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特許拒絶査定不服審判

2025-000098

2つのDFTプリコーディング段を用いるSC-FDMAのための送信方式

審判番号
2025-000098
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-143651
請求日
2025年01月06日
審決日
2025年12月16日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】佐藤 仁
審判長/審判官
  • 審判長 丸山 高政
  • 審判官 行武 哲太郎
  • 審判官 高野 洋
分類
P18 .121-Z (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-143651「2つのDFTプリコーディング段を用いるSC-FDMAのための送信方式」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年11月15日出願公開、特開2022-172355〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2016年(平成28年)1月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年1月23日(US)アメリカ合衆国 2015年12月16日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願2017-538965号の一部を、令和4年9月9日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 4年10月 3日 手続補正書 令和 5年11月28日付け 拒絶理由通知書 令和 6年 6月 6日 意見書・手続補正書 8月27日付け 拒絶査定 令和 7年 1月 6日 審判請求書 以下では、令和6年8月27日付け拒絶査定を「原査定」という。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年6月6日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 なお、後の参照の便宜のため、請求項1を以下の1A~1A’に分説し、「発明特定事項1A」のようにして参照する。 【請求項1】 1A 方法であって、 1B 第1のデータストリームを受信することと、 1C 前方誤り訂正コード(FEC)エンコードされたデータストリームを生成するために前記第1のデータストリームを前方誤り訂正コード(FEC)でエンコードすることと、 1D 前記FECエンコードされたデータストリームをシンボルコンステレーションに基づいてシンボルのシリアルデータストリームにマッピングすることと、 1E 前記シンボルのシリアルデータストリームを第1のシンボルのセットと第2のシンボルのセットとを含むパラレルデータストリームに変換することと、 1F 第1の離散フーリエ変換(DFT)回路によって、前記第1のシンボルのセットを第1の周波数領域信号に変換することと、 1G サブキャリアマッピング回路によって、前記第1の周波数領域信号をそれぞれの第1のサブキャリアにマッピングすることと、 1H 第2のDFT回路によって、前記第2のシンボルのセットを第2の周波数領域信号に変換することと、 1I 前記サブキャリアマッピング回路により、前記第2の周波数領域信号をそれぞれの第2のサブキャリアにマッピングすることと、 1J 単一の逆離散フーリエ変換(IDFT)回路によって、前記それぞれの第1のサブキャリアと前記第2のサブキャリアとを時間領域信号に変換することと、 1K 前記時間領域信号を送信することと、 1A’ を含む、方法。 第3 原査定の概要 原査定の理由の概要は、以下のとおりである。 1 (進歩性)この出願の請求項1、3、5及び7に係る発明は、以下の文献1に記載された発明並びに文献2及び4~6に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項2及び6に係る発明は、以下の文献1に記載された発明並びに文献2及び4~7に記載された周知技術に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項4及び8に係る発明は、以下の文献1に記載された発明及び文献2~6に記載された周知技術に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 文献1.国際公開第2012/176495号 文献2.特表2013-517675号公報 文献3.特表2012-526506号公報 文献4.国際公開第2010/016507号 文献5.国際公開第2009/104679号 文献6.特開2011-259108号公報 文献7.特開2014-30219号公報 第4 本願発明の進歩性についての判断 1 引用文献の記載と引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された国際公開第2012/176495号(以下「引用文献」という。)の記載は以下(1)のとおりである。また、当該記載に基づいて引用発明を以下(2)のとおり認定する。 (1)引用文献の記載 引用文献には、以下の記載がある。(下線は強調のため当審にて付与したものであり、以下特に注釈がなければ同様である。) ア「[0012] 以下に、本発明にかかる送信装置、受信装置、通信システムおよび通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。 [0013]実施の形態1. 図1は、本発明にかかる送信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の送信装置は、グループ処理部1と、信号処理部2-1~2-M(Mは2以上の整数)と、制御処理部3-1~3-Mと、合成処理部4と、送信処理部5と、送信アンテナ6と、電力測定部7と、制御信号生成部8と、を備える。 [0014] グループ処理部1には、入力信号として送信信号が入力される。入力信号は、例えば、PSKやQAMなどの方式で変調されたデジタル変調信号である。また、入力信号は誤り訂正符号が付加された信号でも良い。グループ処理部1は、入力信号の1ブロックをM個に分割し、分割したデータをそれぞれ信号処理部2-1~2-Mへ入力する。なお、ここでは、グループ処理部1がM個に分割するようにしたが、グループ処理部1はM個未満の数に1ブロックのデータを分割してもよい。また、グループ処理部1は、1ブロックを分割する際、各分割データのデータ量を全て等しくなるように分割してもよいし、分割データごとにデータ量が異なるように分割してもよい。」 イ「[0018] 送信処理部5は、合成処理部4により合成された合成信号に対して無線信号として送信するための所定の送信処理を実施して送信信号とし、送信信号を送信アンテナ6から送出する。」 ウ「[0039]実施の形態2. 図6は、本発明にかかる送信装置の実施の形態2の機能構成例を示す図である。図6に示すように、本実施の形態の送信装置の構成は、パイロットシンボル生成部9の代わりにパイロットシンボル生成部9aを備える以外は、実施の形態1の図3の例と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。」 エ「[0062]実施の形態4. 図13は、本発明にかかる送信装置の実施の形態4の機能構成例を示す図である。本実施の形態では、実施の形態2で述べた送信装置を、SC伝送を行う送信装置とした場合の具体例について説明する。図13に示すように、本実施の形態の送信装置は、S/P(シリアルパラレル変換)部21と、変調部22と、DFT部(フーリエ変換部)23-1~23-Mと、位相回転部31-1~31-Mと、周波数配置部41と、IDFT部(逆フーリエ変換部)42と、P/S部43と、CP/ZP挿入部44と、送信処理部5と、送信アンテナ6と、電力測定部7と、制御信号生成部8と、パイロットシンボル生成部9aと、を備える。 [0063] 送信処理部5、送信アンテナ6、電力測定部7、制御信号生成部8およびパイロットシンボル生成部9aは、実施の形態2の送信処理部5、送信アンテナ6、電力測定部7、制御信号生成部8およびパイロットシンボル生成部9aとそれぞれ同様である。DFT部21-1~21-Mは、実施の形態2の信号処理部2-1~2-Mに相当する。位相回転部31-1~31-Mは、実施の形態2の制御処理部3-1~3-Mに相当する。周波数配置部41、IDFT部42、P/S部43およびCP/ZP挿入部44は、合成処理部4に相当する。 [0064] S/P部21および変調部22は、実施の形態2のグループ処理部1としての機能を有する。なお、実施の形態2では、入力信号が変調信号であるとして説明したが、本実施の形態のように、グループ処理部1で変調を行うようにしてもよい。S/P部21は、直列信号である入力信号を並列信号に変換して変調部22へ入力する。変調部22は、入力信号をデジタル変調して変調データとし、変調データをG(Gは2以上でM以下の整数)個のグループに分割し、分割した変調データ各々異なるDFT部21-1~21-Gへ入力する。 [0065] DFT部21-1~21-Gは、各々入力された変調データに対してDFTを施すことによりSC信号を生成し、SC信号を接続する位相回転部31-1~31-Mへ入力する。なお、変調データのシンボル数が2のべき乗の場合、DFTの変わりにDFTよりも少ない演算量を必要とするFFT(Fast Fourier Transform)を用いてもよい。」 (当審注:「段落[0064]及び段落[0065]の「DFT部21-1~21-G」の「21」の記載に関し、段落[0062]より「本実施の形態の送信装置は、」「DFT部(フーリエ変換部)23-1~23-Mとを備える」ものと認められるため、図13も併せて参酌すれば、この記載は「23」の誤記であるものと認められる。) オ「[0070] 位相回転部31-1~31-Mにより位相回転が施されたSC信号とパイロットシンボル生成部9aから出力されるパイロットシンボルとは、周波数配置部41に入力され、周波数配置部41により周波数上で分散して配置され、IDFT部42へ入力される。IDFT部42は、周波数配置部41から入力された周波数領域の信号に対してIDFT処理を実施することにより時間領域の合成信号を生成する。IDFTへの入力のデータ数が2のべき乗の場合、IDFTの代わりにIDFTよりも少ない演算量を必要とするIFFT(Inverse FFT)を用いても良い。」 カ 図13 [図:0001435847000001.jpg] (2)引用発明の認定 前記(1)の記載によれば、引用文献には、実施の形態4としての発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 ア 他の実施の形態の説明の参照について 実施の形態4の説明として「本実施の形態では、実施の形態2で述べた送信装置を、SC伝送を行う送信装置とした場合の具体例について説明する。」([0062])との記載があることから、実施の形態4として特に説明されていない部分については、実施の形態2の説明を参照する。 また、実施の形態2の説明として「本実施の形態の送信装置の構成は、パイロットシンボル生成部9の代わりにパイロットシンボル生成部9aを備える以外は、実施の形態1の図3の例と同様である。」([0039])との記載があることから、実施の形態2として特に説明されていない部分については、実施の形態1の説明を参照する。 イ 誤り訂正符号の付加について 実施の形態4において、「S/P部21は、直列信号である入力信号を並列信号に変換して変調部22へ入力」しており([0064])、「S/P部21」には「入力信号」が入力されていると解される。このことは、図13とも整合し、図13には、入力信号がS/P部21に入力されていることが図示されている。 そして、「S/P部21および変調部22は、実施の形態2のグループ処理部1としての機能を有する」([0064])ものであり、「グループ処理部1には、入力信号として送信信号が入力され」([0014])、「入力信号は誤り訂正符号が付加された信号でも良い」([0014])とされる。 以上を総合すると、実施の形態4として、S/P部21への入力信号は、誤り訂正符号が付加された信号であるものが記載されていると認められる。 ウ 変調部における変調について 実施の形態4において、「S/P部21および変調部22は、実施の形態2のグループ処理部1としての機能を有」し、「実施の形態2では、入力信号が変調信号であるとして説明したが、グループ処理部1で変調を行うようにしてもよい」([0064])とされるから、実施の形態4の入力信号は、変調されておらず、変調部22において変調されるものと解される。 上記のグループ処理部1での変調について、「グループ処理部1には、入力信号として送信信号が入力され」、「入力信号は、例えば、PSKやQAMなどの方式で変調されたデジタル変調信号である」([0014])とされるから、実施の形態4の変調部22が行う変調は、デジタル変調方式であるPSKやQAMなどの方式であると解される。 以上を総合すると、実施の形態4として、変調部22は、入力信号をPSKやQAMなどの方式でデジタル変調するものが記載されていると認められる。 エ 引用発明の認定 前記ア~ウ及び前記(1)の記載によれば、引用文献には次の引用発明が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明を1a~1a’に分説し、「構成1a」のようにして参照する。 1a 通信方法であって、([0012]) 1b 送信装置は、S/P(シリアルパラレル変換)部21と、変調部22と、DFT部(フーリエ変換部)23-1~23-Mと、位相回転部31-1~31-Mと、周波数配置部41と、IDFT部(逆フーリエ変換部)42と、P/S部43と、CP/ZP挿入部44と、送信処理部5と、送信アンテナ6を備え、([0062]) 1c1 S/P部21は、直列信号である入力信号を並列信号に変換して変調部22へ入力し、([0064]) 1c2 S/P部21への入力信号は、誤り訂正符号が付加された信号であり、(前記イ) 1d1 変調部22は、入力信号をデジタル変調して変調データとし、変調データをG(Gは2以上でM以下の整数)個のグループに分割し、分割した変調データ各々異なるDFT部23-1~23-Gへ入力し、([0064]) 1d2 変調部22は、入力信号をPSKやQAMなどの方式でデジタル変調し、(前記ウ) 1e DFT部23-1~23-Gは、各々入力された変調データに対してDFTを施すことによりSC信号を生成し、SC信号を接続する位相回転部31-1~31-Mへ入力し、([0065]) 1f 位相回転部31-1~31-Mにより位相回転が施されたSC信号は、周波数配置部41に入力され、周波数配置部41により周波数上で分散して配置され、IDFT部42へ入力され、([0070]) 1g IDFT部42は、周波数配置部41から入力された周波数領域の信号に対してIDFT処理を実施することにより時間領域の合成信号を生成し、([0070]) 1h 送信処理部5は、合成処理部4により合成された合成信号に対して無線信号として送信するための所定の送信処理を実施して送信信号とし、送信信号を送信アンテナ6から送出する、([0018]) 1a’ 通信方法。 2 本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)発明特定事項1Aについて 発明特定事項1Aは、「方法であって、」というものである。 引用発明の「通信方法」(1a)は、本願発明の「方法」に相当する。 (2)発明特定事項1Bについて 発明特定事項1Bは、「第1のデータストリームを受信することと、」というものである。 引用発明の「S/P部21への入力信号は、誤り訂正符号が付加された信号であ」る(構成1c2)。つまり、「入力信号」は、「誤り訂正符号が付加され」る前の信号(以下「原信号」という。)に「誤り訂正符号」を「付加」することで得られる。 そうすると、引用発明の「通信方法」(構成1a)において使用される「送信装置」(構成1b)が誤り訂正符号を「付加」する構成を備えていることは自明であり、当該構成は、原信号を受信していることは明らかであり、原信号は、誤り訂正符号を付加できるものであるから、一連のデータ、すなわち、データストリームであると解され、これを「第1のデータストリーム」と呼ぶことは任意である。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「第1のデータストリームを受信することと、」を含む点で一致する。 (3)発明特定事項1Cについて 発明特定事項1Cは、「前方誤り訂正コード(FEC)エンコードされたデータストリームを生成するために前記第1のデータストリームを前方誤り訂正コード(FEC)でエンコードすることと、」というものである。 引用発明の原信号が「第1のデータストリーム」に相当することは、前記(2)のとおりである。 引用発明の「入力信号」は、前記(2)によれば、「誤り訂正符号が付加され」る前の原信号に対し、「誤り訂正符号」を「付加」することで得られるものであり、これは誤り訂正符号によるエンコードといえる。 また、送信側で誤り訂正符号化し受信側で復号化することで誤り訂正を行うことを、「前方誤り訂正」と呼ぶことは、技術常識である。 以上を踏まえれば、引用発明の「入力信号」は、本願発明の「前記FECエンコードされたデータストリーム」に相当する。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「前方誤り訂正コード(FEC)エンコードされたデータストリームを生成するために前記第1のデータストリームを前方誤り訂正コード(FEC)でエンコードすることと、」を含む点で一致する。 (4)発明特定事項1Dについて 発明特定事項1Dは、「前記FECエンコードされたデータストリームをシンボルコンステレーションに基づいてシンボルのシリアルデータストリームにマッピングすることと、」というものである。 引用発明の「入力信号」が、本願発明の「前記FECエンコードされたデータストリーム」に相当することは、前記(3)のとおりである。 引用発明の「変調部22」は、「入力信号をPSKやQAMなどの方式でデジタル変調」するもの(構成1d2)であり、その出力は、技術常識によれば、シンボルのシリアルデータ列となるから、「変調部22」の動作は、本願発明の「シンボルコンステレーションに基づいてシンボルのシリアルデータストリームにマッピングすること」に相当する。また、引用発明の「変調部22」の出力は、本願発明の「シンボルのシリアルデータストリーム」に相当する。 一方、引用発明において、「変調部22」に「入力」されるのは、「S/P部21」が「直列信号である入力信号を並列信号に変換し」たもの(構成1c1)であり、これは、「入力信号」そのものではない。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「シンボルコンステレーションに基づいてシンボルのシリアルデータストリームにマッピングすることと、」を含む点で一致する。 一方、「シンボルコンステレーションに基づいてシンボルのシリアルデータストリームにマッピングする」のは、本願発明においては「前記FECエンコードされたデータストリーム」であるのに対し、引用発明においては、「直列信号である入力信号を並列信号に変換し」たものである点で相違する。 (5)発明特定事項1Eについて 発明特定事項1Eは、「前記シンボルのシリアルデータストリームを第1のシンボルのセットと第2のシンボルのセットとを含むパラレルデータストリームに変換することと、」というものである。 引用発明の「変調部22」の出力が、本願発明の「シンボルのシリアルデータストリーム」に相当することは、前記(4)のとおりである。 引用発明において、「変調部22は、入力信号を」「デジタル変調し」(構成1d2)、その出力である「変調データ」を、「G」「個のグループに分割し、分割した変調データ各々異なるDFT部23-1~23-Gへ入力」するもの(構成1d1)である。ここで、「分割」した「変調データ」はシンボルのセットであるのは明らかであり、当該「シンボルのセット」を「第1のシンボルのセット」と呼ぶことは任意であることを踏まえれば、「変調データをG個のグループに分割」したもののうち、「DFT部23-1」へ「入力」されるもの(以下「分割変調データ1」という。)は、本願発明の「第1のシンボルのセット」に相当する。また、同様に、「分割変調データをG個のグループに分割」したもののうち、「DFT部23-2」へ「入力」されるもの(以下「分割変調データ2」という。)は、本願発明の「第2のシンボルのセット」に相当する。 引用発明の「S/P部21は、直列信号である入力信号を並列信号に変換」するもの(構成1c1)であるから、「S/P部21」の動作は、本願発明の「パラレルデータストリームに変換すること」に相当する。 一方、引用発明の「S/P部21」に入力される「入力信号」(構成1c2)は、「変調データ」ではない。また、引用発明の「S/P部21」は、「直列信号である入力信号を並列信号に変換して変調部22へ入力」するもの(構成1c1)であるから、出力されるものは変調されていないものであり、これは、分割変調データ1及び2のいずれとも異なる。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「パラレルデータストリームに変換することと、」を含む点で一致する。 一方、「パラレルデータストリームに変換する」ことについて、本願発明においては「前記シンボルのシリアルデータストリームを第1のシンボルのセットと第2のシンボルのセットとを含むパラレルデータストリームに変換する」ものであるのに対し、引用発明においては、「入力信号としての送信信号」を「直列信号である入力信号を並列信号に変換」するものである点で相違する。 (6)発明特定事項1Fについて 発明特定事項1Fは、「第1の離散フーリエ変換(DFT)回路によって、前記第1のシンボルのセットを第1の周波数領域信号に変換することと、」というものである。 引用発明の分割変調データ1が、本願発明の「第1のシンボルのセット」に相当することは、前記(5)のとおりである。 一般に離散フーリエ変換は電子回路で具現化されるから、引用発明の「DFT部23-1」は、離散フーリエ変換(DFT)回路であると解され、当該回路を「第1の離散フーリエ変換(DFT)回路」と呼ぶことは任意である。よって、引用発明の「DFT部23-1」は、本願発明の「第1の離散フーリエ変換(DFT)回路」に相当する。 引用発明の「DFT部23-1」は、「DFT部23-1」へ「入力」されるものである分割変調データ1(前記(5))「に対してDFTを施すことによりSC信号を生成」するもの(構成1e)であり、ここで、離散フーリエ変換が離散時間信号を周波数領域へ離散的に変換するものであることは技術常識であるから、生成されたSC信号は分割変調データ1を周波数領域信号に変換したものであることは明らかである。そして、当該周波数領域信号を「第1の周波数領域信号」と呼ぶことは任意であることを踏まえれば、前記SC信号(以下「SC信号1」という。)は、本願発明の「第1の周波数領域信号」に相当する。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「第1の離散フーリエ変換(DFT)回路によって、前記第1のシンボルのセットを第1の周波数領域信号に変換することと、」を含む点で一致する。 (7)発明特定事項1Gについて 発明特定事項1Gは、「サブキャリアマッピング回路によって、前記第1の周波数領域信号をそれぞれの第1のサブキャリアにマッピングすることと、」というものである。 引用発明のSC信号1が、本願発明の「第1の周波数領域信号」に相当することは、前記(6)のとおりである。 引用発明の「周波数配置部41」は、「位相回転部31-1~31-Mにより位相回転が施されたSC信号」が「入力され、」「周波数上で分散して配置」するもの(構成1f)であるから、SC信号が「分散して配置」された「周波数」は、SC信号1を搬送する搬送波すなわちキャリアに相当し、当該キャリアを「第1のキャリア」と呼ぶことは任意であり、「周波数配置部41」は、SC信号1を第1のキャリアにマッピングするものと解される。 ゆえに、引用発明の「周波数配置部41」と本願発明の「サブキャリアマッピング回路」は、キャリアにマッピングをするものであるキャリアマッピング回路であるという点で共通し、本願発明と引用発明とは、いずれもキャリアマッピング回路「によって、前記第1の周波数領域信号をそれぞれの第1の」「キャリアにマッピングすることと、」を含む点で一致する。 一方、キャリアマッピング回路について、本願発明においてこれは「サブキャリアマッピング回路」であり、またマッピングする先は「第1のサブキャリア」であるのに対し、引用発明においてこれは「サブキャリアマッピング回路」であるとは特定されず、またマッピングする先の「第1のキャリア」が「第1のサブキャリア」とも特定されない点で相違する。 (8)発明特定事項1Hについて 発明特定事項1Hは、「第2のDFT回路によって、前記第2のシンボルのセットを第2の周波数領域信号に変換することと、」というものである。 引用発明の分割変調データ2が、本願発明の「第2のシンボルのセット」に相当することは、前記(5)のとおりである。 引用発明の「DFT部23-2」は、離散フーリエ変換(DFT)を回路で行うこと、また「DFT回路」を「第2のDFT回路」と呼ぶことは任意であることも踏まえれば、本願発明の「第2のDFT回路」に相当する。 また、前記(6)のSC信号1同様の検討により、分割変調データ2(前記(5))「に対してDFTを施すことにより」「生成」された「SC信号」(構成1e)(以下「SC信号2」という。)は、本願発明の「第2の周波数領域信号」に相当する。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「第2のDFT回路によって、前記第2のシンボルのセットを第2の周波数領域信号に変換することと、」を含む点で一致する。 (9)発明特定事項1Iについて 発明特定事項1Iは、「前記サブキャリアマッピング回路により、前記第2の周波数領域信号をそれぞれの第2のサブキャリアにマッピングすることと、」というものである。 引用発明の「周波数配置部41」と本願発明の「サブキャリアマッピング回路」が、キャリアにマッピングをするものであるキャリアマッピング回路であるという点で共通していることは、前記(7)のとおりである。 そして、引用発明において、SC信号2(前記(8))は、「位相回転部31-2」「により位相回転が施され」、「周波数配置部41に入力され、周波数配置部41により周波数上で分散して配置され」るもの(構成1f)であるから、キャリアにマッピングされており、当該キャリアを「第2のキャリア」と呼ぶことは任意である。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれもキャリアマッピング回路「により、前記第2の周波数領域信号をそれぞれの第2の」「キャリアにマッピングすることと、」を含む点で一致する。 一方、キャリアマッピング回路について、本願発明においてこれは「サブキャリアマッピング回路」であり、またマッピングする先は「第2のサブキャリア」であるのに対し、引用発明においてこれは「サブキャリアマッピング回路」であるとは特定されず、またマッピングする先の「第2のキャリア」が「第2のサブキャリア」とも特定されない点で相違する。 (10)発明特定事項1Jについて 発明特定事項1Jは、「単一の逆離散フーリエ変換(IDFT)回路によって、前記それぞれの第1のサブキャリアと前記第2のサブキャリアとを時間領域信号に変換することと、」というものである。 引用発明において、SC信号1が「マッピング」された「第1のキャリア」が、本願発明の「第1の」「キャリア」に相当することは、前記(7)のとおりである。 引用発明において、SC信号2が「マッピング」された「第2のキャリア」が、本願発明の「第2の」「キャリア」に相当することは、前記(9)のとおりである。 引用発明の「IDFT部42」(構成1g)は、一般にIDFTが回路で具現化されることを踏まえれば、本願発明の「単一の逆離散フーリエ変換(IDFT)回路」に相当する。 引用発明の「時間領域の合成信号」(構成1g)は、本願発明の「時間領域信号」に相当する。 引用発明の「IDFT部42は、周波数配置部41から入力された周波数領域の信号に対してIDFT処理を実施することにより時間領域の合成信号を生成」するもの(構成1g)であり、ここで「IDFT部42」に「入力され」る「周波数配置部41により周波数上で分散して配置され」た「SC信号」(構成1f)とは、前記(7)及び前記(9)を踏まえれば、第1及び第2のキャリアそれぞれにマッピングされたSC信号1及び2を含むものである。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「単一の逆離散フーリエ変換(IDFT)回路によって、前記それぞれの第1の」「キャリアと前記第2の」「キャリアとを時間領域信号に変換することと、」を含む点で一致する。 なお、「第1のキャリア」及び「第2のキャリア」が、それぞれ、本願発明においては「第1のサブキャリア」及び「第2のサブキャリア」であるのに対し、引用発明においてはそのように特定されない点で相違することは、前記(7)及び前記(9)のとおりである。 (11)発明特定事項1Kについて 発明特定事項1Kは、「前記時間領域信号を送信することと、」というものである。 引用発明の「時間領域の合成信号」(構成1g)が、本願発明「時間領域信号」に相当するは、前記(10)のとおりである。 引用発明において「送信処理部5」は、「合成信号に対して無線信号として送信するための所定の送信処理を実施して送信信号とし、送信信号を送信アンテナ6から送出する」もの(構成1h)である。 よって、本願発明と引用発明とは、いずれも「前記時間領域信号を送信することと、」を含む点で一致する。 (12)発明特定事項1A’について 発明特定事項1A’は、「を含む、方法。」というものであり、発明特定事項1Aの「方法」が発明特定事項1B~1Kを含むことを特定するものである。 そして、発明特定事項1A~1Kについて、上述のとおりである。 (13)一致点及び相違点について 前記(1)~(12)によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。 ア 一致点 方法であって、 第1のデータストリームを受信することと、 前方誤り訂正コード(FEC)エンコードされたデータストリームを生成するために前記第1のデータストリームを前方誤り訂正コード(FEC)でエンコードすることと、 シンボルコンステレーションに基づいてシンボルのシリアルデータストリームにマッピングすることと、 パラレルデータストリームに変換することと、 第1の離散フーリエ変換(DFT)回路によって、第1のシンボルのセットを第1の周波数領域信号に変換することと、 キャリアマッピング回路によって、前記第1の周波数領域信号をそれぞれの第1のキャリアにマッピングすることと、 第2のDFT回路によって、第2のシンボルのセットを第2の周波数領域信号に変換することと、 前記キャリアマッピング回路により、前記第2の周波数領域信号をそれぞれの第2のキャリアにマッピングすることと、 単一の逆離散フーリエ変換(IDFT)回路によって、前記それぞれの第1のキャリアと前記第2のキャリアとを時間領域信号に変換することと、 前記時間領域信号を送信することと、 を含む、方法。 イ 相違点1 本願発明では、「前記FECエンコードされたデータストリーム」を「シンボルコンステレーションに基づいてシンボルのシリアルデータストリームにマッピング」し、また「前記シンボルのシリアルデータストリームを第1のシンボルのセットと第2のシンボルのセットとを含むパラレルデータストリームに変換する」のに対し、引用発明においては、「入力信号としての送信信号」を「直列信号である入力信号を並列信号に変換」し、また、「直列信号である入力信号を並列信号に変換し」たものを「変調部22」に入力している点。(発明特定事項1D及び1E) ウ 相違点2 キャリアマッピング回路について、本願発明においてこれは「サブキャリアマッピング回路」であり、またマッピングする先は「第1のサブキャリア」及び「第2のサブキャリア」であるのに対し、引用発明においていずれの構成においてもその旨特定されない点。(発明特定事項1G、1I及び1J) 3 相違点についての判断 前記2(13)イ及びウに示した相違点について、それぞれ検討する。 (1)相違点1(前記2(13)イ)について 引用文献における実施の形態4の説明に「実施の形態2では、入力信号が変調信号であるとして説明したが、本実施の形態のように、グループ処理部1で変調を行うようにしてもよい。」([0064])と記載されていることから、実施の形態4においても、実施の形態2のように入力信号が変調信号であるようにすることも想定され、許容されていると解される。よって、引用発明で変調を行う「変調部22」をグループ処理部1(「S/P部21および変調部22」([0064]))から外し、グループ処理部1の前に配置すること、すなわち、「S/P部21」での処理と「変調部22」での処理との順序を入れ替えることは、引用文献に示唆されている。 加えて、無線通信の送信装置が送信信号を生成するに際し、送信データに対して誤り訂正などと符号化を行ったものに対して変調部にて変調を行い、そしてS/P変換部にてシリアル信号からパラレル信号に変換し、このパラレル信号をDFT部に入力するような順番にてデータ処理を行う態様は周知(必要であれば、原査定で提示された周知文献である国際公開第2010/016507号の図1(a)、原査定で提示された周知文献である国際公開第2009/104679号の図1及び段落[0050]、及び、原査定で提示された周知文献である特開2011-259108号公報の図2及び7及び段落【0029】を参照。)である。 よって、引用発明においても、データ処理の順番を変更し、「誤り訂正符号が付加された」「信号」(構成1c2)に対し「変調部22」にて「デジタル変調し」(構成1d2)、「S/P部21」にて「直列信号である入力信号を並列信号に変換し」(構成1c1)、この「並列信号」を「DFT部23-1~23-G」に入力する(構成1d1)ように構成することは当業者が適宜なし得たことである。 よって、相違点1は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。 (2)相違点2(前記2(13)ウ)について 引用発明は、前記2(7)のとおり、SC信号1は第1のキャリアにマッピングされ、前記2(9)のとおり、SC信号2は第2のキャリアにマッピングされ、前記2(10)のとおり、「IDFT部42」は第1及び第2のキャリアそれぞれにマッピングされたSC信号1及び2を含む「信号に対してIDFT処理を実施することにより時間領域の合成信号を生成」するもの(構成1g)である。 加えて、引用発明では、「送信処理部5」において「合成処理部4により合成された合成信号に対して無線信号として送信するための所定の送信処理を実施して送信信号とし、送信信号を送信アンテナ6から送出する」もの(構成1h)であるから、合成信号を無線信号とするために、合成信号によって無線周波数帯のキャリア(以下「無線キャリア」という。)を変調していると解される。 そうすると、引用発明の「SC信号1」がマッピングされた「第1のキャリア」と、「SC信号2」がマッピングされた「第2のキャリア」との双方は、無線キャリアが変調された信号内に含まれることになるから、無線キャリア帯には、第1及び第2のキャリアが含まれる。よって、第1及び第2のキャリアは、無線キャリアの下位のキャリアであるという意味で、サブキャリアであるといえる。 よって、相違点2は、実質的な相違点ではない。 4 効果についての判断 本願発明の効果は、引用発明及び周知技術と比して、格別のものとは認められない。 5 審判請求人の主張 審判請求書での審判請求人の主張は以下(1)のとおりであり、それに対する当審の判断は以下(2)のとおりである。 (1)審判請求人の主張(審判請求書の3頁目29行目~4頁目9行目) 引用文献に記載された発明においては、信号のシリアル・パラレル変換(図13のS/P部21)の後にパラレル信号に対して変調(図13の変調部22)がなされており、引用文献に開示されている変調部はパラレル信号を対象とするもののみであって、シリアル信号に対する変調については何ら教示、示唆されていない。原査定での指摘のように、引用発明において、S/P変換とマッピング(変調)との順番を入れ替えると、パラレル信号を対象とする変調部においてシリアル信号を対象とする変調を行う必要が生じ、引用発明は動作し得ないことになる。すなわち、引用発明において、S/P変換とマッピング(変調)との順番を入れ替えることはあり得ない。 (2)当審の判断 前記3(1)のとおり、各構成への入出力データを相応なものとしつつ、S/P変換とマッピング(変調)との順番を入れ替えること、すなわち、「誤り訂正符号が付加された」「信号」(構成1c2)に対し「変調部22」にて「デジタル変調して変調データとし」(構成1d)、「S/P部21」にて「直列信号である入力信号を並列信号に変換」(構成1c1)するようにすることは、引用文献に示唆されていることであり、当業者が適宜なし得たことである。 よって、審判請求人の主張は、採用することができない。 6 小括 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-000098

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