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意匠拒絶査定不服審判

2021-014997

血液ポンプ用吐出ケージ

審判番号
2021-014997
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2020-012401外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1716473
請求日
2021年11月04日
審決日
2022年04月15日
公報発行日
2025年06月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (J7-4)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号、意匠法第14条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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意願2020- 12401「血液ポンプ用吐出ケージ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。

理由

理 由 第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は,意匠法第14条第1項の規定により秘密にすることを請求する期間を3年とした,令和2年(2020年)6月22日(パリ条約による優先権主張:2019年12月31日,アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は,以下のとおりである。 令和2年(2020年) 6月29日付け:拒絶理由通知(1回目)の送付 同 年 7月20日 :手続補正書(補正対象書類:願書及び添付図面)の提出 同 年 11月11日付け:拒絶理由通知(2回目)の送付 令和3年(2021年) 2月18日 :手続補正書(補正対象書類:願書及び添付図面)の提出 同 年 3月22日付け:拒絶理由通知(3回目)の送付 同 年 6月21日 :拒絶理由通知(3回目)に対する意見書の提出 同 年 8月 2日付け:拒絶査定 同 年 11月 4日 :審判請求書の提出 2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願意匠は,意匠に係る物品を「血液ポンプ用吐出ケージ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の令和3年3月22日付け拒絶理由通知における拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する,というものである。 上記の拒絶理由通知において引用された意匠は,「この意匠登録出願前,2017年8月3日,国際事務局において発行された国際公開第2017/132652号,FIG.1に記載の『the blood pump assembly 100』を構成する『the outlet area 106』の意匠」(以下「引用意匠」という。)である(別紙第2参照)。 第2 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも血液の循環補助を行うための内留置型血液ポンプを構成する,血液排出口部分の部品である「血液ポンプ用吐出ケージ」と認められるものであるから一致するものである。 (2)形状等の対比 両意匠の形状等を対比する(以下,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,その形状等には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 ア 形状等の共通点 (共通点1)両意匠は,全体が,その上面側が窄んだ形状等の血液ポンプ用吐出ケージの上端部分(以下「キャップ部」という。),その側面部分に開口部を複数形成した略縦長円筒形状の部分(以下「ケージ本体部」という。),及び,血液ポンプ組立体を構成する中央の管状部分(以下「カニューレ」という。)と接続する部分(以下「下部接続部」という。)からなるものであって,キャップ部とケージ本体部はその最大直径を同じ大きさとしている点が共通する。 (共通点2)両意匠は,キャップ部の形状等を,上端部分を水平に切り欠いた略半球状の上方部分と,下方に向かって窄まる略倒立円錐台形状の下方部分を,その接合部分の直径が同じ大きさになるようにして一体的に形成したものであって,その中央部分に開口部分を拡張した略円形貫通孔を上下方向に形成したものである点が共通する。 (共通点3)両意匠は,ケージ本体部の形状等を,略円筒形状の側面部分に,略縦長U字形状の開口部を,その側面下端部分が連結した態様で複数形成したものであって,開口部の左右柱状部分(以下「柱状部」という。)の先端部分が,キャップ部の上下接合部の外周部分に接するようにして形成したものである点が共通する。 イ 形状等の相違点 (相違点1)本願意匠の支柱部の数及び配置態様は,5本を等間隔に配置したものであり,開口部が5箇所であるのに対し,引用意匠の支柱部の数及び配置態様は,その配置が不明な4本からなり,開口部が4箇所である点で,両意匠は相違する。 (相違点2)本願意匠の支柱部先端部分の形状等は,その外周面部分を左右に拡がる略ラッパ状に形成し,その内側折曲部分をなだらかに湾曲させてその横幅を拡げた側面視略レの字状に形成し,キャップ部下方部分の傾斜面となだらかに接合しているのに対し,引用意匠の支柱部先端部分の形状等は,その外周面部分を支柱部と同じ幅とし,その先端部分を側面視略三角形状に形成し,キャップ部下方部分の傾斜面と鋭角的に接合している点で,両意匠は相違する。 (相違点3)本願意匠の略縦長U字状の開口部には,U字状の縁部全体に面取りが施されたなだらかな開口部としているのに対して,引用意匠の略縦長U字状の開口部には,そのような面取りが認められない点で,両意匠は相違する。 (相違点4)本願意匠のケージ本体部下端部分から開口部下端部分までの長さを,ケージ本体部全長の約1/6の長さに形成しているのに対し,引用意匠のケージ本体部下端部分から開口部下端部分までを僅かな長さに形成している点で,両意匠は相違する。 (相違点5)本願意匠の下部接続部の形状等は,その直径をケージ本体部より僅かに縮径した略短円筒形状に形成しているのに対し,引用意匠の下部接続部の形状等は,その直径をケージ本体部とほぼ同じ略短円筒形状に形成している点で,両意匠は相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品についての判断 両意匠の意匠に係る物品は,一致するものであるから同一である。 (2)形状等についての判断 両意匠の意匠に係る物品は,人体の心臓に埋設して使用する血液ポンプ用吐出ケージに係るものであって,この物品における需要者は,心臓外科手術を実施するための高度な医学的専門知識を有する医療従事者等である。 そうすると,これらの医学の専門知識を有する需要者は,患者の血管系へのストレスの軽減や,血液吐出時における溶血の減少といった専門的な観点から両意匠に係る物品を観察するものであって,具体的には,血液ポンプ用吐出ケージの血液と接する部分の形状等が,赤血球等の血液成分をできるだけ破壊しないで血液の吐出が可能であるのかといった観点で,血液ポンプ用吐出ケージの具体的な形状等を注視して観察することとなる。 したがって,両意匠の類否判断にあたっては,血液ポンプ用吐出ケージにおいて注視される血液吐出部分の具体的な形状等が,需要者の注意を惹く部分であるとの前提に基づいて,両意匠の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について以下評価することとする。 ア 共通点の評価 (共通点1)は意匠全体の基本的な構成態様に係るものであるが,両意匠の形状等を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから,この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点2)のキャップ部の形状等,及び(共通点3)のケージ本体部の形状等については,この心臓ポンプの分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(特表2018-527129参照)にすぎず,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないものであるから,この(共通点2)及び(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 (相違点1)の支柱部の数及び配置態様の相違については,該部位は,血液吐出時に赤血球等の血液成分が接する部分の形状等であって,需要者が注視して観察するものであって,支柱部の数が5本からなり,開口部が5箇所設けられた本願意匠の形状等と,支柱部の数が4本で,開口部が4箇所の引用意匠のものとでは,その基本的な構成態様が共通するとしても,該部位の強度や,血液の流速抵抗といった点において相違する該部位の形状等は,これを重視する需要者に別異の印象を与えるから,この(相違点1)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。 (相違点2)の支柱部先端部分の形状等,及び(相違点3)の開口部の面取りの有無の相違については,該部位は微細なものではあるものの,需要者が特に注視する血液吐出時に血液成分が接する部分であって,各構成部分を面取りしつつなだらかな形状等に形成した本願意匠のものと,そのような加工を施したことが認められない引用意匠のものとでは,需要者に与える印象が大きく異なるから,たとえ微細な部位に係る相違であっても,これらの相違は全体の形状等の共通性に完全に埋没するものとはいえず,この(相違点2)及び(相違点3)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 (相違点4)のケージ本体部下端部分から開口部下端部分までの長さの相違については,血液の吐出に影響を与える部位ではなく,その相違も意匠全体としてみれば僅かなものであるから,この(相違点4)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (相違点5)の下部接続部の形状等の相違については,血液の吐出に影響を与える部位ではなく,全体の形状等の共通性に埋没する上に,いずれの形状等も略円筒形状であって共通するものであるから,この(相違点5)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両意匠は,需要者が強い関心を持って観察する支柱部先端部分の形状等や開口部の面取りの有無の相違が意匠全体の美感に与える影響が大きく,支柱部の数及び配置態様の相違も両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすものであるから,両意匠の基本的な構成態様やキャップ部及びケージ本体部の形状等の共通性が両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえるから,両意匠の形状等は類似しないものである。 (3) 小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が同一であるが,その形状等において類似しないから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。 第3 むすび 上記のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2021-014997

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