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特許拒絶査定不服審判

2021-014422

ホウ素ドープゲルマニウムの濃度が高いトランジスタ

審判番号
2021-014422
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-189786
請求日
2021年10月25日
審決日
2022年08月12日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】インテル・コーポレーション
  • 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 河本 充雄
  • 審判官 鈴木 聡一郎
  • 審判官 棚田 一也
分類
P18 .121-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-189786「ホウ素ドープゲルマニウムの濃度が高いトランジスタ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月14日出願公開、特開2020- 74389〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)12月 7日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2010年12月21日(US)米国(以下、「本願の優先日」という。))を国際出願日とする特願2013-543323号の一部を、平成29年 3月28日に特願2017- 64009号として新たな特許出願とし、更にその一部を、平成30年 4月19日に特願2018- 80942号として新たな特許出願とし、更にその一部を、令和元年10月16日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和元年10月16日 :手続補正書の提出 令和2年10月28日付け:拒絶理由通知書 令和3年 2月 2日 :手続補正書、意見書の提出 令和3年 6月22日付け:拒絶査定 令和3年10月25日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 1 令和3年 2月 2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5のうち、請求項3には、以下の事項が記載されている(当審注:下線は当審による。)。 「【請求項3】 シリコンを含むボディと、 前記ボディの上方のゲート電極であって、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有するゲート電極と、 前記ゲート電極の前記第1面に沿った第1誘電スペーサと、 前記ゲート電極の前記第1面と近接した前記ボディの第1ソース領域または第1ドレイン領域であって、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の一部が前記第1誘電スペーサの下方にあり、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第1ソース領域または第1ドレイン領域と、 前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の前記上面の上方の、ゲルマニウムおよびチタンを含む第1層と、 前記ゲート電極の前記第2面に沿った第2誘電スペーサと、 前記ゲート電極の前記第2面と近接した前記ボディの第2ソース領域または第2ドレイン領域であって、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域の一部が前記第2誘電スペーサの下方にあり、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第2ソース領域または第2ドレイン領域と、 前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域の前記上面の上方の、ゲルマニウムおよびチタンを含む第2層と を備え、 前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含み、前記第1ソース領域または前記ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有し、 前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含み、前記第2ソース領域または前記ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有する 集積回路構造。」 2 ここで、請求項3には、「前記第1ソース領域または前記ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有し」と記載されているが、この記載より前には、「第1ドレイン領域」、「第2ドレイン領域」との記載はあるものの、「ドレイン領域」との記載はない。 そして、請求項3には、「前記ゲート電極の前記第1面と近接した前記ボディの第1ソース領域または第1ドレイン領域であって」というように、「第1ソース領域」と、「第1ドレイン領域」とは択一的な選択肢として記載されているから、請求項3の「前記第1ソース領域または前記ドレイン領域」との記載は、「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域」の明らかな誤記と認められる。 また、請求項3の「前記第2ソース領域または前記ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有する」の記載についても、「前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有する」の明らかな誤記と認められる。 なお、上記2つの誤記については、令和4年 6月22日に実施した面接において、請求人側の合意が得られている。 3 よって、本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という)は、以下のとおりのものと認められる。 「【請求項3】 シリコンを含むボディと、 前記ボディの上方のゲート電極であって、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有するゲート電極と、 前記ゲート電極の前記第1面に沿った第1誘電スペーサと、 前記ゲート電極の前記第1面と近接した前記ボディの第1ソース領域または第1ドレイン領域であって、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の一部が前記第1誘電スペーサの下方にあり、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第1ソース領域または第1ドレイン領域と、 前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の前記上面の上方の、ゲルマニウムおよびチタンを含む第1層と、 前記ゲート電極の前記第2面に沿った第2誘電スペーサと、 前記ゲート電極の前記第2面と近接した前記ボディの第2ソース領域または第2ドレイン領域であって、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域の一部が前記第2誘電スペーサの下方にあり、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第2ソース領域または第2ドレイン領域と、 前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域の前記上面の上方の、ゲルマニウムおよびチタンを含む第2層と を備え、 前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含み、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有し、 前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含み、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有する 集積回路構造。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定(令和3年 6月22日付け拒絶査定)のうちの理由4の概要は次のとおりである。 本願の請求項1、2、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である以下の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 本願の請求項3、4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である以下の引用文献1、4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.国際公開第2010/068530号 2.特表2009-517867号公報 3.特開2009-182360号公報 4.特開2007-294780号公報 第4 引用文献、引用発明 1 引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の記載がある。(当審注:日本語訳及び下線は当審による。) ア 「FIELD OF THE INVENTION The field of invention relates generally to the field of semiconductor integrated circuit manufacturing and, more specifically but not exclusively, relates to planar and three-dimensional complementary metal oxide semiconductor (CMOS) devices comprising a compound layer with graded germanium content.」(明細書第1ページ第4~8行) (技術分野 本発明の技術分野は概して、半導体集積回路製造の分野に関し、より詳細には、それに限定されるという訳ではないが、傾斜されたゲルマニウム含有量の化合物層を有するプレーナ及び3次元相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイスに関する。) イ 「Now turning to the figures, FIG. 1 is a cross-sectional view of a planar MOS device 100 illustrating a gate stack 150 on a substrate 110. The substrate 110 may comprise bulk silicon optionally including a silicon-on-insulator substructure. Alternatively, substrate 110 may comprise other materials - which may or may not be combined with silicon - such as: germanium, indium antimonide, lead telluride, indium arsenide, indium phosphide, gallium arsenide, or gallium antimonide. Although a few examples of materials from which substrate 110 may be formed are described here, any material that may serve as a foundation upon which a semiconductor device may be built falls within the scope of the present invention.」(明細書第4ページ第13~21行) (ここで図1を参照すると、図1は、基板110上のゲート積層体150を表すプレーナMOSデバイス100の断面図である。基板110は、シリコン・オン・インシュレータ下部構造を任意で含むバルクシリコンを有して良い。あるいはその代わりに基板110は、たとえばゲルマニウム、アンチモン化インジウム、テルル化鉛、ヒ化インジウム、リン化インジウム、ヒ化ガリウム、又はアンチモン化ガリウムのような他の材料を有しても良い。前記他の材料はシリコンと併用されても良いし、併用されなくても良い。本明細書においては基板110を形成することのできる材料として数例しか記載していないが、半導体デバイスを上に構築することのできる基礎としての役割を果たしうる材料であれば、如何なる材料も本発明の技術的範囲に属する。) ウ 「In the implementation described here, the gate stack 150 may include a gate dielectric layer 120 and a sacrificial gate electrode 130. In other implementations, the gate stack 150 may include a silicon dioxide gate dielectric layer and a polysilicon gate electrode. The gate dielectric layer 120 may be formed from materials such as silicon dioxide or high-k dielectric materials. Examples of high-k gate dielectric materials that may be used include, but are not limited to, hafnium oxide, hafnium silicon oxide, lanthanum oxide, lanthanum aluminum oxide, zirconium oxide, zirconium silicon oxide, tantalum oxide, titanium oxide, barium strontium titanium oxide, barium titanium oxide, strontium titanium oxide, yttrium oxide, aluminum oxide, lead scandium tantalum oxide, and lead zinc niobate. In some embodiments, the gate dielectric layer 120 may be between around 5 Angstroms (Å)toaround50Åthick.Infurtherembodiments,additionalprocessingmaybeperformedonthegatedielectriclayer120,suchasanannealingprocessto improve the quality of a high-k material.」(明細書第4ページ第22行~第5ページ第1行) (本明細書に記載された実施例では、ゲート積層体150は、ゲート誘電層120及び犠牲ゲート電極130を有して良い。他の実施例では、ゲート積層体150は、シリコン酸化物ゲート誘電層及び多結晶シリコンゲート電極を有して良い。ゲート誘電層120は、たとえばシリコン酸化物又はhigh-k誘電材料から形成されて良い。利用可能なhigh-k誘電材料の例には、ハフニウム酸化物、ハフニウムシリコン酸化物、ランタン酸化物、ランタンアルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ジルコニウムシリコン酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、イットリウム酸化物、アルミニウム酸化物、タンタル酸鉛スカンジウム、及びニオブ酸亜鉛鉛が含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。一部の実施例では、ゲート誘電層120は約5Å~約50Åの厚さであって良い。他の実施例では、たとえばhigh-k材料の品質を改善するためのアニーリング処理のような追加の処理がゲート誘電層120上で実行されて良い。) エ 「FIG. 2 is an illustration of the device of FIG. 1 after forming the doped portions 210 in the substrate 110 and forming spacers 220 on the sides of the gate electrode 150. When exposed to an appropriate etchant, the doped portion 210 will etch at a rate that is higher than the etch rate of the surrounding substrate material. One of the doped portions 210 will serve as a portion of a source region, including a self-aligned epitaxial source extension, for the MOS transistor being formed. The other doped portion 210 will serve as a portion of a drain region, including a self-aligned epitaxial drain extension, for the MOS transistor. In the implementation shown, regions of the doped portions are sited below the gate dielectric layer 120. In the various implementations of the invention, the size of the doped portions 210, including their depth, may vary based on the requirements of the MOS transistor being formed.」(明細書第5ページ第9~19行) (図2は、基板110内にドーピング部210を形成して、ゲート電極150の側面にスペーサ220を形成した後における図1のデバイスの例である。適切なエッチャントに曝露されたとき、ドーピング部210は、周囲の基板材料のエッチング速度よりも速い速度でエッチングされる。ドーピング部210の一は、形成されているMOSトランジスタのソース領域-自己整合したエピタキシャルソース拡張部を含む-の一部として機能する。他のドーピング部210は、自己整合したエピタキシャルドレイン拡張部を含むMOSトランジスタのドレイン領域の一部として機能する。図示された実施例では、ドーピング部の領域は、ゲート誘電層120の下に位置する。本発明の様々な実施例では、ドーピング部210のサイズ(深さを含む)は、形成されているMOSトランジスタの要求に基づいて変化して良い。) オ 「The spacers 220 may be formed using conventional materials, including but not limited to silicon oxide or silicon nitride. The width of the spacers 220 may be chosen based on design requirements for the MOS transistor being formed. In accordance with implementations of the invention, the width of the spacers 220 is not subject to design constraints imposed by the formation of the epitaxial source and drain extensions.」(明細書第5ページ第20~24行) (スペーサ220は、従来の材料を用いて形成されて良い。この従来の材料には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明の実施例によると、スペーサ220の幅は、エピタキシャルソース及びドレイン拡張部の形成によって課される設計の制約には服さない。) カ 「FIG. 3 is an illustration of the device of FIG. 2 after etching portions of the substrate 110 to form source/drain and source/drain extension cavities. As shown, a source region cavity 310 and a drain region cavity 320 are formed. Furthermore, a source extension cavity 330 and a drain extension cavity 340 have been formed by the etching of the doped portions 210. The thickness of the spacers 220 has minimal impact on the etching of the source extension cavity 330 and the drain extension cavity 340 due to the use of dopants and etchant recipes that increase the etch rate of the doped portions 210.」(明細書第7ページ第1~7行) (図3は基板110の一部をエッチングしてソース/ドレイン及びソース/ドレイン拡張空孔を形成した後における図2のデバイスの図である。図示されているように、ソース領域の空孔310及びドレイン領域の空孔320が形成される。さらにソース拡張部の空孔330及びドレイン拡張部の空孔340が、ドーピング部210のエッチングによって形成された。ドーピング部210のエッチング速度を増大させるドーパントとエッチャント種を用いるため、スペーサ220の厚さが、ソース拡張部の空孔330及びドレイン拡張部の空孔340へ与える影響は最小限である。) キ 「The wet etch serves at least two objectives. First, the wet etch removes contaminants such as carbon, fluorine, chlorofluorocarbons, and oxides such as silicon oxide to provide a clean surface upon which subsequent processes may be carried out. Second, the wet etch removes a thin portion of the substrate along the <111> and <001> crystallographic planes to provide a smooth surface upon which a high quality epitaxial deposition may occur. The thin portion of the substrate that is etched away may be up to 5 nm thick and may also remove residual contaminants. As shown in Figure 4, the wet etch causes edges of the source region cavity 310, the source extension cavity 330, the drain region cavity 320, and the drain extension cavity 340 to follow the <111> and <001> crystallographic planes. It should also be noted that the source and drain extensions 330 and 340 do not have the bulleted profile that occurs in conventional processing.」(明細書第7ページ第14~24行) (ウェットエッチングは少なくとも2つの機能を供する。第1に、ウェットエッチングは、たとえば炭素、フッ素、クロロフルオロカーボンのような不純物及びシリコン酸化物のような酸化物を除去して、後続の処理が実行可能となるような清浄表面を供することである。第2に、ウェットエッチングは、<111>及び<001>結晶面に沿って基板の薄い一部を除去することで、高品質のエピタキシャル堆積が実現可能となる滑らかな表面を供することである。エッチングによって除去される前記の薄い一部は最大で5nmの厚さであり、かつ残留不純物をも除去することができる。図4に図示されているように、ウェットエッチングは、ソース領域の空孔310、ソース拡張部の空孔330、ドレイン領域の空孔320、及びドレイン拡張部の空孔340の端部を、<111>及び<001>結晶面に沿わせる。またソース拡張部の空孔330及びドレイン拡張部の空孔340は、従来の処理で起こる黒点のついたプロファイルを有しないことにも留意して欲しい。) ク 「In accordance with implementations of the invention, for a PMOS transistor, the source region cavity 310 and the drain region cavity 320 may be filled with a graded germanium silicon alloy such as the graded high-germanium content silicon germanium region according to one or methods such as the embodiment described below in Figure 15. The graded germanium silicon alloy may be epitaxially deposited with a graded germanium concentration that may range from 10 atomic % to 50 atomic %. In further implementations, the graded germanium silicon alloy may be further doped in situ with boron. The boron concentration may range from 2×lO19/cm3 to 7×1020/cm3. In this embodiment, the thickness of the graded germanium silicon alloy may range from 40Åto1500Å.」(明細書第8ページ第5~14行) (本発明の実施例では、pMOSトランジスタでは、ソース領域の空孔310及びドレイン領域の空孔320が、例えば図15で後述する実施例のような1又は複数の方法による高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウムのような、傾斜ゲルマニウムシリコン合金によって充填されて良い。この傾斜ゲルマニウムシリコン合金は、傾斜されたゲルマニウム濃度が10原子%から50原子%の範囲でエピタキシャル堆積されて良い。他の実施例では、この傾斜ゲルマニウムシリコン合金は、さらに、その場でホウ素によってドーピングされて良い。ホウ素濃度は2×1019/cm3~7×1020/cm3の範囲であって良い。この実施例では、この傾斜ゲルマニウムシリコン合金の厚さは40Åから1500Åの範囲であって良い。) ケ 「FIG. 5 is an illustration of the device of FIG. 4 in which the source region cavity 310 has been filled with a graded high-germanium content silicon-germanium stack 1400, further described in FIG. 14, to form a source region 510 and the drain region cavity 320 has been filled with a graded high-germanium content silicon-germanium stack 1400, also further described in FIG. 14, to form a drain region 520. The extensions have been filled with the graded high-germanium content silicon-germanium stack 1400 to form an epitaxial source extension 530 and an epitaxial drain extension 540.」(明細書第8ページ第15~21行) (図4のデバイスを図示した図5では、ソース領域の空孔310が、図14でさらに説明される高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400で充填されることで、ソース領域510が形成され、かつ、ドレイン領域の空孔320が、図14でさらに説明される高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400で充填されることで、ドレイン領域520が形成された。拡張部が、高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400によって充填されることで、エピタキシャルソース拡張部530及びエピタキシャルドレイン拡張部540が形成される。) コ 「As will be appreciated by those of skill in the art, the planar MOS device 100 may undergo further MOS processing, such as replacement gate oxide processes, replacement metal gate processes, annealing, or salicidation processes, that may further modify the device and/or provide the necessary electrical interconnections. For instance, after the epitaxial deposition of the source/drain regions and the source/drain extension, an interlayer dielectric (ILD) may be deposited and planarized over the device. The ILD may be formed using materials known for the applicability in dielectric layers for integrated circuit structures, such as low-k dielectric materials. Such dielectric materials include, but are not limited to, oxides such as silicon dioxide (SiO2) and carbon doped oxide (CDO), silicon nitride, organic polymers such as perfluorocyclobutane or polytetrafluoroethylene, fluorosilicate glass (FSG), and organosilicates such as silsesquioxane, siloxane, or organosilicate glass. The dielectric layer may include pores or other voids to further reduce its dielectric constant. FIG. 5 illustrates an ILD layer 550 that has been deposited over the planar MOS device 100.」(明細書第9ページ第8~21行) (当業者には明らかなように、プレーナMOSデバイス100は、デバイスの改質及び/又は必要な電気的接続の提供をさらに行うことのできるさらなるMOS処理を受けて良い。さらなるMOS処理とはたとえば、ゲート酸化物の置換処理、金属ゲートの置換処理、アニーリング、サリサイデーション処理である。たとえば、ソース/ドレイン領域及びソース/ドレイン拡張部のエピタキシャル堆積後、層間絶縁体(ILD)が、デバイス全体にわたって堆積され、かつ平坦化されて良い。ILDは、集積回路構造用の誘電層に用いられる既知の材料、たとえばlow-k誘電材料を用いて形成されて良い。そのような誘電材料には、二酸化シリコン(SiO2)や炭素ドープ酸化物(CDO)のような酸化物、シリコン窒化物、たとえばペルフルオロシクロブタン又はポリテトラフルオロエチレンのような有機ポリマー、フルオロシリケートガラス(FSG)、及び、たとえばシルセスキオキサン、シロキサン、又はオルガノシリケートガラスのようなオルガノシリケートが含まれるが、これらに限定されるわけではない。誘電層は、誘電率をさらに減少させる孔又は他の穴を有して良い。図5は、プレーナMOSデバイス100全体にわたって堆積されたILD層550を図示している。) サ 「A transition layer 1420 is selectively formed on silicon-germanium seed layer 1410 in element 1510 to provide a very gentle transition between a base nucleation layer, such as the silicon-germanium seed layer 1410, to a high germanium content layer 1430. In one embodiment, a lower portion of the transition layer 1420 adjacent and/or close to the silicon-germanium seed layer 1410 may have a germanium content that is substantially equal to the silicon-germanium seed layer 1410, 20-25 atomic weight %, at a silicon- germanium seed layer 1410 / transition layer 1420 interface. Further, an upper portion of the transition layer 1420 adjacent and/or close to a high germanium content layer 1430 may have a germanium content that is substantially equal to the high germanium content layer 1430, substantially ranging between 40-55 atomic weight % at a transition layer 1420 / high germanium content layer 1430 interface. A thickness of the transition layer 420 may range between 150 Åand450Å.」(明細書第12ページ第32行~第13ページ第10行) (遷移層1420は、たとえばシリコン-ゲルマニウムシード層1410である下地核形成層から高ゲルマニウム含有層1430までの非常に穏やかに遷移するように、装置1510内においてシリコン-ゲルマニウムシード層1410上で選択的に形成される。一の実施例では、シリコン-ゲルマニウムシード層1410に近接及び/又は隣接する遷移層1420の下部は、シリコン-ゲルマニウムシード1410/遷移層1420の界面にて実質的にシリコン-ゲルマニウムシード層に等しい、20-25原子質量%というゲルマニウム含有量を有して良い。さらに高ゲルマニウム含有層1430に近接及び/又は隣接する遷移層1420の上部は、遷移層1420/高ゲルマニウム含有層1430の界面にて実質的に高ゲルマニウム含有層1430に等しい40-55原子質量%というゲルマニウム含有量を有して良い。遷移層1420の厚さは150Å~450Åの範囲であって良い。) シ 「The transition layer 1420 is further formed epitaxially by decrementing a gas mixture flow of DCS, HCl, and GeH4 from a higher flow to a lower flow during the formation of the transitional layer 1420. If doping the transition layer 1420, the diborane flow is increased while forming the transitional layer 1420 to provide a boron concentration substantially equal to or greater than 2.O×1O20 atoms/cm3 at or near the transition layer 1420/high germanium content layer 1430 interface. Formation of the transition layer 1420 in this embodiment provides a graded silicon-germanium film that is selectively formed at a growth rate of approximately 300 Å/minutewithequaltoorlessthan2%filmrelaxationandhealthfilmmorphology.」(明細書第13ページ第21~29行) (遷移層1420はさらに、遷移層1420の形成中、DCS、HCl、及びGeH4の混合気体流を、高い流れから低い流れへ減少させることによってエピタキシャル形成される。遷移層1420をドーピングする場合、遷移層1420を形成する際にジボラン流を増大させることで、遷移層1420/高ゲルマニウム含有層1430の界面又は付近にて2.0×1020原子/cm3に実質的に等しい又はより多いホウ素濃度が供される。この実施例における遷移層1420の形成においては、約300Å/分の成長速度で選択的に形成される傾斜シリコン-ゲルマニウム膜が、2%以下の膜歪みで、かつ健全な膜のモフォロジーを有した状態で提供される。) ス 「 [図:0001392702000001.jpg] 」(図1) セ 「 [図:0001392702000002.jpg] 」(図2) ソ 「 [図:0001392702000003.jpg] 」(図3) タ 「 [図:0001392702000004.jpg] 」(図4) チ 「 [図:0001392702000005.jpg] 」(図5) ツ 「 [図:0001392702000006.jpg] 」(図14) (2)引用文献1の記載事項 ア 上記(1)アには、「本発明の技術分野は概して、半導体集積回路製造の分野に関し」と記載されているから、引用文献1の記載は、「半導体集積回路」に関するものであるといえる。 イ 上記(1)イには、「図1は、基板110上のゲート積層体150を表すプレーナMOSデバイス100の断面図である。基板110は、シリコン・オン・インシュレータ下部構造を任意で含むバルクシリコンを有して良い。」と記載されているから、「半導体集積回路」は、シリコンを有する「基板110」を備えるといえる。 ウ 上記(1)イには、「基板110上のゲート積層体150」と記載されているから、「半導体集積回路」は、「基板110」の上方に「ゲート積層体150」を備えるといえる。 さらに、上記(1)ウには、「他の実施例では、ゲート積層体150は、シリコン酸化物ゲート誘電層及び多結晶シリコンゲート電極を有して良い」と記載されているから、「ゲート積層体150」は、「多結晶シリコンゲート電極」を有するといえる。 よって、「半導体集積回路」は、「基板110」の上方に「多結晶シリコンゲート電極」を備えるといえる。 エ 上記(1)エには、「図2は、基板110内にドーピング部210を形成して、ゲート電極150の側面にスペーサ220を形成した後における図1のデバイスの例である」(当審注:当該エの「ゲート電極150」は、「ゲート積層体150」の誤記と解されるから、以下、「ゲート積層体150」と記載する。)と記載されているから、「半導体集積回路」は、「ゲート積層体150」の側面に形成された「スペーサ220」を備えるといえる。 ここで、引用文献1の図2(上記(1)セ)を見ると、「スペーサ220」が、120、130及び140の符号が付された部材の左側面及び右側面にそれぞれ沿って形成されていることが見て取れ、さらに、同図1(上記(1)ス)をみると、120、130及び140の符号が付された部材は、「ゲート積層体150」を表すものであるから、同図2には、「スペーサ220」が「ゲート積層体150」の左側面及び右側面にそれぞれ沿って形成されていることが記載されているといえる。 また、上記ウによれば、「ゲート積層体150」は、「多結晶シリコンゲート電極」を備えているといえる。 以上によれば、「半導体集積回路」は、「多結晶シリコンゲート電極」の左側面及び右側面にそれぞれ沿って形成された「スペーサ220」を備えるといえる。 オ 上記(1)オには、「スペーサ220は、従来の材料を用いて形成されて良い。この従来の材料には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物が含まれるがこれらに限定されるわけではない。」と記載されているから、「半導体集積回路」の「スペーサ220」は、シリコン酸化物又はシリコン窒化物を用いて形成されるといえる。 カ 上記(1)カには、「図3は基板110の一部をエッチングしてソース/ドレイン及びソース/ドレイン拡張空孔を形成した後における図2のデバイスの図である。図示されているように、ソース領域の空孔310及びドレイン領域の空孔320が形成される。」と記載されているから、「基板110」には、「ソース領域の空孔310」及び「ドレイン領域の空孔320」が形成されるといえる。 また、上記(1)ケには、「図4のデバイスを図示した図5では、ソース領域の空孔310が、図14でさらに説明される高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400で充填されることで、ソース領域510が形成され、かつ、ドレイン領域の空孔320が、図14でさらに説明される高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400で充填されることで、ドレイン領域520が形成された」と記載されているから、「ソース領域の空孔310」に「ソース領域510」が形成され、また、「ドレイン領域の空孔320」に「ドレイン領域520」が形成されるといえる。 よって、「半導体集積回路」は、「基板110」に形成された「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」を備えるといえる。 キ 上記(1)キには、「ウェットエッチングは、ソース領域の空孔310、ソース拡張部の空孔330、ドレイン領域の空孔320、及びドレイン拡張部の空孔340の端部を、<111>及び<001>結晶面に沿わせる」と記載されており、上記カによれば、「ソース領域の空孔310」に「ソース領域510」が形成され、また、「ドレイン領域の空孔320」に「ドレイン領域520」が形成されるといえるから、「半導体集積回路」の「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」は、それぞれ、<111>結晶面に沿った面及び<001>結晶面に沿った面を有するといえる。 ク 引用文献1の図1(上記(1)ス)をみると、120、130及び140の符号が付された部材は、「ゲート積層体150」を表すものであるといえる。 以上をふまえ、同図5(上記(1)チ)を見ると、「ソース領域510」が「ゲート積層体150」の左側面に近接し、かつ、当該「ソース領域510」の一部が「スペーサ220」のうち、「ゲート積層体150」の左側面に沿って形成された「スペーサ220」の下方にあることが見て取れる。また、同図5においては、「ドレイン領域520」が「ゲート積層体150」の右側面に近接し、かつ、当該「ドレイン領域520」の一部が「スペーサ220」のうち、「ゲート積層体150」の右側面に沿って形成された「スペーサ220」の下方にあることが見て取れる。 また、上記ウによれば、「ゲート積層体150」は、「多結晶シリコンゲート電極」を含むものであるといえる。 以上によれば、「半導体集積回路」の「ソース領域510」は、「多結晶シリコンゲート電極」の左側面に近接し、当該「ソース領域510」の一部が「スペーサ220」のうち、「多結晶シリコンゲート電極」の左側面に沿って形成された「スペーサ220」の下方にあり、「ドレイン領域520」は、「多結晶シリコンゲート電極」の右側面に近接し、当該「ドレイン領域520」の一部が「スペーサ220」のうち、「多結晶シリコンゲート電極」の右側面に沿って形成された「スペーサ220」の下方にあるといえる。 ケ 上記(1)ケには、「図5では、ソース領域の空孔310が、図14でさらに説明される高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400で充填されることで、ソース領域510が形成され、かつ、ドレイン領域の空孔320が、図14でさらに説明される高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400で充填されることで、ドレイン領域520が形成された」と記載されているから、「半導体集積回路」の「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」は、「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」を含むといえる。 コ 上記(1)サには、「遷移層1420は、たとえばシリコン-ゲルマニウムシード層1410である下地核形成層から高ゲルマニウム含有層1430までの非常に穏やかに遷移するように、装置1510内においてシリコン-ゲルマニウムシード層1410上で選択的に形成される。一の実施例では、シリコン-ゲルマニウムシード層1410に近接及び/又は隣接する遷移層1420の下部は、シリコン-ゲルマニウムシード1410/遷移層1420の界面にて実質的にシリコン-ゲルマニウムシード層に等しい、20-25原子質量%というゲルマニウム含有量を有して良い。さらに高ゲルマニウム含有層1430に近接及び/又は隣接する遷移層1420の上部は、遷移層1420/高ゲルマニウム含有層1430の界面にて実質的に高ゲルマニウム含有層1430に等しい40-55原子質量%というゲルマニウム含有量を有して良い。」と記載されているから、「遷移層1420」は、20-25原子質量%から、40-55原子質量%まで緩やかに遷移するゲルマニウム含有量を有するといえる。 また、引用文献1の図14(上記(1)ツ)から、「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」が「遷移層1420」を含むことが見て取れる。 よって、「半導体集積回路」の「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」は、20-25原子質量%から、40-55原子質量%まで緩やかに遷移するゲルマニウム含有量を有するといえる。 サ 上記(1)シには、「遷移層1420をドーピングする場合、遷移層1420を形成する際にジボラン流を増大させることで、遷移層1420/高ゲルマニウム含有層1430の界面又は付近にて2.0×1020原子/cm3に実質的に等しい又はより多いホウ素濃度が供される」と記載されており、上記コによれば、「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」が「遷移層1420」を含むといえるから、「半導体集積回路」の「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」は、2.0×1020原子/cm3に実質的に等しい又はより多いホウ素濃度を有するといえる。 (3)引用文献1に記載された発明 前記(2)の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「シリコンを有する基板110と、 前記基板110の上方の多結晶シリコンゲート電極と、 前記多結晶シリコンゲート電極の左側面及び右側面にそれぞれ沿って形成されたスペーサ220であって、シリコン酸化物又はシリコン窒化物を用いて形成されるスペーサ220と、 前記基板110に形成されたソース領域510及びドレイン領域520と、 を備え、 前記ソース領域510及び前記ドレイン領域520は、それぞれ、<111>結晶面に沿った面及び<001>結晶面に沿った面を有し、 前記ソース領域510は、前記多結晶シリコンゲート電極の左側面に近接し、前記ソース領域510の一部が前記スペーサ220のうち、前記多結晶シリコンゲート電極の左側面に沿って形成された前記スペーサ220の下方にあり、前記ドレイン領域520は、前記多結晶シリコンゲート電極の右側面に近接し、前記ドレイン領域520の一部が前記スペーサ220のうち、前記多結晶シリコンゲート電極の右側面に沿って形成された前記スペーサ220の下方にあり、 前記ソース領域510及びドレイン領域520は、高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400を含み、 前記高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400は、20-25原子質量%から、40-55原子質量%まで緩やかに遷移するゲルマニウム含有量を有し、 前記高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400は、2.0×1020原子/cm3に実質的に等しい又はより多いホウ素濃度を有する、 半導体集積回路。」 2 引用文献4について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の記載がある。(当審注:下線は当審による。) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関するものであって、特に、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタに関するものである。」 「【0016】 (第1実施形態) 本発明の半導体装置の製造方法に係る実施の形態の一例として、PMOSFETの製造方法を例にとり、図1~図2の製造工程断面図を用いて説明する。なお、背景技術で説明したものと同様の構成には、同一の番号を付して説明する。 ・・・ 【0021】 次に、図1(d)に示すように、シリコン基板11の表面を掘り下げるリセスエッチングを行う。この場合には、ゲート電極13上のオフセット絶縁膜14およびサイドウォール15をマスクにしたエッチングにより、シリコン基板11の表面層を掘り下げるリセスエッチングを行うことで、80nm程度の深さのリセス領域16を形成する。このリセスエッチングにおいては、等方性のエッチングを行うことにより、サイドウォール15の下方にまでリセス領域16が広げられるようにする。その後、希フッ酸を用いた洗浄処理により、シリコン基板11表面の自然酸化膜を除去する。なお、ここでは、サイドウォール15が設けられた状態で、リセスエッチングを行う例について説明するが、サイドウォール15を設けずに、リセスエッチングを行う場合であっても、本発明は適用可能である。 ・・・ 【0034】 以上のようにして、第3のSiGe層21cを形成することで、リセス領域16の表面に、第1のSiGe層21a、第2のSiGe層21bおよび第3のSiGe層21cを順次積層してなるSiGe層21が形成される。ここで、上記リセス領域16は80nm程度の深さで形成されることから、第1のSiGe層21a、第2のSiGe層21bおよび第3のSiGe層21cで順次埋め込まれ、第3のSiGe層21cは、シリコン基板11の表面から盛り上がった状態となる。そして、このSiGe層21には、シリコン基板11側からSiGe層21の中央部に向かって高濃度となり、中央部からSiGe層21の表面に向かって低濃度となるような濃度勾配を有してGeが含有されている。 【0035】 その後、オフセット絶縁膜14、サイドウォール15をマスクとしたイオン注入法により、例えばボロンからなるp型不純物をドーピングする。これにより、主として上記SiGe層21が、本実施形態の製造方法により形成されるPMOSFETのソース・ドレイン領域となり、SiGe層21により挟まれたゲート電極13直下のシリコン基板11の領域がチャネル領域18となる。 【0036】 次いで、図2(h)に示すように、オフセット絶縁膜14上、サイドウォール15上およびSiGe層21上に、例えばニッケルからなる高融点金属膜(図示省略)を形成した後、アニール処理を行い、SiGe層21の表面側をシリサイド化して、ニッケルシリサイドからなるシリサイド層Sを形成する。ここでは、第3のSiGe層21c(前記図2(g)参照)がシリサイド化されることとする。この際、第3のSiGe層21cに第2のSiGe層21bと比較して低濃度の不純物が含有されるため、SiGe層21の表面側に均一な膜状のシリサイド層Sが形成される。その後、未反応の高融点金属膜を除去する。なお、ここでは、シリサイド層Sとして、ニッケルシリサイドを形成することとしたが、本発明はこれに限定されず、コバルトシリサイド、チタンシリサイドからなるシリサイド層Sを形成してもよい。 ・・・ 【0038】 このような半導体装置の製造方法およびこれにより得られる半導体装置によれば、シリコン基板11側からSiGe層21の中央部に向かって高濃度となり、中央部からSiGe層21の表面に向かって低濃度となるような濃度勾配を有してGeが含有されるように、SiGe層21を形成することで、SiGe層全体に一定濃度のGeを含有させる場合と比較して、臨界膜厚の範囲内で、中央部(第2のSiGe層21b)のGeの高濃度化が図れる。これにより、チャネル領域18に効果的にストレスを印加することが可能となる。したがって、チャネル領域18を歪ませて、キャリア移動度を向上させることができる。また、第3のSiGe層21cに、第2のSiGe層21bと比較して低濃度のGeが含有されることで、SiGe層21の表面側に均一な膜状のシリサイド層Sを形成することできる。したがって、SiGe層21のコンタクト抵抗の低抵抗化を図ることができ、このSiGe層21に接続する際のリーク電流の発生を防止することができる。以上のことから、トランジスタの特性を向上させることができる。」 「【図2】 [図:0001392702000007.jpg] 」 (2)引用文献4の記載事項 ア 前記(1)の【0001】には、「本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関するものであって、特に、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタに関するものである」と記載されているから、引用文献4の記載は、「MOS型電界効果トランジスタ」に関するものである。 イ 同【0021】には、「シリコン基板11の表面層を掘り下げるリセスエッチングを行うことで、80nm程度の深さのリセス領域16を形成する」と記載され、同【0034】には、「以上のようにして、第3のSiGe層21cを形成することで、リセス領域16の表面に、第1のSiGe層21a、第2のSiGe層21bおよび第3のSiGe層21cを順次積層してなるSiGe層21が形成される」と記載されているから、「MOS型電界効果トランジスタ」は、シリコン基板11に形成された「SiGe層21」を含むといえる。 ウ 同【0035】には、「主として上記SiGe層21が、本実施形態の製造方法により形成されるPMOSFETのソース・ドレイン領域となり」と記載されているから、「MOS型電界効果トランジスタ」の「SiGe層21」は、「ソース・ドレイン領域」となるものである。 エ 同【0036】には、「SiGe層21上に、例えばニッケルからなる高融点金属膜(図示省略)を形成した後、アニール処理を行い、SiGe層21の表面側をシリサイド化して、ニッケルシリサイドからなるシリサイド層Sを形成する」、「SiGe層21の表面側に均一な膜状のシリサイド層Sが形成される」、及び、「なお、ここでは、シリサイド層Sとして、ニッケルシリサイドを形成することとしたが、本発明はこれに限定されず、コバルトシリサイド、チタンシリサイドからなるシリサイド層Sを形成してもよい」と記載されているから、「MOS型電界効果トランジスタ」においては、「SiGe層21」の表面側をシリサイド化した、チタンシリサイドからなる「シリサイド層S」が形成されるといえる。 オ 同【0038】には、「また、第3のSiGe層21cに、第2のSiGe層21bと比較して低濃度のGeが含有されることで、SiGe層21の表面側に均一な膜状のシリサイド層Sを形成することできる。したがって、SiGe層21のコンタクト抵抗の低抵抗化を図ることができ、このSiGe層21に接続する際のリーク電流の発生を防止することができる。」と記載されているから、「MOS型電界効果トランジスタ」においては、「SiGe層21」の表面側にシリサイド層Sを形成することで、SiGe層21のコンタクト抵抗の低抵抗化を図ることができるといえる。 (3)引用文献4に記載された発明 前記(2)の記載事項から、引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。 「シリコン基板11上に形成された、ソース・ドレイン領域となるSiGe層21を含むMOS型電界効果トランジスタにおいて、コンタクト抵抗の低抵抗化を図るために前記SiGe層21の表面をシリサイド化した、チタンシリサイド層Sが形成されているMOS型電界効果トランジスタ。」 第5 対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 1 引用発明1の「シリコンを有する基板110」は、本願発明の「シリコンを含むボディ」に相当する。 2 引用発明1の「多結晶シリコンゲート電極」について、「前記多結晶シリコンゲート電極の左側面及び右側面にそれぞれ沿って」「スペーサ220」が形成されていることからすれば、「多結晶シリコンゲート電極」は、「左側面」及び「右側面」を有する。 そうすると、引用発明1の「多結晶シリコンゲート電極」の「左側面」及び「右側面」は、本願発明の「ゲート電極」における「第1面」及び「第2面」にそれぞれ相当するといえる。 また、引用発明1の「多結晶シリコンゲート電極」は、「基板110の上方」にある。 以上によれば、引用発明1の「多結晶シリコンゲート電極」は、本願発明の「前記ボディの上方のゲート電極であって、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有するゲート電極」に相当する。 3 引用発明1の「スペーサ220」は、「シリコン酸化物又はシリコン窒化物を用いて形成される」ものである。 ここで、シリコン酸化物及びシリコン窒化物は、技術常識からすれば、いずれも誘電体であるから、「スペーサ220」は、誘電スペーサであるといえる。 また、引用発明1の「スペーサ220」は、「多結晶シリコンゲート電極の左側面及び右側面にそれぞれ沿って形成され」るものである。 そして、前記2によれば、「多結晶シリコンゲート電極」の「左側面」及び「右側面」は、本願発明の「ゲート電極」における「第1面」及び「第2面」にそれぞれ相当する。 以上によれば、引用発明1の「スペーサ220」のうち、多結晶シリコンゲート電極の左側面に沿って形成された「スペーサ220」は、本願発明の「前記ゲート電極の前記第1面に沿った第1誘電スペーサ」に相当し、引用発明1の「スペーサ220」のうち、多結晶シリコンゲート電極の右側面に沿って形成された「スペーサ220」は、本願発明の「前記ゲート電極の前記第2面に沿った第2誘電スペーサ」に相当する。 4 引用発明1の「ソース領域510」は、「基板110に形成され」るものである。 また、引用発明1の「ソース領域510」は、「前記多結晶シリコンゲート電極の左側面に近接」するものである。 ここで、前記2によれば、引用発明1の「多結晶シリコンゲート電極」の「左側面」は、本願発明の「ゲート電極」における「第1面」に相当する。 よって、本願発明と引用発明1とは、「前記ゲート電極の前記第1面と近接した前記ボディの第1ソース領域または第1ドレイン領域」を備える点で共通する。 また、引用発明1の「ソース領域510」は、「前記ソース領域510の一部が前記スペーサ220のうち、前記多結晶シリコンゲート電極の左側面に沿って形成された前記スペーサ220の下方にあ」る。 ここで、前記3によれば、「スペーサ220」のうち、多結晶シリコンゲート電極の左側面に沿って形成された「スペーサ220」は、本願発明の「前記ゲート電極の前記第1面に沿った第1誘電スペーサ」に相当する。 よって、本願発明と引用発明1とは、「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の一部が前記第1誘電スペーサの下方にあ」る点で共通する。 また、本願発明の「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む」について、本願明細書の【0027】には、「図3Eが最も分かりやすいが、ウェットエッチング処理212は、ソース領域用孔部312およびエピ先端部領域312Aの端部、ならびに、ドレイン領域用孔部314およびエピ先端部領域314Aを、<111>結晶面および<001>結晶面に追従させる。」と記載され、同【0029】には、「本発明の一部の実施形態例によると、図3Fが最も分かりやすいが、対応する先端部用領域312A/314Aを含むソース/ドレイン領域用孔部312/314は、インサイチュホウ素ドープゲルマニウムで充填されているので、MOSトランジスタ316のソース領域318(エピ先端部318Aを含む)およびドレイン領域320(ドレインエピ先端部320Aを含む)を基板300に形成している。」と記載されているから、本願明細書の「ソース領域318」及び「ドレイン領域320」は、<111>結晶面及び<001>結晶面に追従した面を有するといえる。よって、本願発明の「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域」の「2またはそれ以上の面」は、<111>結晶面及び<001>結晶面に追従した面を含むといえる。 一方、引用発明1は、「前記ソース領域510及び前記ドレイン領域520」は、「それぞれ、<111>結晶面に沿った面及び<001>結晶面に沿った面を有」するものであり、また、上面を当然備えているといえる。 そうすると、本願発明の「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域」も、引用発明1の「ソース領域318」も、<111>結晶面に沿った面及び<001>結晶面と、上面とを有するから、本願発明と引用発明1とは、「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む」点で共通する。 なお、本願発明の「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域」の「2またはそれ以上の面」は、<111>結晶面及び<001>結晶面に追従した面を含むこと、並びに、本願発明と引用発明1とが、「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む」点で相違しないことについては、令和4年 6月22日に実施した面接において、請求人側の合意が得られている。 以上によれば、本願発明と引用発明1とは、「前記ゲート電極の前記第1面と近接した前記ボディの第1ソース領域または第1ドレイン領域であって、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の一部が前記第1誘電スペーサの下方にあり、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第1ソース領域または第1ドレイン領域」を備える点で共通する。 5 引用発明1の「ドレイン領域520」については、「多結晶シリコンゲート電極」の右側面側に形成されている点を除き、「ソース領域510」に係る前記4の検討と同様である。 よって、本願発明と引用発明1とは、「前記ゲート電極の前記第2面と近接した前記ボディの第2ソース領域または第2ドレイン領域であって、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域の一部が前記第2誘電スペーサの下方にあり、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第2ソース領域または第2ドレイン領域」を備える点で共通する。 6 引用発明1の「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」は、「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」を含み、また、「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」は、その名称からすれば、シリコン及びゲルマニウムを含むから、引用発明1の「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」は、シリコン及びゲルマニウムを含む。 また、引用発明1の「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」は、「20-25原子質量%から、40-55原子質量%まで緩やかに遷移するゲルマニウム含有量を有し」、これは、「ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化」しているものといえる。 以上によれば、本願発明と引用発明1とは、「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含」む点、及び、「前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含」む点で共通する。 7 引用発明1の「半導体集積回路」は、本願発明の「集積回路構造」に相当する。 8 以上の1~7によれば、本願発明と引用発明1の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「シリコンを含むボディと、 前記ボディの上方のゲート電極であって、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有するゲート電極と、 前記ゲート電極の前記第1面に沿った第1誘電スペーサと、 前記ゲート電極の前記第1面と近接した前記ボディの第1ソース領域または第1ドレイン領域であって、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の一部が前記第1誘電スペーサの下方にあり、前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第1ソース領域または第1ドレイン領域と、 前記ゲート電極の前記第2面に沿った第2誘電スペーサと、 前記ゲート電極の前記第2面と近接した前記ボディの第2ソース領域または第2ドレイン領域であって、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域の一部が前記第2誘電スペーサの下方にあり、前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域が2またはそれ以上の面と上面とを含む、第2ソース領域または第2ドレイン領域と、 を備え、 前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含み、 前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域は、ゲルマニウム濃度が50パーセントを超える濃度まで漸次変化したシリコンおよびゲルマニウムを含む、 集積回路構造。」 <相違点1> 本願発明は、「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域の前記上面の上方の、ゲルマニウムおよびチタンを含む第1層」及び「前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域の前記上面の上方の、ゲルマニウムおよびチタンを含む第2層」を備えるのに対し、引用発明1は、そのような層を備えるか否かが不明である点。 <相違点2> 本願発明は、「前記第1ソース領域または前記第1ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有し」、「前記第2ソース領域または前記第2ドレイン領域は、5E20cm-3を超えるホウ素濃度を有する」のに対し、引用発明1は、「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」の「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」が、「2.0×1020原子/cm3に実質的に等しい又はより多いホウ素濃度を有する」ものの、「5E20cm-3を超える」か否かが不明である点。 第6 判断 1 相違点1について 引用文献1の明細書第5ページ第9~19行(前記第4 1(1)エ)には「図2は、基板110内にドーピング部210を形成して、ゲート電極150の側面にスペーサ220を形成した後における図1のデバイスの例である。適切なエッチャントに曝露されたとき、ドーピング部210は、周囲の基板材料のエッチング速度よりも速い速度でエッチングされる。ドーピング部210の一は、形成されているMOSトランジスタのソース領域-自己整合したエピタキシャルソース拡張部を含む-の一部として機能する。他のドーピング部210は、自己整合したエピタキシャルドレイン拡張部を含むMOSトランジスタのドレイン領域の一部として機能する。図示された実施例では、ドーピング部の領域は、ゲート誘電層120の下に位置する。本発明の様々な実施例では、ドーピング部210のサイズ(深さを含む)は、形成されているMOSトランジスタの要求に基づいて変化して良い。」と記載されているから、引用発明1の「半導体集積回路」は、MOSトランジスタを含むものであるといえる。一方、引用発明4は「MOS型電界効果トランジスタ」に関するものであるから、引用発明1と引用発明4とは、「MOSトランジスタ」という共通の技術分野に属するものである。 また、引用文献1の明細書第9ページ第8~21行(前記第4 1(1)コ)には、「当業者には明らかなように、プレーナMOSデバイス100は、デバイスの改質及び/又は必要な電気的接続の提供をさらに行うことのできるさらなるMOS処理を受けて良い。さらなるMOS処理とはたとえば、・・・、サリサイデーション処理である。」と記載されているから、引用文献1には、更なるサリサイデーション処理を行うことが示唆されている。 そして、「サリサイド」とは、「自己整合シリサイドの略」(「半導体大辞典」、初版、株式会社工業調査会、平成11年12月20日発行、第192ページ)であるから、引用文献1には、シリサイド化を行うことが示唆されているといえる。一方、引用発明4がシリサイド化に関するものであることからすれば、引用発明1に引用発明4を適用する動機付けが存在するものといえる。 以上のことからすれば、引用発明1に引用発明4を適用し、引用発明1におけるシリコン及びゲルマニウムを含む層である「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」のコンタクト抵抗の低抵抗化を図るために、前記「ソース領域510」及び「ドレイン領域520」の表面をシリサイド化した「チタンシリサイド層S」を形成するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ここで、技術常識からすれば、シリコン及びゲルマニウムを含む層の表面をシリサイド化して、チタンシリサイド層を形成すれば当然、当該チタンシリサイド層には、チタン、シリコン、及び、ゲルマニウムが含まれることになるといえる。 以上によれば、引用発明1に引用発明4を適用し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。 2 相違点2について 引用文献1の明細書第8ページ第5~14行(前記第4 1(1)ク)には、「本発明の実施例では、pMOSトランジスタでは、ソース領域の空孔310及びドレイン領域の空孔320が、例えば図15で後述する実施例のような1又は複数の方法による高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウムのような、傾斜ゲルマニウムシリコン合金によって充填されて良い。・・・他の実施例では、この傾斜ゲルマニウムシリコン合金は、さらに、その場でホウ素によってドーピングされて良い。ホウ素濃度は2×1019/cm3~7×1020/cm3の範囲であって良い。」と記載されているから、引用文献1においては、高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウムのホウ素濃度を、7×1020/cm3とすることが示唆されているといえる。このホウ素濃度は、相違点2の「5E20cm-3を超えるホウ素濃度」にあたる。 以上によれば、引用発明1において、「高ゲルマニウム含有傾斜シリコンゲルマニウム積層体1400」のホウ素濃度を「5E20cm-3を超えるホウ素濃度」である「7×1020/cm3」とすることにより、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって格別の困難性を要するものではない。 3 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1及び4の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 4 したがって、本願発明は、引用発明1及び4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1及び4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-014422

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