商標拒絶査定不服審判
2025-011987
ジチタイコーシキスーパーアプリ、スーパーアプリ
- 審判番号
- 2025-011987
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-071278
- 請求日
- 2025年07月31日
- 審決日
- 2026年07月07日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社オプティム
- 【請求人代理人】弁理士法人ソシデア知的財産事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 吉岡 めぐみ
- 分類
- T18 .13 -Z (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-71278拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年7月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年1月24日付け:拒絶理由通知書
令和7年4月9日:意見書の提出
令和7年6月10日付け:拒絶査定
令和7年7月31日:審判請求書の提出
令和7年12月23日付け:証拠調べ通知書
令和8年 2月16日:意見書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「自治体公式スーパーアプリ」の文字を標準文字で書してなり、第9類「スマートフォン,タブレット型コンピュータ,電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」及び第42類「クラウドコンピューティングを介した仮想コンピュータシステムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として商標登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「自治体公式スーパーアプリ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「自治体」の文字は「国家から自治の権能を認められた公共の団体。自治団体。地方公共団体。」、「公式」の文字は「おおやけに定められた形式。また、公的な手続きを踏んで物事を行うこと。企業や団体などが、正式に認めること。」、「スーパーアプリ」の文字は「基盤となるアプリを中心に、複数のミニアプリを組み合わせて、メッセージ送受信やSNS・決済・送金・交通機関の予約など、さまざまな機能をもたせたもの。」の意味を有する語である。そして、近年、行政の分野におけるデジタル化のニーズが高まる中、自治体における取組や行政サービスにおいて利用されるスーパーアプリが開発、導入されている実情があることに加え、「自治体で利用される公式のアプリ」ほどの意味合いを表すものとして、「自治体公式アプリ」の文字が使用されている例が確認できることからすれば、本願商標は全体として「自治体で利用される公式のスーパーアプリ」ほどの意味合いを容易に認識させるものであり、これを、本願に係る指定商品又は指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、「自治体で利用される公式のスーパーアプリに関する商品又は役務」であることを理解するにとどまるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2ないし別掲5の事実を発見したので、同法第56条第1項において準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、上記第1のとおり、証拠調べ通知書によって通知し、相当の期間を指定してこれに対する意見を求めた。
第5 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
本願商標は「自治体」「公式」「スーパーアプリ」の結合によるものであるところ、全体として極めて漠然とした広範な意味を生ずるものであり、その構成全体をもって特定の語義を有することのない一種の造語として認識されるとみるのが自然であって、自他商品役務の識別標識として機能し得る。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しない。
第6 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号の趣旨
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状その他の特性又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が、その指定商品又は指定役務について商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標が指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該商品又は役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年10月21日判決等参照)。
そして、当該商標が指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、商標の構成やその指定商品又は指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(知財高裁令和3年(行ケ)第10113号、同4年1月25日判決参照)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「自治体公式スーパーアプリ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「自治体」の文字は「国家から自治の権能を認められた公共の団体。自治団体。地方公共団体。」、「公式」の文字は「おおやけに定められた形式。また、公的な手続きを踏んで物事を行うこと。企業や団体などが、正式に認めること。」、「スーパーアプリ」の文字は「基盤となるアプリを中心に、複数のミニアプリを組み合わせて、メッセージ送受信やSNS・決済・送金・交通機関の予約など、さまざまな機能をもたせたもの。」の意味を有する語である(別掲1及び別掲2)。
そして、別掲3によれば、「公式アプリ」の文字は、企業等が正式に認め、又は提供するアプリケーションを表す語として一般に使用されている実情がある。
また、別掲4によれば、一般に、自治体が、その取組や行政サービスの利用のために「アプリ」を開発、導入し、利用を進めており、当該アプリについて「自治体公式アプリ」と称されている実情がある。
加えて、別掲5によれば、近年、行政の分野におけるデジタル化のニーズが高まる中、自治体における取組や行政サービスの利用のためのスーパーアプリが開発又は提供され、自治体において導入又は利用が進められている実情があり、当該スーパーアプリについて「自治体スーパーアプリ」や「自治体公式スーパーアプリ」と称されている実情もある。
そうすると、本願商標の各構成文字の意味、「公式アプリ」の文字が一般に使用されている実情、自治体において「自治体公式アプリ」と称されるアプリが存在する実情及び「自治体スーパーアプリ」又は「自治体公式スーパーアプリ」と称されるスーパーアプリが存在している実情に照らせば、本願商標は、全体として「自治体で利用される公式のスーパーアプリ」の意味合いを容易に認識させるものであるから、これをその指定商品又は指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品又は役務が「自治体で利用される公式のスーパーアプリに関する商品又は役務」であるという、商品の品質又は役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまるものであって、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他商品又は役務の識別力を欠くものというのが相当である。
そして、本願商標は、上記のとおり、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、その指定商品又は指定役務との関係において、商品の品質又は役務の質(内容)を標準文字で表した標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、本願商標は「自治体」「公式」「スーパーアプリ」の結合によるものであるところ、全体として極めて漠然とした広範な意味を生ずるものであり、その構成全体をもって特定の語義を有することのない一種の造語として認識されるから、自他商品役務の識別標識として機能し得る旨主張している。
しかしながら、出願に係る商標が、その指定商品又は指定役務について商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、当該商標が当該商品又は役務との関係で、商品又は役務を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者によって当該商品又は役務に使用された場合に、将来を含め、商品の品質又は役務の質等を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該商品又は役務に使用されていることを要しないと解される(東京高裁平成12年(行ケ)第76号、同年9月4日判決、知財高裁令和3年(行ケ)第10100号、同4年5月19日判決参照)。
そして、本願商標が、本件審決の時点において、その指定商品又は指定役務との関係で、その商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品又は指定役務の需要者によって本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、前記1(2)で述べたとおりである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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