商標拒絶査定不服審判
2025-016137
エキスパートエイアイ、エキスパート、エキスパートアイ
- 審判番号
- 2025-016137
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-085434
- 請求日
- 2025年10月09日
- 審決日
- 2026年05月25日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ACES
- 【請求人代理人】弁理士法人Toreru
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 和彦
- 審判官 駒井 芳子
- 審判官 目黒 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-85434拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和6年8月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年 1月14日付け:拒絶理由通知書
令和7年 2月20日 :意見書の提出
令和7年 7月 7日付け:拒絶査定
令和7年10月 9日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「エキスパートAI」の文字を標準文字で表してなり、第9類「インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子計算機用プログラム,電気通信機械器具,電子出版物,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。)」及び第42類「コンピュータセキュリティに関する指導及び助言,コンピュータープラットフォームの開発,ウェブサーバーの貸与,コンピュータソフトウェアの貸与,デザインの考案,サーバーのホスティング,文書のデジタル変換(スキャニングによるもの),電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,データ又は文書の物理媒体から電子媒体への変換,技術文書の作成,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,人工知能技術の分野に関する研究,ウェブサイト経由によるコンピュータ技術及びコンピュータプログラミングに関する情報の提供,コンピュータ技術に関する助言,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),科学技術に関する研究,科学に関する実験及び研究,電子計算機の貸与,人工知能に関する助言,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,技術的課題の研究,コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する助言,受託による新製品の研究開発,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原審において、「本願商標は、「エキスパートAI」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「エキスパート」の文字は「専門家」、「AI」の文字は「人工知能」の意味を有する語であるから、本願商標全体として、「専門家の人工知能」ほどの意味合いを、これを見る者に容易に理解されるものというのが相当である。また、「エキスパートAI」の文字が、「専門知識を有する人工知能」程度の意味合いで使用されている実情があり、これに加えて、専門家の持つ知識・知見をAIで活用するサービスが開発され、「Expert AI」や「専門家AI」と称して提供されている事実がある。これらを踏まえると、本願商標を、その指定商品・指定役務中、「人工知能に関する商品・役務」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「専門知識を有する人工知能に関する商品・役務」であること、すなわち、単に商品の品質・役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の品質、その役務の質等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で、商品の品質、役務の質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成26年(行ケ)第10056号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決、平成27年(行ケ)第10232号判決参照)。
以上を前提に、本願商標と、その指定商品及び指定役務との関係における同号該当性について検討する。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「エキスパートAI」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「エキスパート」の文字は「ある分野で訓練・経験を積み、高度な技能や知識をもった人。熟練者。専門家。」を、「AI」の文字は「人工知能。」(いずれも出典は「大辞泉 第二版」株式会社小学館)をそれぞれ意味する語である。
そして、原審提示の情報や、別掲のとおり、本願の指定商品及び指定役務に関連するAI(人工知能)を活用した商品及び役務の分野において、「エキスパートAI」及びこれと同義である「専門家AI」の語が「専門知識を有する人工知能」ほどの意味合いを表す語として多数使用されている実情を確認することができる。
そうすると、本願商標は、その構成文字の語義及び取引の実情を踏まえれば、構成文字全体として、「専門知識を有する人工知能」ほどの意味合いを認識させるものであり、本願商標をその指定商品及び指定役務中、第9類「電子計算機用プログラム,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。)」及び第42類「コンピュータセキュリティに関する指導及び助言,コンピュータープラットフォームの開発,ウェブサーバーの貸与,コンピュータソフトウェアの貸与,サーバーのホスティング,文書のデジタル変換(スキャニングによるもの),データ又は文書の物理媒体から電子媒体への変換,ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,人工知能技術の分野に関する研究,ウェブサイト経由によるコンピュータ技術及びコンピュータプログラミングに関する情報の提供,コンピュータ技術に関する助言,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),電子計算機の貸与,人工知能に関する助言,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用しても、これに接する取引者、需要者は「専門知識を有する人工知能に関する商品又は役務」という商品の品質又は役務の質を表示したものと認識、理解させるにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標が「専門家の人工知能」なる意味合いを認定されたとしても、専門家がどうする・どうなる等、具体的な用途機能の部分が極めて曖昧であり、品質表示に該当しうるほどになっておらず、具体的な一義的観念が生じるものではない旨主張している。
しかしながら、上記(1)で説示したとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係で、その商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の取引者、需要者によって、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解されるところ、上記(2)で説示したとおり、本願商標の構成文字から生じる意味と、原審及び別掲で提示した取引の実情に照らせば、これに接する取引者、需要者をして、当該商品又は役務が「専門知識を有する人工知能に関する商品又は役務」であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表示するものと容易に理解、認識させることをもって足り、それ以上に具体的な商品又は役務の内容が特定されることまでは要しないというのが相当である。
イ 請求人は、本願商標と同様に、「○○AI」(「〇〇」は一見品質や用途の表示となり得るような語)の構成からなる商標の登録例を提示し、これらの登録例より本願商標の方が用途や品質等の表示として曖昧であることから、本願商標は識別力が認められて然るべき旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や、その商品及び役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、「AI」の文字に他の文字を結合させた構成からなる商標である等、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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