特許拒絶査定不服審判
2021-016792
積層型キャパシタ及びその実装基板
- 審判番号
- 2021-016792
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-078724外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年12月06日
- 審決日
- 2022年10月20日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (H01G) / P18 .561-Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 78724「積層型キャパシタ及びその実装基板」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月12日出願公開、特開2021- 15955〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年4月27日(パリ条約に基づく優先権主張 令和1年7月15日 韓国(KR))の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 6月26日 :上申書、手続補正書の提出
令和3年 5月18日付け:拒絶理由通知
令和3年 8月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 9月14日付け:拒絶査定(原査定)
令和3年12月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和3年12月6日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年12月6日の手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正について
令和3年12月6日の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前には、
「【請求項1】
誘電体層ならびに第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面及び前記第2面と連結され、前記第3面及び前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含み、前記第1内部電極が前記第3面、前記第5面及び前記第6面に露出し、前記第2内部電極が前記第4面、前記第5面及び前記第6面に露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置される第1サイド部及び第2サイド部と、
前記キャパシタ本体の第3面に配置され、前記第1内部電極と接続される第1外部電極と、前記キャパシタ本体の第4面に配置され、前記第2内部電極と接続される第2外部電極と、を含み、
前記キャパシタ本体は、誘電体層を間に挟んで第1内部電極及び第2内部電極が交互に配置される活性領域と、前記活性領域の積層方向に上下面にそれぞれ設けられる上部カバー領域及び下部カバー領域と、を含み、
前記第1サイド部及び前記第2サイド部、ならびに前記上部カバー領域及び前記下部カバー領域にはジルコニウム(Zr)が含まれる、積層型キャパシタ。」
とあったものを、
「【請求項1】
誘電体層ならびに第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面及び前記第2面と連結され、前記第3面及び前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含み、前記第1内部電極が前記第3面、前記第5面及び前記第6面に露出し、前記第2内部電極が前記第4面、前記第5面及び前記第6面に露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置される第1サイド部及び第2サイド部と、
前記キャパシタ本体の第3面に配置され、前記第1内部電極と接続される第1外部電極と、前記キャパシタ本体の第4面に配置され、前記第2内部電極と接続される第2外部電極と、を含み、
前記キャパシタ本体は、誘電体層を間に挟んで第1内部電極及び第2内部電極が交互に配置される活性領域と、前記活性領域の積層方向に上下面にそれぞれ設けられる上部カバー領域及び下部カバー領域と、を含み、
前記第1サイド部及び前記第2サイド部、ならびに前記上部カバー領域及び前記下部カバー領域にはジルコニウム(Zr)が含まれ、
前記上部カバー領域及び下部カバー領域のZrの含有量が前記上部カバー領域及び下部カバー領域の全モル(mol)に対して1モル未満であり、
前記第1及び第2サイド部のZrの含有量が前記第1及び第2サイド部の全モル(mol)に対して1モル以上であり、
前記誘電体層の平均厚さが0.4μm以下であり、前記第1及び第2内部電極の平均厚さが0.41μm以下である、積層型キャパシタ。」
とする補正を含むものである(なお、下線部は補正された箇所を示す。)。
2.補正の適否
上記補正は、
(a)補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、Zrが含まれる「上部カバー領域及び下部カバー領域」について、Zrの含有量が「上部カバー領域及び下部カバー領域の全モル(mol)に対して1モル未満」であることの限定を付加するとともに、同じくZrが含まれる「第1サイド部及び第2サイド部」について、Zrの含有量が「第1及び第2サイド部の全モル(mol)に対して1モル以上」であることの限定を付加し、
(b)さらに補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「誘電体層」、「第1及び第2内部電極」について、それぞれその平均厚さが「0.4μm以下」、「0.41μm以下」であることの限定を付加するものである。
上記(a)の補正によれば、「第1サイド部及び第2サイド部」、「上部カバー領域及び下部カバー領域」に含まれるZrの含有量は、全モルに対してそれぞれ「1モル以上」、「1モル未満」であるとされ、「第1サイド部及び第2サイド部」と「上部カバー領域及び下部カバー領域」とで異なる含有量であるとされた。また、特に「第1サイド部及び第2サイド部」にあっては、1モルを超えた含有量であってもよいものとされた。
しかしながら、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、第1サイド部及び第2サイド部、上部カバー領域及び下部カバー領域にそれぞれ含まれるZrの含有量について、【請求項2】に「前記第1サイド部及び前記第2サイド部、ならびに前記上部カバー領域及び前記下部カバー領域に含まれるZrの含有量がそれぞれ1モル以下である」と記載され、また、段落【0072】には「本実施形態において、第1及び第2サイド部141、142、及び上部及び下部カバー領域112、113に含まれるZrの含有量がそれぞれ全モル(mol)比に対して1モル以下であることができる。」と記載され、段落【0076】~【0077】には「また、第1及び第2サイド部141、142と上部及び下部カバー領域112、113においてZrの含有量がそれぞれ全モル(mol)に対して1モルを超えると、BTの焼結性が大幅に低下するため、同等の温度レベルで積層型キャパシタの容量特性を実現することが難しいという問題が発生することがある。 また、焼成時の誘電体層と内部電極が不均衡(mismatching)をなし、積層型キャパシタの電気的特性が低下し、強度及び信頼性も低下するという問題が発生することがある。」
と記載されている。すなわち、これらの記載によれば、「第1サイド部及び第2サイド部」及び「上部カバー領域及び下部カバー領域」に含まれるZrの含有量は、全モルに対して1モルを超えるとBTの焼結性が大幅に低下する等の問題が発生するため、いずれも全モルに対して「1モル以下」とすることが記載されているのみである。そして、実施例についても、全モルに対して「0.5モル」含む場合(実施例1)と「1.0モル」含む場合(実施例2)が記載されているのみである(段落【0094】~【0096】)。
したがって、当初明細書等には、上記(a)の補正により付加された特定事項のように「第1サイド部及び第2サイド部」と「上部カバー領域及び下部カバー領域」とで異なる含有量とすることは記載されておらず、ましてや、「第1サイド部及び第2サイド部」の含有量を1モルを超えたものとすることについては記載も示唆もなく、当初明細書等の上記記載内容と齟齬するものであり、当該(a)の補正は、当初明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。
よって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
令和3年12月6日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年8月23日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
誘電体層ならびに第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面及び前記第2面と連結され、前記第3面及び前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含み、前記第1内部電極が前記第3面、前記第5面及び前記第6面に露出し、前記第2内部電極が前記第4面、前記第5面及び前記第6面に露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置される第1サイド部及び第2サイド部と、
前記キャパシタ本体の第3面に配置され、前記第1内部電極と接続される第1外部電極と、前記キャパシタ本体の第4面に配置され、前記第2内部電極と接続される第2外部電極と、を含み、
前記キャパシタ本体は、誘電体層を間に挟んで第1内部電極及び第2内部電極が交互に配置される活性領域と、前記活性領域の積層方向に上下面にそれぞれ設けられる上部カバー領域及び下部カバー領域と、を含み、
前記第1サイド部及び前記第2サイド部、ならびに前記上部カバー領域及び前記下部カバー領域にはジルコニウム(Zr)が含まれる、積層型キャパシタ。」
第4 原査定について
1.原査定の概要
本願の請求項1に対する原査定(令和3年9月14日付け拒絶査定)の拒絶の理由のうちの理由2(新規性)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2019-102798号公報
2.当審の判断
(1)引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2019-102798号公報、公開日:令和1年6月24日)には、「積層セラミックキャパシタ」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面と第2面を連結する第3面及び第4面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び第2面に露出し、且つ前記第3面または第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び第2面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含む積層セラミックキャパシタであって、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部とセラミック本体は、Ba及びTiを含む母材主成分と副成分を含み、
前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部に含まれる誘電体組成と、セラミック本体に含まれる誘電体組成とが互いに異なり、前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部の誘電率が、前記セラミック本体の誘電率より低い、積層セラミックキャパシタ。」
イ.「【0016】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【0017】
図2は図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0018】
図3は図1のII-II'線に沿った断面図であり、図4は図1に示された積層セラミックキャパシタを構成する一誘電体層を示す上部平面図である。
【0019】
図1から図4を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタは、セラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成される複数の内部電極121、122と、上記セラミック本体110の外表面に形成される外部電極131、132と、を含む。
【0020】
上記セラミック本体110は、互いに対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面と第2面を連結する第3面3及び第4面4と、上面及び下面である第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0021】
上記第1面1及び第2面2はセラミック本体110の幅方向において対向する面、上記第3面3及び第4面4は長さ方向において対向する面、上記第5面5及び第6面6は厚さ方向において対向する面と定義することができる。
【0022】
上記セラミック本体110の形状は特に制限されないが、図面に示すように、直方体形状であることができる。
【0023】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数の内部電極121、122は、セラミック本体の第3面3または第4面4に一端が露出する。
【0024】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対とすることができる。
【0025】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出し、第2内部電極122の一端は第4面4に露出することができる。
【0026】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の他端は、第3面3または第4面4から所定の間隔を置いて形成される。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0027】
上記セラミック本体の第3面3及び第4面4には第1及び第2外部電極131、132が形成され、上記内部電極とそれぞれ電気的に接続されることができる。
【0028】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記セラミック本体110の内部に配置され、上記第1及び第2面1、2に露出し、且つ上記第3面3または第4面4に一端が露出する複数の内部電極121、122と、上記第1面1及び第2面2に露出した上記内部電極121、122の端部上に配置された第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114と、を含む。
【0029】
上記セラミック本体110の内部には複数の内部電極121、122が形成される。上記複数の内部電極121、122の各末端は、上記セラミック本体110の幅方向の面である第1面1及び第2面2に露出し、露出した端部上に第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114が配置される。
【0030】
第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114の厚さd1は、18μm以下であることができる。
【0031】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110は、複数の誘電体層112が積層された積層体111と、上記積層体の両側面に形成される第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114とで構成されることができる。」
ウ.「【0064】
本発明の一実施形態において、上記セラミック本体110は、第1内部電極121と第2内部電極122が重なる領域である活性領域と、上記活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域までを含む部分を意味する。」
エ.「【0075】
上記第1及び第2サイドマージン部113、114と上記セラミック本体110に含まれる誘電体磁気組成物は、Ba及びTiを含む母材主成分を含むことができる。
【0076】
上記母材主成分は、BaTiO3またはCa、Zr、Snなどが一部固溶した(Ba,Ca)(Ti,Ca)O3、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O3、Ba(Ti,Zr)O3、(Ba,Ca)(Ti,Sn)O3で表される主成分を含む。上記母材主成分は、粉末の形態で含まれることができる。」
オ.「
[図:0001395810000001.jpg]
」
カ.「
[図:0001395810000002.jpg]
」
キ.「
[図:0001395810000003.jpg]
」
ク.「
[図:0001395810000004.jpg]
」
上記「ア.」ないし「ク.」から以下のことがいえる。
・引用文献1に記載の「積層セラミックキャパシタ」は、上記「ア.」、「イ.」の記載、及び「オ.」ないし「ク.」(図1ないし図4)によれば、複数の誘電体層112が積層され、内部に複数の内部電極121、122が配置された、幅方向において互いに対向する第1面1及び第2面2と、第1面1と第2面2を連結し、長さ方向において対向する第3面3及び第4面4と、上面及び下面であり、厚さ方向において対向する第5面5及び第6面6とを含むセラミック本体110を含む。
・上記「ア.」、「イ.」の記載、及び「カ.」ないし「ク.」(図2ないし図4)によれば、セラミック本体110の内部に配置された複数の内部電極121、122は、第1面1及び第2面2に露出し、且つ第3面3に一端が露出する第1内部電極121と、第1面1及び第2面2に露出し、且つ第4面4に一端が露出する第2内部電極122とからなる。
・上記「ア.」、「イ.」の記載、及び「カ.」(図2)、「ク.」(図4)によれば、第1面1及び第2面2に露出した内部電極121、122の端部上には、それぞれ第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114が配置される。
・上記「イ.」の記載、及び「オ.」(図1)、「キ.」(図3)、「ク.」(図4)によれば、積層セラミックキャパシタは、セラミック本体110の第3面3に形成され、第1内部電極121と電気的に接続される第1外部電極131と、セラミック本体110の第4面4に形成され、第2内部電極122と電気的に接続される第2外部電極132とを含む。
・上記「ウ.」の記載によれば、セラミック本体110は、第1内部電極121と第2内部電極122が重なる領域である活性領域と、当該活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域までを含むものである。
・上記「エ.」の記載によれば、第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114とセラミック本体110は、Ba及びTiを含むとともにZrなどが一部固溶した母材主成分(「Ba(Ti,Zr)O3」等)を含むことができるものである。
以上のことから、特に第1サイドマージン部113及び第2サイドマージン部114とセラミック本体110がBa及びTiを含むとともにZrが一部固溶した母材主成分(「Ba(Ti,Zr)O3」など)を含む場合のものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複数の誘電体層が積層され、内部に複数の内部電極が配置された、幅方向において互いに対向する第1面及び第2面と、前記第1面と前記第2面を連結し、長さ方向において対向する第3面及び第4面と、上面及び下面であり、厚さ方向において対向する第5面及び第6面とを含むセラミック本体であって、前記複数の内部電極が、前記第1面及び前記第2面に露出し、且つ前記第3面に一端が露出する第1内部電極と、前記第1面及び前記第2面に露出し、且つ前記第4面に一端が露出する第2内部電極とからなる、セラミック本体と、
前記セラミック本体の第1面及び第2面に露出した前記内部電極の端部上にそれぞれ配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、
前記セラミック本体の第3面に形成され、前記第1内部電極と電気的に接続される第1外部電極と、前記セラミック本体の第4面に形成され、前記第2内部電極と電気的に接続される第2外部電極と、を含み、
前記セラミック本体は、前記第1内部電極と前記第2内部電極が重なる領域である活性領域と、当該活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域までを含むものであり、
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部と前記セラミック本体は、Ba及びTiを含むとともにZrなどが一部固溶した母材主成分(「Ba(Ti,Zr)O3」等)を含む、積層セラミックキャパシタ。」
(2)対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
ア.キャパシタ本体について
引用発明における「誘電体層」は、本願発明でいう「誘電体層」に相当する。
引用発明における複数の誘電体層が積層されてなるセラミック本体ついて、厚さ方向において対向する「第5面及び第6面」、第1面と第2面を連結し、長さ方向において対向する「第3面及び第4面」、幅方向において互いに対向する「第1面及び第2面」が、それぞれ本願発明でいう互いに対向する「第1面及び第2面」、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する「第3面及び第4面」、前記第1面及び前記第2面と連結され、前記第3面及び前記第4面と連結され、互いに対向する「第5面及び第6面」に相当する。
引用発明におけるセラミック本体の内部に配置された複数の内部電極について、「第1内部電極」は第1面及び第2面に露出し、且つ第3面に一端が露出するものであり、「第2内部電極」は第1面及び第2面に露出し、且つ第4面に一端が露出するものであるから、それぞれ本願発明でいう第3面、第5面及び第6面に露出する「第1内部電極」、第4面、第5面及び第6面に露出する「第2内部電極」に相当する。
そして、引用発明における「セラミック本体」は、上述の誘電体層と第11内部電極及び第2内部電極からなる複数の内部電極を含むといえるものであるから、本願発明でいう「キャパシタ本体」に相当するものである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「誘電体層ならびに第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面及び前記第2面と連結され、前記第3面及び前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含み、前記第1内部電極が前記第3面、前記第5面及び前記第6面に露出し、前記第2内部電極が前記第4面、前記第5面及び前記第6面に露出するキャパシタ本体と」を含むものである点で一致する。
また、引用発明における「セラミック本体」は、第1内部電極と第2内部電極が重なる領域である活性領域と、当該活性領域に対応する上部及び下部カバー部領域までを含むものであるところ、かかる「活性領域」、「上部及び下部カバー部領域」は、それぞれ本願発明でいう「活性領域」、「上部カバー領域及び下部カバー領域」に相当する。
そして、引用発明におけるセラミック本体にあっても、第1内部電極と第2内部電極が誘電体層を間に挟んで配置されてなるものであることは自明なことである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記キャパシタ本体は、誘電体層を間に挟んで第1内部電極及び第2内部電極が交互に配置される活性領域と、前記活性領域の積層方向に上下面にそれぞれ設けられる上部カバー領域及び下部カバー領域と」を含むものである点で一致する。
イ.第1サイド部及び第2サイド部について
引用発明における「第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部」は、セラミック本体の第1面及び第2面に露出した内部電極の端部上にそれぞれ配置されたものであり、本願発明でいうキャパシタ本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置される「第1サイド部及び第2サイド部」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記キャパシタ本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置される第1サイド部及び第2サイド部と」を含むものである点で一致する。
ウ.第1外部電極及び第2外部電極について
引用発明における「第1外部電極」はセラミック本体の第3面に形成され、第1内部電極と電気的に接続されるものであり、「第2外部電極」はセラミック本体の第4面に形成され、第2内部電極と電気的に接続されるものであるから、それぞれ本願発明でいうキャパシタ本体の第3面に配置され、第1内部電極と接続される「第1外部電極」、キャパシタ本体の第4面に配置され、第2内部電極と接続される「第2外部電極」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記キャパシタ本体の第3面に配置され、前記第1内部電極と接続される第1外部電極と、前記キャパシタ本体の第4面に配置され、前記第2内部電極と接続される第2外部電極と」を含むものである点で一致する。
エ.Zrの含有について
引用発明において、「第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部」と「セラミック本体」は、Ba及びTiを含むとともにZrなどが一部固溶した母材主成分(「Ba(Ti,Zr)O3」等)を含むものであるところ、「セラミック本体」は、活性領域だけでなく、上部及び下部カバー部領域までを含むものである。
してみると、「第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部」とセラミックス本体のうちの「上部及び下部カバー部領域」はいずれも、Ba及びTiを含むとともにZrなどが一部固溶した母材主成分(「Ba(Ti,Zr)O3」等)を含む、すなわちZrが含まれるものであるといえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記第1サイド部及び前記第2サイド部、ならびに前記上部カバー領域及び前記下部カバー領域にはジルコニウム(Zr)が含まれる」ものである点で一致する。
オ.積層型キャパシタについて
そして、引用発明における「積層セラミックキャパシタ」は、本願発明でいうキャパシタ本体、第1及び第2サイド部、第1及び第2外部電極、そして上部及び下部カバー領域とを含むものであるから、本願発明でいう「積層型キャパシタ」に相当するものである。
よって、本願発明と引用発明とは、
「誘電体層ならびに第1内部電極及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面及び前記第2面と連結され、前記第3面及び前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含み、前記第1内部電極が前記第3面、前記第5面及び前記第6面に露出し、前記第2内部電極が前記第4面、前記第5面及び前記第6面に露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第5面及び第6面にそれぞれ配置される第1サイド部及び第2サイド部と、
前記キャパシタ本体の第3面に配置され、前記第1内部電極と接続される第1外部電極と、前記キャパシタ本体の第4面に配置され、前記第2内部電極と接続される第2外部電極と、を含み、
前記キャパシタ本体は、誘電体層を間に挟んで第1内部電極及び第2内部電極が交互に配置される活性領域と、前記活性領域の積層方向に上下面にそれぞれ設けられる上部カバー領域及び下部カバー領域と、を含み、
前記第1サイド部及び前記第2サイド部、ならびに前記上部カバー領域及び前記下部カバー領域にはジルコニウム(Zr)が含まれる、積層型キャパシタ。」
である点で一致し、相違するところがない。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-016792