特許拒絶査定不服審判
2021-014743
ぱちんこ遊技機
- 審判番号
- 2021-014743
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-120924外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月29日
- 審決日
- 2022年12月07日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .161-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-120924「ぱちんこ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月17日出願公開、特開2019- 4953〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月20日の出願であって、令和2年10月30日に手続補正書が提出され、同年12月17日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年2月18日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月8日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年7月28日付け(送達日:同年8月3日)で、同年6月14日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年10月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和3年10月29日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年10月29日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年2月18日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「【請求項1】
遊技領域に向けて発射された遊技球が入球可能な複数の入賞口と、
情報を表示可能な情報表示部と、
前記複数の入賞口への遊技球の入球を検出し得る入球判定手段と、
遊技領域に発射された遊技球を計測する計測手段と
を備え、
前記計測手段にて計測される区間として、少なくとも、第1区間と第2区間と第3区間とを備え、
各区間を示す情報として、各区間のいずれかの区間に滞在していることを示す所定のフラグを備え、
前記所定のフラグは、各区間のうち特定区間に滞在していることを示すよう構成されており、
少なくとも、前記所定のフラグは、電源断が発生してもクリアされないように構成されており、
遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、
前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数が全て付与されない状況下でRAMクリア処理が実行された場合であっても、当該付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成して当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部に表示可能である
ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」とあったものを、
「【請求項1】
遊技領域に向けて発射された遊技球が入球可能な複数の入賞口と、
情報を表示可能な情報表示部と、
前記複数の入賞口への遊技球の入球を検出し得る入球判定手段と、
遊技領域に発射された遊技球を計測する計測手段と
を備え、
前記計測手段にて計測される区間として、少なくとも、第1区間と第2区間と第3区間とを備え、
各区間を示す情報として、各区間のいずれかの区間に滞在していることを示す所定のフラグを備え、
前記所定のフラグは、各区間のうち特定区間に滞在していることを示すよう構成されており、
少なくとも、前記所定のフラグは、電源断が発生してもクリアされないように構成されており、
遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、
前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数が全て付与されない状況下でRAMクリア処理が実行された場合であっても、当該付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成して当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部に表示可能であり、
前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成するタイミングよりも前に当該付与される予定の賞球数を出力可能であり、出力された当該付与される予定の賞球数に基づいて賞球を付与するよう構成されている
ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。
2 補正の目的について
(1)本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される賞球数」に関し、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数」との限定をし、
同じく「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数」に関し、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成するタイミングよりも前に当該付与される予定の賞球数を出力可能であり、出力された当該付与される予定の賞球数に基づいて賞球を付与するよう構成されている」との限定をするものを含むものである。
(2)上記(1)からみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
3 新規事項の追加の有無について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面における【0063】、【0065】、【0083】、【0085】、【0086】、【0193】、図7等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
4 独立特許要件について
本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、次のとおりのものであると認める(なお、符号A等は、分説するため合議体が付した。)。
「【請求項1】
A 遊技領域に向けて発射された遊技球が入球可能な複数の入賞口と、
B 情報を表示可能な情報表示部と、
C 前記複数の入賞口への遊技球の入球を検出し得る入球判定手段と、
D 遊技領域に発射された遊技球を計測する計測手段と
を備え、
E 前記計測手段にて計測される区間として、少なくとも、第1区間と第2区間と第3区間とを備え、
F 各区間を示す情報として、各区間のいずれかの区間に滞在していることを示す所定のフラグを備え、
G 前記所定のフラグは、各区間のうち特定区間に滞在していることを示すよう構成されており、
H 少なくとも、前記所定のフラグは、電源断が発生してもクリアされないように構成されており、
I 遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、
J 前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数が全て付与されない状況下でRAMクリア処理が実行された場合であっても、当該付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成して当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部に表示可能であり、
K 前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成するタイミングよりも前に当該付与される予定の賞球数を出力可能であり、出力された当該付与される予定の賞球数に基づいて賞球を付与するよう構成されている
L ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」
(2)先願1
原査定の拒絶の理由に先願1として引用され、本願の出願日前の特許出願であって、本願の出願後に出願公開された特願2017-118046(特開2019-000390)(出願日:平成29年6月15日、出願公開日:平成31年1月10日、出願人:株式会社大一商会、発明者:市原高明、坂根渉、秋山大)(以下「先願1」という。)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、「遊技機」に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は合議体が付した。)。
ア 記載事項
(ア)「【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1乃至図9を参照して本実施形態のパチンコ機1の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態であるパチンコ機の正面図である。図2はパチンコ機の右側面図であり、図3はパチンコ機の平面図であり、図4はパチンコ機の背面図である。図5はパチンコ機を前から見た斜視図であり、図6はパチンコ機を後ろから見た斜視図である。図7は本体枠から扉枠3を開放させると共に、外枠2から本体枠4を開放させた状態で前から見たパチンコ機の斜視図である。図8はパチンコ機を扉枠3、遊技盤5、本体枠4、及び外枠2に分解して前から見た分解斜視図であり、図9はパチンコ機を扉枠3、遊技盤5、本体枠4、及び外枠2に分解して後ろから見た分解斜視図である。」
(イ)「【0043】
レール1001、1002の出口付近(望ましくは、逆流防止部材1007を通過した直後)の遊技盤5の裏面側には、遊技領域5aに打ち込まれた遊技球を検出する発射球センサ1020を設ける。例えば、発射球センサ1020は、磁気センサで構成し、逆流防止部材1007を通過して遊技領域5aに流入した遊技球を検出すると、信号を出力する。なお、発射球センサ1020は、遊技領域内で遊技球が必ず通過する位置に設けてもよい。遊技盤5における発射球センサ1020の位置を固定化することによって、複数機種間で仕様を共通化でき、製造現場での検査やホールでの設置後検査が容易になる。」
(ウ)「【0057】
[2-8.表ユニットの全体構成]
次に、表ユニット2000について、主に図10乃至図12、図14乃至図16を参照して説明する。遊技盤5の表ユニット2000は、遊技パネル1100のパネル板1110に、前方から取付けられており、前端がパネル板1110の前面よりも前方へ突出していると共に、後端が開口部1112を貫通してパネル板1110の後面よりも後方へ突出している。本実施形態の表ユニット2000は、遊技領域5a内に打込まれた遊技球を受入可能としており常時開口している複数の一般入賞口2001と、複数の一般入賞口2001とは遊技領域5a内の異なる位置で遊技球を受入可能に常時開口している第一始動口2002と、遊技領域5a内の所定位置に取付けられており遊技球の通過を検知するゲート部2003と、遊技球がゲート部2003を通過することにより抽選される普通抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる第二始動口2004と、第一始動口2002又は第二始動口2004への遊技球の受入れにより抽選される第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果に応じて何れかにおいて遊技球の受入れが可能となる第一大入賞口2005及び第二大入賞口2006と、を備えている。」
(エ)「【0070】
[3-1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板1310は、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROM1313や一時的にデータを記憶するRAM1312等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU1311と、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート1314と、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路1315と、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路1316と、主制御MPU1311に内蔵されているRAMに記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリアスイッチと、を備えている。主制御MPU1311は、その内蔵されたROMやRAMのほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
【0071】
主制御基板1310の主制御MPU1311は、第一始動口2002に受入れられた遊技球を検出する第一始動口センサ2104、第二始動口2004に受入れられた遊技球を検出する第二始動口センサ2551、一般入賞口2001に受入れられた遊技球を検出する一般入賞口センサ3015、ゲート部2003を通過した遊技球を検知するゲートセンサ2547、第一大入賞口2005に受入れられた遊技球を検知する第一大入賞口センサ2114、第二大入賞口2006としての第二上大入賞口2006a及び第二下大入賞口2006bに受入れられた遊技球を検知する第二上大入賞口センサ2554及び第二下大入賞口センサ2557、排出球センサ3060、発射球センサ1020及び遊技領域5a内における不正な磁気を検知する磁気検出センサ、等からの検出信号が夫々主制御I/Oポート1314を介して入力される。」
(オ)「【0076】
また、主制御基板1310には、停電監視回路が設けられている。この停電監視回路は、電源基板から供給される各種電圧の低下を監視しており、それらの電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号を出力する。この停電予告信号は、主制御I/Oポート1314を介して主制御MPU1311に入力される他に、払出制御基板951等にも出力されている。」
(カ)「【0131】
なお、払出制御基板951に各種電圧を供給する電源基板は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板1310に電力を供給するためのバックアップ電源としてのキャパシタを備えている。このキャパシタにより払出制御MPUは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御基板951のRAMに記憶することができる。この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板1310のRAMクリアスイッチが操作されると、払出制御基板951のRAMから完全に消去(クリア)される。」
(キ)「【0224】
続いて、主制御MPU1311は、周辺制御基板1510に送信するための電源投入時コマンドを設定する処理を実行する(ステップS32)。電源投入時コマンド作成処理では、遊技バックアップ情報から遊技情報を読み出して、遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAM1312の所定記憶領域に記憶する。電源投入時コマンドの生成は、電源投入時状態基準コマンドを基準コマンドデータとしてセットし、生成するコマンドに対応するコマンド加算データを加算する。」
(ク)「【0227】
続いて、主制御MPU1311は、停電予告信号を取得し(ステップS36)、停電予告信号がONであるか否かを判定する(ステップS38)。停電予告信号がONでない場合(ステップS38の結果が「No」)、すなわち、乱数更新処理を実行する(ステップS40)。ステップS46の乱数更新処理では、主として特別抽選や普通抽選において当選判定を行うための乱数以外の乱数を更新する。なお、特別抽選や普通抽選において当選判定を行うための乱数の更新処理は、後述するタイマ割込み処理で実行される。停電予告信号が検出されるまでステップS36からステップS40までの処理を実行し、これらの処理を主制御側メイン処理とする(初期設定後通常手段)。
【0228】
一方、停電予告信号を検出した場合には(ステップS38の結果が「Yes」)、主制御MPU1311は、電源断時処理を実行する(電断時設定手段)。電源断時処理では、停電発生前の状態に復帰させるためのデータをバックアップする処理を実行する。具体的には、まず、割込み処理の実行を禁止する(ステップS42)。これにより後述するタイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAM1312への書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護することができる。さらに、主制御MPU1311は、出力ポートをクリアして、各ポートからの出力によって制御される機器の動作を停止する(ステップS44)。具体的には、ソレノイド・停電クリア・ACK出力ポートに停電クリア信号OFFビットデータを設定する。なお、全ての出力ポートがクリアされなくてもよく、例えば、電力消費が大きいソレノイドやモータを制御するための出力ポートをクリアすればよい。これらの出力ポートをクリアすることによって、主基板側電源断時処理が終了するまでの時間の消費電力を低減し、主基板側電源断時処理を確実に終了できるようになる。」
(ケ)「【0237】
次に、主制御MPU1311は、スイッチ入力処理を実行する(ステップS74)。スイッチ入力処理では、主制御MPU1311の各種入力ポートの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAM1312の入力情報記憶領域に記憶する。具体的には、一般入賞口などの入賞口に入球した遊技球を検出する各種センサからの検出信号、磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3024からの検出信号、賞球制御処理で送信した賞球コマンドを払出制御基板951が正常に受信した旨を伝える払出制御基板951からの払主ACK信号などをそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。また、スイッチ入力処理では、排出球センサ3060や発射球センサ1020からの検出信号を読み取って、アウト球数を計数する。」
(コ)「【0372】
役物比率表示器1317は、ベースを表示してもよい。ベースは、特賞中(大当り中)を除いた通常時の出玉率であり、セーフ球数÷アウト球数で計算できる。発射球数(アウト球数)は、発射球センサ1020によって検出する。前述したように、発射球センサ1020は、球発射装置から遊技領域5aに遊技球を導くレール1001、1002の出口(逆流防止部材1007)付近に設ける(図10、図16参照)。また、アウト球数を、排出球センサ3060によって検出してもよい。前述したように、排出球センサ3060は、遊技領域5aから流出した遊技球をパチンコ機1の外部に排出する排出口に設ける(図4参照)。また、遊技領域5aの下部に設けられるアウト口1111を通過する遊技球を検出するアウト口通過球センサ1021(図53参照)を設け、アウト口通過球センサ1021が検出した遊技球の数と、始動口センサ2104、2551が検出した遊技球の数と、各種入賞口センサ3015、2114、2554、2557が検出した遊技球の数との合計によって、アウト球数を検出してもよい。さらに、球発射装置680へ供給される遊技球を検出する発射供給球センサ(図示省略)と、球発射装置680から打ち出されたが遊技領域5aに到達しなかった遊技球(いわゆる、ファール球)を検出するファール球センサ(図示省略)とを設け、発射供給球センサが検出した球発射装置680へ供給された遊技球の数からファール球数を減じて、アウト球数(発射球数)を検出してもよい。」
(サ)「【0388】
図39は、ベース算出用領域更新処理(ステップS81)の一例を示すフローチャートである。ベース算出用領域更新処理は、現在の遊技状態を判定し、遊技価値として払い出される賞球数を現在の遊技状態に対応した領域に加算して、主制御内蔵RAM1312のベース算出用領域13128を更新する。特に、図39に示すベース算出用領域更新処理は、タイマ割込み周期ごとに毎回ベース値を計算するために、賞球制御処理(ステップS80)で算出された賞球数を用いて総賞球数を直接更新し(ステップS814)、アウト球数を用いて総アウト球数を直接更新する(ステップS822)。」
(シ)「【0393】
遊技状態が特賞中であれば、ベース値の計算に関係しない賞球であるため、賞球数やアウト球数を更新せずに、ベース算出用領域更新処理を終了する。一方、遊技状態が特賞中でなければ、賞球制御処理(ステップS80)で入力情報に基づいて算出された賞球数を取得する(ステップS811)。ベース算出用領域更新処理で取得する賞球数は、払い出しが決定した賞球数でもよい。また、作成済みの払出コマンドに対応する賞球数でもよい。また、送信済の払出コマンドに対応する賞球数でもよい。また、主制御基板1310が払出制御基板951に払出コマンドを送信し、払出制御基板951から受信確認(ACK)を受信した払出コマンドに対応する賞球数でもよい。さらに、主制御基板1310が払出制御基板951に払出コマンドを送信し、払出制御基板951から払出完了の報告を受けた賞球数(払出済み賞球数)でもよい。このバリエーションは図41から図44を用いて説明する。
【0394】
そして、取得した賞球数を総賞球数に加算して、総賞球数を更新する(ステップS814)。なお、賞球があるかを判定し、賞球がなければ、総賞球数を更新する処理をスキップしてもよい。また、始動入賞口2002、2004に遊技球が入賞したが、保留が上限値であり、始動入賞口への入賞が保留されなかった場合でも賞球は払い出されるので、総賞球数が更新される。また、入賞口に遊技球が入賞しても賞球が発生しない遊技状態(例えば、特定のエラー発生時など)においては、当該入賞に起因する賞球が発生せず、取得する賞球数が0であるため、総賞球数は更新されない。総賞球数は、主制御内蔵RAM1312のベース算出用領域13128に設けられる総賞球数格納領域(図52参照)に記録される。すなわち、図39に示すベース算出用領域更新処理では、賞球数が計算される都度、ベース値の計算に用いられる総賞球数が更新される。
【0395】
その後、アウト球数を取得し(ステップS818)、取得したアウト球数を総アウト球数に加算するように、総アウト球数を更新する(ステップS822)。アウト球数は、前述したように、発射球センサ1020や排出球センサ3060などによって検出され、ステップS74のスイッチ入力処理で、これらのセンサの検出信号を読み取って、センサの検出信号があればアウト球数=1を取得する。総アウト球数は、主制御内蔵RAM1312のベース算出用領域13128に設けられる総アウト球数格納領域(図52参照)に記録される。すなわち、図39に示すベース算出用領域更新処理では、アウト球が検出される都度、ベース値の計算に用いられる総アウト球数が更新される。このように、タイマ割込み処理ごとにベース算出処理を実行して、総アウト球数を更新し、ベース算出表示処理(図40)にてベース値を計算し表示するので、ベース値を遅滞なく表示でき、ベースが正常か異常かを遅滞なく判断できる。」
(ス)「【0401】
図40は、ベース算出・表示処理(ステップS89)の一例を示すフローチャートである。図40に示すベース算出・表示処理では、毎回(タイマ割込み周期ごと)にベース値を計算する。
【0402】
まず、総アウト球数が0であるかを判定する(ステップS902)。総アウト球数が0であれば、ベース値を計算できないので、ベース値を計算せず、ベース算出・表示処理を終了する。一方、総アウト球数が0でなければ、総賞球数を総アウト球数で除してベース値を計算する(ステップS903)。なお、総賞球数が0である場合はベース値として0が計算されるが、ベース値を計算しなくてもよい。さらに、異常なベース値が計算される場合(例えば、総賞球数が総アウト数より大きく、ベース値として1(100%)以上の値が計算される場合)、ベース値を計算しなくてもよい。ベース値を百分率で表す場合、総賞球数÷総アウト球数に100を乗じてベース値を計算する。具体的には、総賞球数に所定数(例えば100)を乗じて除算入力レジスタA131216に格納し、総アウト球数を除算入力レジスタB131217に格納する。」
(セ)「【0407】
その後、ベース報知コマンドを生成し(ステップS908)、遊技者やホール従業員にベースを報知する。ベース報知コマンドは、単にベース値を報知するものでも、ベース値の異常を報知するものでもよい。ベース値の異常とは、例えば、計算されたベース値が設計値(正常値)から所定の許容範囲を超えて大きくまたは小さくなった場合などである。なお、複数段階の許容範囲を設けてベース値の乖離の程度によって異常の程度を複数段階で判定してもよい。
【0408】
ベースの報知は、様々な方法があり、以下に説明する方法の一つでも、二つ以上を組み合わせてもよい。例えば、ベース表示器(7セグメントLED)1317、液晶表示装置1600、3114、244などでベースの値を常時または所定のタイミングで報知してもよい。遊技者にベース値を報知すると、遊技者がパチンコ機の調子を確認できてよい。その際、役物比率で説明した表示態様をベース値に適用してもよい。ベースの値を報知する場合、計算されたベース値をパーセンテージ表記として、前述した表示器や表示装置に表示する。なお、小数点以下の値は切り捨て、四捨五入、切り上げのいずれでもよいし、液晶表示装置1600、3114、244など画像を表示可能な表示装置では、小数点以下第1位まで表示し、より詳細に表示してもよい。
【0409】
7セグメントLEDで構成されるベース表示器1317にベース値を表示する場合、主制御MPU1311がベース表示器1317のドライバ回路13171に設けられた所定のレジスタに表示データを入力する。すなわち、主制御MPU1311は、ベース報知コマンドとして、ドライバ回路13171のレジスタに設定される表示データを生成する。より具体的には、主制御MPU1311は、図33、図34に示すように、D15~D8に数値を表示する桁を「データn設定」で指定し、D7~D0に表示内容を指定したデータを生成し、シフトレジスタ3171に書き込む。」
(ソ)「【0422】
払出制御基板951は、受信した払出コマンドをメモリに格納すると、払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信する。そして、払出制御基板951は、払出コマンドに従って賞球を払い出すと、球払出完了を主制御基板1310に通知する。なお、賞球制御処理(ステップS80)で計算された賞球数のうち未払出し賞球数は、主制御基板1310又は払出制御基板951でバックアップされる。払出制御基板951で未払出し賞球数をバックアップする場合、払出制御基板951が払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信する必要があるが、球払出完了を主制御基板1310に通知する必要はない。一方、主制御基板1310で未払出し賞球数をバックアップする場合、払出制御基板951が球払出完了を主制御基板1310に通知する必要があるが、払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信する必要はない。」
(タ)「【0426】
[9-2.賞球数の更新タイミングとベース値の計算タイミングのバリエーション]
次に、図42から図44を用いて、賞球数の更新タイミングとベース値の計算タイミングのバリエーションを説明する。各バリエーションにおける賞球数の更新タイミング、ベース値の計算タイミングの概要は以下の通りである。
・図41:賞球数計算→賞球数更新→ベース値計算→払出コマンド送信
・図42:賞球数計算→賞球数更新→払出コマンド送信→ベース値計算
・図43:賞球数計算→払出コマンド送信→賞球数更新→ベース値計算
・図44:賞球数計算→払出コマンド送信→コマンド受信確認→賞球数更新→ベース値計算
・図45:賞球数計算→払出コマンド送信→払出完了通知→賞球数更新→ベース値計算
なお、上記図41から図44のバリエーションは、図39に示すベース算出用領域更新処理および図40に示すベース算出・表示処理だけでなく、後述するいずれのベース算出用領域更新処理およびベース算出・表示処理にも適用可能である。
【0427】
図42に示す手順では、図23に示すタイマ割込み処理の手順と異なり、ベース算出用領域更新処理(ステップS81)は図示した位置で実行し、出力データ設定処理(ステップS90)の後にベース比率算出・表示処理(ステップS89)を実行する。
【0428】
すなわち、主制御MPU1311は、スイッチ入力処理(ステップS74)で遊技球の入賞を検出し、賞球制御処理(ステップS80)で入賞口毎に定められた賞球数を計算し、ベース算出用領域更新処理(ステップS81)で総賞球数(または、後述する実施例では賞球数バッファ)を更新する。その後、出力データ設定処理(ステップS90)で払出制御基板951に払出コマンドを送信し、ベース比率算出・表示処理(ステップS89)でベース値を更新する。
【0429】
払出制御基板951は、受信した払出コマンドをメモリに格納すると、払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信する。そして、払出制御基板951は、払出コマンドに従って賞球を払い出すと、球払出完了を主制御基板1310に通知する。前述したように、賞球制御処理(ステップS80)で計算された賞球数のうち未払出し賞球数を主制御基板1310又は払出制御基板951のいずれでバックアップするかによって、払出コマンド受信確認又は球払出完了のいずれかを省略してもよい。」
(チ)「【0858】
本実施例のパチンコ機1では、初回電源投入からアウト球数が500個未満の所定数(例えば、256個)はテスト区間として、ベース値を計算しない。これは、パチンコ機1の初回電源投入から所定数の発射においては、確率分布の範囲内で出球がばらつくことがあり、ベース値が安定せず、意味のあるベース値が計測できないからである。このため、テスト区間においては、ベース表示器1317にベース値を表示しない。具体的には、暫定区間表示では、上2桁に「bA.」を表示し、下1桁に「--」を表示し、確定区間表示では、上2桁に「bb.」を表示し、下1桁に「--」を表示する。テスト区間においては、ベース表示器1317の全桁数を点滅表示して、正確なベース値が計測できていないことを示す。」
(ツ)「【0861】
テスト区間以外の各区間において、全ての遊技状態(大当たり中、通常遊技中、時短中、非時短中、高確率中、低確率中など)の全アウト球数が52000に至ると、次の区間に切り替え、新たにベース値を計測する。なお、1区間のアウト球数は52000個ではなく、予め定めた値であれば他の数でもよい。例えば、パチンコ機1の1日の稼動時間を10時間だと想定すると、1日の稼動(アウト球数)である60000個を1区間のアウト球数に採用してもよい。切りのよい数字である50000個や100000個を採用してもよい。」
(テ)「【0872】
本実施例のパチンコ機1では、RAM1312の少なくとも一部の領域が初期化されるケースとして、RAMクリアスイッチの操作(S18)と、停電フラグがセットされていない停電フラグ異常(S20)と、RAMのチェックサムが一致しないRAM異常(S22)と、ベース算出用ワークの異常(S24)とがある。これらのうち、図示したように、電源投入時にRAMクリアスイッチの操作が検出された場合、及び停電フラグ異常、RAM異常の場合は、遊技制御用領域13126(遊技用ワーク領域と遊技用スタック領域を含む)をクリアし、ベース算出用領域13128(ベース算出用ワーク領域とベース算出用スタック領域を含む)はクリアしない。また、ベース算出用ワーク異常の場合、ベース算出用領域13128(遊技領域外)をクリアし、遊技制御用領域13126はクリアしない。」
(ト)「【0877】
一方、停電予告信号を検出した場合には(ステップS38の結果が「Yes」)、主制御MPU1311は、電源断時処理を実行する(電断時設定手段)。電源断時処理では、まず、割込み処理の実行を禁止し(ステップS42)、出力ポートをクリアして、各ポートからの出力によって制御される機器の動作を停止する(ステップS44)。続いて、主制御MPU1311は、バックアップされるワークエリアに格納されたデータが正常に保持されたか否かを判定するためのチェックサムを計算し(ステップS46)、チェックサムの計算結果をRAM1312のチェックサムエリアに格納する(ステップS48)。
【0878】
続いて、ベース算出用ワーク(ベース算出用領域13128)のメイン領域のデータを各バックアップ領域に複製する(ステップS54)。このとき、計算されたチェックコードも複製する。バックアップは、主基板側電源断時処理ではなく、ベース算出処理で適宜(例えば、データの更新の都度)、実行してもよい。このように、ベース値の算出に使用するデータを、計算された(又は、所定値の)チェックコードと共にバックアップ領域に格納することによって、電源遮断時にもベース算出用のデータや算出されたベース値を保持し、長期間の稼動におけるベース値を算出できる。」
(ナ)「【0882】
ベース算出用領域13128は、RAM1312の一部の領域で構成され、前述したように、遊技制御用領域13126とは別に(遊技領域外に)設けられる。
【0883】
ベース算出用領域13128は、ベース値A、ベース値B、区間カウンタ、全アウト球数、低確率・非時短アウト球数及び低確率・非時短賞球数の格納領域を含む。
【0884】
ベース値Aの格納領域は、1バイトで構成され、現在計測中の暫定区間のベース値を格納する。ベース値Bの格納領域は、1バイトで構成され、前記暫定区間の一つ前の区間において計測されたベース値を格納する。区間カウンタの格納領域は、1バイトで構成され、現在ベース値を測定中の区間を示す値を格納する。区間カウンタは、区間が切り替えられる毎に更新され、区間によって異なる表示内容を制御するために使用される。なお、区間カウンタは、0、1、2のいずれかの値、すなわち、2より大きくならないように制御するとよい。具体的には、テスト区間では区間カウンタ=0、第1区間では区間カウンタ=1、第2区間以後では区間カウンタ=2である。また、区間カウンタは、0から255の値として、255より大きくならないように制御してもよく、第2区間以後では区間カウンタ=2以上となる。
【0885】
全アウト球数の格納領域は、2バイトで構成され、遊技状態によらない全てのアウト球数(すなわち、遊技機の稼働を示す値)を格納する。全アウト球数は、ベースの測定単位である区間の切り替えを判定するために使用される。本実施例のパチンコ機では、概ね1日の稼働を一つの区間として、各区間におけるベース値を計測する。このため、2バイト(65536)を全アウト球数の格納領域に割り当てている。全アウト球数は、前述したように、遊技状態によらない全てのアウト球数を区間毎に計数するための記憶領域であり、前述した実施例の総アウト球数(特賞中のアウト球数のパチンコ機1の稼働開始からの合計値)とは異なるものである。」
(ニ)「【図42】
[図:0001393650000001.jpg]
」
(ヌ)「【図99】
[図:0001393650000002.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)【0858】には「初回電源投入からアウト球数が500個未満の所定数(例えば、256個)はテスト区間とし」と記載され、【0861】には「テスト区間以外の各区間において、全ての遊技状態(大当たり中、通常遊技中、時短中、非時短中、高確率中、低確率中など)の全アウト球数が52000に至ると、次の区間に切り替え」と記載され、【0885】には「全アウト球数は、ベースの測定単位である区間の切り替えを判定するために使用される。」と記載されており、【図99】からは、初回電源投入から全アウト球数が500個未満に至るまではテスト区間とし、テスト区間の次の区間であり、1回目の計測で全アウト球数が52000個に至るまでは第1区間とし、第1区間の次の区間であり、2回目の計測で全アウト球数が52000個に至るまでは第2区間であることがそれぞれ看取されることから、先願1には「ベースの測定単位である区間として、初回電源投入から全アウト球数が500個未満の所定数に至るまではテスト区間とし、テスト区間の次の区間であり、1回目の計測で全アウト球数が52000個に至るまでは第1区間とし、第1区間の次の区間であり、2回目の計測で全アウト球数が52000個に至るまでは第2区間とする」ことが示されていると認定できる(認定事項A)。
(イ)【0428】には「ベース比率算出・表示処理(ステップS89)でベース値を更新する」と記載され、【0429】には「払出制御基板951は、受信した払出コマンドをメモリに格納すると、払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信する。そして、払出制御基板951は、払出コマンドに従って賞球を払い出す」と記載されており、【図42】からは、主制御基板1310におけるベース更新(S89)の後に、払出制御基板951がコマンド受信確認を主制御基板1310に送信していることが看取されることから、先願1には「払出制御基板951は、受信した払出コマンドをメモリに格納すると、主制御基板1310におけるベース比率算出・表示処理の後に払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信し、払出コマンドに従って賞球を払い出す」ことが示されていると認定できる(認定事項B)。
ウ 先願発明
上記ア及びイからみて、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。なお、符号a等については本願補正発明の構成A等に概ね対応させて合議体が付与し、引用箇所の段落番号を併記した。
「a 遊技領域5a内に打込まれた遊技球を受入可能としている複数の一般入賞口2001と、第一始動口2002と、第二始動口2004(【0057】)と、
b ベース値を表示するベース表示器1317(【0409】)と、
c、d 一時的にデータを記憶するRAM1312が内蔵されるマイクロプロセッサであり(【0070】)、入力ポートの入力端子に入力されている、第一始動口2002に受入れられた遊技球を検出する第一始動口センサ2104、第二始動口2004に受入れられた遊技球を検出する第二始動口センサ2551、一般入賞口2001に受入れられた遊技球を検出する一般入賞口センサ3015からの検出信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAM1312の入力情報記憶領域に記憶し、遊技領域5aに打ち込まれた遊技球を検出する発射球センサ1020からの検出信号を読み取って、発射球数であるアウト球数を計数する主制御基板1310の主制御MPU1311(【0043】、【0071】、【0237】、【0372】)と、
を備え、
e ベースの測定単位である区間として、初回電源投入から全アウト球数が500個未満の所定数に至るまではテスト区間とし、テスト区間の次の区間であり、1回目の計測で全アウト球数が52000個に至るまでは第1区間とし、第1区間の次の区間であり、2回目の計測で全アウト球数が52000個に至るまでは第2区間とし(認定事項A)、
f、g ベース算出用領域13128は、RAM1312の一部の領域で構成され、区間カウンタの格納領域を含み(【0882】、【0883】)、区間カウンタの格納領域は、現在ベース値を測定中の区間を示す値を格納し、区間カウンタは、区間が切り替えられる毎に更新され、テスト区間では区間カウンタ=0、第1区間では区間カウンタ=1、第2区間以後では区間カウンタ=2であり(【0884】)、
h 電源断時処理では、ベース算出用領域13128のメイン領域のデータを各バックアップ領域に複製し(【0877】、【0878】)、電源投入時コマンド作成処理では、遊技バックアップ情報から遊技情報を読み出して、遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAM1312の所定記憶領域に記憶し(【0224】)、
i ベース算出用領域更新処理は、賞球制御処理で入力情報に基づいて算出された賞球数を取得し、ベース算出用領域更新処理で取得する賞球数は、作成済みの払出コマンドに対応する賞球数でもよく(【0388】、【0393】)、そして、取得した賞球数を総賞球数に加算して、総賞球数を更新し(【0394】)、その後、アウト球数を取得し、取得したアウト球数を総アウト球数に加算するように、総アウト球数を更新し(【0395】)、ベース算出・表示処理では、総賞球数を総アウト球数で除してベース値を計算し(【0401】、【0402】)、その後、ベース報知コマンドを生成し、遊技者やホール従業員にベースを報知し(【0407】)、ベースの報知は、ベース表示器1317でベースの値を常時または所定のタイミングで報知してもよく(【0408】)、
j 主制御基板1310には、電源基板から供給される各種電圧の低下を監視しており、それらの電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号を出力する停電監視回路が設けられ(【0076】)、主制御MPU1311は、停電予告信号を取得し、停電予告信号がONであるか否かを判定し、停電予告信号がONでない場合、乱数更新処理を実行する主制御側メイン処理を停電予告信号が検出されるまで実行し(【0227】)、停電予告信号を検出した場合には、主制御MPU1311は、電源断時処理を実行し(【0228】)、賞球制御処理で計算された賞球数のうち未払出し賞球数は、払出制御基板951でバックアップされ(【0422】)、払出制御MPUは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御基板951のRAMに記憶することができ、この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板1310のRAMクリアスイッチが操作されると、払出制御基板951のRAMから完全にクリアされ(【0131】)、電源投入時にRAMクリアスイッチの操作が検出された場合、ベース算出用領域13128はクリアせず(【0872】)、
k 賞球数の更新タイミングとベース値の計算タイミングのバリエーションとして、「賞球数計算→賞球数更新→払出コマンド送信→ベース値計算」に示す手順では、主制御MPU1311は、賞球制御処理で入賞口毎に定められた賞球数を計算し、ベース算出用領域更新処理で総賞球数を更新し、その後、出力データ設定処理で払出制御基板951に払出コマンドを送信し、出力データ設定処理の後にベース比率算出・表示処理を実行し、ベース比率算出・表示処理でベース値を更新し、払出制御基板951は、受信した払出コマンドをメモリに格納すると、主制御基板1310におけるベース比率算出・表示処理の後に払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信し、払出コマンドに従って賞球を払い出す(【0426】~【0428】、認定事項B)、
l パチンコ機1(【0009】)。」
(3)対比
分説に従い、本願補正発明と先願発明とを対比する。
ア 先願発明の構成aの「遊技領域5a」、「遊技領域5a内に打込まれた」こと、「遊技球」、「受入可能としている」こと、「複数の一般入賞口2001と、第一始動口2002と、第二始動口2004」は、それぞれ本願補正発明の構成Aの「遊技領域」、「遊技領域に向けて発射された」こと、「遊技球」、「入球可能」であること、「複数の入賞口」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Aに相当する構成を有する。
イ 先願発明の構成bの「ベース値」、「表示する」こと、「ベース表示器1317」は、それぞれ本願補正発明の構成Bの「情報」、「表示可能」であること、「情報表示部」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Bに相当する構成を有する。
ウ 先願発明の構成c、dの「主制御MPU1311」は、「入力ポートの入力端子に入力されている、第一始動口2002に受入れられた遊技球を検出する第一始動口センサ2104、第二始動口2004に受入れられた遊技球を検出する第二始動口センサ2551、一般入賞口2001に受入れられた遊技球を検出する一般入賞口センサ3015からの検出信号を読み取」るものであるところ、「入力端子に入力されている」「検出信号を読み取」るのであれば、「検出信号を読み取」る際、「検出信号」が「入力端子に入力」されているか否かを判定していることは明らかである。
してみると、先願発明の構成c、dの「第一始動口2002に受入れられた遊技球を検出する第一始動口センサ2104、第二始動口2004に受入れられた遊技球を検出する第二始動口センサ2551、一般入賞口2001に受入れられた遊技球を検出する一般入賞口センサ3015からの検出信号」が「入力端子に入力されている」か否かを判定する「主制御MPU1311」は、本願補正発明の構成Cの「前記複数の入賞口への遊技球の入球を検出し得る入球判定手段」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Cに相当する構成を有する。
エ 上記アの対比を踏まえると、先願発明の構成c、dの「遊技領域5aに打ち込まれた遊技球を検出」し、「発射球数であるアウト球数を計数する」ことは、本願補正発明の構成Dの「遊技領域に発射された遊技球を計測する」ことに相当する。
また、先願発明の構成c、dの「主制御MPU1311」は、本願補正発明の構成Dの「計測手段」にも相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Dに相当する構成を有する。
オ 先願発明の構成eの「テスト区間」、「第1区間」、「第2区間」は、それぞれ本願補正発明の構成Eの「第1区間」、「第2区間」、「第3区間」に相当する。
また、先願発明の構成eには、「初回電源投入から全アウト球数が500個未満の所定数に至るまではテスト区間」、「テスト区間の次の区間であり、全アウト球数が52000個に至るまでは第1区間」、「第1区間の次の区間であり、全アウト球数が52000個に至るまでは第2区間」と記載されており、「テスト区間」、「第1区間」、「第2区間」はいずれも「全アウト球数」によって区間が分けられていることから、先願発明の構成eの「テスト区間」、「第1区間」、「第2区間」は、いずれも本願補正発明の構成Eの「前記計測手段にて計測される区間」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Eに相当する構成を有する。
オ 先願発明の構成f、gの「区間カウンタの格納領域」に「格納」された「現在ベース値を測定中の区間を示す値」は、「テスト区間」では「0」、「第1区間」では「1」、「第2区間以後」では「2」であることから、本願補正発明の構成Fの「各区間を示す情報として、各区間のいずれかの区間に滞在していることを示す所定のフラグ」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Fに相当する構成を有する。
カ 先願発明の構成f、gより、「区間カウンタの格納領域」に「格納」された「現在ベース値を測定中の区間を示す値」は、「現在」「の区間」が「テスト区間」、「第1区間」、または「第2区間以後」のいずれであるかを「示す」ものであるから、先願発明の構成f、gの「テスト区間」、「第1区間」、または「第2区間」は、本願補正発明の構成Gの「特定区間」に相当するとともに、先願発明の構成f、gの「区間カウンタの格納領域」に「格納」された「現在ベース値を測定中の区間を示す値」が、「テスト区間」では「0」、「第1区間」では「1」、「第2区間」では「2」であることは、本願補正発明の構成Gの「前記所定のフラグは、各区間のうち特定区間に滞在していることを示すよう構成されて」いることに相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Gに相当する構成を有する。
キ 先願発明の構成f、g及び構成hより、「電源断時処理では、」「区間カウンタの格納領域を含」む「ベース算出用領域13128のメイン領域のデータを各バックアップ領域に複製」するのであるから、「区間カウンタの格納領域」は「電源断」が発生しても「バックアップ領域に複製」されることによってクリアされないことは明らかであり、先願発明の構成f、g及び構成hの「区間カウンタの格納領域」に「格納」された「現在ベース値を測定中の区間を示す値」が「電源断時処理」において「バックアップ領域に複製」されることは、本願補正発明の構成Hの「前記所定のフラグは、電源断が発生してもクリアされないように構成されて」いることに相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Hに相当する構成を有する。
ク 先願発明の構成kより、「払出制御基板951は、受信した払出コマンドをメモリに格納すると、主制御基板1310におけるベース比率算出・表示処理の後に払出コマンド受信確認を主制御基板1310に送信し、払出コマンドに従って賞球を払い出す」のであるから、主制御基板1310における「ベース比率算出・表示処理」は賞球を払い出すよりも前に実行されることは明らかであり、同じく構成kより、「主制御MPU1311」は「ベース算出用領域更新処理」の後に実行される「出力データ設定処理の後にベース比率算出・表示処理を実行」することを踏まえると、「ベース算出用領域更新処理」及び「ベース算出用領域更新処理」の後に実行される「ベース比率算出・表示処理」が実行される時点では、まだ賞球は払い出されていないのであるから、先願発明の構成iの「ベース算出用領域更新処理で取得」される「作成済みの払出コマンドに対応する賞球数」は、「ベース算出用領域更新処理」及び「ベース比率算出・表示処理」が実行される時点では、払い出される予定の「賞球数」であるといえる。
してみると、先願発明の構成iの「作成済みの払出コマンドに対応する賞球数」は、本願補正発明の構成Iの「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数」に相当する。
また、先願発明の構成i及び構成kより、「ベース算出用領域更新処理」の後に実行される「ベース比率算出・表示処理」において「総賞球数を総アウト球数で除してベース値を計算」するのであるから、先願発明の構成iの「作成済みの払出コマンドに対応する賞球数」を「加算」した「総賞球数を総アウト球数で除してベース値を計算」することは、本願補正発明の構成Iの「遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数とに基づく特定情報を生成」することに相当する。
そして、先願発明の構成iの「ベースの値を」「ベース表示器1317で」「報知」することは、本願補正発明の構成Iの「当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され」ることに相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Iに相当する構成を有する。
ケ 先願発明の構成jより、「主制御側メイン処理」の実行中において「電源基板から供給される各種電圧」が「停電予告電圧以下となると」、「停電監視回路」が「停電予告信号を出力」し、「停電予告信号を検出した場合には、主制御MPU1311は、電源断時処理を実行」するところ、「電源基板から供給される各種電圧」が「停電予告電圧以下となる」事象が、遊技機の稼働中における任意のタイミングで発生し得ることは、遊技機の技術分野における技術常識である。
また、先願発明の構成jより、「賞球制御処理で計算された賞球数のうち未払出し賞球数は、払出制御基板951でバックアップされ」、「払出制御MPUは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御基板951のRAMに記憶することができ」ることから、先願発明においては「電源断時処理において」「未払出し賞球数」を「バックアップ」することが可能であるといえる。
さらに、先願発明の構成jより、「電源投入時にRAMクリアスイッチの操作が検出された場合」が想定されていることから、以上のことを総合すると、先願発明においては、「賞球制御処理で計算された賞球数」のうち未払出しの賞球がある状況下において「電源断時処理」が実行され、「電源投入時にRAMクリアスイッチの操作」が行われる場合があるといえる。
そして、先願発明の構成jより、「電源投入時にRAMクリアスイッチの操作が検出された場合、ベース算出用領域13128はクリア」しないのであるから、先願発明の構成iの「ベース算出用領域更新処理」で更新する「総賞球数」と「総アウト球数」も「電源投入時にRAMクリアスイッチの操作が検出された場合」に「クリア」されず、この「クリア」されない「総賞球数」と「総アウト球数」が「ベース算出・表示処理」で用いられることは明らかであり、先願発明の「賞球制御処理で計算された賞球数」のうち未払出しの賞球がある状況下において「電源断時処理」が実行され、「電源投入時にRAMクリアスイッチの操作が検出された場合、ベース算出用領域13128はクリア」せず、「作成済みの払出コマンドに対応する賞球数」を「加算」した「総賞球数を総アウト球数で除してベース値を計算」し、「ベースの値を」「ベース表示器1317で」「報知」することは、本願補正発明の構成Jの「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数が全て付与されない状況下でRAMクリア処理が実行された場合であっても、当該付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成して当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部に表示可能であり」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Jに相当する構成を有する。
コ 先願発明の構成kの「出力データ設定処理で払出制御基板951に払出コマンドを送信し、出力データ設定処理の後にベース比率算出・表示処理を実行し、ベース比率算出・表示処理でベース値を更新」することは、「ベース値」の「更新」よりも前に「払出コマンドを送信」することを意味するから、本願補正発明の構成Kの「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成するタイミングよりも前に当該付与される予定の賞球数を出力可能であ」ることに相当する。
また、先願発明の構成kの「払出コマンドに従って賞球を払い出す」ことは、本願補正発明の構成Kの「出力された当該付与される予定の賞球数に基づいて賞球を付与するよう構成されている」ことに相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Kに相当する構成を有する。
サ 先願発明の構成lの「パチンコ機1」は、それぞれ本願補正発明の構成Lの「ぱちんこ遊技機」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Lに相当する構成を有する。
シ 上記ア~サより、本願補正発明と先願発明とは、
「A 遊技領域に向けて発射された遊技球が入球可能な複数の入賞口と、
B 情報を表示可能な情報表示部と、
C 前記複数の入賞口への遊技球の入球を検出し得る入球判定手段と、
D 遊技領域に発射された遊技球を計測する計測手段と
を備え、
E 前記計測手段にて計測される区間として、少なくとも、第1区間と第2区間と第3区間とを備え、
F 各区間を示す情報として、各区間のいずれかの区間に滞在していることを示す所定のフラグを備え、
G 前記所定のフラグは、各区間のうち特定区間に滞在していることを示すよう構成されており、
H 少なくとも、前記所定のフラグは、電源断が発生してもクリアされないように構成されており、
I 遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、
J 前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数が全て付与されない状況下でRAMクリア処理が実行された場合であっても、当該付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成して当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部に表示可能であり、
K 前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成するタイミングよりも前に当該付与される予定の賞球数を出力可能であり、出力された当該付与される予定の賞球数に基づいて賞球を付与するよう構成されている
L ぱちんこ遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。
(4)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、
「(4-1)本願発明と引用文献に係る発明との対比
・・・
一方、今回補正後の請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、引用文献1に係る発明と比較し、
<相違点>「前記複数の入賞口への遊技球の通過により付与される予定の賞球数に基づく特定情報を生成するタイミングよりも前に当該付与される予定の賞球数を出力可能であり、出力された当該付与される予定の賞球数に基づいて賞球を付与するよう構成されている」との点、換言すれば「賞球数を送信した後に、特定情報を生成する」との点で少なくとも相違する。
(4-2)本願発明の特徴
引用文献1発明は、上述のように「賞球数を送信する前に、特定情報を生成する」という構成であるため、例えば、特定情報を生成してから賞球数が送信される間に、予期せぬ電断や瞬断が発生した場合、電断復帰後に、特定情報に基づく表示がされる一方で、付与される予定の賞球数が適切に付与されなくなって、遊技者が不利益を被る虞がある。
これに対し、「賞球数を送信した後に、特定情報を生成する」という旨の本願発明の<相違点>では、特定情報の生成よりも先に賞球数を送信するため、上述のような予期せぬ電断や瞬断が発生した場合であっても、付与される予定の賞球数が適切に付与されて、遊技者が不利益を被ることを防止することができるという効果を奏する。」と、主張している。
しかしながら、上記(3)コで示したように、先願発明は【図42】のバリエーションに関する「出力データ設定処理で払出制御基板951に払出コマンドを送信し、出力データ設定処理の後にベース比率算出・表示処理を実行し、ベース比率算出・表示処理でベース値を更新」するという構成を備えていることから、先願発明は、「賞球数を送信した後に、特定情報を生成する」という構成を備えるものである。
また、請求人は「引用文献1発明は、上述のように「賞球数を送信する前に、特定情報を生成する」という構成である」と主張しているが、これは【図41】のバリエーションに関するものであり、先願明細書等には【図41】以外にも【図42】のバリエーションに関する構成として、「賞球数を送信した後に、特定情報を生成する」構成が記載されているものである。
よって、請求人の主張は採用できない。
(5)独立特許要件のむすび
したがって、本願補正発明は、先願発明と同一の発明であり、先願明細書等に記載された発明である。また、本件出願の発明者が先願1の発明者と同一ではなく、また本件の出願の時に、本件の出願人と先願1の出願人とが同一でもない。
よって、本願補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
5 小括
上記4のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年2月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。
(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
記
先願1. 特願2017-118046(特開2019-000390)
3 先願1
先願発明は、上記第2[理由]4(2)に記載したとおりである。
4 対比
本願発明は、上記第2[理由]4で検討した本願補正発明のうち、構成Kを削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに構成Kを付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]4(3)において検討したように、先願発明と同一の発明であり、先願明細書等に記載された発明であるから、本願発明も、同様に先願発明と同一の発明であり、先願明細書等に記載された発明である。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-014743