「APLUS」の欧文字からなるものであり、本件商標と同一の商標(本件商標と社会通念上同一の商標を含む。)であることが明らかである。
(2)使用者について
ア 上記1の(3)及び(4)の会社案内(乙2)は、本件商標権者において修正増刷依頼がなされ、本件商標権者に納入されたものを本件商標権者を含むアプラスグループ各社において関係者に頒布したり展示したことから、これらの修正増刷依頼や関係者への頒布や展示を行った主体は、本件商標権者であり、使用商標1の使用者は、本件商標権者であるといえる。
イ 上記1(8)のリース料請求明細書の郵送にあたって上記1(7)の封筒を用いることで、封筒を顧客に示した者は、本件商標権者であり、使用商標2の使用者は、本件商標権者である。
(3)使用役務について
ア 上記1(5)に示した申込み冊子に含まれる書類の記載からみて、ベンダーリースは、顧客と本件商標権者のみならず、販売会社と昭和リースを含めた四者間の取引であるものの、顧客が契約してリース料を支払う相手方は、本件商標権者である。そして、販売会社と昭和リースは、本件商標権者と契約するにとどまり、いずれも顧客との間で物件の貸与の契約を結んでおらず、顧客から貸与の対価となるリース料を受け取っていない。また、リース物件の所有権は、昭和リースにあるものの、契約の解除に伴うリース物件の返却先は、本件商標権者であり(1(5)の「お申込みの内容(約款)」という書面の第11条(2))、リース期間満了に伴うリース物件の返却先は、本件商標権者と昭和リースのいずれかとなっており(同書面の第13条(1))、貸与されたリース物件の返却先は、必ずしもリース物件の所有権者である昭和リースではなく、むしろ、顧客が契約を結んだ相手方である本件商標権者となっている。これらを踏まえれば、ベンダーリースにおける顧客と本件商標権者との間で締結されるリース契約は、顧客と本件商標権者との間のリース物件の賃貸借契約を包含するものであって、契約者が本件商標権者に支払うリース料は、貸与の対価の趣旨を含むものとなっていることが明らかである。
また、上記1(6)アないしウの各契約におけるリース物件は、パソコン(PC)やサーバーであり、いずれも「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テ―プその他の周辺機器を含む)」の範ちゅうの商品であることが明らかである。
してみると、本件商標権者が提供するベンダーリース事業は、本件商標権者が顧客に対して契約によって電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テ―プその他の周辺機器を含む)を賃貸するサービスを含むものであり、「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テ―プその他の周辺機器を含む)の貸与」の範ちゅうに属する役務の提供であるといえることから、請求に係る指定役務である本件商標の指定役務の範ちゅうに属する役務に該当する。
イ 使用商標1は、会社案内(乙2)に表示されたものであるところ、この会社案内は、さらに、本件商標権者のショッピングクレジット事業にベンダーリース事業が含まれていることをも示すものとして、展示され関係者に配布されるものであるから、使用商標1は、ベンダーリース事業の主体が本件商標権者であることを示すものとして使用されているものといえる。そして、このベンダーリース事業は、アに示したとおり、請求に係る指定役務の範ちゅうに属することから、使用商標1の使用役務は、請求に係る指定役務の範ちゅうに属する役務である。
ウ 使用商標2は、使用商標2が表示された封筒に請求に係る指定役務の範ちゅうに属する役務であるベンダーリース事業に係るリース料請求明細書を封入して顧客に送付することによって、リース料金の支払いの相手方が本件商標権者であることを示すものとして使用されているといえるから、使用商標2の使用役務は、請求に係る指定役務の範ちゅうに属する役務である。
(4)使用時期について
ア 上記1(4)に示したとおり、本件商標権者は、株式会社伝創社に対し会社案内の修正増刷依頼を行い、修正増刷がなされて納入された会社案内を展示し、関係者に配布したものと推認される。そして、令和3年(2021年)1月に株式会社伝創社から本件商標権者への会社案内の修正増刷についての代金支払い請求がなされていることから、会社案内の修正増刷依頼、納入、展示及び関係者への配布も、この代金支払い請求の前後に行われたことが明らかであって、要証期間内に行われたものといえる。
イ 上記1(8)に示したことに照らせば、被請求人は、令和2年の12月の封筒の納品に先立つ数週間前に表面左右の2カ所に封筒内の印刷文字が表示される窓が設けられた形状の封筒を発注し、リース料請求明細書(乙21)のような書類を郵送するにあたって、この形状の封筒として納品された封筒を用いて郵送し、それによって、使用商標2を表示した封筒表面を顧客に示したものと推認される。そして、乙第21号証は、令和3年8月の作成のものであることから要証期間後の書類であるものの、封筒の納品がなされたのが遅くとも令和2年12月であって要証期間内であることから、要証期間内になされた封筒の納品から要証期間の末日までの郵送にあたっても、納品された封筒が用いられたものと推認できる。よって、使用商標2は、要証期間内に使用されたものと推認される。
(5)使用行為について
ア 会社案内(乙2)は、本件商標権者が請求に係る指定役務の範ちゅうに属する役務であるベンダーリース事業を行う旨を示すものとして展示されたり関係者に配布されたりするものであるから、請求に係る指定役務についての広告に該当する。そして、上記(4)アに示したとおり、本件商標権者は、要証期間内に、使用商標1が表示された会社案内を展示したり頒布する行為を行ったものといえ、この行為は、商標法第2条第3項第8号の行為に該当する。
イ 封筒(乙19)は、リース料請求明細書を封入して郵送するためのものであって、郵送されるリース料請求明細書と一体のものとみることができるから、本件商標権者が請求に係る指定役務の範ちゅうに属する役務であるベンダーリース事業を行うための取引書類に該当する。そして、上記(4)イに示したとおり、本件商標権者は、要証期間内に、使用商標2が表示された封筒である取引書類を契約者に対して示したものと推認されるのであり、この行為は、商標法第2条第3項第8号の行為に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、ベンダーリースにおいて本件商標権者が提供するサービスは、あくまでも、「ファイナンスリース」であって「ベンダーリース」の中の与信機能に相当する部分であって、物品の貸与そのものをサービスとして提供しているのではない、リース契約書には「契約が終了された場合は、物件を昭和リースへご返却頂きます。」との記載が明記されており、被請求人は物品の貸与に関しては一切関わっておらず、契約締結上の便宜のために、形式的に転貸者となっているにすぎない、等と主張している。
しかし、上記1(5)及び2(3)に示したとおり、契約上、貸与されたリース物件の返却先は、リース物件の所有権者である昭和リースである必要はなく、むしろ顧客が契約を結んだ相手方である本件商標権者である。この点、上記1(5)に示したとおり、申込冊子に含まれる「リース契約(ファイナンスリース)について」というタイトルの書面には、契約終了の場合に物件を昭和リースに返却することになる旨の記載があるものの、この記載は、リース物件の所有権が昭和リースにある旨やリース期間終了後もリース物件の所有権は顧客に移らない旨の記載とともに、リース物件の所有権の所在や所有権の効力について確認的に記載したものであって、リース契約の当事者である本件商標権者が物品の貸与と無関係であることを示すものではない。また、顧客がリース契約の当事者である本件商標権者に支払うリース料にリース物件の貸与の対価の趣旨が含まれていることも明らかである。
してみると、本件商標権者は、リース物件の貸与に関わる実質的な貸与契約の当事者であって形式的な転貸者ではない。請求人の主張を採用することはできない。
(2)請求人は、被請求人が要証期間内に実際にリース料請求明細書(乙21)を封筒(乙19)に入れて送付したことや当該明細書入りの封筒を「株式会社D」が要証期間内に実際に領したことの証明はなされていない、等と主張している。
しかし、上記1(7)及び1(8)に示したとおり、封筒が納品されてから令和3年8月までの間、リース料請求明細書(乙21)のような書類を封筒表面左右の2カ所に封筒内の印刷文字が表示される窓が設けられた形状の封筒に封入して郵送するにあたって、本件商標権者が封筒(乙19)を用いて郵送していたものと推認されるのであり、このことから、請求人の主張を採用することはできない。
4 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が請求に係る指定役務である本件商標の指定役務について本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-300491