商標取消審判
2021-300338
クレア、クレール
- 審判番号
- 2021-300338
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1997-158771
- 登録番号
- 4259632
- 請求日
- 2021年04月30日
- 審決日
- 2022年03月24日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】クレア インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】井関 勝守
- 【請求人代理人】田中 咲江
- 【被請求人】株式会社 デンソーソリューション
- 【被請求人代理人】矢作 和行
- 【被請求人代理人】野々部 泰平
- 【被請求人代理人】久保 貴則
- 【被請求人代理人】一宮 和彦
- 審判長/審判官
- 審判長 榎本 政実
- 審判官 小松 里美
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T131 .1 -Z (Z11)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4259632号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4259632号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4259632号商標(以下「本件商標」という。)は、「CLAIR」の文字を標準文字で表してなり、平成9年9月16日に登録出願、第11類「暖冷房装置」を指定商品として同11年4月9日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年5月19日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年(2018年)5月19日ないし令和3年(2021年)5月18日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第1号証について
マンションに備え付けられている換気システムの熱交換器の交換募集のお知らせの写しとのことであるが、これをもって本件商標が要証期間内に使用されたことを示す証左とはなりえない。
ア 請求に係る指定商品との関係について
乙第1号証によると、「クレア」は24時間計画換気システムもしくは熱交換器の名称なのであろうと想像することはできる。そして、申し込みに応じて、株式会社デンソーソリューション(以下「デンソーソリューション社」という場合がある。)が熱交換器の交換作業を行うことを知らせるものとうかがえる。すなわち、デンソーソリューション社が「熱交換器の設置工事」に該当する役務を行うことを知らせるものである。
しかしながら、本請求に係る指定商品は、第11類「暖冷房装置」である。
よって、乙第1号証は、商標権者が請求に係る指定商品について使用していることの証拠とはなりえない。
イ 社会通念上同一の商標について
本件商標は、欧文字で「CLAIR」と標準文字で表されてなるものである。一方で、乙第1号証に記されているのは「クレア」の片仮名である。
ここで、欧文字で表された「CLAIR」よりは、「クレール」の称呼も自然に生じる。このことは、特許情報プラットフォームにて「CLAIR」の語で検索した結果一覧(甲2)における参考称呼や、我が国における使用実情(甲3~甲9)からしても明らかである。また、「コトバンク」に係るウェブサイトにおける「Clair」の項目ページ(甲10)に示されるように、フランス語で「明るい」といった意味合いを有する。
このように、本件商標と乙第2号証に記された「クレア」とは、称呼が一対一対応しておらず、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」とはいえないため、本件商標の使用をしていることの証拠とはなりえない。
例えば、取消2015-300790(甲11)においても、称呼が一対一対応していない各商標について、「両商標よりは同一の称呼を生ずるものとはいえないから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。」と示されている。
ウ 商標としての使用について
乙第1号証には、注記として、「ご応募が3件以下の場合は今回の募集は中止となりますのでご了承願います」と記されているところ、このお知らせのみでは、実際に申し込みがあったのか、交換作業が行われたのかが不明である。さらにいうと、このお知らせに記されている日付や頒布の事実すら、客観的な確証は見いだせない。すなわち、客観的な裏付けを伴うものではなく、商標としての使用を証明するに足る証拠とはならない。
(2)乙第2号証について
マンションに備え付けられている換気システムの交換申し込みについてのお知らせの写しとのことであるが、これをもって本件商標が要証期間内に使用されたことを示す証左とはなりえない。
ア 請求に係る指定商品との関係について
乙第2号証によると、「クレア」は24時間計画換気システムの名称なのであろうと想像することはできる。そして、「作業予定日をデンソーソリューションからご連絡させていただきます」との表記から、申し込みに応じて、デンソーソリューションが交換作業を行うことを知らせるものとうかがえる。すなわち、デンソーソリューションが「換気システム装置の設置工事・保守及び修理」に該当する役務を行うことを知らせるものである。
しかしながら、本請求に係る指定商品は、第11類「暖冷房装置」である。よって、乙第2号証は、商標権者が請求に係る指定商品について使用していることの証拠とはなりえない。
イ 社会通念上同一の商標について
本件商標は、欧文字で「CLAIR」と標準文字で表されてなるものである。一方で、乙第2号証に記されているのは「クレア」の片仮名である。
これらは、上記(1)にて述べたとおり、本件商標の使用をしていることの証拠とはなりえない。
ウ 商標としての使用について
乙第2号証のみでは、実際に商取引が行われたことを確認することができない。さらにいうと、このお知らせに記されている日付や頒布の事実すら、客観的な確証は見いだせない。すなわち、客観的な裏付けを伴うものではなく、商標としての使用を証明するに足る証拠とはならない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、旧社名の株式会社デンソーセールス(以下「デンソーセールス社」という場合がある。)が経済産業省に提出した、電気用品の改善及び再発防止対策についての報告書の写しとのことであるが、これをもって本件商標が要証期間内に使用されたことを示す証左とはなりえない。
ア 請求に係る指定商品との関係について
乙第3号証によると、「2.当該製品に関する説明」より、「クレア」という商品名の「換気扇」に関する報告書であろうということは想像できる。
しかしながら、本請求に係る指定商品は、第11類「暖冷房装置」であるところ、「換気扇」と「暖冷房装置」とは別物であり類似するとしても同一視することはできず、「換気扇」が「暖冷房装置」の範ちゅうにおける商品とはいえない。
イ 社会通念上同一の商標について
乙第3号証に記されているのは「クレア」の片仮名であり、上記(1)にて述べたとおり、本件商標の使用をしていることの証拠とはなりえない。
ウ 商標としての使用について
乙第3号証は、改善及び再発防止対策に関する報告書であり、平成31年2月1日は報告書が提出された日付にすぎず、これをもって要証期間内における商標権者等の使用事実を示す証拠とはなりえない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、換気システムのカタログとのことであるが、これをもって本件商標が要証期間内に使用されたことを示す証左とはなりえない。
乙第4号証に係るカタログの発行日付は、2008年2月であると確認できる。これは要証期間を大きく外れた13年以上前のものである。
被請求人は答弁書において、この旧々社名が表示された13年以上前のカタログを「現在も使用し続けている」と述べているが、その証左となるものはない。通常、製品カタログは、シーズンごともしくは1年から数年ごとに刷新され、その時の取扱商品が掲載されて頒布等されるものであり、旧々社名が表示されたままの13年以上前のカタログをもって、現在本件商標を使用しているという主張は無理がある。
よって、当該審判の趣旨たる「不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは、国民一般の利益を不当に損ね、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなる」ということからしても、乙第4号証は要証期間内の使用証拠として到底認められるものではない。
(5)結語
以上のとおり、乙第1号証ないし乙第4号証は、要証期間内に日本国内において、本件商標が商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって、本件請求に係る指定商品「暖冷房装置」について使用された事実を立証するものではない。また、乙第1号証ないし乙第4号証を総合してみてもなお、前記事実が立証されたと認めることはできない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 乙第1号証は、マンション「オーベル国立」に備え付けられている換気システム「クレア」の熱交換器の交換募集のお知らせの写しであり、その申込み用の「クレア交換申込書」が、同じ用紙の下欄に記載されている。
この乙第1号証によれば、本商標権の指定商品である換気システムが、本件商標「CLAIR」の称呼が付された換気システム「クレア」と記載されているとともに、商標権者のデンソーソリューション社についても業者として記載されているので、商標権者により本件商標がその指定商品について使用されていることを証明する上で、有力な証拠の一つであるということができる。
また、その日付欄には「2020年9月1日」と記載されているので、要証期間内に、本件商標がその指定商品について使用されていることを証明する上で、有力な証拠の一つであるということができる。
2 乙第2号証は、マンション「オーベルタワー川口コラージュ」に備え付けられている換気システム「クレア」の交換申し込みについてのお知らせの写しであり、その換気システム「クレア」交換申込書が、別紙として添付されている。
この乙第2号証によれば、本件商標の指定商品である換気システムが、本件商標の称呼が付された換気システム「クレア」と記載されているとともに、商標権者についても業者として記載されているので、商標権者により本件商標がその指定商品について使用されていることを証明する上で、有力な証拠の一つであるということができる。
また、その日付欄には「2019年4月吉日」と記載されているので、要証期間内に、本件商標がその指定商品について使用されていることを証明する上で、有力な証拠の一つであるということができる。
3 乙第3号証は、旧社名のデンソーセールス社が経済産業省に提出した、電気用品の改善及び再発防止対策についての報告書の写しであり、同省より旧々社名「(株)デンソーエース」と旧社名「(株)デンソーセールス」との間での表示の誤りを指摘されて提出したものである。
この「(株)デンソーセールス」は、現在のデンソーソリューション社より一つ前の旧社名であり、両社間の、会社としての連続性、同一性は保たれていて、本商標権は両社間にわたって保持されてきたものである。
この乙第3号証の報告書によれば、本件商標の指定商品である換気扇が、本件商標の称呼が付された商品名「クレア」と記載されているので、商標権者により本件商標がその指定商品について使用されていることを証明する上で、有力な証拠の一つであるということができる。
また、その日付欄には「平成31年2月1日」と記載されているので、要証期間内に、本件商標がその指定商品について使用されていることを証明する上で、有力な証拠の一つであるということができる。
4 乙第4号証は、本件商標の指定商品である換気システムのカタログであり、このカタログには、本商標権の登録商標である「CLAIR」の文字そのものが表示されている。
ただし、このカタログには、商標権者の旧々社名である「デンソーエース」の英文字「DENSO ACE」が表示されているとともに、このカタログの発行の日付は、2008年2月と記載されている。
そこで、このカタログについて説明すると、商標権者の社名が旧々社名「(株)デンソーエース」から旧社名「(株)デンソーセールス」に変わった後、さらにはその旧社名から現在の社名に変わった後も、その変わった後の新しい社名が表示された新しいカタログは未だに作成されないで現在に至っている。このため、上記旧々社名の英文字が表示されている換気システムのカタログを、引き続き、既成事実として、現在も使用し続けている事情がある。
したがって、現在も、客先に見せる等の必要が生じる度に、その「デンソーエース」の英文字が表示されているカタログを、随時使用するようにしている。
このように、当時の旧々社名の英文字が表示された乙第4号証のカタログは、今も使われており、生き続けているということができる。
また、商標権者の社名が旧々社名「(株)デンソーエース」から旧社名「(株)デンソーセールス」に、さらに旧社名「(株)デンソーセールス」から現在の社名「(株)デンソーソリューション」に変わったとはいえ、会社としての連続性、同一性は保たれていて、本件商標はこれらの3社間にわたって保持されてきたものである。
このため、乙第4号証は、要証期間内においても、本件商標がその指定商品の換気システムについて使用されていることを証明する上での、有力な証拠の一つであるということができる。
第4 被請求人に対する審尋及び被請求人による審尋への回答
1 審尋の要旨
審判長は、被請求人に対し、令和3年12月27日付けで、被請求人による主張及び提出された証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認めることはできない旨の合議体による暫定的見解を示したうえで、請求人提出の審判事件弁駁書の主張及び合議体による暫定的見解に対し、意見があれば証拠とともに提出するよう、相当の期間を指定して回答を求めた。
2 被請求人の回答
上記1の審尋に対して、被請求人は、何ら応答していない。
第5 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人によれば、乙第1号証は、2020年(令和2年)9月1日付けのマンション管理組合から組合員に宛てた、商標権者による24時間計画換気システム「クレア」の熱交換器について、交換募集のお知らせであり、また、乙第2号証は2019年(平成31年)4月吉日付けのマンションの管理組合から区分所有者に宛てた、商標権者による24時間計画換気システム「クレア」の交換申込み募集のお知らせである。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、平成31年(2019年)2月1日付けでデンソーセールス社が経済産業省に宛てた「電気用品の改善及び再発防止対策について」と題する書面であるところ、当該書面には、デンソーセールス社の輸入に係る電気用品「換気扇」であって商品名「クレア」について、輸入事業者名を旧社名で表示したことに対する改善方法及び再発防止対策等が記載されている。
(3)乙第4号証について
乙第4号証は、株式会社デンソーエース(以下「デンソーエース社」という。)により2008年(平成20年)2月に作成された24時間計画換気システム「CLAIR」のカタログである。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)「クレア」と称する「24時間計画換気システム」は、要証期間である2019年(平成31年)4月及び2020年(令和2年)9月頃に、商標権者による交換作業の募集がされた(乙1、乙2)ことから、当時、当該換気システムがそれぞれのマンション内に設置されていたことは推認し得るとしても、実際に交換作業が行われたことや「クレア」と称する「24時間計画換気システム」について取引がされたことは明らかではない。
(2)また、デンソーエース社は2008年(平成20年)2月作成の「24時間計画換気システム」のカタログ(乙4)に「CLAIR」の文字を表示していたこと認められるが、当該カタログの作成日は要証期間のものではない。
なお、被請求人は、商標権者は上記カタログを現在も使用している旨主張するが、その主張を裏付ける証拠はない。
(3)さらに、要証期間である平成31年(2019年)2月1日に作成されたデンソーセールス社による書面(乙3)は、「クレア」と称する「換気扇」が存在したことを推認させるものの、当該商品の取引があったことを証明するものとは認められない。
(4)ところで、被請求人は、「24時間計画換気システム」や「換気扇」についての「クレア」又は「CLAIR」の使用は、本件商標の指定商品についての使用である旨主張するが、上記商品がいずれも室内の空気を換気するための「換気装置」の一種であるといい得るものの、本件商標の指定商品「暖冷房装置」の範ちゅうに含まれる商品とは認められない。
(5)そうすると、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、本件商標の指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたと認めることができない。
その他、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていることを証明したということはできない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-300338