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特許拒絶査定不服審判

2021-013740

システムインパッケージ及びその製造方法

審判番号
2021-013740
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-186475外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年10月08日
審決日
2022年07月13日
公報発行日
2022年08月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-186475「システムインパッケージ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月 6日出願公開、特開2020- 21951、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年) 2月25日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2012年 2月24日(EP)欧州特許庁(以下「本願の優先日」という。)、2013年 2月19日(US)米国)を国際出願日とする特願2014-558928号の一部を平成30年 7月20日に特願2018-136615号として新たな特許出願とし、更にその一部を令和元年10月10日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 元年10月28日 :手続補正書、上申書の提出 令和 2年 8月27日付け:拒絶理由通知書 令和 2年10月18日 :意見書の提出 令和 3年 6月10日付け:拒絶査定 令和 3年10月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2原査定の概要 原査定(令和 3年 6月10日付け 拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1、2、4、5に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1-2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 本願の請求項3、6、7、9に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 本願の請求項8に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1-5に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2000-151112号公報 2.米国特許出願公開第2011/108971号明細書 3.特開2010-50189号公報 4.特開2008-166086号公報 5.特開2003-197849号公報 第3 本願発明 本願請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明9」という。)は、令和 3年10月 8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 システムインパッケージであって、 ラミネートボディと、 前記ラミネートボディの下側表面に取り付けられる第1の基板と、 前記ラミネートボディの上側表面に取り付けられる第2の基板と、 前記ラミネートボディに埋め込まれる半導体ダイであって、その下側表面に形成される第1のコンタクト領域とその上側表面に形成される第2のコンタクト領域とを含む、前記半導体ダイと、 を含み、 前記半導体ダイの第1のコンタクト領域が第1のシンターされたボンディング層を介して前記第1の基板のコンタクトパッドにボンディングされ、前記半導体ダイの第2のコンタクト領域が第2のシンターされたボンディング層を介して前記第2の基板のコンタクトパッドにボンディングされ、 前記半導体ダイの第1及び第2のコンタクト領域が、ガルバニ系列で考えられるときに銅よりも一層貴である金属又は金属合金で作られるか又はメッキされる、システムインパッケージ。 【請求項2】 請求項1に記載のシステムインパッケージであって、 前記半導体ダイの前記第1及び第2のコンタクト領域が、銅ベースと、前記銅ベース上に配置される金属コーティングとを含む、システムインパッケージ。 【請求項3】 請求項1に記載のシステムインパッケージであって、 前記第1及び第2の基板のコンタクトパッドが、銅ベースと、前記銅ベース上に配置される金属コーティングとを含む、システムインパッケージ。 【請求項4】 請求項2に記載のシステムインパッケージであって、 前記金属コーティングが銀を含む、システムインパッケージ。 【請求項5】 請求項2に記載のシステムインパッケージであって、 前記金属コーティングが金を含む、システムインパッケージ。 【請求項6】 請求項3に記載のシステムインパッケージであって、 前記金属コーティングが銀を含む、システムインパッケージ。 【請求項7】 請求項3に記載のシステムインパッケージであって、 前記金属コーティングが金を含む、システムインパッケージ。 【請求項8】 請求項1乃至7の何れかに記載のシステムインパッケージであって、 前記第1の基板の上側又は下側表面に形成される下側コンタクトパッドと、 前記第2の基板の上側又は下側表面に形成される上側コンタクトパッドと、 前記第1の基板と前記ラミネートボディと前記第2の基板とを貫通して形成され、前記下側コンタクトパッドと前記上側コンタクトパッドとを接続する垂直接続と、 を更に含む、システムインパッケージ。 【請求項9】 システムインパッケージであって、 ラミネートボディと、 前記ラミネートボディの下側表面に取り付けられる第1の基板であって、第1のコンタクトパッドを有する、前記第1の基板と、 前記ラミネートボディの上側表面に取り付けられる第2の基板であって、第2のコンタクトパッドを有する、前記第2の基板と、 前記ラミネートボディに埋め込まれる半導体ダイであって、その下側表面に形成される第1のコンタクト領域とその上側表面に形成される第2のコンタクト領域とを有する、前記半導体ダイと、 前記半導体ダイの第1のコンタクト領域を前記第1の基板の第1のコンタクトパッドに接合する第1のシンターされたボンデンィング層と、 前記半導体ダイの第2のコンタクト領域を前記第2の基板の第2のコンタクトパッドに接合する第2のシンターされたボンディング層と、 を含み、 前記半導体ダイの第1及び第2のコンタクト領域と前記第1及び第2の基板の第1及び第2のコンタクトパッドとがバルバニ系列で考えるときに銅よりもより貴である金属又は金属合金で作られるか又はメッキされる、システムインパッケージ。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の記載がある。(当審注:下線は当審による。) 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は電子部品が実装される配線基板およびその製造方法に関する。」 「【0026】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 ・・・ 【0028】上記チップ部品1としては抵抗やコンデンサなどで、通常そのサイズによって1005(1mm×0.5mmサイズ)や0603と(0.6mm×0.3mmサイズ)呼ばれる小型のものが用いられることが多い。 ・・・ 【0031】つぎに、図2(a)に示すように一対の合成樹脂シート2の外面にそれぞれ一方の板面に円錐状あるいは角錐状のバンプ3が形成された金属シート4を、そのバンプ3が形成された面を対向させて重合してから、この重合体を加熱しながら同図(b)に矢印Xで示す方向に加圧する。 【0032】重合体が加圧されることで、合成樹脂シート2は溶融して図2(a)に示すチップ部品1間の隙間に入り込んで合成樹脂とチップ部品1とが一体化されるとともに、上記金属シート4に形成されたバンプ3は上記基板本体5内に埋め込まれて上記チップ部品1の電極1aに電気的に接続される。その結果、図2(b)に示すように合成樹脂シート2と金属シート4とが一体化された基板本体5が形成される。 ・・・・ 【0035】このようにして金属シート4を合成樹脂シート2と一体化したならば、図2(c)に示すように上記金属シート4をパターニングして配線パターン6を形成する。金属シート4のパターニングは、この金属シート4にエッチングレジストを印刷してエッチング加工を行い、ついでそのレジストをアルカリ水溶液で剥離除去すれば、図2(c)に示すように基板本体5の両面に配線パターン6が形成された配線基板Aを得ることができる。 【0036】図3(a)~(c)は図2(c)に示す配線基板Aから多層配線基板Bを製造する工程を示しており、同図(a)は基板本体5の配線パターン6が形成された両面に絶縁層である層間合成樹脂シート11および板面の所定の位置に層間バンプ12が形成された上層金属シート13を順次対向させる。 【0037】つぎに、同図(b)に示すように、基板本体5に対して上記層間合成樹脂シート13と上層金属シート13とを重合し、この重合体を加熱しながら同図(b)に矢印Yで示す方向に加圧する。 【0038】その結果、上記層間合成樹脂シート13は溶融して基板本体5と一体化されるとともに、層間バンプ12は層間合成樹脂シート13内に入り込み、基板本体5の配線パターン6と電気的に接続される。 【0039】層間バンプ12を配線パターン6に電気的に接続したならば、上記上層金属シート13をエッチング加工することで、上層配線パターン14を形成するから、配線パターン6,14が4層構造の多層配線基板Bを構成することができる。」 (当審注:上記【0037】及び【0038】の「上記層間合成樹脂シート13」は、「上記層間合成樹脂シート11」の誤記であるから、以下で、「上記層間合成樹脂シート11」と記す。) 「【図2】 [図:0001387213000001.jpg] 」 「【図3】 [図:0001387213000002.jpg] 」 (2)引用文献1の記載事項 ア 前記(1)の【0001】の記載によれば、引用文献1の記載は、電子部品が実装される配線基板に関するものであるといえる。 イ 同【0032】には「重合体が加圧されることで、合成樹脂シート2は溶融して図2(a)に示すチップ部品1間の隙間に入り込んで合成樹脂とチップ部品1とが一体化されるとともに、上記金属シート4に形成されたバンプ3は上記基板本体5内に埋め込まれて上記チップ部品1の電極1aに電気的に接続される。その結果、図2(b)に示すように合成樹脂シート2と金属シート4とが一体化された基板本体5が形成される。」と記載されており、同【図2】の(b)には「基板本体5」の内部に「チップ部品1」が配置されることが見て取れ、さらに、同【0035】には、「このようにして金属シート4を合成樹脂シート2と一体化したならば、図2(c)に示すように上記金属シート4をパターニングして配線パターン6を形成する。」と記載されているから、電子部品が実装される配線基板は、「合成樹脂シート2が溶融した合成樹脂」と「配線パターン6」とが一体化し、内部に「チップ部品1」を含む「基板本体5」を含む、といえる。 ウ 同【0036】には、「図3(a)~(c)は図2(c)に示す配線基板Aから多層配線基板Bを製造する工程を示しており、同図(a)は基板本体5の配線パターン6が形成された両面に絶縁層である層間合成樹脂シート11および板面の所定の位置に層間バンプ12が形成された上層金属シート13を順次対向させる。」と記載されており、同【0037】には、「つぎに、同図(b)に示すように、基板本体5に対して上記層間合成樹脂シート13と上層金属シート13とを重合し、この重合体を加熱しながら同図(b)に矢印Yで示す方向に加圧する。」と記載されており、同【0038】には、「その結果、上記層間合成樹脂シート11は溶融して基板本体5と一体化されるとともに、層間バンプ12は層間合成樹脂シート13内に入り込み、基板本体5の配線パターン6と電気的に接続される。」と記載されており、同【0039】には、「層間バンプ12を配線パターン6に電気的に接続したならば、上記上層金属シート13をエッチング加工することで、上層配線パターン14を形成するから、配線パターン6,14が4層構造の多層配線基板Bを構成することができる。」と記載されているから、電子部品が実装される配線基板は、「基板本体5」の両面に配置され「基板本体5」と一体化される「層間合成樹脂シート11」と、「配線パターン6」と電気的に接続され「層間合成樹脂シート11」に入り込む「層間バンプ12」と、当該「層間バンプ12」が形成された「配線パターン14」と、を含むといえる。 エ 同【0031】には、「図2(a)に示すように一対の合成樹脂シート2の外面にそれぞれ一方の板面に円錐状あるいは角錐状のバンプ3が形成された金属シート4を、そのバンプ3が形成された面を対向させて重合してから、この重合体を加熱しながら同図(b)に矢印Xで示す方向に加圧する。」と記載されており、同【0032】には「重合体が加圧されることで、合成樹脂シート2は溶融して図2(a)に示すチップ部品1間の隙間に入り込んで合成樹脂とチップ部品1とが一体化されるとともに、上記金属シート4に形成されたバンプ3は上記基板本体5内に埋め込まれて上記チップ部品1の電極1aに電気的に接続される。その結果、図2(b)に示すように合成樹脂シート2と金属シート4とが一体化された基板本体5が形成される。」と記載されており、同【0035】には、「このようにして金属シート4を合成樹脂シート2と一体化したならば、図2(c)に示すように上記金属シート4をパターニングして配線パターン6を形成する。」と記載されているから、電子部品が実装される配線基板の「配線パターン6」は、当該「配線パターン6」に形成され「基板本体5」に埋め込まれる「バンプ3」により、「チップ部品1」の「電極1a」に電気的に接続される、といえる。 オ 同【図3】によれば、「電極1a」は、「チップ部品1」の上面及び下面に設けられていることが見て取れる。 カ 同【0027】には、「第1の電子部品であるチップ部品1」と記載されており、同【0028】には、「上記チップ部品1としては抵抗やコンデンサなどで、通常そのサイズによって1005(1mm×0.5mmサイズ)や0603と(0.6mm×0.3mmサイズ)呼ばれる小型のものが用いられることが多い。」と記載されているから、電子部品が実装される配線基板の「チップ部品1」は、「第1の電子部品であるチップ部品1」であり、抵抗やコンデンサである、といえる。 (3)引用文献1に記載された発明 前記(2)の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「合成樹脂シート2が溶融した合成樹脂と配線パターン6とが一体化し、内部にチップ部品1を含む基板本体5と、 前記基板本体5の両面に配置され、前記基板本体5と一体化される層間合成樹脂シート11と、 前記配線パターン6と電気的に接続され、前記層間合成樹脂シート11に入り込む層間バンプ12と、 前記層間バンプ12が形成された配線パターン14と、 を含み、 前記配線パターン6は、当該配線パターン6に形成され前記基板本体5に埋め込まれるバンプ3により、前記チップ部品1の電極1aに電気的に接続され、 前記電極1aは、前記チップ部品1の上面及び下面に設けられ、 前記チップ部品1は、第1の電子部品であり、 前記チップ部品1は、抵抗やコンデンサである、 電子部品が実装される配線基板。」 2 引用文献2について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の記載がある。(当審注:日本語訳及び下線は当審による。) 「[0001] The invention relates to electronic devices, and more particularly to the technique of embedding semiconductor components into a laminate substrate such as e.g. into a printed circuit board.」 ([0001]本発明は、電子デバイスに関し、より詳しくは、積層基板内、例えばプリント回路基板内、に半導体部品を埋め込む技術に関するものである。) 「[0026] According to FIG. 1B, a semiconductor chip 20 is provided. The semiconductor chip 20 may be of any type as mentioned above. By way of example, as shown in FIG. 1B, the semiconductor chip 20 may be a vertical semiconductor device, having a first electrode pad 22 and a second electrode pad 24 arranged on the top surface and a continuous third electrode pad 26 arranged on the bottom surface. By way of example, the semiconductor chip 20 may be a power MOSFET, and the first, second and third electrode pads may constitute the gate, source and drain contacts, respectively, of the semiconductor chip 20. [0027] The third electrode pad 26 is coated with a bond layer 28. In one embodiment, the bond layer 28 may be made of a diffusion soldering material. In this case, the use of AuSn, AgSn, CuSn, AgIn, AuIn, CuIn, AuSi, Sn or Au solders is conceivable. The bond layer 28 may be applied to the third electrode pad 26 by physical vapor deposition (PVD) techniques such as e.g. sputtering, or by galvanic deposition. Both techniques allow for the application of a small, controllable amount of material which builds-up on the third electrode pad 26 in the shape of a smooth, flat layer. ・・・ [0031] After the application of the bond layer 28 (e.g. diffusion solder or conductive adhesive or nano paste or directly deposited particles), the bond layer 28 may be exposed to a temperature rise. If the bond layer 28 is made of diffusion solder, a temperature in the range of about 180 to 400℃. may be applied to form the intermetallic phase between the electrode pad 26, the solder material of the bond layer 28 and the first structured metal layer 14. The applied temperature may be considerably lower than the melting temperature of the metal of the diffusion solder (when provided in macroscopic dimensions). The applied temperature should preferably be relatively low, e.g. 350 C. or less, in order to prevent any possible damage of the insulating layer 12 of the carrier 10.」 ([0026]図1(b)によれば、半導体チップ20が提供される。半導体チップ20は、上述したようないずれの種類であってもよい。一例として、図1(b)に示すように、半導体チップ20は、上面に配置された第1電極パッド22及び第2の電極パッド24と、底面に連続的に配置された第3の電極パッド26を有する縦型の半導体装置であっても良い。一例として、半導体チップ20は、パワーMOSFETとすることができ、第1、第2及び第3の電極パッドは、半導体チップ20のゲート、ソース及びドレインをそれぞれ構成していてもよい。 [0027]第3電極パッド26は、接着層28で被覆される。一実施形態では、接着層28は、拡散はんだ材料で作ることができる。この場合、AuSn、AgSn、CuSn、AgIn、AuIn、CuIn、AuSi、Sn又はAuはんだの使用が考えられる。接着層28は、例えばスパッタリングのような物理蒸着(PVD)技術により、または、ガルバニック堆積によって第3電極パッド26に適用されてもよい。これらの技術は、滑らかで平らな層の形状の第3の電極パッド26上に蓄積する材料を少なく、そして、制御可能である量とすることを可能にする。 ・・・ [0031]接着層28(例えば拡散はんだまたは導電性接着剤又はナノペーストまたは直接的に堆積された粒子)の適用後、接着層28は、温度上昇に曝されてもよい。接着層28は、拡散はんだが使用される場合、電極パッド26と、接着層28のはんだ材料と構造化された第1金属層14との間に金属間化合物相を形成するために、約180~400℃の範囲の温度を適用してもよい。適用される温度は、拡散はんだの金属(巨視的な寸法で提供される場合)の溶融温度よりかなり低くしてもよい。適用される温度は、例えば350℃以下であり、支持体10の絶縁層12の損傷を防止するために、比較的低い値であるのが好ましい。) 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の記載がある。 「【実施例8】 【0070】 図13は、本発明に係る半導体装置の他の構造例を示した斜視模式図である。図13に示すように、ベース材203上にセラミックス絶縁基板202が搭載され、セラミックス絶縁基板202上に形成された配線電極202a上に半導体素子201が搭載され、半導体素子201のエミッタ電極は接続端子204を介してセラミックス絶縁基板202上に形成された配線電極202bと接続されている。ベース材203、配線電極202a,202b、および接続端子204は、それぞれCu板の表面にNiめっきを施し、その上にAgめっきを施したものである。 【0071】 図14は、図13に示した半導体素子搭載部分の接合処理前における拡大断面模式図である。セラミックス絶縁基板202上に形成された配線電極202aと半導体素子201との間、半導体素子201のエミッタ電極と接続端子204との間、電極配線202bと接続端子204との間には、それぞれ本発明に係る接合材(8)が配置されている。なお、接合材(8)とは、個々の粒子表面がアミン類とアルコール類からなる有機物で被覆された粒径5~100 nmのAgナノ粒子と個々の粒子表面がアミン類とカルボン酸類からなる有機物で被覆された粒径30~500 nmのCuナノ粒子とを質量比「Ag:Cu =1:0.25」で混合し、さらに加圧成型してシート状に加工した接合材である。 【0072】 図14のように配置・搭載した後、接合温度が約300℃、接合時間が300 s、加圧力が0.5 MPaの接合条件により接合を行った。これにより、Agマトリックス相中に分散相であるCu相が均等に分散した接続層(複合金属焼結層)が形成され接合が完了した。本実施例の半導体装置は、配線幅の大きい接続端子204を用いることで、コレクタ電極だけでなくエミッタ電極部分にも大きな電流を流すことができる。このとき、本発明に係る接続層は、良好な耐熱性、高い電気伝導性、高い熱伝導性を有することから、当該半導体装置を安全かつ安定して動作させることができる。」 4 引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の記載がある。 「【0068】 (実施例6) 図10は本発明の導電性焼結層形成用組成物を用いた非絶縁型半導体装置における他の実施例の一つを示した図である。 【0069】 半導体素子201およびセラミックス絶縁基板202は、アルコール類とカルボン酸類で被覆された粒径が1nm~3.5μm の銀粒子に対し酸化銀粒子が100重量比になるように混合し、加圧することによりシート状に加工した導電性焼結層形成用組成物により接合されている。半導体素子のエミッタ電極についても、接続端子204を介してセラミックス絶縁基板上に形成された表面AuおよびNiめっきを施したCu配線202bが、前記導電性焼結層形成用組成物により接続されている。 【0070】 図11は図10における半導体素子搭載部分の接合前の断面拡大概略図である。接続端子(Cu板)204,絶縁基板202上のCu配線202a,202bはCu側からそれぞれNiめっき,Auめっきを施している。まず、絶縁基板のCu配線202aと半導体素子201間に導電性焼結層形成用組成物208を設置し、その後、半導体素子のエミッタ電極(上側)に導電性焼結層形成用組成物209を設置する。さらに、配線202bのAuめっき部と接続端子204との間に導電性焼結層形成用組成物210を設置する。搭載後、約250℃まで加熱し300s、加圧力0.5MPa の接合条件により、導電性焼結層形成用組成物208~210の接続が完了する。絶縁型半導体装置においてはコレクタ電極だけではなくエミッタ電極部分にも大きな電流が流れるため、配線幅の大きい接続端子204を用いることによりエミッタ電極側の接続信頼性をさらに向上させることが可能になる。」 5 引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、次の記載がある。 「【0051】(実施の形態4)実施形態4では、部品内蔵モジュールの一実施形態を説明する。以下、本発明の実施の形態について図4を参照して説明する。本実施の形態における部品内蔵モジュールに関しては、両面に3層配線板408を用い、電子部品304と半導体306を対向して配置した以外は、上述した実施形態1~3と同様である。したがって、本実施の形態において、特に説明のない物については、実施の形態1~3と同様とし、同じ呼称の構成部材及び製造法については特に説明のない限り同様の機能を持つ。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 ア 引用発明1の「基板本体5」は、「合成樹脂シート2が溶融した合成樹脂」と「配線パターン6」とが一体化した本体であるから、本願発明1の「ラミネートボディ」に相当する。 イ 引用発明1の「層間合成樹脂シート11」は、「基板本体5」の両面に取り付けられるものであるから、下記の相違点を除き、ラミネートボディの上面及び下面に取り付けられる基板であるという点で、本願発明1の「第1の基板」及び「第2の基板」に対応する。 したがって、本願発明1と引用発明1とは、「ラミネートボディの下側表面に取り付けられる第1の基板」と、「ラミネートボディの上側表面に取り付けられる第2の基板」とを含む点で一致する。 ウ 引用発明1の「チップ部品1」は、「合成樹脂シート2が溶融した合成樹脂と配線パターン6とが一体化した」「基板本体5」の内部に含まれるものである。 また、前記アによれば、引用発明1の「基板本体5」は、本願発明1の「ラミネートボディ」に相当する。 さらに、引用発明1の「チップ部品1」は、「抵抗やコンデンサである」から、半導体ダイではない。 そうすると、引用発明1の「チップ部品1」は、ラミネートボディに埋め込まれる部品である点で、本願発明1の「半導体ダイ」に対応する。 また、引用発明1における「電極1a」は、本願発明1の「半導体ダイ」に対応する「チップ部品1」の上面及び下面に設けられていること、及び、技術常識からして電極がコンタクトを形成するものであるといえることからすれば、ラミネートボディに埋め込まれた部品の上側表面及び下側表面に形成されたコンタクト領域であるという点で、本願発明1の「第1のコンタクト領域」及び「第2のコンタクト領域」に対応する。 したがって、本願発明1と引用発明1とは、「ラミネートボディに埋め込まれる」部品であって、「その下側表面に形成される第1のコンタクト領域とその上側表面に形成される第2のコンタクト領域とを含む」、前記部品を含む点で共通する。 エ 引用発明1の「電子部品が実装される配線基板」は、技術常識からすれば、パッケージであるといえる。よって、本願発明1と引用発明1とは、「パッケージ」である点で共通する。 オ 以上のア~エによれば,本願発明1と引用発明1の一致点及び相違点は,次のとおりである。 <一致点> 「パッケージであって、 ラミネートボディと、 前記ラミネートボディの下側表面に取り付けられる第1の基板と、 前記ラミネートボディの上側表面に取り付けられる第2の基板と、 前記ラミネートボディに埋め込まれる部品であって、その下側表面に形成される第1のコンタクト領域とその上側表面に形成される第2のコンタクト領域とを含む、前記部品と、 を含む、パッケージ。」 <相違点1> 本願発明1においては、ラミネートボディに埋め込まれるものが「半導体ダイ」であるのに対し、引用発明1においては、基板本体5に含まれるものが「抵抗やコンデンサである」「チップ部品1」であり、半導体ダイではない点。 <相違点2> 本願発明1においては、「前記半導体ダイの第1及び第2のコンタクト領域が、ガルバニ系列で考えられるときに銅よりも一層貴である金属又は金属合金で作られるか又はメッキされる」のに対し、引用発明1においては、「前記チップ部品1の上面及び下面に設けられ」ている電極1aの材料が不明である点。 <相違点3> 本願発明1においては、「前記半導体ダイの第1のコンタクト領域が第1のシンターされたボンディング層を介して前記第1の基板のコンタクトパッドにボンディングされ」ているのに対し、引用発明1においては、「層間合成樹脂シート11」にコンタクトパッドが設けられておらず、また、「第1のシンターされたボンディング層」に対応する構成もない点。 <相違点4> 本願発明1においては、「前記半導体ダイの第2のコンタクト領域が第2のシンターされたボンディング層を介して前記第2の基板のコンタクトパッドにボンディングされ」ているのに対し、引用発明1においては、「層間合成樹脂シート11」にコンタクトパッドが設けられておらず、また、「第2のシンターされたボンディング層」に対応する構成もない点。 <相違点5> 本願発明1は、「システムインパッケージ」であるのに対し、引用発明1の「電子部品が実装される配線基板」は、「パッケージ」であるものの、「システムインパッケージ」であるか否かが不明である点。 (2)相違点についての判断 ア 相違点1について 引用発明1が解決しようとする課題は、引用文献1の【0007】の記載によれば、「電子部品を小型化しなくとも実装密度を向上させることができるようにした配線基板及びその製造方法を提供すること」である。 そうすると、当該課題は、「電子部品」が実装されることを前提とするものであるといえる。 そして、引用文献1における「電子部品」とは、引用文献1の【0002】の「たとえば、パソコンなどのデジタル機器には従来からノイズ対策としてコンデンサや抵抗が使用されている。近年では実装技術の発達に伴い、抵抗やコンデンサなどの電子部品はそのほとんどがチップ部品に置き換わっている。」の記載からすれば、抵抗やコンデンサのことである。 そうすると、引用発明1において、「抵抗やコンデンサ」である、「第1の電子部品であるチップ部品1」を、「半導体ダイ」に置き換えようとすることは、引用発明1が解決しようとする課題の前提となる、抵抗やコンデンサである電子部品が実装される、との事項に反することになるから、当業者といえども、そのような変更を行うことには阻害要因があるといえる。 そして、このことは、引用文献2~5の記載に左右されるものではない。 したがって、引用発明1において、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 イ よって、上記相違点2~5について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、引用文献2~5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2~8について 本願発明2~8も、相違点1~5に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1、引用文献2~5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 本願発明9について 本願発明9は、表現が異なるものの相違点1~5に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものといえる。よって、本願発明1と同じ理由により、引用発明1、引用文献2~5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1~9は、いずれも相違点1~5に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、前記第5で検討したとおり、本願発明1~9は、引用発明1、引用文献2~5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-013740

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