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意匠拒絶査定不服審判

2021-013390

オフィスの執務室の内装

審判番号
2021-013390
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2020-007144外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1731119
請求日
2021年10月04日
審決日
2022年09月28日
公報発行日
2025年12月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .121-WY (L3-7)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第2項、意匠法第8条の2、意匠法第4条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2020- 7144「オフィスの執務室の内装」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 事案の概要

1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和2年(2020年)4月3日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和3年(2021年) 3月19日付け:拒絶理由通知の送付

同 年 4月20日 :原審審査官との面接(1回目)

同 年 5月 6日 :意見書の提出

同 年 6月 2日 :原審審査官との面接(2回目)

同 年 6月25日付け:拒絶査定

同 年 10月 4日 :審判請求書の提出

令和4年(2022年) 8月 5日 :当審合議体との面接

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載

本願の意匠(本願意匠)は、意匠法第8条の2で規定される店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下、「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾」を「内装」という。)を構成する物品又は建築物に係る意匠であって、その意匠登録出願人を「コクヨ株式会社」とし、その意匠に係る物品を「オフィスの執務室の内装」とし、その内装を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において、内装を構成する物品又は建築物の部分(以下「内装を構成する物品又は建築物の部分」を「内装の部分」という。)について意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線であらわした部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「本願意匠はオフィスの執務室の内装の意匠であって、特徴が異なる3種の座席エリアを矩形状の空間内に平行かつ所定の間隔を空けて配したものですが、本願意匠のように特徴が異なる複数の座席エリアを並列的に配置するレイアウトは、本願出願前から既に行われている極めて一般的なものと認められます(一例として下記の意匠1)。
また、本願意匠の3種の座席エリアの具体的な構成態様は以下のとおりであり、いずれの態様も本願出願前に公然知られています。
(1)凹状空間に設けられたカフェテーブル席
壁面側のベンチシートに沿って等間隔に配した複数のカフェテーブルにそれぞれチェアを配した座席エリアの態様は、下記の意匠2において公然知られています。
続きを表示(全62行)
なお、本願意匠と同様に四角形状のテーブルにウィンザー調のチェアを配した態様も、下記の意匠3において公然知られています。
(2)長方形の長テーブル席
シェルサイド調のチェアをテーブルの長辺に沿って等間隔に4脚ずつ配した座席エリアの態様は、下記の意匠4において公然知られています。
(3)ボックス状のベンチシート席
長手方向に形成されるプランター状の背当て部を隔てて片側3席ずつ、着席者の頭がやや上方に出る程度の高さで囲ったボックス状座席エリアの態様は、下記の意匠5において公然知られています。
なお、座席ごとに仕切り板を設けることは、例を挙げるまでもなく本願出願前から一般的に行われているものであり、着席者の頭がやや上方に出る程度の高さで囲うという特徴を踏襲した中での軽微な変更と認められます。
以上を踏まえると、本願意匠はいずれも本願出願前に公然知られた(1)~(3)の態様を有する座席エリアの形状を元に、一部軽微な変更を加え、それらをごく普通のレイアウト手法に従って組み合わせて配置したものであり、内装全体としての美感に着想の新しさや独創性も見いだすことができないため、当業者であれば、容易に創作できたものと判断されます。
記
【意匠1】(当審注:別紙第2参照)
著者の氏名 野村不動産株式会社
表題 H1T(エイチワンティー)野村不動産のサテライトオフィス
掲載箇所 以下URLのページ内
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2020年2月25日
検索日 2021年3月2日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://www.facebook.com/h1t.nomura.jp/photos/a.119551746097443/204338030952147/?type=3&theater
に掲載されたオフィスの内装の意匠
【意匠2】(当審注:別紙第3参照)
著者の氏名 モノがたり
表題 WeWorkで快適なワークライフを体験してきた。
掲載箇所 以下URLのページ内
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2019年3月30日
検索日 2021年3月10日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://monogatari-story.com/work/wework/
に掲載されたオフィスの内装の意匠
【意匠3】(当審注:別紙第4参照)
著者の氏名 志師塾チャンネル【先生ビジネス成功法則】
表題 知恵の場オフィス180秒動画 - YouTube
掲載箇所 以下URLのページ内
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2018年11月9日
検索日 2021年3月8日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://www.youtube.com/watch?v=TF64nd7xqyI&list=TLGGiPUuVbFtpCIwODAzMjAyMQ&t=40s
に掲載された動画中、0:39秒付近及び0:43秒付近に表されたオフィスの内装の意匠
【意匠4】(当審注:別紙第5参照)
著者の氏名 Coworking DB編集部
表題 BIZcomfort(ビズコンフォート)大森山王に突撃取材!趣味も楽しめる大型コワーキングスペース
掲載箇所 以下URLのページ内
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2019年6月5日
検索日 2021年3月2日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://coworking-db.com/bizcomfort-oomori-interview/
に掲載されたオフィスの内装の意匠
【意匠5】(当審注:別紙第6参照)
著者の氏名 みんなの仕事場(アスクル株式会社)
表題 [Socialize(付き合い)、Collaborate(協同作業)、Focus(集中作業)、Learn(学び教える)]それぞれに適した環境が用意された日本ヒューレット・パッカード株式会社の本社オフィス!【後編】(オフィス訪問[2])
掲載箇所 以下URLのページ内
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2018年3月6日
検索日 2021年3月8日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://www.shigotoba.net/hpe_1708_2_kouhen.html
に掲載されたオフィスの内装の意匠」

第2 請求人の主張

折りたたみ中(クリックで表示)

請求人は、令和3年(2021年)10月4日提出の審判請求書において、要旨以下のとおり主張した。

1 本願意匠のデザインコンセプト

働き方が多様になった現代社会において、いわゆるコワーキングスペースと称されるオフィスが浸透するに従い、多様な使い勝手や、多岐にわたる使用者の要望等に即した種々のオフィス空間が提供、創作されている。

また、この種のオフィス空間における家具の配置は、上記した使い勝手や、開放感や集中できそうな雰囲気等、使用感に直結するものであることから、前記家具の配置や間隔は、空間の形成に極めて大きな影響を与えている。

本願意匠の創作者は、集中できるコワーキングスペースにおいて、「まわりとの距離を適度に保った広々と気持ちのいいオープンエリアを設け」ることを重要なコンセプトの一つとする本願意匠を創作したものである。

2 本願意匠について

本願意匠は、意匠に係る物品を「オフィスの執務室の内装」とするもので、特徴が異なる3種の座席エリアを矩形状の空間内に所定の間隔を設けて、並列的に配置したものである。

なお、上記「所定の間隔」とは、それぞれの座席に人が座った状態において、各座席エリアの間を、人ひとりが通れる程度の間隔である点に本願意匠の最大の創作ポイントがある。

3 引用意匠について

審査官は、拒絶理由通知書において、本願意匠のような特徴の異なる座席エリアを並列的に配置するレイアウトの一例として、意匠1を提示され、また、本願意匠の各座席エリアの具体的な構成態様については、公然知られた形状を元に、一部軽微な変更を加えたに過ぎないものであり、これらによって本願意匠は容易に創作できたものと判断している。

特に、本願意匠の各座席エリアの配置間隔については、意匠1を例として、普通のレイアウト手法に従って組み合わせて配置したものと判断している。

しかしながら、意匠1は、「3種の座席エリアが並列的に配置されている」という概念的な構成のみを本願意匠と共通にするものであり、その具体的な構成態様(配置間隔)は、手前側の座席エリアとその隣の中央の座席エリアの間隔については、使用時において人が十分にすれ違うことができる、ゆったりとした間隔に構成され、また、中央の座席エリアと奥側の座席エリアとの間隔は、意匠1の写真からは定かではないが、人ひとりが通過することがやや難しい、狭い間隔に構成されているように見受けられる。

これに対し、本願意匠は、上記した本願独自のコンセプトに基づいて各座席エリアを配置したものであり、決して「普通のレイアウト手法に従って組み合わせて配置した」ものではない。

4 本願意匠の創作性について

本願意匠に係るコワーキングスペースは、先に述べたように、まわりとの距離を適度に保った広々と気持ちのいいオープンエリアを設けることを重要なコンセプトの一つとするもので、それほど広くない、限られた空間において、いかに前記オープンエリアを効率よく設けるかに主眼を置き、工夫を凝らして創作したものである。

すなわち、本願意匠の3種の座席エリアは、略均等な間隔で配置され、また、それぞれの座席エリアは、人ひとりが通れる程度の間隔に配置され、これにより、各座席エリアは、独立しているものの、離れ過ぎてはおらず、まさに、「まわりとの間隔を適度に保った広々と気持ちのいい」、絶妙な間隔に配置されたものである。

これに対し、意匠1は、手前側の座席エリアは中央の座席エリアから完全に離れており、個別の座席エリアであることが一目瞭然である一方で、中央の座席エリアと奥側の座席エリアは接近しており、これらがひとまとまりのエリアであるかのようにも見受けられる配置とされているものである。

これにより、意匠1は、手前側の座席エリアと中央の座席エリアの間隔においては、ゆったりとした空間が形成されているのに対し、中央と奥側の座席エリアの間隔においては、密集した空間が形成されているため、本願意匠のような均等でいて、かつ、まわりとの間隔を適度に保ったものとは到底いえず、本願意匠は独自の構成を備えたものであるため、本願意匠とはまったく異なる意匠的効果を奏する意匠1から、本願意匠を創作することは、「普通のレイアウト手法に従って組み合わせて配置した」ものでないことは明らかである。

なお、この種内装の意匠において、レイアウトを変更したり組み合わせたりすることは、ある程度はありふれた手法である可能性はあるものの、その変更や組み合わせの度合いによっては、空間そのものの使い勝手やコンセプトが大きく変容するため、物品や画像の創作性の判断と同様に、それぞれの使い勝手(使用態様)や用途や、それに基づく構成態様の独自性(創作性)を重視すべきである。

特許庁のこれまでの物品や画像(物品に表示される画像を含む)の審査においても、配置の間隔の変更や組み合わせにおいて、仮に公知の形態等が見られたとしても、その組合せは千差万別で多岐にわたることから、それらの中から任意の組み合わせとすることが、一律に創作容易と判断していない審査実務に鑑みれば、内装の意匠に関して、殊更に組み合わせや配置の変更の度合いが大きいものについて、創作容易と判断することは妥当ではない。

これまで述べてきたように、本願意匠の創作者は、確固たる本願意匠のデザインコンセプトを念頭に置き、その配置によって需要者に与える印象や空間の意匠的効果について考慮して、検討に検討を重ねて本願意匠を創作したものであることから、引用意匠に接した当業者が、容易に本願意匠を創作できることはあり得ない。

以上のように、本願意匠は、特徴的な着想により、極めて斬新で独創的な空間デザイン思想によって創作されたものであることから、本願意匠の斬新さ、創作性は高く評価されるべきものであり、本願意匠は当業者が容易に創作できたものではない。

5 拒絶査定に対する反論

審査官は、拒絶査定において、出願人の上記主張に対し、本願意匠と同程度の間隔をもって均等かつ並列的に配置したものとして、意匠4と共に、新たに参考意匠を示し、本願意匠の座席エリアの配置態様に格別の創意を見いだすことができないと判断している。

しかしながら、意匠4は、長方形天板からなる2つの座席エリアの配置があらわされたものに過ぎず、また、参考意匠は、大きな長方形天板を備えた同じテーブルが、本願意匠に比して狭い間隔で配置されてなるものであることから、これらを根拠に、本願意匠の創作性を否定することには相当無理がある。

なぜなら、本願意匠は、「周りとの距離を適度に保った広々と気持ちのいいオープンエリア」をコンセプトとし、かつ、特徴が異なる3種の座席エリアが配置された点に特徴があるもので、そうすると、意匠4は同じタイプの座席が配置されたものであることから、それぞれのエリアにおける使い勝手も当然に相違するもので、また、参考意匠に至っては、同じタイプのテーブルを、やや狭い間隔で空間に配置してなるものであることから、本願意匠の上記コンセプトからは全くかけ離れたレイアウトであるため、これらに接した当業者が、本願意匠の配置を容易に創作できることはあり得ない。

本願意匠は、平面図上方にあらわされた座席エリアが、全体をパネルで囲まれ、壁際をソファとした、リラックスするのに適したラウンジ風に構成され、中央部分に、長方形状の大型テーブルを配置し、集合ミーティング等が可能な、コミュニケーションエリアとして構成され、平面図下方は、植栽等を設置できるボックス体を挟んで、背中合わせに、単独で業務に集中でき、かつ、ソファ席とすることで、疲れにくいように配慮されたエリアとして構成されたものである。

本願意匠は、上記のように、「リラックス」、「ミーティング」、「集中」という、業務を行う上で重要な要素を過不足なく盛り込みつつ、各エリアを適度な間隔に配置することで、3種のエリアが、それぞれ干渉し過ぎることなく、また、リラックスエリアと、「集中」エリアを離して配置することで、より集中したい利用者が集中しやすい環境を提供する等、それぞれのエリアの特徴(目的)に応じて、利用者が、どのエリアを使用するかを選択できる、空間の使い勝手を追求した、極めて特徴的なものである。

また、リラックスエリアと集中エリアが、それぞれパネルで囲われてなる構成からなることで区画感を創出しているのと対照的に、両エリアに挟まれたミーティングエリアの開放感が極めて際立つ結果となることからも、本願意匠における、それぞれの座席エリアの配置の創作性は高く評価されるべきものである。

そうすると、意匠4や参考意匠のように、同じタイプの座席エリアを配置したに過ぎないレイアウトをもって、本願意匠の創作性を否定することは、レイアウトの用途や創作の手法、さらには使い勝手をも無視した、極めて強引な判断である。

6 むすび

以上より、本願意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたものとは言えず、意匠法第3条第2項の規定に該当しない。

第3 当審の判断

本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について、すなわち、本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて、以下検討し、判断する。

1 本願意匠の認定

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は、例えば、個別の業務や打合せ、休憩等に使用することができる「オフィスの執務室の内装」である。

(2)本願部分の用途及び機能

本願部分の用途及び機能は、オフィスの執務室の内装として用いられるものであり、テーブル及び椅子等の什器からなる部分(以下「座席エリア」という。)を3種類設けることで、使用目的に応じて個別の業務、打合せ、及び休憩等に使用することができる機能を有するものである。

(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲

本願部分の位置、大きさ及び範囲は、略直方体形状の空間内の、意匠登録を受けようとする部分ではない天井、床及び壁面内側に配設された什器等を除いた空間内の略中央部分に位置し、平面視における面積が当該空間全体の約42%を占める大きさ及び範囲とするものである。

(4)本願部分の形状等

ア 本願部分全体の配置態様を、平面視において、上方の壁面に接して主に休憩に使用する座席エリア(以下「休憩エリア」という。)を設け、間隔をあけて主に打合せに使用する座席エリア(以下「会議エリア」という。)を設け、さらに間隔をあけて個別の業務に使用する座席エリア(以下「業務エリア」という。)を設けたものであって、各座席エリアを平面視横向きで平行となるように配置したものである。

イ 休憩エリアの形状等を、内側に突出した板状体の上方角部に略L字状の切り欠き部を形成した、天井まで届く平面視略横コの字状の仕切り板を壁面に沿って設け、その仕切り板で囲まれた内側下方部分に、平面視横長長方形状のベンチシートを設け、このベンチシートに相対して、天板が長方形板状のカフェテーブル及びウィンザーチェアを、間隔をあけて4対配したものである。

ウ 会議エリアの形状等を、その縦横比が約1:4の天板からなる略長方形板状の長テーブルを設け、その長テーブルの長手方向にシェルサイドチェアを4脚ずつ等間隔に配したものである。

エ 業務エリアの形状等を、その上面部分に平面視略横長長方形状の凹部を形成した、休憩エリアの仕切り板の約半分の高さ程の略横長直方体状の背もたれとして使用される部分を、その両端部分及び内側部分に設けた4つの略横長長方形板状体で分割して6つの区画を設けたものであって、各区画の略横長直方体状の部分にはベンチシートを設け、この各ベンチシートに相対して天板が長方形状のカフェテーブルを1つずつ配設したものである。

2 原査定の拒絶の理由における引用意匠の認定

原査定の拒絶の理由で引用された、【意匠1】ないし【意匠5】の意匠に係る物品及びその形状等は、概要以下のとおりである。

以下、対比のため、本願意匠の図面における正面、平面等の向きを、意匠1ないし意匠5にもあてはめて以下記載する。

(1)意匠1(別紙第2参照)

意匠1は、2020年2月25日に、URLをhttps://www.facebook.com/h1t.nomura.jp/photos/a.119551746097443/204338030952147/?type=3&theaterとするWebページ内に掲載された「オフィスの内装」の意匠であって、その形状等は以下のとおりである。

全体の配置態様を、左手前部分から右奥部分にかけて、4つの丸テーブル及び4つの丸椅子並びに上面部に凹部を形成したベンチシートが配設されたボックス状部分を配した休憩に使用すると認められる座席エリア、間隔をあけて天板が略長方形状で両端部に脚部を形成した長テーブル及び8つのイームズチェアを配した打合せに使用すると認められる座席エリア、及び間隔をあけて横長長方形板状体に天板が略長方形状で両端部に脚部を形成した長テーブル及び3つのパイプフレーム椅子を配した個別の業務に使用すると認められる座席エリアを、各エリアが同じ向きで平行となるように配置したものである。

(2)意匠2(別紙第3参照)

意匠2は、2019年3月30日に、URLをhttps://monogatari-story.com/work/wework/とするWebページ内に掲載された「オフィスの内装」の意匠であって、その形状等は以下のとおりである。

右手奥の部分の形状等を、その上面部分に平面視略横コの字状の仕切り板を設け、その仕切り板で囲まれた内側下方部分に、平面視横長長方形状のベンチシートを設け、各ベンチシートに相対して、天板が円形板状のカフェテーブル及び椅子を4対配したものである。

(3)意匠3(別紙第4参照)

意匠3は、2018年11月9日に、URLをhttps://www.youtube.com/watch?v=TF64nd7xqyI&list=TLGGiPUuVbFtpCIwODAzMjAyMQ&t=40sとするWebページ内の動画に現された「オフィスの内装」の意匠であって、その形状等は以下のとおりである。

テーブル及び椅子の形状等を、壁目に設けたベンチシートに相対して、天板が長方形板状のカフェテーブル及びウィンザーチェアを4対並べて配したものである。

(4)意匠4(別紙第5参照)

意匠4は、2019年6月5日に、URLをhttps://coworking-db.com/bizcomfort-oomori-interview/とするWebページ内に掲載された「オフィスの内装」の意匠であって、その形状等は以下のとおりである。

テーブル及び椅子の形状等を、天板が略長方形板状の長テーブルの長手方向に、シェルサイドチェアを4脚ずつ等間隔に配したものである。

(5)意匠5(別紙第6参照)

意匠5は、2018年3月6日に、URLをhttps://www.shigotoba.net/hpe_1708_2_kouhen.htmlとするWebページ内に掲載された「オフィスの内装」の意匠であって、その形状等は以下のとおりである。

座席エリアの形状等を、その上面部分に凹部を形成し、その両端部分に略長方形板状の側面板を設けた、背もたれとして使用される略横長直方体状の両側面部分に、略長方形板状のベンチシートを設け、それに相対して天板が長方形板状のカフェテーブルを片側に3卓、椅子を片側に6脚配設したものである。

3 本願意匠の創作容易性の判断

(1)意匠法第3条第2項の判断手法について

意匠法第3条第2項の規定は、意匠登録出願前に当業者が、日本国内又は外国において公然知られた形状等に基づいて容易に創作をすることができた意匠である場合には、その意匠については、排他独占的な権利を与えるべき意匠の創作的な価値を見出せないのであるから、登録できないとするものである。

すなわち、意匠法第3条第2項の規定は、先行する意匠を全体として直接的に対比することに止まらず、その先行する意匠を構成する各部位の形状等を構成要素として抽出したり、物品を離れた形状等そのものをモチーフとして判断のための材料として使用したりして、出願された意匠が、それら先行する形状等に基づいて容易に創作することができたものか否かを、当業者が行う意匠の創作という観点から判断するものである。

(2)本願意匠に対する意匠法第3条第2項の適用

本願意匠の当業者とは、内装についての設計及び施工を行う建築士やインテリアデザイナー等の空間デザインについての専門家であるといえる。

したがって、内装部分のデザインについての通常の知識を有する上記当業者が本願部分の創作を行うという観点から、本願意匠の創作容易性について以下考察することとする。

ア 本願部分全体の配置態様について

まず、本願部分全体の配置態様を、1つの空間内に使用目的等が異なる3つの座席エリア(休憩エリア、会議エリア、業務エリア)を、間隔をあけて設けた点については、本願意匠に係る「オフィスの執務室の内装」の分野において、1つの空間に休憩エリア、会議エリア及び業務エリアを設けたレンタルオフィスやコワーキングスペースがごく普通に見られるものであるから、この種内装の分野において着想の新しさないし独創性があるとはいえず、3種の座席エリアを平面視横向きで平行となるように配置した点についても、意匠1にあるように本願意匠の出願前に公然知られたものであるから、本願部分の形状等には着想の新しさないし独創性があるとはいえず、当業者が意匠1に接すれば容易になし得るものである。

なお、請求人は、令和3年10月4日提出の審判請求書において、「意匠1は、手前側の座席エリアと中央の座席エリアの間隔においては、ゆったりとした空間が形成されてなるのに対し、中央と奥側の座席エリアの間隔においては、密集した空間が形成されてなるため、本願意匠のような均等でいて、かつ、まわりとの間隔を適度に保ったものとは到底いえず、本願意匠は独自の構成を備えたものであるため、本願意匠とはまったく異なる意匠的効果を奏する意匠1から、本願意匠を創作することは、「普通のレイアウト手法に従って組み合わせて配置した」ものでないことは明らかである」と主張しているが、請求人の主張するような、各座席エリアの間隔を均等に配した配置態様には特段特徴がなく、まわりとの間隔を適度に保ったものとすることも内装部分のデザインについての通常の知識を有する当業者であれば容易になし得るものであるから、本願部分についてのこの請求人の主張は、採用することはできない。

イ 休憩エリアの形状等について

本願部分の休憩エリアの形状等については、天井まで届く平面視略横コの字状の仕切り板を壁面に沿って設け、その仕切り板で囲まれた内側下方部分に、平面視横長長方形状のベンチシートを設けた点は、内側に突出した板状体の切り欠き部や天井部分の形状等に僅かな相違はあるものの、当業者が意匠2に接すれば容易になし得るものであり、ベンチシートに相対して配置する什器を、天板が長方形板状のカフェテーブルやウィンザーチェアとした点も、意匠3にあるように本願意匠の出願前に公然知られたものであるから、これら休憩エリアの形状等には着想の新しさないし独創性があるとはいえず、当業者が意匠2及び3に接すれば容易になし得るものである。

ウ 会議エリアの形状等について

本願部分の会議エリアの形状等については、長テーブルの天板中央部分に僅かな相違があるものの、意匠4にあるように本願意匠の出願前に公然知られたものであるから、該部位の形状等には着想の新しさないし独創性があるとはいえず、当業者が意匠4に接すれば容易になし得るものである。

エ 業務エリアの形状等について

本願部分の業務エリアの形状等については、その上面部分に平面視略横長長方形状の凹部を形成し、両端部分に略横長長方形板状体を形成した、背もたれとして使用される部分の長手方向の両側面部分に、ベンチシートを設けたものは、意匠5において既に見られるものであるが、座席ごとに仕切り板を設けることは本願出願前から一般的に行われているものであるとしても、個別の業務に使用する座席エリアの背もたれとして使用される部分を、壁のような略横長長方形板状体で分割して6つのブースのような区画を設けた点は、公知意匠には見られない本願部分独自の形状等であるから、公然知られた意匠をありふれた手法を用いて僅かに改変した程度のものとはいえず、当業者が意匠5に接したとしても容易になし得るものではない。

オ 小括

そうすると、本願部分全体の配置態様や休息エリア及び会議エリアの形状等は、特段特徴のないものであって、それに着想の新しさないし独創性があるとはいえず、この物品分野の当業者にとってみれば容易になし得るものであるとしても、業務エリアの形状等は、公知意匠には見られない本願部分独自の形状等であって、公然知られた意匠をありふれた手法を用いて僅かに改変した程度のものとはいえず、その創作は、当業者が容易になし得るものであるということはできない。

よって、本願意匠は、その出願前に当業者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたものではない。

4 本願意匠が内装全体として統一的な美感を起こさせるか否かについて

意匠法第8条の2には、内装を構成する物品等に係る意匠が、内装全体として統一的な美感を起こさせるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができると規定されているため、本願意匠が内装全体として統一的な美感を起こさせるか否かについて検討すると、本願部分は、3種類の休憩エリア、会議エリア及び業務エリアを整然と配置し、パーソナル利用の休憩エリア及び業務エリアの什器類を、天板が長方形板状のテーブル及び平面視横長長方形状のベンチシートで統一することで、本願部分全体が、このオフィスの利用者に対し、内装の部分全体として統一的な美感を起こさせるものであるといえるから、本願は、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができるものである。

第4 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-013390

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  • 2025-004394拒絶査定不服審判 / 2026-05-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)ブース、一対の間仕切り家具
    同じ当事者: コクヨ株式会社
  • 2024-019846拒絶査定不服審判 / 2026-05-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)リベット
    同じ当事者: コクヨ株式会社
  • 2024-016065拒絶査定不服審判 / 2025-10-28 / 請求不成立筆記具
    同じ当事者: コクヨ株式会社
  • 2023-003158拒絶査定不服審判 / 2025-08-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)ハイテーブル
    同じ当事者: コクヨ株式会社
  • 2024-009265拒絶査定不服審判 / 2025-07-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)テーブル
    同じ当事者: コクヨ株式会社
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同じ根拠条文の審決268件(意匠法3条2項)
  • 2025-004223拒絶査定不服審判 / 2026-05-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)GUI
    共通の条文: 意匠法3条2項
  • 2025-004224拒絶査定不服審判 / 2026-05-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)GUI
    共通の条文: 意匠法3条2項
  • 2025-019403拒絶査定不服審判 / 2026-04-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)ゴルフボールケース
    共通の条文: 意匠法3条2項
  • 2022-018623拒絶査定不服審判 / 2026-04-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)ドレス
    共通の条文: 意匠法3条2項
  • 2025-003927拒絶査定不服審判 / 2025-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)埋込型コンロ
    共通の条文: 意匠法3条2項
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