特許拒絶査定不服審判
2021-017992
車両用システム及びプログラム
- 審判番号
- 2021-017992
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-068719外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年12月27日
- 審決日
- 2023年04月18日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ユピテル
- 分類
- P18 .121-WZ (G01C) / P18 .537-WZ (G01C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-068719「車両用システム及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和2年8月13日出願公開、特開2020-122797〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特願2020-068719号(以下、「本願」という。)は、平成24年12月29日に出願された特願2012-289217号の一部を、新たな出願として平成30年1月10日に出願された特願2018-001584号の一部を、新たな出願として令和2年4月7日に出願されたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和3年2月19日付け :拒絶理由通知
令和3年5月6日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年9月24日付け :拒絶査定
令和3年12月27日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和4年10月12日付け :拒絶理由通知
令和4年12月19日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
令和4年12月19日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「 【請求項1】
車両の速度を画面に数値で表示する機能を備える車両用システムにおいて、
報知対象の位置を示すターゲットアイコンと車両の現在位置を示す現在位置アイコンとを画面に表示させる第一の表示を行う機能と、
前記報知対象の位置を示すターゲットの警報音声を出力する機能と、
1の画面内に、前記第一の表示とともに円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータを表示させる第二の表示を行う機能を備え、
前記第二の表示を行う機能は、前記第二の表示を行う領域を、前記第一の表示を行う領域の内部であって第一の表示を行う領域の左右いずれか一方寄りに設けるとともに、前記第二の表示を行う領域の円弧の外側であって円弧に隣接する部分に第一の表示を行う領域が視認可能に表示する機能を備えたこと
を特徴とする車両用システム。」
第3 拒絶の理由
令和4年10月12日付けで当審より請求項1について通知した拒絶理由のうち進歩性に係る拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
3 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3にて例示される周知技術に基いて、または、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2012-251934号公報
引用文献2:特開2010-18279号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:国際公開第2012/107952号(周知技術を示す文献)
第4 引用文献
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
ア 引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置に適した交通監視情報を運転者に提供することによって、運転者の運転を支援する運転支援システム等に関する。」
(イ)「【0037】
以下、本発明に係る運転支援システムの一実施形態である運転支援システム1について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。運転支援システム1の具体例としては、例えばレーダ探知システム、カーナビゲーションシステム等が挙げられる。なお運転支援システム1は、単一の機器によって実現されてもよいし、複数の機器によって実現されても良い。図1に示すように、運転支援システム1は、制御全体を司る制御部11を備えている。制御部11は、CPU、ROM、RAM、I/O、周辺回路等を含むマイコン等で構成され、無線受信部12、GPS受信部13、表示部14、スピーカ15、記憶部16、及びカードリーダ17と電気的に接続している。ROMには、制御部11のプログラムが少なくとも記憶される。これらのハードウェア構成は従来と同様のものを用いることができる。」
(ウ)「【0055】
表示部14に表示される表示画面の一例である表示画面20について、図3を参照して説明する。表示画面20には、メイン表示領域21、第一サブ表示領域22、及び第二サブ表示領域23を設けている。メイン表示領域21は、自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像を表示する領域である。第一サブ表示領域22は、自車両が位置する区画領域の名称を表示するための領域である。第二サブ表示領域23は、監視活動に関するメッセージを表示するための領域である。以下、其々の領域の詳細について説明する。
【0056】
メイン表示領域21について説明する。メイン表示領域21には、地図画像を表示する領域211、報知対象物の種別及び報知対象物までの間の距離を表示する領域212、車両の走行速度を表示する領域213、表示モード及び現在時刻を表示する領域214等を設けている。
【0057】
地図画像は、自車両位置の周辺の地図データを記憶部16から読み出して生成する。メイン表示領域21のうち領域211に表示する地図画像の範囲は、運転者による設定に基づいて決定する。領域211に表示された地図画像上には、自車アイコン31、及びターゲットアイコン32を重ねて表示している。自車アイコン31は、地図画像に対して自車両がどの位置にあるかを示すためのものである。制御部11は、GPS受信部13から出力された位置情報に基づいて、自車両位置を特定し、地図画像のうち自車両位置に相当する部分に、自車アイコン31を重ねて表示する。
【0058】
ターゲットアイコン32は、地図画像に対して報知対象物がどの位置に設置されているかを示すためのものである。ターゲットアイコン32の内部に表示された図形は、報知対象物の種類を示している。制御部11は、第二DBに基づいて報知対象物の位置を特定し、地図画像のうち報知対象物の位置に相当する部分に、ターゲットアイコン32を重ねて表示する。またターゲットアイコン32の内部に、報知対象物の種類を示す図形を表示する。さらに、報知対象物の種別及び報知対象物までの間の距離を、領域212に表示する。」
(エ)「【0059】
また制御部11は、自車両と報知対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなった場合、報知対象物の種類に応じて模式図または写真のデータを第二DBから読み出し、地図画像に重ねて表示する。また、報知対象物に応じた音声データを第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。例えば、速度測定装置が500m未満に接近した場合には、速度測定装置の模式図または写真のデータを第二DBから読み出して、地図画像に重ねて表示する。また、「500m先 速度測定装置です。スピード注意」という音声を第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。
【0060】
また制御部11は、無線受信部12から出力されるRSSIの電圧レベルに基づき、報知対象物が自車両の近くにあるか否かを判断する。RSSIの信号レベルは、無線受信部12において受信される無線信号の強度に比例して大きくなる。このため制御部11は、RSSIと所定閾値とを比較することによって、自車両と報知対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなったか否かを判断することができる。制御部11は、自車両と報知対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなったと判断した場合、報知対象物の種類に応じて模式図または写真のデータを第二DBから読み出し、地図画像に重ねて表示する。また、報知対象物に応じた音声データを第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。例えば、緊急車両が所定距離内に近付いてきた場合、緊急車両の模式図または写真のデータを第二DBから読み出して、地図画像に重ねて表示する。また、「緊急車両です。スピード注意」という音声を第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。」
(オ)「
[図:0001398767000001.jpg]
」(【図1】)
(カ)「
[図:0001398767000002.jpg]
」(【図3】)
(2)引用発明
上記(1)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「車両の走行速度を表示画面20に数字で表示する運転支援システム1において、
地図画像に対して報知対象物がどの位置に設置されているかを示すターゲットアイコン32と地図画像に対して自車両がどの位置にあるかを示す自車アイコン31とを自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示し、
前記報知対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなった場合、報知対象物に応じた音声をスピーカ15から出力し、
表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字を表示させる車両の走行速度を領域213に表示し、
前記車両の走行速度を領域213に表示することは、前記車両の走行速度を領域213に表示する領域213を、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21の内部であって自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21の右端に設けるとともに、前記車両の走行速度を領域213に表示する領域213の略台形の外側であって略台形に隣接する部分に自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21が視認可能に表示することである
運転支援システム1。」
2 引用文献2の記載及び引用文献2に記載された技術的事項
(1)引用文献2の記載事項
引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「【0048】
TFT光源25は、TFT表示器30のための光源である。
TFT表示器30は、図示しないメータパネル内に設けられており、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等から構成されている。そして、このTFT表示器30はカラー画像表示機能を有しており、その表示領域は、図2(b)に示すように、メータ表示領域31とナビ表示領域32と車両状態表示領域33に分けることができる。
【0049】
メータ表示領域31は、車内LAN通信部15を介して図示しない各種ECUから取得した車速情報、エンジン回転数、燃料残量及びエンジン冷却水温等をアナログメータ風に画像として表示するための表示領域である。本実施形態においては、図2(b)に示すように、運転者から見て左側に速度メータ画像31aと燃料残量メータ画像31cが表示され、運転者から見て右側にタコメータ画像31bとエンジン冷却水温メータ画像31dが表示される。
【0050】
ナビ表示領域32は、通信部20を介してナビゲーション装置50から取得したナビゲーション画像(例えば、現在位置付近の地図や、現在位置を示すアイコンや、経路案内のための案内図等の画像)を表示するための表示領域である。なお、詳しくは後述するが、所定の状態においては、図2(a)に示すようにナビ表示領域32が拡大してナビゲーション画像を表示することができるようになっている。」
(イ)「
[図:0001398767000003.jpg]
」(【図2】(b))
(2)引用文献2に記載された技術的事項
上記(1)を総合すると、引用文献2には、第1実施形態として、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
「液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等から構成されているTFT表示器30内に、他の情報とともに、円弧内に指針とスケールを有する車速情報を示す指針式のアナログメータ風に画像として表示する速度メータ画像31aを表示すること。」
3 引用文献3の記載及び引用文献3に記載された技術的事項
(1)引用文献3の記載事項
引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(ア)「[0010] 以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1に示すメータ表示装置1は、鉄道および自動車などの移動体に搭載され、同じく移動体に搭載された速度計から数値情報を取得してメータ表示するものであり、部品データメモリ2、補間処理エンジン(補間処理部)3、マトリクス生成エンジン(マトリクス生成部)4、ベクタグラフィックスエンジン(ベクタグラフィックス部)5、およびフレームバッファ6から構成される。なお、速度計からメータ表示装置1へは、速度を表す数値情報が一定周期で入力される。また、メータ表示装置1はLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などのディスプレイ(図示せず)を備え、フレームバッファ6に格納された画像データを読み出して表示する。」
(イ)「[0029] なお、上記実施の形態1では速度をメータ表示する例を説明したが、速度に限定されるものではなく、電力など他の物理量をメータ表示する構成であってもよい。また、指針式のメータ表示に限定されるものではなく、棒グラフなどの表示形態であってもよい。
(ウ)「[0036]実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3に係るメータ表示装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態3に係るメータ表示装置1は移動体に搭載された撮像装置からビデオ画像(動画)を取得してメータ画像に重畳表示する表示合成エンジン(表示合成部)31を新たに備える。なお、図11において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。」
(エ)「[0038] 図12に、合成画像の例を示す。本実施の形態3ではメータ表示装置1を搭載した車両の通常走行時はベクタグラフィックスエンジン5が描画してフレームバッファ6に格納したメータ画像をディスプレイ(図示せず)に表示し、後進時および緊急時には表示合成エンジン31がメータ画像にビデオ画像201を合成した合成画像202を作成してディスプレイ表示する。この他にも、通常走行時にはメータを大きく表示したメータ画像203を生成し、後進時および緊急時にはメータを小さくしてビデオ画像201を合成した合成画像202を生成してもよい。」
(オ)「
[図:0001398767000004.jpg]
」([図12])
(2)引用文献3に記載された技術的事項
上記(1)を総合すると、引用文献3には、実施の形態3として、次の技術的事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
「車両速度をディスプレイに数値で表示する機能を備えるメータ表示装置1において、ディスプレイ内に、他の情報とともに、円弧内に指針とスケールを有する車両速度を示す指針式のメータ画像を表示すること。」
4 周知の技術
上記2(2)及び3(2)にて例示されるように、次の技術は、本願の出願前に車両用システムの技術分野において周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。
「1の画面内に、他の情報とともに、円弧内に指針とスケールを有する車両の状態として車両の速度を示すアナログメータを表示させること。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1)「車両の速度を画面に数値で表示する機能」に関して
引用発明における「車両の走行速度」は本願発明における「車両の速度」に相当し、同様に、「表示画面20」は「画面」に、「数字で表示する」ことは「数値で表示する機能を備える」ことに、それぞれ相当する。
そうすると、引用発明における「車両の走行速度を表示画面20に数字で表示する」ことは本願発明における「車両の速度を画面に数値で表示する機能を備える」ことに相当する。
そして、引用発明における「車両の走行速度を表示画面20に数字で表示する運転支援システム1」は本願発明における「車両の速度を画面に数値で表示する機能を備える車両用システム」に相当する。
(2)「第一の表示を行う機能」に関して
引用発明における「報知対象物」は、本願発明における「報知対象」に相当する。そして、引用発明における「地図画像に対して報知対象物がどの位置に設置されているかを示すターゲットアイコン32」は本願発明における「報知対象の位置を示すターゲットアイコン」に相当する。
また、引用発明における「地図画像に対して自車両がどの位置にあるかを示す」ことは本願発明における「車両の現在位置を示す」ことに相当する。そして、引用発明における「地図画像に対して自車両がどの位置にあるかを示す自車アイコン31」は本願発明における「車両の現在位置を示す現在位置アイコン」に相当する。
そうすると、引用発明における「地図画像に対して報知対象物がどの位置に設置されているかを示すターゲットアイコン32と地図画像に対して自車両がどの位置にあるかを示す自車アイコン31とを自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示」することは本願発明における「報知対象の位置を示すターゲットアイコンと車両の現在位置を示す現在位置アイコンとを画面に表示させる第一の表示を行う機能」を備えたことに相当する。
(3)「警報音声を出力する機能」に関して
引用発明における「報知対象物との間の距離」は、本願発明における「報知対象の位置」に相当する。そして、引用発明における「報知対象物の間の距離が所定距離よりも小さくなった場合、報知対象物に応じた音声をスピーカ15から出力」することは、本願発明における「報知対象の位置を示すターゲットの警報音声を出力する機能」を備えたことに相当する。
(4)「第二の表示を行う機能」に関して
引用発明における「車両の走行速度」は本願発明における「車両の状態」に相当する。そして、引用発明における「領域213」に表示された「車両の走行速度を示す数字」ないし同引用発明における「車両の走行速度を示す数字」が表示された「領域213」の表示は、「車両の状態」を示す「メータ」としての機能を有するものと認められることから、引用発明における「円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータ」と、「車両の状態を示すメータ」という限りで一致する。
そうすると、引用発明における「表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字を表示させる車両の走行速度を領域213に表示」することは、本願発明における「1の画面内に、前記第一の表示とともに円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータを表示させる第二の表示を行う機能」を備えたことと、「1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う機能」を備えたことという限りにおいて一致するものであるといえる。
また、引用発明における「車両の走行速度を領域213に表示する領域213」は、本願発明における「第二の表示を行う領域」と、「1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域」という限りにおいて一致する。また、引用発明における「自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21」は本願発明における「第一の表示を行う領域」に相当する。そして、引用発明における「自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21の右端」は本願発明における「第一の表示を行う領域の左右のいずれか一方寄り」のうちの「第一の表示を行う領域の右寄り」に相当する。
さらに、引用発明における「車両の走行速度を領域213に表示する領域213の略台形の外側であって略台形に隣接する部分」は、本願発明における「第二の表示を行う領域の円弧の外側であって円弧に隣接する部分」と、「1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域の外側であって該領域に隣接する部分」という限りにおいて一致する。
そうすると、引用発明における「車両の走行速度を領域213に表示する領域213を、自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21の内部であって自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21の右端に設けるとともに、車両の走行速度を領域213に表示する領域213の略台形の外側であって略台形に隣接する部分に自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21が視認可能に表示すること」は、本願発明における「第二の表示を行う領域を、第一の表示を行う領域の内部であって第一の表示を行う領域の左右のいずれか一方寄りに設けるとともに、第二の表示を行う領域の円弧の外側であって円弧に隣接する部分に第一の表示を行う領域が視認可能に表示する機能」を備えたことと、「1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域を、第一の表示を行う領域の内部であって第一の表示を行う領域の右寄りに設けるとともに、1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域の外側であって該領域に隣接する部分に第一の表示を行う領域が視認可能に表示する機能」を備えたことという限りにおいて一致するものであるといえる。
(5)「車両用システム(「運転支援システム1」)」に関して
引用発明における「運転支援システム1」は本願発明における「車両用システム」に相当する。
2 一致点、相違点
したがって、本願発明と引用発明は、
「車両の速度を画面に数値で表示する機能を備える車両用システムにおいて、
報知対象の位置を示すターゲットアイコンと車両の現在位置を示す現在位置アイコンとを画面に表示させる第一の表示を行う機能と、
前記報知対象の位置を示すターゲットの警報音声を出力する機能と、
1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う機能を備え、
前記1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う機能は、前記1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域を、前記第一の表示を行う領域の内部であって第一の表示を行う領域の右寄りに設けるとともに、前記1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域の外側であって該領域に隣接する部分に第一の表示を行う領域が視認可能に表示する機能を備えた
車両用システム。」
である点で一致し、次の点において相違する。
<相違点>
「1の画面内に、第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示」とその表示を行う「領域」について、本願発明は「1の画面内に、第一の表示とともに円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータを表示させる第二の表示」であり第二の表示を行う領域は「円弧」であるのに対して、引用発明では「表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字を表示させる車両の走行速度を領域213に表示」するものであり車両の走行速度を表示する領域213は「略台形」である点。
第6 判断
1 相違点の検討
上記相違点について検討する。
(1)周知技術
車両用システムの技術分野における周知技術は、上記第4の4のとおりである。
(2)引用文献3に記載された技術的事項
引用文献3に記載された技術的事項は、上記第4の3(2)のとおりである。
そして、引用文献3に記載された技術的事項における「車両速度」は、本願発明の「車両の速度」に相当し、以下同様に、「ディスプレイ」は「1の画面」に、「メータ表示装置1」は「車両用システム」に、「車両速度」は「車両の状態」に、それぞれ相当する。
また、引用文献3に記載された技術的事項における「円弧内に指針とスケールを有する車両速度を示す指針式のメータ画像を表示すること」は、本願発明の「円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータを表示させること」に相当する。
これを踏まえて、引用文献3に記載された技術的事項を本願発明の用語を用いて整理すると、以下のとおりとなる。
「車両の速度を画面に数値で表示する機能を備える車両用システムにおいて、1の画面内に、他の情報とともに、円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータを表示させること。」
(3)組み合わせ容易
引用発明において、車両の状態を表示させるにあたり、引用発明の1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示(表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字)に対して、上記(1)の周知技術のような円弧内に指針とスケールを有する車両の状態として車両の速度を示すアナログメータの表示をさらに付加する、あるいは、引用発明の1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示(表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字)を上記(2)の引用文献3に記載された技術的事項のような車両の速度を画面に数値で表示するとともに円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータの表示で置き換えることなどは、当業者であれば容易になし得るものである。
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び周知技術又は引用文献3に記載された技術的事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
2 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術又は引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 審判請求人の主張について
1 審判請求人の意見書における主張
審判請求人は、令和4年12月19日に提出された意見書において、令和4年10月12日付けの拒絶理由通知書の「●理由3(進歩性)について」に対して次のように主張している(下線は当審において付した。)。
(1)「第二の表示を行う機能」に関して
「引用発明はまさに「数字を表示する」ものであるから、引用文献1には、本願発明の1行目の「車両の速度を画面に数値で表示する機能を備える車両用システム」が記載されているにすぎ」(意見書「4.理由3について」)ない。
そして、「引用文献1には本願における第二のメータを表示することの記載はない。」(意見書「4.理由3について」)。また、「本願4行目の「 前記第二の表示を行う機能は、前記第二の表示を行う領域を、前記第一の表示を行う領域の内部であって第一の表示を行う領域の左右のいずれか一方寄りに設けるとともに、前記第二の表示を行う領域の円弧の外側であって円弧に隣接する部分に第一の表示を行う領域が視認可能に表示する機能を備えたこと。」の構成が引用文献1には存在しない」(意見書「4.理由3について」)。
(2)補正後の本願発明に関して
令和4年12月19日の手続補正により「前記報知対象の位置を示すターゲット上の警報音声を出力する機能」なる事項を追加した本願発明について以下のとおりである。
「 このような構成により、運転者は報知対象の位置を示すターゲットの警報音声が出力されたとき、車両用システムの制御に基づき表示される1の画面を見るだけで、円弧内に表示される指針とスケールを有するアナログメータを円弧によってメータとして自然に把握することができるとともに、「第二の表示を行う領域を、前記第一の表示を行う領域の内部」に設けることで、アナログメータの円弧外の隣接する部分、特に円弧の左上、右上、右下、左下が良く視認できるため、車両の現在位置と報知対象との位置との関係の把握がよりよくなされることとなり、画面のアナログメータを見て車両の状態を把握する際に、アナログメータの円弧に隣接する位置の状況も容易に把握できる。しかも、車両の速度を画面に数値で表示する機能も備えるため、正確な速度を知りたい場合には数値を見る機能によりこれも可能となる。
そして、第二の表示を行う領域を、前記第一の表示を行う領域の内部に設けることも含め、これらの構成をすべて備えることは、他のいずれの文献にも記載がない。また、上述のような本願の構成要素の有機的連携を有する構成による相乗効果はいずれの引用文献にも記載がありません。仮にいずれの引用文献を組み合わせることができたとしても本願の構成には想到しない。」(意見書「4.理由3について」)
2 審判請求人の主張の検討
以下、上記主張について検討する。
(1)上記1(1)の主張について
上記第5の1(4)のとおり、引用発明における「領域213」に表示された「車両の走行速度を示す数字」ないし同引用発明における「車両の走行速度を示す数字」が表示された「領域213」の表示は、「車両の状態」を示す「メータ」としての機能を有するものと認められることから、引用発明における「円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータ」と、「車両の状態を示すメータ」という限りで一致する。そして、引用発明における「表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字を表示させる車両の走行速度を領域213に表示する機能」は、本願発明における「1の画面内に、前記第一の表示とともに円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータを表示させる第二の表示を行う機能」と、「1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う機能」という限りにおいて一致するものであるといえる。
また、上記第5の1(4)のとおり、引用発明における「車両の走行速度を領域213に表示する領域213を、自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21の内部であって自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21の右端に設けるとともに、車両の走行速度を領域213に表示する領域213の略台形の外側であって略台形に隣接する部分に自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するメイン表示領域21が視認可能に表示する機能」は、本願発明における「第二の表示を行う領域を、第一の表示を行う領域の内部であって第一の表示を行う領域の左右のいずれか一方寄りに設けるとともに、第二の表示を行う領域の円弧の外側であって円弧に隣接する部分に第一の表示を行う領域が視認可能に表示する機能」と、「1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域を、第一の表示を行う領域の内部であって第一の表示を行う領域の右寄りに設けるとともに、1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示を行う領域の外側であって該領域に隣接する部分に第一の表示を行う領域が視認可能に表示する機能」という限りにおいて一致するものであるといえる。
そして、上記第6の1のとおり、引用発明において、車両の状態を表示させるにあたり、引用発明の1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示(表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字)に対して、上記第6の1(1)の周知技術のような円弧内に指針とスケールを有する車両の状態として車両の速度を示すアナログメータの表示をさらに付加する、あるいは、引用発明の1の画面内に、前記第一の表示とともに車両の状態を示すメータを表示させる表示(表示画面20内に、前記自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像をメイン表示領域21に表示するとともに略台形内に車両の走行速度を示す数字)を上記第5の3及び上記第6の1(2)の引用文献3に記載された技術的事項のような車両の速度を画面に数値で表示するとともに円弧内に指針とスケールを有する車両の状態を示すアナログメータの表示で置き換えることなどは、当業者であれば容易になし得るものである。
したがって、上記1(1)の主張における「第二の表示を行う機能」に関しては、当該主張を考慮したとしても、当業者が容易に想到し得るものである。
(2)上記1(2)の主張について
令和4年12月19日の手続補正により追加された「前記報知対象の位置を示すターゲット上の警報音性を出力する機能」なる事項については、上記第5の1(3)のとおり、引用発明における「報知対象物の間の距離が所定距離よりも小さくなった場合、報知対象物に応じた音声をスピーカ15から出力する機能」が、本願発明における「報知対象の位置を示すターゲットの警報音声を出力する機能」に相当するものであり、引用文献1に記載されたものであると認められる。
そして、上記1(2)の主張におけるその余の点については、上記第6の1のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術又は引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、その効果は、引用発明及び周知技術又は引用文献3に記載された技術的事項から予測される以上の格別な効果を奏するものとまでは認められない。
したがって、上記1(2)の主張は採用することができない。
(3)小括
したがって、審判請求人による主張を考慮に入れたとしても、上記(1)及び(2)のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術又は引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、審判請求人の主張は結論において採用できない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術又は引用文献3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-017992