2021-014193
サイテキキューヨ
- 審判番号
- 2021-014193
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-141209外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月19日
- 審決日
- 2022年06月07日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社セルズ
- 【請求人代理人】特許業務法人上野特許事務所
- 分類
- T18 .13 -Z (W42)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
- 識別力なし図形・ロゴ等(別掲)
- 論点(本文から自動抽出・参考)
- 識別力品質表示役務の質用途指定商品・役務の補正濃い色は判断部分で検討された論点、薄い色は本文中で触れているもの
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
本願は、令和2年11月16日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、登録出願されたものである。
その後、指定役務については、上記第1の手続補正により、第42類「オンラインによる人事労務アプリケーションソフトウェアの提供」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「最適給与」の文字を横書きしてなるところ、本願の指定役務に関連する分野において、従業員への適切な給与額を試算し、これを企業や事業主に対して提案するといったサービスや、これに用いるソフトウェアが販売されている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「企業や従業員にとって最適な給与(に関する役務)」といったことを認識するにすぎないから、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審においてした審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、審尋で、別掲2のとおり、その結果を通知するともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記第4の審尋に対して、意見書において、要旨、以下のように主張した。
「最適給与」又は「最適な給与」の文字から連想される意味は受け手によって様々に異なるところ、本願商標は、役務の特徴等を間接的・暗示的に表示するものであって、審尋において、それに該当しないというための根拠が示されていない。
また、請求人は、23年間という長い期間に渡り、本願商標をソフトウェア製品に使用し、積極的な販促活動を行い、業界内で約2割のシェアを獲得していることから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を有する商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1に示すとおりの構成態様からなり、殊更特殊な態様とはいい得ないものであって、これよりは、直ちに「最適給与」の文字を横書きで表してなるものと看取、把握できるものであるから、本願商標は、「最適給与」の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものというのが相当である。
そして、本願商標を構成する「最適給与」の文字は、「最も適していること」の意味を有する「最適」と、「官公庁または会社などに勤務する者に支給する給料・諸手当その他の総称」(いずれも広辞苑 第七版)の意味を有する「給与」との、いずれも平易な語を組み合わせたものであって、これに接する取引者、需要者に、「最適な給与」の意味合いを容易に認識、理解させるものである。
また、原審の拒絶理由通知書で示した事例(別掲3)や当審においてした審尋で示した事例(別掲2)があるように、本願の指定役務に関連する分野において、別掲2の1や別掲3の1及び3のように、従業員の最適な給与を試算し、これをその従業員を雇用する者に対して提案するといった役務の提供、最適な給与を計算するソフトウェアを用いた役務の提供や、別掲2の2及び3や別掲3の2のように、最適な給与を計算するためのソフトウェアの提供又は販売がなされている実情が認められる。
そうすると、「最適給与」の文字からなる本願商標は、本願の指定役務「オンラインによる人事労務アプリケーションソフトウェアの提供」との関係において、「オンラインによる最適な給与の計算又は提案等のために用いる最適な給与に関するソフトウェアの提供」ほどの意味合いを表す語であることを取引者、需要者に、認識させるにとどまるものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定役務に使用するときは、単に役務の質(内容)、用途等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、たとえ、需要者が「最適給与」を「最適な給与」と解釈したとしても、「職務内容に応じた妥当な給与額」、「事業の競争力や収益性に見合った無理のない給与額」、「一般的・平均的な給与額(つまり平均給与)」、「節税効果が最も大きくなる給与額」又は「優秀な社員のモチベーションを損なわない給与体系」など、そこから連想される意味合いは受け手によって様々に異なるから、結局、その「給与」がどう「最適」なのかが不明であって、本願商標は、これをその指定役務に使用したときに、どのような役務を指すのか、直接的・具体的ではなく、間接的・暗示的であるにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張する。
しかしながら、請求人主張のように「最適給与」から連想される意味合いが受け手によって異なる場合があるとしても、それが最適な給与に関するものであることに何らかわりはないというべきである。そして、本願の指定役務に関連する分野において、別掲2及び3のとおり、従業員の最適な給与を試算し、これをその従業員を雇用する者に対して提案するといった役務の提供、最適な給与を計算するソフトウェアを用いた役務の提供や、最適な給与を計算するためのソフトウェアの提供又は販売がなされている実情を踏まえると、本願商標は、その指定役務との関係において、「オンラインによる最適な給与の計算又は提案等のために用いる最適な給与に関するソフトウェアの提供」であるという役務の質(内容)、用途等を表したと取引者、需要者に、認識させるものであって、十分に直接的かつ具体的である。
(2)請求人は、「最適給与」という名称がオンラインアプリケーション(SaaS)やソフトウェア製品の名称として使用されている例は請求人のもの以外には確認できないこと、及び、請求人が、23年間という長い期間に渡り、本願商標をソフトウェア製品に使用し、積極的な販促活動を行い、業界内で約2割のシェアを獲得していることから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を有する商標である旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の適用においては、需要者又は取引者における一般的な認識を基準とすべきであるところ、別掲2及び3の本願の指定役務に関連する分野における実情を踏まえると、本願商標は、これに接する一般の需要者又は取引者をして、「オンラインによる最適な給与の計算又は提案等のために用いる最適な給与に関するソフトウェアの提供」であることを表記してなると容易に認識させるというべきである。
そして、請求人が、長い期間に渡り、本願商標を、請求人のソフトウェア製品に使用しているとの主張については、請求人の提出にかかる証拠からは、請求人の「最適給与」という名称のソフトウェア製品が平成10年に販売され始めたことはうかがえるものの、別掲1の態様からなる本願商標と同一視できる商標に係る使用とはいえないものも含まれており、必ずしも本願商標を、その指定役務に長期間使用しているとはいい難いものであるから、本願商標が、請求人による使用の結果、請求人の出所を表示するものとして、自他役務の識別標識としての機能を有する商標であることを認めることはできない。
(3)請求人は、本願商標のデザインは、オリジナルフォントによるものであり、その外観上の特徴も出所識別機能の一助にはなり得る旨主張する。
しかしながら、本願商標は、殊更特殊な態様とはいい得ないものであって、これよりは、直ちに「最適給与」の文字を横書きで表してなるものと看取、把握できるものであるから、本願商標は、「最適給与」の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものというのが相当である。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲(理由中で参照)
内容を表示(14行)
別掲2 本願の指定役務に関連する分野において、最適な給与を試算し提案するといった役務の提供、最適な給与を計算するソフトウェアを用いた役務の提供や、最適な給与を計算するためのソフトウェアの提供又は販売がなされている事例(審尋で示した事例。下線は当審が付した。)
1 「社会保険労務士法人 吉田労務管理センター」のウェブサイトにおいて、「サービス案内」との見出しの下、「最適給与」の項において、「継続雇用制度を導入している企業の経営者様へ~60歳以降の高齢者のための賃金設計シミュレーション~・・・「最適給与」は雇用継続給付金が受けられる範囲で、給与と在職老齢年金を調整し、総手取額が一番多くなる給与額を算出し、従業員の適正な給与を設定、資料を作成します。」との記載がある。
http://www.yoshidaroumu.com/03_service/service.html
2 「オフィスクリエイト」のウェブサイトにおいて、「オフィスクリエイトが提供する「給与君」は個人事業の方に最適な給与計算ソフトです。事業をはじめて、従業員を雇うようになると、おのずと給与計算が必要になってきます。」との記載がある。
https://www.soft-create.com/sc-system/page.php
3 「株式会社バリュープレス」のウェブサイトにおいて、「60歳からの最適給与計算シミュレーションソフト「継続雇用マスター」」との見出しの下、「株式会社シャフト 60歳からの最適給与計算シミュレーションソフト「継続雇用マスター」を発表-高年齢者雇用安定法が引き起こす問題点を簡単入力で一発解決!」との記載がある。
https://www.value-press.com/pressrelease/1200
別掲3 本願の指定役務に関連する分野において、最適な給与を試算し提案するといった役務の提供、最適な給与を計算するソフトウェアを用いた役務の提供や、最適な給与を計算するためのソフトウェアの提供又は販売がなされている事例(原審の拒絶理由通知書で示した事例)
1 「守谷市・税理士法人WBC」のウェブサイトにおいて、「役員報酬・専従者給与シミュレーション」との見出しの下、「・・・所得税の節税対策の一つとして、事業を手伝ってくれているご家族へのお給与を検討する場合の最適な給与額を試算し、ご提案いたします。・・・」との記載がある。
http://wadazeimu.com/salary-simulation/
2 「OBC」のウェブサイトにおいて、「自社に最適な給与計算ソフトの運用モデル・システム構成をご提案いたします 企業の規模や成長フェーズに合わせて、給与計算・労務管理の課題を解決できます。部分最適から人事労務の全体最適まで実現可能です。」との記載がある。
https://www.obc.co.jp/list/hr_kyuyo
3 「中薗総合労務事務所」のウェブサイトにおいて、「1.60歳以降の最適給与の考え方」との見出しの下、「・・・弊所では、このようなお悩みに対して、次の「最適給与の考え方」を解決策の一つとしてご提示しています。・・・実際に、この仕組みをうまく活用し、低額に抑えた分の人件費を次代を担う若手人材の採用や育成等につなげていこうという企業も増えています。・・・」との記載がある。また、「4.中薗総合労務事務所のサポート内容」との見出しの下、「複雑な制度・仕組みを理解し、最適給与を手計算で導き出すのは”至難の技”と言えます。弊所に、ご本人様に関する次のような情報をお知らせ頂けますと、専用ソフトを使って最適給与額を算出し、1週間程度で「報告書」にて回答させて頂きます。・・・」との記載がある。
https://nakazono-office.net/older-age-salary
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