2021-018125
内蔵物体の状態確認装置、動作確認装置および内蔵物体の状態確認方法
- 審判番号
- 2021-018125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-549109外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年12月27日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G05B) / P18 .537-WZ (G05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、2017年(平成29年)11月7日を国際出願日(優先権主張 平成28年11月7日)とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 令和5年2月6日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年2月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵している物体のうち、前記対象物が内蔵されている部分の外部表面に対応して配置され、前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の1つ以上の物理的情報を前記物体の部分の外部表面と非接触状態で取得する情報取得手段と、前記取得された1つ以上の物理的情報に基づいて前記物体に内蔵された前記対象物の状態を前記物体の外部において判定する状態判定手段と、を備え、前記状態判定手段は、前記対象物の状態が異常状態であるか否かを判定する異常判定手段を有し、続きを表示(全62行)前記物体の部分の外部表面に、前記対象物の状態に応じて色が変化するクロミック部材が設けられ、前記情報取得手段は、前記対象物に直接設けられるセンサを用いずに、前記クロミック部材の撮像画像の色に基づいて、前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報を前記物体の外側で取得し、前記物体は、少なくとも一つの回動軸を前記物体の部分として含む、内蔵物体の状態確認装置。【請求項2】前記情報取得手段は、複数の物理的情報を取得し、前記状態判定手段は、前記取得された複数の物理的情報に基づいて前記対象物の状態を判定する請求項1に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項3】前記異常判定手段は、前記対象物の状態が、前記取得された複数の物理的情報と、当該複数の物理的情報のそれぞれに対応する異常判定閾値とを比較した結果と、前記取得された複数の物理的情報の組合せと、当該複数の物理的情報の組合せに対応する異常判定閾値の組合せとを比較した結果と、の少なくともいずれか一方に基づいて前記対象物の状態が異常状態であるか否かを判定する請求項1または2に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項4】前記状態判定手段は、前記対象物の状態が所定期間内に故障する状態であるか否かを判定する故障予知手段を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項5】前記故障予知手段は、前記対象物の状態が、前記取得された複数の物理的情報と当該複数の物理的情報のそれぞれに対応する故障予知判定閾値とを比較した結果、または前記取得された複数の物理的情報の組合せと当該複数の物理的情報の組合せに対応する故障予知判定閾値の組合せとを比較した結果、の少なくともいずれか一方に基づいて前記所定期間内に故障する状態であるか否かを判定する請求項4に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項6】前記状態判定手段は、前記取得した物理的情報に基づいて内蔵物体の状態を判定した結果である履歴情報から生成された状態判定モデルに基づいて所定期間内に故障する状態であるか否かを判定する故障予知手段を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項7】前記状態判定モデルは、前記内蔵物体が故障に至ったときの前記履歴情報から生成された故障状態モデルと、前記内蔵物体が故障に至らなかったときの前記履歴情報から正常状態モデルの二つからなり、前記故障予知手段は、前記対象物の状態が正常状態モデルよりも故障状態モデルに類似しているときに前記所定期間内に故障する状態であると判定する請求項6に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項8】前記物体の部分の外部表面の前記物理的情報は、前記物体の部分の外部表面の温度、位置、ひずみ、変位、振動、色相、明度、彩度、水分量、油分量および音波や超音波や赤外光その他光の反射率の少なくとも一つを含む請求項1に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項9】前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報は、前記物体の部分の外部表面で検出される音響、におい、超音波、電磁波、放射線および排出物の少なくとも一つを含む請求項1~7のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項10】前記クロミック部材は、温度に応じて色が変化するサーモクロミック部材であり、前記情報取得手段は、前記サーモクロミック部材の撮像画像に基づいて、前記物体の部分の外部表面の温度を取得する請求項1に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項11】前記情報取得手段は、前記物体の表面の少なくとも一部を拡大して撮像する拡大撮像機能を有する請求項10に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項12】前記情報取得手段を駆動して撮像範囲を変更する駆動手段を更に備える請求項10または11に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項13】前記情報取得手段は、前記物体の表面上のそれぞれ異なる箇所を撮像する複数のカメラを有する請求項10~12のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項14】前記複数のカメラは、前記物体を取り囲むように配置されている請求項13に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項15】前記情報取得手段は、カメラを搭載した無人機と、前記カメラで前記物体の表面を撮像する無人機制御手段とを有する請求項10~12のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項16】前記情報取得手段は、広角または全方位を撮像可能な光学系を有する請求項10~15のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項17】前記情報取得手段は、前記撮像画像に基づいて前記物体の表面の少なくとも一部の三次元形状を取得し、前記取得された三次元形状に基づいて前記物理的情報を取得する請求項10~16のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項18】前記情報取得手段は、前記物体の表面から離隔して配置され、少なくとも前記物体の上方に配置されている請求項10~17のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項19】前記状態判定手段は、前記物体の施工又は設置時の状態を基準として、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっているか否かを判定する請求項1~18のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項20】前記物体は動作を伴うものであり、前記状態判定手段は、前記物体の動作開始時の状態を基準として、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっているか否かを判定する請求項1~19のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項21】前記状態判定手段は、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態にあるときの物理的情報として予め取得された第1の物理的情報と、前記情報取得手段で随時取得される第2の物理的情報とが一致する場合に、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっていると判定する請求項1~20のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項22】前記物体は、前記少なくとも一つの回動軸を有する産業用ロボットであり、前記対象物は、前記回動軸に内蔵された減速機であり、前記情報取得手段は、前記回動軸の表面の物理的情報を取得する請求項1~21のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項23】コンピュータ上の仮想空間内で状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵した物体の動作を確認する動作確認装置であって、請求項1~22のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置で取得された前記対象物の状態を前記物体の状態に関する情報として入力する、物体の動作確認装置。【請求項24】状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵した物体のうち、前記対象物が内蔵されている部分の外部表面に対応して配置された情報取得手段により、前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の少なくとも1つの物理的情報を前記物体の部分の外部表面と非接触状態で取得し、前記取得された物理的情報に基づいて前記物体に内蔵された前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっているか否かを前記物体の外部において判定し、前記物体の部分の外部表面に、前記対象物の状態に応じて色が変化するクロミック部材が設けられ、前記情報取得手段により、前記対象物に直接設けられるセンサを用いずに、前記クロミック部材の撮像画像の色に基づいて、前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報を前記物体の外側で取得し、前記物体は、少なくとも一つの回動軸を前記物体の部分として含む、物体の状態確認方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年10月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵している物体のうち、前記対象物が内蔵されている部分の外部表面に対応して配置され、前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の1つ以上の物理的情報を前記物体の部分の外部表面と非接触状態で取得する情報取得手段と、前記取得された1つ以上の物理的情報に基づいて前記物体に内蔵された前記対象物の状態を前記物体の外部において判定する状態判定手段と、を備え、前記状態判定手段は、前記対象物の状態が異常状態であるか否かを判定する異常判定手段を有し、続きを表示(全62行)前記物体の部分の外部表面に、前記対象物の状態に応じて色が変化するクロミック部材が設けられ、前記情報取得手段は、前記クロミック部材の撮像画像に基づいて、前記物体の部分の外部表面の温度を前記物理的情報として取得し、前記物体は、少なくとも一つの回動軸を前記物体の部分として含む、内蔵物体の状態確認装置。【請求項2】前記情報取得手段は、複数の物理的情報を取得し、前記状態判定手段は、前記取得された複数の物理的情報に基づいて前記対象物の状態を判定する請求項1に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項3】前記異常判定手段は、前記対象物の状態が、前記取得された複数の物理的情報と、当該複数の物理的情報のそれぞれに対応する異常判定閾値とを比較した結果と、前記取得された複数の物理的情報の組合せと、当該複数の物理的情報の組合せに対応する異常判定閾値の組合せとを比較した結果と、の少なくともいずれか一方に基づいて前記対象物の状態が異常状態であるか否かを判定する請求項1または2に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項4】前記状態判定手段は、前記対象物の状態が所定期間内に故障する状態であるか否かを判定する故障予知手段を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項5】前記故障予知手段は、前記対象物の状態が、前記取得された複数の物理的情報と当該複数の物理的情報のそれぞれに対応する故障予知判定閾値とを比較した結果、または前記取得された複数の物理的情報の組合せと当該複数の物理的情報の組合せに対応する故障予知判定閾値の組合せとを比較した結果、の少なくともいずれか一方に基づいて前記所定期間内に故障する状態であるか否かを判定する請求項4に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項6】前記状態判定手段は、前記取得した物理的情報に基づいて内蔵物体の状態を判定した結果である履歴情報から生成された状態判定モデルに基づいて所定期間内に故障する状態であるか否かを判定する故障予知手段を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項7】前記状態判定モデルは、前記内蔵物体が故障に至ったときの前記履歴情報から生成された故障状態モデルと、前記内蔵物体が故障に至らなかったときの前記履歴情報から正常状態モデルの二つからなり、前記故障予知手段は、前記対象物の状態が正常状態モデルよりも故障状態モデルに類似しているときに前記所定期間内に故障する状態であると判定する請求項6に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項8】前記物体の部分の外部表面の前記物理的情報は、前記物体の部分の外部表面の温度、位置、ひずみ、変位、振動、色相、明度、彩度、水分量、油分量および音波や超音波や赤外光その他光の反射率の少なくとも一つを含む請求項1に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項9】前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報は、前記物体の部分の外部表面で検出される音響、におい、超音波、電磁波、放射線および排出物の少なくとも一つを含む請求項1~7のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項10】前記クロミック部材は、温度に応じて色が変化するサーモクロミック部材であり、前記情報取得手段は、前記サーモクロミック部材の撮像画像に基づいて、前記物体の部分の外部表面の温度を取得する請求項1に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項11】前記情報取得手段は、前記物体の表面の少なくとも一部を拡大して撮像する拡大撮像機能を有する請求項10に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項12】前記情報取得手段を駆動して撮像範囲を変更する駆動手段を更に備える請求項10または11に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項13】前記情報取得手段は、前記物体の表面上のそれぞれ異なる箇所を撮像する複数のカメラを有する請求項10~12のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項14】前記複数のカメラは、前記物体を取り囲むように配置されている請求項13に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項15】前記情報取得手段は、カメラを搭載した無人機と、前記カメラで前記物体の表面を撮像する無人機制御手段とを有する請求項10~12のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項16】前記情報取得手段は、広角または全方位を撮像可能な光学系を有する請求項10~15のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項17】前記情報取得手段は、前記撮像画像に基づいて前記物体の表面の少なくとも一部の三次元形状を取得し、前記取得された三次元形状に基づいて前記物理的情報を取得する請求項10~16のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項18】前記情報取得手段は、前記物体の表面から離隔して配置され、少なくとも前記物体の上方に配置されている請求項10~17のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項19】前記状態判定手段は、前記物体の施工又は設置時の状態を基準として、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっているか否かを判定する請求項1~18のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項20】前記物体は動作を伴うものであり、前記状態判定手段は、前記物体の動作開始時の状態を基準として、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっているか否かを判定する請求項1~19のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項21】前記状態判定手段は、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態にあるときの物理的情報として予め取得された第1の物理的情報と、前記情報取得手段で随時取得される第2の物理的情報とが一致する場合に、前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっていると判定する請求項1~20のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項22】前記物体は、前記少なくとも一つの回動軸を有する産業用ロボットであり、前記対象物は、前記回動軸に内蔵された減速機であり、前記情報取得手段は、前記回動軸の表面の物理的情報を取得する請求項1~21のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置。【請求項23】コンピュータ上の仮想空間内で状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵した物体の動作を確認する動作確認装置であって、請求項1~22のいずれか1項に記載の内蔵物体の状態確認装置で取得された前記対象物の状態を前記物体の状態に関する情報として入力する、物体の動作確認装置。【請求項24】状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵した物体のうち、前記対象物が内蔵されている部分の外部表面に対応して配置された情報取得手段により、前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の少なくとも1つの物理的情報を前記物体の部分の外部表面と非接触状態で取得し、前記取得された物理的情報に基づいて前記物体に内蔵された前記対象物が異常状態または所定期間内に故障する状態になっているか否かを前記物体の外部において判定し、前記物体の部分の外部表面に、前記対象物の状態に応じて色が変化するクロミック部材が設けられ、前記情報取得手段により、前記クロミック部材の撮像画像に基づいて、前記物体の部分の外部表面の温度を前記物理的情報として取得し、前記物体は、少なくとも一つの回動軸を前記物体の部分として含む、物体の状態確認方法。」
2 補正の適否
(1)目的外補正について
ア 目的外補正の検討
事案に鑑みて、請求項24に関する補正について検討する。
本件補正のうち請求項24に関する補正は、情報取得手段に関し、補正前の「前記情報取得手段により、前記クロミック部材の撮像画像に基づいて、前記物体の部分の外部表面の温度を前記物理的情報として取得し、」の発明特定事項を、「前記情報取得手段により、前記対象物に直接設けられるセンサを用いずに、前記クロミック部材の撮像画像の色に基づいて、前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報を前記物体の外側で取得し、」とするものである。
ここで、上記補正前の発明特定事項、及び当該発明特定事項を含む本件補正前の請求項24の記載は明瞭であり、本件補正前の請求項24に対して、特許法第36条に基づく拒絶理由を通知していないから、上記発明特定事項に対する補正は、同法第17条の2第5項第4号の明瞭でない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的としたものに該当しない。
また、請求項24に関する補正には、情報取得手段により取得する対象を、「前記物体の部分の外表面の温度」から「前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報」に変更する補正(以下「補正事項」という。)が含まれているところ、「物理的情報」が「温度」を包含する概念(温度以外の情報も含むもの)であることは明らかであるから、上記補正事項により、情報取得手段で取得する対象は、「前記物体の部分の外表面の温度」から「前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報」に上位概念化されているといえる。したがって、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第1号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当しない。
さらに、上記補正事項が、特許法第17条の2第5項第2号の請求項の削除、及び同項第4号の誤記の訂正のいずれを目的としたものに該当しないことは明らかである。
したがって、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的としたものに該当しないから、特許法第17条の2第5項の規定を満たしていない。
なお、請求項24の方法の発明に対応した装置の発明である請求項1についても同様の補正がなされているところ、請求項1についての補正も、上記と同様に、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的としたものに該当しないから、特許法第17条の2第5項の規定を満たしていないものである。
イ 審判請求人の主張
審判請求人は、令和5年2月6日提出の意見書(第2ページ第2~3行)において、本件補正は、明瞭でない記載の釈明、及び特許請求の範囲の減縮を目的としたものである旨主張している。
しかしながら、上記アのとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的としたものにも該当しないから、審判請求人の上記主張は採用できない。
ウ 目的外補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
(2)独立特許要件について
上記(1)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的としたものに該当せず却下すべきものであるが、仮に上記補正事項を含む本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当すると仮定して、請求項24の補正事項と同様の事項を含む本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、予備的に検討する。
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)の請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものである。
イ 引用文献の記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア)引用文献1
a 令和4年12月7日付け拒絶理由通知書で引用された特開2016-173110号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。)。
(a)「【0010】(ロボット制御システムの構成)本発明の潤滑油供給装置50を、アーク溶接を行うロボット制御システムに適用した実施形態を説明する。先ず、多関節型ロボットR(以下、ロボットRと略記する。)の概略構成について説明する。」
(b)「【0016】図2に示すように、第1歯車43の径方向外側(図2において左右方向右側)には、外周に複数の歯を有する略円盤状の第2歯車44が配置されている。第2歯車44は、回転中心が第3回転軸心J3と平行となるように配置されているとともに、第3回転軸心J3の方向において第1歯車43と同一の位置に配置されている。第2歯車44の径は、第1歯車43の径よりも小さくなっている。そして、第2歯車44の外周の歯部が第1歯車43の外周の歯部と噛合している。本実施形態では、第1歯車43及び第2歯車44が減速歯車部を構成する。」
(c)「【0020】本実施形態において、サーボモータ33が駆動して出力軸34が回転すると、第2歯車44が回転しつつ第1歯車43の周りを転動する。このとき、減速機構40の歯車ハウジング45も第3回転軸心J3を中心として回転する。したがって、歯車ハウジング45に固定されている第2アームC4も第3回転軸心J3を中心として回転する。また、第2歯車44の径よりも第1歯車43の径の方が大きくなっているため、第2歯車44の回転数よりも、第2歯車44が第1歯車43の周りを転動する回転数の方が小さい、したがって、第2アームC4は、サーボモータ33の出力軸34の回転速度を、第1歯車43及び第2歯車44の径の比で減速した所定の回転速度でもって旋回する。【0021】図2に示すように、減速機構40は、本体部41、歯車ハウジング45、第2アームC4の第2ハウジング21及びモータ載置部31によって区画形成された内部空間40aを有する。なお、この内部空間40aは密閉された空間であることが好ましいが、潤滑油の過度な漏れ等が生じないのであれば必ずしも密閉された空間である必要はない。歯車ハウジング45には、内部空間40aに潤滑油を供給するための図示しない供給口、及び外部に潤滑油を排出するための図示しない排出口がそれぞれ設けられている。また、減速機構40の内部空間40aには、当該内部空間40aの内部温度Tを測定する温度検出部としての温度センサ46が設けられている。本実施形態では、温度センサ46は、モータ載置部31の第1アームC3側の面に固定されている。そして、モータ載置部31に形成された図示しない孔を介してモータ載置部31のサーボモータ33が搭載されている側に温度センサ46の信号線が引き出されている。温度センサ46は、測定した内部温度Tを示す温度検出信号S4を、当該信号線を介して出力する。なお、温度センサ46としては、例えば熱電対センサ等が採用できる。」
(d)「【0026】図1に示すように、ロボットRの基台C1には、通信ケーブル(図1では破線で図示)を介してロボット制御装置RCが接続されている。ロボット制御装置RCの主制御部71は、各種のプログラムを実行する中央演算装置72(CPU)、各プログラムの実行に際してデータが一時的に格納される揮発性のメモリ73、処理に必要なプログラムや各種のデータ等が格納される不揮発性の記憶部74などを有するコンピュータとして構成されている。」
(e)「【0030】図1に示すように、主制御部71の記憶部74には、平均駆動トルクNavに関するしきい値Nxが記憶されている。しきい値Nxとしては、ロボットRの通常運転下において第2アームC4を単位角度旋回動作させた際、駆動トルクとして取り得る上限値が設定されている。なお、ロボットRの通常運転とは、例えば、減速機構40の内部空間40aに必要十分量の潤滑油が供給されており、且つ、その潤滑油の温度が適切に潤滑性を発揮できる許容温度範囲である状態である。また、記憶部74には、第1基準温度としての低温側基準温度TL、及び第2基準温度としての高温側基準温度THが記憶されている。低温側基準温度TLは、その温度未満では減速機構40の内部空間40aに供給される潤滑油の粘度が一定値以上となるために潤滑油の昇温が必要な温度(例えば0~10℃)として定められている。高温側基準温度THは、減速機構40の第1歯車43及び第2歯車44等への潤滑油の供給が不足していて焼きつきが起こりつつある温度(例えば60~80℃)として定められている。」
(f)「【0034】ステップST11では、主制御部71は、減速機構40の内部温度Tと高温側基準温度THとを比較して、内部温度Tが高温側基準温度TH以上であるか否かを判断する。内部温度Tが高温側基準温度TH以上である場合(ステップST11においてYES)、主制御部71の処理は、ステップST12に移行する。【0035】ステップST12では、主制御部71は、減速機構40の内部空間40aに供給される潤滑油の供給量を増加させる制御を行う。具体的には、主制御部71は、潤滑油供給装置50における供給弁59に対して供給制御信号S5を一定時間出力する。このときの供給制御信号S5は、供給弁59の開度を初期状態の開度よりも大きく設定したものである。なお、このとき排出弁52の開度は初期状態の開度のままである。したがって、ステップST12の処理が実行されると、減速機構40の内部空間40aに存在する潤滑油の量は増加する。一定時間が経過して、供給弁59の開度が初期状態の開度に戻されると、主制御部71の処理は、ステップST13に移行する。続きを表示(全16行)【0036】ステップST13では、主制御部71は、減速機構40の内部温度Tと高温側基準温度THとを比較して、内部温度Tが高温側基準温度TH未満であるか否かを判断する。内部温度Tが高温側基準温度TH未満である場合(ステップST13においてYES)、潤滑油の供給制御の処理が一旦終了し、再びステップST10の処理が実行される。一方、依然として、内部温度Tが高温側基準温度TH以上である場合(ステップST13においてNO)、主制御部71の処理は、ステップST14に移行する。【0037】ステップST14では、主制御部71は、潤滑油の供給や排出を制御するのみでは減速機構40の内部温度Tを適切に低下させることができないと判断して、警告灯76及びブザー77にエラー信号S3を出力する。エラー信号S3を受けた警告灯76は所定期間点灯し、エラー信号S3を受けたブザー77は、所定期間警告音を発する。所定期間が経過した後、潤滑油の供給制御の処理が一旦終了し、再びステップST10の処理が実行される。【0038】一方、ステップST11において、内部温度Tが高温側基準温度TH未満であると判断された場合(ステップST11においてNO)、主制御部71の処理は、ステップST21に移行する。ステップST21では、減速機構40の内部温度Tと低温側基準温度TLとを比較して、内部温度Tが低温側基準温度TL未満であるか否かを判断する。内部温度Tが低温側基準温度TL未満である場合(ステップST21においてYES)、主制御部71の処理は、ステップST22に移行する。【0039】ステップST22では、主制御部71は、電熱ヒータ60をオンに切り換える。このとき、潤滑油供給装置50の供給弁59の開度は初期状態のままであり、減速機構40の内部空間40aには、一定量ずつの潤滑油が供給されている。したがって、電熱ヒータ60をオンにすることにより温められた潤滑油が減速機構40の内部空間40aに供給されるようになる。この処理の後、主制御部71の処理は、ステップST23に移行する。【0040】ステップST23では、主制御部71は、減速機構40の内部温度Tが低温側基準温度TL以上になったか否かを判断する。減速機構40の内部温度Tが依然として低温側基準温度TL未満である場合(ステップST23においてNO)、主制御部71は、内部温度Tが低温側基準温度TL以上になるのを待機する。内部温度Tが低温側基準温度TL以上である場合(ステップST23においてYES)、主制御部71の処理はステップST24に移行し、主制御部71は、電熱ヒータ60をオフに切り換える。その後、潤滑油の供給制御の処理が一旦終了し、再びステップST10の処理が実行される。【0041】一方、ステップST21において、内部温度Tが低温側基準温度TL以上であると判断された場合(ステップST21においてNO)、主制御部71の処理は、ステップST31に移行する。ステップST31では、主制御部71は、減速機構40の内部空間40aから排出される潤滑油の排出量を増加させる制御を行う。具体的には、主制御部71は、潤滑油供給装置50における排出弁52に対して排出制御信号S6を一定時間出力する。このときの排出制御信号S6は、排出弁52の開度を初期状態の開度よりも大きく設定したものである。なお、このとき、供給弁59の開度は初期状態の開度のままである。したがって、ステップST31の処理が実行されると、減速機構40の内部空間40aに存在する潤滑油の量は減少する。一定時間が経過して、排出弁52の開度が初期状態の開度に戻されると、主制御部71の処理は、ステップST32に移行する。」
(g)「【0059】・ 上記実施形態では、減速機構40の内部空間40aに温度センサ46を設けたが、その他の場所に温度センサ46を設けてもよい。例えば、歯車ハウジング45の外面、第1アームC3における第1ハウジング11内、第2アームC4における第2ハウジング21内は、減速機構40の内部空間40aの温度の影響を受ける。したがって、これらの箇所に温度センサ46を設けて温度を測定することにより、減速機構40の内部空間40aの温度を推測できる。なお、このような場合でも、温度センサ46は、減速機構40の内部空間40aの温度を間接的に測定していると言える。」
(h)「【図1】[図:0001397649000001.jpg]」
(i)「【図2】[図:0001397649000002.jpg]」
b 上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
(a)上記a(a)~(c)の段落【0010】、【0016】、及び【0021】の記載、並びに上記a(h)~(i)の図1~2から、多関節型ロボットRは、減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44が配置され、潤滑油が供給される密閉された内部空間40aを有するものであることが理解できる。
また、上記a(c)、(g)の段落【0021】、及び【0059】の記載から、温度センサ46は内部空間40a以外の場所に設けられてもよいものであって、内部空間40aを区画形成する歯車ハウジング45の外面に設けられ、歯車ハウジング45の外面の温度を測定することにより、減速機構40の内部空間40aの温度を推測するもの(間接的に減速機構40の内部空間40aの温度を測定するもの)であることが理解できる。
さらに、上記a(h)~(i)の図1~2から、歯車ハウジング45は、多関節ロボットRを構成することが看取される。
以上のことから、温度センサ46は、減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44が配置され、潤滑油が供給される密閉された内部空間40aを有する多関節型ロボットRのうち、内部空間40aを区画形成する歯車ハウジング45の外面に設けられ、多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度を測定するものであることが理解できる。
(b)上記a(d)の段落【0026】の記載、及び図1から、主制御部71を有するロボット制御装置RCは、多関節型ロボットRと通信ケーブルを介して接続されているものであることが理解できる。
また、上記a(e)~(f)の段落【0030】、【0034】~【0041】の記載、及び上記b(a)から、主制御部71は、歯車ハウジング45の外面の温度(から推測される内部空間40aの温度)と高温側基準温度THとを比較して、第1歯車43及び第2歯車44への潤滑油の供給が不足していて焼きつきが起こりつつある温度か否かを判断するとともに、歯車ハウジング45の外面の温度(から推測される内部空間40aの温度)と低温側基準温度TLとを比較して、潤滑油の昇温が必要な温度か否かを判断するものであることが理解できる。
(c)上記b(a)で示したように、温度センサ46は、歯車ハウジング45の外面に設けられ、歯車ハウジング45の外面の温度を測定することにより、減速機構40の内部空間40aの温度を推測していることから、温度センサ46が、歯車ハウジング45によって区画形成される内部空間40aに存在する、減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44、並びに潤滑油に対して直接設けられたセンサでないことは明らかである。
また、上記a(h)~(i)の図1~2から、歯車ハウジング45の外面は、多関節型ロボットRの外側(露出した部分)であることが看取される。
以上のことから、温度センサ46は、減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44並びに潤滑油に直接設けられるセンサを用いずに、多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度を多関節型ロボットRの外側で測定することによって、減速機構40の内部空間40aの温度を間接的に測定するものであることが理解できる。
(d)上記a(c)の段落【0020】の記載、及び図1~2から、多関節型ロボットRには、第3回転軸心J3を中心として回転する多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45が設けられていることが理解できる。
c 上記a~bから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44が配置され、潤滑油が供給される密閉された内部空間40aを有する多関節型ロボットRのうち、内部空間40aを区画形成する歯車ハウジング45の外面に設けられ、多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度を測定する温度センサ46と、歯車ハウジング45の外面の温度から推測される内部空間40aの温度と高温側基準温度THとを比較して、第1歯車43及び第2歯車44への潤滑油の供給が不足していて焼きつきが起こりつつある温度か否かを判断するとともに、歯車ハウジング45の外面の温度から推測される内部空間40aの温度と低温側基準温度TLとを比較して、潤滑油の昇温が必要な温度か否かを判断する主制御部71を有するロボット制御装置RCであって、多関節型ロボットRと通信ケーブルを介して接続されたロボット制御装置RCと、を備え、温度センサ46は、減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44並びに潤滑油に直接設けられるセンサを用いずに、多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度を多関節型ロボットRの外側で測定し、多関節型ロボットRには、第3回転軸心J3を中心として回転する多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45が設けられている、温度センサ46及びロボット制御装置RC。」
(イ)引用文献2
a 令和4年12月7日付け拒絶理由通知書で引用された特開2007-25950号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。)。
(a)「【0042】また、例えば、図6に示すように、冷却水の流通する冷却配管120が接続された機器100のその配管120内の冷却水温度を監視する場合には、温度に応じて検出箇所41aが変色する、所謂、サーモシール41をその配管120の外面に貼付するとともに、その配管120の一部の外観全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。【0043】そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の配管120のサーモシール41の領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、そのサーモシール41の温度変化による変色に応じたトーン(色調)の変化の有無に応じて配管120内の冷却水の温度異常、言い換えると、機器100が異常に温度上昇した非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。【0044】以降同様に、PC12は、配管120内の冷却水の温度変化、例えば、温度上昇により変色するサーモシール41の検出箇所41aの画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、配管120のサーモシール41の注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常な温度上昇により変色したサーモシール41の検出箇所41aが現れたときに、監視対象の配管120内の冷却水が異常に温度上昇する非定常動作状態にあると判断することができる。また、PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と配管120内の冷却水の温度上昇を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。【0045】これにより、監視対象の配管120にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(配管120のサーモシール41の変色)からその配管120内の冷却水に異常な温度上昇(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その温度上昇異常を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、サーモシール41の変色スピードなどを確認して対策を検討することができる。なお、サーモシール41は、検出箇所41aの変色温度を異ならせることにより温度変化を段階的に検出することができ、温度変化のスピードをより正確に把握したり、検出する異常温度を危険/注意などと段階別にすることもできる。」
(b)「【図6】[図:0001397649000003.jpg]」
b 上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
(a)上記a(a)の段落【0042】の記載から、冷却水の温度に応じて変色するサーモシール41は、冷却配管120の冷却水が流通する部分の外面に貼付けられていることが、それぞれ理解できる。
(b)上記a(a)の段落【0042】、【0045】の記載、及び上記b(a)から、監視カメラ11は、サーモシール41の撮影画像の色から、冷却配管120の冷却水が流通する部分の外面の温度を、冷却配管120の冷却水が流通する部分の外面と非接触状態で検出するものであることが理解できる。
c 上記a~bから、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「冷却配管120の冷却水が流通する部分の外面に、冷却水の温度に応じて変色するサーモシール41が貼付けられ、監視カメラ11は、サーモシール41の撮影画像の色から、冷却配管120の冷却水が流通する部分の外面の温度を、冷却配管120の冷却水が流通する部分の外面と非接触状態で検出すること。」
ウ 本件補正発明と引用発明との対比
(ア)本件補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44」並びに「潤滑油」は、本件補正発明の「対象物」に相当し、同様に、「多関節型ロボットR」は「物体」に相当する。
また、引用発明の「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44」が配置され、「潤滑油」が供給される内部空間40aは、密閉されていることから、「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44」並びに「潤滑油」の状態が、外部から直接確認できないことは明らかである。
したがって、引用発明の「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44が配置され、潤滑油が供給される密閉された内部空間40aを有する多関節型ロボットR」は、本件補正発明の「状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵している物体」に相当する。
b 引用発明の「歯車ハウジング45」は、「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44」が配置され、「潤滑油」が供給される内部空間40aを区画形成するものであるから、本件補正発明の「前記対象物が内蔵されている部分」に相当し、引用発明の「歯車ハウジング45の外面」は、本件補正発明の「前記対象物が内蔵されている部分の外部表面」に相当する。
また、引用発明の「多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度」は、本件補正発明の「前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の1つ以上の物理的情報」に相当する。
そして、引用発明の「温度センサ46」は、内部空間40aを区画形成する歯車ハウジング45の外面に設けられ、歯車ハウジング45の外面の温度を測定するものであって、歯車ハウジング45の外面に接触状態で設けられると理解されることから、引用発明の「内部空間40aを区画形成する歯車ハウジング45の外面に設けられ、多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度を測定する温度センサ46」は、本件補正発明の「前記対象物が内蔵されている部分の外部表面に対応して配置され、前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の1つ以上の物理的情報を前記物体の部分の外部表面と非接触状態で取得する情報取得手段」と、「前記対象物が内蔵されている部分の外部表面に対応して配置され、前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の1つ以上の物理的情報を前記物体の部分の外部表面で取得する情報取得手段」という点に限り一致する。
c 引用発明の「主制御部71」は、「歯車ハウジング45の外面の温度から推測される内部空間40aの温度」によって、「第1歯車43及び第2歯車44」に「焼きつきが起こりつつある」状態であるか否かや、「潤滑油」に「昇温」が必要な状態であるか否かを判断することから、引用発明の「歯車ハウジング45の外面の温度から推測される内部空間40aの温度と高温側基準温度THとを比較して、第1歯車43及び第2歯車44への潤滑油の供給が不足していて焼きつきが起こりつつある温度か否かを判断するとともに、歯車ハウジング45の外面の温度から推測される内部空間40aの温度と低温側基準温度TLとを比較して、潤滑油の昇温が必要な温度か否かを判断する主制御部71」は、本件補正発明の「前記取得された1つ以上の物理的情報に基づいて前記物体に内蔵された前記対象物の状態」が「異常状態であるか否かを判定する」「異常判定手段」に相当する。
そして、引用発明の「ロボット制御装置RC」は、主制御部71を有し、多関節型ロボットRと通信ケーブルを介して接続されるものであるから、本件補正発明の「状態判定手段」に相当する。
したがって、引用発明の「歯車ハウジング45の外面の温度から推測される内部空間40aの温度と高温側基準温度THとを比較して、第1歯車43及び第2歯車44への潤滑油の供給が不足していて焼きつきが起こりつつある温度か否かを判断するとともに、歯車ハウジング45の外面の温度から推測される内部空間40aの温度と低温側基準温度TLとを比較して、潤滑油の昇温が必要な温度か否かを判断する主制御部71を有するロボット制御装置RCであって、多関節型ロボットRと通信ケーブルを介して接続されたロボット制御装置RC」「を備」えることは、本件補正発明の「前記取得された1つ以上の物理的情報に基づいて前記物体に内蔵された前記対象物の状態を前記物体の外部において判定する状態判定手段」「を備え、前記状態判定手段は、前記対象物の状態が異常状態であるか否かを判定する異常判定手段を有」することに相当する。
d 引用発明の「温度センサ46は、減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44並びに潤滑油に直接設けられるセンサを用いずに、多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度を多関節型ロボットRの外側で測定」することは、本件補正発明の「前記情報取得手段は、前記対象物に直接設けられるセンサを用いずに、前記クロミック部材の撮像画像の色に基づいて、前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報を前記物体の外側で取得」することと、「前記情報取得手段は、前記対象物に直接設けられるセンサを用いずに、前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報を前記物体の外側で取得」する点に限り一致する。
e 引用発明の「歯車ハウジング45」は、第3回転軸心J3を中心として回転することから、引用発明の「多関節型ロボットRには、第3回転軸心J3を中心として回転する多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45が設けられている」ことは、本件補正発明の「前記物体は、少なくとも一つの回動軸を前記物体の部分として含む」ことに相当する。
f 引用発明の「温度センサ46及びロボット制御装置RC」は、多関節型ロボットRの第1歯車43及び第2歯車44への潤滑油の供給が不足していて焼きつきが起こりつつある温度か否かを判断するとともに、潤滑油の昇温が必要な温度か否かを判断するものであることから、本件補正発明の「内蔵物体の状態確認装置」に相当する。
(イ)以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点、及び相違点は、次のとおりである。
a 一致点
「状態を外部から直接確認できない対象物を内蔵している物体のうち、前記対象物が内蔵されている部分の外部表面に対応して配置され、前記物体の前記部分の外部表面に現れる前記物体の1つ以上の物理的情報を前記物体の部分の外部表面で取得する情報取得手段と、前記取得された1つ以上の物理的情報に基づいて前記物体に内蔵された前記対象物の状態を前記物体の外部において判定する状態判定手段と、を備え、前記状態判定手段は、前記対象物の状態が異常状態であるか否かを判定する異常判定手段を有し、前記情報取得手段は、前記対象物に直接設けられるセンサを用いずに、前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報を前記物体の外側で取得し、前記物体は、少なくとも一つの回動軸を前記物体の部分として含む、内蔵物体の状態確認装置。」
b 相違点
本件補正発明は、「前記物体の部分の外部表面に、前記対象物の状態に応じて色が変化するクロミック部材が設けられ、」前記情報取得手段は、「前記クロミック部材の撮像画像の色に基づいて、」前記物体の部分の外部表面に現れる前記物理的情報を「前記物体の部分の外部表面と非接触状態で」取得するのに対し、引用発明は、多関節型ロボットR(物体)を構成する歯車ハウジング45(部分)の外面(外部表面)に設けられた温度センサ46(情報取得手段)により、多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45の外面の温度(物理的情報)を測定する点。
エ 判断
上記相違点について検討する。
(ア)引用文献2記載の技術的事項は、上記イ(イ)cのとおりであるところ、「冷却配管120」は、本件補正発明の「物体」に相当し、以下同様に、「冷却水が流通する部分」は「部分」に、「外面」は「外部表面」に、「冷却水」は「対象物」に、「温度に応じて変色するサーモシール41が貼付けられ」ることは、「状態に応じて色が変化するクロミック部材が設けられ」ることに、「監視カメラ11」は、「情報取得手段」に、「撮影画像」は「撮像画像」に、「色から」「外面の温度」を「非接触状態で検出する」ことは「色に基づいて」「外部表面に現れる物理的情報」を「非接触状態で取得する」ことにそれぞれ相当する。
そうすると、引用文献2記載の技術的事項は、本件補正発明の用語を用いれば、次の相違点に係る発明特定事項を備えるものであるといえる。
「物体の部分の外部表面に、対象物の状態に応じて色が変化するクロミック部材が設けられ、情報取得手段は、前記クロミック部材の撮像画像の色に基づいて、前記物体の部分の外部表面に現れる物理的情報を、前記物体の部分の外部表面と非接触状態で取得すること。」
(イ)引用発明と引用文献2記載の技術的事項は、物体の対象物が内蔵されている部分の内部に温度センサを配置して直接測定することなく、外部表面の温度を取得することで内部の状態を推定するという作用・機能が共通している。
してみると、物体の対象物が内蔵されている部分の外部表面の温度を取得するための構成として、引用発明の温度センサ46に代えて、引用文献2記載の技術的事項を採用し、上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明、及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
オ 審判請求人の主張
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア)審判請求人の主張の概要
審判請求人は、令和5年2月6日提出の意見書において、概ね次の主張をしている。
a 主張1(意見書3ページ下から20~2行)
引用文献1の温度センサ46は、本件補正発明の対象物に対応する「減速機構40」に直接設けられたセンサ、又は、本件補正発明の物体に対応する「多関節型ロボットR」の内側で温度を取得するセンサと解されることから、引用文献1には、「減速機構40」に直接設けられるセンサを用いずに、「歯車ハウジング45」の外部表面に現れる温度を「多関節型ロボットR」の外側で取得する情報取得手段は記載も示唆もされていない。
b 主張2(意見書3ページ下1行~4ページ26行)
引用文献2の構成は、物体の具体的構成及び対象物の占有範囲が異なり、また、引用文献1と引用文献2は、センサの配置の有無において相反する技術を開示していることから、引用文献1と引用文献2を組み合わせることは技術的に困難である。
(イ)審判請求人の主張の検討
審判請求人の上記主張1~2について検討するに、次のa~bに示すように、いずれの主張も採用できない。
a 主張1について
審判請求人は、引用文献1の「減速機構40」が本件補正発明の「対象物」に対応するとしているが、上記ウ(ア)aに示すとおり、引用発明の(減速機構40が有する内部空間40aに配置される)「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44」並びに(減速機構40が有する内部空間40aに供給される)「潤滑油」が、本件補正発明の「対象物」に相当し、また、上記ウ(ア)bに示すとおり、引用発明の(減速機構40が有する)「歯車ハウジング45」は、本件補正発明の(前記対象物が内蔵されている)「(物体の)部分」に相当するから、審判請求人の主張1はその前提において失当である。
また、段落【0059】には、温度センサ46を減速機構40の内部空間40a以外の場所に設けてもよい旨が記載されており、この場所として「歯車ハウジング45の外面」の箇所が例示され、減速機構40の内部空間40aの温度の影響を受ける当該箇所に温度センサ46を設けて温度を測定することにより、内部空間40aの温度を推測できることが記載されている。したがって、引用文献1には、減速機構40の内部空間40aの内部(「第1歯車43及び第2歯車44」及び「潤滑油」)に直接設けられるセンサを用いずに、歯車ハウジング45の外面に現れる温度を歯車ハウジング45の外面で取得することが示されている(上記イ(ア)b(a))ところ、引用文献1の図1~2から、歯車ハウジング45の外面は、多関節型ロボットRの外側であることが看取されること(上記イ(ア)b(c))から、引用文献1には、(本件補正発明の対象物に相当する)「減速歯車部を構成する第1歯車43及び第2歯車44」並びに「潤滑油」に直接設けられるセンサを用いずに、(本件補正発明の物体の部分に相当する)「多関節型ロボットRを構成する歯車ハウジング45」の外部表面に現れる温度を(本件補正発明の物体に相当する)「多関節型ロボットR」の外側で取得する温度センサ46が開示されていると理解できる。
したがって、審判請求人の主張1を採用することはできない。
b 主張2について
引用文献2に記載された技術は、対象物(冷却水)を内蔵する物体(冷却配管120)の物理的情報(温度)を、物体の物理的情報として間接的に取得するというものであるから、対象物の物理的情報と物体の物理的情報が関連する限り、物体の具体的構成や対象物の占有範囲によらず適用可能と理解することが自然である。
そして、引用発明と引用文献2記載の技術的事項は、物体の対象物が内蔵されている部分の内部に温度センサを配置して直接測定することなく、外部表面の温度を取得することで内部の状態を推定するという作用・機能が共通している。一方、引用文献1には、温度センサを外面に配置することに代えてクロミック部材を配置することで温度を取得する技術を適用することを妨げるほどの特段の事情が記載されていない。
そうすると、上記エ(イ)に示したとおり、引用発明の温度センサ46に代えて、同様の作用・機能を有する引用文献2記載の技術的事項を採用することが、当業者にとって格別困難であるということはできない。
したがって、審判請求人の主張2を採用することはできない。
カ 独立特許要件についてのむすび
以上のとおり、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると仮定した場合、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~24に係る発明は、令和4年10月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~24に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
第4 当審の拒絶の理由
1 理由1(明確性)について
本件補正前の請求項8~9、19~23に係る発明に対して、当審が令和4年12月7日付けで通知した拒絶の理由のうちの理由1(明確性)の概要は、以下のとおりである。
この出願は、本件補正前の請求項8~9、19~23の記載が次の(1)~(2)の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項8と請求項8が引用する請求項1において、物理的情報の内容が整合していないため、発明の内容を明確に把握することができない。
よって、請求項8に係る発明、及び、請求項8を引用する請求項19~23に係る発明は明確でない。
(2)請求項9と請求項9が引用する請求項1において、物理的情報の内容が整合していないため、発明の内容を明確に把握することができない。
よって、請求項9に係る発明、及び、請求項9を引用する請求項19~23に係る発明は明確でない。
2 理由2(進歩性)について
本件補正前の請求項1に係る発明に対して、当審が令和4年12月7日付けで通知した拒絶の理由のうちの理由2(進歩性)の概要は、以下のとおりである。
この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第5 当審の拒絶の理由に対する判断
上記第2のとおり、本件補正は却下されたところ、本願の請求項1~24に係る発明(本件補正前の請求項1~24に係る発明)が拒絶の理由を解消したか否かについて、検討する。
1 理由1(明確性)について
本件補正は、上記第2のとおり却下され、本件補正前の請求項8~9、19~23を改めて検討しても、上記第4の1(1)~(2)の内容に誤りはないから、理由1(明確性)が解消していないことは明らかである。
なお、審判請求人は、令和5年2月6日提出の意見書(3ページ1~4行)において、本件補正により理由1(明確性)が解消した旨主張している。
しかしながら、本件補正は、上記第2のとおり却下されているため、審判請求人の主張を採用することはできない。
2 理由2(進歩性)について
(1)引用文献
当審の拒絶の理由で引用された引用文献1~2及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(2)イに記載したとおりである。
(2)本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記対象物に直接設けられるセンサを用いずに、」の限定事項を省略し、「前記クロミック部材の撮像画像の色に基づいて、」の限定事項における「の色」を省略したものである。そして、本件補正発明の「外部表面に現れる前記物理的情報を前記物体の外側で取得し」の限定事項が、本願発明では「外部表面の温度を前記物理的情報として取得し」となっており、本願発明は本件補正発明に対して、「前記物体の外側で」物理的情報を取得するという事項を省略する一方で、物理的情報が「温度」であるとの事項が限定されているものである。
ここで、本願発明では物理的情報が「温度」であるとの限定事項が追加されているものの、本件補正発明の「物理的情報」に相当するとした引用発明の「温度」(上記第2の[理由]2(2)ウ(ア)b)が、本願発明の「温度」に相当することは明らかである。同様に、本件補正発明の「物理的情報」に相当するとした引用文献2記載の技術的事項の「温度」(上記第2の[理由]2(2)エ(ア))が、本願発明の「温度」に相当することは明らかである。
そうすると、本願発明と引用発明は、上記第2の[理由]2(2)ウと同様の対比関係にあるということができ、本願発明と引用発明は、上記第2の[理由]2(2)ウ(イ)bで示す相違点と同様の点でのみ相違する。
そして、上記第2の[理由]2(2)エに記載したとおり、引用発明に引用文献2記載の技術的事項を採用し、相違点に係る本件補正発明の特定事項とすることは当業者が容易想到し得たことであるから、同様に、本願発明は、引用発明、及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
第5の1に示すように、令和4年12月7日付けで通知した拒絶の理由のうちの理由1(明確性)は解消しておらず、この出願は、請求項8~9、19~23の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
また、第5の2に示すように、令和4年12月7日付けで通知した拒絶の理由のうちの理由2(進歩性)は解消しておらず、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2021-018125