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特許拒絶査定不服審判

2021-014925

自走式電気掃除機

審判番号
2021-014925
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-247202外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月04日
審決日
2023年02月20日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A47L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-247202「自走式電気掃除機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月11日出願公開、特開2019-111160〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 16項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

この出願は、平成29年12月25日の出願であって、令和2年12月25日付けで拒絶理由が通知され、令和3年3月3日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和3年3月17日付けで拒絶理由が、いわゆる「最後の拒絶理由通知」として、通知され、令和3年4月14日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、この令和3年4月14日にされた補正が令和3年7月27日付けの補正の却下の決定により却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がされ、これに対して令和3年11月4日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされたものであり、その後、当審において、令和4年7月27日付けで拒絶理由が通知され、令和4年9月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。

第2 本願発明

この出願の請求項に係る発明は、令和4年9月13日に手続補正がされた特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「本体と、
該本体に設けた集光部と、を備える自走式電気掃除機であって、
前記本体は外部から作用する押圧力に応じて自然位置から移動可能なバンパを備え、
前記バンパの前方部には、前記集光部と、回路基板と、前記集光部および当該回路基板を保持するセンサーベースと、が設けられ、
続きを表示(全19行)
前記集光部は、
前記本体のうち、該集光部が取り付けられた部分の延在面に垂直な方向に軸を有する筒状の側面と、
該側面の内側に設けた樹脂層と、
受光素子と、を有し、
前記樹脂層は、前記受光素子から遠い側の端部において前記側面から離れるにつれて前記受光素子に向かう曲面として形成された反射面を有し、
該反射面は、
前記受光素子に向かって略凸であり、
前記反射面の先端から前記受光素子のセンサ部までの距離を2f、
前記側面の軸方向をy軸方向、径方向をx軸方向、
前記受光素子のセンサ部を原点としたとき、
式(1)の解曲面に実質的に一致するように構成されており、かつ、
前記側面に垂直な信号が入光した場合、当該信号は、前記反射面のうち、当該信号の進行方向に平行な仮想面に交わる曲線状の領域で全反射して前記受光素子の方向に向かって進むことを特徴とする自走式電気掃除機。
【数1】
[図:0001396699000001.jpg]
」

第3 拒絶の理由

令和4年7月27日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の理由1(進歩性)のうち、請求項1に係る発明に対するものは、概略、次のとおりのものである。

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2及び引用文献3に記載されるような周知の事項、並びに引用文献4に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2003-228421号公報
引用文献2:特開2014-221150号公報
引用文献3:特開2015-142328号公報
引用文献4:特開昭62-287308号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1

(1)引用文献1の記載

当審拒絶理由で引用された、この出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された、前記引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様である。)。

ア「【0003】

【従来の技術】従来技術として、仕事をさせるためにロボットを特定の物理的空間に閉じ込めておくシステムが多数提案されている。典型的に、これらのシステムは、芝生の手入れ、床の清掃、検査、搬送、および、娯楽等の多くのロボットの応用分野として設計されたものである。これらの応用分野において、ロボットは、時間を超えて、限定された領域内で仕事を実行することが求められている。

【0004】例として、一部屋で稼動する清掃ロボットは、最初の部屋の清掃を充分に済ませないうちに、その部屋から他の部屋へと不意に迷走してしまうことがある。解決策として、全てのドアを閉じて、ロボットが最初の部屋から出るのを物理的に阻止することにより、このロボットをその最初の部屋に閉じ込めるという方法がある。しかしながら、多くの住宅において、部屋同士は開いた廊下で区切られており、ロボットの出口にドアや他の物理的障害物を簡単に設置できるわけではない。また、開放した一空間の一部でのみ、ロボットを稼動させたいと望む利用者もおり、ロボットを部屋全体で稼動させておくと、効率が低下してしまう。

【0005】従って、ロボットが稼動する領域を限定する手段が得られると有益である。」

イ「【0026】この部屋は、移動ロボット20および境界信号送信装置30を含み、この境界信号送信装置30は、本明細書では、ロボット閉じ込め(または、RCON)送信機30とも称する。図1および図2において、ロボットは、リビングルーム10内に配置され、RCON送信機30は、リビングルーム10をダイニングルーム12から分ける領域に、内壁14を背にして内壁15に向けて配置されている。」

ウ「【0037】[ロボット]図5および図6に示されるように、好適な実施例では、ロボット20は、実質的に円形状のケース21を備える。このケース21は、中心線の両側にそれぞれ取り付けられた2つの車輪22および23を含むシャーシに装着される。なお、各車輪22および23は、ロボットが旋回できるように、独立して駆動される。好適な実施例において、車輪は、ロボットがその場で回転できるように取り付けられている。また、ロボット20の好適な実施例は、モータ24、清掃機構25、充電式バッテリー26、マイクロプロセッサ27、および、様々な接触式および光学式のセンサ28を備えている。」

エ「【0039】この発明では、ロボットは、好適な実施例では標準的な赤外線受光モジュールとなっているRCON検出器50を有している。この赤外線受光モジュールは、全方向性レンズ(omni-directional lens)の下に搭載された、フォトダイオード並びに関連する増幅および検出回路を備えている。なお、全方向性とは、単一の平面に関連している。好適な実施例では、赤外線受光モジュールは、East Dynamic Corporation p/n IRM-8601Sである。ただし、RCONの放射器も受光器に対応させるならば、あらゆる赤外線受光モジュールが変調やピーク検出波長に関わらず使用可能である。図5および図6に示されるように、RCON検出器は、ロボット20の最も高い位置に搭載され、ロボットの本来の移動方向として規定されるロボットの前方を向いている。なお、この方向は、図6の矢印で示される。

【0040】RCON検出器は、陰にならないようにロボットの最も高い位置に搭載されるべきであり、ある用途においては、ロボット20および/またはRCON検出器50の高さを最小限にして、操作が難しくならないようにすると共に、該ロボット20が家具や他の障害物の下を通過可能とすることが望ましい。ある実施例では、RCON検出器50には、スプリングが搭載されていて、張り出している固い物体の下をロボットが走行するときに、その検出器がロボット本体内に没入可能となっていてもよい。

【0041】図7に、RCON検出器50の好適な実施例を詳細に示す。このRCON検出器には、レンズ52が含まれている。レンズ52は、あらゆる方向からの境界信号(すなわち、光線)42を、レンズ外壁54を通して受けて焦点55に集束させる。同時に、本発明の方法およびシステムは、たいていの場合、日光の存在下で使用される。赤外線検出器55は、直射日光で容易に飽和状態になるので、RCON検出器50から日光を排除することになる。従って、好適な実施例では、不透明なプラスチック水平板57が用いられる。この水平板57は、ポスト58に支持されている。

【0042】好適な実施例で用いられるレンズ52は、本質的に円柱状のデバイスであり、レンズの軸に対して垂直な光線を受光すると共に、略上方または略下方からの光線をいずれも排除するように設計されたものである。レンズは、水平な光線を、主にレンズの下に実装された赤外線検出器55に集束させる。

【0043】好適な実施例では、レンズの形状は、放物線が焦点を中心として回転することで規定されたものとなっている。焦点は、受信器(検出器)55のアクティブな部分と共に配置されている。このため、レンズ内壁53は、掃引された放物線で規定されている。光線は、レンズの材質とレンズ内壁53より内側の材質との不連続性としてここに規定された全反射と称する現象により反射される。好適な実施例は、低コスト性および屈折率で選ばれた透明なポリカーボネート(polycarbonate)で構成される。

【0044】RCON検出器50の全方向性により、単一のRCON検出器50のみを有するシステムがRCON送信機からの光の入射角に関わらず等しく良好に機能することができるようになる。RCON検出器50は、ある角度からのビーム42および44に反応しなければ、ビームがRCON検出器50の盲点を占めているような状態でロボット20がそのビームに対して近づいて行った場合、このロボット20は閉じ込めビーム42および44を突破してしまう。」

オ 図5には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000002.jpg]

カ 図6には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000003.jpg]

キ 図7には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000004.jpg]

ク 前記エの段落【0039】には、RCON検出器50が、移動ロボット20の最も高い位置に搭載されることが記載され、また、図6(前記カ参照。)の矢印が移動ロボット20の移動方向として規定される前方を示していることが記載されている。そして、図6に図示されたRCON検出器50の位置を踏まえると、RCON検出器50は、移動ロボット20の前方の最も高い位置に設けられているといえる。

ケ 前記エの段落【0039】には、RCON検出器50が、標準的な赤外線受光モジュールとなっており、全方向性レンズの下に搭載された、フォトダイオード並びに関連する増幅および検出回路を備えていることが記載され、また、前記エの段落【0041】には、RCON検出器50が、レンズ52を含んでいることが記載されている。そして、この全方向性レンズの下に搭載された、フォトダイオードは、前記エの段落【0042】の記載によると、レンズ52の下に実装された赤外線検出器55から構成されている。すると、RCON検出器50は、標準的な赤外線受光モジュールとなっており、レンズ52、レンズ52の下に実装された赤外線検出器55並びに関連する増幅および検出回路を備えているといえる。

コ 前記エの段落【0041】~【0043】の記載によると、レンズ52は、レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を受光し、レンズ外壁54を備えた本質的に円柱状のデバイスであり、ポリカーボネートで構成されるといえる。

サ 前記エの段落【0043】の記載及び前記キの図7の図示内容によると、レンズ52のレンズ内壁53は、赤外線検出器55から遠い側の端部においてレンズ外壁54から離れるにつれて赤外線検出器55に向かう、掃引された放物線で規定され、赤外線検出器55に向かって凸であるといえる。また、同じく段落【0043】の記載によると、レンズ内壁53を規定する放物線の焦点は、赤外線検出器55のアクティブな部分と共に配置されているといえる。

シ 前記エの段落【0041】~【0043】の記載によると、レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を、レンズ外壁54を通して受光すると、当該光線は、レンズ52の材質であるポリカーボネートとレンズ内壁53より内側の材質との不連続性により、レンズ内壁53で全反射され、赤外線検出器55に集束するといえる。

(2)引用発明

前記(1)ア~シの記載及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ケース21と前記ケース21が装着されるシャーシと、
レンズ52と前記レンズ52の下に実装された赤外線検出器55と、を備える清掃機構25を備えた移動ロボット20であって、
前記移動ロボット20の前方の最も高い位置には、標準的な赤外線受光モジュールとなっており、前記レンズ52、前記レンズ52の下に実装された前記赤外線検出器55並びに関連する増幅および検出回路を備えたRCON検出器50が設けられ、
前記レンズ52は、
続きを表示(全11行)
前記レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を受光し、レンズ外壁54を備えた本質的に円柱状のデバイスであり、
ポリカーボネートで構成され、
前記赤外線検出器55から遠い側の端部において前記レンズ外壁54から離れるにつれて前記赤外線検出器55に向かう、掃引された放物線で規定されたレンズ内壁53を有し、
該レンズ内壁53は、
前記赤外線検出器55に向かって凸であり、
前記レンズ内壁53を規定する放物線の焦点が、前記赤外線検出器55のアクティブな部分と共に配置されており、かつ、
前記レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を、前記レンズ外壁54を通して受光すると、当該光線は、前記レンズ52の材質であるポリカーボネートと前記レンズ内壁53より内側の材質との不連続性により、前記レンズ内壁53で全反射され、前記赤外線検出器55に集束する清掃機構25を備えた移動ロボット20。」

2 引用文献2

当審拒絶理由で引用された、この出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された、前記引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。

(1)「【0013】
図2~6に示すように、自走式掃除機1は、円盤形の外観を有している。
自走式掃除機1は、掃除機の内部機構を搭載する底板2aと、集塵部15を収容する凹部が形成された天板2bとを有する。底板2aの後側半分の縁は後方側板2dで囲まれている。天板2bの上には、前記凹部213の上方開口部を覆う蓋部3が開閉可能に配置されている。
【0014】
自走式掃除機1の外周部およびその外周部から蓋部にかけての上縁部は、平面視円環形のバンパー2cで覆われている。バンパー2cは、天板2bに対して水平方向にある程度変位可能な状態で固定される。
【0015】
バンパーの前方正面には前方超音波センサ14Fが配置され、左前方に左方超音波センサ14Lが配置されている。また、右前方に右方超音波センサ14Rが配置されている。
【0016】
バンパー2cの前方上部には、無線信号通信部217が上方に突出して配置されている。無線信号通信部217は、図示しない操作リモコンや充電台の無線信号発信器から無線信号を受信する。制御部11は、回路基板に実装されたマイクロコンピュータ、メモリおよび周辺回路であり、その無線信号が示す指示に応答して自走式掃除機1の走行やその他の動作を制御する。この実施形態において、無線信号通信部217はバンパー2cに取付けられている。」

(2)図2には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000005.jpg]

(3)図3には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000006.jpg]

(4)図6には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000007.jpg]

3 引用文献3

当審拒絶理由で引用された、この出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された、前記引用文献3には、図面とともに、次の記載がある。

(1)「【0039】
赤外線センサ35は、充電台70から発信された帰還用の赤外線誘導信号を検出する部分である。
【0040】
赤外線送受信部36は、制御対象の家電機器のリモコン装置3から送信される赤外線信号(赤外光)を受信する部分であり、また、自走式電子機器20から、制御対象の家電機器に赤外線信号(赤外光)を送信する部分である。赤外線送受信部36は、上記した制御対象機器の制御信号を送信する制御信号送信部に相当する。
赤外線送受信部36は、リモコン装置3から送信された赤外線信号を受信できるように配置された赤外線受光素子と、互いに異なる方向へ赤外光が出射されるように、出射光の主軸方向が互いに異なるように配置された複数の赤外線光源(赤外光LEDとも呼ぶ)とを備える。
自走式電子機器20の筐体30の水平方向および上下方向について比較的広い角度範囲に、赤外光LEDから赤外線信号を出力できるようになっている。赤外線信号は、通信端末装置10から送信されてきた指示情報に対応する信号であり、制御対象機器を制御する信号である。
なお、赤外線送受信部36の構成は特に限定されるものではなく、赤外線受光素子の設置個数や赤外線信号の受光角度範囲および赤外線光源の設置個数や赤外線信号の出射角度範囲は適宜設定すればよい。赤外線送受信部36の具体的な構成例については、後述する。
【0041】
筐体30の側面には、筐体30が壁等に衝突したときの筐体30への衝撃を緩和させるためのバンパー39が設けられている。
また、バンパー39の一部に設けられた穴部、例えば、通常の進行方向の前面に設けられた穴部には赤外線センサ35および撮像部40が設けられており、バンパー39の一部に設けられた他の穴部には超音波センサ41が設けられている。」
(2)「【0063】
<赤外線送受信部36の構成>
図6および図7に、この発明の赤外線送受信部36の一実施例の斜視図を示す。
図6は、図2に示した自走式電子機器20の赤外線送受信部36を含む筐体30の一部分を示したものである。
図6に示す赤外線送受信部36は、ふたを取り付けた状態を示しており、このふたの内部に、赤外光を受信する1個の赤外光受光素子および赤外光を送信する複数個の赤外光LEDが備えられている。
リモコン装置3から送信された赤外光は、このふたを透過して赤外光受光素子36Rに受光される。
また、赤外光LEDから送信された赤外光は、このふたを透過して筐体外部へ出射される。
赤外線送受信部36の近傍には、赤外線センサ35および撮像部40が設けられ、どちらも筐体30の外表面近傍に配置される。」

(3)図3には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000008.jpg]

(4)図7には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000009.jpg]

4 引用文献4

当審拒絶理由で引用された、この出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された、前記引用文献4には、図面とともに、次の記載がある。

(1)「産業上の利用分野
この発明は、移動機能を備え、リモコン制御により無径路で動くリモコン移動装置に関するものである。」(第1ページ左欄第13行~第16行)

(2)「移動装置上部に設けられた赤外受光部に周囲から赤外リモコン信号が来ると、略放物面の反射鏡により反射されて受信部に到達する。手元リモコン送信部から出される赤外リモコン信号はほぼ同角度で赤外受光部に入射されるため、放物面の焦点に受信部を設けることにより、常に同方向から受信でき感度と信頼性が大きく向上して確実な受信ができる。又、放物面を全周に構成しているため、移動装置の周囲全方向からの赤外リモコン信号を受信できるものである。」(第2ページ左上欄第12行~右上欄第1行)

(3)「ここで、赤外リモコン信号9を受信する主要な構成要素である反射鏡11と、リモコン制御手段10を構成する受信手段14との位置関係、並びに反射鏡11の形状について、第4図の反射鏡形状図を用いて説明する。この図に於いて、横軸をx、縦軸をyとすると、曲線16は焦点をOとする放物線y2=4P(x-P)である。同様に曲線17は焦点をOとし曲線16を焦点Oに対して折り返した放物線y2=-4P(x+P)である。 2つの曲線が囲む領域18をy軸を中心に回転させると2つの曲線が反射面19を構成する。この場合、反射鏡11の直径は20、又反射鏡11と受信手段14との距離は21となり、受信手段14を焦点Oに設けるものである。この反射鏡11にx軸に平行な赤外リモコン信号9Aが来ると反射し焦点Oに収束する。又、若干斜めに入射した赤外リモコン9Bは、同様に焦点O近傍に収束する。」(第2ページ左下欄第8行~右下欄第4行)

(4)第1図には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000010.jpg]

(5)第4図には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000011.jpg]

※当審注:前記(3)及び(5)に示された、曲線16を示す式:y2=4P(x-P)は、y=0を代入すると、x=Pとなるため、(5)に図示された曲線16(y=0のとき、x=-P)と対応しないものであるところ、後記第5 2(1)イ(イ)に示す標準形の放物線が式aで表されることや、(5)に図示された曲線16においてy=0のとき、x=-Pであることを踏まえると、曲線16を示す式:y2=4P(x-P)は、y2=4P(x+P)の誤記と認められる。

同様の理由により、曲線17を示す式:y2=-4P(x+P)は、y2=-4P(x-P)の誤記と認められる。

5 引用文献5

この出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2005/071759号(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

(1)「[0019]図1~図3は、本発明が適用された赤外線受光モジュールの一実施例を示している。本実施例の赤外線受光モジュールΜは、テレビジョン受像機、ビデオデッキ、オーディオ機器、空調装置などといった電化製品に組み込まれ、リモートコントロール用の赤外線送信機から送信されてくる赤外線を受けるために用いられるものである。図1および図2によく表われているように、この赤外線受光モジュールMは、受光素子としてのフォトダイオード1、ICチップ2、第1ないし第3のリード3a~3c、封止樹脂4、および被覆部5を備えている。
[0020]フォトダイオード1は、赤外線送信機(図示略)から発せられた赤外線を受光すると、それに応じた光起電力を生じて電流を流すものである。ICチップ2は、フォトダイオード1に流れる電流を出力信号に変換して外部の所定の制御機器に出力するものであり、電流/電圧変換回路、増幅回路、リミット回路、検波回路(いずれも図示略)などを備えている。」
(2)「[0022]第1のリード3aのインナ部は、図3に示すように、グランド用端子30aに連設されている連設部31と、この連設部31に接続され、フォトダイオード1およびICチップ2を搭載するための平面を有する搭載部32とによって構成されている。搭載部32には、連設部31の延長線上にICチップ2とフォトダイオード1とがこの順に搭載されている。
[0023]フォトダイオード1の負極側の端子はワイヤW1により搭載部32(グランド電極に相当)に接続され、正極側の端子はワイヤW2によりICチップ2に接続されている。ICチップ2のグランド端子はワイヤW3により搭載部32に接続され、他の2つ端子はそれぞれワイヤW4,W5によりそれぞれ第2のリード3bおよび第3のリード3cのインナ部に接続されている。
[0024]封止樹脂4は、フォトダイオード1およびICチップ2を封止するものであり、たとえば可視光を遮るための顔料を含むエポキシ樹脂製である。封止樹脂4は、可視光については遮光性を有する一方、赤外線については透光性を有している。この封止樹脂4は、略直方体状に形成されており、この封止樹脂4の上面のうち、フォトダイオード1と対向する部分には、略半球面状の凸レンズとしてのレンズ部43が形成されている。このレンズ部43は、外部から進行してきた赤外線をフォトダイオード1上に集束させて効率良く受光させる役割を果たす。
[0025]被覆部5は、たとえばエポキシ樹脂にカーボンその他の導電性フィラを混入した導電性樹脂製である。また、この被覆部5は、可視光および赤外線のそれぞれに対して遮光性を有している。この被覆部5は、封止樹脂4の表面のうち、基端面40とレンズ部43とを除く部分を覆うように形成されている。ただし、基端面40上の一部分には、グランド端子30aに接触して導通する連接部50が形成されており、このことによって被覆部5はグランドに接続されている。」

(3)図1には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000012.jpg]

(4)図2には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000013.jpg]

(5)図3には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000014.jpg]

6 引用文献6

この出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された特開平10-190275号公報(以下「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

(1)【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、一種の赤外線送受信器のパッケージ方法と装置に関し、特に、リモートコントロール製品を電磁波干渉より隔離させる方法と装置であって、シールディングケースを素子を粘着した基板に組合せ、それをすでにプラスチックを注入してある金型内に挿入し、この金型内のプラスチックを熱硬化させた後、金型より外して、電磁波干渉の影響を受けないように隔離し、基板上の素子の接続端子の機能を変化させやすくし、また、接続端子の間隔の変更の幅を広げられるようにする方法と装置に関する。

【0002】

【従来の技術】周知のリモートコントロール製品を電磁波干渉より隔離する工程と構造は、以下に大別される。

・・・(中略)・・・

3.図7と図8はシャープ株式会社の製品の工程フローチャートと組立方法表示図であり、その中、工程は以下のステップを含む。

(1)適当な部品を選び導電材料で基板(支架或いはリードフレーム)に連結

(2)ICとホトダイオードのワイヤボンディング

(3)モールディングマシンを利用し樹脂封止

(3)プレス機具を用いて分離して単一固体となす

(4)金属製のシールディングケースで成形体上を覆う

(5)完成品を得る。

組立上は、IC41、ホトダイオード42を導電材料45で基板40(支架或いはリードフレーム)上に連結させた後、ワイヤボンディング44を行い、その後、モールディングマシンを利用し、樹脂47を注入して成形し、成形体を得て、その後、成形体を金属製のシールディングケース46に装入して完成品となしている。」

(2)図8には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000015.jpg]

7 引用文献7

この出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された特開2012-103206号公報(以下「引用文献7」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

(1)「【0003】
このような赤外線センサモジュールの一例としては、図10に示すように、回路基板110上に、駆動用IC140、赤外線検知素子130を順次搭載し、レンズ用開口窓123を有する金属ケース120を装着した構造が提案されている(特許文献1)。」
(2)「【0016】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1の赤外線センサモジュールを示す断面図であり、(b)は、赤外線センサモジュールのケース内部を示す上面図である。図2は図1の要部断面図であり、(a)はケースの部分を示す断面図、(b)は更なる要部断面図である。図3(a)および(b)はケースの断面図および上面図、図4は光学部材用開口窓の周縁部を示す断面図である。また図5はこの赤外線センサモジュールを示す分解斜視図である。
本発明の実施の形態1の赤外線センサモジュールは、金属(ステンレス板)製のケース20のケース本体21に設けられた光学部材取り付け用の開口窓23が、その周縁で、光学部材としてのレンズ22を装着する面側に、肉薄部を有する。そして、このレンズ22の周縁部22Rと光学部材用開口窓23の周縁部23Rとの間に、凹状部25を構成し、凹状部25が、接着剤24の充填される充填部を構成するようにし、接着剤の光学部材用開口窓内への流れだしを防止するようにしたものである。
またこの赤外線センサモジュールは、基板10上に配置され、赤外線を検出する赤外線センサ素子30と、赤外線センサ素子30の出力を処理する信号処理回路素子40とを具備している。そして、金属製のケース20はこの赤外線センサ素子30から所定の距離を隔てて設けられる。」

(3)図1(a)には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000016.jpg]

(4)図10には、次の事項が図示されている。

[図:0001396699000017.jpg]

第5 対比・判断

1 対比

以下、本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「清掃機構25を備えた移動ロボット20」は、本願発明の「自走式電気掃除機」に相当し、引用発明の「ケース21」と「前記ケース21が装着されるシャーシ」を合わせたものは、全体として清掃機構25を備えた移動ロボット20の本体を構成していることが明らかであるから、本願発明の「本体」に相当する。

(2)引用発明の「レンズ52」と「前記レンズ52の下に実装された赤外線検出器55」を合わせたものは、「前記レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を、前記レンズ外壁54を通して受光すると、当該光線は、前記レンズ52の材質であるポリカーボネートと前記レンズ内壁53より内側の材質との不連続性により、前記レンズ内壁53で全反射され、前記赤外線検出器55に集束する」という作用機能を奏するものであるから、光線を集束させているといえ、本願発明の「集光部」に相当する。

また、引用発明の「レンズ52」と「前記レンズ52の下に実装された赤外線検出器55」を合わせたものは、「RCON検出器50」に備えられるものであり、該「RCON検出器50」は、「前記移動ロボット20の前方の最も高い位置」に設けられるものであるところ、前記第4 1(1)オの図5、同じくカの図6の図示内容によると、該「RCON検出器50」は、「清掃機構25を備えた移動ロボット20」の本体を構成する「ケース21」と一体に設けられているといえる。すると、引用発明の「レンズ52」と「前記レンズ52の下に実装された赤外線検出器55」を合わせたものは、「清掃機構25を備えた移動ロボット20」の本体を構成する「ケース21」と一体に設けられているといえるから、本願発明の「該本体に設けた集光部」に相当する。

さらに、引用発明の「赤外線検出器55」は、本願発明の「受光素子」に相当し、引用発明の「前記レンズ52の下に実装された赤外線検出器55」「を備え」るという事項は、本願発明の「集光部は、」「受光素子」「を有」するという事項に相当する。

(3)引用発明の「前記移動ロボット20の前方の最も高い位置には、標準的な赤外線受光モジュールとなっており、前記レンズ52、前記レンズ52の下に実装された前記赤外線検出器55並びに関連する増幅および検出回路を備えたRCON検出器50が設けられ」るという事項は、「RCON検出器50」が、前記(2)に示したように、「清掃機構25を備えた移動ロボット20」の本体を構成する「ケース21」と一体に設けられていることを踏まえると、本願発明の「前記バンパの前方部には、前記集光部と、回路基板と、前記集光部および当該回路基板を保持するセンサーベースと、が設けられ」るという事項と、自走式電気掃除機の本体の前方部には、集光部が設けられる点において共通する。

(4)引用発明の「レンズ52の軸」は、「レンズ52」が「前記レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を受光」するものであることを踏まえると、水平面に対して垂直な方向の軸であるといえる。また、引用発明の「レンズ52」は、「RCON検出器50」に備えられるものであるところ、「レンズ52の軸」の方向である、水平面に対して垂直な方向とは、前記第4 1(1)オの図5の図示内容によると、「ケース21」のうち、「レンズ52」を備えた「RCON検出器50」が設けられた上方の面に対して垂直な方向ともいうことができる。すると、引用発明の「レンズ52の軸」は、本願発明の「前記本体のうち、該集光部が取り付けられた部分の延在面に垂直な方向」の「軸」に相当する。さらに、引用発明の「レンズ外壁54」及び「円柱状」は、それぞれ本願発明の「側面」及び「筒状」に相当するから、引用発明の「レンズ52は、」「前記レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を受光し、レンズ外壁54を備えた本質的に円柱状のデバイスであ」るという事項は、本願発明の「集光部は、」「前記本体のうち、該集光部が取り付けられた部分の延在面に垂直な方向に軸を有する筒状の側面」「を有」するという事項に相当する。

(5)引用発明の「ポリカーボネート」は、「レンズ52」を構成するものであり、「レンズ外壁54を備えた本質的に円柱状のデバイス」の内部を構成するといえるから、引用発明の「レンズ52は、」「ポリカーボネートで構成され」るという事項は、本願発明の「集光部は、」「該側面の内側に設けた樹脂層」「を有」するという事項に相当する。

(6)引用発明の「レンズ内壁53」は、光線を全反射するものであるから、本願発明の「反射面」に相当し、引用発明の「掃引された放物線」は、本願発明の「曲面」に相当する。そして、引用発明の「レンズ内壁53」が、「前記レンズ52の材質であるポリカーボネートと前記レンズ内壁53より内側の材質との不連続性により」、光線を全反射するものであることを踏まえると、「レンズ内壁53」は「ポリカーボネート」で構成されることが明らかである。すると、引用発明の「レンズ52」は、「ポリカーボネートで構成され、前記赤外線検出器55から遠い側の端部において前記レンズ外壁54から離れるにつれて前記赤外線検出器55に向かう、掃引された放物線で規定されたレンズ内壁53を有」するという事項は、本願発明の「前記樹脂層は、前記受光素子から遠い側の端部において前記側面から離れるにつれて前記受光素子に向かう曲面として形成された反射面を有」するという事項に相当する。

(7)引用発明の「該レンズ内壁53は、前記赤外線検出器55に向かって凸であり、前記レンズ内壁53を規定する放物線の焦点が、前記赤外線検出器55のアクティブな部分と共に配置されて」いるという事項と、本願発明の「該反射面は、前記受光素子に向かって略凸であり、前記反射面の先端から前記受光素子のセンサ部までの距離を2f、前記側面の軸方向をy軸方向、径方向をx軸方向、前記受光素子のセンサ部を原点としたとき、式(1)

[図:0001396699000018.jpg]

の解曲面に実質的に一致するように構成されて」いるという事項とは、反射面は、受光素子に向かって略凸である点において共通する。

(8)引用発明の「光線」は、前記第4 1(1)エの段落【0041】の記載を踏まえると、境界信号ともいえるから、本願発明の「信号」に相当する。また、引用発明の「前記レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線」は、「レンズ外壁54」が「本質的に円柱状のデバイス」に備えられた外壁であることや、前記第4 1(1)キの図7の図示内容を踏まえると、レンズ外壁54に垂直な光線であるともいえるから、引用発明の「前記レンズ52の軸に対して垂直である、水平な光線を、前記レンズ外壁54を通して受光すると」という事項は、本願発明の「前記側面に垂直な信号が入光した場合」に相当する。

また、引用発明の「当該光線は、前記レンズ52の材質であるポリカーボネートと前記レンズ内壁53より内側の材質との不連続性により、前記レンズ内壁53で全反射され、前記赤外線検出器55に集束する」という事項は、水平な光線が、レンズ内壁53のうち、当該水平な光線が進行する仮想の水平面と交わる掃引された放物線の領域で、全反射して、赤外線検出器55に集束するものといえるから、本願発明の「当該信号は、前記反射面のうち、当該信号の進行方向に平行な仮想面に交わる曲線状の領域で全反射して前記受光素子の方向に向かって進む」という事項に相当する。

(9)そうすると、本願発明と引用発明とは、

「本体と、
該本体に設けた集光部と、を備える自走式電気掃除機であって、
前記本体の前方部には、集光部が設けられ、
前記集光部は、
続きを表示(全11行)
前記本体のうち、該集光部が取り付けられた部分の延在面に垂直な方向に軸を有する筒状の側面と、
該側面の内側に設けた樹脂層と、
受光素子と、を有し、
前記樹脂層は、前記受光素子から遠い側の端部において前記側面から離れるにつれて前記受光素子に向かう曲面として形成された反射面を有し、
該反射面は、
前記受光素子に向かって略凸であり、かつ、
前記側面に垂直な信号が入光した場合、当該信号は、前記反射面のうち、当該信号の進行方向に平行な仮想面に交わる曲線状の領域で全反射して前記受光素子の方向に向かって進む自走式電気掃除機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>

本願発明は、「前記本体は外部から作用する押圧力に応じて自然位置から移動可能なバンパを備え」、「前記バンパの前方部に、前記集光部と、回路基板と、前記集光部および当該回路基板を保持するセンサーベースと」が設けられるのに対し、引用発明は、「前記移動ロボット20の前方の最も高い位置には、標準的な赤外線受光モジュールとなっており、前記レンズ52、前記レンズ52の下に実装された前記赤外線検出器55並びに関連する増幅および検出回路を備えたRCON検出器50が設けられ」ているものの、バンパを備えているか明らかでなく、そのため「RCON検出器50」がバンパの前方部に設けられているか明らかでなく、また、「RCON検出器50」が回路基板やこれらを保持するセンサーベースを備えているか明らかでない点。

<相違点2>

反射面の形状について、本願発明が、「前記反射面の先端から前記受光素子のセンサ部までの距離を2f、前記側面の軸方向をy軸方向、径方向をx軸方向、前記受光素子のセンサ部を原点としたとき、式(1)

[図:0001396699000019.jpg]

の解曲面に実質的に一致するように構成されて」いるのに対し、引用発明は、「前記レンズ内壁53を規定する放物線の焦点が、前記赤外線検出器55のアクティブな部分と共に配置されて」いるものの、前記式(1)の解曲面に実質的に一致するように構成されているか明らかでない点。

2 判断

(1)相違点について

ア <相違点1>について

(ア)まず、引用発明の「RCON検出器50」は、「標準的な赤外線受光モジュールとなっており、前記レンズ52、前記レンズ52の下に実装された前記赤外線検出器55並びに関連する増幅および検出回路を備えた」ものであるから、レンズ52やレンズ52の下に実装された赤外線検出器55のみならず、増幅回路、検出回路も備えた赤外線受光モジュールからなるものである。そして、モジュールという用語が「装置・機械・システムを構成する部分で、機能的にまとまった部分。」(広辞苑 第六版)という意味を有することや、赤外線受光モジュールとして、集光レンズ、赤外線受光素子の他、赤外線受光素子等が実装された回路基板及びこれらを一体に保持する保持部材を備えたものが、例えば、引用文献5(前記第4 5(1)~(5)参照。)、引用文献6(前記第4 6(1)~(2)参照。)及び引用文献7(前記第4 7(1)~(4)参照。)参照。)に記載されているように、この出願の出願前から慣用されていること(以下「慣用の事項」という。)を踏まえると、引用発明の「標準的な赤外線受光モジュール」からなる「RCON検出器50」は、「清掃機構25を備えた移動ロボット20」を構成する他の部品とは、機能的にも物理的にも独立して取り扱われる部品であって、保持部材で、レンズ52、赤外線検出器55の他、該赤外線検出器55、増幅回路、検出回路等を実装する回路基板を一体に保持したものと考えるのが自然である。そして、該保持部材は、レンズ52、赤外線検出器55の他、回路基板を一体に保持するものであるから、センサーベースということができる。

したがって、引用発明の「標準的な赤外線受光モジュール」からなる「RCON検出器50」は、本願発明の「前記集光部と、回路基板と、前記集光部および当該回路基板を保持するセンサーベース」と同様の構成を備えていることが明らかであり、両者はこの点において実質的に相違しない。また、仮に引用発明の「標準的な赤外線受光モジュール」からなる「RCON検出器50」が、回路基板や前記のような保持部材を備えていないとしても、前記慣用の事項に基づいて、赤外線検出器55等を実装する回路基板や前記のような保持部材を設けることに格別の困難性はない。

(イ)次に、引用発明の「清掃機構25を備えた移動ロボット20」は、清掃時などに周囲の物体等に衝突する可能性があるところ、該衝突時における移動ロボット20の損傷を抑制しようという課題は、引用発明において当然に内在するものである。

そして、自走式掃除機の技術分野において、該自走式掃除機の損傷を防止するために、周囲の物品等から作用する押圧力により、自走式掃除機の本体に対して水平方向に変位可能なバンパを設け、しかも、該バンパの前方上部に赤外線受信部等の信号受信部を設けることが、例えば引用文献2(前記第4 2(1)~(4)参照。)及び引用文献3(前記第4 3(1)~(4)参照。)に記載されているように、この出願の出願前から周知の事項(以下「周知の事項」という。)であることを踏まえると、引用発明において、前記した内在する課題を解決するべく、前記周知の事項を採用し、ケース21やシャーシに対して、水平方向に変位可能なバンパを設けるとともに、引用発明の移動ロボット20の前方の最も高い位置に設けたRCON検出器50を該バンパの前方上部に設けることに格別の困難性はない。

(ウ)そうすると、引用発明において、周知の事項に基づいて、あるいは慣用の事項及び周知の事項に基づいて、本願発明の前記相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

イ <相違点2>について

(ア)まず、引用発明の「レンズ内壁53」は、「掃引された放物線で規定された」ものであり、「前記レンズ内壁53を規定する放物線の焦点が、前記赤外線検出器55のアクティブな部分と共に配置されて」いるものであるところ、この放物線がどのような数式で表されるかを検討する。

(イ)一般に、直交するX軸及びY軸からなるX-Y面において、頂点が原点(x=0、y=0)に位置し、焦点がx=F、y=0に位置する放物線(以下「標準形の放物線」という。)は、例えば、以下の実願平5-46724号(実開平7-16308号)のCD-ROMの図4に示されるように、

[図:0001396699000020.jpg]

y2=4Fx ・・・式a

と表される。

(ウ)次に、引用発明の「レンズ内壁53」を掃引して規定する仮想の放物線(以下「仮想の放物線」という。)を、本質的に円柱状のデバイスからなるレンズ52の軸方向をY軸方向、径方向をX軸方向とし、赤外線検出器55のアクティブな部分と共に配置される放物線の焦点を原点(x=0、y=0)として、数式に表すと、前記式aで表される標準形の放物線が-X方向に、距離Fだけ平行移動し、頂点がx=-F、y=0に位置したものになるから、

y2=4F(x+F) ・・・式b

で表されることになる。そして、該式bは、変形すると、

(x+F)=y2/4F ・・・式c

とも表すことができる。

このとき、前記式b又は前記式cで表される仮想の放物線と、赤外線検出器55のアクティブな部分(及び該部分と共に配置される放物線の焦点)が位置する原点とのY軸上(x=0)での距離に着目すると、前記式b又は前記式cにx=0を代入することにより、該距離は2Fであることが把握できる。

(エ)前記(ウ)によると、引用発明の「レンズ内壁53」は、本質的に円柱状のデバイスからなるレンズ52の軸方向をY軸方向、径方向をX軸方向、赤外線検出器55のアクティブな部分を原点、仮想の放物線から原点(赤外線検出器55のアクティブな部分)までのY軸上での距離を2Fとしたとき、前記式cで表される仮想の放物線が掃引されて規定されるものといえる。

一方、引用発明の「レンズ内壁53」は、引用文献1の図7(前記第4 1(1)キ)の図示内容を踏まえると、その下端が平坦な面となっており、この部分では、仮想の放物線に沿ったものになっていないから、レンズ内壁53の下端から原点(赤外線検出器55のアクティブな部分)までの物理的な距離は2Fになっていない。

(オ)ここで、式cの前提として、本質的に円柱状のデバイスからなるレンズ52の軸方向をY軸方向としたが、このレンズ52の軸方向とは、引用文献1の図7(前記第4 1(1)キ)の図示内容を踏まえると、レンズ外壁54の軸方向と一致するから、該Y軸方向は、本願発明の「側面の軸方向」である「y軸方向」に相当するものである。同様に、本質的に円柱状のデバイスからなるレンズ52の径方向をX軸方向としたが、該X軸方向は、本願発明の「径方向」である「x軸方向」に相当するものである。そして、赤外線検出器55のアクティブな部分(及び該部分と共に配置される放物線の焦点)を原点としたが、これは本願発明の「受光素子のセンサ部を原点とした」ことに相当するものである。さらに、式cで表される仮想の放物線から原点(赤外線検出器55のアクティブな部分)までのY軸上での距離が2Fとなっているが、これは本願発明の「式(1)の解曲面に実質的に一致するように構成され」た「反射面の先端から前記受光素子のセンサ部までの距離を2f」としたことと対応するものであり、式cあるいは式(1)を特定する上で、2Fと2fは、Y軸上あるいはy軸上での原点からの距離に対応した同じパラメータを表しているといえる。

すると、引用発明の「レンズ内壁53」を掃引して規定する仮想の放物線を表す前記式cは、本願発明の「反射面」が実質的に一致する解曲面を表す式(1)と、X軸、Y軸、原点等の前提が一致し、式自体も一致しているから、引用発明の「レンズ内壁53」は、本願発明の「反射面」と同じ式の解曲面に沿って構成されているといえる。

一方、引用発明は、前記したように、レンズ内壁53の下端から原点(赤外線検出器55のアクティブな部分)までの物理的な距離が2Fになっていないため、「前記反射面の先端から前記受光素子のセンサ部までの距離を2f」とする本願発明とは、この点において異なっている。以下、この点について検討する。

(カ)引用発明は、RCON検出器50が設けられ、水平な光線を、レンズ外壁54を通して受光し、レンズ内壁53で全反射させて、赤外線検出器55に集束させるものであるところ、引用文献1の段落【0039】、【0044】(前記第4 1(1)エ参照。)等の記載は、移動ロボット20の周囲の全方向(360°)からの光線を確実に受光しようとする課題を示唆している。また、引用文献1の段落【0003】~【0005】(前記第4 1(1)ア参照。)、段落【0026】(前記第4 1(1)イ参照。)の記載によると、前記光線を送信するRCON送信機30は、移動ロボット20の利用者が任意の箇所に配置するものであるから、利用者が設置するRCON送信機30の設置高さによっては、RCON送信機30から送信される光線の高さが異なるものになることを、当業者であれば、当然に認識し得るものであり、さらに、RCON送信機30における光線を送信する手段に取付誤差、製造誤差が生じ得ることを踏まえると、引用発明において、周囲の光線を確実に受光するために、高さ方向の受光範囲についても最適化することは、当業者であれば、当然に考慮することである。

そして、引用発明において、レンズ内壁53の高さ方向の寸法により、前記した高さ方向の受光範囲や受光の確実性が変化することは明らかであるところ、レンズ内壁53の下端側を仮想の放物線に沿って、どの程度、延在させるかは、前記した高さ方向の受光範囲や受光の確実性等を考慮の上、当業者が適宜、決定すべき設計的事項といえる。また、引用文献4(前記第4 4(1)~(5)参照。)に、周囲全方向からの赤外リモコン信号を受信するリモコン移動装置において、受信手段14を焦点Oに設けた放物面からなる反射鏡11を、受信手段14の直上まで延在させたものが記載されていることも踏まえると、引用発明のレンズ内壁53の下端側を仮想の放物線に沿って、赤外線検出器55のアクティブな部分の直上まで延在させ、レンズ内壁53の下端から赤外線検出器55のアクティブな部分までの物理的な距離を2Fとすることにも格別の困難性はない。

(キ)そうすると、引用発明において、引用文献4に記載された事項に基づいて、本願発明の前記相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(2)本願発明の作用効果について

本願発明の作用効果は、引用発明、周知の事項及び引用文献4に記載された事項、又は引用発明、慣用の事項、周知の事項及び引用文献4に記載された事項から当業者が予測できる範囲のものである。

(3)請求人の主張について

請求人は、令和4年9月13日に提出した意見書の(4)(イ)において、本願発明の「前記バンパの前方部には、前記集光部と、回路基板と、前記集光部および当該回路基板を保持するセンサーベースと、が設けられ、」という特徴により、集光部と回路基板とが同じセンサーベースに保持されているため、衝撃に強く誤動作を発生させ難い構成を実現できるという顕著な作用効果を奏することができ、つまり、本願発明は、バンパが障害物にぶつかって衝撃を受けても、集光部と回路基板とが固定(保持)された状態でセンサーベースと一体に動くため、衝撃に耐え易い構成及び誤動作を発生させ難い構成にすることができる旨、主張している。

しかしながら、前記「(1)ア <相違点1>について」で検討したように、引用発明の「標準的な赤外線受光モジュール」からなる「RCON検出器50」は、保持部材で、レンズ52、赤外線検出器55の他、該赤外線検出器55、増幅回路、検出回路等を実装する回路基板を一体に保持したものと考えるのが自然であり、仮にそうでないとしても、レンズ52、赤外線検出器55に加えて、前記慣用の事項に基づいて、赤外線検出器55等を実装する回路基板や前記のような保持部材を設けることに格別の困難性はないものである。

すると、引用発明において、レンズ52、赤外線検出器55及び赤外線検出器55等を実装する回路基板は、保持部材により一体に保持されるため、衝撃に耐え易く、誤動作を発生させ難い構成となっているといえ、あるいは該構成とすることに格別の困難性はないといえる。そして、前記したように、バンパの前方上部に赤外線受信部等の信号受信部を設けることも周知の事項であり、該バンパに設けられた部材であれば、衝撃に耐え易く、誤動作を発生させ難くなることは当業者にとって明らかであるから、以上を踏まえると、請求人の主張する作用効果は当業者が予測し得ない格別顕著なものとはいえない。

したがって、請求人の前記主張は採用できない。

3 まとめ

したがって、本願発明は、引用発明、周知の事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、又は引用発明、慣用の事項、周知の事項及び引用文献4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-014925

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