特許拒絶査定不服審判
2021-016279
遊技機
- 審判番号
- 2021-016279
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-067412外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年11月29日
- 審決日
- 2022年10月05日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 67412「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月 2日出願公開、特開2020- 99819〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成24年10月11日に出願した特願2012-225764の一部を平成28年12月6日に新たな特許出願(特願2016-236786)とし、さらにその一部を平成30年8月9日に新たな特許出願(特願2018-150628)とし、さらにその一部を令和2年4月3日に新たな特許出願(特願2020-67412)としたものであって、令和2年5月1日に手続補正書が提出され、令和3年5月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月29日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月18日付け(送達日:同年同月31日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和4年5月25日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年7月28日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年7月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A等は、本願発明を分説するために当審で付与した)。
「【請求項1】
A 所定の表示演出を表示画面にて実行する手段と、
B 遊技者により押圧操作される操作面を有する操作手段と、
C 当該操作手段の操作に応じた演出を前記表示画面にて実施可能な演出実施手段と、
D 前記操作手段の所定操作を行うための遊技者が手に持つ操作体の変位を把握する把握手段と、
を備え、
D 前記把握手段は、
D1 前記操作体が第1方向に変位したことを把握可能な第1手段と、
D2 前記操作体が前記第1方向と交差する第2方向に変位したことを把握可能な第2手段と、
を備え、
C 前記演出実施手段は、
C1 前記第1手段による把握結果に基づいて第1演出を実施する第1演出手段と、
C2 前記第2手段による把握結果に基づいて前記第1演出とは異なる第2演出を実施する第2演出手段と、
を備え、
G 遊技者による操作が行われる前に、前記操作手段による特定演出を実行することが可能な手段を備え、
E 前記所定操作は、前記表示画面と前後方向に重複しない位置で実行される
F ことを特徴とする遊技機。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、以下のものを含むものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1
・引用文献等 1
<引用文献等一覧>
1.特開2012-176277号公報
第4 引用文献に記載された事項、引用発明、周知例に記載された事項、周知技術
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
当審拒絶理由に引用文献1として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-176277号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために当審で付した。以下、同様。)。
ア「【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
・・・
【0018】
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数に分割された可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々が識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄を可変表示する。この飾り図柄の可変表示(変動表示)も、可変表示ゲームに含まれる。」
イ「【0021】
画像表示装置5では、各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rとなる表示領域として、3つの領域が接着して、あるいは、分離して、あるいは、接着及び分離が可能に、設けられてもよい。画像表示装置5における表示動作は、図3に示す演出制御基板12に搭載されている演出制御用CPU120によって制御される。演出制御用CPU120は、第1特別図柄表示装置4Aで第1特図の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って画像表示装置5で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示装置4Bで第2特図の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って画像表示装置5で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて可変表示される飾り図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」~「8」あるいは漢数字「一」~「八」、英文字「A」~「H」、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなど。なお、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい。)で構成される。また、こうした8種類の飾り図柄の他に、ブランク図柄(大当り組合せを構成しない図柄)が含まれていてもよい。飾り図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」~「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」~「8」の図柄番号が付されている。なお、飾り図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやハズレとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。」
ウ「【0040】
下皿を形成する部材には、例えば下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ30が取り付けられている。図2は、スティックコントローラ30の構成例を示している。スティックコントローラ30は、遊技者が把持する操作桿30Aを含み、操作桿30Aの所定位置(例えば遊技者が操作桿30Aを把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガボタン31Aが設けられている。トリガボタン31Aは、遊技者がスティックコントローラ30の操作桿30Aを操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作桿30Aの内部には、トリガボタン31Aに対する押引操作などによる所定の指示操作を検知するトリガセンサ35A(図3を参照)が内蔵されていればよい。スティックコントローラ30の下部における下皿の本体内部などには、操作桿30Aに対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット32が設けられていればよい。例えば、傾倒方向センサユニット32は、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成されていればよい。なお、下皿におけるスティックコントローラ30の取付位置は、下皿の中央部分に限定されず、左右のいずれかに寄せた位置であってもよい。」
エ「【0067】
「プッシュボタン単発」や「プッシュボタン連打」、「トリガボタン単発」、「トリガボタン連打」といった操作系予告となる予告演出では、飾り図柄の可変表示中に、ボタン操作促進演出となる所定の演出動作が行われるようにすればよい。ボタン操作促進演出は、例えば画像表示装置5の表示領域における所定位置に、予め用意されたキャラクタ画像やメッセージ画像といった演出画像を表示させることなどにより、遊技者によるプッシュボタン31Bやトリガボタン31Aの操作を促す演出動作であればよい。遊技者による操作を促す演出動作としては、画像表示装置5に演出画像を表示させるものに限定されず、スピーカ8L、8Rから所定の音声を出力させるもの、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを所定の点灯パターンで点灯あるいは点滅させるもの、遊技領域の内部又は外部に設けられた演出用模型を所定の動作態様で動作させるもの、あるいは、これらのいずれかを組み合わせたものであってもよい。こうしたボタン操作促進演出が行われるときには、遊技者による操作行為を有効に検出する操作有効期間となる。そして、操作有効期間内に遊技者による操作行為が検出されたことに応じて、例えば予め用意された複数種類の演出画像のうちいずれかの演出画像を画像表示装置5に表示させることや、予め用意された複数種類の音声パターンのうちいずれかの音声パターンに対応する効果音をスピーカ8L、8Rから出力させることといった、各種の演出動作が実行される。」
オ「【0070】
また、「トリガボタン単発」や「トリガボタン連打」の予告演出では、スティックコントローラ30の操作桿30Aに対する傾倒操作に応じて、予告演出における演出態様(演出内容)が変化する。例えば、遊技者による傾倒操作が検出されたときには、検出された傾倒方向に対応する演出画像の切換表示、具体的には、傾倒操作に応じて表示されるキャラクタが移動したりキャラクタが変化したりする等の切換演出を行うことにより、演出画像の表示による演出態様が変化する。したがって、「トリガボタン単発」や「トリガボタン連打」の予告演出では、スティックコントローラ30の操作桿30Aに対する傾倒操作と、トリガボタン31Aに対する指示操作とに応じて、予告演出における演出態様が変化する。これに対して、「プッシュボタン単発」や「プッシュボタン連打」の予告演出では、プッシュボタン31Bに対する指示操作に応じて、予告演出における演出態様が変化する。」
カ「【0255】
表示制御データには、例えば飾り図柄の可変表示中における各飾り図柄の変動態様を示すデータといった、画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示態様を示すデータが含まれている。すなわち、表示制御データは、画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作を指定するデータである。音声制御データには、例えば飾り図柄の可変表示中における飾り図柄の可変表示動作に連動した効果音等の出力態様を示すデータといった、スピーカ8L、8Rからの音声出力態様を示すデータが含まれている。すなわち、音声制御データは、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作を指定するデータである。ランプ制御データには、例えば遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった、発光体の点灯動作態様を示すデータが含まれている。すなわち、ランプ制御データは、発光体の点灯動作を指定するデータである。」
キ「
[図:0001391674000001.jpg]
」
ク「
[図:0001391674000002.jpg]
」
(2)引用発明
前記(1)ア~カに摘記した引用文献1の記載事項並びキ及びクの図示内容より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。(a等の符号は、本願発明の構成A等に概ね対応させて当審で付与した。)
「a 遊技盤2における遊技領域の中央付近には画像表示装置5が設けられ(【0018】)、画像表示装置5における表示領域における演出画像の表示動作は、演出制御基板12に搭載されている演出制御用CPU120によって制御され(【0021】、【0255】)、
b 遊技者が把持する操作桿30Aを含み、操作桿30Aの所定位置(例えば遊技者が操作桿30Aを把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、遊技者がスティックコントローラ30の操作桿30Aを操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されたトリガボタン31Aが設けられたスティックコントローラ30(【0040】)を備え、
c、c1、c2 遊技者による傾倒操作が検出されたときには、検出された傾倒方向に対応する演出画像の切換表示、具体的には、傾倒操作に応じて表示されるキャラクタが移動したりキャラクタが変化したりする等の切換演出を行うことにより、演出画像の表示による演出態様が変化し(【0070】)、
d、d1、d2 スティックコントローラ30の下部における下皿の本体内部などには、操作桿30Aに対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット32が設けられ、傾倒方向センサユニット32は、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成され(【0040】)、
g 遊技者による操作を促す演出動作としては、画像表示装置5に演出画像を表示させるものに限定されず、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを所定の点灯パターンで点灯あるいは点滅させるものであってもよく(【0067】)、
e 下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)に、スティックコントローラ30が取り付けられている(【0040】、図1、図2)
f パチンコ遊技機(遊技機)1(【0016】)。」
2 周知技術
(1)周知例1に記載された事項
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-100995号公報(以下「周知例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の斜視図である。」
イ「【0384】
飾り特図変動表示ゲームが開始し、海辺ステージで、左中右の特別図柄(識別情報)が変動表示する(A)。その後、演出ボタン31の操作が可能な期間であることを示す、すなわち、変動表示中にステージ変更が可能なことを示す表示である「PUSH」を表示する(B)(F)(J)。その後、演出ボタン31が操作されると、設定されたステージチェンジ演出選択テーブルに従って選択されたステージ変更時の予告演出を表示し(C)(G)(K)、ステージが変更されて、図柄の変動表示が継続し(D)(H)(L)、二つ(例えば、左右)の特別図柄の変動表示が停止する仮停止状態になり、リーチ状態が発生する(E)(I)(M)。」
ウ「【0387】
また、本実施の形態では、変動表示中にステージ変更が可能なことを示す表示である「PUSH」を表示するようにしたが、「PUSH」と表示せずに音声でステージ変更が可能なことを示してもよいし、表示や音声による報知は一切せずに演出ボタン31を発光させて操作可能なことを報知してもよい。」
(2)周知例1の記載事項
前記ア~ウに摘記した周知例1に記載された事項より、周知例1には、以下の事項(以下「周知例1の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
「飾り特図変動表示ゲームが開始し、海辺ステージで、左中右の特別図柄(識別情報)が変動表示し、変動表示中にステージ変更が可能なことを表示や音声による報知は一切せずに演出ボタン31を発光させて操作可能なことを報知する遊技機1。」
(3)周知例2に記載された事項
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-161577号公報(以下「周知例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1ついて説明する。なお、以下では、パチンコ遊技機1を、単に、遊技機1という場合がある。」
イ「【0065】
まず、図5Aに示すように表示画面に保留画像が2個以上表示されると、遊技機1は、演出ボタン57(図3参照)を発光させて、遊技者に演出ボタン57の押下を促す。なお、図5A~図5Hでは、説明の簡単のために、第1特別図柄抽選結果報知の保留回数を示す保留表示のみが表示されている場合を説明する。
【0066】
その後、演出ボタン57の発光に促されて遊技者が演出ボタン57を押下すると、図5Bに示すように、遊技機1は、可動役物22を左回りに回転させ、この回転に連動させて最も早くに表示された保留画像h1を構成する移動保留画像h1Aの移動を開始させる。つまり、遊技機1は、バットの可動役物22がボールの移動保留画像h1Aを打って飛ばしたように、可動役物22及び移動保留画像h1Aの動きを制御する。そして、遊技機1は、移動中の移動保留画像h1Aを、発光した表示態様に変化させる。また、遊技機1は、移動保留画像h1Aを移動させるタイミングで、装飾図柄を縮小して表示画面の右上に移動させる。ここで、移動保留画像h1Aに対応する残留保留画像h1Bは、移動せず、移動保留画像h1Aが移動することによって出現して視認可能となる。また、表示画面には、移動しない残留保留画像h1Bと、移動している移動保留画像h1Aとをつなぐ発光する線(発光線)70が表示される。」
(4)周知例2の記載事項
前記ア及びイに摘記した周知例2に記載された事項より、周知例2には、以下の事項(以下「周知例2の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
「表示画面に保留画像が2個以上表示されると、演出ボタン57を発光させて、遊技者に演出ボタン57の押下を促し、演出ボタン57の発光に促されて遊技者が演出ボタン57を押下すると、可動役物22を左回りに回転させ、この回転に連動させて最も早くに表示された保留画像h1を構成する移動保留画像h1Aの移動を開始させる遊技機1。」
(5)周知技術
前記(2)及び(4)の周知例1及び周知例2の記載事項を総合すると、
「演出ボタンを発光させることで遊技者に演出ボタンの操作を促す遊技機。」
は遊技機の技術分野において、本願出願前に周知(以下「周知技術」という。)であると認められる。
第5 対比・判断
1 引用発明の構成aの「演出画像の表示動作」、「画像表示装置5における表示領域」、「演出制御用CPU120」は、それぞれ本願発明の構成Aの「所定の表示演出」、「表示画面」、「所定の表示演出を表示画面にて実行する手段」に相当する。
よって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。
2 引用発明の構成bの「スティックコントローラ30」には「所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されたトリガボタン31Aが設けられ」ており、「トリガボタン31A」は、「遊技者が」「所定の操作指」で「押引操作」をしており、「トリガボタン31A」には、「遊技者が」「所定の操作指」で「押引操作」をする面を備えること、押す操作の時は、「トリガボタン31A」を押圧操作していることはそれぞれ明らかである。
そうすると、引用発明の構成bの「遊技者が」「所定の操作指」で「押引操作」をする面を備えた「トリガボタン31Aが設けられ」た「スティックコントローラ30」は、本願発明の構成Bの「遊技者により押圧操作される操作面を有する操作手段」に相当する。
よって、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。
3 引用発明の構成c、c1、c2では「検出された傾倒方向に対応する演出画像の切換表示、具体的には、傾倒操作に応じて表示されるキャラクタが移動したりキャラクタが変化したりする等の切換演出を行」っており、「演出画像」は、構成aで「画像表示装置5における表示領域における演出画像の表示動作」が「演出制御基板12に搭載されている演出制御用CPU120によって制御され」ていることから、引用発明の構成c、c1、c2の「検出された傾倒方向に対応する演出画像の切換表示、具体的には、傾倒操作に応じて表示されるキャラクタが移動したりキャラクタが変化したりする等の切換演出」、構成aの「演出制御用CPU120」は、それぞれ本願発明の構成Cの「当該操作手段の操作に応じた演出」、「前記表示画面にて実施可能な演出実施手段」に相当する。
よって、引用発明の構成a及び構成c、c1、c2は、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。
4 引用発明の構成bでは「遊技者が把持する操作桿30Aを含」んでおり、構成d、d1、d2では「スティックコントローラ30の下部における下皿の本体内部などには、操作桿30Aに対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット32が設けられ」ており、構成c、c1、c2では「遊技者による傾倒操作が検出されたときには、検出された傾倒方向に対応する演出画像の切換表示、具体的には、傾倒操作に応じて表示されるキャラクタが移動したりキャラクタが変化したりする等の切換演出を行」っていることから、引用発明の構成d、d1、d2の「操作桿30A」、「傾倒方向センサユニット32」は、それぞれ本願発明の構成Dの「前記操作手段の所定操作を行うための遊技者が手に持つ操作体」、「操作体の変位を把握する把握手段」に相当する。
よって、引用発明の構成b、構成c、c1、c2及び構成d、d1、d2は、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。
5 引用発明の構成d、d1、d2では「操作桿30Aに対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット32が設けられ、傾倒方向センサユニット32は、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成され」ているから、平行センサ対と垂直センサ対により交差する方向の傾倒操作を検出していることは明らかである。
そうすると、引用発明の構成d、d1、d2の「パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)」、「パチンコ遊技機1と正対する」「遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサ」は、それぞれ本願発明の構成D1の「前記操作体が第1方向に変位したことを把握可能な第1手段」、構成D2の「前記操作体が前記第1方向と交差する第2方向に変位したことを把握可能な第2手段」に相当する。
よって、引用発明の構成d、d1、d2は、本願発明の構成D1及びD2に相当する構成を有する。
6 前記5のとおり、平行センサ対と垂直センサ対により交差する方向の傾倒操作を検出していることは明らかである。
そうすると、引用発明の構成c、c1、c2では「遊技者による傾倒操作が検出されたときには、検出された傾倒方向に対応する演出画像の切換表示、具体的には、傾倒操作に応じて表示されるキャラクタが移動したりキャラクタが変化したりする等の切換演出を行うことにより、演出画像の表示による演出態様が変化」することから、構成d、d1、d2の「パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)」(前記操作体が第1方向に変位したことを把握可能な第1手段)、「パチンコ遊技機1と正対する」「遊技者の側からみて操作桿30Aの中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサ」(前記操作体が前記第1方向と交差する第2方向に変位したことを把握可能な第2手段)のそれぞれに基づいて、異なる演出画像の表示動作を演出制御用CPU120によって制御しているといえ、引用発明の、前者に基づく演出、後者に基づく演出がそれぞれ本願発明の「第1演出」、「第2演出」に相当し、引用発明の「演出制御用CPU120」が、本願発明の「第1演出手段」及び「第2演出手段」に相当する。
よって、引用発明の構成c、c1、c2は、本願発明の構成C1及びC2に相当する構成を有する。
7 引用発明の構成gの「遊技者による操作を促す演出動作」は、その演出動作により遊技者による操作を促すものであるから、遊技者による操作が行われる前に行われることは明らかである。
また、引用発明の「遊技者による操作を促す演出動作」は本願発明の「特定演出」に相当し、引用発明では、演出動作を行うことから、演出動作を行うことが可能な手段を備えていることは明らかであるといえる。
そうすると、引用発明の構成gでは、「演出動作」が「スティックコントローラ30」(前記2のとおり、本願発明の「操作手段」に相当)により行われるものではないものの、引用発明の構成gと本願発明の構成Gとは「遊技者による操作が行われる前に、特定演出を実行することが可能な手段を備え」る点で共通する。
8 引用発明の構成eでは「下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)に、スティックコントローラ30が取り付けられている」ことから、「スティックコントローラ30」は、構成aの「遊技盤2における遊技領域の中央付近に」「設けられ」ている「画像表示装置5」とは、前後方向では重複していないことは明らかであるから、「スティックコントローラ30」の操作も「画像表示装置5」とは、前後方向では重複していない位置で行われるといえる。
よって、引用発明の構成a及び構成eは、本願発明の構成Eに相当する構成を有する。
9 引用発明の構成fの「パチンコ遊技機(遊技機)1」は、本願発明の構成Fの「遊技機」に相当する。
よって、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する構成を有する。
10 前記1~9によれば、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「A 所定の表示演出を表示画面にて実行する手段と、
B 遊技者により押圧操作される操作面を有する操作手段と、
C 当該操作手段の操作に応じた演出を前記表示画面にて実施可能な演出実施手段と、
D 前記操作手段の所定操作を行うための遊技者が手に持つ操作体の変位を把握する把握手段と、
を備え、
D 前記把握手段は、
D1 前記操作体が第1方向に変位したことを把握可能な第1手段と、
D2 前記操作体が前記第1方向と交差する第2方向に変位したことを把握可能な第2手段と、
を備え、
C 前記演出実施手段は、
C1 前記第1手段による把握結果に基づいて第1演出を実施する第1演出手段と、
C2 前記第2手段による把握結果に基づいて前記第1演出とは異なる第2演出を実施する第2演出手段と、
を備え、
G’遊技者による操作が行われる前に、特定演出を実行することが可能な手段を備え、
E 前記所定操作は、前記表示画面と前後方向に重複しない位置で実行される
F 遊技機。」
(相違点)(構成G)
「遊技者による操作が行われる前に」「実行する」「特定演出」について、
本願発明では、「前記操作手段による特定演出を実行することが可能」であるのに対して、
引用発明では、スティックコントローラ30(操作手段)による演出を実行してない点。
(4)判断
前記相違点について検討する。
前記周知技術の「演出ボタンを発光させること」は、その発光により遊技者に演出ボタンの操作を促すものであるから、遊技者による操作が行われる前に行われることは明らかである。
また、前記周知技術の「演出ボタンを発光させること」は、本願発明の「操作手段による特定演出」に相当し、前記周知技術では、演出ボタンを発光させていることから、遊技機が演出ボタンを発光させる手段を備えることは明らかである。
そうすると、前記周知技術は、本願発明の構成Gに相当する構成を有する。
そして、引用発明及び前記周知技術は、ともに遊技機の演出に関連する操作手段に関するものであり、引用発明では、遊技者による操作を促す演出動作としては、画像表示装置5に演出画像を表示させるものに限定されておらず、それ以外の演出とすることが示唆されているといえるから、引用発明の遊技者による操作を促す演出動作として、前記周知技術を採用して、スティックコントローラ30を発光させて遊技者に操作を促すように構成し、前記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
したがって、本願発明は、引用発明及び前記周知技術から当業者が容易に発明できたものである。
(5)本願発明の奏する効果は、引用発明及び前記周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。
11 請求人の主張について
請求人は意見書において、概略、以下のとおり主張している。
「(2)拒絶理由に対する意見
拒絶理由通知では、新たに引用された引用文献1(特開2012-176277号公報)に基づいて、特許法第29条第1項及び第2項の拒絶理由が通知されました。これに対して、補正後の本願の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という)では、これらの拒絶理由を解消しているものと思料するため、以下、その理由を説明します。
先ず、複数種類の操作手段が設けられている昨今の遊技機において、遊技者による操作を表示画面等で促しても、遊技に慣れていない遊技者はどの操作手段を操作すべきかがわかりにくく、せっかく操作手段を設けて、その操作手段を操作させる演出を設定してもその演出効果を十分に得られない可能性があります。
その点、本願発明では、表示画面等で操作を促すのではなく、操作手段自体で特定演出を行う構成としているため、操作すべき箇所やその内容がよりわかり易くなり、操作手段を操作させることによる演出効果をより高めることが可能となります。
これに対して、本願の基本的構成が開示されているとされた引用文献1では、段落0067欄に、「遊技者による操作を促す演出動作としては、画像表示装置5に演出画像を表示させるものに限定されず、スピーカ8L、8Rから所定の音声を出力させるもの、遊技効果ランプ9や装飾用LEDを所定の点灯パターンで点灯あるいは点滅させるもの、遊技領域の内部又は外部に設けられた演出用模型を所定の動作態様で動作させるもの、あるいは、これらのいずれかを組み合わせたものであってもよい。」と記載されているものの、操作手段(スティックコントローラ30)自体で演出を行うといった記載や示唆はありません。
しかも、引用文献1のように遊技者に把持されるスティックコントローラ30は、把持する遊技者に手によってスティックコントローラ30自体が見えにくくなるものであります。そうすると、仮にスティックコントローラ30自体で演出を行おうとしても、せっかくのその演出を、遊技者は視認することができないものと思料します。つまり、引用文献1には本願発明のようにすることの阻害事由が存在しているといえます。よって、たとえ当業者であっても、そのスティックコントローラ30自体に演出用の構成を設けるような発想にはなり得えないと思料します。
そもそも、本願発明は、引用文献1のように遊技者が実際に把持する操作桿30Aを有するスティックコントローラ30(操作手段)ではなく、実施例のように3Dによって表示される仮想操作手段を想定している発明であります(図16参照)。そのため、このような仮想操作手段を遊技者が操作するうえで、当該仮想操作手段が表示される操作空間上を動作するものを検知する構成であれば、遊技者の手の動作だけではなく、遊技者が手に持つペンや扇子、飲み物等を含めた操作体の動作をも検知可能となり、例えば飲み物を手に持っている最中に操作演出が発生した場合に、その飲み物を持ったまま操作を行うことが可能となり、遊技者に操作手段を操作させるうえでの自由度が圧倒的に向上するし、しかも、その操作体の動作の検知に際して、検知可能とする動作方向の自由度も圧倒的に向上する、という発明であります。そして、今般限定したように、遊技者による操作が行われるよりも前に、その操作手段(仮想操作手段)自体で特定演出を行うようにすれば、どれを操作すべきかが一目瞭然となり、良好な演出効果を期待することが可能となります。
つまり、本願発明の操作手段と、引用文献1に記載された操作手段とは、「遊技者が手に持つ操作体」といった表現によって、一見、似ているかのように見えても、全く異なる操作手段であります。よって、本願発明は引用文献1に記載された発明ではないし、たとえ当業者であっても、全く異なる操作手段に関する引用文献1から出発して、当該引用文献1における上記の阻害事由を無視してまで、本願発明を思い至るとは到底考えられません。
したがって、本願発明は特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反するものではありません。」(下線は当審で付した。)
請求人の前記主張について検討する。
引用文献1には、スティックコントローラ30自体で演出を行うといった記載や示唆はないものの、【0067】に、画像表示装置5に演出画像を表示させるものに限定されないことが記載されており、遊技領域の外部に設けられた演出用模型の動作であっても良いことも記載されていることから、遊技領域の外部での演出動作を行わせることについて示唆されているといえる。
また、遊技者による操作を促す演出は、遊技者が操作を行う前のものであることは前記「第5 7」で説示したとおり明らかであるから、その遊技者による操作を促す演出が、遊技者の手によって見えにくくなり、遊技者は視認することができないということはなく、阻害事由が存在するという請求人の主張は妥当ではない。
また、請求人の、一見、似ているかのように見えても、全く異なる操作手段であるという主張は、本願発明で特定されている事項に基づかない主張であり妥当ではない。
そうすると、請求人の前記主張はいずれも採用できない。
第6 むすび
本願発明は、当業者が引用発明及び前記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-016279