2021-017349
1つ以上のマイクロヒーターを備える電子喫煙物品
- 審判番号
- 2021-017349
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-083843外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年12月16日
- 審決日
- 2023年03月23日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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本件に係る出願は、2013年(平成25年)9月6日を国際出願日とする特願2015-530505号の一部を平成29年11月7日に新たな特許出願とした特願2017-214585号の一部を令和2年5月12日に新たな特許出願としたものであって、令和2年6月10日に上申書が提出されるとともに手続補正がされ、令和3年3月24日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月29日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年8月11日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、同年12月16日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和4年5月2日に上申書が提出されたが、当審から同年7月6日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年10月11日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~19に係る発明は、令和4年10月11日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
(本願発明)
「【請求項1】喫煙物品であって、内部空間を規定するシェルを備える第1のユニットであって、先端部と、開口を有するマウスピースを含む、対向する基端部とを有する、第1のユニットと、接続端部と、対向する端部とを有する第2のユニットであって、接続端部は、磁気係合および圧入係合のうちの1つまたは両方で第1のユニットの先端部に係合するように構成されている、第2のユニットと、続きを表示(全13行)第1のユニットの内部空間内のリザーバーであって、液体エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバーと、第1のユニットの内部空間内の、噴霧チャンバおよびヒーターであって、噴霧チャンバは、噴霧チャンバにおける開口を通してリザーバーからエアロゾル前駆体組成物を受け取るように構成されている、噴霧チャンバおよびヒーターと、第2のユニット内に位置付けられた電源であって、第1のユニットが第2のユニットに係合するときに、ヒーターと電気的に接続するように構成されている、電源と、第2のユニット内に位置付けられた1つ以上の制御構成要素と、第2のユニット内に位置付けられた圧力センサと、第1のユニット内の空気流路であって、マウスピースに開口し、噴霧チャンバにおいて加熱することによって形成されたエアロゾルのマウスピースへの通過を提供するように構成されている、空気流路と、第1のユニットのシェル内に形成され、空気流路への空気流を可能にするように構成された空気取り込みと、第2のユニット内の圧力センサと第1のユニット内の空気流路との間で流体接続を提供する、第2のユニット内の圧力検知通路であって、圧力検知通路により、吸入の間の、第1のユニット内の空気流路と第2のユニット内の圧力センサとの間の圧力変化が、圧力センサによって特定される、圧力検知通路とを備え、ヒーターが、約290℃のヒーター温度で約35mlのエアロゾルを提供するのに有効な、喫煙物品上での2秒から4秒のふかしの間に測定される1秒当たり約5ジュールから約30ジュールの熱(J/s)を生成するように構成されている、喫煙物品。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の理由3の概要は、以下のとおりのものである。
3.(進歩性)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1-5、8、13-17、19:引用文献1-2
<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2011-87569号公報
引用文献2.国際公開第97/48293号
引用文献3.特開2000-245430号公報
引用文献4.国際公開第2008/015918号
引用文献5.特開平7-184627号公報
引用文献6.特開平6-315366号公報
引用文献7.特表2010-506594号公報
引用文献8.特開2009-53797号公報
第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
1.引用文献1に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付したものである。以下同様。)。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能な電子タバコ、および電子タバコ用の充電機能を備えたユニットに関するものである。」
イ「【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を示した図1、2において、
1は本発明に係る電子タバコであり、1本に連結した状態で、吸引して使用されるときの斜視図を示している。
前記電子タバコ1は、全体形状が略筒状のケーシングからなる電源部11と、前記電源部11に着脱可能な筒状のヒータユニット12と、前記ヒータユニット12に着脱可能な筒状の薬液供給手段13とを備え、
前記電源部11の先端部には、例えば赤色発光ダイオードによる発光手段2を備え、
前記薬液供給手段13の後端部には、吸い口14を備えている。
【実施例1】
【0014】
図2に実施例1に係る電子タバコ1の分解斜視図を示した。
図示したように、
前記電源部11の内部には、
充電可能な蓄電手段3と、
前記蓄電手段3に蓄電された電気エネルギーによって前記発光手段2、前記ヒータユニット12等の構成素子を制御する制御手段4と、
吸い口14から吸引されたときに発生する前記電源部内の圧力変化を検知して通電状態になる例えばダイヤフラム式のスイッチを備えた吸引検知手段5とを備え、
後端には前記制御手段4と接続された同心状の第1電極部6を備えている。
【0015】
前記第1電極部6は、中心軸に沿って貫通した通気孔61と、前記通気孔61の外側に配設された筒状の一方の電極62と、前記一方の電極62のさらに外側に絶縁体を挟んで配設された筒状の他方の電極63とを備えて、前記他方の電極63には外ネジ64が形成されている。
【0016】
前記ヒータユニット12の先端には第2電極部7を備え、内部には電熱ヒータ8を備え、後端には突起部15を備えている。
前記第2電極部7は、中心軸に沿って貫通した通気路71と、前記通気路71の外側に配設された筒状の一方の電極72と、前記一方の電極72のさらに外側に絶縁体を挟んで配設された筒状の他方の電極73とを備えて、前記他方の電極73の内面には内ネジ74が形成されている。
前記電熱ヒータ8の両端は、前記一方の電極72と前記他方の電極73とに接続されている。
前記通気路71は前記ヒータユニット12を貫通している。前記通気路71の一端は、第2電極部7側で前記ヒータユニット12の外周面に開口した2つの吸気孔18、19に通じ、他端は、前記電熱ヒータ8を内包して前記突起部15側に開口している。前記電熱ヒータ8は前記通気路71中に配設されている。
【0017】
前記薬液供給手段13の先端側には前記突起部15によって破られるアルミ膜16を備え、内部には薬液が充填された通気可能なフィルタ17が内蔵され、後端には吸い口14が開口している。」
ウ「【0019】
電子タバコとして吸引して使用されるときには、
図1に示した電子タバコ1のように、電源部11と、ヒータユニット12と、薬液供給手段13とを連結して1本のタバコのような形態で使用する。この状態では、薬液供給手段13のアルミ膜16は突起部15によって破られている。
このように、電子タバコとして吸引して使用するときには、蓄電手段に充電するための電極は、ヒータユニット12と薬液供給手段13とが接続されることによって露出しない状態になるので、自然な外観で吸引使用することができる。
そして、使用者が吸い口14を口に含んで吸引すると、前記ヒータユニット12の外面に形成された吸気孔18、19から吸引された外気は、前記ヒータユニット12の通気路71を通る空気流となる。
【0020】
このとき、前記吸引検知手段5の通気孔61に面する空間は前記空気流によって若干減圧されるので、前記吸引検知手段5は、生じた気圧変化に基づいて吸い口から吸引されたことを検知して、内蔵した接点をオンにする。
このようにして、吸引検知手段5の接点がオンされると、前記制御手段は、蓄電手段3に蓄電された電気エネルギーを、発光手段2に供給して点灯させるとともに、第1電極部6に供給する。
従って、第1電極部6と電気的にも接続された第2電極部7に接続された電熱ヒータ8は通電される。よって、前記空気流は、前記電熱ヒータ8によって加熱され、前記フィルタ17に充填された薬液の気化成分とともに前記吸い口14から使用者の口腔内に吸引される。
【0021】
このように使用するとき、前記薬液供給手段13のアルミ膜16は、前記ヒータユニット12に設けられた突起部15によって破られるため、前記フィルタ17に充填された薬液の一部が前記突起部15および前記電熱ヒータ8の周囲を濡らすので、前記電熱ヒータ8に通電されると、その発熱により吸引された外気が加熱されるとともに、前記薬液の一部が気化して霧状となって、前記吸い口14から使用者の口腔内に吸い出される。
したがって、使用者は、吸い口をくわえてタバコのように吸い込むことによって、前記薬液の香味成分を吸い込んで楽しんだり、その薬効を利用することができる。このとき、先端の発光手段2が赤く点灯し、タバコの火のように見える。
【0022】
吸い込むことを止めると、前記通気路71内の気圧低下が無くなるので吸引検知手段5はオフとなり、先端の発光手段2が非点灯状態となる。このように、吸い込んだり、吸い込むことを止めたりすることで、本物のタバコの火のように、赤くなったり赤みが消えたりするので、本物のタバコを吸っているように自然に見える。
さらに、吸い込むことを止めて、くわえていた電子タバコを口から離すと、口腔内に吸い出されていた霧状の薬液が口から吐き出され、あたかも本物のタバコの煙のように見える。」
エ「【0028】
次に、前記電子タバコ1の内部の詳細構造について、図7、8、9を参照して説明する。
電子タバコ1の電源部11の内部には蓄電手段3、制御手段4、発光手段2、及び吸引検知手段5等の電気部品とそれらの電気配線41,42,43等が収納されている。これらの電気部品や電気配線は、当該電子タバコ1の組み立て時や、輸送時のショックで損傷することがあるので、商品としての品質を低下させるおそれがあった。
そこで、本発明に係る電子タバコ1では、は蓄電手段3、制御手段4、発光手段2、及び吸引検知手段5等の電気部品とそれらの電気配線41,42,43等の全部もしくは少なくとも一部を、絶縁性フィルム36,37で覆うように構成した。
例えば、図7に示したように、蓄電手段3の一部と吸引検知手段5とその周辺の電気配線類を、絶縁性フィルム36で覆い、蓄電手段3の一部と制御手段4と発光手段2とその周辺の電気配線類を、絶縁性フィルム37で覆って保護されるように構成した。この絶縁性フィルム36,37としては、例えば熱収縮性絶縁チューブが好ましい。
前記絶縁性フィルム36,37で前記電気部品や電気配線は保護されるとともに固定されるので、当該電子タバコ1の組み立て時や、輸送時のショックで損傷することを防止でき、商品としての品質を安定させることができる。」
オ「【図2】
[図:0001400976000001.jpg]
カ 電源部11の前記第1電極部6は、中心軸に沿って貫通した通気孔61と、前記通気孔61の外側に配設された筒状の電極62及び電極63とを備えて、電極63には外ネジ64が形成されている(【0015】)。また、ヒータユニット12の第2電極部7は、中心軸に沿って貫通した通気路71と、前記通気路71の外側に配設された筒状の電極72及び電極73とを備えて、電極73の内面には内ネジ74が形成されている(【0016】)。
してみると、電源部11の後端は、第1電極部6の外ネジ64を第2電極部の内ネジ74にねじ込むネジ構造でヒータユニット12の先端に接続するものと認められる。
(2)引用文献1には、以下の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)
(引用発明)
電子タバコ1であって、
筒状のヒータユニット12と、前記ヒータユニット12に着脱可能な筒状の薬液供給手段13であって、
先端には第2電極部7を備え、内部には電熱ヒータ8を備え、後端には突起部15を備えているヒータユニット12と、
先端側には前記突起部15によって破られるアルミ膜16を備え、内部には薬液が充填された通気可能なフィルタ17が内蔵され、後端には吸い口14が開口している薬液供給手段13と、
電源部11の後端の第1電極部6の外ネジ64を前記第2電極部の内ネジ74にねじ込むネジ構造でヒータユニット12の先端に接続するように構成されている電源部11と、
前記ヒータユニット12を貫通している通気路71と前記通気路71中に配設されている電熱ヒータ8であって、前記薬液供給手段13のアルミ膜16は、前記ヒータユニット12に設けられた突起部15によって破られるため、前記フィルタ17に充填された薬液の一部が前記突起部15および前記電熱ヒータ8の周囲を濡らすように構成されており、
電源部11の内部には、充電可能な蓄電手段3と、蓄電手段3に蓄電された電気エネルギーを第1電極部6に供給し、第1電極部6と電気的にも接続された第2電極部7に接続された電熱ヒータ8は通電され、前記ヒータユニット12を制御する制御手段4と、吸い口14から吸引されたときに発生する前記電源部内の圧力変化を検知して通電状態になる吸引検知手段5と、を備え、
前記ヒータユニット12の外面に形成された吸気孔18、19から吸引された外気は、前記ヒータユニット12の通気路71を通る空気流となり、前記空気流は、前記電熱ヒータ8によって加熱され、前記フィルタ17に充填された薬液の気化成分とともに前記吸い口14から使用者の口腔内に吸引され、
前記吸引検知手段5の通気孔61に面する空間は前記空気流によって若干減圧されるので、前記吸引検知手段5は、生じた気圧変化に基づいて吸い口から吸引されたことを検知する、
電子タバコ1。
2.引用文献2に記載された事項
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(1)「図1は本発明の実施の形態に係る香味生成物品を示す概略図である。香味生成物品10は、使用者が口に垤えることができる程度の外径を有する円筒形のケ一シング12を具備する。ケーシング12は、使用者が口に垤えるための第1部分12aと、電源などを内蔵するための第2部分12bとからなる。2つの部分12a、12bはケーシング本体14に形成された接続部13を介して着脱可能に接続される2つの部分12a、12bは、接続部13に対応してケ一シング本体14内に形成された空間内に収納されたケーブル15を介して電気的に接続される。接続部13としては、捩子或いは嵌着対偶等の公知の構造を採用することができる。」(第7ページ第14行~第8ページ第1行)
(2)「第1図[図:0001400976000002.jpg]」
3.引用文献5に記載された事項
引用文献5には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0018】【実施例】本発明の喫煙装置21を図1と図2に示す。喫煙装置21はシガレット23と再使用可能なライター25をそなえている。シガレット23は、ライター25の前方端29にあるオリフィス27を通じて挿入・取出しされるよう構成されている。この喫煙装置21は従来のシガレットとほとんど同じ方式で使用される。シガレット23は一回以上の吸引サイクルの後に廃棄される。ライター25は、シガレット23より多数回の吸引サイクルの後に廃棄することが好ましい。」
(2)「【0033】本発明に使用するのに好ましいタバコウエブ57は抄紙式方法を利用して製造される。この方法では、タバコストリップ(tobacco strip )を水で洗浄する。可溶性成分は後のコーティングステップで使用する。残りの(抽出された)タバコ繊維をベースマットの製造に使用する。・・・タバコストリップを洗浄することによって取出した可溶性成分を、好ましくはドラムドライヤーもしくはヤンキードライヤーの後に配置した標準のリバースロールコーターによって、上記ベースウエブの一面にコートする。タバコ可溶性成分/タバコの粉末もしくは粒の比率は1:1~20~1の比率で変えることが好ましい。また上記スラリーをベースマット上に流延もしくは押出してもよい。あるいはコーティングステップはオフラインで作動させてもよい。このコーティングステップを実施中またはその後に、シガレット産業で一般に使われている香味剤が添加される。ペクチンまたは他のヒドロコロイドを好ましくは0.1~2.0%の範囲で添加してスラリーのコータビリティー(coatability )を改善する。【0034】どちらのタイプの担体59が使用されても、単体の内面に配置されているタバコ香味材61は、加熱されると香味を放出して担体の表面に粘着することができる。タバコ香味材としては、連続シート、泡状物、ゲル、乾燥スラリー、または乾燥スプレー堆積スラリーがあり、これらはタバコまたはタバコ由来の物質を必ずしも含有していないが、先に本願に援用した米国特許願第07/943747号に一層詳細に考案されている。【0035】好ましくは、グリセリン、もしくはプロピレングリコールのような湿潤剤が、ウエブに対し、0.5~10重量%の等量で加工中にタバコウエブ57に添加される。湿潤剤は、エーロゾルの前駆物質として作用することによって目視可能なエーロゾルを生成し易くする。喫煙者が香味付けタバコ応答および湿潤剤を含有するエーロゾルを吐き出すと、湿潤剤が大気中で凝縮し、その凝縮した湿潤剤は、通常のシガレットの煙の外観を与える。」
(3)「【0052】本発明のライター25の各種の実施態様はすべて、標準の使用条件下で喫煙者に対して有効量の香味付けタバコ応答を送り込めるように設計されている。特に、本発明では8回の吸引で喫煙者に5~13mg、好ましくは7~10mgのエーロゾルを送り込み、各一服吸引は2秒間で35mlの吸引容積であることが望ましいと解される。このような送り込みを達成するには、発熱体43は、シガレット23と熱伝達関係にあるとき約200~約900℃の温度に到達できなければならない。さらに、発熱体43は、好ましくは約5~約40ジュールのエネルギー、より好ましくは約10ジュール~約25ジュールおよびさらに一層好ましくは約15ジュールを消費しなければならない。シガレット23の方に向かって内側に曲がってその熱伝達関係が改善されている発熱体43はエネルギー必要量が少ない。【0053】望ましい特性値を有する発熱体43は好ましくは約3mm2 ~約25mm2 の活性表面積および好ましくは約0.5Ω~約3.0Ωの抵抗をもっている。さらに好ましくは、発熱体43は約0.8Ω~約2.1Ωの抵抗をもっていなければならない。勿論、そのヒーター抵抗も、発熱体43を加熱するのに必要な電気エネルギーを提供するために使用される特定の電源37によって指定される。例えば上記の発熱体の抵抗は、電力が全非装荷電源電圧が約4.8~5.8ボルトで直列に接続されている4個のニッケル-カドミウム電池によって供給されている場合の実施態様に一致している。あるいは、6個もしくは8個のかような直列に接続された電池が使用される場合、発熱体43の抵抗は、好ましくは6個の場合約3Ω~約5Ωまたは8個の場合約5Ω~約7Ωでなければならない。」
第5 当審の判断
1.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「電子タバコ1」、「吸い口」は、本願発明の「喫煙物品」、「開口を有するマウスピース」に相当する。
引用発明の「筒状のヒータユニット12と、前記ヒータユニット12に着脱可能な筒状の薬液供給手段13」は、それぞれが「筒状」に形成されていることから、筒状の「シェル」を備えるものと認められる。
そして、「ヒータユニット12」は、「先端には第2電極部7を備え、内部には電熱ヒータ8を備え、後端には突起部15を備えている」ものであり、「薬液供給手段13」は、「先端側には前記突起部15によって破られるアルミ膜16を備え、内部には薬液が充填された通気可能なフィルタ17が内蔵され、後端には吸い口14が開口している」ものであるから、両者とも前記「シェル」によって内部空間を規定していると認められる。
また両者は、「ヒータユニット12」の「後端」と「薬液供給手段13」の「先端」とが結合された状態で、後端に開口を有するマウスピースを有し、先端に第2電極部7を備えている「ユニット」であると認められる。
してみると、引用発明の「筒状のヒータユニット12と、前記ヒータユニット12に着脱可能な筒状の薬液供給手段13であって、
先端には第2電極部7を備え、内部には電熱ヒータ8を備え、後端には突起部15を備えているヒータユニット12と、
先端側には前記突起部15によって破られるアルミ膜16を備え、内部には薬液が充填された通気可能なフィルタ17が内蔵され、後端には吸い口14が開口している薬液供給手段13」は、本願発明の「内部空間を規定するシェルを備える第1のユニットであって、先端部と、開口を有するマウスピースを含む、対向する基端部とを有する、第1のユニット」に相当する。
引用発明の「電源部11」は、「ヒータユニット12の先端」の「第2電極部7」に「第1電極部6」が接続するものであるから、当該「第1電極部6」が接続端部となってヒータユニット12と接続されるものである。
してみると、引用発明の「電源部11の後端の第1電極部6の外ネジ64を前記第2電極部の内ネジ74にねじ込むネジ構造でヒータユニット12の先端に接続するように構成されている電源部11」は、「接続端部と、対向する端部とを有する第2のユニットであって、接続端部は、第1のユニットの先端部に係合するように構成されている、第2のユニット」の限りにおいて、本願発明の「接続端部と、対向する端部とを有する第2のユニットであって、接続端部は、磁気係合および圧入係合のうちの1つまたは両方で第1のユニットの先端部に係合するように構成されている、第2のユニット」と一致する。
引用発明の「薬液」、「フィルタ17」は、本願発明の「液体エアロゾル前駆体組成物」、「リザーバー」に相当する。
してみると、引用発明の「薬液供給手段13」に「内蔵」された「内部には薬液が充填された通気可能なフィルタ17」は、本願発明の「第1のユニットの内部空間内のリザーバーであって、液体エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバー」に相当する。
引用発明の「電熱ヒータ8」は、本願発明の「ヒーター」に相当する。
そして、引用発明の「通気路71」の一部は、「前記ヒータユニット12を貫通している」ものであって、「電熱ヒータ8」が「通気路71中に配設されている」ものであって、「薬液供給手段13のアルミ膜16は、前記ヒータユニット12に設けられた突起部15によって破られ」たことによる開口から「前記フィルタ17に充填された薬液の一部が前記突起部15および前記電熱ヒータ8の周囲を濡らすように構成されて」いるのであるから、本願発明の「噴霧チャンバ」に相当する。
してみると、引用発明の「前記ヒータユニット12を貫通している通気路71と前記通気路71中に配設されている電熱ヒータ8であって、前記薬液供給手段13のアルミ膜16は、前記ヒータユニット12に設けられた突起部15によって破られるため、前記フィルタ17に充填された薬液の一部が前記突起部15および前記電熱ヒータ8の周囲を濡らすように構成されて」いることは、本願発明の「第1のユニットの内部空間内の、噴霧チャンバおよびヒーターであって、噴霧チャンバは、噴霧チャンバにおける開口を通してリザーバーからエアロゾル前駆体組成物を受け取るように構成されている、噴霧チャンバおよびヒーター」に相当する。
引用発明の「電源部11の内部」に設けられた「蓄電手段3」は、本願発明の「第2のユニット内位置づけられた電源」に相当する。
そして、引用発明の「蓄電手段3に蓄電された電気エネルギーを第1電極部6に供給し、第1電極部6と電気的にも接続された第2電極部7に接続された電熱ヒータ8は通電され」ることは、「第1電極部6」が「電源部11」に設けられ、「第2電極部7」が「ヒータユニット12」に設けられているのであるから、本願発明の「第1のユニットが第2のユニットに係合するときに、ヒーターと電気的に接続するように構成されている」ことに相当する。
引用発明の「前記ヒータユニット12を制御する制御手段4」は、「電源部11の内部」に設けられているのであるから、本願発明の「第2のユニット内に位置付けられた1つ以上の制御構成要素」に相当する。
また、引用発明の「吸い口14から吸引されたときに発生する前記電源部内の圧力変化を検知して通電状態になる吸引検知手段5」についても、「電源部11の内部」に設けられているのであるから、本願発明の「第2のユニット内に位置付けられた圧力センサ」に相当する。
引用発明の「吸気孔18、19から吸引された外気は、前記ヒータユニット12の通気路71を通る空気流となり、前記空気流は、前記電熱ヒータ8によって加熱され、前記フィルタ17に充填された薬液の気化成分とともに前記吸い口14から使用者の口腔内に吸引され」る「通気路71」は、本願発明の「第1のユニット内の空気流路であって、マウスピースに開口し、噴霧チャンバにおいて加熱することによって形成されたエアロゾルのマウスピースへの通過を提供するように構成されている、空気流路」に相当する。
また、引用発明の「前記ヒータユニット12の外面に形成された吸気孔18、19」は、本願発明の「第1のユニットのシェル内に形成され、空気流路への空気流を可能にするように構成された空気取り込み」に相当する。
引用発明の「前記吸引検知手段5の通気孔61に面する空間」は、「前記空気流によって若干減圧される」のであるから、前記「通気路71」に連通していると認められるので、本願発明の「第2のユニット内の圧力センサと第1のユニット内の空気流路との間で流体接続を提供する、第2のユニット内の圧力検知通路」に相当する。
そして、引用発明の「前記吸引検知手段5は、生じた気圧変化に基づいて吸い口から吸引されたことを検知する」ことは、本願発明の「吸入の間の、第1のユニット内の空気流路と第2のユニット内の圧力センサとの間の圧力変化が、圧力センサによって特定される」ことに相当する。
してみると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
「喫煙物品であって、内部空間を規定するシェルを備える第1のユニットであって、先端部と、開口を有するマウスピースを含む、対向する基端部とを有する、第1のユニットと、接続端部と、対向する端部とを有する第2のユニットであって、接続端部は、第1のユニットの先端部に係合するように構成されている、第2のユニットと、第1のユニットの内部空間内のリザーバーであって、液体エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバーと、続きを表示(全12行)第1のユニットの内部空間内の、噴霧チャンバおよびヒーターであって、噴霧チャンバは、噴霧チャンバにおける開口を通してリザーバーからエアロゾル前駆体組成物を受け取るように構成されている、噴霧チャンバおよびヒーターと、第2のユニット内に位置付けられた電源であって、第1のユニットが第2のユニットに係合するときに、ヒーターと電気的に接続するように構成されている、電源と、第2のユニット内に位置付けられた1つ以上の制御構成要素と、第2のユニット内に位置付けられた圧力センサと、第1のユニット内の空気流路であって、マウスピースに開口し、噴霧チャンバにおいて加熱することによって形成されたエアロゾルのマウスピースへの通過を提供するように構成されている、空気流路と、第1のユニットのシェル内に形成され、空気流路への空気流を可能にするように構成された空気取り込みと、第2のユニット内の圧力センサと第1のユニット内の空気流路との間で流体接続を提供する、第2のユニット内の圧力検知通路であって、圧力検知通路により、吸入の間の、第1のユニット内の空気流路と第2のユニット内の圧力センサとの間の圧力変化が、圧力センサによって特定される、圧力検知通路とを備える、喫煙物品。」
(相違点1)
第2ユニットの「接続端部は、第1のユニットの先端部に係合するように構成されている」ことに関して、本願発明では、「接続端部は、磁気係合および圧入係合のうちの1つまたは両方で第1のユニットの先端部に係合するように構成されている」のに対して、引用発明では、「電源部11の後端の第1電極部6の外ネジ64を前記第2電極部の内ネジ74にねじ込むネジ構造でヒータユニット12の先端に接続するように構成されている」点。
(相違点2)
本願発明では、「ヒーターが、約290℃のヒーター温度で約35mlのエアロゾルを提供するのに有効な、喫煙物品上での2秒から4秒のふかしの間に測定される1秒当たり約5ジュールから約30ジュールの熱(J/s)を生成するように構成されている」のに対して、引用発明では、そのような構成がない点。
2.当審の判断
(1)相違点1について
相違点1について検討すると、上記第4 2.(1)に摘記したように、引用文献2には、ケーシング12の2つの部分12a、12bが接続部13を介して着脱可能に接続される香味生成物品10において、接続部13として捩子或いは嵌着対偶等の構造を採用するという技術が記載されていると認められる。
そして、引用発明と引用文献2に記載された技術とは、2つのユニットを互いに係合するという機能において共通するものである。そうすると、引用発明における第2のユニットが第1のユニットの先端部に係合する態様として、引用文献2に記載された技術を適用して、ネジによるものに換えて嵌着による圧入係合とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)相違点2について
相違点2について検討すると、上記第4 3.(3)に摘記したように、引用文献5には、喫煙装置21について、各一服吸引は2秒間で35mlの吸引容積であることが望ましいこと、このような送り込みを達成するには、発熱体43は約200~約900℃の温度に到達できなければならないこと、及び、発熱体43は、好ましくは約5~約40ジュールのエネルギー、より好ましくは約10ジュール~約25ジュールおよびさらに一層好ましくは約15ジュールを消費しなければならないこと、が記載されている。
そして、引用発明における電熱ヒータ8について、引用文献5に記載された技術を考慮して、各一服吸引が2秒間で35mlの吸引容積であるような送り込みを達成するために、電熱ヒータ8の温度を290℃とし、1秒当たりの生成熱量を約5ジュールから30ジュールの熱(J/s)とすることは、当業者が実験的に適宜決定することができた事項というほかない。
3.審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年10月11日に提出した意見書の4.(2)において、「いずれの引用文献も、請求項1に記載の圧力検知通路を教示も示唆もしていない。」と主張する。
しかしながら、上記1.の対比において説示したように、引用発明の「前記吸引検知手段5の通気孔61に面する空間」は、「前記空気流によって若干減圧される」のであるから、前記「通気路71」に連通していると認められるので、本願発明の「第2のユニット内の圧力センサと第1のユニット内の空気流路との間で流体接続を提供する、第2のユニット内の圧力検知通路」に相当するものである。
また、審判請求人は、同じく意見書の4.(2)において、「・・・引用文献5は、具体的には、従来のシガレット型タバコ入力のための加熱システムに関し、また、例えば、引用文献1および本出願に開示されるような、液体エアロゾル前駆体組成物をエアロゾル化するように構成された電子喫煙物品に関するものではない。したがって、当業者は、審判官の主張とは異なり、引用文献1の電子喫煙物品を修正する際に、引用文献5の加熱システムを見ようとはしない。」と主張するともとに、「さらに、当業者が引用文献1の電子喫煙物品を修正する際に引用文献5に目を向けたとても(これには出願人は明確に異議を唱える)、当業者は、約290℃のヒーター温度で約35mlのエアロゾルを提供するのに有効な、喫煙物品上での2秒から4秒のふかしの間に測定される1秒当たり約5ジュールから約30ジュールの熱(J/s)を生成するように構成されたヒーターを有する電子喫煙物品に到達することに成功する合理的な期待を持たないはずである。」と主張する。
しかしながら、上記第4 3.(2)に摘記したように、引用文献5の「シガレット」は、「グリセリン、もしくはプロピレングリコールのような湿潤剤が、ウエブに対し、0.5~10重量%の等量で加工中にタバコウエブ57に添加される。」ものであって、加熱されることにより「湿潤剤は、エーロゾルの前駆物質として作用することによって目視可能なエーロゾルを生成」するものであるから、引用発明と同様に、「エーロゾルの前駆物質」である「薬液」を加熱することでエアロゾルを生成するという共通する機能・作用を奏するものである。
そして、「エアロゾル」を生成する際の「薬液」の加熱条件は、「薬液」そのものを加熱する場合であっても、タバコウエブに添加された「薬液」を加熱する場合であって、なんら変わるものではないから、請求人の主張を採用することはできない。
4.小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2及び引用文献5に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-017349