商標取消審判
2021-300333
インクドー
- 審判番号
- 2021-300333
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-098174
- 登録番号
- 6035923
- 請求日
- 2021年04月27日
- 審決日
- 2022年07月06日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 KAND
- 【請求人代理人】天野 一規
- 【請求人代理人】池田 義典
- 【請求人代理人】石田 耕治
- 【被請求人】トラアークス 株式会社
- 【被請求人代理人】辻田 朋子
- 【被請求人代理人】下田 一徳
- 【被請求人代理人】樋口 頼子
- 【被請求人代理人】中川 慶太
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T131 .1 -Z (W02)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6035923号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6035923号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6035923号商標(以下「本件商標」という。)は、「インク堂」の文字を標準文字で表してなり、平成29年7月24日に登録出願、第2類「トナーカートリッジ(充てんされたもの),プリンター用インクカートリッジ(中味が詰められたもの)」を指定商品として、同30年4月13日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日(予告登録)は、令和3年5月17日であり、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年(2018年)5月17日ないし令和3年(2021年)5月16日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第5号証は、以下のとおり、いずれも本件商標を使用したことの証拠とはならない。
(1)乙第5号証について
乙第5号証には、2021年4月20日付けで、メーカー「インク堂」がBrand名を「インク堂」とするインクカートリッジについて、Amazon.co.jpで取扱いを開始したことが記載されているとも考えられるが、商標「インク堂」を付したインクカートリッジが、2021年4月20日付けで、被請求人によって、Amazonのサイト内で実際に販売開始されたことは示されていない。
したがって、乙第5号証は、被請求人が本件商標を要証期間内に日本国内において使用したことを証明するものではない。
なお、乙第5号証に記載されているASIN「B092ZR2FNR」について、2021年7月13日付けでインターネットにて検索したところ、甲第2号証に記載のインクカートリッジの販売ページがヒットした。しかしながら、このインクカートリッジは、被請求人が「インク堂」の商標を使用していることを示すものではなかった。
(2)乙第4号証について
乙第4号証には、「インク堂」の文字が付されたプリンター用インクカートリッジが示されているが、このインクカートリッジが被請求人の取り扱っている製品であること、及びこのインクカートリッジが被請求人によっていつどのように使用されたかは全く示されていない。
したがって、乙第4号証は、被請求人が本件商標を要証期間内に日本国内において使用したことを証明するものではない。
(3)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人から取引先(株式会社イー・ロジット:以下「イー・ロジット社」という。)に向けた領収書で、乙第1号証には販売金額として12,400円が記載され、乙第2号証には販売金額として73,750円が記載され、乙第3号証には販売金額として64,000円が記載されているように、それぞれ、被請求人とイー・ロジット社とが相当額の取引を行ったことを示す証拠として提出されたものと思料する。
一方、株式会社間でこのような相当額の取引を行う場合には、購入者からの注文書、受領書等の取引書類が存在していることが通常である。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも被請求人からイー・ロジット社ヘ向けた一方的なものであり、実際にイー・ロジット社に受領されたものであるかどうかも判然としないため、商品取引の事実を客観的に証明するものとはいえない。
したがって、乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人が本件商標を要証期間内に日本国内において使用したことを証明するものではない。
(4)結論
上述のとおり、被請求人が提出した証拠中には、本件商標を、第2類「トナーカートリッジ(充てんされたもの),プリンター用インクカートリッジ(中味が詰められたもの)」に使用した証拠は存在していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、審判事件答弁書及び回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、本件商標を、商品「トナーカートリッジ(充てんされたもの),プリンター用インクカートリッジ(中味が詰められたもの)」に付して用いている。
乙第1号証は、被請求人が顧客に納品した際の領収書(写し)である。日付は、2019年10月21日付で、要証期間内である。
乙第2号証は、被請求人が顧客に納品した際の領収書(写し)である。日付は、2019年10月25日付で、要証期間内である。
乙第3号証は、被請求人が顧客に納品した際の領収書(写し)である。日付は、2019年12月6日付で、要証期間内である。
乙第4号証は、被請求人が本件商標を使用した販売商品の写真である。
乙第5号証は、本件商標がAmazonで取扱いが開始されたことを示す書面である。日付は、2021年4月20日で、要証期間内である。
乙第1号証ないし乙第5号証により、被請求人が本件商標を、本件取消請求に係る指定商品「トナーカートリッジ(充てんされたもの),プリンター用インクカートリッジ(中味が詰められたもの)」に、本件取消請求の要証期間内に使用していることは明らかである。
(2)上述のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において本件商標を取消請求に係る指定商品に使用していたといえる。
2 審尋に対する回答書
(1)当審における審尋
審判長は、被請求人に対し、令和4年2月4日付けの審尋において、乙各号証に関する暫定的見解を示し、本件商標の使用についての客観的な証拠とともに具体的に主張、立証するよう求めた。
(2)回答書
被請求人は、上記審尋に対して令和4年3月1日付け回答書及び同月9日付け回答書(2)において以下のとおり回答した。
ア 被請求人と取引先であるイー・ロジット社との取引態様
イー・ロジット社からメールで注文を受け、ほぼ翌日に納品商品及び納品商品に対応した領収書を「持参」して納品するという取引形態であり、納品商品は前日に注文を受けたメールの内容と全く合致するときもあれば、前日までの注文で在庫切れのため翌日に納品できなかった商品を併せて、次回(又は次々回等に)納品する場合もあるため、メールの注文内容と納品商品が全く同一でない場合もある。ただし、納品商品と領収書記載の内容は、合致する。
イ 先に提出した乙第3号証の内容に対応する注文書(2019年12月5日付けメール)を提出する(乙6)。注文の内容は、以下のとおりであり、領収書の記載と一致する。
【互換】Brotherトナー TN-28J 40本
【互換】Brotherドラム DR-23J 8本
さらに、先に提出した乙第2号証に対応する注文書(2019年10月24日付けメール)を提出する(乙7)。注文内容のうち、以下の商品は、領収書の記載と一致する。
【互換】TN-28J 20本(ブラザー)
【互換】DR-24 5本(ブラザー)
ウ なお、被請求人が、乙第1号証ないし乙第3号証で主張、立証しようとする行為は、商標権者による、商標法第2条第3項第8号に記載の使用行為、すなわち、「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」で、商品は「インクジェットプリンター用インクカートリッジ」(審決注:令和4年3月9日付け回答書(2)により修正。)である。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)「領収書」について
取引先(イー・ロジット社)に宛てた本件商標権者作成の領収書(乙1~乙3:以下、まとめて「本件領収書」ということがある。)は、納品日がそれぞれ2019年10月21日(乙1)、2019年10月25日(乙2)及び2019年12月6日(乙3)であり、本件領収書の「品名」欄に記載されている納品物は「インク堂 Brother用 ブラザー TN-28J(TN28J)ブラック BK 汎用・互換トナーカートリッジ」及び「インク堂 キャノン用 BCI-350/351互換 インクカートリッジ 6色セット」(乙1)、「インク堂 Brother用 ブラザー TN-28J(TN28J)ブラック BK 汎用・互換トナーカートリッジ」及び「インク堂 Brother用 ブラザー DR-23J(DR23J)ブラック BK 汎用・互換ドラムユニット」等(乙2)、「インク堂 Brother用 ブラザー TN-28J(TN28J)ブラック BK 汎用・互換トナーカートリッジ」及び「インク堂 Brother用 ブラザー DR-23J(DR23J)ブラック BK 汎用・互換ドラムユニット」(乙3)である。
また、取引先(イー・ロジット社)からの注文メール(乙6、乙7)は、2019年10月24日(乙7)及び2019年12月5日(乙6)に本件商標権者担当者宛に送付されたものであって、いずれもプリンタートナー・ドラムを注文するものである。
注文に係るプリンタートナー・ドラム(以下「注文品」という。)は、「【互換】TN-28J 20本(ブラザー)」、「【互換】DR-24 5本(ブラザー)」等(乙7)及び「【互換】Brotherトナー TN-28J 40本」、「【互換】Brotherドラム DR-23J 8本」(乙6)であり、上記本件領収書のうち、2019年10月25日(乙2)及び2019年12月6日(乙3)を納品日とする納品物と型番や数量などが一致するものがあるものの、これらの注文品には「インク堂」の記載はないから、本件領収書に記載された商品と一致するものということはできない。
(2)「販売商品の写真」について
「販売商品の写真」とされる画像(乙4:以下「本件写真」という。)には、カートリッジ状の6つの箱に「インク堂」、「インクカートリッジ」、「C-351」、「ブラック」、「イエロー」等の文字の表示が確認できるものの、本件写真の撮影日は「2021年6月」であり、本件写真に写るカートリッジ状の6つの箱が本件商標権者の取り扱いに係る商品であることなど詳細な説明は何ら示されていない。
(3)「Amazonで取り扱いが開始されたことを示す書面」について
被請求人が主張するAmazonで取り扱いが開始されたことを示す書面(乙5:以下「本件書面」という。)には、「詳細情報」の項目に「Brand インク堂」、「メーカー インク堂」の記載があり、「登録情報」の項目に「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2021/4/20」等の記載があることから、2021年4月20日に「Amazon.co.jp」で「インク堂」に係る何らかの取扱いが開始されたことがうかがえるものの、その内容は何ら示されていない。
(4)上記の他に、本件商標の指定商品について、本件商標権者により、要証期間に本件商標が使用されていたことを示す証拠の提出はない。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)本件商標の使用について
本件領収書の納品日が2019年10月21日(乙1)、2019年10月25日(乙2)及び2019年12月6日(乙3)であり、これらはいずれも要証期間の日付であり、本件領収書の「品名」欄に本件商標と同一の構成文字である「インク堂」の文字が表記されているものの、本件領収書に記載された商品が、本件写真の撮影対象であることは何ら立証されていないから、本件写真が要証期間に納品されたとされる本件領収書に記載された商品と同一の商品であるとはいえない。
さらに、本件書面からは本件商標をその指定商品について使用したことを確認することもできない。
したがって、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第2条第3項各号にいう本件商標の使用があったことを認めることはできない。
(2)被請求人の主張について
被請求人は、本件領収書(乙1~乙3)で主張、立証しようとする行為は、商標権者による、商標法第2条第3項第8号の使用行為、すなわち、「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」である旨主張する。
しかしながら、商標法第2条第3項第8号は、「商標の広告的使用」を定義したものであるところ、それは、取引書類でいえば、書式中に定型的に表示された企業名、企業ロゴ、商品ブランド等の使用をいうのが相当であって(例えば、FAX送信状の下部に付された企業ロゴの使用)、本件領収書のように企業の担当者間の領収書において個別の商品を示すために記載された文字のみをもって直ちに同号にいう標章の使用であるというのは相当ではない。
また、商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品そのものに付せられて使用されていることは必要でないが、その商品との具体的関係において使用されていなければならないところ(最高裁昭和42年(行ツ)第32号 同43年2月9日第二小法廷)、本件領収書に記載された商品について、被請求人が提出した全ての証拠を参照しても、本件商標が具体的にどのように使用されたのかが不明であって、実際に本件商標を付した商品が譲渡や引き渡しされたこと、商品の取引に当たって本件商標を付した広告が提供されたこと等、その具体的な商標の使用事実を裏付けることができないから、本件領収書によって本件商標の使用があるとすることはできない。
したがって、被請求人のかかる主張は採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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