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特許拒絶査定不服審判

2021-016592

電子機器

審判番号
2021-016592
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-122124外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月03日
審決日
2022年10月20日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H05K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第159条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-122124「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月17日出願公開、特開2019- 9214〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年6月22日の出願であって、令和3年3月2日付けで拒絶理由が通知され、同年4月19日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月7日付けで拒絶査定されたところ、同年12月3日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和3年12月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年12月3日にされた手続補正を却下する。

[理由]

1 補正の概要

令和3年12月3日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和3年4月19日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明特定事項により特定される、

「 高さが不均一である複数の電子部品を搭載した第1の基板と、
高さが不均一である複数の電子部品を搭載した、前記第1の基板よりも表面積が小さい第2の基板と、を備えた電子機器であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板は、
一方の基板が他方の基板上に重なるように配置された際に、
前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品が、前記第2の基板に搭載された高さの低い電子部品、又は、前記第2の基板の電子部品が搭載されていない領域と対向するように配置され、
且つ、前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品が、前記第1の基板に搭載された高さの低い電子部品、又は、前記第1の基板の電子部品が搭載されていない領域と対向するように配置され、
且つ、前記第1の基板に搭載された最も高さの高い電子部品は、当該第1の基板の前記第2の基板が重ならない領域に配置され、
且つ、前記第1の基板には、当該第1の基板に搭載された最も高さの高い電子部品と、当該第1の基板に搭載された前記最も高さの高い電子部品以外の電子部品と、の間にシールド部材が配置される、
ことを特徴とする電子機器。」

との発明(以下、「本願発明」という。)を、

「 高さが不均一である複数の電子部品を搭載した第1の基板と、
高さが不均一である複数の電子部品を搭載した、前記第1の基板よりも表面積が小さい第2の基板と、を備えた電子機器であって、
前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する接続部材と、
前記第1の基板に配置されたシールド部材と、
続きを表示(全14行)
を備え、
前記第1の基板及び前記第2の基板は、
一方の基板が他方の基板上に重なるように配置された際に、
前記第1の基板に搭載された高さの高い第2電子部品が、前記第2の基板に搭載された高さの低い第5電子部品と対向するように配置され、
且つ、前記第2の基板に搭載された高さの高い第4電子部品が、前記第1の基板に搭載された高さの低い第3電子部品と対向するように配置され、
且つ、前記第1の基板に搭載された最も高さの高い第1電子部品は、当該第1の基板の前記第2の基板が重ならない領域に配置され、
前記シールド部材は、
前記第1電子部品と、当該第1の基板に搭載された前記第2電子部品及び前記第3電子部品と、の間、且つ、前記第1電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に、前記第1の基板から前記第2の基板に亘って配置されたシールド壁と、
前記第1の基板に搭載された第2電子部品及び前記第3電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に配置されたシールド板と、が一体化した1つの部材である、
ことを特徴とする電子機器。」(下線部は、補正箇所を示す。)

との発明(以下、「本件補正発明」という。)とする補正を含むものである。

2 補正の適否

(1)補正の目的要件

上記補正の内容は、以下の「ア.」ないし「エ.」のとおりである。

ア.前記第1の基板と前記第2の基板とが接続部材によって接続されることを特定する補正。

イ.シールド部材について、「前記第1の基板に配置され」、「前記第1電子部品と、当該第1の基板に搭載された前記第2電子部品及び前記第3電子部品と、の間、且つ、前記第1電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に、前記第1の基板から前記第2の基板に亘って配置されたシールド壁と、前記第1の基板に搭載された第2電子部品及び前記第3電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に配置されたシールド板と、が一体化した1つの部材である」ことを特定する補正。

ウ.「第1の基板に搭載された高さの高い」電子部品が「第2電子部品」であり、

「前記第2の基板に搭載された高さの低い」電子部品が「第5電子部品」であり、

「前記第2の基板に搭載された高さの高い」電子部品が「第4電子部品」であり、

「前記第1の基板に搭載された高さの低い」電子部品が「第3電子部品」であり、

「前記第1の基板に搭載された最も高さの高い」電子部品が「第1電子部品」であることを特定する補正。

エ.選択的な構成の選択肢であった「前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品」が、「前記第2の基板の電子部品が搭載されていない領域と対向するように配置され」る構成、及び、「前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品」が、「前記第1の基板の電子部品が搭載されていない領域と対向するように配置され」る構成を削除する補正。

そうしてみると、上記補正の内容「ア.」ないし「エ.」はいずれも構成を限定する補正であり、上記補正の前後で産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当し、特許法第17条の2第5項第2号に規定された事項を目的とするものである。

(2)独立特許要件について

上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、すなわち、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。

ア 本件補正発明

本件補正発明は、上記「1 補正の概要」の項の「本件補正発明」のとおりのものと認める。

イ 引用発明

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に公開された文献である特開平11-87871号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付した。

a.「【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、従来のものより占有面積、占有体積を減少させた回路基板およびこれを応用した薄型電源装置に関する。」

b.「【0015】上述の実施の形態においては、ソリッドな基板とフレキシブルな基板を1枚ずつ用いたが、本願はこれに限るものではなく、ソリッドな基板2枚を用いても、フレキシブルな基板2枚を用いてもよい。図3は、本発明の実施形態の他の一例を示す断面図であり、図中符号11は下部基板、符号12は上部基板、符号13はフレキシブル基板、符号14は接続部、符号15は電子部品である。本実施の形態においては、下部基板11および上部基板12は、その厚み方向に併設されており、フレキシブル基板13はその両端が曲げられ、接続部14、14において下部基板11および上部基板12に固定されるとともに、下部基板11および上部基板12の回路を電気的に接続する役割を果たす。下部基板11および上部基板12の対向面上にはそれぞれ、複数の電子部品15、15…が、下部基板11および上部基板12の内面と、電子部品15、15…から構成される凹凸がそれぞれ互い違いになるように取り付けられている。

【0016】上記のような構成とすることで、本来下部基板11上に取り付けられていた電子部品15、15…を上部基板12に移動させた分だけ下部基板11の面積を減少させることができる。下部基板11に実装した電子部品15、15…と、上部基板12に実装した電子部品15、15…は、下部基板11および上部基板12の内面と、電子部品15、15…から構成される凹凸がそれぞれ互い違いになるように取り付けられているので、下部基板11と上部基板12が厚み方向に併設されていても、全体の厚さはそれぞれの基板を単独で使用した場合と大きく変わることはない。」

c.図1、図3として以下の図面が記載されている。

「図1
[図:0001392756000001.jpg]
図3
[図:0001392756000002.jpg]
」

(イ)上記の記載によれば、引用文献1には図3に記載された実施形態について次の事項が記載されている。

・段落【0001】によれば、引用文献1は「薄型電源装置」に関するものである。

・図3に記載された実施形態に関して、段落【0015】によれば、「ソリッドな基板2枚を用い」た「下部基板11および上部基板12は、その厚み方向に併設されており、フレキシブル基板13はその両端が曲げられ、接続部14、14において下部基板11および上部基板12に固定されるとともに、下部基板11および上部基板12の回路を電気的に接続」している。また、「下部基板11および上部基板12の対向面上にはそれぞれ、複数の電子部品15、15…が、下部基板11および上部基板12の内面と、電子部品15、15…から構成される凹凸がそれぞれ互い違いになるように取り付けられている」。

・段落【0015】の「下部基板11および上部基板12の対向面上にはそれぞれ、複数の電子部品15、15…が、下部基板11および上部基板12の内面と、電子部品15、15…から構成される凹凸がそれぞれ互い違いになるように取り付けられ」るとの記載、及び、図3をみれば、下部基板11上の複数の電子部品15、15…の高さは不均一であり、上部基板12上の複数の電子部品15、15…の高さも不均一であるといえる。

・段落【0016】によれば、「下部基板11と上部基板12が厚み方向に併設されていても、全体の厚さはそれぞれの基板を単独で使用した場合と大きく変わることはない」という効果を奏するものである。

(ウ)以上を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ソリッドな基板2枚を用いた下部基板11および上部基板12は、その厚み方向に併設されており、フレキシブル基板13はその両端が曲げられ、接続部14、14において下部基板11および上部基板12に固定されるとともに、下部基板11および上部基板12の回路が電気的に接続され、
下部基板11および上部基板12の対向面上にはそれぞれ、複数の電子部品15、15…が、下部基板11および上部基板12の内面と、電子部品15、15…から構成される凹凸がそれぞれ互い違いになるように取り付けられ、
下部基板11上の複数の電子部品15、15…の高さは不均一であり、上部基板12上の複数の電子部品15、15…の高さも不均一であり、
下部基板11と上部基板12が厚み方向に併設されていても、全体の厚さはそれぞれの基板を単独で使用した場合と大きく変わることはない、
薄型電源装置。」

ウ 公知技術

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に公開された文献である特開2013-21671号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付した。

a.「【0112】

前記構造によれば、第1プリント基板210と第2プリント基板220との間の空間に厚い電子素子と薄い電子素子とが対向して配置されるので、高さの低い電子素子の上部空間を活用することができる。従って、電子素子をより集積化した高密度のプリント基板アセンブリ200を提供することができる。」

b.「【0138】

図9及び図10に示すように、本実施形態によるプリント基板アセンブリ400は、遮断壁430及び遮断層440を除いては、前述したプリント基板アセンブリ200、300と同様の構成を有する。第1電子素子411が第1プリント基板410と第2プリント基板420との間の空間で第1電子素子411の厚さ方向と垂直な方向に第2電子素子422と重なるように配置される構造は同様である。

【0139】

以下、遮断壁430及び遮断層440からなる共通シールド構造を中心に説明する。

【0140】

第1プリント基板410と第2プリント基板420との間の空間には、第1~第4電子素子411、422、413、424を囲むように構成される遮断壁430が配置される。遮断壁430は、第1~第4電子素子411、422、413、424が配置される内部領域と外部領域間のEMIを遮蔽するように構成される。遮断壁430は、前述したシールド缶230、240、340及びシールドウォール330のように、金属材質で形成してもよく、特定の部材に金属物質をラミネートして形成してもよい。

【0142】

遮断壁430の内部には、第1及び第3電子素子411、413が配置される領域と第2及び第4電子素子422、424が配置される領域を分割するように、これらの間を横切る遮断層440が配置されてもよい。遮断層440は、第1及び第3電子素子411、413と第2及び第4電子素子422、424間のEMIを遮蔽するように構成される。

【0143】

遮断層440は、前述したシールド缶230、240、340のように、段差を有して形成されてもよい。具体的には、遮断層440は、第1~第3遮断層441、442、443を含む。第1遮断層441は、第1電子素子411の上面を覆うように、すなわち、第1電子素子411と第4電子素子424との間に配置される。第2遮断層442は、第2電子素子422の上面を覆うように、すなわち、第2電子素子422と第3電子素子413との間に配置される。第1及び第2電子素子411、422の重畳配置により、第1及び第2遮断層441、442は、いずれか一方のプリント基板を基準に異なる高さを有する。第3遮断層443は、第1遮断層441と第2遮断層442とを連結するように形成される。

【0144】

遮断壁430と遮断層440とは一体に形成してもよい。例えば、一体化した構造の遮断壁430及び遮断層440は、複数のプレス工程により1つの金属部材で形成してもよく、溶接などの結合により形成してもよい。」

c.図10として以下の図面が記載されている。

[図:0001392756000003.jpg]

・上記図10より、遮断壁430は第2プリント基板から第1プリント基板に亘って配置されていることが見て取れ、また、遮断壁430と遮断層440とからなる共通シールド構造は第2プリント基板420上に配置されているといえる。

(イ)上記の記載によれば、引用文献3には図10に記載された実施形態について次の技術事項(以下、「公知技術」という。)が記載されていると認められる。

「 第1プリント基板と第2プリント基板との間の空間に厚い電子素子と薄い電子素子とが対向して配置された構成において、
第1プリント基板と第2プリント基板との間の空間には、第1プリント基板と第2プリント基板上の電子素子を囲むように第1プリント基板から第2プリント基板へ亘る遮断壁を配置し、遮断壁の内部には、第1プリント基板上の電子素子が配置される領域と第2プリント基板上の電子素子が配置される領域を分割するように、これらの間を横切る段差を有する遮断層を配置し、遮断壁と遮断層とは一体に形成して共通シールド構造とし、共通シールド構造は第2プリント基板上に配置されること。」

エ 対比

(ア)本件補正発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明において、下部基板11上の複数の電子部品15、15…の高さは不均一であり、上部基板12上の複数の電子部品15、15…の高さも不均一である。したがって、引用発明の「下部基板11」が本件補正発明の「高さが不均一である複数の電子部品を搭載した第1の基板」に、引用発明の「上部基板12」が本件補正発明の「高さが不均一である複数の電子部品を搭載した」「第2の基板」にそれぞれ相当する。

しかしながら、本件補正発明においては「第2の基板」は「第1の基板よりも表面積が小さい」のに対して、引用発明においては表面積の大小について言及されていない点で相違している。

b.引用発明における「フレキシブル基板13」は、「接続部14、14において下部基板11および上部基板12に固定されるとともに、下部基板11および上部基板12の回路を電気的に接続」しているから、本件補正発明の第1の基板と第2の基板とを接続する「接続部材」に相当する。

c.引用発明において「下部基板11および上部基板12の対向面上にはそれぞれ、複数の電子部品15、15…が、下部基板11および上部基板12の内面と、電子部品15、15…から構成される凹凸がそれぞれ互い違いになるように取り付けられ」ているから、本件補正発明の「前記第1の基板に搭載された高さの高い第2電子部品が、前記第2の基板に搭載された高さの低い第5電子部品と対向するように配置され、且つ、前記第2の基板に搭載された高さの高い第4電子部品が、前記第1の基板に搭載された高さの低い第3電子部品と対向するように配置され」る第2ないし第5電子部品に相当する電子部品15、15…が引用発明に存在することは明らかである。

d.上記a.ないしc.のとおり、引用発明における「薄型電源装置」は、本件補正発明でいう「第1の基板」「第2の基板」高さの異なる複数の「電子部品」を備えているから、本件補正発明の「電子機器」に相当する。

e.本件補正発明の「前記第1の基板に搭載された最も高さの高い第1電子部品は、当該第1の基板の前記第2の基板が重ならない領域に配置され」ている構成に相当するについて、引用発明には記載されていない点で相違している。

f.本件補正発明の「第1の基板に配置され」「前記第1電子部品と、当該第1の基板に搭載された前記第2電子部品及び前記第3電子部品と、の間、且つ、前記第1電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に、前記第1の基板から前記第2の基板に亘って配置されたシールド壁と、前記第1の基板に搭載された第2電子部品及び前記第3電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に配置されたシールド板と、が一体化した1つの部材である」「シールド部材」を引用発明は有していない点で相違している。

(イ)したがって、本件補正発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)

「 高さが不均一である複数の電子部品を搭載した第1の基板と、
高さが不均一である複数の電子部品を搭載した第2の基板と、を備えた電子機器であって、
前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する接続部材と、
を備え、
前記第1の基板及び前記第2の基板は、
一方の基板が他方の基板上に重なるように配置された際に、
前記第1の基板に搭載された高さの高い第2電子部品が、前記第2の基板に搭載された高さの低い第5電子部品と対向するように配置され、
且つ、前記第2の基板に搭載された高さの高い第4電子部品が、前記第1の基板に搭載された高さの低い第3電子部品と対向するように配置される、
ことを特徴とする電子機器。」

(相違点1)

引用発明には、本件補正発明の第2の基板の表面積が第1の基板の表面積よりも小さい構成に相当する構成が明示されていない点。

(相違点2)

引用発明には、本件補正発明の「前記第1の基板に搭載された最も高さの高い第1電子部品は、当該第1の基板の前記第2の基板が重ならない領域に配置され」る構成に相当する構成が明示されていない点。

(相違点3)

引用発明には、本件補正発明の「前記第1電子部品と、当該第1の基板に搭載された前記第2電子部品及び前記第3電子部品と、の間、且つ、前記第1電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に、前記第1の基板から前記第2の基板に亘って配置されたシールド壁と、前記第1の基板に搭載された第2電子部品及び前記第3電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に配置されたシールド板と、が一体化した1つの部材である」「前記第1の基板に配置されたシールド部材」に相当する構成が明示されていない点。

オ 判断

相違点1について、引用文献1では、段落【0016】の「本来下部基板11上に取り付けられていた電子部品15、15…を上部基板12に移動させた分だけ下部基板11の面積を減少させることができる。」との記載からみて、必ずしも下部基板11の半分の電子部品を上部基板に移動させ、上部基板12と下部基板11の表面積を等しくしなければならないことを意図していないことは明らかであり、図1に上部基板(フレキシブル基板2)が下部基板(基板1)よりも小さいものが記載されていることを踏まえれば、相違点1とした構成は引用文献1においても想定されている事項といえ、格別なものとはいえない。

次に、相違点2について検討する。最も高さの高い電子部品は厚さ方向に実装するためのスペースを必要とするところ、全体を薄く構成しようとするときに、第1の基板と第2の基板とが重ならない領域に配置することは、例えば原査定の拒絶の理由で引用された特開2006-261387号公報の段落【0102】及び第4図に記載されているように技術常識に過ぎず、また、引用文献1の図1にも背の高い電子部品がフレキシブル基板2が重ならない領域に載置されていることが見て取れることを勘案すれば、基板上に部品を配置する際に適宜採用できた事項にすぎないものである。したがって、相違点2とした構成はこれらの技術常識を踏まえれば適宜構成できた事項にすぎない。

相違点3について検討する。プリント基板上で部品間の干渉を防止するためシールドを施すことは技術常識として一般的な事項であり、引用発明においても、採用する回路構成や、プリント基板を対向させることにより部品同士が接近することなどから、シールドの必要性が生じることも容易に予見される事項である。

一方、上記「ウ.(イ)」に記載したように、「第1プリント基板と第2プリント基板との間の空間に厚い電子素子と薄い電子素子とが対向して配置された構成において、第1プリント基板と第2プリント基板との間の空間には、第1プリント基板と第2プリント基板上の電子素子を囲むように第1プリント基板から第2プリント基板へ亘る遮断壁を配置し、遮断壁の内部には、第1プリント基板上の電子素子が配置される領域と第2プリント基板上の電子素子が配置される領域を分割するように、これらの間を横切る段差を有する遮断層を配置し、遮断壁と遮断層とは一体に形成して共通シールド構造とし、共通シールド構造は第2プリント基板上に配置されること」は公知技術である。

そうしてみると、上記公知技術に接した当業者であれば、引用発明にシールドを設ける場合、2枚の基板が対向しているという前提構成を等しくする公知技術を採用することは容易に成し得た事項にすぎない。そして、公知発明を引用発明に適用すれば、2枚の基板が重ならない領域に最も高さの高い電子部品があれば、当該電子部品と2枚の基板が重なる領域における電子部品との間に遮断壁が構成されることになるから、相違点3とした本件補正発明の構成は、引用発明に公知技術を適用することにより容易に想到できたものにすぎない。

そして、本件補正発明の効果も、引用発明及び公知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別のものとはいえない。

(3)小括

以上のとおり、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び公知技術から容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合していない。

したがって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和3年12月3日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、令和3年4月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2」[理由]の「1 補正の概要」の「本願発明」のとおりのものと認める。

2 原査定の拒絶の理由

本願発明に係る原査定の拒絶の理由の概要は、

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1ないし3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、引用文献として以下が提示されている。

<引用文献等一覧>

1.特開平11-087871号公報

2.特開2006-261387号公報

3.特開2013-021671号公報

3 引用発明

原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2」[理由]の「2(2)イ」に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記「第2」[理由]の「2(2)」で検討した本件補正発明から、以下の限定を省いたものである。

(1)電子機器が「前記第1の基板と前記第2の基板とを接続する接続部材と、前記第1の基板に配置されたシールド部材と、」を備えているという限定。

(2)「前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品が」、「前記第2の基板の電子部品が搭載されていない領域と対向するように配置され」るという選択的構成を削除するという限定。

(3)「前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品が」、「前記第1の基板の電子部品が搭載されていない領域と対向するように配置され」るという選択的構成を削除するという限定。

(4)「シールド部材」に関して、「前記第1の基板には、当該第1の基板に搭載された最も高さの高い電子部品と、当該第1の基板に搭載された前記最も高さの高い電子部品以外の電子部品と、の間にシールド部材が配置される」としていたものを、シールド部材がシールド壁とシールド板とが一体化した1つの部材であると限定し、さらに、シールド壁は「前記第1電子部品と、当該第1の基板に搭載された前記第2電子部品及び前記第3電子部品と、の間、且つ、前記第1電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に、前記第1の基板から前記第2の基板に亘って配置されたシールド壁」であり、「シールド板」は「前記第1の基板に搭載された第2電子部品及び前記第3電子部品と、前記第2の基板に搭載された前記第4電子部品及び前記第5電子部品と、の間に配置されたシールド板」であるとする限定。

(5)第1の基板に搭載された高さの高い電子部品が第2電子部品であり、

前記第2の基板に搭載された高さの低い電子部品が第5電子部品であり、

前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品が第4電子部品であり、

前記第1の基板に搭載された高さの低い電子部品が第3電子部品であり、

前記第1の基板に搭載された最も高さの高い電子部品が第1電子部品であるとする限定。

そうしてみると、上記「第2[理由]2(2)オ」で検討したように、本願発明を限定した本件補正発明が引用文献1に記載された発明及び公知技術から当業者が容易に発明できたものであるから、本件補正発明から構成の一部を省いた本願発明は、引用文献1に記載された発明及び公知技術から当業者が容易に発明できたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-016592

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