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特許拒絶査定不服審判

2021-012526

センサシステムを有する衣類

審判番号
2021-012526
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-138524外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年09月17日
審決日
2023年01月05日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZ (G01L) / P18 .121-WZ (G01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条、特許法第44条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-138524「センサシステムを有する衣類」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月17日出願公開、特開2020-201273〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

1 出願分割の経緯の概略

本願は、令和2年8月19日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、平成25年12月13日(パリ条約による優先権主張2012年12月13日、米国)に国際出願された特願2015-548012号(特表2016-509635参照)を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の現実の出願日を示す。

最先の出願 :特願2015-548012号(平成25年12月13日)
第1世代分割:特願2017- 85314号(平成29年 4月24日)
第2世代分割:特願2019- 49484号(平成31年 3月18日)
本願 :特願2020-138524号(令和 2年 8月19日)

2 本願の手続の経緯の概略

本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和2年 8月19日 :手続補正書、上申書の提出

同年12月 8日付け:拒絶理由通知書

令和3年 4月19日 :意見書、手続補正書の提出

同年 5月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同月18日 :原査定の謄本の送達)

同年 9月17日 :審判請求書の提出

令和4年 4月28日付け:拒絶理由通知書
同年11月10日 :意見書、手続補正書の提出

なお、令和4年4月28日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、同年11月10日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。

第2 請求項1及び請求項16の記載並びに本願発明16の認定

1 請求項1及び請求項16の記載

令和4年11月10日にされた手続補正により、特許請求の範囲の請求項1及び請求項16の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりのものとなっている。

(1) 請求項1

「 衣料品に接続された電子モジュールによって、前記衣料品に接続されたセンサシステムから動きデータを収集するステップと、ここで、前記センサシステムは、前記衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサと、前記第1のセンサと前記電子モジュールとを接続する第1のリードと、を備え、前記電子モジュールは、前記第1のセンサと通信し、且つ、前記動きデータが前記第1のセンサから前記電子モジュールによって受信された信号に基づくように構成され、
前記動きデータに基づく入力データを、前記電子モジュールから、前記衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサに送信するステップと、
前記入力データを前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力として用いて前記操作を制御することで、前記制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくようにするステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。」

(2) 請求項16

「 コンピュータシステムであって、
衣料品に接続された電子モジュールであって、前記衣料品に接続されたセンサシステムと通信する電子モジュールと、
前記衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサと、
を備え、
前記センサシステムは、前記電子モジュールと、前記衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサと、前記電子モジュールが前記第1のセンサと通信することで前記第1のセンサから受信した信号に基づいて動きデータを収集するように構成されるべく前記第1のセンサと前記電子モジュールとを接続する第1のリードと、を備え、ここで、前記電子モジュールは前記動きデータに基づく入力データを送信するように構成され、
前記コンピュータプロセッサは、
前記電子モジュールから前記入力データを受信し、
前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくように、前記入力データを前記制御入力として用いることで前記操作を制御する、
ことを実行するように構成されている、コンピュータシステム。」

2 請求項16における記載不備と本願発明16の認定

(1) 請求項16における記載不備の検討

ア(ア) 前記請求項16には、次のa及びbの二つの記載がある。

a 「前記衣料品に接続されたセンサシステムと通信する電子モジュール」

b 「前記センサシステムは、前記電子モジュールと、前記衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサと、…第1のリードと、を備え」

(イ)a 前記(ア)aの記載からは、「電子モジュール」は「センサシステム」と通信するから、「電子モジュール」は、「センサシステム」とは独立した外部にあり、「センサシステム」に含まれないことが読み取れる。

b これに対し、前記(ア)bの記載からは、「センサシステム」が「電子モジュール」を備えているから、「電子モジュール」は「センサシステム」に含まれていることが読み取れる。

c したがって、請求項16の記載においては、「電子モジュール」と「センサシステム」は別部材であるとする記載と、「電子モジュール」は「センサシステム」の一部であるとする記載があって、矛盾しており、「電子モジュール」と「センサシステム」の関係についての記載不備がある。

イ(ア) 前記アのとおり、請求項16の記載には不備があるので、請求項16に係る発明の要旨を把握するために、請求項16の記載に対応する本願明細書の記載を参酌すると、本願明細書の【0038】及び【図1】には、次の事項が記載されている。なお、下線は、合議体が付したものである。

「 【0038】
図1~6は物品100の一つの例示実施形態を例示しており、センサ20の配置を示している。センサ20は物品100の屈曲点またはその近辺に配置でき、それらは動きが集中する使用者の身体部分(例えば関節)に配置されるべく構成される。図1に見られるように、センサ20は肘領域34の各々に配置され、リード線22がセンサ20から衣服部材10の背部領域32にあるポート14まで延在する。これらのセンサ20は使用者の肘が曲げられた時に変形する。追加のセンサ20が肩部領域35の各々の後側および衣服部材10の各腋下領域36に配置され、リード線22が各センサ20をポート14に接続する。これらのセンサ20は使用者の腕が上下または前後に動いた時に変形する。上述の通り、これらのセンサ20の変形はセンサ20の抵抗を変化させ、それはリード線22およびポート14による通信によってモジュール16により検出される。…(後略)…。」
「【図1】
[図:0001397504000001.jpg]
」

(イ)a 前記(ア)に摘記して示したとおり、本願明細書の【0038】には、「これらのセンサ20の変形はセンサ20の抵抗を変化させ、それはリード線22およびポート14による通信によってモジュール16により検出される。」と記載されている。

b 当該記載を参酌すると、請求項16の「前記衣料品に接続されたセンサシステムと通信する電子モジュール」は、「前記衣料品に接続されたセンサシステムの第1のセンサと通信する電子モジュール」の誤記であると解釈するのが相当である。

c そして、前記bの解釈により、「電子モジュール」は、「センサシステム」でなく「センサシステムの第1センサ」と通信することとなるから、前記ア(ア)bに摘記して示した請求項16の「前記センサシステムは、前記電子モジュールと、前記衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサと、…第1のリードと、を備え」という記載と整合することとなる。

さらに、前記イ(ア)に示した明細書の段落【0038】の記載との矛盾も見当たらなくなる。

d 以上のとおりであるから、請求項16の次の(a)の記載は、(b)の記載の誤記であると認定することが妥当である。

(a) 誤

「前記衣料品に接続されたセンサシステムと通信する電子モジュール」

(b) 正

「前記衣料品に接続されたセンサシステムの第1のセンサと通信する電子モジュール」

(2) 本願発明16の認定

前記(1)において検討したとおり、請求項16には、明らかな記載不備があるところ、一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるという特段の事情があるから、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌し、誤記を正し、本願の請求項16に係る発明(以下「本願発明16」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものであると認める。なお、下線は、加筆により誤記を正した部分である。

「 コンピュータシステムであって、
衣料品に接続された電子モジュールであって、前記衣料品に接続されたセンサシステムの第1のセンサと通信する電子モジュールと、
前記衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサと、
を備え、
前記センサシステムは、前記電子モジュールと、前記衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサと、前記電子モジュールが前記第1のセンサと通信することで前記第1のセンサから受信した信号に基づいて動きデータを収集するように構成されるべく前記第1のセンサと前記電子モジュールとを接続する第1のリードと、を備え、ここで、前記電子モジュールは前記動きデータに基づく入力データを送信するように構成され、
前記コンピュータプロセッサは、
前記電子モジュールから前記入力データを受信し、
前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくように、前記入力データを前記制御入力として用いることで前記操作を制御する、
ことを実行するように構成されている、コンピュータシステム。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由のうち、本願の請求項1の記載に対する理由1(明確性)と、本願発明16に対する理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。

1 理由1(明確性)

(明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1の記載の末尾は「コンピュータ実装方法」であるところ、「実装方法」という語句の指し示す内容が不明であるから、本願発明1は明確でない。

請求項1の記載は、「コンピュータプロセッサにおいて、・・・入力データを受信するステップと(中略)・・・前記ユーザの前記動きに基づくようにするステップと、を含む、方法」となっていることを考えると、「コンピュータ実装方法」は「コンピュータプロセッサの実行方法」の誤記ではないかと考えられる。

2 理由2(進歩性の欠如)

(進歩性の欠如)本願発明16は、下記引用文献1に記載された発明及び下記引用文献2~4に示された周知技術に基づいて、又は、下記引用文献3に記載された発明、下記引用文献1に記載された事項及び下記引用文献2に記載された周知技術に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

引用文献1.特開2012-214968号公報

引用文献2.特表2008-503287号公報(周知技術を示す文献)

引用文献3.特表2008-504856号公報

引用文献4.特開2012-188799号公報(周知技術を示す文献)

第4 当審の判断(36条6項2号)

1 補正後の請求項1の記載について

(1) コンピュータ実装方法を特定する三つのステップの記載

補正後の請求項1の記載は、次のアからウまでの三つのステップを含む、コンピュータ実装方法となっている。

ア 「衣料品に接続された電子モジュールによって、前記衣料品に接続されたセンサシステムから動きデータを収集するステップ」

イ 「前記動きデータに基づく入力データを、前記電子モジュールから、前記衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサに送信するステップ」

ウ 「前記入力データを前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力として用いて前記操作を制御することで、前記制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくようにするステップ」

(2) 検討

ア そこで、上記三つのステップについて、以下検討する。

(ア) 最初のステップは、「衣料品に接続された電子モジュールによって、前記衣料品に接続されたセンサシステムから動きデータを収集するステップ」となっており、これは「電子モジュール」が行うステップである。

(イ) 二つ目のステップは、「前記動きデータに基づく入力データを、前記電子モジュールから、前記衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサに送信するステップ」となっており、前記(ア)と同様、これは「電子モジュール」が行うステップである。

(ウ) 三つ目のステップは、「前記入力データを前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力として用いて前記操作を制御することで、前記制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくようにするステップ」となっており、当審拒絶理由で指摘したとおり、コンピュータプロセッサが実行するステップである。

イ そして、補正後の請求項1に係る発明は、その末尾の記載が「コンピュータ実装方法」となっている。

ウ(ア) 「実装」という語句について、広辞苑第7版(岩波書店、2018年)を参照すると、「装置や機器の構成部品を実際に取り付けること。」と記載されている。

(イ) また、IT用語辞典 e-Words(https://e-words.jp/)によると、「実装とは、ある機能や技術などを、その仕様や規格、設計などに基づいて、実際に機能する実物として開発したり組み込んだりすること。また、実現された具体的な制作物のこと。」と記載されている。

エ(ア) 前記アに示したとおり、前記(1)ア及びイのステップは、電子モジュールが行うステップであり、前記(1)ウのステップは、コンピュータプロセッサが実行するステップであるから、これらの三つのステップの内容はいずれも、コンピュータに関して、「装置や機器の構成部品を実際に取り付ける」ステップや「ある機能や技術などを、その仕様や規格、設計などに基づいて、実際に機能する実物として開発したり組み込んだりする」ステップには該当しない。

(イ) したがって、請求項1の記載における「実装方法」は、「実装」という語句の通常の意味とは異なる意味で用いられていることが明らかである。

(ウ) 以上のとおり、請求項1の記載における「実装方法」は、通常の語法とは異なるものであり、発明の詳細な説明を参照しても当該語句の意味を明らかにする記載は見当たらないから、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識を参酌しても依然として、「実装方法」という語句の指し示す内容は、不明であり、請求項1に係る発明は明確でない。

2 請求人の主張について

(1) 請求人の主張内容

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請求人は、意見書において、次の主張をしている。

審判官の指摘を踏まえて、今般補正後の請求項1は、「衣料品に接続された電子モジュールによって、前記衣料品に接続されたセンサシステムから動きデータを収集するステップと、」という要件と、「前記動きデータに基づく入力データを、前記電子モジュールから、前記衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサに送信するステップと、」という要件を含むものとなった。すなわち、請求項1に係る発明は、「コンピュータプロセッサ」だけに関する方法ではなく、「電子モジュール」と「コンピュータプロセッサ」という複数の装置に関する方法となった。したがって、今般補正後の請求項1の「コンピュータ実装方法」という記載は明確となった。

(2) 請求人の主張についての検討

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請求人は、今般補正により、「コンピュータプロセッサ」だけに関する方法ではなく、「電子モジュール」と「コンピュータプロセッサ」という複数の装置に関する方法になったため、「コンピュータ実装方法」という記載は明確になったと主張している。

しかしながら、前記1で示したとおり、「電子モジュール」に関するステップが追加されたとしても、「実装方法」が通常の語法とは異なるどのような内容であるのかが不明であることを解消するものではないから、「コンピュータ実装方法」における「実装方法」という語句の意味は、依然として明確ではない。

よって、前記(1)の請求人の主張は、採用できない。

3 小括

したがって、令和4年11月10日付け意見書及び手続補正書の内容を考慮しても、依然として、請求項1に係る発明は明確でない。

第5 当審の判断(29条2項)

1 引用文献に記載された発明の認定等

(1) 引用文献1に記載された事項と引用発明1の認定

ア 引用文献1に記載された事項

当審拒絶理由に引用された前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は合議体が付したもので、以下同様である。

(ア) 【0001】~【0003】

「【技術分野】
【0001】
本発明は、概してハーネス及び衣服に関し、特に、センサと共に用いるための衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
運動は、健康的なライフスタイル及び個体(個人)の幸福を維持する上で重要である。個体が運動するための一般的な方法は、運動活動、例えばスポーツやトレーニングプログラムに参加することである。運動活動のセッションは、例えば、トレーニングセッションや、例えばサッカーの試合やバスケットボールの試合等の競争するセッションを含み得る。競争環境または協調環境において運動活動に参加する場合、参加者のパフォーマンスは、その他の個体のパフォーマンスに依存し得る。例えば、チームスポーツの状況下では、様々な運動の動き及び試みのパフォーマンスは、チームメートや対戦相手の運動の動き及び試みによって影響され得る。しばしば、トレーナー(例えばコーチ)がこのような運動活動をモニタリングしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
運動活動に参加している個体または複数の個体のグループを効果的にモニターするために、トレーナーまたはその他の個体は、典型的には、例えばスポーツフィールドのサイドライン外側から運動活動を見ることにより運動活動の参加者に関する情報を集める。このように、運動活動に影響する決定を行うのに用いられる情報は、典型的には、トレーナーがサイドライン外側から観察したものによって制限される。観察を助けるアシスタントがトレーナーについている場合もあるし、複数のトレーナーが共同で作業する場合もあるが、運動活動中に個体のパフォーマンスを効果的に追跡して管理できるように複数の個体をモニタリングするのは、依然として困難である。」

(イ) 【0057】~【0062】、【図1】

「【0057】
本発明の例示的な実施形態において、センサ衣服10が提供される。センサ衣服10は、布地部分100、ハーネス200及び装置保持要素300を含み得る。いくつかの例示的な実施形態において、センサ衣服10は、少なくとも1つのセンサ400を含む。図1~8、11、12、24、25、29~33及び35~46は、本発明の例示的な実施形態に従ったセンサ衣服10を図示する。
【0058】
センサ衣服10は、着用者によって着用されるように適合され得る。センサ400は、ハーネス200の端部に位置して良いが、着用者の生理学的特性またはパフォーマンス特性を感知し得る。生理学的特性は、着用者の体の状態を示し得る(例えば心拍数、体温、呼吸速度、水分補給状態)。パフォーマンス特性は、目的のパラメータに関する着用者の体のパフォーマンスを示し得(例えば速度、向き、方向、加速、位置、疲労、衝撃、効率)、生理学的特性を考慮に入れても良い。更に、センサ400は、ハーネス200経由で、これらの特性を示すデータをハーネス200の端部に位置するモニター装置500に送信し得る。
【0059】
モニター装置500は、データを受信可能な任意の装置であって良い。モニター装置500は、様々な操作を実行し得る。例えば、モニター装置500は、受信したデータを保存し、それを処理し、またはそれを受信装置に送信しても良い。いくつかの例示的な実施形態において、モニター装置500及び受信装置は、それぞれ、共同所有の米国特許出願番号___号(代理人整理番号2483.187000、発明の名称:グループパフォーマンスをモニタリングするシステム及び方法)に開示された個体モニター及びベースステーションのようなものであり、この開示内容は、その全体を引用することによって本明細書の一部となす。いくつかの例示的な実施形態において、モニター装置500は、着用者の相当な不快感や動作の制限を引き起こさずに、センサ衣服10の装置保持要素300を介して着用者が容易に携帯するのに十分なだけ小さい。
… (中略) …
【0062】
使用の際、着用者は、運動活動に従事するアスリートであって良いが、パフォーマンスをモニターする(または別の者がモニターすることを容易にする)ためにセンサ衣服10を着用し得る。このようなパフォーマンスを示す生理学的特性及びパフォーマンス特性のデータは、センサ400において受信され、装置保持要素300に保持されるモニター装置500に(ハーネス200経由で)送信され、モニター装置500によって離れた受信装置に送信され得る。」
「【図1】
[図:0001397504000002.jpg]
」

(ウ) 【0065】~【0067】、【図2】

「【0065】
図2を参照すると、布地部分100は、データを受信して(ハーネス200経由で)データを受信装置に送信することができるモニター装置500のような装置を保持するように構成された装置保持要素300を含み得る。いくつかの例示的な実施形態において、装置保持要素300は、センサ衣服10の着用者の動きのモニター装置500への影響を最小限にするために、モニター装置500を中に入れて適所に保持できるように、モニター装置500の大きさ及び形に対応する大きさ及び形にする。後で更に詳しく述べるが、こうした影響を最小限にするのを助けるために、例えばバンド312やスペーサー要素340等の追加的な要素を使用できる。図2に示すように、装置保持要素300は布地層100とつながっていて良い。図2は、布地層100とつながっている装置保持要素300を含むセンサ衣服10の例示的な実施形態を図示する。装置保持要素300は、例えば一体化する、接着する、縫い合わす、溶着する、結ぶ、挟む、留める、または取り付ける、あるいはこれらやその他の技術の任意の組み合わせにより布地層100とつながっていて良い。いくつかの例示的な実施形態において、装置保持要素は布地層100と一体化して形成される(例えば、布地層100を縫い合わせるまたは編むことによりポケットを形成しても良い)。
… (中略) …
【0067】
図2の例示的な実施形態において、装置保持要素300は、センサ衣服10の着用者の背中上部に対応するように配置される。装置保持要素300を着用者における高い位置、例えば背中上部等に対応するように配置することは、モニター装置500がデータを送信または受信する際に、装置保持要素300内のモニター装置500の干渉を最小限にし、範囲及び信号強度を最大限にするのに役立ち得る。加えて、装置保持要素300を背中上部に対応するように配置することは、装置保持要素300(及びそれにより保持されるモニター装置500)によるアスリートの動きへの干渉を最小限にする。いくつかの例示的な実施形態において、装置保持要素300は、着用者の背中上部以外に対応するように配置される。装置保持要素300は、布地層100上の任意の場所に配置できる。例えば、装置保持要素300は、着用者の背中下部、胸部、横腹、肩、腕、脚、臀部、足、首または頭に対応するように配置しても良い。」
「【図2】
[図:0001397504000003.jpg]
」

(エ) 【0075】~【0077】、【図47】

「【0075】
いくつかの例示的な実施形態において、モニター装置500は、センサ400からデータを受信するように構成され、センサ400は、モニター装置500内に含まれても良く、または、モニター装置500から分離した異なるものであっても良い(例えば布地層100またはセンサ衣服10の着用者とつながっている)。いくつかの例示的な実施形態において、例えば図3及び4に図示するもののように、例えば、センサ衣服10は、センサ衣服10の着用者の背中上部に配置されモニター装置500を保持するように構成された装置保持要素300を含み得、着用者の胴体の側面に近接して配置されるように構成されたセンサ400を含み得る。センサ衣服10は、所望するだけの、または必要なだけの任意の好適な数または種類のセンサ400を含み得る。例えば、センサ衣服10は、着用者の心拍数(例えばECG(心電計)信号)、呼吸速度、体温、位置、加速、距離、向き、速度、方向、方角、酸素レベル、または水和反応を検出するように構成されたパフォーマンスセンサ400、生理学的センサ400、またはその他のセンサ400を含み得る。このようなセンサ400は、例えば電極、心拍数モニター(例えばECGセンサ)、磁力計、呼吸センサ、光センサ(例えば着用者の環境に関する情報を提供する、またはそれと相互作用する)、圧力センサ(例えば衝撃または衝突を測定する)、熱電温度計、GPS(全地球測位システム)センサ、反響定位センサ、RFID(無線自動識別)センサ、ビーコンセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、生体力学的センサ、任意のその他の好適なセンサ、あるいはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0076】
生体力学的センサは、例えば図47に示すように、伸縮性導電性要素415を有する伸縮センサ405(例えば広い反射領域を有し得る着用者の体の一部、例えば肘、膝、肩または足等に対応するように構成された領域においてセンサ衣服10から分離している、またはそこに含まれる)を含み得る。伸縮性導電性要素415は、例えば、伸縮性ワイヤー(例えば弾性核の周囲に巻かれるワイヤー)、例えばジグザグ、正弦曲線、またはループのパターンの伸縮性パネルに含まれる非伸縮性ワイヤー、あるいは導電性ポリマー、あるいは導電性布であって良く、後で更に詳細を述べる。伸縮性導電性要素415の変形は、伸縮性導電性要素415の抵抗の変動に基づいて感知され得、着用者の体の動き(例えば動きの発生、大きさ、速度または方向)の決定に使用され得る。いくつかの例示的な実施形態において、このような抵抗の変動は、伸縮性導電性要素415に隣接して配置され直接取り付けられる抵抗センサ/フィルター425において感知され、ハーネス200経由でモニター装置500に伝えられる。
【0077】
例示的なセンサ400及びその潜在的使用の更なる例は、共同所有の米国特許出願番号___号(代理人整理番号2483.187000、発明の名称:グループパフォーマンスをモニタリングするシステム及び方法)において見ることができ、この開示内容は、その全体を引用することによって本明細書の一部となす。いくつかの例示的な実施形態において、センサ400は、センサ衣服10の一部を形成しても良く、布地層100内に一体化されてもそれに取り付けられても良い。いくつかの例示的な実施形態において、センサ400は、センサ衣服10から分離してそこにつなげられるように適合されても良い。いくつかの例示的な実施形態において、センサ400は受信器であって良く、離れているセンサまたは送信器からの信号を受信するためのアンテナ450の役割を果たし得る。例えば、そのような実施形態において、受信器は、着用者が飲み込んだ中核体温センサからの信号を受信するように構成されても良く、例えば図43に示すように、脊椎からはずれた着用者の背中の中心に対応するように配置して良い。いくつかの例示的な実施形態において、センサ400は、例えば図38に示すように、スピーカー及び/またはマイクロホン460を含むか、またはそれにつながれて良い。スピーカー及び/またはマイクロホン460は、離れた装置及びモニター装置500との間で音声情報を送信または受信し得る。スピーカー及び/またはマイクロホン460は、センサ衣服10の着用者と着用者から離れている人物との間の通信を可能にし得る。」
「【図47】
[図:0001397504000004.jpg]
」

(オ) 【0083】

「【0083】
いくつかの例示的な実施形態において、ハーネス200は、衣服10の布地層100の表面と一体化して、またはその上に配置されて良い。図1の例示的な実施形態において、センサ衣服10は図示しやすいように裏返しに示している。このように、通常の使用においては、図1の例示的な実施形態のハーネス200は、センサ衣服10の布地層100の内側表面上に配置されることになる。いくつかの例示的な実施形態において、ハーネス200は、布地層100の内側表面上またはそれに隣接して配置されても、布地層100の外側表面上またはそれに隣接して配置されても、布地層100と一体化されても良い。ハーネス200は、例えば接着剤、縫い付け、溶着や積層を含む任意の好適な技術によって布地層100につながれて良い。図面全体を通じて、センサ衣服10は裏返しまたは裏返しではなく図示されていると解釈できる。」

イ 引用発明1の認定

前記アの記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明1>

「布地部分100、ハーネス200、装置保持要素300及びセンサ400を含むセンサ衣服10及びモニター装置500であって(【0057】、【0065】)、
装置保持要素300は、モニター装置500を保持するように構成され、布地層100とつながっていて良く(【0065】)、
センサ400は、布地層100に取り付けられても良く(【0077】)、
ハーネス200は、布地層100につながれて良く(【0083】)、
センサ400は、着用者のパフォーマンス特性を感知し、パフォーマンス特性は、着用者の体のパフォーマンスを示し(例えば速度、向き、方向、加速、位置、疲労、衝撃、効率)、更に、センサ400は、ハーネス200経由で、これらの特性を示すデータをハーネス200の端部に位置するモニター装置500に送信し(【0058】)、
パフォーマンス特性のデータは、モニター装置500によって離れた受信装置に送信され(【0062】)、
センサ400は、生体力学的センサを含み(【0075】)、
生体力学的センサは、伸縮性導電性要素415を有する伸縮センサ405を含み、伸縮性導電性要素415は、導電性ポリマーであって良く、伸縮性導電性要素415の変形は、伸縮性導電性要素415の抵抗の変動に基づいて感知され、着用者の体の動き(例えば動きの発生、大きさ、速度または方向)の決定に使用され、このような抵抗の変動は、伸縮性導電性要素415に隣接して配置され直接取り付けられる抵抗センサ/フィルター425において感知され、ハーネス200経由でモニター装置500に伝えられる(【0076】)、
センサ衣服10及びモニター装置500。」

(2) 引用文献3、4に記載された事項、引用発明3及び周知技術の認定 ア 引用文献3に記載された事項

当審拒絶理由に引用された前記引用文献3には、以下の事項が記載されている。

(ア) 【0001】~【0002】

「【技術分野】
【0001】
本発明は、布地センサ、布地センサを形成する方法、前記センサを組み込んだ衣服、及び衣服を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサを衣服に取り付けることは周知である。これらのセンサは、着用者の生理学的パラメータを測定し、当該測定されたデータを更なる使用に関して提供するためのものである。通常、斯様な衣服は、医療及びスポーツ環境において、所定の環境における患者又はアスリートの動作を、彼らの生理学的動作を評価する目的で用いられる。これらの衣服は、映画及びゲーム業界に関するモーションキャプチャ作品においても用いられる。」

(イ) 【0020】~【0027】、【図2】~【図4】

「【0020】
図2は、衣服12の肘領域における改善された布地センサ10を示す。布地センサ10は、身体の動きを測定するためのものであり、第1及び第2把持セクション14及び16、並びに前記第1及び第2セクション14及び16の中間に第3感知セクション18を有する。
【0021】
第3感知セクション18は、第1又は第2把持セクション14及び16のいずれかよりも低い把持量を有し、第1及び第2把持セクション14及び16は、互いにほぼ同一の把持量を有する。この実施例において、第3感知セクションは、実際は、0の把持量を有する。2つの把持セクション14及び16は、感知セクション18よりも小さい直径からなる。代替的に、これらは、把持効果を達成するために弾性化された特定の量を布地内に含み得る。
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【0022】
セクション14及び16によって与えられる把持は、感知セクションが衣服の他の部分から隔離されること、且つ測定値を取る身体の位置に対して正しい位置にあることを維持することを保証する。第1及び第2把持セクション14及び16の非感知セクション側は、非弾性化材料であり、当該材料は、衣服における特定の量のたわみ(give)が、布地センサが位置から引き出されるのを避ける柔軟性を与えるのを可能にする。
【0023】
第1及び第2把持セクション14及び16並びに第3感知セクション18のそれぞれは、ユーザの身体の一部分(この例において腕)を囲み、これにより安定したセンサ配置を保証する。第1及び第2把持セクション14及び16、並びに第3感知セクション18は、単一の布地片から形成される。セクション14及び16の把持は、それらの一方の側面におけるセクションより小さい直径であるセクションによって得られる。このことは、これらセクション14及び16が、例えば感知セクション18よりもユーザの腕に近くに接触していることを保証する。発生するいかなる伸縮も感知セクション18において発生し得るように、把持セクション14及び16は、伸縮セクション18と比較してタイトでなく、横方向に伸縮性でもない。
【0024】
更なる実施例において、第1及び第2把持セクション14及び16のうちの少なくとも1つは、幅に応じて変化する把持量を有する。好ましくは、セクション14及び16の両方は、これらの幅に応じてこの把持レベルの格付けを有する。このことは、ユーザに関してより快適なフィットを提供する。
【0025】
図3は、ユーザの上体に関する衣服12を示し、また身体の下部に関する第2衣服20も例証する。太い黒線は、布地センサにおける把持セクションを概略的に例証し、(図示されない)該感知セクションは、把持セクションの各対の間に位置する。把持セクションは、その両側に感知セクションを有し得、把持セクションは、2つの異なる感知セクションに関する位置決めセクションとして効果的に作用する。両方の衣服12及び20は、身体の一部分を受け、且つ身体の動きを測定するいくつかの布地センサを含む複数のほぼ管状の部分を備える。各衣服12及び20は、単一の布地片から形成される。
【0026】
図4は、第3感知セクション18の小さい部分のクローズアップを示す。このセクション18は、第1糸24及び第2糸26の構造体22を有し、第1糸24は、伝導性の性質であり、第2糸は、弾性の性質26である。第3感知セクション18の構造体22は、第1及び第2糸24及び26のニットからなる。第1糸24は、好ましくは、カーボンなどの抵抗性の性質であり、第2糸26は、弾性的、すなわちLycra(登録商標)などの弾性の性質である。
【0027】
図4に例証される基本構造を用いると、伸縮される場合に抵抗値を増やす又は減らすニット状の布地感知セクション18を構成することが可能である。」
「【図2】
[図:0001397504000005.jpg]
」
「【図3】
[図:0001397504000006.jpg]
」
「【図4】
[図:0001397504000007.jpg]
」

(ウ) 【0029】

「【0029】
布地センサ10を組み込む衣服12は、
・スポーツコーチング:動的な身体の位置を感知することによって、運動に没頭している人物のスイング又は動きを分析し、彼らの成績を向上させるためにフィードバックを与えることが可能である。
・理学療法:例えばタイツなどの適切な感知衣服を着用することによって、人は、自宅で運動を実行することが可能であり、該システムはこれらを記録し、同様に運動を正しく行っていることを保障するために、人をコーチする。このことは、病院の理学療法科がより効率的になるのを助け得る。
・ゲーム:センサジャケットが、ビデオゲームとインターフェイスする手段を提供する。例えば、ユーザは、格闘ゲームにおいて大きな動きをすることが可能である。
などを含む、多数の適用領域を有する。」

イ 引用文献4に記載された事項

当審拒絶理由に引用された前記引用文献4には、以下の事項が記載されている。

(ア) 【0001】

「【0001】
本発明は、電子機器付き衣服に関する。詳しくは、モーションキャプチャを中心としたウェアラブル電子機器に関し、着脱し易く、快適性、安全性に優れる電子機器付き衣服に関するものである。」

(イ) 【0063】、【図2】

「【0063】
(電子機器付き衣服の作製)
伸縮性が異なる何種類かの市販布帛から、伸縮性が40%の布帛を選定し、この布帛から、図2に示す形状のアンダーシャツを縫製し、モーションセンサ(3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサを搭載)をアンダーシャツ背中側の腕、肩、襟下及び胴体へ取り付け、腕や首などが屈曲、伸張していない状態でたるみがないように伸縮電線を配線して、伸縮伝送線として伸縮電線が、電子機器としてモーションセンサがそれぞれ配された評価用電子機器付き衣服を得た。…(後略)…。」
「【図2】
[図:0001397504000008.jpg]
」

(ウ) 【0070】

「【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の電子機器付き衣服は、ウェアラブル機器の領域で好適であり、例えば、モーションキャプチャ、電子機器付防護服、パワーアシストスーツ、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定衣服、衣服装着型のゲーム用コントローラー、衣服装着型のマイクロフォン及びヘッドフォン等の分野で好適に利用できる。」

ウ 引用発明3の認定

(ア) 引用文献3の【0029】には、布地センサ10を組み込む衣服12の適用領域の一つして、ゲームが挙げられ、センサジャケットが、ビデオゲームとインターフェイスする手段を提供し、例えば、ユーザは、格闘ゲームにおいて大きな動きをすることが可能であることが記載されている。

そして、当該記載から、布地センサ10を組み込む衣服12を着用したユーザが、格闘ゲーム等において大きな動きをしたとき、布地センサ10がその動きを測定して、その情報をゲーム機に送信し、ゲーム機において、その動きに応じた操作を行っていることは明らかである。

また、ゲーム機が、「コンピュータプロセッサ」を含むことは、出願時の技術常識からみて例示するまでもなく明らかである。

よって、引用文献3の【0029】から、布地センサ10を組み込む衣服12と、コンピュータプロセッサを含むゲーム機を備えるシステムであって、衣服12を着用したユーザの動きを、布地センサ10が測定して、その情報をゲーム機に送信し、ゲーム機において、その動きに応じた操作を行っていることが読み取れる。

(イ) 上記アの記載事項及び上記(ア)の認定事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明3>

「布地センサ10を組み込む衣服12と、コンピュータプロセッサを含むゲーム機を備えるシステムであって(上記(ア)の認定事項)、
布地センサ10は、身体の動きを測定するためのものであり、第1及び第2把持セクション14及び16、並びに前記第1及び第2セクション14及び16の中間に第3感知セクション18を有し(【0020】)、
第3感知セクション18は、伸縮される場合に抵抗値を増やす又は減らすニット状の布地感知セクション18を構成し(【0026】、【0027】)、
衣服12を着用したユーザの動きを、布地センサ10が測定して、その情報をゲーム機に送信し、ゲーム機において、その動きに応じた操作を行う(上記(ア)の認定事項)、
システム。」

エ 周知技術の認定

(ア) 引用文献4の【0070】には、本発明の電子機器付き衣服は、衣服装着型のゲーム用コントローラーに利用できることが記載されているから、前記衣服のモーションセンサが着用者の動きを検出して、ゲーム機に送信し、ゲーム機において、その動きに応じた操作を行っていることは明らかである。そして、ゲーム機が「コンピュータプロセッサ」を含むことは、出願時の技術常識からみて例示するまでもなく明らかである。

(イ) 引用文献3の前記アの摘記箇所の記載、前記ウ(ア)の認定事項、引用文献4の前記イの摘記箇所の記載及び前記(ア)の認定事項に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める(以下「周知技術」という。)。

<周知技術>

「センサ付き衣服を用いて、当該センサ付き衣服の着用者の動きを検出し、その動きを、コンピュータプロセッサを含むゲーム機に送信し、着用者の動きに応じた操作を行うこと。」

2 引用発明1を主引用発明とする場合

(1) 対比

ア 対比分析

本願発明16と引用発明1を対比する。

(ア)a 引用発明1の「布地部分100」及び「布地層100」は、表記は異なるものの、同じ対象であることは明らかであり、本願発明16の「衣料品」に相当する。そして、引用発明1の「モニター装置500」は、「布地層100」とつながれる「装置保持要素300」に保持されるから、本願発明16の「衣料品に接続された電子モジュール」に相当する。

b 引用発明1の「伸縮性導電性要素415を有する伸縮センサ405」は、伸縮性導電性要素415の変形が伸縮性導電性要素415の抵抗の変動に基づいて感知され、着用者の体の動き(例えば動きの発生、大きさ、速度または方向)の決定に使用されるものであるから、本願発明16の「衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサ」に相当する。

c 引用発明1においては、前記伸縮性導電性要素415の抵抗の変動は、伸縮性導電性要素415に隣接して配置され直接取り付けられる抵抗センサ/フィルター425において感知され、ハーネス200経由でモニター装置500に伝えられるから、引用発明1の「ハーネス200」は、本願発明16の「前記電子モジュールが前記第1のセンサと通信することで前記第1のセンサから受信した信号に基づいて動きデータを収集するように構成されるべく前記第1のセンサと前記電子モジュールとを接続する第1のリード」に相当する。

d 引用発明1において、「モニター装置500」が着用者のパフォーマンス特性(例えば速度、向き、方向、加速、位置、疲労、衝撃、効率)のデータを、離れた受信装置に送信することは、本願発明16の「電子モジュールは前記動きデータに基づく入力データを送信する」ことに相当する。

e 上記a~dを踏まえると、引用発明1において、(a)「布地層100」につながれる「装置保持要素300」に保持される「モニター装置500」、(b)「布地層100」に取り付けられる「センサ400」に含まれる「生体力学的センサ」に含まれる「伸縮センサ405」、及び、(c)「布地層100」につながれる「ハーネス200」、の三つからなる構成は、本件補正発明の「電子モジュール」、「第1センサ」及び「第1のリード」を備える「衣料品に接続されたセンサシステム」に相当する。

f 引用発明1においては、「センサ400は、ハーネス200経由で、これらの特性を示すデータをハーネス200の端部に位置するモニター装置500に送信[する]」ものであり、「センサ400」には「生体力学的センサ」が含まれ、「生体力学的センサ」には「伸縮性導電性要素415を有する伸縮センサ405」が含まれるから、前記a~eを踏まえると、引用発明1の「モニター装置500」は、本願発明16の「前記衣料品に接続されたセンサシステムの第1のセンサと通信する電子モジュール」に相当する。

g 上記a~fをまとめると、本願発明16と引用発明1は、次の(a)及び(b)の点において一致する。

(a) 「衣料品に接続された電子モジュールであって、前記衣料品に接続されたセンサシステムの第1のセンサと通信する電子モジュール」を備えている点。

(b) 「センサシステムは、前記電子モジュールと、前記衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサと、前記電子モジュールが前記第1のセンサと通信することで前記第1のセンサから受信した信号に基づいて動きデータを収集するように構成されるべく前記第1のセンサと前記電子モジュールとを接続する第1のリードと、を備え、ここで、前記電子モジュールは前記動きデータに基づく入力データを送信するように構成され」ている点。

(イ) 引用発明1である「センサ衣服10及びモニター装置500」は、これらの構成を一つの装置としてみた場合は、本願発明16の「電子モジュール」に相当する「モニター装置500」を備えた装置であると認められる。

よって、本願発明16の「電子モジュール」を備えた「コンピュータシステム」の発明と、引用発明1は、「電子モジュール」を備えた装置の発明である点で共通する。

イ 一致点及び相違点

前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本願発明16と引用発明1の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。

(ア) 一致点

衣料品に接続された電子モジュールであって、前記衣料品に接続されたセンサシステムの第1のセンサと通信する電子モジュールと

を備え、

前記センサシステムは、前記電子モジュールと、前記衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサと、前記電子モジュールが前記第1のセンサと通信することで前記第1のセンサから受信した信号に基づいて動きデータを収集するように構成されるべく前記第1のセンサと前記電子モジュールとを接続する第1のリードと、を備え、ここで、前記電子モジュールは前記動きデータに基づく入力データを送信するように構成されている、

装置、である点。

(イ) 相違点

本願発明16は、「電子モジュール」に加えて「衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサ」を備えるコンピュータシステムの発明であり、

「 前記コンピュータプロセッサは、
前記電子モジュールから前記入力データを受信し、
前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくように、前記入力データを前記制御入力として用いることで前記操作を制御する、
ことを実行するように構成されている」のに対して、

引用発明1は、「センサ衣服10及びモニター装置500」の発明であって、

モニター装置500がパフォーマンス特性のデータを離れた受信装置に送信しているものの、

衣料品とは独立した外部装置であって、モニター装置500から入力データを受信し、コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力が衣料品を着用しているユーザの動きに基づくように、入力データを制御入力として用いることで操作を制御するコンピュータプロセッサを備えていない点。

(2) 判断

ア 相違点について

前記相違点について検討する。

前記1(2)エに示したとおり、センサ付き衣服を用い、当該センサ付き衣服の着用者の動きを検出して、その動きを、コンピュータプロセッサを含むゲーム機に送信し、着用者の動きに応じた操作を行うことは、本願の優先日前に周知である。

よって、引用発明1を前記周知技術に適用し、「コンピュータプロセッサ」を含むゲーム機を備えるようにし、「モニター装置500」が、着用者のパフォーマンス特性のデータを前記コンピュータプロセッサに送信して、前記コンピュータプロセッサが当該データ、すなわち入力データを受信し、前記コンピュータプロセッサによって実行されているゲーム機が着用者の動きに応じた操作を行うように、パフォーマンス特性のデータを用いて制御を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。その際、ゲーム機が備えるコンピュータプロセッサを布地部分100を含むセンサ衣服10及びモニター装置500とは独立したものとすることは、当然の設計事項にすぎない。

よって、引用発明1の構成に加えて前記相違点に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明16の奏する作用効果は、引用発明1及び周知技術から予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明16は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 請求人の主張について

(ア) 請求人の主張内容

折りたたみ中(クリックで表示)

請求人は、意見書において、次のa~dの主張をしている。

a 今般補正後の請求項1は特に以下の特徴を含む。

(1) 衣料品に接続された電子モジュールによって、前記衣料品に接続されたセンサシステムから動きデータを収集するステップ

(2) 前記動きデータに基づく入力データを、前記電子モジュールから、前記衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサに送信するステップ

(3) 前記入力データを、(ステップ(2)と同じコンピュータプロセッサである)前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力として用いて前記操作を制御することで、前記制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくようにするステップ

b(a) 引用文献1(特開2012-214968号公報)には、センサ衣服10の着用者の背中上部に配置された装置保持要素300により保持されたモニター装置500と、当該モニター装置500を制御するための制御装置530が開示されている。しかしながら、このモニター装置500は、「衣料品とは独立した」装置ではないため、本願の請求項1の「コンピュータプロセッサ」に相当するものではなく、むしろ「電子モジュール」に相当する。したがって、引用文献1は、モニター装置500とは別の、あるいは「衣料品とは独立した」コンピュータプロセッサの制御入力として情報データを用いることを開示していない。

(b) 引用文献1の段落0062において、「このようなパフォーマンスを示す生理学的特性及びパフォーマンス特性のデータは、センサ400において受信され、装置保持要素300に保持されるモニター装置500に(ハーネス200経由で)送信され、モニター装置500によって離れた受信装置に送信され得る。」と記載されているが、この「離れた受信装置」に送信されるデータが受信装置によってどのように使用されるかは何ら記載されておらず、モニター装置500あるいは受信装置が衣料品の一部であろうとも衣料品とは独立していようとも、動きデータをセンサから収集して、当該動きデータに基づく入力データをコンピュータプロセッサの制御入力として用いることについては何ら開示されていない。

c 引用文献3(特表2008-504856号公報)は、体の動きを抵抗値の変動により検出する布地センサ10を組み込む衣服12が、ビデオゲームとインターフェイスする手段を提供することを開示している。しかしながら、引用文献3の段落0029においては、単に「布地センサ10を組み込む衣服12は、(中略)

・ゲーム:センサジャケットが、ビデオゲームとインターフェイスする手段を提供する。例えば、ユーザは、格闘ゲームにおいて大きな動きをすることが可能である。

などを含む、多数の適用領域を有する。」と記載されているにすぎず、また、発明の詳細な説明の他の部分においては布地センサ10に関する記載しかない。すなわち、引用文献3には、衣服12がビデオゲームとインターフェイスするための機能に使用されるコンピュータハードウェアについては何ら開示されていない。

この点に関し、審判官は、『しかし、衣服に取り付けられたセンサで検出した体の動きに応じてゲームの操作制御を行うことは、引用文献3の【0029】及び引用文献4の【0070】に示されるように、本願の優先日前に周知であり、操作制御されるゲームは、コンピュータプロセッサにより実行されるものであることは自明であるから、引用文献1に記載の発明において、前記周知技術を適用して、モニター装置500から送信されたデータをゲームの操作制御に用いるコンピュータが実行できるようにすることに格別の困難性は認められない。』と指摘しているが、上述のとおり、引用文献3は、本願請求項1に規定の、衣料品に接続された電子モジュールや、衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサに相当するハードウェア構成について何ら開示されていない以上、引用文献1と引用文献3とをどのように組み合わせたとしても、本願請求項1の上記要件に想到できるはずがない。

d 引用文献4(特開2012-188799号公報)は、段落0070において、単に「本発明の電子機器付き衣服は、ウェアラブル機器の領域で好適であり、例えば、モーションキャプチャ、電子機器付防護服、パワーアシストスーツ、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定衣服、衣服装着型のゲーム用コントローラー、衣服装着型のマイクロフォン及びヘッドフォン等の分野で好適に利用できる。」と開示されているだけであって、「衣服装着型のゲーム用コントローラー」を実現するための具体的なハードウェア構成については何ら言及がない。すなわち、引用文献4にも、本願請求項1に規定の、衣料品に接続された電子モジュールから、衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサが入力データを受信して、当該入力データを操作の制御入力として用いる構成については何ら開示されていない。したがって、引用文献1及び引用文献3と引用文献4とをどのように組み合わせたとしても、本願請求項1の上記要件に想到できるはずがない。

(イ) 請求人の主張についての検討

折りたたみ中(クリックで表示)

請求人の主張は、要するに、本願発明16の構成は、引用文献1、3及び4のいずれにも開示されていないし、引用文献1、引用文献3及び引用文献4をどのように組み合わせたとしても想到できるものでないというものである。

しかしながら、前記アにおいて説示したとおり、電子モジュールに相当するモニター装置500がパフォーマンス特性のデータを離れた受信装置に送信する引用発明1を、引用文献3及び4に示された、センサ付き衣服を用い、当該センサ付き衣服の着用者の動きを検出して、その動きを、コンピュータプロセッサを含むゲーム機に送信し、着用者の動きに応じた操作を行う周知技術に適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際、ゲーム機が備えるコンピュータプロセッサを布地部分100を含むセンサ衣服10及びモニター装置とは独立したものとすることは、当然の設計事項にすぎない。そして、その結果得られる構成は、請求人が意見書で主張する構成(前記(ア)a参照)を含む本願発明16の構成を全て備えるものとなる。

したがって、請求人の主張は、前記アの結論を左右するものではない。

(3) 小括

以上のとおり、本願発明16は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

3 引用発明3を主引用発明とする場合

(1) 対比

ア 対比分析

本願発明16と引用発明3を対比する。

(ア) 引用発明3の「衣服12」は、本願発明16の「衣料品」に相当する。また、引用発明3の「システム」において、コンピュータプロセッサを含むゲーム機が、布地センサ10を組み込む衣服12と独立しているのは明らかである。

よって、本願発明16と引用発明3は、「衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサと、を備え[る]」「コンピュータシステム」の発明である点で共通する。

(イ)a 引用発明3の「布地センサ10」は、伸縮される場合に抵抗値を増やす又は減らすニット状の布地感知セクション18を有しているから、本願発明16の「衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成された第1のセンサ」に相当する。

また、前記(ア)に示したとおり、引用発明3の「衣服12」は、本願発明16の「衣料品」に相当するから、引用発明3の「衣服12」に組込まれた「布地センサ10」は、本願発明16の「衣料品に接続された」「第1のセンサ」に相当する。

b 引用発明3は、衣服12を着用したユーザの動きを、布地センサ10が測定して、その情報を、コンピュータプロセッサを含むゲーム機に送信し、ゲーム機において、その動きに応じた操作を行うものである。

そして、本願発明16は、「衣料品を着用しているユーザの動きを検出する」「第1のセンサから受信した信号に基づいて動きデータを収集するように構成される」「電子モジュール」が「送信する」「前記動きデータに基づく入力データ」を「コンピュータプロセッサ」が受信して、「前記入力データを制御入力として用いることで、」「前記衣料品を着用している前記ユーザの動きに基づくように、」「前記操作を制御する」ものであるから、コンピュータプロセッサが受信して制御入力として用いる入力データは、第1のセンサから受信した信号に基づくデータである。

よって、本願発明16と引用発明3は、「前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくように、第1のセンサから受信した信号に基づく入力データを前記制御入力として用いることで前記操作を制御する」という点で共通する。

イ 一致点及び相違点

前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本願発明16と引用発明3の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。

(ア) 一致点

コンピュータシステムであって、

衣料品とは独立した外部装置であるコンピュータプロセッサと、

を備え、

前記衣料品に接続された第1のセンサは、衣料品を着用しているユーザの動きを検出するために圧力を受けて変形した時に抵抗が増大するべく構成され、

前記コンピュータプロセッサによって実行されている操作の制御入力が前記衣料品を着用している前記ユーザの前記動きに基づくように、前記第1のセンサから受信した信号に基づく入力データを前記制御入力として用いることで前記操作を制御する、

ことを実行するように構成されている、

コンピュータシステム、である点。

(イ) 相違点

本願発明16においては、「衣料品に接続された電子モジュールであって、前記衣料品に接続されたセンサシステムの第1のセンサと通信する電子モジュール」を備え、

「前記センサシステムは、前記電子モジュールと、」「前記電子モジュールが前記第1のセンサと通信することで前記第1のセンサから受信した信号に基づいて動きデータを収集するように構成されるべく前記第1のセンサと前記電子モジュールとを接続する第1のリードと、を備え、ここで、前記電子モジュールは前記動きデータに基づく入力データを送信するように構成され」、

「コンピュータプロセッサは、前記電子モジュールから前記入力データを受信し[ている]」のに対して、

引用発明3においては、衣服12に組込まれた布地センサ10が、身体の動きを測定するためのものであり、伸縮される場合に抵抗値を増やす又は減らすニット状の布地感知セクション18を備えているものの、前記測定された身体の動きを、衣料品とは独立した外部装置であるゲーム機に送信するための具体的な構成が不明な点。

(2) 判断

ア 相違点について

前記相違点について検討する。

前記2(1)アの検討事項及び前記2(1)イ(ア)に示した一致点を踏まえると、引用発明1は、本願発明16と引用発明3の前記相違点に係る構成のうち、「コンピュータプロセッサは、前記電子モジュールから前記入力データを受信し[ている]」以外の構成を備えたものであると認められる。

そして、引用発明3及び引用発明1は、衣服にセンサを取り付け、着用者の動きを検出して、その情報を他の装置に送信するという共通の作用を有するから、引用発明3の衣服12に代えて、引用発明1のセンサ衣服10及びモニター装置500を適用し、当該モニター装置500から送信された着用者のパフォーマンス特性のデータを、ゲーム機が備えるコンピュータプロセッサが受信するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。その際、ゲーム機が備えるコンピュータプロセッサを布地部分100を含むセンサ衣服10及びモニター装置500とは独立したものとすることは、当然の設計事項にすぎない。そしてこのとき、モニター装置500が前記相違点に係る構成における電子モジュールに相当し、「コンピュータプロセッサは、前記電子モジュールから前記入力データを受信し[ている]」との構成を備えることとなる。

よって、引用発明3の構成に加えて前記相違点に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明16の奏する作用効果は、引用発明3及び引用発明1から予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明16は、引用発明3及び引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 請求人の主張について

(ア) 請求人の主張内容

請求人の主張内容は、前記2(2)イ(ア)で示したとおりである。

(イ) 請求人の主張についての検討

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請求人の主張は、要するに、本願発明16の構成は、引用文献1、3及び4のいずれにも、開示されていないし、引用文献1、引用文献3及び引用文献4をどのように組み合わせたとしても想到できるものでないというものである。

しかしながら、前記アにおいて説示したとおり、引用発明3の衣服12に代えて、引用発明1のセンサ衣服10及びモニター装置500を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際、ゲーム機が備えるコンピュータプロセッサを布地部分100を含むセンサ衣服10とは独立したものとすることは、当然の設計事項にすぎない。そして、その結果得られる構成は、請求人が意見書で主張する構成(前記2(2)イ(ア)a参照)を含む本願発明16の構成を全て備えるものとなる。

したがって、請求人の主張は、前記アの結論を左右するものではない。

(3) 小括

以上のとおり、本願発明16は、引用発明3及び引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび

以上のとおり、本願の請求項1の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

また、本願の請求項16に係る発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、又は、引用発明3及び引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-012526

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